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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】配管接続具
(51)【国際特許分類】
   F16L 41/08 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
F16L41/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020175880
(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公開番号】P2022067260
(43)【公開日】2022-05-06
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】松村 良太
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-005382(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10332035(DE,A1)
【文献】特開2008-193794(JP,A)
【文献】特開2003-125521(JP,A)
【文献】特開2005-228582(JP,A)
【文献】特開2008-027692(JP,A)
【文献】特開平05-319079(JP,A)
【文献】特開平07-296660(JP,A)
【文献】特開2002-159122(JP,A)
【文献】特開2003-232472(JP,A)
【文献】特開2000-320774(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0126929(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を孔が形成された被接続体に接続する配管接続具であって、
筒状で、軸線方向一端部が前記被接続体の孔に挿入され、軸線方向他端部から軸線方向一端側に向かって前記配管が挿入される柔軟性のある内挿筒部と、前記内挿筒部の外周面に突設され、前記被接続体における孔を画定する孔縁部分に係止して前記内挿筒部の軸線方向他端側への移動を規制する第一突起部と、前記内挿筒部の外周面の前記第一突起部よりも軸線方向他端側の位置に設けられ、前記孔縁部分に係止して前記内挿筒部の軸線方向一端側への移動を規制する第二突起部と、を備え、
前記第一突起部は、
前記内挿筒部の周方向に離隔して複数設けられ、かつ、
前記内挿筒部の軸線方向に沿って延びるストレート部を備え、
前記ストレート部は、
前記軸線方向の一端部から他端部まで、前記内挿筒部に連結されるとともに前記内挿筒部の外周面からの突出量が略均一であり、
前記第一突起部の前記内挿筒部の周方向における長さは、前記内挿筒部の軸線方向における長さよりも短いよう構成される配管接続具。
【請求項2】
前記第二突起部は、柔軟性があり、
前記第一突起部と前記第二突起部は、前記孔縁部分を両突起部の間で保持する請求項1に記載の配管接続具。
【請求項3】
前記第一突起部は、前記内挿筒部の軸線方向一端部にテーパ部を備え、
前記テーパ部は、前記内挿筒部の軸線方向他端側から一端側に向かって縮径するように構成される請求項1又は2に記載の配管接続具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を被接続体に接続する配管接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管接続具として、特許文献1に記載のような管の接続構造が知られている。管の接続構造は、被接続体の接続口に取り付けられるゴム製管継手と、円環状の固定用リングと、を備える。具体的に、ゴム製管継手は、一端部が被接続体の内部に挿入され、他端部から一端側に向かって配管が挿入される円筒形状の内輪部と、内輪部の一端部の径外側に位置し、内輪部と略同軸かつ内輪部より大径の円筒形状の外輪部と、内輪部の一端部及び外輪部の一端部を連結する連結部と、を備え、外輪部には、径内方に向かって窪む嵌合溝部が周方向に1周に亘って形成される。また、固定用リングは、内輪部及び外輪部の間に取り付け可能に構成される。
【0003】
