(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】地図提供システム、地図提供装置、地図提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20230525BHJP
G06T 11/60 20060101ALI20230525BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20230525BHJP
【FI】
G09B29/00 A
G06T11/60 300
G06F3/0484
(21)【出願番号】P 2019186250
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2022-03-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 出願人株式会社ゼンリンデータコムが、同社のウェブサイトhttps://biz.its-mo.com/biz/map/fullscreenhttps://biz.its-mo.com/biz/map/https://www.its-mo.com/にて、発明者渡邉宏和及び小林宏行が発明した地図提供システム、地図提供装置、地図提供方法及びプログラムについて平成31年4月22日に公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 浩和
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏行
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-277071(JP,A)
【文献】特開2013-218210(JP,A)
【文献】特開2012-252438(JP,A)
【文献】特開2018-198412(JP,A)
【文献】特開平10-040055(JP,A)
【文献】読者の悩み相談室Q&A,YOMIURIPC,読売新聞東京本社,2009年05月01日, 第14巻 第5号,88~89
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00-29/14
G06T 11/60
G06F 3/0484
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の地図を提供する第1の地図サーバと、前記第1の地図よりも詳細な情報が含まれる第2の地図を管理する第2の地図サーバとが含まれる地図提供システムであって、
ユーザの操作に応じて
、前記第1の地図サーバから提供された前記第1の地図上で複数の範囲を指定する指定手段と、
前記指定手段によって前記複数の範囲が指定された場合、前記複数の範囲のそれぞれの範囲に対応する
範囲の複数の前記第2の地図を前記第2の地図サーバから取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された複数の
前記第2の地図のそれぞれを、印刷可能なデータ形式に変換する変換手段と、
を有する地図提供システム。
【請求項2】
前記指定手段は、
前記ユーザの操作により、前記地図上で互いに隣接し、かつ、互いに重畳しない範囲の指定を繰り返すことで、前記複数の範囲を指定する、請求項1に記載の地図提供システム。
【請求項3】
前記指定手段は、
前記ユーザの操作に応じて、印刷時の用紙サイズ及び用紙向きの選択を受け付け、
前記範囲は、前記用紙サイズ及び前記用紙向きに応じた幅及び高さを有する、請求項1又は2に記載の地図提供システム。
【請求項4】
前記
第1の地図上には、前記指定手段により既に指定された前記複数の範囲と、前記ユーザの操作によって前記範囲を指定するための表示部品とが異なる態様で表示されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の地図提供システム。
【請求項5】
更に、前記
第1の地図上には、前記取得手段により既に取得された
前記第2の地図に対応する範囲が異なる態様で表示されている、請求項4に記載の地図提供システム。
【請求項6】
第1の地図を記憶する第1の地図記憶部と、
前記第1の地図よりも詳細な情報が含まれる第2の地図を記憶する第2の地図記憶部と、
ユーザの操作に応じて
、前記第1の地図記憶部に記憶されている前記第1の地図上で複数の範囲の指定を受け付ける指定手段と、
前記指定手段によって前記複数の範囲の指定が受け付けられた場合、前記複数の範囲のそれぞれの範囲に対応する
範囲の複数の前記第2の地図を前記第2の地図記憶部から取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された複数の
前記第2の地図のそれぞれを、印刷可能なデータ形式に変換する変換手段と、
を有する地図提供装置。
【請求項7】
第1の地図を記憶する第1の地図記憶部と、前記第1の地図よりも詳細な情報が含まれる第2の地図を記憶する第2の地図記憶部とを有する地図提供装置が、
ユーザの操作に応じて
、前記第1の地図記憶部に記憶されている前記第1の地図上で複数の範囲の指定を受け付ける指定手順と、
