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  • 特許-接眼光学系、及び反射型液晶表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】接眼光学系、及び反射型液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 25/00 20060101AFI20230525BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230525BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
G02B25/00
G02F1/1335
G02B13/18
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019141653
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021026054
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】関 克矢
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-059511(JP,A)
【文献】特開2006-051061(JP,A)
【文献】特開平11-030744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
G02F 1/1335
G02F 1/13363
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイポイント側から順に配置された、
前記アイポイント側および被写体側に凸面を向けた正の単レンズからなる第1レンズと、
前記アイポイント側に凹面を向けた負の単レンズからなるメニスカスレンズで構成された第2レンズと、
前記アイポイント側に凸面を向けた正の単レンズからなるメニスカスレンズで構成された第3レンズと、を有し、
前記第1レンズ、前記第2レンズおよび前記第3レンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする接眼光学系。
f1/f < 1 ・・・(1)
f2/f < -0.5 ・・・(2)
f3/f < 0.53 ・・・(3)
但し、
f1:第1レンズの焦点距離
f2:第2レンズの焦点距離
f3:第3レンズの焦点距離
f :レンズ全系の焦点距離
である。
【請求項2】
請求項に記載の接眼光学系と、
反射型液晶表示パネルと、
前記接眼光学系と前記反射型液晶表示パネルとの間に配置された偏光ビームスプリッターと、
を有することを特徴とする反射型液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接眼光学系、及び反射型液晶表示装置に関するものである。
【0002】
電子ビューファインダー等に用いられる接眼光学系としては現在までに様々な提案がなされており、種々の光学的特性を有する複数のレンズを組み合わせて収差を良好に補正した接眼光学系として例えば引用文献1により開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-35881
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
収差は画像表示装置の構成等により多様に変化するため、特許文献1により開示されたような接眼光学系では収差を良好に補正することができない場合があるという課題があった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するものであり、収差を良好に補正することが可能な接眼光学系、及び反射型液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
アイポイント側から順に配置された、前記アイポイント側および被写体側に凸面を向けた正の単レンズからなる第1レンズと、前記アイポイント側に凹面を向けた負の単レンズからなるメニスカスレンズで構成された第2レンズと、前記アイポイント側に凸面を向けた正の単レンズからなるメニスカスレンズで構成された第3レンズと、を有する接眼光学系とする。
【0007】
前記第1レンズ、前記第2レンズおよび前記第3レンズのうち少なくとも一つは、非球面からなる光学面を有する接眼光学系であっても良い。
【0008】
前記第1レンズのアイポイント側の面は、トーリック面を有する接眼光学系であっても良い。
【0009】
前記第1レンズ、前記第2レンズおよび前記第3レンズは、以下の条件式を満足する接眼光学系であっても良い。
f1/f < 1 ・・・(1)
f2/f < -0.5 ・・・(2)
f3/f < 0.53 ・・・(3)
但し、
f1:第1レンズの焦点距離
f2:第2レンズの焦点距離
f3:第3レンズの焦点距離
f :レンズ全系の焦点距離
である。
【0010】
上述の何れか一つの接眼光学系と、反射型表示液晶パネルと、前記接眼光学系と前記反射型液晶表示パネルとの間に配置された偏光ビームスプリッターと、を有する反射型液晶表示装置とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、収差を良好に補正することが可能な接眼光学系、及び反射型液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る接眼光学系を備えた反射型液晶表示装置の断面図。
図2】本発明の一実施形態に係る接眼光学系の光路図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る接眼光学系を備えた反射型液晶表示装置の断面図である。図2は本発明の一実施形態に係る接眼光学系の光路図である。
【0014】
本発明の一実施形態に係る接眼光学系を備えた反射型液晶表示装置1では、回路基板2の同一面上に反射型液晶表示パネル3と光源4が配置されている。光源4は、光源4から出射した光が反射型液晶表示パネル3の上方に配置された板状の偏光ビームスプリッター7に入射するように配置されている。光源4から偏光ビームスプリッター7へと進む光路上には、光を拡散させる拡散板5と、二種類の直線偏光のうちP波のみを透過させる偏光板6とが配置されている。偏光ビームスプリッター7は、P波を反射し、S波を透過させるものであり、偏光板6を透過して偏光ビームスプリッター7に入射したP波を反射型液晶表示パネル3の画像表示面へほぼ垂直に入射させるように傾斜および湾曲した状態で筐体8に保持されている。筐体8の上部には反射型液晶表示パネル3の画像表示面から出射された光を通過させる開口部9が設けられており、開口部9は筐体8の外側から透明板10で塞がれている。
