(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】シート材貼付け方法およびシート材貼付け装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230525BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/78 M
(21)【出願番号】P 2019093371
(22)【出願日】2019-05-17
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】394016601
【氏名又は名称】日東精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅之
(72)【発明者】
【氏名】長谷 幸敏
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-049627(JP,A)
【文献】特開2010-118584(JP,A)
【文献】特開2015-035524(JP,A)
【文献】特開2008-115259(JP,A)
【文献】特開2017-050388(JP,A)
【文献】特開2011-091180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上チャンバと下チャンバとを備えたチャンバの内部空間で、曲面を有するワーク
の前記曲面に対してシート材を貼り付けるシート材貼付け方法であって、
前記上チャンバと前記下チャンバとによって前記シート材を挟み込んで、前記チャンバの内部空間を、前記曲面を有する側を上向きにした状態の前記ワークが配置される下空間と、前記シート材を介在して前記下空間と対向する上空間とに区画する上下空間形成過程と、
前記シート材を変形させて前記ワークに向かう突起部を形成し、前記シート材の突起部を前記ワークのうち
前記曲面の一部と接触させる接触過程と、
前記ワークのうち
前記曲面の一部に前記シート材の突起部が接触された状態で、前記シート材によって仕切られた前記チャンバ内の上空間と下空間との間に形成された差圧によって前記シート材を前記ワークの
前記曲面に貼り付ける貼付け過程と、
を備えることを特徴とするシート材貼付け方法。
【請求項2】
請求項1記載のシート材貼付け方法において、
前記接触過程は、突起部材を前記シート材に接触させることにより前記シート材を変形させる
ことを特徴とするシート材貼付け方法。
【請求項3】
請求項2に記載のシート材貼付け方法において、
前記貼付け過程は、前記突起部材が前記シート材を介して前記ワークのうち
前記曲面の一部に接触している状態で実行される
ことを特徴とするシート材貼付け方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシート材貼付け方法において、
前記貼付け過程は、前記ワークのうち
前記曲面の一部に前記突起部が接触された後、前記上空間と前記下空間との間に差圧を発生させて前記シート材を前記ワークの
前記曲面に貼り付ける
ことを特徴とするシート材貼付け方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のシート材貼付け方法において、
前記チャンバ内の2つの空間のうち、前記下空間の気圧が前記上空間の気圧より高くなるように調整する気圧調整過程を備え、
前記気圧調整過程によって、前記下空間の気圧が前記上空間の気圧より高くなるように調整されている状態で前記接触過程が実行される
ことを特徴とするシート材貼付け方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のシート材貼付け方法において、
前記チャンバ内には複数の前記ワークが収納されており、
前記接触過程において、複数の前記突起部が前記シート材に形成され、前記ワークの各々における
前記曲面の一部に前記突起部がそれぞれ接触する
ことを特徴とするシート材貼付け方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のシート材貼付け方法において、
前記ワークは凹状の曲面を有しており、
前記接触過程において前記突起部を接触させる
前記曲面の一部は、前記凹状の曲面における最も深い部分を含む領域である
ことを特徴とするシート材貼付け方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のシート材貼付け方法において、
前記ワークは凹状の曲面を複数有しており、前記曲面同士を接続する部分である曲面接続部の高さは、いずれも前記ワークの端部の高さより低くなるように前記ワークが構成され、
前記接触過程は、複数の前記突起部が前記シート材に形成され、
前記曲面の各々の一部に前記突起部がそれぞれ接触される
ことを特徴とするシート材貼付け方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のシート材貼付け方法において、
前記接触過程および前記貼付け過程のうち少なくとも一方は、前記チャンバ内に設けられている加熱器によって、前記ワークおよび前記シート材のうち少なくとも一方を加熱しながら行われる
ことを特徴とするシート材貼付け方法。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のシート材貼付け方法において、
前記シート材は、前記ワークの形状に応じた所定の形状を有するシート片と前記シート片を保持する長尺状のキャリアテープを備えている
ことを特徴とするシート材貼付け方法。
【請求項11】
上チャンバと下チャンバとを備えたチャンバの内部空間で、曲面を有するワーク
の前記曲面に対してシート材を貼り付けるシート材貼付け装置であって、
前記ワークを、前記曲面を有する側を上向きにさせた状態で保持する保持テーブルと、
前記保持テーブルを収納し、前記上チャンバと前記下チャンバによって前記シート材を挟み込んで形成される、前記シート材を介して上空間と下空間とに区画されるチャンバと、
前記シート材を供給する供給機構と、
前記シート材を変形させて前記ワークに向かう突起部を形成させる突起部形成機構と、
前記シート材の突起部を前記ワークのうち
前記曲面の一部と接触させる接触機構と、
前記ワークのうち
前記曲面の一部に前記シート材の突起部が接触された状態で、前記シート材によって仕切られた前記チャンバ内の上空間と下空間との間に形成された差圧によって前記シート材を前記ワークの
前記曲面に貼り付ける貼付け機構と、
を備えることを特徴とするシート材貼付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ(以下、適宜「ウエハ」という)または基板を例とするワークに対して、粘着テープを例とするシート材を貼り付けるために用いるシート材貼付け方法およびシート材貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハの表面に回路パターンが形成された後、バックグラインド工程によってウエハの裏面を研削し、さらにダイシング工程によって当該ウエハを多数のチップ部品に分断する。この場合、ウエハの回路保護を目的とする粘着テープ(保護テープ)、または、分断されたチップ部品の飛散防止を目的とする粘着テープ(ダイシングテープ)を例とするシート材が各工程においてウエハに貼り付けられる。
【0003】
粘着テープをウエハに貼り付ける方法の一例としては、上下一対のハウジングからなるチャンバの接合部分に粘着テープを挟み込み、当該粘着テープによって仕切られた2つの空間に差圧を発生させる方法が考案されている(特許文献1を参照)。当該方法では、粘着テープと近接対向するように配置されたウエハに向けて、粘着テープが弾性変形しながらウエハに貼り付けられていく。また、チャンバを用いる貼付け方法において、略半球状の押圧部材によって粘着テープの中央部分を押圧するとともに、チャンバ内に差圧を発生させて粘着テープをウエハの全面に密着させる構成が提案されている(特許文献2を参照)。
【0004】
【文献】特開2014-049627号公報
【文献】特開2017-050388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来装置では次のような問題がある。
【0006】
すなわち従来の構成は、いずれも平坦なウエハに粘着テープを貼り付けることを想定した構成である。そのため、凹状を例とする曲面を有するウエハの当該曲面に粘着テープを貼り付ける場合、従来の装置ではウエハに貼り付けられた粘着テープに皺が形成される、または粘着テープとウエハとの間に気泡(ボイド)が混入する、といった事態が高い頻度で発生することがわかった。このような皺または気泡の発生により、粘着テープを精度良く密着させることが困難となる。
【0007】
また、帯状の粘着テープをウエハに貼り付けた後にウエハの形状に沿って切断する構成の代わりに、予めウエハに応じた形状に切断された粘着テープ(プリカットテープ)を帯状のキャリアテープから剥離させて当該曲面を有するウエハに貼り付ける場合、さらなる問題が懸念される。すなわち従来の構成を用いて、差圧によりプリカットテープをウエハに貼り付けると、プリカットテープが実際に貼り付けられる位置は想定される貼り付け位置から大きく外れるという事態が高い頻度で発生する。その結果、ウエハの全面にプリカットテープを精度良く貼り付けることが困難となる。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、曲面を有するワークに対して高い精度でシート材を貼り付けることができるシート材貼付け方法およびシート状貼付け装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、上チャンバと下チャンバとを備えたチャンバの内部空間で、曲面を有するワークの前記曲面に対してシート材を貼り付けるシート材貼付け方法であって、
