(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/05 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
A61B1/05
(21)【出願番号】P 2020559946
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 JP2019047304
(87)【国際公開番号】W WO2020116481
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2020-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2018228334
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慶時
(72)【発明者】
【氏名】森島 登祥
(72)【発明者】
【氏名】池谷 浩平
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-236812(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0204546(US,A1)
【文献】特開平08-024208(JP,A)
【文献】特表2005-535431(JP,A)
【文献】特開平10-028669(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0182842(US,A1)
【文献】特開昭64-000662(JP,A)
【文献】特開2006-114276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、第1端面から入射した光を前記撮像素子に結像する光学部品と、第2端面に配置されており前記撮像素子に接続された撮像端子とを含む撮像ユニットと、
ケーブル素線と、角柱形状または角板形状を有する接続ブロックとを有し、挿入部を貫通するケーブル孔に挿通されたケーブルと、
前記撮像ユニット
と前記ケーブルとの接続部を覆
い、前記撮像ユニットおよび前記ケーブルに固定された外装筒と、
前記外装筒の形状と嵌合する形状を有する収容部が設けられており、前記挿入部の先端に配置された先端部品とを備え、
前記接続ブロックは、前記撮像端子に対応する位置に配置された接続端子を第1端面に有し、
前記接続端子は、前記ケーブル素線の第1端に接続されており、
前記撮像端子は前記接続端子よりも硬度が高い材料性の爪であり、前記接続端子に突き刺さって該接続端子と導通し、
前記外装筒は、前記ケーブル孔に挿入できない外寸を有する
内視鏡。
【請求項2】
前記先端部品は、前記光学部品を覆う透光性の窓板を有する
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記窓板は、温度が変化した場合に接着力が変化する接着剤により前記先端部品に接着されている
請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記接着剤は、ホットメルト型接着剤である
請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記撮像ユニットは角柱形状であり、
前記外装筒は角筒形状であり、
前記収容部は前記外装筒を収容可能な角孔である
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項6】
前記先端部品には、外面から前記収容部に連通する連通孔が設けられており、
前記外装筒は、貫通孔または窪みにより構成された保持凹部を側面に有し、
前記保持凹部は、前記連通孔の内側であって操作部寄りの位置に配置されている
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項7】
前記連通孔に螺合して、前記外装筒を固定する固定ネジを有する
請求項6に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記ケーブルは、
前記接続ブロックの側面、および、前記接続端子と前記ケーブル素線との接続部を覆う、角筒形状の接続枠を有し、
前記外装筒は、
前記撮像ユニットの側面に固定されており、
前記接続枠の側面を覆い、
前記接続ブロック側の端部に、内向きに屈曲した屈曲部を有する
請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項9】
前記屈曲部は、前記外装筒を前記接続枠に固定するカシメ部である
請求項8に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記撮像ユニットは、側面に立設されたストッパ突起を有し、
前記外装筒は、前記ストッパ突起と係合するストッパ孔を有する
請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項11】
前記ケーブルは、第2端に接続された中継基板および該中継基板に実装された接続コネクタを有し、
前記接続コネクタおよび前記中継基板は前記ケーブルに接続された状態で前記ケーブル孔を通過可能である