上記のような管の接続構造によれば、ゴム製管継手の一端部を被接続体に挿入し、外輪部の嵌合溝部に被接続体の接続口を嵌合させて、ゴム製管継手を被接続体に仮止めする。仮止めした状態のゴム製管継手の内輪部及び外輪部の間に固定用リングを取付け、嵌合溝部を接続口に押圧することで、ゴム製管継手は被接続体に固定される。そして、配管を被接続体に取付けられたゴム製管継手の他端側から挿入することで、配管と被接続体の接続部分を止水しつつ配管を被接続体に取付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4229298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような管の接続構造は、ゴム製管継手に形成された嵌合溝部に接続口を嵌合させる必要がある。しかしながら、外輪部は周方向の全領域で接続口よりも径が大きいので、嵌合溝部に接続口を嵌合させるためには、外輪部全体を接続口よりも径が小さくなるように変形させた状態で被接続体に挿入する必要があり、ゴム製管継手を被接続体に取り付けることが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、被接続体に取り付けやすい配管接続具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる配管接続具は、配管を孔が形成された被接続体に接続する配管接続具であって、筒状で、軸線方向一端部が前記被接続体の孔に挿入され、軸線方向他端部から軸線方向一端側に向かって前記配管が挿入される柔軟性のある内挿筒部と、前記内挿筒部の外周面に突設され、前記被接続体における孔を画定する孔縁部分に係止して前記内挿筒部の軸線方向他端側への移動を規制する第一突起部と、前記内挿筒部の外周面の前記第一突起部よりも軸線方向他端側の位置に設けられ、前記孔縁部分に係止して前記内挿筒部の軸線方向一端側への移動を規制する第二突起部と、を備え、前記第一突起部は、前記内挿筒部の周方向に離隔して複数設けられるよう構成される。
【0008】
かかる構成によれば、第一突起部が内挿筒部の周方向に離隔して複数設けられるので、内挿筒部のうち第一突起部が設けられる部分を径内側に押して被接続体の孔に挿入できるように変形させ、内挿筒部の軸線方向一端部及び第一突起部を被接続体に挿入することができるため、内挿筒部の軸線方向一端部を被接続体に挿入しやすくなる。よって、配管接続具を被接続体に取り付けやすくなる。
【0009】
また、前記第二突起部は、柔軟性があり、前記第一突起部と前記第二突起部は、前記孔縁部分を両突起部の間で保持するよう構成することもできる。
【0010】
かかる構成によれば、第二突起部は、柔軟性があり、第一突起部と第二突起部の間で孔縁部分を保持するので、第二突起部が変形して第一突起部と第二突起部との間で孔縁部分を保持できるため、被接続体に取り付けられた配管接続具が脱落しづらくなる。
【0011】
また、前記第一突起部の前記内挿筒部の周方向における長さは、前記内挿筒部の軸線方向における長さよりも短いよう構成することもできる。
【0012】
かかる構成によれば、第一突起部の周方向の長さが短いので、内挿筒部及び第一突起部を被接続体の孔に挿入するために変形させる範囲を抑えることができ、かつ、第一突起部の軸線方向の長さが長いので被接続体に取り付けた配管接続具を抜き取る方向(軸線方向他端側)に力がかかった際に、第一突起部が軸線方向一端側に倒れるような変形が起こりづらくなる。よって、被接続体に取り付けやすく、かつ、被接続体から抜け落ちにくくなる。
【0013】
また、前記第一突起部は、前記内挿筒部の軸線方向一端部にテーパ部を備え、前記テーパ部は、前記内挿筒部の軸線方向他端側から一端側に向かって縮径するように構成することもできる。
【0014】
かかる構成によれば、第一突起部は、軸線方向一端部が一端側に向かって縮径するテーパ部となっているので、被接続体に形成された孔に挿入しやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被接続体に取り付けやすい配管接続具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態にかかる配管接続具の斜視図である。
図2】同配管接続具の正面図である。
図3】同配管接続具の右側面図である。
図4】同配管接続具の平面図である。
図5図3に示すV-V断面図である。
