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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】逆流防止装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/20 20220101AFI20230525BHJP
   F16K 31/126 20060101ALN20230525BHJP
【FI】
F24H9/20 A
F16K31/126 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019105756
(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公開番号】P2020200951
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】岡野 雄
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-091396(JP,A)
【文献】特開2005-207522(JP,A)
【文献】特開2018-175001(JP,A)
【文献】特開2015-175750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/20
F16K 31/126
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に湯水を供給するための供給通路に設けられて、前記浴槽からの湯水の逆流を防ぐ逆流防止装置において、
前記供給通路を開閉する開閉弁よりも下流側の下流通路に接続されると共に、前記開閉弁よりも上流側の上流通路における湯水の供給圧力を受けて所定圧力以上であると閉弁し、前記上流通路で湯水の供給圧力が前記所定圧力よりも低下すると開弁して前記下流通路の湯水を排出する大気開放弁と、
前記上流通路と前記大気開放弁とを連通させて、前記上流通路の湯水の供給圧力を前記大気開放弁へと導く検圧通路と、
前記上流通路の内側に挿入された筒部材と
を備え、
前記上流通路の内壁面と前記筒部材との間には、前記筒部材の上流端側から湯水が流入可能な隙間を有する流入領域が設けられており、
前記検圧通路は、前記上流通路側の入口が前記流入領域に囲まれて前記上流通路の内壁面に開口している
ことを特徴とする逆流防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の逆流防止装置において、
前記流入領域は、前記上流通路の内壁面の全周にわたって設けられている
ことを特徴とする逆流防止装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の逆流防止装置において、
前記上流通路は、湯水の流通方向に垂直な平面で切断した断面形状が円形であり、
前記筒部材は、湯水の流れを受けて回転する羽根車を内蔵した流量センサの外枠を構成する円筒形状の外周壁である
ことを特徴とする逆流防止装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の逆流防止装置において、
前記上流通路に対して前記筒部材が上流から下流に向けて挿入され、
前記筒部材の上流側は、前記上流通路の内壁面に沿った環状の止め輪によって抜け止めされている
ことを特徴とする逆流防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に湯水を供給するための供給通路に設けられて、浴槽からの湯水の逆流を防ぐ逆流防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽に湯水を供給するための供給通路には、浴槽からの湯水の逆流を防ぐ逆流防止装置が設置されているのが一般的である。こうした逆流防止装置は、供給通路を開閉する開閉弁よりも下流側(下流通路)に接続された大気開放弁や、供給通路の開閉弁よりも上流側(上流通路)と大気開放弁とを連通させる検圧通路などで構成されている。大気開放弁は、開弁バネによって開弁する方向に付勢されると共に、検圧通路を介して上流通路の湯水の供給圧力を受けて所定圧力以上であると、開弁バネの付勢力に抗して閉弁状態になっている。そして、断水などによって上流通路で湯水の供給圧力が所定圧力よりも低下すると、開弁バネの付勢力で大気開放弁が開弁し、下流通路の湯水を排出するため、浴槽から上流通路への湯水の逆流を防ぐことができる。