請求項1から請求項10のいずれか一つに記載の内視鏡。
【請求項12】
円形断面のケーブル孔を含む複数の貫通孔を有するマルチルーメンチューブと、
角孔形状の収容部を有する先端部品と、
前記収容部に収容される撮像ユニットと、前記撮像ユニットに接続されたケーブルと、
前記撮像ユニットと前記ケーブルとの接続部を覆い、前記撮像ユニットおよび前記ケーブルに固定された外装筒とを含む撮像・ケーブルユニットとを備え、
前記ケーブルは、一つの面に複数の接続端子が配置された接続ブロックを有し、
前記撮像ユニットは、前記接続ブロックに対向する面に、前記接続端子に対応する位置に配置された複数の撮像端子を有し、
前記撮像端子は前記接続端子よりも硬度が高い材料性の爪であり、前記接続端子に突き刺さって該接続端子と導通し、
前記収容部の断面形状は、いずれの辺も前記ケーブル孔の直径よりも長い四角形であ
り、
前記収容部は、前記外装筒と嵌合する
内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査を実施した後には、使用した内視鏡の洗浄、消毒および滅菌等の再処理が必要である。内視鏡はチャンネル等の細い管路を複数有するため、再処理には、手間および時間を要する。
【0003】
1回使用された後に廃棄される、いわゆるディスポーサブル型内視鏡が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使用後に再処理して使用する通常の内視鏡では、小型かつ高画質の撮像素子および撮像レンズが使用される。これらの撮像素子および撮像レンズは高価である。したがって、通常の内視鏡と同等の仕様の撮像素子および撮像レンズを、ディスポーザブル型の内視鏡に採用することは難しい。比較的安価な撮像素子および撮像レンズを使用した内視鏡では、高画質を得られないため、確実な内視鏡診断および内視鏡治療を行なうことは困難である。
【0006】
一つの側面では、撮像素子等を再利用できる内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
内視鏡は、撮像素子と、第1端面から入射した光を前記撮像素子に結像する光学部品と、第2端面に配置されており前記撮像素子に接続された撮像端子とを含む撮像ユニットと、ケーブル素線と、角柱形状または角板形状を有する接続ブロックとを有し、挿入部を貫通するケーブル孔に挿通されたケーブルと、前記撮像ユニットと前記ケーブルとの接続部を覆い、前記撮像ユニットおよび前記ケーブルに固定された外装筒と、前記外装筒の形状と嵌合する形状を有する収容部が設けられており、前記挿入部の先端に配置された先端部品とを備え、前記接続ブロックは、前記撮像端子に対応する位置に配置された接続端子を第1端面に有し、前記接続端子は、前記ケーブル素線の第1端に接続されており、前記撮像端子は前記接続端子よりも硬度が高い材料性の爪であり、前記接続端子に突き刺さって該接続端子と導通し、前記外装筒は、前記ケーブル孔に挿入できない外寸を有する。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、撮像素子等を再利用できる内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】
図2のIII-III線による内視鏡の部分断面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線による内視鏡の断面図である。
【
図5】
図3のV-V線による内視鏡の断面図である。
【
図6】
図2のVI-VI線による内視鏡の部分断面図である。
【
図7】
図3のVII-VII線による内視鏡の断面図である。
【
図8】
図2のVIII-VIII線による内視鏡の部分半断面図である。
【
図10】先端部品を操作部側からみた側面図である。
【
図11】撮像・ケーブルユニットの半断面図である。
【
図13】ケーブル部組を先端側からみた側面図である。
【
図18】内視鏡の組立方法を説明する説明図である。
【
図19】内視鏡の組立方法を説明する説明図である。
【
図20】内視鏡の分解方法を説明する説明図である。
【
図21】内視鏡の分解方法を説明する説明図である。
【
図22】内視鏡の分解方法を説明する説明図である。
【
図23】内視鏡の分解方法を説明する説明図である。
【
図24】実施の形態2の内視鏡を説明する説明図である。
【
図25】実施の形態2の撮像・ケーブルユニットの部分断面図である。
【
図27】第1中継基板の大きさを説明する説明図である。
【
図28】撮像・ケーブルユニットと第2ケーブル部組との接続方法を説明する説明図である。
【
図29】実施の形態3の撮像・ケーブルユニットの半断面図である。
【
図31】実施の形態4の撮像・ケーブルユニットの半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
図1は、内視鏡10の外観図である。本実施の形態の内視鏡10は、消化管向けの軟性鏡である。内視鏡10は、挿入部14、操作部20、ユニバーサルコード25およびコネクタ部24を有する。操作部20は、湾曲ノブ21およびチャンネル入口22を有する。チャンネル入口22には、処置具等を挿入する挿入口を有する鉗子栓23が固定されている。