図6】(a)同配管接続具を被接続体に挿入した状態を表す正面図である。(b)同配管接続具を被接続体に挿入した状態を表す右側面図である。
図7】(a)同配管接続具を被接続体に対して位置調整した状態を表す正面図である。(b)同配管接続具を被接続体に対して位置調整した状態を表す右側面図である。
図8】被接続体に取り付けた状態の同配管接続具に、配管を挿入した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態にかかる配管接続具1について図1乃至図8を参照して説明する。以下、説明の便宜上、手前側及び奥側の方向は、図2に示す方向、即ち、配管接続具1を被接続体5に挿入する際の方向を基準として、被接続体5に挿入される側を奥側、反対側を手前側として説明する。本実施形態の配管接続具1は、配管を被接続体5に接続するために用いられる。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施形態にかかる配管接続具1は、筒状で柔軟性のある内挿筒部2と、内挿筒部2の外周面から径外側に突出する一対の第一突起部3と、内挿筒部2の軸線方向他端部(手前側の端部)から径外側に突出する第二突起部4と、を備える。本実施形態の配管接続具1は、内挿筒部2、第一突起部3、及び、第二突起部4が一体として構成されている。また、本実施形態で、配管接続具1は、内挿筒部2、第一突起部3、及び、第二突起部4が柔軟性を有する同じ材料で一体形成されている。このような配管接続具1は、軸線方向の一端側(奥側)の部分が被接続体5に形成された孔51に挿入され、軸線方向他端部(手前側の端部)から一端側(奥側)に向かって配管Pが挿入される(図6乃至図8参照)。
【0019】
内挿筒部2は、柔軟性を有する筒状体である。また、内挿筒部2は、弾性を有する。具体的に、内挿筒部2は、筒状の筒部本体21と、筒部本体21の内周面に設けられる配管止水部22と、を備える。また、内挿筒部2は、軸線方向の一端側から他端側(奥側から手前側)に向かって被接続体5に挿入される筒状体である。本実施形態で、内挿筒部2は、弾性材料で構成されている。
【0020】
筒部本体21は、内部に配管を挿入可能な円筒形状の部位である。また、筒部本体21は、軸線方向の一端部から他端部(奥側の端部から手前側の端部)に亘って外径が略均一の円筒形状である。さらに、図4に示すように、筒部本体21は、軸線方向一端部(奥側の端部)が他端側から一端側に(手前側から奥側に)向かって外径が縮径する形状である。また、筒部本体21は、軸線方向一端部から他端部(奥側の端部から手前側の端部)に亘って内径が略均一の円筒形状である。本実施形態の筒部本体21は、面取りされることで、軸線方向一端部(奥側の端部)の外径が他端側から一端側(手前側から奥側)に向かって縮径するように構成されている。
【0021】
図3及び図5に示すように、配管止水部22は、筒部本体21の内周面から径内側に向かって膨出するリブである。また、配管止水部22は、筒部本体21の内周に1周にわたって延びる環状体である。本実施形態の配管止水部22は、筒部本体21に軸線方向に離間して2つ設けられる。即ち、配管止水部22は、第一配管止水部221と、第一配管止水部221から軸線方向一端側(奥側)に離隔して設けられる第二配管止水部222と、を備える。
【0022】
図2及び図3に示すように、第一突起部3は、内挿筒部2の外周面に設けられる突起部である。また、第一突起部3は、内挿筒部2の周方向に略180度離れて1対設けられる。さらに、第一突起部3は、内挿筒部2の軸線方向一端部(奥側の端部)から他端側(手前側)に向かって伸びる突起部である。また、第一突起部3は、内挿筒部2の軸線方向の少なくとも半分以上に亘って延びる。具体的に、第一突起部3は、軸線方向で、一端部(奥側の端部)が内挿筒部2の一端部(奥側の端部)に連結され、他端部(手前側の端部)が内挿筒部2の他端部(手前側の端部)から一端側(奥側)に離間した位置に連結される突起部である。また、図4に示すように、本実施形態の第一突起部3は、内挿筒部2の周方向における長さL1が、内挿筒部2の軸線方向における長さL2よりも短い。また、第一突起部3は、内挿筒部2の周方向における長さL1が、内挿筒部2から突出している長さL3(図2参照)よりも長い。さらに、第一突起部3の軸線方向一端部(奥側の端部)は、軸線方向一端側から他端側(奥側から手前側)に向かうにつれて内挿筒部2の外周面からの突出量が大きくなるように構成されている。具体的に、第一突起部3は、軸線方向で、一端部(奥側の端部)に設けられ、一端側から他端側(奥側から手前側)に向かうにつれて内挿筒部2の外周面からの突出量が大きくなるテーパ部31と、一端部(手前側の端部)がテーパ部31の他端部(手前側の端部)に連結され、他端側(手前側)に向かって内挿筒部2の軸線に沿って延びるストレート部32と、を備える。このような第一突起部3は、使用時に被接続体5の内部に挿入され、被接続体5の内周面に対して係合する。