【0003】
このような逆流防止装置では、上流通路に供給される湯水に混入した異物が検圧通路に入って詰まると、上流通路の湯水の供給圧力が大気開放弁に伝わらなくなり、大気開放弁が開弁したままの開故障が生じる。そこで、上流通路に開口する検圧通路の入口を狭くすると共に、ストレーナを配置することで検圧通路への異物の侵入を防ぐ構造が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-91396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に提案されている構造では、ストレーナの分の部品点数が増えるだけでなく、検圧通路の入口における流路面積が小さいので、上流通路から大気開放弁への湯水の供給圧力の伝達が不十分となり易く、上流通路で湯水の供給圧力が低下していないのに大気開放弁が開弁してしまう不具合が生じることがあるという問題があった。
【0006】
この発明は従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、検圧通路への異物の侵入を抑制しながら、上流通路の湯水の供給圧力を大気開放弁に十分に伝えることが可能な逆流防止装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の逆流防止装置は次の構成を採用した。すなわち、
浴槽に湯水を供給するための供給通路に設けられて、前記浴槽からの湯水の逆流を防ぐ逆流防止装置において、
前記供給通路を開閉する開閉弁よりも下流側の下流通路に接続されると共に、前記開閉弁よりも上流側の上流通路における湯水の供給圧力を受けて所定圧力以上であると閉弁し、前記上流通路で湯水の供給圧力が前記所定圧力よりも低下すると開弁して前記下流通路の湯水を排出する大気開放弁と、
前記上流通路と前記大気開放弁とを連通させて、前記上流通路の湯水の供給圧力を前記大気開放弁へと導く検圧通路と、
前記上流通路の内側に挿入された筒部材と
を備え、
前記上流通路の内壁面と前記筒部材との間には、前記筒部材の上流端側から湯水が流入可能な隙間を有する流入領域が設けられており、
前記検圧通路は、前記上流通路側の入口が前記流入領域に囲まれて前記上流通路の内壁面に開口している
ことを特徴とする。
【0008】
このような本発明の逆流防止装置では、検圧通路が上流通路の内壁面と筒部材との間の流入領域を介して上流通路と連通するため、検圧通路の入口が上流通路にむき出しである場合に比べて、検圧通路への異物の侵入を抑制することができる。しかも、上流通路の内壁面と筒部材とのは狭くなっているものの、検圧通路の入口の全周が流入領域に囲まれて連通していることによって、検圧通路に流入する湯水の総流路面積を大きく確保できるので、上流通路の湯水の供給圧力を大気開放弁に十分に伝えることが可能となる。
【0009】
上述した本発明の逆流防止装置では、流入領域を、上流通路の内壁面の全周にわたって設けておいてもよい。
【0010】
このようにすれば、上流通路の内壁面の全周のうち検圧通路の入口が開口する側の一部の領域だけに入口を囲んで流入領域が設けられている場合に比べて、湯水が筒部材の上流端側から隙間に流入して検圧通路の入口に至るルートを確保し易いため、上流通路の湯水の供給圧力を大気開放弁に伝達する上で有利となる。
【0011】
また、こうした本発明の逆流防止装置では、上流通路を湯水の流通方向に垂直な平面で切断した断面形状を円形とすると共に、筒部材として、湯水の流れを受けて回転する羽根車を内蔵した流量センサの外枠を構成する円筒形状の外周壁を用いてもよい。
【0012】
このようにすれば、上流通路に設置される流量センサの外周壁を流用して上流通路の内壁面との間に流入領域が設けられるので、筒部材を別途追加する必要がなく、簡便に実現することが可能となる。
【0013】
