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特許7285222副腎皮質刺激ホルモン放出因子受容体拮抗薬
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】副腎皮質刺激ホルモン放出因子受容体拮抗薬
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5377 20060101AFI20230525BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20230525BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230525BHJP
   A61P 5/38 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
A61K31/5377 ZMD
A61K9/48
A61K9/14
A61K47/42
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/32
A61K9/20
A61P5/38
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019572820
(86)(22)【出願日】2018-08-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 US2018046707
(87)【国際公開番号】W WO2019036472
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】62/545,393
(32)【優先日】2017-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520002346
【氏名又は名称】スプルース バイオサイエンシズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ハワートン,アレキシス
(72)【発明者】
【氏名】ゲルバー,ハル
(72)【発明者】
【氏名】カラボルニ,サミ
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-533201(JP,A)
【文献】特表2012-504626(JP,A)
【文献】特表2002-501922(JP,A)
【文献】特表2010-504344(JP,A)
【文献】特表2000-503661(JP,A)
【文献】The Journal of Neuroscience,2007年,Vol.27, No.10,pp.2718-2726
【文献】Moleclular Pharmaceutics,2016年10月21日,Vol.13,pp.4141-4151
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 5/00
A61P 25/00
A61P 21/00
A61P 3/00
A61P 9/00
A61P 1/00
A61P 15/00
A61P 29/00
A61P 37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル剤の形態にある医薬製剤であって、
(a)50mgの3-(4-クロロ-2-(モルフォリン-4-イル)チアゾール-5-イル)-7-(1-エチルプロピル)-2,5-ジメチルピラゾロ(1,5-α)ピリミジン(化合物1)又はその薬剤的に許容できる塩若しくは溶媒和物
を含む、医薬製剤。
【請求項2】
前記化合物1又はその薬剤的に許容できる塩若しくは溶媒和物は、微小粒子の形態をとる、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記カプセル剤は硬ゼラチンカプセル剤である、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記カプセル剤は軟ゼラチンカプセル剤である、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記カプセル剤が、天然ゼラチン、合成ゼラチン、ペクチン、カゼイン、コラーゲン、タンパク質、加工デンプン、ポリビニルピロリドン、アクリルポリマー、セルロース誘導体、およびこれらの組み合わせ、からなる群から選択される材料を用いて形成される、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記医薬製剤が追加の賦形剤を含有しない、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記医薬製剤が1または複数の薬剤的に許容できる賦形剤をさらに含む、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項8】
錠剤の形態にある医薬製剤であって、
(a)50mgの3-(4-クロロ-2-(モルフォリン-4-イル)チアゾール-5-イル)-7-(1-エチルプロピル)-2,5-ジメチルピラゾロ(1,5-α)ピリミジン(化合物1)又はその薬剤的に許容できる塩若しくは溶媒和物
を含む医薬製剤。
【請求項9】
前記化合物1又はその薬剤的に許容できる塩若しくは溶媒和物は、微小粒子の形態をとる、請求項8記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記医薬製剤が1または複数の薬剤的に許容できる賦形剤をさらに含む、請求項8記載の医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年8月14日に出願された米国仮特許出願第62/545,393号に基づく利益を主張するものであり、当該米国仮特許出願は参照によりその全内容が本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0002】
副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)は、41個のアミノ酸からなり、脳下垂体前葉からのプロオピオメラノコルチン(POMC)由来ペプチドの分泌を調節する、第一の生理的ペプチドである。脳下垂体における内分泌的役割に加えて、免疫組織化学によるCRFの局在性により、このホルモンは、視床下部外の中枢神経系に広く分布しており、脳内での神経伝達物質または神経修飾物質としての役割と一貫して、広く自律神経、電気生理、および行動に対し作用することが明らかとなっている。また、CRFは、生理学的、心理学的、および免疫学的なストレッサーに対する免疫系の応答を調和するという重要な役割も果たしていることも分かっている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、3-(4-クロロ-2-(モルフォリン-4-イル)チアゾール-5-イル)-7-(1-エチルプロピル)-2,5-ジメチルピラゾロ(1,5-a)ピリミジンを含む新規医薬組成物、および、係る医薬組成物を先天性副腎過形成(CAH)の治療に使用する方法、を提供する。
【0004】
1つの態様では、本開示は、化合物1、
【化1】
またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、を含むカプセル剤の形態の医薬組成物を提供する。
【0005】
1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約1mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約5mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約10mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約10mg~約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約10mg~約100mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0006】
1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約50mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約100mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約100mg~約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約100mg~約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約150mg~約250mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0007】
1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約250mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約200mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約150mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約100mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約80mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約60mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約50mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約30mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0008】
1つの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、微小粒子の形態をとる。1つの実施形態では、前記微小粒子の平均サイズは約1μm~約20μmである。1つの実施形態では、前記微小粒子の平均サイズは約5μm~約15μmである。1つの実施形態では、前記微小粒子の平均サイズは約10μm未満である。
【0009】
1つの実施形態では、前記カプセル剤は硬ゼラチンカプセル剤である。1つの実施形態では、前記カプセル剤は軟ゼラチンカプセル剤である。1つの実施形態では、前記カプセル剤は天然ゼラチン、合成ゼラチン、ペクチン、カゼイン、コラーゲン、タンパク質、加工デンプン、ポリビニルピロリドン、アクリルポリマー、セルロース誘導体、およびこれらのあらゆる組み合わせからなる群から選択される材料を用いて形成される。
【0010】
1つの実施形態では、前記医薬組成物は追加の賦形剤を含有しない。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、1または複数の薬剤的に許容できる賦形剤をさらに含む。
【0011】
1つの態様では、本開示は、化合物1、
【化2】
またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、を含む錠剤の形態の医薬組成物を提供する。
【0012】
1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約1mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約5mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約10mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約10mg~約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約10mg~約100mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0013】
1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約50mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約100mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約100mg~約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約100mg~約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約150mg~約250mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0014】
1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約250mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約200mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約150mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約100mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約80mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約60mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約50mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、約30mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0015】
1つの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、微小粒子の形態をとる。1つの実施形態では、前記微小粒子の平均サイズは約1μm~約20μmである。1つの実施形態では、前記微小粒子の平均サイズは約5μm~約15μmである。1つの実施形態では、前記微小粒子の平均サイズは約10μm未満である。
【0016】
1つの実施形態では、前記錠剤は圧縮、成形、または押出によって作製される。1つの実施形態では、前記錠剤はホットメルトエクストルージョンによって作製される。1つの実施形態では、前記医薬組成物は、1または複数の薬剤的に許容できる賦形剤をさらに含む。
【0017】
1つの実施形態では、前記医薬組成物は25℃で少なくとも1か月間安定である。1つの実施形態では、前記医薬組成物は25℃で少なくとも3か月間安定である。1つの実施形態では、前記医薬組成物は25℃で少なくとも6か月間安定である。1つの実施形態では、前記医薬組成物は25℃で少なくとも9か月間安定である。1つの実施形態では、前記医薬組成物は25℃で少なくとも12か月間安定である。