【0023】
図2に示すように、テーパ部31は、第一突起部3の軸線方向一端部(奥側の端部)を構成する部位である。また、テーパ部31は、内挿筒部2の軸線方向で他端側から一端側(手前側から奥側)に向かって縮径する(内挿筒部2の外周面からの突出量が少なくなる)ように構成されている。具体的に、テーパ部31は、軸線方向で、一端部(奥側の端部)が内挿筒部2の一端部(奥側の端部)まで延び、他端部(手前側の端部)がストレート部32の一端部(奥側の端部)に連結される、一端側から他端側(奥側から手前側)に向かうにつれて内挿筒部2の外周面からの突出量が大きくなる突起部である。
【0024】
図2に示すように、ストレート部32は、周方向に延びる外面が内挿筒部2の軸線と略平行に延びる部位である。即ち、ストレート部32は、軸線方向の一端部から他端部(奥側の端部から手前側の端部)まで、内挿筒部2の外周面からの突出量が略均一である。本実施形態で、ストレート部32は、軸線方向他端部(手前側の端部)が、内挿筒部2の軸線方向中央部よりも他端側(手前側)の位置にあるように設けられる。また、ストレート部32は、第一突起部3の軸線方向の長さの半分以上に亘って延びる。このようなストレート部32は、使用時に被接続体5の内部に配置され、被接続体5の内周面に対して係合する。
【0025】
図2に示すように、第二突起部4は、内挿筒部2の軸線方向他端部(手前側の端部)の外周面に突設された突起である。具体的に、第二突起部4は、内挿筒部2の外周面に1周に亘って設けられる柔軟性のある突起である。また、第二突起部4は、内挿筒部2の軸線方向で、第一突起部3の他端部(手前側の端部)から他端側(手前側)に離間して設けられる。さらに、第二突起部4は、第一突起部3に内挿筒部2の軸方向で対向する部分を有する。また、第二突起部4の軸線方向の長さL5は、内挿筒部2の外周面からの突出する長さ(長さL4)よりも長い。図2に示すように、本実施形態の第二突起部4は、内挿筒部2の外周面からの突出量(長さL4)が第一突起部3(ストレート部32)の突出量(長さL3)よりも多い。また、第二突起部4の軸線方向の長さL5は、第一突起部3の軸線方向の長さL2よりも短い。このような第二突起部4は、使用時に被接続体5の外部に配置され、被接続体5の外周面に対して係合する。
【0026】
図2に示すように、軸線方向で、第一突起部3の他端部(手前側の端部)と第二突起部4の一端部(奥側の端部)の間には、孔縁嵌合空間2aが形成される。即ち、第一突起部3と第二突起部4とが軸方向で対向する部分に、孔縁嵌合空間2aが形成される。具体的に、孔縁嵌合空間2aは、内挿筒部2と第一突起部3と第二突起部4とによって画定される凹部である。孔縁嵌合空間2aは、被接続体5に形成された孔51を画定する孔縁部分52が嵌合可能なように形成される。具体的に、孔縁嵌合空間2aに嵌合した孔縁部分52は、第一突起部3と第二突起部4とが軸線方向で対向する部分によって保持される。
【0027】
図5に示すように、第一配管止水部221は、軸線方向で、第一突起部3と第二突起部4の間の位置に設けられる。具体的に、第一配管止水部221のうち、最も径内側に膨出する部分は、軸線方向で、第一突起部3と第二突起部4の間の位置に設けられる。即ち、内挿筒部2の外周面で孔縁嵌合空間2aを画定する部分の内周の全周に亘って第一配管止水部221が設けられる。
【0028】
第二配管止水部222は、軸線方向で、第一突起部3の他端部(手前側の端部)よりも一端側(奥側)の位置に設けられる。即ち、第二配管止水部222は、第一配管止水部221よりも軸線方向一端側(奥側)に設けられる。また、第二配管止水部222は、第一突起部3の軸線方向の中央部に位置する。本実施形態では、軸線方向で、外周面に第一突起部3が設けられている範囲内の位置に第二配管止水部222が設けられる。
【0029】