【0011】
挿入部14は長尺であり、一端が折止部16を介して操作部20に接続されている。挿入部14は、操作部20側から順に軟性部11、湾曲部12および先端部品13を有する。湾曲部12は、湾曲ノブ21の操作に応じて湾曲する。
【0012】
本実施の形態においては、軟性部11および湾曲部12は、1本のマルチルーメンチューブ40により構成されている。マルチルーメンチューブ40は、複数の貫通孔が長手方向に貫通するチューブである。マルチルーメンチューブ40は、比較的屈曲しやすい部分と、比較的屈曲しにくい部分とが、一体成形されている。比較的屈曲しやすい部分は、硬度が低い樹脂材料により構成されている。比較的屈曲しにくい部分は、硬度が高い樹脂材料により構成されている。硬度が低い樹脂材料により構成された部分により湾曲部12が形成され、硬度が高い樹脂材料により構成された部分により軟性部11が形成される。
【0013】
軟性部11と湾曲部12とを1本のマルチルーメンチューブ40で構成することにより、組立に要する手間および時間を大幅に削減できる。したがって、シングルユース用途に適した内視鏡10を提供できる。
【0014】
以後の説明では、挿入部14の長手方向を挿入方向と記載する。同様に、挿入方向に沿って操作部20に近い側を操作部側、操作部20から遠い側を先端側と記載する。個々の部品についても、内視鏡10に取り付けられた場合の向きに準じて操作部側および先端側の表現を使用する。
【0015】
ユニバーサルコード25は長尺であり、第一端が操作部20に、第二端がコネクタ部24にそれぞれ接続されている。コネクタ部24は、略直方体のコネクタケース26に覆われている。コネクタケース26の一つの面から、スコープコネクタ27が突出している。コネクタ部24は、図示を省略する内視鏡用プロセッサおよび送気送水装置等に接続される。
【0016】
図2は、内視鏡10の構成を説明する説明図である。
図2は、挿入部14を先端側からみた状態を示す。挿入部14の端面には、ジェット出口141、チャンネル出口142、送気ノズル143、送水ノズル144および窓板145が設けられている。
【0017】
挿入部14の端面は、略円形である。窓板145は、
図2において端面の上半分に設けられている。窓板145は透光性である。窓板145の奥に、観察窓132、および観察窓132の左右に配置された2個の照明窓133が設けられている。
【0018】
チャンネル出口142は、
図2において左下に設けられている。観察窓132の右側に送気ノズル143および送水ノズル144が、それぞれの出射口を観察窓132に向けて設けられている。ジェット出口141は、送気ノズル143の下側に配置されている。
【0019】
図3は、
図2のIII-III線による内視鏡10の部分断面図である。
図4は、
図3のIV-IV線による内視鏡10の断面図である。
図5は、
図3のV-V線による内視鏡10の断面図である。
【0020】
マルチルーメンチューブ40の先端側に、略円柱形状の先端枠70を含む先端部品13が、接着等の任意の手段により取り付けられている。先端部品13の構成の詳細は後述する。マルチルーメンチューブ40の端面と、先端枠70との間に、複数の貫通孔を有する円板状の当付板58が配置されている。当付板58の構成の詳細は後述する。
【0021】
先端枠70の先端側の端面に、略半円形で均一な深さに窪んだ窓板枠75が設けられている。窓板145は、窓板枠75に嵌めこまれて、接着または超音波溶着等の任意の手段により先端枠70に取り付けられている。
【0022】
図2に示すように、窓板145および窓板枠75の直線部分の両端において、窓板145の縁と窓板枠75の縁との間に隙間が設けられている。したがって、挿入部14の端面には、窓板枠75の直線部分の両端において凹部が形成されている。
【0023】
窓板145の操作部側に、先端側に観察窓132を有する撮像・ケーブルユニット15(
図11参照)が配置されている。撮像・ケーブルユニット15は、撮像素子611およびケーブル束51を有し、撮影窓から入射した光を撮像素子611に結像させて、光学像を電気信号に変換する。撮像・ケーブルユニット15は、先端部品13の内部においては略角柱形状であり、ケーブル束51よりも太い。撮像・ケーブルユニット15の構成の詳細は後述する。
【0024】
ケーブル束51は、複数のケーブル素線511の束であり、撮像素子611に電源を供給すると共に、信号を送受信する。ケーブル束51は、マルチルーメンチューブ40を貫通するケーブル孔42に挿通されており、操作部20、ユニバーサルコード25およびコネクタ部24を介してスコープコネクタ27に接続されている。
【0025】
先端枠70の側面に、雌ネジを備える連通孔712が設けられている。連通孔712に螺合した固定ネジ69により、撮像・ケーブルユニット15が先端枠70に対して固定されている。なお、固定ネジ69の先端と撮像・ケーブルユニット15の表面との間に、撮像・ケーブルユニット15の傷付きを防止する保護シート691が配置されている。固定ネジ69の頭部は、たとえばシリコーン系接着剤等の、硬化後であっても柔軟な接着剤により覆われている。
【0026】