【0018】
参照による組み込み
本明細書に記載された全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により援用されると明確且つ個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の原理が活用されている例示的な実施形態を記載している以下の発明を実施するための形態、及び添付の図面を参照することにより、本発明の特徴及び利点のより深い理解が得られる。
【0020】
図1図1は、各用量レベルで1日1回投与を14日間実施した後のCAH患者内の化合物1を示している。
【0021】
図2図2は、化合物1の投与による、異なる対象におけるACTHの減衰を示している。
【0022】
図3図3は、化合物1の投与による17-OHPの減少を示している。
【0023】
図4図4は、化合物の投与によるアンドロステンジオンの減少を示している。
【0024】
図5図5は、0.1N HCL+1.0%SDSを含む培地、50rpm、900mL、USP-II(パドル)使用の条件下での、製造処方A-1、A-2、およびA-3の放出率(percentage release)を示している。
【0025】
図6図6は、0.1N HCL+1.0%SDSを含む培地、50rpm、900mL、USP-II(パドル)使用の条件下での、製造処方B-1、B-2、およびB-3の放出率を示している。
【0026】
図7図7は、0.1N HCL+1.0%SDSを含む培地、50rpm、900mL、USP-II(パドル)使用の条件下での、製造処方C-1、C-2、およびC-3の放出率を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
CRFは精神障害や神経疾患と関連付けられており、例えば、鬱や不安、並びに、アルツハイマー病、ハンチントン病、進行性核上性麻痺、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、癲癇、片頭痛、アルコール乱用、物質乱用、乱用に関連する離脱症状、肥満症、メタボリックシンドローム、先天性副腎過形成(CAH)、クッシング病、高血圧症、脳卒中、過敏性腸症候、ストレス誘発性胃潰瘍、月経前症候群、精神性機能障害、早産、炎症性疾患、アレルギー、多発性硬化症、内臓痛、睡眠障害、下垂体腫瘍または異所性下垂体由来腫瘍、慢性疲労症候群、および線維筋痛症、が挙げられる。
【0028】
CRF受容体サブタイプとしてCRF1およびCRF2が確認されているが、これらは脳内で不均一に分布していることから、多様な機能を持つ可能性が示唆されている。例えば、脳に広く分布するCRF1受容体は、環境性ストレッサーへの暴露に付随する、情動性と強く関連付けられている。重要なこととして、CRF1受容体は不安を惹起するような挙動を媒介し選択していると思われるが、CRF2受容体はそれを行っていないと思われる。中隔・視床下部(septallhypothalmic)において分布がより離散的であること、さらに、別の内因性リガンドを利用できることは、CRF2受容体の機能的役割が異なることを示唆している。例えば、CRF1受容体と比較して、CRF2受容体に対して優先的な親和性を持つ新規のCRFファミリー神経ペプチドは、CRF1による選択的な受容体活性化作用で観察される行動活性化プロファイルを呈することなく、食欲を抑制することが報告されている。他の事例では、CRF2の受容体活性化作用は、CRF1拮抗薬やCRF1遺伝子欠失について報告されたものと同様の作用をもたらす。例えば、今までCRF2作動薬が抗肥満薬として提唱されてきたが、CRF1拮抗薬も同様に肥満症に対する重要な治療となるかもしれない。
【0029】
CAHの治療は、乳児期の診断から成人期を通じ、種々の薬物治療を用いて、ホルモン値およびステロイド値を正常化すること、をベースとする。糖質コルチコイドは、CAHの現行の標準治療であるが、内因性コルチゾルの欠乏の補正と、アンドロゲン産生を増加させる下垂体からのACTH値上昇の低減と、の両方に用いられている。コルチゾル補充で十分なアジソン病(副腎不全)の治療とは異なり、CAHの治療は、ACTH産生を減少させて、後のアンドロゲン過剰を調節することも必要となる。すなわち、糖質コルチコイド治療の目的には、コルチゾル補充とACTH抑制とによる、女性における男性化および月経障害の防止が含まれる。塩喪失型CAH患者において、血圧、電解質バランス、および体積状態を定常に維持するには、正常な血漿レニン活性を達成するための鉱質コルチコイド補充が必要となる。
【0030】
糖質コルチコイド治療プログラムは、正常な生理機能を補助し、さらに、強いストレス応答を誘発する場合があるイベント(例えば、併発疾患、運動、低血圧)の際に十分なコルチゾルが利用可能であるようにすること、を必要とする。処置不十分によるアジソン症候群の発症を避けるために、注意深いモニタリングも必要となる。鉱質コルチコイドの過剰処置が高血圧症を引き起こし得る一方で、処置不十分は低血圧、塩分喪失、疲労、および糖質コルチコイドの必要増大をもたらし得る。治療効果のモニタリングを目的とする典型的な臨床検査には、17-OHPの血漿中濃度、アンドロステンジオンの血漿中濃度、テストステロンの血漿中濃度、レニン活性、および電解質、の測定が含まれる。
【0031】
成人CAH患者は、肥満症、高血圧症、およびインスリン抵抗性をはじめとする心血管疾患の危険因子保有率が増加している。小児および成人のCAH患者(n=244)の大規模コホート研究では、種々の糖質コルチコイド治療計画を指示された患者が、ホルモン調節不良と上述の有害事象とを起こす場合が多いことが分かった。CAHの治療は、糖質コルチコイド(通常は小児に対してのヒドロコルチゾンであるが、成人に対してのデキサメタゾンなどの狭い治療指数を有するより強力な薬剤である場合も多い)によりコルチゾル欠乏を正常化するための試みを含み、塩喪失型CAHの場合に必要であれば、鉱質コルチコイド(通常はフルドロコルチゾン)によるそれを含む。しかしながら、過剰アンドロゲンの十分な抑制を達成するために必要な糖質コルチコイドの用量は、通常、アジソン病患者における、コルチゾル補充単独の場合に使用される通常の生理学的用量よりもはるかに高くなる。この糖質コルチコイドへの暴露の増大は、CAH患者において、心血管危険因子の増加、耐糖性異常、および骨塩量減少に繋がる可能性がある。
【0032】
CRFは、下垂体前葉からの、副腎皮質刺激ホルモン(「ACTH」)、β-エンドルフィン、および他のプロオピオメラノコルチン(「POMC」)に由来するペプチドの、基底レベルの放出およびストレス誘発性放出の、主要な生理学的制御因子であると考えられている。CRFの分泌は、Gタンパク質共役受容体のクラスBファミリーのメンバーであるCRF1容体への結合を介して、下垂体前葉の副腎皮質刺激ホルモン産生細胞からのACTHの放出を引き起こす。
【0033】
CRF1の生理的重要性から、顕著なCRF受容体結合活性を有し、且つ、CRF1受容体を拮抗可能である、生物活性小分子の開発が今も望まれており、不安、鬱、過敏性腸症候、外傷後ストレス障害、および物質乱用の治療を目的とした進行中の研究開発の対象となっている。
【0034】
下垂体ホルモンであるACTHは、視床下部から分泌される副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)の制御下で、コレステロール摂取を刺激し、プレグネノロン合成を駆動し、副腎におけるステロイド産生を惹起する。副腎皮質は3つの領域からなり、それぞれがクラスの異なるホルモンを産生するが、そのホルモン産生の多くは、この経路を通じてコレステロールを動員するACTHによって駆動される。変異または欠失の結果としてこれらの酵素が欠乏すると、その基質の濃度が増加する。21ヒドロキシラーゼ遺伝子(CYP21 A2)における変異または欠失を原因とする最もよく見られるCAHでは、強力なアンドロゲンが、当該ステロイドの前駆物質であるプロゲステロンおよび17-ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)の蓄積によって、副腎から産生される。このような場合、17-OHPの血漿中濃度が正常濃度の10~1000倍に達することがある。このような増加の結果、アンドロゲン、特にアンドロステンジオン、テストステロン、およびジヒドロキシテストステロンの過剰産生が起こり、女性における男性化が引き起こされる。さらに、CAHにおいて21ヒドロキシラーゼが欠乏すると、糖質コルチコイドおよび鉱質コルチコイド、特にコルチゾルおよびアルドステロン、の生合成が不十分となる。コルチゾルは、視床下部におけるCRF分泌および下垂体におけるACTH放出の、不可欠な負のフィードバック制御因子である。糖質コルチコイドの合成および放出が不足すると、視床下部および下垂体に対する抑制が取り除かれ、ACTH値の増加が生じる。この過剰なACTHによる刺激が、束状帯および網状帯を肥大させ、副腎の過形成を引き起こす。
【0035】
一実施形態では、CAHの治療で有用なCRF受容体拮抗薬は、3-(4-クロロ-2-(モルフォリン-4-イル)チアゾール-5-イル)-7-(1-エチルプロピル)-2,5-ジメチルピラゾロ(1,5-a)ピリミジンである。
【0036】
特定の定義
特に記載がない限り、本明細書で使用される全ての専門用語および科学用語は、当業者により共通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または等価のあらゆる方法および材料が、本明細書に記載の実施形態の実施または試験に使用できる。以下、特定の好ましい方法、デバイス、および材料を記載する。
【0037】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」、および「the」といった単数を表す語形は、文脈によって特に明示されない限り、複数形を包含する。すなわち、例えば、「賦形剤」と言う場合、1または複数の賦形剤、および当業者に公知のその等価物、等を指す。
【0038】
用語「約」を用いた場合、値を求めるために使用しているデバイスまたは方法について、その値に標準的なレベルの誤差が含まれることが示唆される。
【0039】
特許請求の範囲における用語「または」の使用は、択一のみを指すと明確に示されていない限り、または、各択一物が相互に排他的でない限り、「および/または」の意味として用いられるが、尤も、本開示は択一のみおよび「および/または」を指すという定義を支持する。
【0040】
用語「含む(comprise)」、「有する(have)」、および「備える(include)」はオープンエンドの連結動詞である。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「備える(includes)」、および「備える(including)」などの、これらの動詞の1または複数のいかなる形態または時制も、オープンエンドである。例えば、1または複数の工程を「含む(comprises)」、「有する(has)」または「備える(includes)」いかなる方法も、これら1または複数の工程のみを有することに限定されず、他の記載されていない工程も包含する。
【0041】
「投与(administering)」とは、治療薬と共に使用される場合、治療薬をそのまま標的組織中もしくは標的組織上に全身的もしくは局所的に投与すること、または、治療薬を患者に投与して、該治療薬にその標的組織に対して正の作用を及ぼさせること、を意味する。医薬組成物の「投与(administering)」は、単独または他の公知の手法との組み合わせた、注射、局所投与、および経口投与によって、または他の方法によって、達成されてよい。
【0042】
「薬剤的に許容できる」とは、担体、希釈剤、または賦形剤が、組成物の他の成分と相溶性があり、且つ、その受容者に有害でなければならないことを意味する。
【0043】
用語「医薬組成物」は、化合物1などの、少なくとも1種の活性成分を含有することで、哺乳動物(例えば、非限定的に、ヒト)における特定の効能成績を調べることに適している、組成物を意味する。当業者であれば、活性成分が技術者の需要に基づく所望の効能成績を有するかどうかの確認に適した手法を、理解および認識している。
【0044】
用語「超生理学的」量」とは、健常人において確認される平均値と比較して上昇したホルモン値を表す。
【0045】
用語「生理学的量」とは、健常人において確認される平均的なホルモン値を表す。
【0046】
「治療有効量」または「有効量」とは、本明細書で使用される場合、研究者、獣医師、医師、または他の臨床医によって探求されている、組織、系、動物、個体、またはヒトにおける生物学的または医薬的な応答を誘発する活性化合物または医薬品の含量を指し、前記応答には以下のうちの1または複数が含まれる:(1)疾患の予防、例えば、疾患、異常、または障害に罹患し易くてもよいが、前記疾患の症状または総体的症状を未だ経験も呈しもしていない個体における、疾患、異常、または障害の予防、(2)疾患の抑制、例えば、疾患、異常、または障害の症状または総体的症状を経験または呈している個体における、疾患、異常、または障害の抑制(すなわち、症状および/または総体的症状のさらなる発生の抑止)、並びに、(3)疾患の改善、例えば、疾患、異常、または障害の症状または総体的症状を経験または呈している個体における、疾患、異常、または障害の改善(すなわち、症状および/または総体的症状の逆行)。
【0047】
用語「治療する(treat)」、「治療した(treated)」、「治療(treatment)」、または「治療すること(treating)」とは、本明細書で使用される場合、好ましくない生理的状態、障害もしくは疾患を予防もしくは遅延(低減)すること、または、有益もしくは所望の臨床結果を得ること、を目的とした、いくつかの実施形態における治療的処置と、他の実施形態における予防的または防止的な措置とを、両方指す。本明細書に記載の目的において、有益または所望の臨床結果としては、限定はされないが、症状の軽減;異常、障害、または疾患の程度の縮小;異常、障害、または疾患の状態の安定化(すなわち、悪化させないこと);異常、障害、または疾患の発症遅延または進行遅延;異常、障害、または疾患状態の改善;および、寛解(部分寛解でも完全寛解でもよい)が含まれ、検出可能であっても検出不可であってもよく、あるいは、異常、障害、または疾患の増強であっても改善であってもよい。治療には、過剰なレベルの副作用なく、臨床的に意義のある応答を誘発すること、を含む。治療には、治療を受けていない場合の予想生存と比較した場合の、生存の延長も含まれる。治療の予防的な恩恵には、異常の予防、異常の進行遅延、異常の安定化、または異常が発生する可能性の減少が含まれる。本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」、「治療した(treated)」、「治療(treatment)」、または「治療すること(treating)」には、いくつかの実施形態では予防も含まれる。
【0048】
本明細書では本発明の好ましい実施形態を示し説明してきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されていることは、当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換を直ちに思い付くであろう。本発明の実施に際し、本明細書に記載された本発明の実施形態に対し、様々な代替物が使用され得ることを理解されたい。添付の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定すること、及び、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法及び構造ならびにそれらの均等物も特許請求の範囲に包含されること、が意図される。