また、こうした本発明の逆流防止装置では、上流通路に対して筒部材を上流から下流に向けて挿入することとして、筒部材の上流側を、上流通路の内壁面に沿った環状の止め輪によって抜け止めしておいてもよい。
【0014】
このようにすれば、上流通路の内壁面と筒部材との隙間の上流側が止め輪によって覆われることにより、湯水が筒部材の上流端側から隙間に流入する経路を屈曲させることができるので、検圧通路への異物の侵入を一層抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】浴槽2に湯張りを行う湯張りシステム1の全体構成を示した説明図である。
図2】本実施例の湯張り制御ユニット20の構成を示した説明図である。
図3】大気開放弁26の構造を例示した断面図である。
図4】給水通路4と検圧通路7との接続部分を拡大して示した斜視図である。
図5】給水通路4の内側に流量センサ6が挿入された状態で、給水通路4の中心線および検圧通路7の中心線を含む平面で切断した接続部分の断面図である。
図6】給水通路4の内側に流量センサ6が挿入された状態で、給水通路4の中心線に垂直で検圧通路7の中心線を含む平面で切断した接続部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、浴槽2に湯張りを行う湯張りシステム1の全体構成を示した説明図である。図示されるように湯張りシステム1は、湯を生成する給湯装置10と、給湯装置10から浴槽2に湯水を供給するための給湯通路5と、給湯通路5の途中に設けられて湯張りを制御する湯張り制御ユニット20とを備えている。
【0017】
給湯装置10は、ガス通路3を通じて供給された燃料ガスを燃焼させるバーナ11と、バーナ11に燃焼用空気を送る燃焼ファン12と、バーナ11での燃焼によって生じた燃焼排気と熱交換するための熱交換器13とを備えている。熱交換器13には、給水通路4を通じて上水が供給されており、供給された上水は熱交換器13で燃焼排気との熱交換によって加熱された後、湯となって給湯通路5へと流出する。熱交換器13に接続された給水通路4には、熱交換器13に供給される上水の流量を検知する流量センサ6が設けられている。尚、本実施例の給水通路4および給湯通路5は、本発明の「供給通路」に相当している。
【0018】
熱交換器13の下流側に接続された給湯通路5には、湯張り制御ユニット20が設けられており、湯張り制御ユニット20を介して湯水が浴槽2に供給される。また、詳しくは後述するが、湯張り制御ユニット20には、給水通路4から分岐した検圧通路7が接続されており、給水通路4における上水の供給圧力が検圧通路7を介して湯張り制御ユニット20に導かれるようになっている。
【0019】
図2は、本実施例の湯張り制御ユニット20の構成を示した説明図である。図示されるように湯張り制御ユニット20は、湯張り電磁弁21と、2つの逆止弁(第1逆止弁22および第2逆止弁23)と、大気開放弁26とを備えている。湯張り電磁弁21は、給湯通路5を開閉可能であり、開弁によって湯張りを開始し、閉弁によって湯張りを停止する。本実施例の湯張り電磁弁21には、周知のパイロット式電磁弁を用いているが、直動式電磁弁を用いてもよい。差圧を利用するパイロット式電磁弁は、一般的に直動式電磁弁に比べて小さな力で開閉するため、ソレノイドの小型化を図ると共に、消費電力を抑えることが可能である。尚、本実施例の湯張り電磁弁21は、本発明の「開閉弁」に相当している。また、本実施例の湯張り電磁弁21よりも上流側の給湯通路5および給水通路4が、本発明の「上流通路」に相当し、湯張り電磁弁21よりも下流側の給湯通路5が、本発明の「下流通路」に相当している。
【0020】
第1逆止弁22および第2逆止弁23は、湯張り電磁弁21の下流側(浴槽2側)に直列に設けられており、給湯通路5を閉じる閉弁方向に付勢されている。湯張り電磁弁21の開弁によって給湯装置10から供給される湯水の圧力が所定の開弁圧力を上回ると、第1逆止弁22および第2逆止弁23が開弁して湯水を通過させるので、浴槽2に湯張りが行われる。そして、湯張り中(湯張り電磁弁21の開弁中)に断水などの理由で給湯装置10から供給される湯水の圧力が低下すると、第1逆止弁22および第2逆止弁23が閉弁して、浴槽2側から給湯装置10側に湯水が逆流するのを阻止する。また、2つの逆止弁(第1逆止弁22および第2逆止弁23)が直列になっているので、逆止弁が1つの場合によりも確実に湯水の逆流を阻止できる。