【0015】
光源4から出射された光の主光束は、図1中の矢印(光軸X)で示されるような経路をたどって反射型液晶表示パネル3の画像表示面に垂直に入射する。反射型液晶表示パネル3の画像表示面から出射された光の主光束は、図1中の矢印(光軸X)で示されるような経路をたどって接眼光学系に入射する。
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る接眼光学系を説明する。図1に示すように接眼光学系は第1レンズ11と第2レンズ12と第3レンズ13とを有している。第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ13は観察者のアイポイント16側から光軸Xに沿ってこの順番に配置され、筒状のレンズホルダー14の内部に収容されている。第1レンズ11の外周部には厚み方向へ一段下がった凹部11cが設けられ、また、第2レンズ12の外周部には厚み方向へ一段上がった凸部12cが設けられており、凹部11cと凸部12cが互いに篏合することにより、第1レンズ11と第2レンズ12が互いに位置決めされている。第2レンズ12と第3レンズ13との間には光軸Xに沿って通過する光の量を調整する枠状の絞り15が設けられている。第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ13、絞り15はレンズホルダー14の内部において互いに直接的または間接的に積層された状態で固定されている。
【0017】
レンズホルダー14は筒状の筐体8の内部に収容され、偏光ビームスプリッター7と透明板10との間において光軸Xに沿って直線的に移動可能に構成されている。レンズホルダー14を光軸Xに沿って移動させ、レンズホルダー14の内部に固定された第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ13を光軸Xに沿って一体的に移動させることで、視度を調整することができる。
【0018】
第1レンズ11は正の屈折力を持つ単レンズであり、光を屈折させる光学面11a、11bを有している。光学面11aはアイポイント16側を向く湾曲した凸面であり、光学面11bは反射型液晶表示パネル3側を向く湾曲した凸面である。
【0019】
第2レンズ12は負の屈折力を持つ単レンズからなるメニスカスレンズであり、光を屈折させる光学面12a、12bを有している。光学面12aはアイポイント16側を向く湾曲した凹面であり、光学面12bは反射型液晶表示パネル3側を向く湾曲した凸面である。
【0020】
第3レンズ13は正の屈折力を持つ単レンズからなるメニスカスレンズであり、光を屈折させる光学面13a、13bを有している。光学面13aはアイポイント16側を向く湾曲した凸面であり、光学面13bは反射型液晶表示パネル3側を向く湾曲した凹面である。
【0021】
これら3つのレンズを図1に示すように組み合わせて配置することにより色収差、非点収差、湾曲収差などの収差を良好に補正することができる。また、小型で高倍率の接眼光学系とすることができる。
【0022】
第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ13は、以下の条件式(1)~(3)を満足していることが好ましい。式中、f1は第1レンズ11の焦点距離、f2は第2レンズ12の焦点距離、f3は第3レンズ13の焦点距離、fはそれら3つのレンズ全系の焦点距離を示す。このように3つのレンズを設計することで収差をより良好に補正することができる。
f1/f<1 ・・・(1)
f2/f<-0.5 ・・・(2)
f3/f<0.53 ・・・(3)
【0023】
反射型液晶表示パネル3の画像表示面から出射された光は、偏光ビームスプリッター7を透過した後、図2に示すように放射状に広がりつつ、第3レンズ13の光学面13bに入射する。光学面13bに入射した光は光学面13bで屈折し、第3レンズ13の内部を透過して光学面13aに入射する。光学面13aに入射した光は光学面13aで屈折し、第3レンズ13の外部へ出射する。第3レンズ13から出射した光は第2レンズ12の光学面12bに入射する。光学面12bに入射した光は光学面12bで屈折し、第2レンズ12の内部を透過して光学面12aに入射する。光学面12aに入射した光は光学面12aで屈折し、第2レンズ12の外部へ出射する。第2レンズ12から出射した光は第1レンズ11の光学面11bに入射する。光学面11bに入射した光は光学面11bで屈折し、第1レンズ11の内部を透過して光学面11aに入射する。光学面11aに入射した光は光学面11aで屈折し、第1レンズ11の外部へ出射する。第1レンズ11から出射した光は透明板10を透過し、アイポイント16で観察者に画像として視認される。尚、図2に示す光路はあくまで一例である。
【0024】
第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ13の各光学面(光学面11a、11b、12a、12b、13a、13b)のうち少なくとも一つは非球面であっても良い。光学面を非球面とすることで収差をより良好に補正することができる。
【0025】
第1レンズ11のアイポイント16側の光学面11aはトーリック面であっても良い。光学面11aをトーリック面とすることで第1レンズ11へ入射した光の非点収差を良好に補正することができる。特に偏光ビームスプリッター7の傾斜や湾曲により生じる非点収差を効果的に補正することができる。
【0026】
第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ13は樹脂成型品で構成されていても良く、樹脂成型品を用いることでガラスよりも安価に生産することができる。
【0027】
本発明に係る接眼光学系は反射型液晶表示装置に限らずその他の画像表示装置(ヘッドマウントディスプレイ等)の接眼光学系にも適用することができる。
【0028】
第1レンズ、第2レンズ、第3レンズの形状は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変化させることができる。
【0029】
第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ13は光軸Xに沿って互いに独立して移動可能に構成されていても良い。
【符号の説明】
【0030】
1 反射型液晶表示装置
2 回路基板
3 反射型液晶表示パネル
4 光源
5 拡散板
6 偏光板
7 偏光ビームスプリッター
8 筐体
9 開口部
10 透明板
11 第1レンズ
11a 光学面
11b 光学面
11c 凹部
12 第2レンズ
12a 光学面
12b 光学面
12c 凸部
13 第3レンズ
13a 光学面
13b 光学面
14 レンズホルダー
15 絞り
16 アイポイント
図1
図2