前記指定手順で前記複数の範囲の指定が受け付けられた場合、前記複数の範囲のそれぞれの範囲に対応する
範囲の複数の前記第2の地図を前記第2の地図記憶部から取得する取得手順と、
前記取得手順で取得された複数の
前記第2の地図のそれぞれを、印刷可能なデータ形式に変換する変換手順と、
を実行する地図提供方法。
【請求項8】
第1の地図を記憶する第1の地図記憶部と、前記第1の地図よりも詳細な情報が含まれる第2の地図を記憶する第2の地図記憶部とを有する地図提供装置に、
ユーザの操作に応じて
、前記第1の地図記憶部に記憶されている前記第1の地図上で複数の範囲の指定を受け付ける指定手順と、
前記指定手順で前記複数の範囲の指定が受け付けられた場合、前記複数の範囲のそれぞれの範囲に対応する
範囲の複数の前記第2の地図を前記第2の地図記憶部から取得する取得手順と、
前記取得手順で取得された複数の
前記第2の地図のそれぞれを、印刷可能なデータ形式に変換する変換手順と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図提供システム、地図提供装置、地図提供方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅地図情報等の詳細な地図情報を印刷可能なデータ形式で提供する地図提供サービスが従来から知られている。このような地図提供サービスでは、例えば、ユーザによって指定された範囲内における詳細な地図情報が提供される。
【0003】
なお、地図提供サービスで提供された地図情報を印刷出力した際に、視認性の高い印刷出力を可能にする技術が従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の地図提供サービスでは、複数の範囲内における詳細な地図情報の提供を受けたい場合には、ユーザは、複数の範囲の各々をその都度指定する必要があった。すなわち、この場合、ユーザによる範囲の指定と当該範囲内における詳細な地図情報の提供とを繰り返す必要がある。このため、ユーザは、この繰り返しの都度、所望の範囲を指定する必要があり、煩雑であった。
【0006】
本発明の実施形態は、上記の点に鑑みてなされたもので、詳細な地図情報が提供される複数の範囲を容易に指定可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本実施形態に係る地図提供システムは、ユーザの操作に応じて地図上で複数の範囲を指定する指定手段と、前記指定手段によって前記複数の範囲が指定された場合、前記複数の範囲のそれぞれの範囲に対応する詳細地図を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された複数の詳細地図のそれぞれを、印刷可能なデータ形式に変換する変換手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
詳細な地図情報が提供される複数の範囲を容易に指定可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る地図提供システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る地図提供サーバ及び詳細地図管理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るクライアント端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る地図提供システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る地図提供処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】詳細地図情報として購入する地理的範囲を指定するための範囲指定画面の一例を説明するための図である。
【
図7】詳細地図情報を購入するための購入画面の一例を説明するための図である。
【
図8】詳細地図情報の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、地図提供サービスのユーザが複数の範囲を容易に指定することが可能な地図提供システム1について説明する。なお、範囲とは、例えば、緯度及び経度によって指定される地理的範囲を意味する。
【0011】
ここで、本実施形態では、地図提供サービスとは、ユーザによって指定された範囲内における住宅地図情報等の詳細な地図情報(以降、「詳細地図情報」とも表す。)を印刷可能なデータ形式で提供するサービスのことを意味するものとする。なお、地図提供サービスは有償・無償を問わないが、本実施形態では一例として有償であるものとする。すなわち、ユーザは、地図提供サービスを利用して、所望の範囲内における詳細地図情報の印刷可能な形式のデータを商品として購入するものとする。以降では、このデータを「印刷用詳細地図データ」とも表す。
【0012】
また、詳細地図情報とは通常の地図情報よりも詳細な情報が含まれる地図情報のことであり、一例として、ビルに入居するテナント名や個人宅名等の詳細な情報が含まれる住宅地図情報が挙げられる。なお、印刷可能なデータ形式とは一般的なプリンタ等で印刷可能なデータ形式のことであり、例えば、PDF(Portable Document Format)形式等が挙げられる。