以上のような配管接続具1の使用方法を図6及び図7を用いて説明する。配管接続具1は、孔51が形成された被接続体5に対して取り付けられる。
【0030】
被接続体5について説明する。被接続体5は、側方に孔51が形成された筒状体である。具体的に、被接続体5は、外周面に孔51が形成された円筒形状である。本実施形態で、接続体に形成される孔51は円形である。
【0031】
図6(b)に示すように、被接続体5に形成される孔51を画定する孔縁部分52は、孔51の中心軸線A1(被接続体5の軸線A2と直交し、かつ、孔51の中心を通る直線)の方向において、被接続体5の周方向における対向部分(周対向部分52b)と、軸線方向における対向部分(軸対向部分52a)とは、周対向部分52bが軸対向部分52aよりも被接続体5の軸線A2に近くなる。即ち、挿入される内挿筒部2の軸線方向において、周対向部分52bが軸対向部分52aよりも軸線方向の一端側(奥側)に位置する。なお、被接続体5が円筒形の場合に限らず、被接続体5が角筒形の角をまたぐように孔51が形成された場合も、同様に、周対向部分52bが軸対向部分52aよりも被接続体5の軸線A2に近くなる。
【0032】
上記のような被接続体5に配管接続具1を取り付ける方法について説明する。被接続体5への配管接続具1の取付けは、挿入工程と、位置調整工程と、によって行われる。
【0033】
図6(a)(b)に示すように、挿入工程は、被接続体5に形成された孔51に配管接続具1を挿入する工程である。具体的に、挿入工程では、内挿筒部2を変形させて、内挿筒部2の軸線方向一端部(奥側の端部)及び第一突起部3を孔51に挿入する。第一突起部3の全部を挿入すると、孔縁部分52が孔縁嵌合空間2aに嵌合する。孔縁部分52が孔縁嵌合空間2aに嵌合したとき、第一突起部3及び第二突起部4によって、孔縁部分52が保持される。また、第一突起部3は、孔縁部分52に係止して、内挿筒部2の軸線方向他端側(手前側)への移動を規制し、第二突起部4は、孔縁部分52に係止して、内挿筒部2の軸線方向一端側(奥側)への移動を規制する。即ち、第一突起部3は、孔縁部分52のうち被接続体5の内方の面に係止して、内挿筒部2の被接続体5から抜ける方向への移動を規制する。また、第二突起部4は、孔縁部分52のうち被接続体5の外方の面に係止して、内挿筒部2の被接続体5に入り込む方向への移動を規制する。このとき、第一突起部3は、孔縁部分52の任意の位置に係止するように内挿筒部2を被接続体5に挿入すればよく、本実施形態では、第一突起部3が軸対向部分52aに係止するように内挿筒部2を被接続体5に挿入する。このように、内挿筒部2が被接続体5に挿入され、孔縁部分52が孔縁嵌合空間2aに嵌合すると、挿入工程は完了する。
【0034】
図7(a)(b)に示すように、位置調整工程は、第一突起部3が孔縁部分52に対して係止する位置を調整する工程である。具体的に、位置調整工程では、第一突起部3が周対向部分52bに係止するように位置を調整する工程である。本実施形態の位置調整工程では、内挿筒部2を内挿筒部2の軸線中心に略90度回動させて、図6(a)に示すように、第一突起部3が軸対向部分52aに係止する位置から、図7(a)に示すように、第一突起部3が周対向部分52bに係止するように、位置を調整する。第一突起部3が周対向部分52bに係止するように位置を調整して、位置調整工程は完了する。即ち、位置調整工程が完了したときに、第一突起部3は、孔縁部分52のうち、孔51の中心軸線A1の方向において、被接続体5の軸線A2に近い位置に係止する。
【0035】
位置調整工程によって、第一突起部3が周対向部分52bに係止すると、第二突起部4は、軸対向部分52aに対応する部分よりも周対向部分52bに対応する部分(第一突起部3と対向する部分)の方が、孔51の中心軸線A1の方向において被接続体5の軸線A2に近くなるように変形する。即ち、第二突起部4は、周対向部分52bに対応する部分が、軸対向部分52aに対応する部分よりも、内挿筒部2の軸線方向で一端側(奥側)になるように変形する。よって、第二突起部4が全周に亘って孔縁部分52に沿った形状となる。また、第二突起部4が孔縁部分52に沿った形状となるので、第二突起部4が孔縁部分52の外周面に当接することができ、孔縁部分52と内挿筒部2との空間を第二突起部4で塞ぐことができるため、止水性が高まる。
【0036】