前記上チャンバと前記下チャンバとによって前記シート材を挟み込んで、前記チャンバの内部空間を、前記曲面を有する側を上向きにした状態の前記ワークが配置される下空間と、前記シート材を介在して前記下空間と対向する上空間とに区画する上下空間形成過程と、
前記シート材を変形させて前記ワークに向かう突起部を形成し、前記シート材の突起部を前記ワークのうち前記曲面の一部と接触させる接触過程と、
前記ワークのうち前記曲面の一部に前記シート材の突起部が接触された状態で、前記シート材によって仕切られた前記チャンバ内の上空間と下空間との間に形成された差圧によって前記シート材を前記ワークの前記曲面に貼り付ける貼付け過程と、
を備えることを特徴とするものである。
【0010】
(作用・効果)この構成によれば、上チャンバと下チャンバとによってシート材を挟み込んで、シート材によって上空間と下空間に区画されたチャンバを形成したあと、シート材を変形させてワークに向かう突起部を形成させる。このとき、ワークは下空間の内部において、曲面を有する側を上向きにした状態で配置される。そして当該突起部をワークのうち上空間側の面の一部と接触させた状態で、チャンバ内の上空間と下空間との間の差圧によってシート材をワークのうち上空間側の面に貼り付ける。
【0011】
シート材の突起部をワークのうち上空間側の面の一部と接触させることにより、ワークの端部を例とする予期しない部分にシート材が接触することに起因してテンションが発生することを防止できる。当該テンションは、シート材を曲面に貼りつける際に皺や気泡が発生する原因になる。従って、ワークの曲面に貼りつけられるシート材に皺や気泡が形成されることを回避できるので、ワークの曲面に精度よくシート材を密着させることができる。
【0012】
また、上述した発明において、前記接触過程は、突起部材を前記シート材に接触させることにより前記シート材を変形させることが好ましい。
【0013】
(作用・効果)この構成によれば、突起部材をシート材に接触させることによりシート材を変形させて突起部を形成させる。シート材は突起部材の接触によって突起部材の形状に応じた形状に変形する。よって、シート材を確実に変形させ、所望の形状を有する突起部を形成させることができる。
【0014】
また、上述した発明において、前記貼付け過程は、前記突起部材が前記シート材を介して前記ワークのうち前記曲面の一部に接触している状態で実行されることが好ましい。
【0015】
(作用・効果)この構成によれば、突起部材が前記シート材を介して前記ワークの上空間側の面に接触している状態で貼付け過程が実行される。この場合、曲面を有する上空間側の面に接触しているシート材の突起部が、当該ワークの上空間側の面から離れてしまう事態を突起部材によって抑止できる。従って、シート材の突起部が確実に当該ワークの上空間側の面に接触している状態で貼付け過程を実行させることができる。
【0016】
また、上述した発明において、前記貼付け過程は、前記ワークのうち前記曲面の一部に前記突起部が接触された後、前記上空間と前記下空間との間に差圧を発生させて前記シート材を前記ワークの前記曲面に貼り付けることが好ましい。
【0017】
(作用・効果)この構成によれば、ワークのうち上空間側の面の一部に突起部が接触された後に差圧を発生させる。この場合、差圧によってチャンバ内のシート材全体が変形するタイミングを確実にワークの上空間側の面に突起部が接触された後とすることができる。よって、突起部がワークの上空間側の面の一部に接触する前に突起部以外のシート材がワークに接触するという事態をより確実に回避できる。そのため、突起部以外のシート材の接触に起因する皺や気泡などの発生を防止できる。
【0018】
また、上述した発明において、前記チャンバ内の2つの空間のうち、前記下空間の気圧が前記上空間の気圧より高くなるように調整する気圧調整過程を備え、
前記気圧調整過程によって、前記下空間の気圧が前記上空間の気圧より高くなるように調整されている状態で前記接触過程が実行されることが好ましい。
【0019】
(作用・効果)この構成によれば、下空間を上空間より気圧を高くするように調整することによって、シート材をワークから離れるように変形できる。そのため、接触過程において突起部以外の部分のシート材が予期せずワークに接触する、という事態をより確実に回避できる。そのため、突起部以外のシート材の接触に起因する皺や気泡などの発生を確実に防止できる。
【0020】
また、上述した発明において、前記チャンバ内には複数の前記ワークが収納されており、
前記接触過程において、複数の前記突起部が前記シート材に形成され、前記ワークの各々における前記曲面の一部に前記突起部がそれぞれ接触することが好ましい。
【0021】
(作用・効果)この構成によれば、チャンバ内に複数のワークを収納し、当該ワークの各々にシート材を貼り付けることができるので、貼り付け工程の効率を大きく向上できる。また、ワークの各々の曲面の一部に突起部が接触するように構成されているので、複数のワークの各々において、シート材を精度良く密着させることができる。
【0022】
また、上述した発明において、前記ワークは凹状の曲面を有しており、前記接触過程において前記突起部を接触させる前記曲面の一部は、前記凹状の曲面における最も深い部分を含む領域であることが好ましい。
【0023】
(作用・効果)この構成によれば、接触過程において、ワークが有する凹状の曲面のうち、最も深い部分を含む領域に突起部が接触する。従来の構成において、凹状曲面の最深部はシート材が最後に貼り付けられる位置であり、気泡などが発生し易くかつシート材を精度良く貼り付けることが困難な部分である。本発明に係る構成では凹状曲面の最深部に突起部が接触させるので、貼付け過程では当該最深部から放射状に広がるようにシート材がワークの曲面に貼り付けられる。よって、従来では貼り付けエラーが発生しやすい部分における気泡などの発生を確実に回避できるので、シート材をワークの曲面に精度よく密着させることができる。
【0024】
また、上述した発明において、前記ワークは凹状の曲面を複数有しており、前記曲面同士を接続する部分である曲面接続部の高さは、いずれも前記ワークの端部の高さより低くなるように前記ワークが構成され、前記接触過程は、複数の前記突起部が前記シート材に形成され、前記曲面の各々の一部に前記突起部がそれぞれ接触されることが好ましい。
【0025】
(作用・効果)この構成によれば、ワークは凹状の曲面を複数有しており、接触過程において複数の突起部がシート材に形成され、曲面の各々の一部に突起部がそれぞれ接触される。すなわち、複数の凹状曲面の各々に突起部が接触した状態で貼付け過程が実行されるので、凹状の曲面を複数有する複雑な形状のワークであっても、当該ワークの曲面全体に精度良くシート材を密着させることができる。また、曲面接続部の高さは、いずれもワークの端部の高さより低くなっている。そのため、貼り付け過程において、シート材が曲面接続部に予期せず接触してシート材にテンションが発生する事態を回避できる。
【0026】
また、上述した発明において、前記接触過程および前記貼付け過程のうち少なくとも一方は、前記チャンバ内に設けられている加熱器によって、前記ワークおよび前記シート材のうち少なくとも一方を加熱しながら行われることが好ましい。
【0027】
(作用・効果)この構成によれば、加熱によってシート材をより変形しやすくすることができる。よって、シート材を変形させる過程である接触過程または貼付け過程をより好適に完了できる。
【0028】
また、上述した発明において、前記シート材は、前記ワークの形状に応じた所定の形状を有するシート片と前記シート片を保持する長尺状のキャリアテープを備えていることが好ましい。
【0029】
(作用・効果)この構成によれば、ワークの形状に応じた所定の形状を有するシート片と当該シート片を保持する長尺状のキャリアテープをシート材は備えている。この場合、接触過程においてシート片およびキャリアテープの一部が変形して突起部が形成され、当該突起部がワークの曲面の一部に接触する。
【0030】
突起部を形成させて曲面に接触させる過程において、シート片には突起部の部分に限定して大きな力が作用するので、シート材をワークに近づける際にシート片が変位することを防止できる。よって、シート材のシート片はワークの曲面における目標となる位置へ正確に接触させることができる。
【0031】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとってもよい。
すなわち、上チャンバと下チャンバとを備えたチャンバの内部空間で、曲面を有するワークの前記曲面に対してシート材を貼り付けるシート材貼付け装置であって、
前記ワークを、前記曲面を有する側を上向きにさせた状態で保持する保持テーブルと、
前記保持テーブルを収納し、前記上チャンバと前記下チャンバによって前記シート材を挟み込んで形成される、前記シート材を介して上空間と下空間とに区画されるチャンバと、
前記シート材を供給する供給機構と、
前記シート材を変形させて前記ワークに向かう突起部を形成させる突起部形成機構と、
前記シート材の突起部を前記ワークのうち前記曲面の一部と接触させる接触機構と、
前記ワークのうち前記曲面の一部に前記シート材の突起部が接触された状態で、前記シート材によって仕切られた前記チャンバ内の上空間と下空間との間に形成された差圧によって前記シート材を前記ワークの前記曲面に貼り付ける貼付け機構と、
を備えることを特徴とするものである。
【0032】
(作用・効果)この構成によれば、上チャンバと下チャンバとによってシート材を挟み込んで、シート材によって上空間と下空間に区画されたチャンバを形成したあと、接触機構によりシート材を変形させてワークの曲面に向かう突起部を形成させる。そして当該突起部をワークの曲面の一部と接触させた状態で、チャンバ内の上空間と下空間との間の差圧によってシート材をワークの曲面に貼り付ける。
【0033】