【0013】
<全体構成>
まず、本実施形態に係る地図提供システム1の全体構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る地図提供システム1の全体構成の一例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る地図提供システム1は、地図提供サーバ10と、詳細地図管理サーバ20と、1以上のクライアント端末30とを有する。また、地図提供サーバ10、詳細地図管理サーバ20及び各クライアント端末30は、通信ネットワーク40を介して通信することが可能である。なお、通信ネットワーク40は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、電話回線網等を含む任意の情報通信ネットワークである。
【0015】
地図提供サーバ10は、クライアント端末30に対して地図提供サービスを提供するコンピュータ又はコンピュータシステムである。地図提供サーバ10は、クライアント端末30からの要求に応じて、当該クライアント端末30のユーザによって指定された範囲内における詳細地図情報を印刷可能なデータ形式で提供する。
【0016】
詳細地図管理サーバ20は、詳細地図情報を管理するコンピュータ又はコンピュータシステムである。詳細地図管理サーバ20は、地図提供サーバ10からの要求に応じて、ユーザによって指定された範囲内における詳細地図情報を印刷可能なデータ形式に変換した印刷用詳細地図データを当該地図提供サーバ10に提供する。
【0017】
クライアント端末30は、ユーザが操作するコンピュータ又はコンピュータシステムである。ユーザは、クライアント端末30を操作して地図提供サービスを利用することができる。なお、クライアント端末30としては、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン、タブレット端末等の各種情報処理端末を用いることが可能である。
【0018】
なお、
図1に示す地図提供システム1の構成は一例であって、他の構成であってもよい。例えば、地図提供サーバ10と詳細地図管理サーバ20とが一体で構成されていてもよい。
【0019】
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態に係る地図提供システム1のハードウェア構成について説明する。
【0020】
≪地図提供サーバ10及び詳細地図管理サーバ20≫
以降では、本実施形態に係る地図提供サーバ10及び詳細地図管理サーバ20のハードウェア構成について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態に係る地図提供サーバ10及び詳細地図管理サーバ20のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、地図提供サーバ10及び詳細地図管理サーバ20は同様のハードウェア構成で実現可能であるため、以降では、主に、地図提供サーバ10のハードウェア構成について説明する。
【0021】
図2に示すように、本実施形態に係る地図提供サーバ10は、外部I/F11と、通信I/F12と、プロセッサ13と、RAM(Random Access Memory)14と、ROM(Read Only Memory)15と、補助記憶装置16とを有する。これら各ハードウェアは、バス17を介して通信可能に接続されている。
【0022】
外部I/F11は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、SDメモリカード、USBメモリ等の各種外部記録媒体等がある。
【0023】
通信I/F12は、通信ネットワーク40に接続するためのインタフェースである。プロセッサ13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置である。RAM14は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。ROM15は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。補助記憶装置16は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であり、プログラムやデータを格納している不揮発性のメモリである。
【0024】
本実施形態に係る地図提供サーバ10及び詳細地図管理サーバ20は、
図2に示すハードウェア構成を有することにより、後述する各種処理を実現することができる。なお、
図2に示すハードウェア構成は一例であって、地図提供サーバ10及び詳細地図管理サーバ20は、他のハードウェア構成であってもよい。例えば、地図提供サーバ10及び詳細地図管理サーバ20は、複数のプロセッサ13を有していてもよいし、複数のRAM14や複数のROM15、複数の補助記憶装置16等を有していてもよい。また、例えば、地図提供サーバ10及び詳細地図管理サーバ20は、キーボードやマウス等の入力装置、ディスプレイ等の表示装置を有していてもよい。