【0021】
大気開放弁26は、給湯通路5の第1逆止弁22と第2逆止弁23との間に引込通路36を介して接続されている。大気開放弁26には、前述した検圧通路7や、大気に開放された開放通路37が接続されており、本実施例の逆流防止装置25を構成している。湯張り中に上水の供給圧力が低下すると、大気開放弁26が開弁することによって、仮に何らかの原因で第1逆止弁22や第2逆止弁23の閉弁が不完全であったとしても、浴槽2側から給湯装置10側への湯水の逆流を防止することが可能となっている。
【0022】
図3は、大気開放弁26の構造を例示した断面図である。まず、図3(a)には、大気開放弁26が閉弁した状態が示されている。図示されるように大気開放弁26は、ダイヤフラム30によって一次室31と二次室32とに仕切られた構造になっている。一次室31には、検圧通路7が接続されており、給水通路4から上水が導かれる。一方、二次室32は、引込通路36を介して給湯通路5と接続されており、第1逆止弁22と第2逆止弁23との間の湯水が導かれる。また、二次室32には、ダイヤフラム30で支持された弁体33や、弁体33を一次室31に向けて付勢する開弁バネ35が設けられていると共に、大気に開放された開放通路37が接続されている。
【0023】
給水通路4に上水が正常に供給されていれば、検圧通路7を介して上水の供給圧力が一次室31に導入されてダイヤフラム30が二次室32側に押し込まれるので、開弁バネ35の付勢力に抗して弁体33が弁座34に押し付けられて大気開放弁26は閉弁状態になっている。そして、湯張り中は、湯張り電磁弁21の開弁によって給湯装置10から供給される湯水の圧力が第1逆止弁22や第2逆止弁23を開弁させると共に、引込通路36を介して大気開放弁26の二次室32に及ぶものの、一般に、給湯装置10、湯張り電磁弁21、第1逆止弁22を経て供給される湯水の圧力に比べると上水の供給圧力の方が高いので、湯張り中も大気開放弁26は閉弁状態のままである。
【0024】
一方、断水などの理由で上水の供給圧力が低下すると、図3(b)に示されるように、開弁バネ35の付勢力でダイヤフラム30が一次室31側に押し戻されて弁体33が弁座34から離れることで大気開放弁26が開放状態となる。その結果、第1逆止弁22と第2逆止弁23との間の湯水が大気開放弁26を通過可能となり、開放通路37を通って排出されるので、浴槽2から給湯装置10への湯水の逆流を防ぐことができる。
【0025】
このような大気開放弁26を備えた逆流防止装置25では、検圧通路7に異物が入って詰まると、大気開放弁26の一次室31に上水の供給圧力が十分に伝わらず、大気開放弁26が開弁したままの開故障が発生する。そこで、本実施例の逆流防止装置25では、検圧通路7への異物の侵入を抑制するために、以下のような構成を採用している。
【0026】
図4は、給水通路4と検圧通路7との接続部分を拡大して示した斜視図である。本実施例の給水通路4は、検圧通路7の接続部分の直ぐ上流側(図中の下側)に設けられた継手4aで分割可能になっており、図では分割された状態が示されている。そして、この継手4aから給水通路4の内側に流量センサ6が挿入されるようになっている。
【0027】
給水通路4は、上水の流通方向(図中の上下方向)に垂直な平面による断面形状が円形であり、その内径を拡げて流量センサ6を収容する収容部40が形成されている。また、収容部40には、流通方向の中央よりも上流側の内径を更に拡げて拡径部40aが設けられており、検圧通路7の入口7aは拡径部40aの内壁面に開口している。さらに、収容部40の上流側には、内径を拡径部40aよりも一段と拡げた大径部41が設けられている。
【0028】
流量センサ6は、外枠を構成する円筒形状の外周壁42の内部に後述の羽根車を備えている。そして、流量センサ6は、給水通路4の収容部40に収容された後、円環状の止め輪46によって抜け止めされる。止め輪46は、外周に径方向の外側に向けて突設された複数(本実施例では3つ)の凸部46aを有しており、これらの凸部46aが大径部41の内壁面に接して圧入される。尚、本実施例の外周壁42は、本発明の「筒部材」に相当している。