シート材の突起部をワークの曲面の一部と接触させることにより、ワークの端部を例とする予期しない部分にシート材が接触することに起因してテンションが発生することを防止できる。当該テンションは、シート材を曲面に貼りつける際に皺や気泡が発生する原因になる。従って、ワークの曲面に貼りつけられるシート材に皺や気泡が形成されることを回避できるので、ワークの曲面の全面に密着するよう精度よくシート材を貼りつけることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明のシート材貼付け方法およびシート材貼付け装置によれば、シート材を変形させてワークに向かう突起部を形成させ、当該突起部をワークのうち曲面を有する上空間側の面の一部と接触させた状態で、チャンバ内の上空間と下空間との間の差圧によってシート材を当該上空間側の面に貼り付ける。そのため、シート材に皺や気泡が発生することを回避しつつ、曲面に沿ってワークを密着するように貼り付けることができる。従って、曲面を有するワークに対して高い精度でシート材を貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】実施例1に係るシート材貼付け装置の基本構成を示す正面図である。
【
図2】実施例1に係るワークを示す斜視図である。 (a)は実施例1に係る、曲面を有するワークの形状を示す斜視図であり、(b)は実施例1に係る、曲面を有するワークの形状を示す縦断面図であり、(c)は曲面を有するワークの別例を示す斜視図である。
【
図3】実施例1に係るシート材の構成を示す断面図である。
【
図4】実施例1に係るシート材貼付け装置の要部を説明する側面図である。
【
図5】実施例1に係るシート材貼付け装置の要部を説明する平面図である。
【
図6】実施例1に係るシート材貼付け装置の要部を説明する側面図である。
【
図7】実施例1に係るチャンバの構成を説明する図である。
【
図8】実施例に係るシート材貼付け装置の動作を示すフローチャートである。(a)は実施例1に係る動作のフローチャートであり、(b)は実施例2に係る動作のフローチャートである。
【
図9】実施例1に係るステップS1を説明する図である。
【
図10】実施例1に係るステップS2を説明する図である。
【
図11】実施例1に係るステップS2を説明する図である。
【
図12】実施例1に係るステップS3を説明する図である。
【
図13】実施例1に係るステップS3を説明する図である。
【
図14】実施例1に係るステップS4を説明する図である。
【
図15】実施例1に係るステップS4を説明する図である。
【
図16】実施例1に係るステップS5を説明する図である。
【
図17】実施例1に係るステップS5を説明する図である。
【
図18】従来例の問題点を説明する図である。(a)は特許文献1に係るシート材貼付け装置の構成を説明する図であり、(b)はワークに対してシート材が接触してテンションが発生する状態を示す図であり、(c)はシート材とワークの間に気泡が発生する問題を示す図であり、(d)は目的となる部位と異なる部位にシート材が接触する状態を示す図であり、(e)はシート材に皺が発生する問題を示す図である。
【
図19】従来例の問題点を説明する図である。(a)は特許文献2に係るシート材貼付け装置の構成を説明する図であり、(b)はワークに対してシート材が接触してテンションが発生する状態を示す図である。
【
図20】実施例2に係るシート材の構成を示す斜視図である。
【
図21】実施例2に係るステップS2を説明する図である。
【
図22】実施例2に係るステップS3を説明する図である。
【
図23】実施例2に係るステップS3を説明する図である。
【
図24】実施例2に係るステップS4を説明する図である。
【
図25】実施例2に係るステップS5を説明する図である。
【
図26】従来例に係る、差圧を用いてプリカットテープを貼りつける構成の問題点を説明する図である。(a)はシート材をワークに近づける際にプリカットテープが変位する状態を説明する図であり、(b)はプリカットテープの変位により、プリカットテープが実際に貼付けられる位置が想定の位置から外れる状態を示す図である。
【
図27】実施例2に係る構成の効果を説明する図である。(a)は突起部を形成する前の状態を示す図であり、(b)は突起部を形成した後の状態を示す図であり、(c)は突起部をワーク上の目的となる位置に接触させる状態を示す図であり、(d)は突起部材がプリカットテープの変位を防止する状態を示す図である。
【
図30】変形例に係る構成のステップS3を説明する図である。(a)は上向きの差圧によってシート材がワークから遠ざかるように変形する状態を示す図であり、(b)はシート材を変形させた状態で突起部をワーク上の目的となる位置に接触させる状態を示す図である。
【
図33】変形例に係るワークの形状を説明する図である。(a)はワークの中央部が曲面と平面とを有する構成を例示する図であり、(b)はワークの中央部が曲面と、当該曲面より凹んでいる凹み部とを有する構成を例示する図であり、(c)はワークの中央部が曲面と、当該曲面より突出している凸状部とを有する構成を例示する図である。
【
図34】変形例に係るワークの形状を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係るシート材貼付け装置1の基本構成を示す図である。なおシート材貼付け装置1を示す各図において、各種構成を支持する支持手段、および各種構成を駆動させる駆動手段などについては適宜図示を省略している。
【0037】
本実施例に係るシート材貼付け装置1では、回路保護用の粘着テープである保護テープPTをシート材として用いるものとする。本実施例ではシート材を貼り付ける対象であるワークとして、
図2(a)および
図2(b)に示されるような皿状のウエハWを用いるものとする。ウエハWは、表面W1のうち周縁部Waは平坦となっている一方、回路が形成されている中央部Cpは凹状の曲面Wbを有している。なお、曲面Wbを有するウエハWの形状としては皿状に限られることはなく、
図2(c)に示されるような瓦状などが他の例として挙げられる。シート材貼付け装置1は、ウエハWのうち少なくとも中央部Cpに保護テープPTを貼り付けて当該中央部Cpを保護することを目的とする。
【0038】
本実施例に用いられる保護テープPTは
図3に示すように、非粘着性の基材Taと、粘着性を有する粘着材Tbとが積層した長尺状の構造を備えている。粘着材TbにはセパレータSが添設されている。すなわち保護テープPTの粘着面にセパレータSが添設されており、セパレータSを保護テープPTから剥離することによって保護テープPTの粘着面が露出する。
【0039】
基材Taを構成する材料の例として、ポリオレフィン、ポリエチレン、エチレン-ビニル酢酸共重合体、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレナフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンメタアクリル酸共重合体、ポリプロピレン、メタアクリル酸テレフタレート、ポリアミドイミド、ポリウレタンエラストマーなどが挙げられる。なお、上述した材料を複数組み合わせたものを基材Taとして用いてもよい。また、基材Taは単層でもよいし、複数の層を積層させた構成でもよい。
【0040】
粘着材Tbは、ウエハWを保護する機能と、保護テープPTがウエハWに貼り付く状態を保持できる機能とを担保できる材料で構成されることが好ましい。粘着材Tbを構成する材料の例として、アクリル酸エステル共重合体、シリコーン、オレフィン、天然ゴム、ブタジエンゴム、セルロースなどが挙げられる。また粘着材Tbはエネルギー線照射または熱エネルギーにより硬化する材料を適宜選択することが好ましい。この場合、エネルギー線または熱エネルギーを加えることにより、保護テープPTをウエハWから剥離させることが容易となる。セパレータSの例として、長尺状の紙材やプラスチックなどが挙げられる。
【0041】
<全体構成の説明>
シート材貼付け装置1は、シート供給部2と、セパレータ回収部3と、シート貼付けユニット4と、シート回収部5とを備えている。シート供給部2は、供給ボビン6、引張機構7、および剥離ローラ8などを備えている。供給ボビン6には保護テープPTが巻回された原反ロールが装填されている。
【0042】
供給ボビン6は、電磁ブレーキ9に連動連結されて適度の回転抵抗がかけられている。そのため、供給ボビン6から過剰に保護テープPTが繰り出されることを防止できる。引張機構7は、揺動アーム10を揺動させるシリンダ11を備えている。揺動アーム10は、固定端の支軸に遊転ローラ12が軸支されており、自由端側にダンサローラ13を備えている。
【0043】
従って、シリンダ11の作動に連動して揺動する揺動アーム10の自由端側のダンサローラ13が下降し、保護テープPTを下方に押し下げてテンションを付与するように構成されている。原反ロール6から繰り出された保護テープPTは、ガイドローラ14などによって繰り出し方向にテンションが付与されており、皺が発生しないよう調整されている。
【0044】
剥離ローラ8は、保護テープPTからセパレータSを剥離し、セパレータ回収部3へと導くように構成される。セパレータ回収部3は、保護テープPTから剥離されたセパレータSを巻き取る回収ボビン15が備えられている。回収ボビン15は、図示しないモータなどによって正逆に回転駆動制御される。
【0045】
シート貼付けユニット4は、チャンバ17、シート貼付け機構18、ニップローラ19、シート切断機構21を備えている。チャンバ17は、保護テープPTの幅より小さい内径を有する上下一対のハウジング、すなわち上ハウジング20と下ハウジング22とによって構成される。本実施例に係るシート材貼付け装置1は、1つの上ハウジング20と2つの下ハウジング22を備えている。2つの下ハウジング22のうち、一方を下ハウジング22A、他方を下ハウジング22Bとして区別する。