【0025】
≪クライアント端末30≫
以降では、本実施形態に係るクライアント端末30のハードウェア構成について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、本実施形態に係るクライアント端末30のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0026】
図3に示すように、本実施形態に係るクライアント端末30は、入力装置31と、表示装置32と、外部I/F33と、通信I/F34と、プロセッサ35と、RAM36と、ROM37と、補助記憶装置38とを有する。これら各ハードウェアは、バス39を介して通信可能に接続されている。
【0027】
入力装置31は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等であり、ユーザからの各種操作を受け付けるための装置である。表示装置32は、例えば、ディスプレイ等であり、ユーザに対して各種処理結果等を表示するための装置である。
【0028】
外部I/F33は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、例えば、CD、DVD、Blu-ray Disc、SDメモリカード、USBメモリ等の各種外部記録媒体等がある。
【0029】
通信I/F34は、通信ネットワーク40に接続するためのインタフェースである。プロセッサ35は、例えば、CPU等の演算装置である。RAM36は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。ROM37は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。補助記憶装置38は、例えば、HDDやSSD等であり、プログラムやデータを格納している不揮発性のメモリである。
【0030】
本実施形態に係るクライアント端末30は、
図3に示すハードウェア構成を有することにより、後述する各種処理を実現することができる。なお、
図3に示すハードウェア構成は一例であって、クライアント端末30は、他のハードウェア構成であってもよい。例えば、クライアント端末30は、複数のプロセッサ35を有していてもよいし、複数のRAM36や複数のROM37、複数の補助記憶装置38等を有していてもよい。
【0031】
<機能構成>
次に、本実施形態に係る地図提供システム1の機能構成について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施形態に係る地図提供システム1の機能構成の一例を示す図である。
【0032】
≪地図提供サーバ10≫
図4に示すように、本実施形態に係る地図提供サーバ10は、提供処理部101と、記憶部102とを有する。提供処理部101は、地図提供サーバ10にインストールされた1以上のプログラムがプロセッサ13に実行させる処理により実現される。また、記憶部102は、例えば補助記憶装置18を用いて実現可能である。ただし、記憶部102は、地図提供サーバ10と通信ネットワーク40を介して接続される記憶装置等を用いて実現されてもよい。
【0033】
提供処理部101は、クライアント端末30のユーザに対して地図提供サービスを提供するための各種処理を実行する。例えば、クライアント端末30からの購入要求に応じて、提供処理部101は、この購入要求に係る印刷用詳細地図データを詳細地図管理サーバ20から取得(ダウンロード)する。
【0034】
記憶部102は、各種情報やデータを記憶する。例えば、記憶部102には、地図提供サービスを利用しているクライアント端末30に表示される画面情報、ユーザが過去に購入した商品の履歴情報等が記憶される。なお、ユーザが過去に購入した商品の履歴情報とは、当該ユーザが過去に購入した印刷用詳細地図データが表す範囲を特定するための座標情報と、購入日と、商品の仕様情報(例えば、カラー又はモノクロ、複製許諾の有無等)とが対応付けられた情報である。
【0035】
≪詳細地図管理サーバ20≫
図4に示すように、本実施形態に係る詳細地図管理サーバ20は、詳細地図管理部201と、変換部202と、記憶部203とを有する。詳細地図管理部201及び変換部202は、詳細地図管理サーバ20にインストールされた1以上のプログラムがプロセッサ13に実行させる処理により実現される。また、記憶部203は、例えば補助記憶装置18を用いて実現可能である。ただし、記憶部203は、詳細地図管理サーバ20と通信ネットワーク40を介して接続される記憶装置等を用いて実現されていてもよい。
【0036】
詳細地図管理部201は、記憶部203に記憶されている詳細地図情報を管理する。また、詳細地図管理部201は、地図提供サーバ10からの要求に応じて、記憶部203に記憶されている詳細地図情報の中で、当該要求に関する範囲を特定する。
【0037】
変換部202は、詳細地図管理部201により特定された範囲の詳細地図情報(つまり、当該範囲で特定される部分的な詳細地図情報)から印刷用詳細地図データを作成する。
【0038】