【0029】
図5は、給水通路4の内側に流量センサ6が挿入された状態で、給水通路4の中心線および検圧通路7の中心線を含む平面で切断した接続部分の断面図である。図示されるように流量センサ6は、外周壁42内に羽根車43を備えており、羽根車43の回転軸43aの両端が上流側軸受け部44と下流側軸受け部45とで回転可能に軸支されている。これらの軸受け部44,45は、外周壁42の内側に放射状のスポークで上水が通過可能に支持されている。そして、流量センサ6では、外周壁42内の上水の流れを受けて羽根車43が回転するため、羽根車43の回転速度に基づいて上水の流量を検知する。
【0030】
こうした流量センサ6は、外周壁42が給水通路4の内側の収容部40に収容されている。また、収容部40の中央よりも下流側(図中の上側)では内壁面と外周壁42とが密接している。これにより、熱交換器13に供給される上水は外周壁42の内側を通過していくことから、熱交換器13に供給される上水の流量を流量センサ6で正確に検知することができる。
【0031】
一方、収容部40の中央よりも上流側(図中の下側)には、前述したように拡径部40aが設けられており、この拡径部40aの内壁面と外周壁42との間に隙間Aが形成される。そして、検圧通路7の入口7aは、拡径部40aの内壁面に開口しているため、外周壁42で覆われつつ、入口7aの全周が隙間Aに囲まれて連通している。
【0032】
また、外周壁42は、上流側で大径部41に圧入された円環状の止め輪46によって抜け止めされている。これにより、拡径部40aの内壁面と外周壁42との隙間Aの上流側(図中の下側)は止め輪46で覆われるものの、上水の流通方向(図中の上下方向)における収容部40の長さよりも外周壁42の長さが僅かに短くなっており、上水の流れで下流側に押される外周壁42の上流端と止め輪46とが接していないため、外周壁42の上流端側から上水が隙間Aに流入可能である。
【0033】
図6は、給水通路4の内側に流量センサ6が挿入された状態で、給水通路4の中心線に垂直で検圧通路7の中心線を含む平面で切断した接続部分の断面図である。図示されるように給水通路4の拡径部40aの内壁面と流量センサ6の外周壁42との隙間Aは、給水通路4(拡径部40a)の内壁面の全周にわたって設けられており、拡径部40aの内壁面に開口した検圧通路7の入口7aと連通している。尚、本実施例では、流量センサ6の外周壁42を収容する給水通路4の収容部40のうち拡径部40aが設けられた領域が、本発明の「流入領域」に相当している。
【0034】
以上に説明したように本実施例の逆流防止装置25では、給水通路4の内側に流量センサ6が挿入され、外周壁42を収容する収容部40の中央よりも上流側に拡径部40aを設けることで拡径部40aの内壁面と外周壁42との間に隙間Aを有しており、この隙間Aに外周壁42の上流端側から上水が流入可能となっている。そして、検圧通路7の入口7aは、拡径部40aの内壁面に開口しており、隙間Aと連通している。これにより、検圧通路7は、拡径部40aの内壁面と外周壁42との隙間Aを介して給水通路4と連通するため、検圧通路7の入口7aが給水通路4にむき出しである場合に比べて、検圧通路7への異物の侵入を抑制することができる。しかも、拡径部40aの内壁面と外周壁42との隙間Aは狭くなっているものの、検圧通路7の入口7aの全周が隙間Aに囲まれて連通していることによって、検圧通路7に流入する上水の総流路面積を大きく確保できるので、給水通路4の上水の供給圧力を大気開放弁26に十分に伝えることが可能となる。
【0035】
また、検圧通路7の入口7aが開口する給水通路4(拡径部40a)の内壁面の全周にわたって外周壁42との間に隙間Aが設けられていることにより、内壁面の全周のうち入口7aが開口する側の一部の領域だけに入口7aを囲んで隙間Aが設けられている場合に比べて、上水が外周壁42の上流端側から隙間Aに流入して検圧通路7の入口7aに至るルートを確保し易いため、給水通路4の上水の供給圧力を大気開放弁26に伝達する上で有利となる。
【0036】