【0046】
下ハウジング22A、22Bは
図4に示すように、旋回アーム23の両端にそれぞれ備えられている。旋回アーム23は、回転駆動装置25の回転軸27に連結固定されている。すなわち、例えば一方の下ハウジング22Aが貼付け領域P1へ移動して上ハウジング20とチャンバ17を形成する場合、他方の下ハウジング22Bは退避領域P2に移動するように構成されている。
図1および
図4などに示すように、貼付け領域P1において、上ハウジング20と下ハウジング22との間に保護テープPTが繰り出されるように調整されている。
【0047】
また、下ハウジング22Aおよび22Bの上面には接合部29が形成されており、上ハウジング20の下面には接合部30が形成されている。接合部29および接合部30を介して上ハウジング20と下ハウジング22とが接合することによって、チャンバ17が形成される。接合部29および接合部30の接合面は、フッ素加工を一例とする離型処理が施されている。
【0048】
図4ないし
図6に示すように、下ハウジング22の各々には保持テーブル31が収納されている。保持テーブル31は昇降可能となるように構成されており、ウエハWを保持するワーク保持部33を備えている。ワーク保持部33の中央部にはワーク載置面35が形成されている。ワーク載置面35は、ウエハWの下面に沿った形状となっている。本実施例において、ワーク載置面35は平面視で円型となっており、断面視で凹型となる形状を有している。ワーク載置面35にウエハWを載置させることにより、ウエハWをより安定に保持できる。
【0049】
なお、ワーク載置面35にウエハWを載置させた状態において、ウエハWの周縁部Waの高さが保持テーブル31の上面の高さより高くなるようにワーク載置面35の形状が予め定められていることが好ましい(
図7を参照)。ウエハWの周縁部Waの高さを保持テーブル31の上面より高くすることにより、保護テープPTを貼り付けた後のウエハWを保持テーブル31から離隔させることがより容易となる。
【0050】
保持テーブル31は、下ハウジング22A、22Bを貫通するロッド37と連結されている。ロッド37の他端はモータなどを備えるアクチュエータ39に駆動連結されている。そのため、保持テーブル31は下ハウジング22の内部で昇降移動が可能となっている。
【0051】
保持テーブル31には複数本の支持ピン41が内蔵されている。支持ピン41は上下移動可能となるように構成されており、その先端をワーク保持部33の保持面より高く突き上げることができる。また保持テーブル31にはヒータ43が埋設されている。
【0052】
上ハウジング20は
図6に示すように、駆動機構44に備えられている。駆動機構44は、縦壁45の背部に縦向きに配置されたレール46に沿って昇降可能な可動台47と、可動台47に高さ調節可能となるよう支持されている可動枠48と、可動枠48から前方に向けて延出されたアーム49とを備えている。アーム49の先端部から下方に延出する支軸50に上ハウジング20が装着されている。
【0053】
可動台47は、ネジ軸51をモータ52によって正逆転することによってねじ送り昇降されるように構成されている。さらに、上ハウジング20は可動台47の回転またはアーム49の伸縮を例とする動作により、適宜のタイミングで貼付け領域P1から退避できるように構成されている。
【0054】
上ハウジング20および下ハウジング22は、
図7に示すように、流路53を介して真空装置55に連通接続されている。真空装置55側の流路53には電磁バルブ56が備えられている。また、上ハウジング20および下ハウジング22には、大気開放用の電磁バルブ57、58を備えた流路59がそれぞれ連通接続されている。さらに、上ハウジング20には、一旦減圧した内圧をリークにより調整する電磁バルブ60を備えた流路61が連通接続されている。
【0055】
なお、電磁バルブ56、57、58、60の開閉操作および真空装置55の作動は、制御部62によって行われている。制御部62はCPU(中央演算処理装置)などを備えており、シート材貼付け装置1に設けられている構成の各々について、各種動作などを統括制御できるように構成されている。
【0056】
シート貼付け機構18は
図4などに示すように、上ハウジング20の内部に突起部材63を備えている。突起部材63の上部にはシリンダ65が連結されており、シリンダ65の動作によって突起部材63はチャンバ17の内部で昇降できる。突起部材63を構成する材料の好ましい例としては弾性体が挙げられ、弾性体の一例としてはゴム、ウレタン、エラストマーなどが挙げられる。突起部材63が弾性体である場合、突起部材63が保護テープPTを介してウエハWに接触する際に、突起部材63はウエハWの曲面Wbの形状に応じて弾性変形する。保護テープPTをウエハWへ好適に密着できるとともに保護テープPTまたはウエハWが損傷を受けることを確実に防止できる。
【0057】
ニップローラ19は、モータによって駆動する送りローラ67と、シリンダによって昇降するピンチローラ68とを備えている。ニップローラ19は、案内レール69に沿って左右に移動可能に構成される。案内レール69は、チャンバ17を挟んで装置基台70に立設された一対の支持フレーム71に架設されている。
【0058】
シート切断機構21は貼付け領域P1の上方に配設されており、
図1に示すように、支持アーム73の先端に設けられているカッタユニット75を備えている。支持アーム73は、可動台77から片持ち支持されたアームの先端下部で径方向に伸びている。可動台77はフレーム79に沿って昇降可能に構成される。
【0059】
カッタユニット75には、刃先を下向きにしたカッタ81がカッタホルダを介して装着されている。なお、カッタユニット75は、支持アーム73を介して旋回半径を調整可能になっている。シート切断機構21は、ウエハWに貼り付けられた保護テープPTを、ウエハWの周縁部Waと略同じ形状および大きさとなるように切断する。
【0060】
シート回収部5は
図1に示すように、切断後に剥離された不要な保護テープPTを巻き取り回収する回収ボビン83を備えている。回収ボビン83は、図示されていないモータによって正逆に回転駆動制御されるように構成されている。
【0061】
<動作の概要>
ここで、実施例1に係るシート材貼付け装置1の基本動作を説明する。
図8(a)は、シート材貼付け装置1を用いて、ウエハWに保護テープPTを貼り付ける工程を説明するフローチャートである。なお初期状態において、下ハウジング22のうち、下ハウジング22Aは退避領域P2に配置されており、下ハウジング22Bは上ハウジング20とともに貼付け領域P1に配置されているものとする。
【0062】
ステップS1(ワークの供給)
貼付け指令が出されると、図示しない搬送装置によって、ウエハWが保持テーブル31に搬送される。このとき、退避位置P2に配置されている下ハウジング20(本実施例では下ハウジング22A)の内部にある保持テーブル31へとウエハWが搬送される。搬送装置の例としては、真空吸着式のロボットアームなどが挙げられる。
【0063】
また、適宜のタイミングにおいてヒータ43による加熱を開始する。ヒータ43が保持テーブル31を加熱することによって、後の工程においてウエハWとともに保護テープPTが加熱される。その結果、保護テープPTを構成する材料が柔らかくなるので、保護テープPTをより変形しやすくすることができる。
【0064】
ウエハWが搬送されると、保持テーブル31が適宜上昇するとともに、保持テーブル31に内蔵されている支持ピン41がワーク保持部33から突出して受け取り位置へと上昇する。そして
図9に示すように、下ハウジング22Aの上面より高い位置に突き上げられた支持ピン41の先端部にウエハWが受け渡される。
【0065】
ウエハWが受け渡されると支持ピン41は下降して初期位置へと復帰し、ワーク保持部33のワーク載置面35にウエハWが載置される。このとき、ワーク載置面35を介して保持テーブル31に保持されているウエハWの周縁部Waの高さは、下ハウジング22Aの上面の高さより低い位置となるように保持テーブル31の高さが調整される。なお、ウエハWをより安定に保持すべく、図示しない真空装置などによって保持テーブル31がワーク載置面35を介してウエハWの裏面を真空吸着してもよい。ステップS1の工程により、裏面W2が下向きとなっており、曲面Wbを有する表面W1が上向きとなっている状態で、ウエハWは保持テーブル31によって保持される。
【0066】
なおこのとき、ピンチローラ68を上昇させて送りローラ67との協働により保護テープPTをニップするとともに、ダンサローラ13を所定高さまで揺動下降させ、保護テープPTの長手方向に予め決められたテンションを付与している。
【0067】
ステップS2(チャンバの形成)
保持テーブル31によってウエハWが保持されると、
図10に示すように、回転駆動装置25を作動させて旋回アーム23を旋回させる。旋回アーム23の旋回により、下ハウジング22Aを退避領域P2から貼付け領域P1へと移動させる。下ハウジング22Aの移動に連動して、下ハウジング22Bは貼付け領域P1から退避領域P2へと移動する。下ハウジング22Aが貼付け領域P1へ移動した状態において、保持テーブル31に保持されているウエハWは、保護テープPTから所定のクリアランスを有している。
【0068】
下ハウジング22Aを貼付け領域P1へ移動させた後、
図11に示すように、上ハウジング20を下降させる。当該下降に伴って、上ハウジング20および下ハウジング22Aは保護テープPTを挟み込んでチャンバ17を形成する。
【0069】
形成されたチャンバ17の内部空間は、保護テープPTによって2つの空間に区画されている。すなわち、保護テープPTおよび下ハウジング22Aによって囲まれる下空間H1と、保護テープPTおよび上ハウジング20によって囲まれる上空間H2とに区画される。ウエハWおよび保持テーブル31は下空間H1に配置され、上空間H2は保護テープPTを介在して下空間H1に対向している。