記憶部203は、詳細地図情報を含む各種情報やデータを記憶する。ここで、詳細地図情報とは、上述したように、通常の地図情報よりも詳細な情報が含まれる地図情報のことであり、一例として、住宅地図情報が挙げられる。住宅地図情報では、例えば、道路や鉄道、河川、建物の形状を表す家形枠、建物の名称等の一般的な情報に加えて、ビルに入居するテナント名や個人宅名等の詳細な情報が含まれる。
【0039】
≪クライアント端末30≫
図4に示すように、本実施形態に係るクライアント端末30は、購入処理部301と、記憶部302とを有する。購入処理部301は、クライアント端末30にインストールされた1以上のプログラム(例えば、Webブラウザ等)がプロセッサ35に実行させる処理により実現される。また、記憶部302は、例えば補助記憶装置38を用いて実現可能である。
【0040】
購入処理部301は、ユーザが印刷用詳細地図データを購入するための各種処理を実行する。例えば、ユーザによって所望の範囲が指定された上で、この範囲で特定される商品(つまり、印刷用詳細地図データ)をカートへ追加する操作が行われた場合、購入処理部301は、当該商品の商品情報をカートに追加する。商品情報には、例えば、当該商品情報を識別するための識別情報(例えば、カート内商品ID等)と、当該範囲を特定するための座標情報と、商品の仕様情報とが含まれる。なお、カートとは購入対象の商品(本実施形態では印刷用詳細地図データ)に関する情報である商品情報を一時的に保持する電子データのことであり、例えば、記憶部302に記憶されたCookieにより実現可能である。
【0041】
記憶部302は、各種情報やデータを記憶する。例えば、記憶部302には、カートを実現する電子データ(例えば、Cookie)等が記憶される。
【0042】
<地図提供処理>
以降では、クライアント端末30ユーザが地図提供サービスを利用して、印刷用詳細地図データを購入する地図提供処理について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、本実施形態に係る地図提供処理の一例を示すシーケンス図である。
【0043】
まず、クライアント端末30は、ユーザによって購入操作が行われるまで、以降のステップS101~ステップS102を繰り返す。
【0044】
クライアント端末30の購入処理部301は、詳細地図情報として購入する範囲(地理的範囲)の指定とカートへの追加操作とを受け付ける(ステップS101)。そして、クライアント端末30の購入処理部301は、当該範囲を特定する座標情報が含まれる商品情報を作成してCookie等に格納することで、当該商品情報をカートに追加する(ステップS102)。
【0045】
ここで、ユーザは、クライアント端末30に表示された所定の範囲指定画面上で、詳細地図情報として購入する範囲の指定とカートへの追加操作とを行うことができる。このような範囲指定画面の一例を
図6に示す。
図6は、詳細地図情報として購入する地理的範囲を指定するための範囲指定画面の一例を説明するための図である。なお、この範囲指定画面は、例えば、地図提供サーバ10から送信されたHTML(HyperText Markup Language)形式の画面情報を、Webブラウザにより実現される購入処理部301が解釈することで表示される。
【0046】
図6に示す範囲指定画面1000には、商品選択欄1100と、購入指定範囲1200とが含まれる。商品選択欄1100は、詳細地図情報を印刷する際のサイズ(A3、B5又はA4)、向き(タテ又はヨコ)、色(カラー又はモノクロ)、複製許諾を表すマークの有無等の仕様を選択する選択欄である。なお、サイズとは用紙サイズのことであり、向きとは印刷時の用紙の向きのことである。
【0047】
購入指定範囲1200は、商品として購入する範囲を表す領域(エリア)である。この領域の大きさ(縦の長さ及び横の長さ)は、商品選択欄1100で選択されたサイズと向きとに応じて異なる。ユーザは、例えば、範囲指定画面1000内で背景として表示されている地図上でドラッグ操作を行うことで、購入指定範囲1200を移動させることができる。
【0048】
ユーザは、範囲指定画面1000内で背景として表示されている地図上の所望の範囲に購入指定範囲1200を移動させた上で、カート追加ボタン1300を押下することで、この範囲を特定する座標情報が含まれる商品情報をカートに追加することができる。このとき、複数の範囲の商品情報をカートに追加する場合には、ユーザは、購入指定範囲1200の移動とカート追加ボタン1300の押下とを繰り返せばよい。これにより、ユーザは、所望の複数の範囲の商品情報を容易にカートに追加することが可能となる。なお、範囲(地理的範囲)を特定する座標情報は、例えば、当該範囲の4頂点の緯度及び経度でもよいし、当該範囲の対角にある2頂点の緯度及び経度でもよいし、当該範囲の中心の緯度及び経度と当該範囲の幅及び高さであってもよい。
【0049】
ここで、ユーザは、スライド矢印1201~1204を押下することでも、購入指定範囲1200を移動させることができる。これらのスライド矢印1201~1204を押下することで、現在の購入指定範囲1200に隣接する範囲に当該購入指定範囲1200を移動させることが可能となる。