以上のような配管接続具1によれば、第一突起部3が内挿筒部2の周方向に離隔して複数設けられるので、内挿筒部2のうち第一突起部3が設けられる部分を径内側に押して被接続体5の孔51に挿入できるように変形させ、内挿筒部2の軸線方向一端部(奥側の端部)及び第一突起部3を被接続体5に挿入することができるため、内挿筒部2の軸線方向一端部(奥側の端部)を被接続体5に挿入しやすくなる。よって、配管接続具1を被接続体5に取り付けやすくなる。
【0037】
また、第二突起部が変形して第一突起部と第二突起部との間で孔縁部分を保持できるため、被接続体に取り付けられた配管接続具が脱落しづらくなる。
【0038】
さらに、第一突起部3の周方向の長さL1が短いので、内挿筒部2及び第一突起部3を被接続体5に挿入するために変形させる範囲を抑えることができ、かつ、第一突起部3の軸線方向の長さL3が長いので被接続体5に取り付けた配管接続具1を抜き取る方向(軸線方向他端側(手前側))に力がかかった際に軸線方向一端側(奥側)に倒れるような変形が起こりづらくなる。よって、被接続体5に取り付けやすく、かつ、被接続体5から抜け落ちにくくなる。
【0039】
また、第一突起部3のうち、軸線方向一端側(奥側)が縮径しているので、被接続体5に形成された孔51に挿入しやすくなる。
【0040】
また、例えば、被接続体5が円筒体である場合、孔51は円筒外周面に形成されるため、孔縁部分52における円筒体の軸線A2の方向における対向部分(軸対向部分52a)と、周方向における対向部分(周対向部分52b)とは、周対向部分52bが軸対向部分52aよりも孔51の中心軸線A1(円筒体の軸線A2に直交する方向)において、被接続体の軸線A2に近くなる。したがって、内挿筒部2を孔51に挿入し、内挿筒部2の周方向において略180度離間して配置された一対の第一突起部3を孔縁部分52の周対向部分52bに形成されると、一周形成される第二突起部4は、軸対向部分52aに対応する部分よりも周対向部分52bに対応する部分(第一突起部3と対向する部分)の方が、孔51の中心軸線A1の方向において被接続体の軸線A2(内挿筒部2の軸線方向に一端側(奥側))に近くなるように変形することができる。よって、第二突起部4が全周に亘って孔縁部分52に沿った形状となる。
【0041】
さらに、第一突起部3の径外側への突出量(長さL3)は、第二突起部4の径外側への突出量(長さL4)よりも少ないので、第一突起部3を孔51に挿入しきった際に、第二突起部4が孔縁部分52に確実に係止するため、配管接続具1の全部が被接続体5の中に入ることを防止できる。
【0042】
また、第一突起部3の周方向の長さL1が、径方向の突出量(長さL3)よりも長いので、例えば、被接続体5に取り付けた状態で内挿筒部2の周方向への力(孔51の軸線中心に回動する方向への力)を受けた場合などに、第一突起部3が周方向に倒れ、孔縁部分52との係止が解除されることを防止できる。よって、確実に配管接続具1を被接続体5に取り付けることができる。
【0043】
さらに、第一突起部3は、ストレート部32と、ストレート部32の一端部(奥側の端部)に連結されるテーパ部31と、を備えるので、第一突起部3を孔51に挿入する際の抵抗を抑制することができ、被接続体5に取り付けやすくなる。
【0044】
また、第一突起部3は、内挿筒部2の軸線方向の長さの少なくとも半分に亘って延びるので、内挿筒部2の軸線方向他端側(手前側)に引っ張る力を第一突起部3で確実に受けることができるため、被接続体5から脱落しづらくなる。
【0045】
さらに、ストレート部32は、第一突起部3の軸線方向の長さの少なくとも半分に亘って延びるので、内挿筒部2の軸線方向他端側(手前側)に引っ張る力をストレート部32で確実に受けることができるため、被接続体5から脱落しづらくなる。
【0046】
また、図8に記載のように内挿筒部2は、内周面の1周に亘って、径内側に向かって膨出する配管止水部22を備え、少なくとも一つの配管止水部22(第一配管止水部221)は、軸線方向で、第一突起部3と第二突起部4との間の位置に設けられるので、配管止水部22の内径よりも外径が大きい配管を内挿筒部2に挿入した際に、配管止水部22が径外側に押され、内挿筒部2の外径が大きくなる。したがって、被接続体5に取り付けられた内挿筒部2に、配管止水部22の内径よりも外径が大きい配管を挿入した際に、内挿筒部2の外周面(孔縁嵌合空間2aを画定する部分)が孔縁部分52側に押圧される。よって、挿入された配管の外面と内挿筒部2の内面、及び、内挿筒部2の外面と孔縁部分52、が密着するため、止水性が高まる。