【0070】
ステップS3(突起部の形成)
チャンバ17を形成させた後、リーク用の電磁バルブ60を閉じるとともに、電磁バルブ56、57、58を開いて真空装置55を作動させ、下空間H1および上空間H2の減圧を行う。このとき、下空間H1および上空間H2が同じ速度で減圧するように、電磁バルブ57および58の開度を調整する。下空間H1および上空間H2の気圧が、所定の気圧(一例として真空状態)に減圧されると、制御部62は電磁バルブ56-58を閉じるとともに真空装置55の作動を停止させる。
【0071】
下空間H1および上空間H2を所定の気圧にまで減圧させた後、制御部62はシート貼付機構18を作動させる。すなわち、制御部62は突起部材63を下降させる。突起部材63が下降することにより、
図12に示すように、突起部材63の先端部64が保護テープPTに接触して押圧していく。当該押圧により保護テープPTの一部は先端部64の形状に応じて変形され、ウエハWに向かう形状を有する突起部Vが保護テープPTに形成される。本実施例ではウエハWが下空間H1に収納されているので、突起部Vは下空間H1へ向かう形状となる。
【0072】
制御部62はさらに突起部材63を下降させる。突起部材63の下降を続けることによって突起部Vは徐々に大きくなり、
図13に示すように、突起部VはウエハWの曲面Wbの一部に接触する。本実施例において、曲面Wbのうち突起部Vが接触する領域である接触領域M1は、曲面Wbの最深部Vcを含む領域となるように突起部材63の配設位置が調整されている。突起部材63が突起部Vを介して曲面Wbに接触することにより、制御部62は突起部材63の下降を停止させる。
【0073】
ステップS4(シート材の貼付け)
突起部VをウエハWの曲面Wbの一部に接触させた後、シート材をワークに貼り付ける工程を開始する。すなわち突起部Vが曲面Wbに接触している状態で、制御部62は電磁バルブ60の開度を調整してリークさせながら、予め設定された目標値となるように上空間H2の気圧を徐々に高める。
【0074】
電磁バルブ60の調整により、上空間H2の気圧は下空間H1の気圧より高くなり、両空間の間に差圧Fが形成される。そして上空間H2と下空間H1との差圧Fによって、保護テープPTが下ハウジング22Aへと徐々に引き込まれる。
【0075】
差圧Fが形成される時点において、保護テープPTの一部である突起部Vは既に曲面Wbのうち接触領域M1に接触している。そのため
図14に示すように、保護テープPTはウエハWの曲面Wbに、接触領域M1から外周に向けて放射状に貼り付けられていく。そして
図15に示すように、保護テープPTは曲面Wbの全面にわたって貼り付けられて密着する。すなわち、ウエハWのうち表面W1の中央部Cpの全面にわたって保護テープPTが貼り付けられる。本実施例では、中央部Cpに保護テープPTが貼り付けられた後、さらに差圧Fを維持し、表面W1の周縁部Waにも保護テープPTが貼り付けられる。
【0076】
制御部62は、所定時間経過後に電磁バルブ57、58を開き、下空間H1の気圧と上空間H2の気圧とが同じとなるように調整する。下空間H1および上空間H2の気圧が等しくなると、制御部62は電磁バルブ60の開度を調整しながら下空間H1の気圧と上空間H2の気圧とを大気圧にまで戻す。その後、上ハウジング20を上昇させて大気開放する。
【0077】
なお、チャンバ17内で保護テープPTをウエハWに貼り付けている間に、退避領域P2へ移動していた下ハウジング22BにおいてステップS1の工程を行うことができる。下ハウジング22を複数設けて交互に保護テープPTをウエハWに貼り付ける工程を行うことにより、ウエハWに対する保護テープPTの貼付け効率を向上できる。
【0078】
ステップS5(シート材の切断)
保護テープPTがウエハWに貼り付けられると、保護テープPTの切断工程を開始する。すなわち、上ハウジング20を貼付け領域P1から適切な位置へと退避させる。このとき、保持テーブル31を適宜上昇させてもよい。本実施例では、ウエハWの周縁部Waの表面と下ハウジング22Aの上面とが面一となる高さまで保持テーブル31を上昇させるものとする。
【0079】
さらにシート切断機構21のカッタユニット75を、所定の高さまで下降させる。保持テーブル31およびシート切断機構21の昇降移動により、
図16に示すように、ウエハWの周縁部Waから外側へわずかに離れた部分において、カッタ81が保護テープPTに突き刺される。
【0080】
カッタ81が保護テープPTに突き刺されると、支持アーム73が縦軸心Pを旋回中心として旋回する。本実施例において、縦軸心Pは保持テーブル31の中心およびウエハWの中心を通る軸であるものとする。支持アーム73の旋回に伴ってカッタ81がウエハWの周縁部Waの外周に沿って旋回移動し、保護テープPTは周縁部Waと略同じ形状および大きさに切断される。保護テープPTの切断が完了すると、カッタユニット75は上昇して待機位置に戻る。
【0081】
さらに、ニップローラ19に設けられているピンチローラ68を下降させて保護テープPTのニップを解除する。そして
図17に示すように、テープ供給部2に向けてニップローラ19を案内レール69に沿って移動させることにより、保護テープPTのうち、周縁部Waの外形に沿って切り抜かれた部分の保護テープPTwと、保護テープPTw以外の部分の保護テープPTaとを分離させる。
【0082】
ステップS6(ワークの回収)
保護テープPTの切断および分離が完了すると、回転駆動装置25を作動させて旋回アーム23を旋回させる。旋回アーム23の旋回により、下ハウジング22Aを貼付け領域P1から退避領域P2へと移動させる。下ハウジング22Aの移動に連動して、下ハウジング22Bは貼付け領域P1へと移動する。そして保護テープPTwが曲面Wbに貼り付けられたウエハWは図示しない搬送機構によって搬出され、図示しないワーク収納部へと回収される。
【0083】
保護テープPTwから分離された保護テープPTaは、シート回収部5の回収ボビン83によって巻き取り回収される。保護テープPTaが回収されるとともに、シート供給部2から所定量の保護テープPTが繰り出される。
【0084】
以上で一巡の動作が終了し、以後、ステップS1からステップS6までの動作を順次繰返してゆく。
【0085】
<実施例1の構成による効果>
上記実施例1に係る装置によれば、曲面Wbを有するウエハWに対して保護テープPTを例とするシート材を精度良く貼り付けることができる。ここで実施例1の構成による効果について、従来の構成と比較しつつ説明する。
【0086】
特許文献1または特許文献2に開示されるような従来の貼付け装置では、平坦な形状のワークに対して保護テープPTを貼り付ける工程を想定している。そのため、ワークが曲面を有する場合、従来の貼付け装置では、当該ワークに保護テープPTを精度良く貼り付けることが困難となるという知見が新たに得られた。
【0087】
精度良く貼り付けることが困難となる原因について、次のようなものが考えられる。すなわち、特許文献1の構成では
図18(a)に示すように、チャンバTyの内部に発生させた差圧Fのみを用いて保護テープPTをウエハWに貼り付ける。このような特許文献1に係る従来の構成では、チャンバTy内部の保護テープPT全体が差圧Fによって変形していく。よって、ウエハWのうち保護テープPTとの距離が遠い部分と比べて、保護テープPTとの距離が近い部分の方が先に保護テープPTと接触することとなる。
【0088】
そのため曲面Wbを有するウエハWをワークとして用いる場合、
図18(b)に示すように、保護テープPTはウエハWの曲面Wbより先にウエハWの周縁部Waへ接触する。このように保護テープPTが周縁部Waに接触することによって、保護テープPTにテンションTxが発生する。
【0089】
この場合、保護テープPTが周縁部Waに接触した状態からさらに保護テープPTの中央部が曲面Wbに追従しようと変形していく。しかし、保護テープPTにテンションTxが発生しており、当該テンションTxは追従変形するにつれて徐々に大きくなる。その結果、限界値以上に大きくなったテンションTxに起因して保護テープPTがこれ以上変形しきれず、保護テープPTの一部が曲面Wbに追従できない事態が頻繁に発生する。
【0090】
このような事態が発生した場合、曲面Wbに追従した変形ができない部分の保護テープPTは曲面Wbに密着できないので、
図18(c)に示すように、保護テープPTとウエハWの曲面Wbとの間に気泡Voが発生することとなる。特に曲面Wbのうち最も深い部分である最深部Wcは、差圧によって変形する保護テープPTが最後に接触する部分であるので、気泡Voが高頻度で発生する。
【0091】
保護テープPTが先に周縁部Waへ接触することによって発生するテンションTxは、別の問題も引き起こすと考えられる。すなわち、テンションTxが発生している状態で曲面Wbに追従変形すると、保護テープPTが不均一に変形してしまい、結果として
図18(d)に示すように、曲面Wbのうち予期していない領域Wbxに保護テープPTの一部が先に貼り付いてしまう事態が発生する。このような事態が発生すると、保護テープPTは密着するように曲面Wbへ貼り付くことができず、
図18(e)に示すように、領域Wbxに接触した保護テープPTの部分が皺Swとなる。
【0092】
また、テンションTxが発生している状態で保護テープPTが曲面Wbに貼り付けたとしても、テンションTxに起因して強い引張応力が保護テープPTに蓄積する。そのため、時間経過とともに保護テープPTは引張応力によって曲面Wbから剥がれてしまい、気泡Voや皺Swが発生することも考えられる。
【0093】
次に、特許文献2の構成では
図19(a)に示すように、チャンバTyの内部に略半球状の押圧部材Kを配設させる。そして押圧部材Kを下降させ、保護テープPTの中央部分を押圧部材Kで押圧してウエハWに貼り付けた後に、差圧を発生させて保護テープPTをウエハWの全面に密着させる。
【0094】