【0049】
化合物
本明細書において、3-(4-クロロ-2-(モルフォリン-4-イル)チアゾール-5-イル)-7-(1-エチルプロピル)-2,5-ジメチルピラゾロ(1,5-a)ピリミジン(または、4-(4-クロロ-5-(2,5-ジメチル-7-(ペンタン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)チアゾール-2-イル)モルホリン)、その薬剤的に許容できる塩、および/またはその溶媒和物が開示される。
【化3】
いくつかの実施形態では、4-(4-クロロ-5-(2,5-ジメチル-7-(ペンタン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)チアゾール-2-イル)モルホリンを化合物1と称する。いくつかの実施形態では、3-(4-クロロ-2-(モルフォリン-4-イル)チアゾール-5-イル)-7-(1-エチルプロピル)-2,5-ジメチルピラゾロ(1,5-a)ピリミジンを化合物1と称する。
【0050】
医薬組成物
難溶性薬剤は、高剪断湿式造粒法などの技術を用いての製剤化が難しい場合がある。難溶性薬剤の最適な送達には、固溶体無定形分散液(例えば、ホットメルトエクストルージョンまたは噴霧乾燥)、ナノ製剤、または脂質系製剤などの、複雑な技術が必要となる場合がある。疎水性の原薬は、USP基準によれば難溶性と見なされる場合があり、水および他の賦形剤との造粒が難しい場合があると知られているが、これは、即時放出型製剤用のほとんどの賦形剤が水溶性または水膨潤性であり得るためである。
【0051】
難溶性の高用量原薬の小型錠剤の作製は、高濃度の原薬を必要とする場合がある。しかし、薬剤濃度がある値を超えて増加するほど、顆粒の形成はより一層難しくなり、ある特定の薬剤量で顆粒の形成は不可能となり得る。
【0052】
1つの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は小児集団用の医薬組成物であってもよい。それ故、丸剤の嚥下を容易にし、患者の服薬遵守を増進するために、医薬組成物を可能な限り小さく維持することが必要となり得る。いくつかの実施形態では、錠剤重量は400mg未満である。いくつかの実施形態では、錠剤重量は300mg未満である。用量強度が200mgであるいくつかの実施形態では、錠剤内の薬剤量は50%よりも多い。用量強度が200mgであるいくつかの実施形態では、錠剤内の薬剤量は66%よりも多い。用量強度が200mgであるいくつかの実施形態では、薬剤量は可能な限り多くされる。
【0053】
本明細書において、化合物1、その薬剤的に許容できる塩、および/またはその溶媒和物を含む医薬組成物が開示される。
【0054】
剤形
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は単位剤形で提供される。本明細書で使用される場合、「単位剤形」とは、適正な医療行為に基づいた、単回投与における、動物対象、好ましくは哺乳動物対象、への投与に好適な量の化合物1を含有する組成物である。単回または単位剤形の調製は、しかしながら、その剤形が1日1回または1治療コースに1回投与されることを意味してはいない。そのような剤形は、1日に1回、2回、3回、またはそれ以上の回数投与されることが企図されており、また、一定期間に渡り(例えば、約30分~約2~6時間かけて)点滴として投与されてもよく、あるいは、持続点滴として投与されてもよく、また、単回投与が特に除外されるわけではないが、治療過程で2回以上与えられてもよい。
【0055】
医薬組成物は治療(または予防)対象の疾患に適した方法で投与される。適切な用量、並びに適切な投与期間および投与頻度は、患者の状態、患者の疾患の種類および重症度、活性成分の特定の形態、並びに投与法、などの要素によって決定されることとなる。通常、適切な用量および治療計画とは、治療効果および/または予防効果、例えば、完全寛解もしくは部分寛解の頻度増大、または無病期間および/もしくは全生存期間の延長、または症状の重症度の低減、などの臨床成績の改善、を達成するのに十分な量の組成物を与えるものである。最適用量は通常、実験モデルおよび/または臨床試験を用いて決定される。最適用量は患者の体格、体重、または血液量に基づいて決定される。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は経口剤形として製剤化される。好適な経口剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、サッシェ剤、カプセル剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、1または複数の薬剤的に許容できる賦形剤を追加で含む。薬剤的に許容できる賦形剤の列挙に際しては、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (Gennaro, 21st Ed. Mack Pub. Co., Easton, PA (2005)を参照されたい。
【0057】
カプセル剤
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物はカプセル剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は硬ゲルカプセル剤(hard gel capsule)として製剤化される。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は軟ゲルカプセル剤(soft gel capsule)として製剤化される。
【0058】
いくつかの実施形態では、前記カプセル剤は以下の材料を用いて形成され、例えば、天然ゼラチン、合成ゼラチン、ペクチン、カゼイン、コラーゲン、タンパク質、加工デンプン、ポリビニルピロリドン、アクリルポリマー、セルロース誘導体、またはこれらのあらゆる組み合わせ、が挙げられるがこれらに限定はされない。いくつかの実施形態では、前記カプセル剤は、保存剤、着色剤、不透明化剤、香味剤、甘味料、糖類、胃液抵抗性(gastroresistant)物質、またはこれらのあらゆる組み合わせ、を用いて形成される。いくつかの実施形態では、前記カプセル剤はコーティングされている。いくつかの実施形態では、前記カプセル剤を被覆する前記コーティングとしては、即放性コーティング、保護コーティング、腸溶または遅延放出コーティング、徐放コーティング、バリアコーティング、シールコーティング、またはこれらの組み合わせ、が挙げられるが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態では、本明細書におけるカプセル剤は硬カプセル剤または軟カプセル剤である。いくつかの実施形態では、前記カプセル剤はシームレスカプセル剤である。いくつかの実施形態では、前記カプセル剤を割ることで、微粒子物が軟らかい食べ物にふりかけられ、噛まずに飲み込まれる。また、実施形態によっては、前記カプセル剤の形状およびサイズが異なる。カプセル剤の形状の例としては、丸形、楕円形、円筒形、長楕円形、ツイストオフ形、非規格形状が挙げられるが、これらに限定はされない。前記カプセル剤のサイズは微粒子物の体積に基づいて変動してよい。いくつかの実施形態では、前記カプセル剤のサイズは微粒子物および粉末の体積に基づいて調整される。硬ゼラチンカプセル剤または軟ゼラチンカプセル剤は、上記の標準的なカプセル剤形状を含むシングルボディのユニットとして、従来法に従って製造してよい。シングルボディの軟ゼラチンカプセル剤は、通常、例えば、3~22ミニム(1ミニムは0.0616mLと等しい)のサイズの、楕円形、長楕円形などの形状で、提供してよい。前記ゼラチンカプセルは、例えば、シールされていてもシールされていなくてもよい、通常は標準的な形状の、従来的には(000)、(00)、(0)、(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)と称される各種標準サイズの、ツーピースの硬ゼラチンカプセル剤として、従来法に従って製造してもよい。最も大きな数字が最も小さなサイズに対応している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の前記医薬組成物(例えば、カプセル剤)は丸飲みにされる。
【0059】
いくつかの実施形態では、前記カプセル剤は、1または複数の薬剤的に許容できる賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、前記カプセル剤は追加の賦形剤を含まない。
【0060】
いくつかの実施形態では、カプセル剤は不溶性の原薬用に開発、製造、市販される。いくつかの実施形態では、水への溶解性が0.002mg/mL未満である場合、原薬は不溶性である。いくつかの実施形態では、前記カプセル剤は最大200mgの用量強度を有する。いくつかの実施形態では、USP装置Iを用いて、前記カプセル剤中の原薬が溶出溶媒中に即時放出される。いくつかの実施形態では、USP装置IIを用いて、前記カプセル剤中の原薬が溶出溶媒中に即時放出される。
【0061】
錠剤
不溶性薬剤は、高剪断湿式造粒法などの標準的な技術を用いての製剤化が難しい場合がある。不溶性薬剤の最適な送達には、固溶体無定形分散液(ホットメルトエクストルージョンまたは噴霧乾燥)、ナノ製剤、または脂質系製剤などの、複雑な技術が必要となる場合がある。疎水性の原薬は、USP基準によれば不溶性と見なされる場合があり、水および他の賦形剤との造粒が難しい場合があると知られている。これは、おそらくは、最も知られている即放性製剤用の賦形剤が水溶性または水膨潤性であるためである。不溶性の高用量原薬の錠剤の作製は、高濃度の原薬を必要とする場合がある。しかし、薬剤濃度がある値を超えて増加するほど、顆粒の形成はより一層難しくなり得る。さらに、ある特定の薬剤量で、顆粒の形成は不可能となり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は錠剤として製剤化される。
【0063】
いくつかの実施形態では、前記錠剤は、所望により1または複数の薬剤的に許容できる賦形剤を含んで、圧縮、成形、または押出によって作製される。いくつかの実施形態では、圧縮錠剤は、化合物1を、所望により薬剤的に許容できる賦形剤と混合して、フリーフロー状に圧縮することで作製される。いくつかの実施形態では、成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた化合物1粉末の混合物を成形により作成される。いくつかの実施形態では、この錠剤はホットメルトエクストルージョンによって作製される。いくつかの実施形態では、押出錠剤は、化合物1を含む混合物を、管理された条件下でオリフィスまたはダイから押し出すことによって作製される。いくつかの実施形態では、前記錠剤はコーティング錠剤または割線入り錠剤である。いくつかの実施形態では、前記錠剤は、化合物1を遅延放出または制御放出するように製剤化される。いくつかの実施形態では、錠剤は不溶性の原薬用に開発、製造、市販される。いくつかの実施形態では、水への溶解性が0.002mg/mL未満である場合、原薬は不溶性である。いくつかの実施形態では、前記錠剤は最大200mgの用量強度を有する。いくつかの実施形態では、USP装置Iを用いて、前記錠剤中の原薬が溶出溶媒中に即時放出される。いくつかの実施形態では、USP装置IIを用いて、前記錠剤中の原薬が溶出溶媒中に即時放出される。
【0064】
いくつかの実施形態では、前記錠剤サイズは、約1000mg未満、約800mg未満、約600mg未満、約400mg未満、または約200mg未満である。いくつかの実施形態では、前記錠剤は、約50mg超、約100mg超、約150mg超、約200mg超、または約250mg超の用量強度を有する。いくつかの実施形態では、前記錠剤サイズは約1000mg未満であり、用量強度は約50mg超である。いくつかの実施形態では、前記錠剤サイズは800mg未満であり、用量強度は約100mg超である。いくつかの実施形態では、前記錠剤サイズは600mg未満であり、用量強度は約150mg超である。いくつかの実施形態では、前記錠剤サイズは400mg未満であり、用量強度は約200mg超である。いくつかの実施形態では、前記錠剤サイズは400mg未満であり、用量強度は200mgである。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約20%超が従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約40%超が従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約50%超が従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約60%超が従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約70%超が従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約80%超が従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約20%超が24時間未満で従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約20%超が12時間未満で従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約20%超が6時間未満で従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約20%超が3時間未満で従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約20%超が2時間未満で従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約20%超が60分未満で従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約40%超が60分未満で従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約50%超が60分未満で従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約60%超が60分未満で従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約70%超が60分未満で従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の約80%超が60分未満で従来の溶媒に溶解する。いくつかの実施形態では、前記錠剤の70%超が60分で従来の溶媒に溶解する。
【0065】
いくつかの実施形態では、前記錠剤は商業規模で製造される。
【0066】