【0050】
具体的には、例えば、右方向を正とするX軸と上方向を正とするY軸とで構成される座標系を設定した場合に、購入指定範囲1200の左下の座標を(X1,Y1)、右下の座標を(X2,Y1)、左上の座標を(X1,Y2)、右上の座標を(X2,Y2)、幅をL=X2-X1、高さをH=Y2-Y1とする。このとき、例えば、ユーザによりスライド矢印1201が押下された場合、当該購入指定範囲1200は、左下の座標が(X1,Y1+H)、右下の座標が(X2,Y1+H)、左上の座標が(X1,Y2+H)、右上の座標が(X2,Y2+H)に移動する。同様に、例えば、ユーザによりスライド矢印1202が押下された場合、当該購入指定範囲1200は、左下の座標が(X1+L,Y1)、右下の座標が(X2+L,Y1)、左上の座標が(X1+L,Y2)、右上の座標が(X2+L,Y2)に移動する。
【0051】
同様に、例えば、ユーザによりスライド矢印1203が押下された場合、当該購入指定範囲1200は、左下の座標が(X1,Y1-H)、右下の座標が(X2,Y1-H)、左上の座標が(X1,Y2-H)、右上の座標が(X2,Y2-H)に移動する。同様に、例えば、ユーザによりスライド矢印1204が押下された場合、当該購入指定範囲1200は、左下の座標が(X1-L,Y1)、右下の座標が(X2-L,Y1)、左上の座標が(X1-L,Y2)、右上の座標が(X2-L,Y2)に移動する。
【0052】
このように、スライド矢印1201~1204を利用することで、ユーザは、互いに隣り合う領域を重畳させることなく、商品を購入する範囲として指定することが可能となる。
【0053】
また、
図6に示す範囲指定画面1000には、既にカートに追加済(投入済)の商品情報の範囲が、カート投入済の範囲1401~1406で表示されている。
図6に示す例では、6つの商品情報がカートに追加済であることを表している。このように、範囲指定画面1000上にカートに追加済の範囲が表示されることで、ユーザは、既にカートに入っている範囲を容易に知ることができる。なお、ユーザによって元に戻すボタン1500が押下された場合、直前にカートに入れた商品情報がカートから削除される(つまり、直前のカート追加操作が取り消される。)。
【0054】
更に、
図6に示す範囲指定画面1000には、当該ユーザが過去に購入した商品が表す範囲が、過去に購入済の範囲1601~1606で表示されている。
図6に示す例では、6つの商品が過去に購入済であることを表している。このように、範囲指定画面1000上に過去に購入した商品が表す範囲が表示されることで、ユーザは、過去に購入した商品が表す範囲を容易に知ることができる。ここで、過去に購入済の範囲は、地図提供サーバ10の記憶部102に記憶されている履歴情報に基づいて表示される。すなわち、履歴情報には当該ユーザが過去に購入した商品が表す範囲を特定するための座標情報が含まれるため、地図提供サーバ10は、範囲指定画面1000の画面情報と共に当該ユーザの履歴情報をクライアント端末30に送信する。これにより、当該クライアント端末30では、この履歴情報を用いて、過去に購入済の範囲を範囲指定画面1000上に表示させることができる。
【0055】
図5の説明に戻る。ユーザによってカート内の商品の購入操作が行われた場合、クライアント端末30の購入処理部301は、当該購入操作を受け付ける(ステップS104)。そして、クライアント端末30の購入処理部301は、購入要求を地図提供サーバ10に送信する(ステップS104)。この購入要求には、当該ユーザを識別する識別情報(例えば、ユーザID)と、カート内の商品情報とが含まれる。なお、複数の商品情報がカートに追加された場合には、これら複数の商品情報が購入要求に含まれる。
【0056】
ここで、ユーザは、クライアント端末30に表示された所定の購入画面上で購入操作を行うことができる。このような購入画面の一例を
図7に示す。
図7は、詳細地図情報を購入するための購入画面の一例を説明するための図である。なお、この購入画面は、例えば、
図6に示す範囲指定画面1000上で、ユーザによってカートを見るボタン1700が押下されることで表示される。
【0057】
図7に示す購入画面2000には、商品一覧2100と、購入ボタン2200とが含まれる。商品一覧2100には、カートに追加されている商品情報に関する商品名や仕様、価格、カート投入日等が表示される。なお、これらの商品名や仕様、価格、カート投入日等は商品情報に含まれている情報である。
【0058】
ユーザは、購入画面2000上で購入ボタン2200を押下することで購入操作を行うことができる。なお、これ以外にも、ユーザは、削除ボタン2300を押下することで、カートに追加されている商品情報の削除を行うことができる。また、商品を追加するボタン2400を押下することで、
図6に示す範囲指定画面1000を表示させることができる。
【0059】
図5の説明に戻る。地図提供サーバ10の提供処理部101は、購入要求を受信すると、当該購入要求に含まれる商品情報毎に、ダウンロード要求を詳細地図管理サーバ20に送信する(ステップS105)。このダウンロード要求には、当該商品情報の座標情報が含まれる。
【0060】