このような特許文献2に係る従来構成では、ウエハWが曲面Wbを有する場合、押圧部材Kの下面の形状と曲面Wbの形状とが一致する場合は保護テープPTを曲面Wbに沿って密着させることができると考えられる。しかし、保護テープPTを貼り付ける装置では、曲面Wbの曲率およびサイズが異なる様々な種類のウエハWをワークとして用いることが要求される。曲面Wbの曲率およびサイズが異なる多種類のウエハWの各々に対応する押圧部材Kを複数用意することは現実的に困難である。
【0095】
また、特許文献2に係る押圧部材Kは幅が広く、下面の曲率が小さい形状となっている。そのため、押圧部材Kを用いて保護テープPTをウエハWに向けて押圧させた場合、
図19(b)に示すように、保護テープPTはウエハWの曲面Wbより先にウエハWの周縁部Waへ接触する事態が発生する。そのため、特許文献1の構成と同様、保護テープPTをウエハWの曲面Wbに貼り付けようとしても、保護テープPTに皺Swまたは気泡Voが高い頻度で発生することとなる。
【0096】
これら従来の構成に対し、実施例1に係る構成では保護テープPTの一部を突出するように変形させて突起部Vを形成させ、先に当該突起部Vを曲面Wbの一部に接触させる。そして突起部Vを曲面Wbに接触させた後、チャンバ17内部における下空間H1と上空間H2との差圧によって保護テープPTを曲面Wb全体に貼りつける。
【0097】
本実施例の構成では保護テープPTに突起部Vを形成させ、曲面Wbのうち予め目標と定めた部分へ突起部Vを先に接触させるので、保護テープPTが先に周縁部Waへ接触することに起因するテンションTxの発生を回避できる。従って、曲面Wbを有するウエハWに保護テープPTを貼り付ける場合であっても、保護テープPTに皺が発生する事態または保護テープPTと曲面Wbとの間に気泡が発生するといった事態を回避できる。よって、当該曲面Wbの全面に密着するよう精度よく保護テープPTを貼りつけることができる。
【0098】
特に突起部Vを曲面Wbのうち最も深い部分である最深部Wcに接触させる場合、従来の構成では最後に保護テープPTが接触する部分である最深部Wcに対して、本発明の構成では最初に保護テープPTを接触させることができる。そのため差圧によって保護テープPTを曲面Wbに貼りつける工程において、保護テープPTは最深部Wcから外側へ向けて放射状に貼りつけられていくこととなる。よって、従来では気泡が特に発生し易い部分と考えられる最深部Wcにおいて気泡が巻き込まれることを確実に回避できるので、保護テープPTを曲面Wbより精度良く密着させることができる。
【実施例2】
【0099】
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例1では曲面Wbを有するウエハWに対して、長尺状の保護テープPTを貼り付ける構成を例にとって説明した。実施例2では、ウエハWの形状に応じた所定形状の断片となっている保護テープPTを、曲面Wbを含む所定の領域に貼り付ける構成を例にとって説明する。すなわち、実施例2ではプリカット粘着テープをワークに貼り付ける構成を例として説明する。なお、実施例1に係るシート材貼付け装置1と同一構成については同一符号を付すに留め、異なる構成部分について詳述する。
【0100】
図20に示すように、実施例2に係る保護テープPTは予め所定の形状に切り抜かれており、各々の保護テープPTは長尺状のキャリアテープCTによって保持されている。すなわち実施例2に係るシート材貼付け装置1Aにおいて、所定形状の断片となっている保護テープPTがキャリアテープCTの上で所定の距離ごとに配置されており、当該キャリアテープCTが保護テープPTとともにシート供給部2から繰り出し供給される。シート貼付けユニット4は断片状の保護テープPTを、曲面Wbを有するウエハWの回路形成面に貼りつける。シート回収部5は、保護テープPTから剥離されたキャリアテープCTを巻き取り回収する。
【0101】
なお本実施例において、保護テープPTの形状は円形であるものとする。また、保護テープPTは既にウエハWの外形に応じた形状となっているため、シート材貼付け装置1Aではシート切断機構21を省略できる。
【0102】
実施例2に係るシート材貼付け装置1Aの動作について、実施例1と相違する点を図示しつつ説明する。シート材貼付け装置1Aの動作のフローチャートは、
図8(b)に示される通りである。実施例2に係るシート材貼付け工程の概要は、実施例1に係る工程と同様であるので、細部については適宜説明を省略する。
【0103】
ステップS1(ワークの供給)
ステップS1において、曲面Wbを有するウエハWを退避領域P2に配置されている下ハウジング22Aへと搬送する。そして下ハウジング22Aに収納されている保持テーブル31にウエハWを載置させ、保持テーブル31のワーク載置面35を介してウエハWを保持する。ウエハWは、曲面Wbを有する表面W1の側を上向きにした状態で保持される。
【0104】
ステップS2(チャンバの形成)
次にステップS2において、下ハウジング22Aを貼付け領域P1へと移動させる。なおこのとき、繰り出されている保護テープPTの位置はウエハWの曲面Wbの上方となるように予め調整される。下ハウジング22Aを移動させた後、上ハウジング20を下降させる。
図21に示すように、上ハウジング20および下ハウジング22AがキャリアテープCTを挟み込んで接合することによってチャンバ17が形成される。
【0105】
形成されたチャンバ17の内部空間は、キャリアテープCTによって2つの空間に区画される。すなわち、キャリアテープCTおよび下ハウジング22Aによって囲まれる下空間H1と、キャリアテープCTおよび上ハウジング20によって囲まれる上空間H2とに区画される。
【0106】
ステップS3(突起部の形成)
チャンバ17を形成させた後、
真空装置55を作動させ、下空間H1および上空間H2を同じ速度で減圧させる。下空間H1および上空間H2の気圧が所定の気圧にまで減圧されると、シート貼付機構18の作動を開始して突起部材63を下降させる。突起部材63を下降させることによって、
図22に示すように、突起部材63の先端部64がキャリアテープCTを介して保護テープPTに接触し、保護テープPTを押圧していく。当該押圧により保護テープPTの一部は先端部64の形状に応じて変形され、突起部Vが形成される。
【0107】
制御部62はさらに突起部材63を下降させる。突起部材63の下降を続けることによって突起部Vは徐々に大きくなり、
図23に示すように、突起部VはウエハWの曲面Wbの一部に接触する。実施例1と同様に、曲面Wbのうち突起部Vが接触する接触領域M1は、曲面Wbの最深部Vcを含む領域となるように突起部材63の配設位置が調整されることが好ましい。突起部材63が突起部Vを介して曲面Wbに接触することにより、制御部62は突起部材63の下降を停止させる。
【0108】
ステップS4(シート材の貼付け)
突起部VをウエハWの曲面Wbの一部に接触させた後、突起部Vが曲面Wbに接触している状態で、上空間H2と下空間H1との間に差圧を形成させる。上空間H2と下空間H1との差圧によって、保護テープPTが下ハウジング22Aへと徐々に引き込まれていく。そして保護テープPTは、接触領域M1から外周に向けてウエハWの曲面Wbに放射状に貼り付けられていき、
図24に示すように、曲面Wbの全面にわたって保護テープPTが貼り付けられる。
【0109】
所定時間経過後、制御部62は突起部材63を上昇させて初期位置へ復帰させるとともに、下空間H1の気圧と上空間H2の気圧とが同じとなるように調整する。その後、下空間H1および上空間H2の気圧を大気圧にまで戻し、上ハウジング20を上昇させて大気開放する。
【0110】
ステップS5(キャリアテープの剥離)
実施例2に係る保護テープPTは既にウエハWの外形に応じた形状の断片となっているので、保護テープPTを切断する工程を省略できる。そのため、実施例2ではウエハWに保護テープPTを貼りつけた後、キャリアテープCTを保護テープPTから剥離する工程を行う。すなわち、上ハウジング20を貼付け領域P1から適切な位置へと退避させる。実施例2ではこのとき、実施例1と同様に保持テーブル31を上昇させるものとする。
【0111】
次に、ニップローラ19に設けられているピンチローラ68を下降させて保護テープPTのニップを解除する。そして
図25に示すように、テープ供給部2に向けてニップローラ19を案内レール69に沿って移動させることによりキャリアテープCTが巻き上げられ、ウエハWに貼りつけられた保護テープPTからキャリアテープCTが剥離される。
【0112】
ステップS6(ワークの回収)
キャリアテープCTの剥離が完了すると、旋回アーム23を旋回させ、下ハウジング22Aを貼付け領域P1から退避領域P2へと移動させる。そして保護テープPTが曲面Wbに貼り付けられたウエハWは、図示しない搬送機構によって搬出され、図示しないワーク収納部へと回収される。保護テープPTから分離されたキャリアテープCTは、シート回収部5の回収ボビン83によって巻き取り回収される。
【0113】
以上で一巡の動作が終了し、以後、ステップS1からステップS6までの動作を順次繰返してゆく。
【0114】
<実施例2の構成による効果>
実施例2に係る装置によれば、ワークWに対してプリカット粘着テープ状の保護テープPTを、曲面Wbを備えるウエハWに貼り付ける場合において、保護テープPTを曲面Wbに精度良く貼りつけることができる。すなわち実施例1と同様に、保護テープPTの一部を変形させて突起部Vを形成させ、先に当該突起部Vを曲面Wbの一部に接触させる。そして突起部Vを曲面Wbに接触させた後、チャンバ17内部における下空間H1と上空間H2との差圧によって保護テープPTを曲面Wb全体に貼りつける。
【0115】