いくつかの実施形態では、前記錠剤は1または複数の薬剤的に許容できる賦形剤を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、前記錠剤はコーティング材料、例えばシーラント、でコーティングされている。いくつかの実施形態では、前記コーティング材料は水溶性である。いくつかの実施形態では、前記コーティング材料は、ポリマー、可塑剤、顔料、またはこれらのあらゆる組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記コーティング材料は、フィルムコーティングの形態をとり、例えば、光沢フィルム、pH非依存性フィルムコーティング、水性フィルムコーティング、ドライパウダーフィルムコーティング(例えば、完全ドライパウダーフィルムコーティング)、またはこれらのあらゆる組み合わせ、である。いくつかの実施形態では、前記コーティング材料は高粘着性である。いくつかの実施形態では、前記コーティング材料は低レベルの水浸透性を与える。いくつかの実施形態では、前記コーティング材料は酸素バリア保護を与える。いくつかの実施形態では、前記コーティング材料は化合物1の高速放出のための即時崩壊を可能にする。いくつかの実施形態では、前記コーティング材料は、着色されているか、透明であるか、または白色である。いくつかの実施形態では、前記コーティングは腸溶コーティングである。例示的なコーティング材料としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリレート-メタクリル酸コポリマー、メタクリレート-メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、セルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、セルロースアセテートトリメリテート、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、およびこれらのあらゆる組み合わせ、が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0068】
薬剤的に許容できる賦形剤
いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は薬剤的に許容できる賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は薬剤的に許容できる賦形剤を含まない。用語「薬剤的に許容できる賦形剤」とは、本明細書で使用される場合、哺乳動物への投与に好適な、1または複数の、相溶性の、固体または被包物質を意味する。用語「相溶性」とは、本明細書で使用される場合、通常の使用状況で、組成物の医薬品としての有効性を大幅に低減するであろう相互作用を起こさないように、組成物の各成分が、主題の化合物と、且つ、互いと、混合可能であること、を意味する。いくつかの実施形態では、前記薬剤的に許容できる賦形剤は、投与、好ましくは治療対象の動物への投与、好ましくは治療対象の哺乳動物への投与、に好適となるように、十分に高い純度と、十分に低い毒性とを有する。
【0069】
薬剤的に許容できる賦形剤として使用できる物質のいくつかの例として、以下が挙げられる:
・アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンなどのアミノ酸。いくつかの実施形態では、前記アミノ酸はアルギニンである。いくつかの実施形態では、前記アミノ酸はL-アルギニンである。
・グルコース(ブドウ糖)、アラビノース、マンニトール、フルクトース(レブロース)、およびガラクトースなどの単糖類。
・カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびメチルセルロースなどのセルロースおよびその誘導体。
・タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、およびフマル酸ステアリルナトリウムなどの固体滑沢剤。
・プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリマー。
・ポリソルベートなどの乳化剤。
・ラウリル硫酸ナトリウム、Tween(登録商標)、Span、アルキル硫酸塩、およびアルキルエトキシレートスルフェートなどの湿潤剤。
・セトリミド、塩化ベンザルコニウム、および塩化セチルピリジニウムなどの陽イオン界面活性剤。
・炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、リン酸カルシウム、デンプン、アルファ化でんぷん、炭酸ナトリウム、マンニトール、およびラクトースなどの希釈剤。
・デンプン(コーンスターチおよびジャガイモデンプン)、ゼラチン、スクロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などの結合剤。
・デンプン、およびアルギン酸などの崩壊剤。
・Ac-Di-Sol、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、およびクロスポビドンなどの超崩壊剤。
・二酸化ケイ素などの流動促進剤。
・FD&C色素などの着色料。
・アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント、および果実フレーバーなどの甘味剤および香味剤。
・塩化ベンザルコニウム、PHMB、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀(phenylmercuric, acetate)、硝酸フェニル水銀、パラベン、および安息香酸ナトリウムなどの保存剤。
・塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、およびグリセリンなどの等張化剤。
・亜硫酸水素ナトリウム、アセトン-重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒド‐スルホキシル酸ナトリウム、チオ尿素、およびEDTAなどの抗酸化剤。
・NaOH、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HCl、およびクエン酸などのpH調整剤。
・リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、並びに、炭水化物(例えば、ブドウ糖、マンニトール、およびデキストラン)などの凍結保護物質。
・ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤。例えば、などの陽イオン界面活性剤セトリミド(ドデシルおよびヘキサデシル化合物を含むテトラデシルトリメチルアンモニウムブロミドを含む)、塩化ベンザルコニウム、および塩化セチルピリジニウム。陰イオン界面活性剤のいくつかの例としては、アルキル硫酸塩、アルキルエトキシレートスルフェート、石けん、カルボン酸イオン(carxylate ion)、硫酸イオン、およびスルホン酸イオンがある。非イオン性界面活性剤のいくつかの例としては、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシプロピレン誘導体、ポリオール誘導体、ポリオールエステル、ポリオキシエチレンエステル、ポロキサマー、グリコール(glocol)、グリセロールエステル、ソルビタン誘導体、ポリエチレングリコール(PEG-40、PEG-50、およびPEG-55など)、および脂肪族アルコールエステルがある。
・炭水化物、加工炭水化物、ラクトース(α-ラクトース・一水和物(a-lactose, monohydrate) 噴霧乾燥ラクトース、無水のラクトースを含む)、デンプン、アルファ化でんぷん、スクロース、マンニトール、ソルビトール(sorbital)、セルロース(粉末セルロースおよび微結晶性セルロースを含む)などの有機物質。
・リン酸カルシウム(無水リン酸水素カルシウム(anhydrous dibasic calcium hosphate)、リン酸水素カルシウム、第三リン酸カルシウムを含む)などの無機物質。
・コプロセス希釈剤(co-processed diluent)。
・圧縮助剤(compression aid)。
・二酸化ケイ素およびタルクなどの貼り付き防止剤(anti-tacking agent)。
【0070】
含量
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約200mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約100mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約90mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約80mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約70mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約60mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約50mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約40mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約30mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約20mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約10mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約5mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約5mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約1mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約5mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約10mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約10mg~約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約10mg~約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約10mg~約200mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約10mg~約100mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約10mg~約90mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約10mg~約80mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約10mg~約70mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約10mg~約60mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約20mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約20mg~約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約20mg~約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約20mg~約200mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約20mg~約100mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約20mg~約90mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約20mg~約80mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約20mg~約70mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約20mg~約60mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約30mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約30mg~約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約30mg~約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約30mg~約200mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約30mg~約100mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約30mg~約90mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約30mg~約80mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約30mg~約70mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約30mg~約60mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約40mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約40mg~約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約40mg~約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約40mg~約200mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約40mg~約100mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約40mg~約90mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約40mg~約80mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約40mg~約70mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約40mg~約60mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約50mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約50mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約50mg~約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約50mg~約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約50mg~約200mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約50mg~約100mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約50mg~約90mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約50mg~約80mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、約50mg~約70mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約100mg~約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約100mg~約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約100mg~約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約150mg~約250mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約100mg~約200mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約500mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約300mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約250mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約200mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約150mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約100mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約90mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約80mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約70mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約60mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約50mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約40mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約30mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約20mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、約10mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む。
【0078】
粒径
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を、微小粒子の形態で含む。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約1μm~約100μmの平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約1μm~約50μmの平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約1μm~約30μmの平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約1μm~約20μmの平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約5μm~約15μmの平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約1μm~約10μmの平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約3μm~約10μmの平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約4μm~約9μmの平均サイズを有する。
【0079】
いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約100μm未満の平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約80μm未満の平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約60μm未満の平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約50μm未満の平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約40μm未満の平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約30μm未満の平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約20μm未満の平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、化合物1の微小粒子は約10μm未満の平均サイズを有する。
【0080】
薬物動態学
いくつかの実施形態では、化合物1は、対象におけるTmaxが約1~約8時間となるように、カプセル剤または錠剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、化合物1は、対象におけるTmaxが約2~約7時間となるように、カプセル剤または錠剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、化合物1は、対象におけるTmaxが約2~約6時間となるように、カプセル剤または錠剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、化合物1は、対象におけるTmaxが約3~約5時間となるように、カプセル剤または錠剤として製剤化される。
【0081】
いくつかの実施形態では、化合物1は、対象におけるTmaxが約8時間となるように、カプセル剤または錠剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、化合物1は、対象におけるTmaxが約7時間となるように、カプセル剤または錠剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、化合物1は、対象におけるTmaxが約6時間となるように、カプセル剤または錠剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、化合物1は、対象におけるTmaxが約5時間となるように、カプセル剤または錠剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、化合物1は、対象におけるTmaxが約4時間となるように、カプセル剤または錠剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、化合物1は、対象におけるTmaxが約3時間となるように、カプセル剤または錠剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、化合物1は、対象におけるTmaxが約2時間となるように、カプセル剤または錠剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、化合物1は、対象におけるTmaxが約1時間となるように、カプセル剤または錠剤として製剤化される。
【0082】
安定性
本明細書に記載の医薬組成物は、冷蔵条件、周囲条件、および促進条件をはじめとする、様々な保存条件で安定である。安定とは、本明細書で使用される場合、医薬組成物が、所与の保存期間の終了時に、化合物1の初期含量の約95%以上を含み、不純物または関連物質が全体として約5%(w/w)以下であること、を指す。不純物の割合は、化合物1の含量に対する不純物の含量から計算する。安定性はHPLCによって、または他のいかなる公知の検査法によっても評価される。いくつかの実施形態では、安定な医薬組成物は、約5%(w/w)、約4%(w/w)、約3%(w/w)、約2.5%(w/w)、約2%(w/w)、約1.5%(w/w)、約1%(w/w)、または約0.5%(w/w)の不純物または関連物質を全体として含む。他の実施形態では、安定な医薬組成物は、約5%(w/w)の不純物または関連物質を全体として含む。さらに他の実施形態では、安定な医薬組成物は、約4%(w/w)の不純物または関連物質を全体として含む。さらに他の実施形態では、安定な医薬組成物は、約3%(w/w)の不純物または関連物質を全体として含む。さらに他の実施形態では、安定な医薬組成物は、約2%(w/w)の不純物または関連物質を全体として含む。さらに他の実施形態では、安定な医薬組成物は、約1%(w/w)の不純物または関連物質を全体として含む。
【0083】
冷蔵条件では、本明細書に記載の前記医薬組成物は、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも3か月間、少なくとも6か月間、少なくとも9か月間、少なくとも12か月間、少なくとも15か月間、少なくとも18か月間、少なくとも24か月間、少なくとも30か月間、少なくとも36か月間、安定である。いくつかの実施形態では、冷蔵条件は5±5℃である。いくつかの実施形態では、冷蔵条件は、約0℃、約0.1℃、約0.2℃、約0.3℃、約0.4℃、約0.5℃、約0.6℃、約0.7℃、約0.8℃、約0.9℃、約1℃、約1.1℃、約1.2℃、約1.3℃、約1.4℃、約1.5℃、約1.6℃、約1.7℃、約1.8℃、約1.9℃、約2℃、約2.1℃、約2.2℃、約2.3℃、約2.4℃、約2.5℃、約2.6℃、約2.7℃、約2.8℃、約2.9℃、約3℃、約3.1℃、約3.2℃、約3.3℃、約3.4℃、約3.5℃、約3.6℃、約3.7℃、約3.8℃、約3.9℃、約4℃、約4.1℃、約4.2℃、約4.3℃、約4.4℃、約4.5℃、約4.6℃、約4.7℃、約4.8℃、約4.9℃、約5℃、約5.1℃、約5.2℃、約5.3℃、約5.4℃、約5.5℃、約5.6℃、約5.7℃、約5.8℃、約5.9℃、約6℃、約6.1℃、約6.2℃、約6.3℃、約6.4℃、約6.5℃、約6.6℃、約6.7℃、約6.8℃、約6.9℃、約7℃、約7.1℃、約7.2℃、約7.3℃、約7.4℃、約7.5℃、約7.6℃、約7.7℃、約7.8℃、約7.9℃、約8℃、約8.1℃、約8.2℃、約8.3℃、約8.4℃、約8.5℃、約8.6℃、約8.7℃、約8.8℃、約8.9℃、約9℃、約9.1℃、約9.2℃、約9.3℃、約9.4℃、約9.5℃、約9.6℃、約9.7℃、約9.8℃、約9.9℃、または約10℃である。促進条件では、本明細書に記載の前記医薬組成物は、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも3か月間、少なくとも4か月間、少なくとも5か月間、少なくとも6か月間、少なくとも7か月間、少なくとも8か月間、少なくとも9か月間、少なくとも10か月間、少なくとも11か月間、少なくとも12か月間、少なくとも18か月間、または少なくとも24か月間、安定である。本明細書に記載の医薬組成物に対する促進条件としては、周囲温度レベル(例えば、25±5℃)以上の温度が含まれる。ある場合では、促進条件は約40±2℃である。ある場合では、促進条件は約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、または約60℃である。本明細書に記載の医薬組成物に対する促進条件としては、周囲湿度レベル(55±10%相対湿度(RH))以上のRHも含まれる。他の場合では、促進条件は約65%RH、約70%RH、約75%RH、または約80%RHである。別の場合では、促進条件は周囲湿度で約40℃または60℃である。さらに別の場合では、促進条件は75±5%RHの湿度で約40±2℃である。
【0084】
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は約5±5℃~約25±5℃で少なくとも12か月間安定である。一実施形態では、前記医薬組成物は約5±5℃で少なくとも12か月間安定である。一実施形態では、前記医薬組成物は約25±5℃で少なくとも12か月間安定である。一実施形態では、前記医薬組成物は約5±5℃で少なくとも24か月間安定である。一実施形態では、前記医薬組成物は約25±5℃で少なくとも24か月間安定である。
【0085】
使用法
本明細書において、治療を必要とする対象の先天性副腎過形成(CAH)を治療する方法であって、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法が開示される。いくつかの実施形態では、CAHは古典的CAHである。いくつかの実施形態では、CAHは非古典的CAHである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、ホルモン値の減少をもたらす。このようなホルモンとしては、デオキシコルチコステロン、11-デオキシコルチゾル、コルチゾル、コルチコステロン、アルドステロン、プレグネノロン、17α-ヒドロキシプレグネノロン、プロゲステロン、17α-ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロステンジオール、アンドロステンジオン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、エストロン、エストラジオール、エストリオール、および副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、17α-ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)(別名コルチコトロピン)の減少をもたらす。
【0086】
また、本明細書では、治療を必要とする対象の先天性副腎過形成(CAH)を治療する方法であって、
(i)前記治療を必要とする対象のホルモン値を測定すること、
(ii)化合物1、
【化4】
またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、を投与すること、および、
(iii)前記ホルモン値が所定範囲に達するまで工程(i)および工程(ii)を繰り返した後、化合物1の毎日投与により維持療法を行うこと、
を含む方法が開示される。
【0087】
いくつかの実施形態では、前記ホルモンは、17α-ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、テストステロン、またはアンドロステンジオンである。
【0088】
いくつかの実施形態では、前記ホルモンは17-OHPであり、前記所定範囲は約200ng/dL~約400ng/dLである。いくつかの実施形態では、前記ホルモンは17-OHPであり、前記所定範囲は約400ng/dL未満、約350ng/dL未満、約300ng/dL未満、約250ng/dL未満、または約200ng/dL未満である。
【0089】
いくつかの実施形態では、前記ホルモンはACTHであり、前記所定範囲は約100pg/mL未満である。いくつかの実施形態では、前記ホルモンはACTHであり、前記所定範囲は約100pg/mL未満、約90pg/mL未満、または約80pg/mL未満である。
【0090】
いくつかの実施形態では、前記ホルモンはテストステロンであり、前記所定範囲は約14ng/dL~約76ng/dLである。いくつかの実施形態では、前記ホルモンはテストステロンであり、前記所定範囲は約76ng/dL未満、約70ng/dL未満、約65ng/dL未満、約60ng/dL未満、約55ng/dL未満、約50ng/dL未満、約45ng/dL未満、約40ng/dL未満、約35ng/dL未満、約30ng/dL未満、約25ng/dL未満、約20ng/dL未満、または約15ng/dL未満である。
【0091】
いくつかの実施形態では、前記ホルモンはアンドロステンジオンであり、男性において前記所定範囲は約30ng/dL~約200ng/dLである。いくつかの実施形態では、前記ホルモンはアンドロステンジオンであり、男性において前記所定範囲は約200ng/dL未満、約150ng/dL未満、約100ng/dL未満、約50ng/dL未満、または約30ng/dL未満である。
【0092】
いくつかの実施形態では、前記ホルモンはアンドロステンジオンであり、女性において前記所定範囲は約40ng/dL~約150ng/dLである。いくつかの実施形態では、前記ホルモンはアンドロステンジオンであり、女性において前記所定範囲は約150ng/dL未満、約100ng/dL未満、約50ng/dL未満、または約40ng/dL未満である。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を含む前記医薬組成物の、月1回、月2回、月3回、週1回、週2回、週3回、2日に1回、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を、1日1回投与する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物を、1日2回投与する。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、1日に約1mg~約2000mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物の投与を含む。いくつかの実施形態では、約100mg~約1600mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約200mg~約1600mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約200mg~約1200mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約200mg~約1000mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約200mg~約800mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約100mg~約800mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約200mg~約800mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約100mg~約600mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約200mg~約600mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約300mg~約600mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約100mg~約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約200mg~約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約300mg~約400mgの化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、毎日投与される。
【0095】
いくつかの実施形態では、約2000mg未満の化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約1800mg未満の化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約1600mg未満の化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約1400mg未満の化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約1200mg未満の化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約1000mg未満の化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約800mg未満の化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約600mg未満の化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約500mg未満の化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約400mg未満の化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約300mg未満の化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。いくつかの実施形態では、約200mg未満の化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、1日につき投与される。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の医薬組成物の投与を含み、対象は食事摂取状態である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の医薬組成物の投与を含み、対象は絶食状態である。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、就寝時の、本明細書に記載の医薬組成物の投与を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、就寝の約4時間前までの、本明細書に記載の医薬組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、就寝の約3時間前までの、本明細書に記載の医薬組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、就寝の約2時間前までの、本明細書に記載の医薬組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、就寝の約1時間前までの、本明細書に記載の医薬組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、就寝の約30分前までの、本明細書に記載の医薬組成物の投与を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、夜間の、本明細書に記載の医薬組成物の投与を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、午後11時頃の、本明細書に記載の医薬組成物の夜間投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、午後10時頃の、本明細書に記載の医薬組成物の夜間投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、午後9時頃の、本明細書に記載の医薬組成物の夜間投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、午後8時頃の、本明細書に記載の医薬組成物の夜間投与を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の日周的放出の予想時刻における、またはそれ以前の、本明細書に記載の医薬組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の日周的放出の予想時刻の約3~4時間前の、本明細書に記載の医薬組成物の投与を含む。
【0102】
併用療法
本明細書において、治療を必要とする対象の先天性副腎過形成(CAH)を治療する方法であって、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および糖質コルチコイド、を組み合わせて投与することを含む、前記方法が開示される。いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物の投与を含まない方法と比較した場合に糖質コルチコイドの投与量が減少している。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、糖質コルチコイドの投与量を超生理学的量から生理学的量まで減少させる。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、高用量糖質コルチコイド療法に付随する症状を低減させる。いくつかの実施形態では、前記高用量糖質コルチコイド療法に付随する症状は、肥満症、インスリン抵抗性、代謝異常症、高血圧症、心血管疾患、または骨粗しょう症である。
【0105】
いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物の投与を含まない方法と比較した場合に、糖質コルチコイドの投与量は約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約80、または約90%減少する。いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物の投与を含まない方法と比較した場合に、糖質コルチコイドの投与量は約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、または約60%減少する。
【0106】
いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物の投与を含まない方法と比較した場合に、糖質コルチコイドの投与量は約1%~約90%、約1%~約60%、約1%~約30%、約1%~約10%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、約15%~約25%、約20%~約30%、約5%~約25%、約20%~約50%、約30%~約60%、または約40%~約70%減少する。
【0107】
いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは、約0.1mg/日~約25mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約1mg/日~約20mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約1mg/日~約15mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約1mg/日~約12mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約1mg/日~約11mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約1mg/日~約10mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約1mg/日~約9mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約1mg/日~約8mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約1mg/日~約7mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約1mg/日~約6mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約1mg/日~約5mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約1mg/日~約4mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約1mg/日~約3mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約1mg/日~約2mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約3mg/日~約13mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約5mg/日~約11mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約8mg/日~約11mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約9mg/日~約12mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約9mg/日~約10mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは約5mg/日~約10mg/日の用量で投与される。
【0108】
いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および前記糖質コルチコイドは、同時に投与される。いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および前記糖質コルチコイドは、1つの医薬組成物に含まれて投与される。いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および前記糖質コルチコイドは、別々の医薬組成物に含まれて同時に投与される。
【0109】
いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および前記糖質コルチコイドは逐次投与される。いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および前記糖質コルチコイドは24時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および前記糖質コルチコイド12時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および前記糖質コルチコイド8時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および前記糖質コルチコイド6時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および前記糖質コルチコイド4時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および前記糖質コルチコイド2時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および前記糖質コルチコイドは1時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および前記糖質コルチコイドは30分以内に投与される。いくつかの実施形態では、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および前記糖質コルチコイドは10分以内に投与される。
【0110】
いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドは、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、またはトリアムシノロンである。いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドはヒドロコルチゾンである。
【0111】
いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドはヒドロコルチゾンであり、その投与量は推奨用量である15~25mg/日未満である。
【0112】
いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドはプレドニゾンであり、その投与量は推奨用量である5~7.5mg/日未満である。
【0113】
いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドはプレドニゾロンであり、その投与量は推奨用量である4~6mg/日未満である。
【0114】
いくつかの実施形態では、前記糖質コルチコイドはデキサメタゾンであり、その投与量は推奨用量である0.25~0.5mg/日未満である。
【0115】
本明細書において、治療を必要とする対象の先天性副腎過形成(CAH)を治療する方法であって、化合物1、またはその薬剤的に許容できる塩もしくは溶媒和物と、糖質コルチコイドと、所望により鉱質コルチコイドと、を組み合わせて投与することを含む、前記方法が開示される。いくつかの実施形態では、前記鉱質コルチコイドはフルドロコルチゾンであり、その用量は推奨用量である0.05~0.2mg/日未満である。
【実施例
【0116】
以下の実施例により本発明のさらなる説明がなされるが、本発明の範囲を何ら限定するものではないと解釈されたい。特に、処理条件は単なる例示であり、当業者であれば容易に変更可能である。
【0117】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で特に明記しない限り、あるいは文脈と明らかに矛盾しない限り、適切な順序で実行できる。本明細書で提供される任意および全ての例、または例示的な表現(例えば、「など」)の使用は、本発明をより理解され易くすることのみを目的としており、特許請求の範囲に特に記載がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。特に記載がない限り、本明細書で使用される専門用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により共通に理解されるものと同じ意味を有する。
【0118】
実施例1:医薬組成物
本医薬組成物は、10μm以下の平均サイズに微粒子化された化合物1を200mg含有する、サイズ1の白色の硬ゼラチンカプセル剤として製造する。前記医薬組成物には追加の賦形剤は含有させない。
【0119】
実施例2:医薬組成物の安定性
安定性データの概要
前記医薬組成物の安定性試験の概要を表1に記載する。前記医薬組成物は、純粋な化合物1を、賦形剤は何も加えずに、3つの強度構成(1mg、5mg、および50mg)で、サイズ0のカプセル剤に充填したものである。このカプセル剤はポリ塩化ビニル(PVC)系フィルムにブリスター包装した。
【0120】
長期の促進条件の下、安定性試験を通じて評価を行った特性のいずれについても、3つのロットにおいて、顕著な傾向は確認されなかった。
【表1】
【0121】
安定性試験プロトコル
種々の医薬組成物に対しての安定性試験プロトコルを表2、表3、および表4に記載する。
【表2】

【表3】

【表4】
【0122】
これらの裏付けデータは、前記医薬組成物が最低6か月間(試験終了まで)安定であることを示している。長期条件下と促進条件下とで有害な傾向は確認されなかった。定量結果は試験全体を通じて一貫しており、安定性試験の間に新たな関連物質種は観察されなかった。ブリスター包装構成で保存されたロットに関する安定性結果の報告は、30mL HDPE製ボトル、インダクションシール、およびチャイルドレジスタンスキャップ、という更新された包装構成を支持するものであると考えられる。いずれの構成も賦形剤を含まず、且つ、遮光される。
【0123】
実施例3:第1相臨床試験
2つの第1相試験で、健常成人志願者において、化合物1について調べた。
【0124】
第1試験は最初のヒト試験であり、単回の漸増用量の化合物1を健常成人対象に経口投与して、その安全性、忍容性、およびPKを調べた。安全性および忍容性は、広範囲の単回経口用量に亘って評価を行い、用量漸増については、直前の用量から得られた安全性データの精査後に進めた。本試験から得られたデータを用いて、第2試験に向けた用量選択を行った。
【0125】
2部から成る反復投与試験である第2試験では、一日量の化合物1を反復した場合の安全性および忍容性を決定し、アルコール依存の治療に関連があるバイオマーカーに対する作用を調べた。パートBでは、化合物1とミダゾラム(シトクロムP450 3A4[CYP3A4]の基質)との相互作用を調べ、化合物1が、CYP3A4により代謝される薬剤の代謝を有意に阻害するかどうかを確かめた。
【0126】
第1試験では、化合物1を、食事摂取状態の健常成人対象に対しては2、10、50、150、400、または800mgの単回経口用量として、および、絶食状態の健常成人対象に対しては150mgの単回経口用量として、投与した。食事摂取状態では、吸収はやや遅めに起こり、投与の4~6時間後にCmaxピークに到達した。
【0127】
表5は、各用量レベルにおいてのPKパラメーターをまとめたものである。食事摂取状態に化合物1を投与した場合、最高血漿中濃度到達時間(Tmax)中央値は、4~6時間の間に生じた。絶食状態に150mgの化合物1を投与した場合、Tmaxの中央値は10.05時間であり、6~12時間の範囲を取り、絶食状態では吸収の遅延が起こり得ることが示唆された。単回経口用量後の平均半減期(t1/2)(食事摂取状態および絶食状態)は、31~44時間であり、11~101時間の範囲を取った。見かけの分布容積(V/F)は大きく、かなりのばらつきがあり、最も大きなばらつきは上から2つの用量レベル、400mgおよび800mg、で見られた。
【表5】
【0128】
この単回投与漸増試験の一環として、PKに対する食餌の影響を調査し、食事摂取状態と絶食状態との両方における、150mgの用量レベルの化合物1への暴露について調べた。これら2つの投与群のそれぞれにおいて、合計6人の対象に150mgの化合物1を投与した。これら6人の対象のうち、4人の対象が、食事摂取状態および絶食状態の両方において、同一用量の化合物1の投与を受けた。絶食状態における化合物1の投与では、標準化された朝食後の5分以内に得られた同一用量における平均的なプロファイルと比較した場合に、かなりフラットな平均濃度-時間(すなわち、吸収が著しく少ない)プロファイルが得られた。食事摂取状態、用量150mgの場合のAUC0-∞およびCmaxの平均値は、絶食状態の場合のそれらよりも、それぞれ約3倍および約11倍大きかった。表6は、食事摂取条件および絶食状態条件の両方において、用量レベルが150mgである場合の、PKパラメーターをまとめたものである。
【表6】
【0129】
食事摂取状態で投与した場合の50~800mgの化合物1の用量比例性について、PKパラメーターのAUC0-∞およびCmaxを個々に解析した。この解析の結果、用量が倍増する毎に、AUC0-∞は、用量比例性に基づく予測よりも、1.74倍より多く増加すると予測できることが示唆された。Cmaxは用量比例性を超えているように見えたが、90%信頼区間が部分的にしか0.8~1.25の区間内にないため、正式な検定では判定不能となった。食事摂取状態において各種用量を投与した場合の用量比例性について、AUC0-∞またはCmaxからは、結論を得られなかった。
【0130】
また、反復投与用量漸増試験である第2試験において、PKを評価した。試験のパートAでは、対象を3つのコホートに分け、50mg、150mg、または200mgの化合物1またはプラセボを14日連続投与した(各コホートで、少なくとも6人の対象に化合物1を投与し、2人の対象にプラセボを投与した)。化合物1の血中濃度は、投与の2週間後には定常状態の値近くとなり、蓄積率は2.51~3.65であった。パートBで化合物1とミダゾラム(CYP3 A4の基質)との相互作用を調べることで、この化合物がCYP3 A4により代謝される薬剤の代謝を有意に阻害するかどうかを確かめた 連続的に血液試料を採取し、化合物1の単回投与を実施した後および定常状態時の試験薬の血漿中濃度を求めた。全ての投与は食事摂取状態に対して行った。投与期間の前と、投与期間中の両方において、日中(diurrnal)コルチゾルレベルの評価と、グルコースクランプの条件下での前記評価を、行った。
【0131】
全体として、化合物1の濃度時間プロファイルからは、吸収がやや遅く、経口投与の中央値5時間後にCmaxに達することが示された。上述の単回投与試験(第1試験)と一致して、濃度は双指数関数的に減少しているように思われ、特徴としては最初の24時間に急速に減少した。多回毎日投与を2週間行った後、化合物1のt1/2は100時間を超え;すなわち、化合物1の蓄積率は2.51~3.65となった(表7参照)。Tmaxは各用量を通じて一貫しているように思われた。全体的に、半減期、重量で正規化したCL/FおよびV/Fは150mgと200mgとで一貫していた。しかし、後者2つのパラメーター値は50mgの用量レベルではほぼ倍であった。見かけのクリアランスおよび分布容積のばらつき(CV%)は大きかったが、重量で正規化しても減少しなかった。
【表7】
【0132】
表8は、試験された用量範囲に亘る、AUC0-24およびCmaxについての、用量比例性の評価結果を示している。AUC0-24およびCmaxについて、1日目および14日目における傾きの調整平均は全て1を超える値であったが、このことは、用量の増加によるAUC0-24およびCmaxの値の増加が比例値よりも若干多いことを示している。
【表8】
【0133】
安全性
2つの第1相試験で(第1試験および第2試験)、健常成人志願者において、化合物1の安全性を評価した。両方の試験で、有害事象(AE)、臨床検査、生命徴候(臥位血圧および脈拍数)、および心電図(ECG)を評価した。全体として、第1試験において、化合物1は良好な忍容性を示した。化合物1は、多回用量の場合、200mgまでは、試験された健常対象集団において概して良好な忍容性を示した。
【0134】
第1試験では、アルコール依存の治療に関連があるバイオマーカーに対する影響を調べた。以下のARCI-49(Addiction Research Center Inventory Questionnaire)の5つのクラスターを用いて、プラセボに対して化合物1の作用を比較した:多幸感の尺度となる、モルヒネ-ベンゼドリングループ(Morphine-Benzedrine Group)評価尺度;不快性および身体的変化を評価する、リゼルグ酸ジエチルアミドグループ(Acid-Diethylamide Group)評価尺度;鎮静の尺度となる、ペントバルビタール-クロルプロマジン-アルコールグループ(Pentobarbital-Chlorpromazine-Alcohol Group)評価尺度;知的効率および活力の尺度となる、ベンゼドリングループ(Benzedrine Group)(BG);d-アンフェタミンの作用の尺度となる、アンフェタミングループ(Amphetamine Group)評価尺度。それぞれのクラスターで、ベースラインからの変化においても、プラセボを超えた差異においても、系統的パターンや用量反応性は確認されなかった。
【0135】
要約すると、800mgまでの単回経口用量および200mgまでの多回用量の化合物1が、健常な男性対象と女性対象において良好な忍容性を示した。
【0136】
実施例4:第2相反復投与用量漸増臨床試験
第2相試験のコホートAは、古典的CAH成人患者の治療を目的とした、化合物1の、6週間に亘る反復投与用量漸増試験を含む。スクリーニング後、適格患者は、6週間の治療期間と、その後の4週間の休薬/安全性追跡調査期間と、に組入れられることとする。
【0137】
このコホートは、9人程度の患者において実施されるものとし、患者は化合物1を最長6週間、毎日投与されるものとする。化合物1は経口一日量として投与されるものとする。患者は、3つの漸増投与強度を通じて、2週間間隔で化合物1の用量設定を行われるものとする。患者はベースライン時にオーバーナイトのPK/PD評価を実施されるものとし、この評価は、投与前のオーバーナイトのPK/PD評価と、初回用量の投与後に、投与後のオーバーナイトのPK/PD評価と、を含む。2週間の投与期間が終わる毎に、患者は、定常状態のPK/PD評価のために、1度、一晩、再度来院するものとする。追跡期間中の外来通院は最後の投与の30日後に行うものとする。最初のコホート(コホートA)の完了後、試験を、最大3つの連続コホート(コホートB、コホートC、およびコホートD)による多回漸増用量(MAD)設計に進行させ、各種SPR001投与計画の安全性、PK、およびPDをさらに評価し、最適な用法を特定するものとする。各コホートは、2週間の導入期間と、2週間の治療期間と、30日間の休薬および安全性追跡調査期間と、を実施するものとする。導入期間はスクリーニング時に実施するものとし、この間、バックグラウンドの糖質コルチコイド投与計画のコンプライアンスと、対象の日常の手順の安定性とを確認するために、対象は、糖質コルチコイド薬物の各摂取用量、各食事時間、および毎日の就寝時間と起床時間、を紙の日誌に記入するものとする。