【0047】
さらに、内挿筒部2は、内周面の1周に亘って、径内側に向かって膨出する配管止水部22を備え、少なくとも一つの配管止水部22(第二配管止水部222)は、第一突起部3の軸線方向他端部(手前側の端部)よりも軸線方向一端側(奥側)の位置に設けられるので、配管接続具1を被接続体5に取り付けた際に、被接続体5の孔縁部分52よりも軸線方向一端側(奥側)に配管止水部22が配置されるため、内挿筒部2の内部を通って被接続体5の外側に漏れだそうとする水を被接続体5の内部にとどめることができる。
【0048】
また、第二突起部4は、内挿筒部2の軸線方向他端部(手前側の端部)に設けられ、内挿筒部2の外径は、軸線方向で、第一突起部3の他端部(手前側の端部)が設けられる位置から内挿筒部2の一端部(奥側の端部)までに亘って略均一であるので、孔51に内挿筒部2を挿入する際に内挿筒部2が孔縁部分52に引っかかることを抑制できるため、内挿筒部2を孔51にスムーズに挿入できる。
【0049】
さらに、第一突起部3の軸線方向他端部(手前側の端部)及び第二突起部4は、それぞれ内挿筒部2の軸線方向で、中央部よりも他端側(手前側)の位置に設けられるので、軸線方向に内挿筒部2の一端部(奥側の端部)を被接続体5に挿入して第二突起部4を孔縁部分52に係止させた際に、内挿筒部2のうち、軸線方向の長さの半分以上が被接続体5に挿入されるので、例えば、被接続体5に取り付けられた内挿筒部2の軸線方向他端部(手前側の端部)に軸線方向と直交する方向に力がかかったとしても、被接続体5に挿入された部分で該力に対抗できるので、被接続体5から脱落しづらい。
【0050】
また、第一突起部3は、軸線方向で、一端部(奥側の端部)が内挿筒部2の一端部(奥側の端部)まで延び、一端側から他端側(奥側から手前側)に向かうにつれて内挿筒部2の外周面からの突出量が大きくなるテーパ部31と、テーパ部31の他端部(手前側の端部)に接続され、他端側(手前側)に向かって伸びるストレート部32と、を備え、内挿筒部2は、外径が第一突起部3の他端部(手前側の端部)が設けられる位置から内挿筒部2の一端部までに亘って略均一であるので、孔51に内挿筒部2及び第一突起部3を挿入する際に第一突起部3(ストレート部32)が孔縁部分52に引っかかることを抑制できるため、内挿筒部2を孔51にスムーズに挿入できる。
【0051】
さらに、第二突起部4は、軸線方向の長さL5が小さいので、被接続体5から外部への突出量を抑制でき、内挿筒部2からの突出量(長さL4)が大きいので、配管接続具1全体が被接続体5の内部に入り込んでしまうことを抑制できる。
【0052】
また、第一突起部3の軸線方向の長さL2が大きいので、挿入した配管のぐらつきを抑えて配管を保持することができ、第二突起部4の軸線方向の長さL5が小さいので、被接続体5から外部への突出量を抑制できる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0054】
例えば、被接続体5は円筒形状であるとして説明したが、角筒状の管や、升などとすることもできる。
【0055】
また、被接続体5の外面が曲面である場合について説明したが、外面が平たい被接続体5に対して配管接続具1を取り付けることもできる。なお、外面が平たい被接続体5に対して取り付ける場合には、孔縁部分52の軸対向部分52aと周対向部分52bの孔51の中心軸線A1の方向における接続体の軸線A2に対する距離は同じであるので、第一突起部3が孔縁部分52に係止する位置にかかわらず第二突起部4が孔縁部分52に沿うため、第一突起部3の位置調整は不要である。
【0056】
また、第一突起部3は、内挿筒部2の周方向に180度離れて1対設けられる場合について説明したが、このような構成に限らず、内挿筒部2の周方向に離隔して複数設けられる他の構成を採用することもできる。この場合、第一突起部3の数は2つに限らず、3つ以上としてもよい。
【0057】
さらに、第一突起部3は、内挿筒部2の周方向に180度離れて1対のみ設けられる場合について説明したが、このような構成に限らず、第一突起部3が3つ以上設けられ、うちいずれか2つの第一突起部3が周方向に180度離れている構成としてもよい。
【0058】