そのため実施例2の構成においても、保護テープPTが先に周縁部Waへ接触することに起因するテンションTxの発生を回避できる。従って、曲面Wbを有するウエハWに保護テープPTを貼り付ける場合であっても、保護テープPTに皺が発生する事態または保護テープPTと曲面Wbとの間に気泡が発生するといった事態を回避できる。よって、当該曲面Wbの全面に密着するよう精度よく保護テープPTを貼りつけることができる。
【0116】
さらに実施例2に係る構成では、実施例1によって得られる効果に加えて新たな効果が得られることが分かった。すなわち、チャンバ内の差圧によってプリカットテープ状の保護テープPTをウエハWに貼りつける場合において、ウエハWに対する保護テープPTの貼付け位置精度を従来と比べて大きく向上できることがわかった。当該新たな効果について、従来構成と比較しつつ説明する。
【0117】
特許文献1のような従来の構成では、チャンバ内に発生した差圧によって保護テープをウエハWに向けて変形させ、保護テープをウエハWに近づけていく(
図18(a)を参照)。このとき、
図26(a)に示すように、保護テープPTの全面にわたって略均一に差圧Fが作用する。つまり、保護テープPTの面方向において押圧力の偏りが小さいため、保護テープPTをウエハWに近づけるにつれて、保護テープPTが水平方向(x方向またはy方向)に変位すると考えられる(符号J1を参照)。
【0118】
保護テープPTが長尺状である場合、保護テープPTをウエハWに貼りつけてから当該保護テープPTを所望の形状に切り抜くため、保護テープPTが水平方向に位置ズレする影響は比較的小さい。しかし、保護テープPTが既に所定形状に切断された、いわゆるプリカットテープ状である場合、
図26(b)に示すように、本来はウエハWの曲面Wb全体に貼りつけられるはずの保護テープPTが、保護テープPTが水平方向に位置ズレすることに起因して曲面Wbの一部のみに貼りつけられることとなる。
【0119】
特許文献2のような従来の構成においても、同様の問題が発生する。すなわち幅広の押圧部材で保護テープPTを押圧させつつ保護テープPTをウエハWに向けて変形させ、保護テープPTをウエハWに近づけていく(
図19(a)を参照)。すなわち保護テープPTのほぼ全面を押圧するため、特許文献1の構成と同様、保護テープPTの面方向における押圧力の偏りが小さい。従って
図26(a)に示すように、保護テープPTをウエハWに近づけるにつれて、保護テープPTが水平方向(x方向またはy方向)に変位すると考えられる。その結果、
図26(b)に示すように、保護テープPTの貼付け位置が想定位置から外れることに起因する、貼付けエラーが発生する。
【0120】
このような、保護テープPTの貼り付け位置が想定される位置から大きくズレるという問題は、ウエハWの形状に依存せず、例えばウエハWが平板状である場合であっても発生する。そのため、従来はチャンバの差圧によって粘着テープをウエハに貼りつける構成にプリカットテープ状の粘着テープを用いることが困難であった。
【0121】
一方、本発明の構成では
図27(a)に示すように、保護テープPTのうち所定の狭い部分Qに大きな押圧力を作用させ、当該部分Qに突起部Vを形成させる(
図27(b))。言い換えれば、突起部Vを形成させる限られた部分に対して大きな押圧力が作用する一方、突起部Vを形成させる部分Q以外の領域には押圧力が作用しない。その結果、保護テープPTの面方向における押圧力の偏りが大きくなる。
【0122】
従って、保護テープPTをウエハWに近づける際に、保護テープPTが水平方向に変位することを確実に回避できるので、ステップS3において、ウエハWの曲面Wbにおける所望の位置(接触領域M1)へと突起部Vを精度良く接触させることができる(
図27(c))。
【0123】
そして突起部Vを位置精度よく曲面Wbに接触させた状態で差圧による貼付け工程を開始する。すなわち、ステップS4の開始時点において保護テープPTは接触領域M1において位置が固定されており、当該接触領域M1から放射状に広がるように曲面Wbへと貼りつけられていく。そのため、ステップS4に係る貼付け工程において、保護テープPTが水平方向に変位する事態も回避できる。従って、保護テープPTの貼付け位置の精度が従来と比べて大きく向上するので、チャンバ内に発生させた差圧によってプリカットテープ状の保護テープPTをウエハWに貼りつける、という従来では困難であった貼付け工程を高い精度で実現できる。
【0124】
特に実施例1および実施例2で例示するように、突起部材63を用いて保護テープPTを押圧することによって突起部Vを形成させる場合、保護テープPTが沈み込むように変形して形成されている突起部Vに突起部材63が当接している状態で保護テープPTがウエハWへと近づけられる。そのため、保護テープPTがウエハWへ近づく間に水平方向に保護テープPTが変位するという事態は、突起部材63によって抑止される(
図27(d)、符号J2を参照)。よって、より確実に保護テープPTの位置ズレを防止できる。
【0125】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。例として、本発明は下記のように変形実施することができる。
【0126】
(1)各々の実施例において、ウエハWに貼りつけるためのシート材の例として、保護テープPTを例に挙げて説明したが、シート材はこれに限ることはない。保護テープの他に、支持用粘着テープ(ダイシングテープ)など他の用途に用いられる粘着テープを用いてもよい。本発明ではシート材として、粘着力を有する粘着材または接着力を有する接着材を備える、シート、テープ、またはフィルムなどを適用できる。
【0127】
なお、シート材の構造としては
図3に示される基材Taの一方の面に粘着材Tbが積層された構造に限ることもなく、接着材と基材との積層構造でもよい。また、基材を有さない、粘着材または接着材の単層構造の他、基材Taの両面に粘着材または接着材を備える構造などが好適な例として挙げられる。さらに、シート材がウエハWに密着できる構成であれば、基材Taのみからなるシート材を用いてもよい。
【0128】
本実施例ではシート状粘着材TにセパレータSを添設させた構成を例示したが、シート材貼付け装置1またはシート材などの構造に応じて、セパレータSを省略してもよい。
【0129】
(2)各々の実施例において、シート材を貼りつける対象となるワークとして、凹状の曲面Wbを備えるウエハWを例示したが、ワークの形状および材料はこれに限られない。本実施例に係る構成は、基板、パネル、ウエハを例とする各種半導体用部材に用いられる材料の他、陶磁器を例とするセラミックス、樹脂、金属、ガラス、木材、石材、紙材、または上述の材料の混合物などをワークの材料として適用することができる。またワークの形状としては円形状の他、矩形状、多角形状、略円形状などであってもよい。
【0130】
(3)各々の実施例において、ウエハWは凹状の曲面Wbを有する場合を例示したが、曲面は凹状に限ることはなく、例えば凸状であってもよい。ウエハWに設けられている凸状の曲面Wdに保護テープPTを貼りつける場合、
図28に示すように、保護テープPTの一部を変形させて突起部Vを形成させ、突起部Vを凸状の曲面Wdの一部に接触させてから差圧による貼付け工程を開始する。
【0131】
この場合、突起部Vを接触させる接触領域M1は、凸状の曲面Wdのうち最も高い部分である頂部Weを含む領域であることが好ましい。頂部Weに突起部Vを接触させた状態で差圧による貼付け工程を開始することにより、保護テープPTとウエハWとの間に気泡が巻き込まれる事態、および保護テープPTに皺が発生する事態をより確実に回避できる。
【0132】
(4)各々の実施例において、突起部材63を保護テープPTの一部領域に当接させ、さらに押圧することによって突起部Vを形成させるが、突起部Vを形成させる構成は突起部材63を用いる構成に限られない。他の例として、上方からエアーを保護テープPTの一部領域に集中して吹き付ける構成、下方から保護テープPTの一部領域を吸引する構成などが挙げられる。
【0133】
(5)各々の実施例において、突起部材63が突起部Vを介して曲面Wbに接触している状態で差圧による貼付け工程、すなわちステップS4に係る工程を開始しているがこれに限られない。すなわち、保護テープPTの突起部Vが曲面Wbに対して安定に貼りついているならば、
図29に示すように、突起部材63を上昇させてから差圧による貼付け工程を開始してもよい。当該変形例に係る構成であっても、保護テープPTを曲面Wbの一部に接触させた状態で差圧による貼付けを開始する。そのため、保護テープPTにテンションTxを発生させること無く、保護テープPTを接触領域M1から放射状にウエハWの曲面Wbへ貼りつけることができる。よって、曲面Wbの全面に保護テープPTを精度よく密着させることができる。
【0134】
(6)各々の実施例において、突起部材63は細い棒状の部材であり先端部64は曲面Wbの曲率に応じた丸みのある形状を備えているが、これに限られない。突起部材63の形状としては棒状の他に円柱状、円錐状、角錐状、直方体状、円錐台状、角錐台状などが例として挙げられる。すなわち先端部64の形状としては丸みを帯びた形状の他に、平坦な形状、先鋭な形状などが挙げられる。従って、突起部Vの形状としてはドーム状の他、凸状、尖端を有する形状などが例として挙げられる。
【0135】
(7)各々の実施例において、突起部材63が突起部Vを介して曲面Wbに接触させた後、下空間H1と上空間H2との間に差圧を発生させる制御を開始しているが、突起部Vを曲面Wbに接触させるタイミングはこれに限られない。すなわち、下空間H1と上空間H2との間に差圧を発生させる制御を開始してから突起部材63が突起部Vを介して曲面Wbに接触させてもよい。また、ステップS3において下空間H1および上空間H2を等速度で減圧させる制御を行う前に突起部Vを曲面Wbに接触させてもよい。
【0136】
(8)各々の実施例について、ステップS3において突起部材63を下降させて突起部Vを形成させる前に下空間H1の気圧を上空間H2の気圧より高くする制御を行ってもよい。すなわち、ステップS3を開始させて下空間H1および上空間H2を所定の気圧まで等速度で減圧させた後、制御部62は上空間H2の気圧より下空間H1の気圧の方が高くなるよう、電磁バルブの各々の開度を調整する。