【0138】
コホートBの患者には、朝に1回、夜に1回の1日2回、試験薬を200mg投与し、患者は食事または統一された軽食の消費を行うものとする。コホートCとコホートDについて、用量レベル、投与頻度、および投与時期は前のコホートから得られた中間データに基づいて決定されるものとする。しかし、各連続コホートの用量レベルは、前のコホートの1日用量レベルの2倍までとする。

試験デザイン
・試験の種類:介入試験
・主要目的:治療
・試験の相:第2相
・介入試験モデル:逐次割当て
・コホート数:最大4
・遮蔽化:遮蔽化なし
・割付:非無作為化
・組入れ:最大で27人程度(見込)
【表9】

評価項目
主要評価項目:
1.CAHを有する対象における化合物1の安全性の評価。
2.ベースラインと比較した場合の17-OHPのパーセント変化および絶対変化で測定される、古典的CAHを有する対象における化合物1の安全性の評価
副次評価項目:
3.投与によるベースラインからの絶対変化およびパーセント変化によって測定される、ACTH、アンドロステンジオン、およびテストステロンの血漿中濃度に薬力学的変化を引き起こす化合物1の用量の探索
4.CAHを有する対象における化合物1の薬物動態の確認
5.薬理と薬物動態との間にあると考えられる関係性の探索
診査
7.投与によるベースラインからの絶対変化およびパーセント変化によって測定される、尿中の薬力学的バイオマーカーに変化を引き起こす化合物1の用量の探索。
適格性
・最低年齢:18歳
・最高年齢:
・性別:男女両方
・性差の考慮:なし
・健常人の組入れ:なし
・基準:境界上は含める(Inclusion)
基準:
選択基準:
・18歳以上の男性患者および女性患者。
・21ヒドロキシラーゼ欠乏を原因とする古典的CAHの診断が文書化されていること
・スクリーニング時に17-OHPが上昇していること
・安定な糖質コルチコイド補充療法を最低30日間継続
除外基準:
・臨床的に有意な不安定な医学的状態、病気、または慢性疾患
・臨床的に有意な精神障害
・検査所見または検査評価における臨床的に有意な異常
・両側副腎摘出または下垂体機能低下の病歴
・妊娠中または保育中の女性
・30日以内のあらゆる他の治験薬の使用
・試験手順を理解し遵守することができないこと、リスクを納得することができないこと、且つ/または、書面によるインフォームドコンセントの提出を嫌うこと
結果:
この第2相試験では、化合物1が概して忍容性良好であったことが示された。
本試験では、広範囲の用量(5倍の範囲)を探索した後に一連の安全用量を確立した(図1参照)。
【0139】
化合物1に対する患者レベルの応答に関しては、80%がACTHの減少を示した(図2参照)。通常、ACTHの減弱は、標的への結合(target engagement)および機能的CRF受容体の拮抗作用を示すものである。80%の患者対象がACTHの減少を示した。70%の対象が25%超のACTH減少を示した。40%の対象が治療後に正常範囲となった。
【0140】
標準的な指標基準に基づけば、17-OHPの減少は疾患の「制御」を示すものである。これによりステロイドが漸減される。80%の対象が17-OHPの減少を示した(図3参照)。50%の対象が25%超の17-OHP減少を示した。50%の対象が治療後に基準範囲(1200ng/dL)内となった。化合物1により朝のA4の増加が減弱され、このことは、化合物1が過剰なアンドロゲン産生とそれに付随する症状を制御できることを示している(図4参照)。100%の対象が(様々な用量で)アンドロステンジオンの減少を示した。60%の対象が25%超のアンドロステンジオン減少を示した。50%の対象が治療後に正常基準範囲内となった。
【0141】
実施例5:処方開発
本実験の目的は、(1)化合物1の200mg即放性コア錠剤を得るために、様々な処方を評価すること;(2)湿式造粒法における、並びにGelucire 48/16および/またはビタミンE TPGSとの造粒における、化合物1錠剤の溶解特性を評価すること;並びに、(3)カプセル内のAPIの溶解を比較するために、様々な生体関連媒体中およびシンク条件において、錠剤/カプセル剤の溶解を評価すること、であった。
【0142】
実験結果
化合物1錠剤の処方は2段階で行った。
【0143】
第1製造段階では、2種類の即放性試験製剤を製造した。1つ目の試行では、Gelucire(10%)を用いた化合物1の造粒を実施し、充填剤および崩壊剤を含ませた。この処方(his formulation)では界面活性剤を用いなかった。顆粒は最後に混合し、圧縮して錠剤重量を500mgとした。造粒および圧縮において問題は認められなかった。2つ目の試行では、結合剤としてHPCを用いる湿式造粒法を実施し、充填剤および崩壊剤を含ませた。ラウリル硫酸ナトリウムを界面活性剤として1%の濃度で用いた。顆粒を1つ目の試行よりも柔らかくしたところ、最終混合のフローが悪かった。顆粒部外(extra granular portion)の充填剤を増やしたところ、フローと、圧縮時の重量のばらつきが改善した。この錠剤を600mgの錠剤重量に圧縮した。SGF(人工胃液)、SIF(人工腸液)、FaSSIF(絶食状態人工腸液)、およびFeSSIF(食事摂取状態人工腸液)という種々の生体関連媒体における、1つ目および2つ目の試行のバッチの溶解を調べた。
【0144】
第2製造段階では、GelucireおよびビタミンE TPGSを8%の割合で含ませ、高濃度のラウリル硫酸ナトリウムを含ませる、2種の追加の製剤を製造した。界面活性剤の割合を7%に増加させた。この錠剤を570mgの錠剤重量に圧縮した。製造過程で問題は認められなかった。さらなる開発として、高濃度のGelucire(25%)を含ませての製造を実施した。製剤中のGelucireの濃度が高く、顆粒を圧縮することができなかったため、手動でやすりにかけてサイズ0のカプセル剤とした。
【0145】
フローが悪く、顆粒の粒径が最適ではないため、湿式造粒法のさらなる開発が推奨された。湿式造粒製剤の顆粒は、圧縮時の重量のばらつきも示した。
【0146】
SIFおよびFaSSIF中の放出は非常に遅く、Gelucire製剤およびHPC製剤において、60分の時点で0.5%~3%の範囲であった。SGFおよびFeSSIF中の放出はそれより多く、60分間で11~16%の範囲であった。SGFおよびFeSSIF中で放出がより多いのは、おそらく、媒体中に界面活性剤が存在するためである。しかし、脂質賦形剤や高濃度の界面活性剤では、生体関連媒体中の溶解は改善を示さなかった。60分の時点で、SIFおよびFeSSIF中の放出は2%未満であり、SGF中で約15%、FeSSIR中で10%であった。カプセル製剤で高濃度のGelucireを含ませた場合、溶解は改善を示さなかった。カプセルおよび種々の製剤中のAPI溶解を比較したところ、溶解にはいかなる改善も見られなかった。また、湿式造粒製剤およびGelucire製剤を用いて、動物pK試験も実施した。これらの溶解試験およびpK試験は、現在の製剤アプローチが、化合物1の生物学的利用能を向上させること、または、食事の影響を最小化することに適していない可能性があることを示している。第2/3試験では、化合物1の様々な製剤アプローチが推奨された。
【0147】
実施例6:予備的な錠剤処方
この通常実験の目的は、不溶性(水に対し、および1.2~7.5の範囲の全ての生理的pHにおいて、0.002mg/mL未満の溶解性)の原薬用、且つ、最大200mgの用量強度用の、小型の錠剤またはカプセル剤を開発し、製造し、商品化することであった。錠剤は、USP装置IまたはIIを用いて、溶出溶媒中に直ちに放出されるべきとする。
成功基準
1:200mgの用量強度において、錠剤サイズが400mg未満である
2:70%超が60分で従来の溶媒に溶解する。
【0148】
通常の製造手順
関連の賦形剤を手動の篩にかけ、乾式混合した。結合剤溶液を加え、その混合物を湿式造粒法にかけた。顆粒を粉砕し乾燥させた。得られた顆粒を乾式粉砕し、他の関連する共通の顆粒および賦形剤に加えた。次に、その混合物を錠剤に圧縮して目的の錠剤重量とした。
【0149】
賦形剤の量および数が最少となる造粒を開発した。この造粒は、少なくとも90%の化合物1と、界面活性剤および結合剤と、場合により超崩壊剤と、から構成されるものであった。造粒が成功した後、圧縮が可能となるよう他の賦形剤を加えた。これらの賦形剤としは、圧縮助剤、滑沢剤、貼り付き防止剤、および超崩壊剤が含まれた。
【0150】
2種のブレンドを顆粒化した。一方のブレンドは、95%の化合物1と、1%のラウリル硫酸ナトリウムと、4%のHPC-EXFと、を含むものとした。2つ目のブレンドは、91%の化合物1と、1%のラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤であり、且つ湿潤剤である)と、6%のPVP(水溶性の結合剤)と、2%のAc-Di-Sol(水膨潤性の超崩壊剤)と、を含むものとした。
【0151】
HPC-EXF(結合剤)から構成される造粒に、SiO(流動助剤であり、且つ貼り付き防止剤である)、Ac-Di-Sol(水膨潤性崩壊剤)、およびステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)をさらにブレンドした。種々のレベルのMCCをこの錠剤に添加した(0、10および20%のレベル)。3種全ての製剤(90%、81%、および71%のDL)を素早く溶解させたところ、オープンディッシュ条件(open dish condition)での安定性促進期に重大な変化はなかった。結合剤としてPVPを含ませた造粒を3回繰り返した。最初の造粒は、93%の化合物1と、6%のPVPと、1%のSLSと、から構成させた。この製剤は製造特徴(顆粒の流動)が劣っていたが、錠剤の溶解は許容できるものであった。さらなる安定性(stability)は実施しなかった。
【0152】
2つ目の造粒(1つ目と同じ)は許容できる製造特徴(良好な流動および圧縮)を有したが、溶解がいくらか遅くなり、且つ、ストレス性が非常に高い条件下で安定性継続期に重大な変化があった。
【0153】
3つ目の造粒は、91%の化合物1と、6%のPVPと、1%のSLSと、粒子内超崩壊剤としての2%のAc-Di-Solと、から構成された。この造粒に、SiO(流動助剤であり、且つ貼り付き防止剤である)、Ac-Di-Sol(水膨潤性崩壊剤)、およびステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)をさらにブレンドした。種々のレベルのMCCをこの錠剤に添加した(0、10および20%のレベル)。3種全ての製剤(86%、77%、および68%のDL)が、全て素早く溶解した。
【0154】
これにより、水溶性は0.002mg/mL未満であり、薬剤量は50%超を維持し、従来の溶媒(1%SLSおよびUSP装置II)中の溶解が許容できるような、化合物1の錠剤化の成功が示された。この錠剤は、従来の高剪断湿式造粒法を用いて製造した。
【表10】
【0155】
実施例7:錠剤処方A
共通の顆粒と、結合剤としてのPVP K30とを用い、湿式造粒法により、3種の製剤を調製した(表11参照)。これらの顆粒は、MCC PH102を希釈剤とし、薬剤量はそれぞれ95%、85%、および75%とするものであった。
【表11】
【0156】
化合物1、ポビドン、およびラウリル硫酸ナトリウムを混合して、乾燥混合物を得た。この乾燥混合物に水を加え、550~560rpm程度のインペラ速度で湿式造粒を行った。次に、湿った状態の顆粒をふるいにかけ、乾燥させた。この乾燥した顆粒を乾式篩分けにかけ、その後、その顆粒を錠剤に圧縮した。
【0157】
工程管理試験では、各錠剤は良好であった。A-1およびA-3の溶解の結果は同様の曲線を示したが、一方で、A-2は最初の数点でその他2つよりも若干遅かった(表12および図5を参照)。
【表12】
【0158】
実施例8:錠剤処方B
共通の顆粒と、結合剤としてのPVP K30とを用い、湿式造粒法により、3種の製剤を調製した(表13参照)。これらの顆粒は、MCC PH102を希釈剤とし、薬剤量はそれぞれ95%、85%、および75%とするものであった。
【表13】
【0159】
化合物1、ポビドン、およびラウリル硫酸ナトリウムを混合して、乾燥混合物を得た。この乾燥混合物に水を加え、600~610rpm程度のインペラ速度で湿式造粒を行った。次に、湿った状態の顆粒をふるいにかけ、乾燥させた。この乾燥した顆粒を乾式篩分けにかけ、その後、その顆粒を錠剤に圧縮した。
【0160】
溶解結果は、前述の錠剤よりも遅い溶解が、顆粒がより多いことと硬度がより高いことにより引き起こされた可能性を示している(表14および図6を参照)。
【表14】
【0161】
実施例9:錠剤処方C
共通の顆粒と、結合剤としてのPVP K30と、2%の粒内クロスカルメロースナトリウムとを用い、湿式造粒法により、3種の製剤を調製した(表15参照)。
【表15】
【0162】
化合物1、ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、およびラウリル硫酸ナトリウムを混合して、乾燥混合物を得た。この乾燥混合物に水を加え、600~610rpm程度のインペラ速度で湿式造粒を行った。次に、湿った状態の顆粒をふるいにかけ、乾燥させた。この乾燥した顆粒を乾式篩分けにかけ、その後、その顆粒を錠剤に圧縮した。
【0163】
溶解結果は、他の錠剤よりも速い溶解が、追加量のクロスカルメロースナトリウムが原因である可能性を示した(表16および図7を参照)。
【表16】
【0164】
実施例10:錠剤処方D
湿式造粒法を用いて2種類の製剤を調製した(表17参照)。
【表17】
【0165】
化合物1、ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、およびラウリル硫酸ナトリウムを混合して、乾燥混合物を得た。この乾燥混合物に水を加え、600~610rpm程度のインペラ速度で湿式造粒を行った。次に、湿った状態の顆粒をふるいにかけ、乾燥させた。この乾燥した顆粒を乾式篩分けにかけ、その後、その顆粒を錠剤に圧縮した。
【0166】
処方D-1および処方D2の放出特性は上述の処方と同様であり、重大な変化はなかった(表18参照)。
【表18】
【0167】
両方の処方がSGF媒体中でより高速の放出特性を有した(表19参照)。
【表19】
【0168】
本明細書では本発明の好ましい実施形態を示し説明してきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されていることは、当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換を直ちに思い付くであろう。本発明の実施に際し、本明細書に記載された本発明の実施形態に対し、様々な代替物が使用され得ることを理解されたい。添付の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定すること、及び、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法及び構造ならびにそれらの均等物も特許請求の範囲に包含されること、が意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7