また、給水通路4に設置される流量センサ6の外周壁42を流用して給水通路4(拡径部40a)の内壁面との間に隙間Aを設けているため、筒部材を別途追加する必要がなく、簡便に実現することが可能となる。
【0037】
さらに、外周壁42を抜け止めする止め輪46によって拡径部40aの内壁面と外周壁42との隙間Aの上流側が覆われていることにより、上水が外周壁42の上流端側から隙間Aに流入する経路を屈曲させることができるので、検圧通路7への異物の侵入を一層抑制することが可能となる。
【0038】
以上、本実施例の逆流防止装置25について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0039】
例えば、前述した実施例では、給水通路4(拡径部40a)の内壁面の全周にわたって外周壁42との間に隙間Aが設けられていたが、必ずしも全周に限られず、少なくとも検圧通路7の入口7aが開口する側に入口7aを囲んで隙間Aが設けられていればよい。また、外周壁42の上流端の外周のうち検圧通路7の入口7a側からは上水が流入不能であり、入口7aとは反対側から流入した上水が外周壁42の外側を回り込んで入口7aの周囲に至るように隙間Aを設けておいてもよい。ただし、実施例のように給水通路4の内壁面の全周にわたって隙間Aを設けておけば、前述したように、上水が外周壁42の上流端側から隙間Aに流入して検圧通路7の入口7aに至るルートを確保し易く、給水通路4の上水の供給圧力を大気開放弁26に伝える上で有利となる。
【0040】
また、前述した実施例では、検圧通路7の入口7aが給水通路4に接続されていたが、検圧通路7の接続位置は、湯張り電磁弁21よりも上流側であれば、給水通路4に限られず、熱交換器13から湯張り電磁弁21までの間の給湯通路5に接続してもよい。この場合、検圧通路7が接続される給湯通路5の内側に流量センサ6を挿入することとして、熱交換器13から流出する湯水の流量を流量センサ6で検知可能としてもよい。
【0041】
また、前述した実施例では、給水通路4の内壁面に拡径部40aを設けることで外周壁42との間に隙間Aを形成していた。しかし、外周壁42の外径を縮めて縮径部を設けることで給水通路4の内壁面との間に隙間Aを形成してもよい。もちろん、給水通路4の拡径部40aと外周壁42の縮径部との両方で隙間Aを形成してもよい。
【0042】
また、前述した実施例では、流量センサ6の外周壁42を流用して給水通路4(拡径部40a)の内壁面との間に隙間Aを設けていたが、流量センサ6に代えて、単なる筒部材を給水通路4の内側に挿入して隙間Aを設けてもよい。この場合は、筒部材の中央よりも下流側が給水通路4(収容部40)の内壁面と密接している必要はないので、上水が筒部材の内側だけでなく外側の隙間Aを通過可能としてもよい。加えて、筒部材の外周に径方向の外側に向けて突出した複数の凸部を設けておくこととして、これらの凸部を給水通路4の内側に圧入して筒部材を固定することで、止め輪46を省略してもよい。
【0043】
さらに、前述した実施例では、上水の流通方向に垂直な平面で切断した給水通路4の内壁面や筒部材(外周壁42)の断面形状が円形になっていたが、円形断面に限られず、矩形断面であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…湯張りシステム、 2…浴槽、 3…ガス通路、
4…給水通路、 4a…継手、 5…給湯通路、
6…流量センサ、 7…検圧通路、 7a…入口、
10…給湯装置、 11…バーナ、 12…燃焼ファン、
13…熱交換器、 20…湯張り制御ユニット、 21…湯張り電磁弁、
22…第1逆止弁、 23…第2逆止弁、 25…逆流防止装置、
26…大気開放弁、 30…ダイヤフラム、 31…一次室、
32…二次室、 33…弁体、 34…弁座、
35…開弁バネ、 36…引込通路、 37…開放通路、
40…収容部、 40a…拡径部、 41…大径部、
42…外周壁、 43…羽根車、 43a…回転軸、
44…上流側軸受け部、 45…下流側軸受け部、 46…止め輪、
46a…凸部、 A…隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6