【0137】
上空間H2の気圧より下空間H1の気圧の方が高くなることにより、
図30(a)に示すように、両空間の間に差圧Fbが発生する。そして差圧Fbによって、保護テープPTはウエハWから遠ざかるように変形する。保護テープPTを差圧Fbで変形させた後、突起部材63を下降させて突起部Vを形成させる。
【0138】
当該変形例では差圧Fbを発生させた状態で突起部Vの形成を行うので、突起部Vを形成させて当該突起部Vを曲面Wbに接触させる工程において、突起部V以外の部分の保護テープPTはウエハWから遠ざかるように変形する(
図30(b))。従って、突起部Vを曲面Wbに接触させる工程において、突起部V以外の部分の保護テープPTが先にウエハWへ接触してしまうという事態を回避できる。
【0139】
つまり、突起部Vを曲面Wbの接触領域M1に接触させる際に、曲面Wbのうち意図していない部分または周縁部Waの部分に突起部V以外の保護テープPTが接触することを防止できる。その結果、保護テープPTを曲面Wbに貼りつける際に皺または気泡が発生することを防止できる。
【0140】
突起部Vを曲面Wbに接触させた後、制御部62は下空間H1の気圧より上空間H2の気圧の方が高くなるよう、電磁バルブの各々の開度を調整させる。当該調整により差圧Fが発生し、差圧Fによって保護テープPTは接触領域M1から外側に向けて放射状に曲面Wbに貼りつけられていく。なお、差圧Fbを発生させる本変形例において、差圧Fbによって突起部材63に保護テープPTを押圧させることによって突起部Vを形成させてもよい。
【0141】
(9)各々の実施例において、チャンバ17の内部に1つのウエハWを収納させて保護テープPTを貼りつけているがこれに限られない。すなわち、チャンバ17の内部に複数のウエハWを収納させた状態で保護テープPTを貼りつけてもよい。本変形例では、ウエハWの数に応じて複数の保持テーブル31を下ハウジング22の内部に配設し、さらにウエハWの数に応じて複数の突起部材63を上ハウジング20の内部に配設する。本変形例では
図31に示すように、2つの保持テーブル31A、31Bが下ハウジング22に配設され、2つの突起部材63A、63Bが上ハウジング20に配設されるものとする。
【0142】
本変形例ではチャンバ17が形成された場合において、保持テーブル31の各々の上方に突起部材63がそれぞれ配置されるよう、保持テーブル31が配設される位置および突起部材63が配設される位置が予め調整されている。具体的には保持テーブル31Aに保持されるウエハWの最深部Wcに対して突起部材63Aが接触し、保持テーブル31Bに保持されるウエハWの最深部Wcに対して突起部材63Bが接触するよう、各々の配設位置が調整されることが好ましい。本変形例では複数のウエハWに対して同時に保護テープPTを貼りつけることができるので、貼付け効率を向上できる。
【0143】
(10)各々の実施例において、ウエハWは曲面Wbを1つ有する構成を例示したがこれに限られない。すなわち、複数の曲面Wbを備えるウエハWについても本発明の構成を適用できる。本変形例では
図32に示すように、ウエハWは3つの曲面Wbを有するものとする。各々の曲面Wbについては左側から曲面Wb1、Wb2、およびWb3として区別する。
【0144】
複数の曲面Wbを有するウエハWにおいて、曲面Wb同士を接続する部分を曲面接続部Gとする。本変形例において、曲面Wb1と曲面Wb2とを接続する曲面接続部Gについては符号G1を付し、曲面Wb2と曲面Wb3とを接続する曲面接続部Gについては符号G2を付して両者を区別する。
【0145】
本変形例では、3つの曲面Wbを有するウエハWの形状に応じてワーク載置面35の形状を調整されている。また、曲面Wbの数に応じた複数の突起部材63、すなわち突起部材63A、63B、63Cが上ハウジング20に配設されている。
【0146】
本変形例では、チャンバ17が形成された場合において、曲面Wbの各々の上方に突起部材63がそれぞれ配置されるよう、ワーク載置面35の位置および突起部材63が配設される位置が予め調整されている。すなわち突起部材63Aは曲面Wb1に接触できる位置に配設され、突起部材63Bは曲面Wb2に接触できる位置に配設され、突起部材63Cは曲面Wb3に接触できる位置に配設される。
【0147】
具体的には曲面Wb1において最も深い部分である最深部Wc1に対して突起部材63Aが接触し、曲面Wb2の最深部Wc2に対して突起部材63Bが接触し、曲面Wb3の最深部Wc3に対して突起部材63Cが接触するよう、各々の配設位置が調整されることが好ましい。当該構成を備えることにより、突起部材63の各々によって形成される突起部Vは、それぞれ最深部Wcの各々に接触する。当該接触が行われた状態で差圧Fによる貼付け工程を行うことにより、保護テープPTとウエハWとの間に空気が巻き込まれることをより確実に防止できる。その結果、保護テープPTに皺や気泡が発生する事態を回避し、精度良く保護テープPTを曲面Wbに密着できる。
【0148】
また本変形例では、保持テーブル31でウエハWを保持した状態において、曲面接続部Gの各々の高さはいずれも周縁部Waの高さより低くなるように構成されることが好ましい。当該構成を有することにより、突起部Vの各々を曲面Wbの各々に接触させる際に、突起部V以外の部分の保護テープPTが曲面接続部Gに接触してしまい、当該接触によって保護テープPTにテンションが発生する事態をより確実に回避できる。
【0149】
なお本変形例では、(8)に係る変形例で上述したような、上空間H2の気圧より下空間H1の気圧の方を高くして差圧Fbを発生させた状態で、突起部Vの各々を曲面Wbの各々に接触させることが好ましい。差圧Fbの発生により保護テープPTをウエハWから遠ざけるように変形させるので、突起部Vを曲面Wbに接触させる工程において保護テープPTが周縁部Waまたは曲面接続部Gに接触することをより確実に回避できる。
【0150】
(11)各々の実施例において、突起部材63を下降させることによって突起部Vを曲面Wbに接触させる構成に限られない。すなわち、ウエハWを保持している状態の保持テーブル31を上昇させることによって、突起部Vを曲面Wbに接触させてもよい。
【0151】
(12)各々の実施例において、ヒータ43を配設させる位置はワーク保持部33の内部に限ることはなく、ウエハWまたは保護テープPTを加熱する限りにおいて適宜変更できる。またヒータ43による加熱を行う時期は適宜変更できる。
【0152】
なお、ステップS3に係る接触過程およびステップS4に係る貼付け過程のうち少なくとも一方において、ヒータによる加熱を行うことが好ましい。当該過程において保護テープPTを変形させる操作が行われる。保護テープPTが加熱されることによって基材Taおよび粘着材Tbなどが柔らかくなり変形しやすくなる。従って、接触過程または貼付け過程をより好適に実行できる。
【0153】
(13)各々の実施例において、ウエハWの表面W1における中央部Cpの全体が曲面Wbとなっている構成を例示したがこれに限ることはない。中央部Cpの形状の他の例として、中央部Cpの一部が曲面となっていている構成が挙げられる。すなわち
図33(a)に示すように、表面W1の中央部Cpが、曲面Wbと平面Stとを有するようなウエハWであっても本発明に係る構成を適用できる。当該変形例の場合、表面W1の中央部Cpのうち少なくとも一部に対して突起部Vを接触させた状態で、ステップS4に係る保護テープPTの貼付け過程を開始させる。すなわちステップS3において、曲面Wbの一部に突起部Vを接触させてもよいし、平面Stの一部に突起部Vを接触させてもよい。また曲面Wbの一部および平面Stの一部に突起部Vを接触させてもよい。
【0154】
さらに中央部Cpの形状として、単一の曲面Wbのみを有する構成に限られない。すなわち
図33(b)に示すように、中央部Cpは凹状の曲面Wbと凹み部Htとを有してもよい。凹み部Htの形状としては、
図33(b)に示すような、曲面Wbと異なる曲率を有する略半球状曲面に限ることはなく任意の形状であってよい。凹み部Htの形状の例として、円錐状の凹部、角錐状の凹部、円柱状の凹部、角柱状の凹部などが挙げられる。
【0155】
中央部Cpの形状としては
図33(c)に示すように、凹状の曲面Wbと凸状部Gtとを有してもよい。凸状部Gtの形状は任意の形状であってよい。凸状部Gtの形状の例として、略半球状、円錐状、角錐状、円柱状、角柱状などが挙げられる。また中央部Cpは曲面Wbと凹み部Htと凸状部Gtとを有していてもよい。
【0156】
(14)各々の実施例において、ウエハWの表面W1および裏面W2は共に曲面を有している構成を例示したが、これに限られない。すなわち
図34に示すように、裏面W2は平坦な形状であってもよい。裏面W2が平坦である場合、ウエハWをより安定な状態で保持テーブル31に保持できる。よって、曲面Wbを有する表面W1の側に対して、保護テープPTをより好適に貼り付けることができる。
【符号の説明】
【0157】
1 … シート材貼付け装置
2 … シート供給部
3 … セパレータ回収部
4 … シート貼付けユニット
5 … シート回収部
6 … 供給ボビン
7 … 引張機構
13 … ダンサローラ
14 … ガイドローラ
15 … 回収ボビン
17 … チャンバ
18 … シート貼付機構
19 … ニップローラ
20 … 上ハウジング
21 … シート切断機構
22 … 下ハウジング
29 … 接合部
30 … 接合部
31 … 保持テーブル
33 … ワーク保持部
35 … ワーク載置面
41 … 支持ピン
43 … ヒータ
55 … 真空装置
62 … 制御部
63 … 突起部材
65 … シリンダ
67 … 送りローラ
68 … ピンチローラ
69 … 案内レール
75 … カッタユニット
81 … カッタ
83 … 回収ボビン