詳細地図管理サーバ20の詳細地図管理部201は、ダウンロード要求を受信すると、記憶部203に記憶されている詳細地図情報の中で、当該ダウンロード要求に含まれる座標情報で特定される範囲を、商品となる詳細地図情報として特定する(ステップS106)。すなわち、詳細地図管理部201は、記憶部203に記憶されている詳細地図情報が表す地理的範囲のうち、当該ダウンロード要求に含まれる座標情報で特定される範囲を特定する。
【0061】
次に、詳細地図管理サーバ20の変換部202は、上記のステップS106で特定された詳細地図情報を印刷可能なデータ形式に変換して印刷用詳細地図データを作成する(ステップS107)。すなわち、変換部202は、例えば、記憶部203に記憶されている詳細地図情報のうち、上記のステップS106で特定された範囲内における詳細地図情報を切り出した上で、この切り出された詳細地図情報を印刷可能なデータ形式に変換することで、印刷用詳細地図データを作成する。
【0062】
なお、本実施形態では、上記のステップS106で印刷可能なデータ形式に変換したが、これは必ずしも行われなくてもよい。すなわち、上記のステップS106では、例えば、上記で切り出された詳細地図情報を表すデータが作成されてもよい。この場合、当該データは必ずしも印刷可能ではないが、必要に応じて地図提供サーバ10やクライアント端末30で印刷可能な形式に変換されてもよい。
【0063】
次に、詳細地図管理サーバ20の変換部202は、上記のステップS107で作成した印刷用詳細地図データを地図提供サーバ10に送信する(ステップS108)。
【0064】
購入要求に含まれる商品情報毎に、上記のステップS105~ステップS109が繰り返されることで、これらの商品情報のそれぞれに対応する印刷用詳細地図データが地図提供サーバ10にダウンロードされる。なお、地図提供サーバ10は、ダウンロードした印刷用詳細地図データを記憶部102に保存しておけばよい。
【0065】
次に、地図提供サーバ10の提供処理部101は、上記のステップS104で受信した購入要求に含まれるユーザIDのユーザの履歴情報を記憶部102に保存する(ステップS109)。すなわち、提供処理部101は、例えば、当該購入要求に含まれる商品情報毎に、当該ユーザIDと、当該商品情報に含まれる座標情報と、購入日と、当該商品情報に含まれる仕様情報とが含まれる履歴情報を作成し、これらの履歴情報を記憶部102に保存する。なお、購入日は現在の年月日等とすればよい。
【0066】
上記のステップS109で履歴情報が記憶部102に保存されることで、上述したように、例えば、
図6に示す範囲指定画面1000上で過去に購入済の範囲を表示することが可能となる。
【0067】
次に、地図提供サーバ10の提供処理部101は、詳細地図管理サーバ20からダウンロードした印刷用詳細地図データをクライアント端末30に送信する(ステップS110)。
【0068】
そして、クライアント端末30の購入処理部301は、地図提供サーバ10から送信された印刷用詳細地図データを受信する(ステップS111)。これにより、クライアント端末30は、例えば、この印刷用詳細地図データをプリンタ等に送信することで、当該印刷用詳細地図データを印刷することができる。なお、クライアント端末30の購入処理部301は、受信した印刷用詳細地図データを記憶部302に保存してもよい。ここで、印刷用詳細地図データが表す詳細地図情報の一例を
図8に示す。
図8は、詳細地図情報の一例を説明するための図である。
【0069】
図8に示す詳細地図情報は、一例として、住宅地図情報を表している。
図8に示すように、住宅地図情報では、ビルの名称だけでなく、ビルに入力しているテナント名(法人名)が表示されている箇所がある。このように、住宅地図情報では、通常の地図情報にはない、より詳細な情報が表示される。
【0070】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る地図提供システム1では、ユーザは、クライアント端末30を用いて地図上で複数の範囲を容易に指定して、これら複数の範囲の各々における詳細地図情報を印刷可能なデータ形式で購入することができる。また、このとき、ユーザは、互いに隣接する範囲を重畳させることなく容易に指定することもできる。
【0071】
このため、複数の範囲の詳細地図情報を印刷可能なデータ形式で必要なユーザは、本実施形態に係る地図提供システム1を利用することで、必要なデータを用意に入手することが可能となる。なお、このようなユーザとしては、例えば、登記業務を行う司法書士、測量業務を行う測量士、各種工事(例えば、電気工事や道路工事等)の関係者、ケータリングサービス等における配達員等が挙げられる。
【0072】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更等が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 地図提供システム
10 地図提供サーバ
20 詳細地図管理サーバ
30 クライアント端末
101 提供処理部
102 記憶部
201 詳細地図管理部
202 変換部
203 記憶部
301 購入処理部
302 記憶部