また、第一突起部3は、テーパ部31とストレート部32とを備える場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、第一突起部3は、テーパ部31を備えず、軸線方向の一端部から他端部(奥側の端部から手前側の端部)に亘って伸びるストレート部32のみを備える構成としてもよいし、或いは、ストレート部32を備えず、軸線方向一端部から他端部(奥側の端部から手前側の端部)に亘ってテーパ部31のみを備える構成としてもよい。
【0059】
さらに、第一突起部3は、内挿筒部2の周方向における長さL1が、軸線方向における長さL2よりも短い場合について説明したが、周方向における長さL1と軸線方向における長さL2とが同じ長さであってもよいし、周方向における長さL1の方が軸線方向における長さL2よりも長いよう構成してもよい。周方向における長さL1の方が軸線方向における長さL2よりも長い場合には、第一突起部3が孔縁部分52を保持する部分が多くなるため、孔縁部分52の内周面にしっかりと係止することができる。
【0060】
また、第二突起部4は、内挿筒部2の周方向に一周に亘って設けられるとして説明したが、このような構成に限らず、内挿筒部2の周方向に離隔して設けられる複数の突起として構成されてもよいし、内挿筒部2の周方向の一部に設けられる1つの突起として構成されてもよい。また、第二突起部4が周方向に離隔して設けられる複数の突起として構成される場合に、第二突起部4の周方向の位置は、第一突起部3の周方向の位置と同じであってもよいし、異なる配置であってもよい。また、第二突起部4は、周方向全周に亘って形成されており、周方向に離間して複数のスリット(切込み)が形成される構成とすることもできる。
【0061】
さらに、第二突起部4の径外側への突出量(長さL4)は、第一突起部3の径外側への突出量(長さL3)よりも大きい場合について説明したが、第一突起部3と第二突起部4の径外側への突出量(長さL3及び長さL4)は同じように構成することもできるし、第一突起部3の突出量(長さL3)が第二突起部4の突出量(長さL4)よりも大きいように構成することもできる。
【0062】
また、内挿筒部2と第一突起部3と第二突起部4とは、同じ材質で構成される場合について説明したが、別々の材質で構成されていてもよい。例えば、内挿筒部2と第二突起部4とは柔軟性のある材質で構成し、第一突起部3は、硬い材質で構成することができるし、内挿筒部2は柔軟性のある材質で構成し、第一突起部3及び第二突起部4を硬い材質で構成することもできる。
【0063】
さらに、内挿筒部2は円筒形状である場合について説明したが、被接続体5に形成される孔51の形状に合わせて、角筒形状等別の形状を採用することもできる。
【0064】
また、内挿筒部2は、内周面に径内側に突出する配管止水部22を備える場合について説明したが、内挿筒部2は、配管止水部22を備えず、筒部本体21の内周面を配管の外面を圧接させて配管と内挿筒部2との間を止水する構成とすることもできる。
【0065】
さらに、第二突起部4は、内挿筒部2の軸線方向他端部(手前側の端部)に設けられる場合について説明したが、この構成に限らず、第二突起部4が内挿筒部2の軸線方向の中途部に設けられる構成としてもよい。
【0066】
また、配管接続具1が被接続体5に取り付けられたときに、第一突起部3及び第二突起部4が孔縁部分52を保持して、第一突起部3は孔縁部分52の内周面に、第二突起部4は孔縁部分52の外周面に係止する場合、即ち、第一突起部3及び第二突起部4が孔縁部分52にぴったり当接する場合について説明したが、第一突起部3及び第二突起部4は、配管接続具1が被接続体5から脱落することを規制できる程度に孔縁部分52を保持すればよく、第一突起部3及び第二突起部4が孔縁部分52にぴったり当接しない(脱落しない程度の軸線方向の移動を許容する)ように構成してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…配管接続具、2…内挿筒部、2a…孔縁嵌合空間、21…筒部本体、22…配管止水部、221…第一配管止水部、222…第二配管止水部、3…第一突起部、31…テーパ部、32…ストレート部、4…第二突起部、5…被接続体、51…孔、52…孔縁部分、52a…軸対向部分、52b…周対向部分、A1…中心軸線、A2…軸線、L1・L2・L3・L4・L5…長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8