チャンネル出口142は、先端枠70を貫通するチャンネル孔78、チャンネルパイプ781、マルチルーメンチューブ40を貫通するチャンネル孔48および図示を省略するチューブを介してチャンネル入口22に接続されている。
【0027】
チャンネル入口22から図示しない処置具を挿入することにより、チャンネル出口142から処置具の先端が突出する。処置具は、ポリープの切除等の内視鏡下治療の手技に使用される。
【0028】
図6は、
図2のVI-VI線による内視鏡10の部分断面図である。なお、
図6においては
図3と同様に先端側を左側に、操作部側を右側に示す。照明窓133は、窓板145の操作部側の面に形成された凹面である。照明窓133の操作部側に設けられた照明孔76の内部に、発光素子136が接着等の任意の手段により取り付けられている。照明窓133は、発光素子136から放射される照明光の照射角度を拡げることにより、所定の範囲を照明する。
【0029】
発光素子136には、発光素子136に電源を供給する照明ケーブル761が接続されている。照明ケーブル761は、照明孔76、および、マルチルーメンチューブ40を貫通する照明孔46に挿通されており、操作部20、ユニバーサルコード25およびコネクタ部24を介してスコープコネクタ27に接続されている。
【0030】
図7は、
図3のVII-VII線による内視鏡10の断面図である。挿入部14の外周近傍に4本の湾曲ワイヤ17が略均等振り分けで配置されている。湾曲ワイヤ17の一端に、ロー付け、接着、またはカシメ等の任意の手段により円環柱状の湾曲ワイヤ止171が固定されている。
【0031】
湾曲ワイヤ止171は、先端枠70に設けられたワイヤ止穴77に収容されている。湾曲ワイヤ17の他端は、当付板58に設けられたワイヤ孔587、および、マルチルーメンチューブ40を貫通する湾曲ワイヤ孔47を貫通し、操作部20の内部で湾曲ノブ21に連結されている。
【0032】
ユーザが湾曲ノブ21を操作することにより、1本または隣り合う2本の湾曲ワイヤ17が操作部側に引っ張られる。
図6に示すように、湾曲ワイヤ止171は、ワイヤ孔587よりも太いため、強く引っ張られた場合であっても移動せず、ワイヤ止穴77内に留まる。
【0033】
前述のとおり、湾曲部12は硬度が低い樹脂材料により構成されており、軟性部11に比べて屈曲しやすい。したがって、湾曲ワイヤ17が引っ張られることにより、湾曲部12が屈曲する。
【0034】
図8は、
図2のVIII-VIII線による内視鏡10の部分半断面図である。送気ノズル143は、先端枠70を貫通する送気孔73周囲に設けられた突起により構成されている。送気ノズル143は、送気孔73の先端を塞ぎ、
図2に破線で示すように観察窓132に向かう部分のみが開放されている。
【0035】
送気孔73は、送気パイプ731、マルチルーメンチューブ40を貫通する送気孔43、および、図示を省略するチューブを介して、送気送水装置に接続されている。送気送水装置からの送気は、送気ノズル143から観察窓132に向けて放出される。
【0036】
図示を省略するが、送水ノズル144も送気ノズル143と同様の縦断面形状であり、送水パイプ741、マルチルーメンチューブ40を貫通する送水孔、および、図示を省略するチューブを介して、送気送水装置に接続されている。送気送水装置からの送水は、送水ノズル144から観察窓132に向けて放出される。送気ノズル143および送水ノズル144は、内視鏡検査中の観察窓132の清掃等に使用される。
【0037】
ジェット出口141は、先端枠70を貫通するジェット孔72、ジェットパイプ721、マルチルーメンチューブ40を貫通するジェット孔49および図示を省略するチューブを介して、送気送水装置に接続されている。ジェット孔72は、先端側が細く形成されている。送気送水装置からの送水は、ジェット孔72で速度を増して、勢い良く先端側に放出される。ジェット出口141からの送水は、観察対象部位から残渣、粘液および血液等を洗い流す際に使用される。
【0038】
図9は、先端部品13の断面図である。
図9において、左側が先端側、右側が操作部側である。
図10は、先端部品13を操作部側からみた側面図である。先端部品13は、先端枠70、窓板145、チャンネルパイプ781、ジェットパイプ721、送気パイプ731および送水パイプ741を含む。
【0039】
前述のとおり、先端枠70は略円柱形状である。先端枠70の操作部側の端面から、外周に沿って先端枠縁701が突出している。先端枠70の先端側の外周は、滑らかに丸みを帯びている。
【0040】
先端枠70の先端側の端面に設けられた窓板枠75に、窓板145が取り付けられている。先端枠70の観察窓132に対応する位置に、撮像・ケーブルユニット15が挿入される角孔71が貫通している。角孔71の操作部側の縁は、一段の段差を有して太く形成されている。
図10における角孔71の右下の角部に空気孔711が設けられている。空気孔711は、角孔71と平行に先端枠70を貫通している。
【0041】
先端枠70の側面から角孔71に連通する連通孔712が設けられている。連通孔712の内面は、雌ネジである。角孔71の内壁と、連通孔712とは略垂直である。先端枠70の照明窓133に対応する位置に、発光素子136が取り付けられる照明孔76が貫通している。
【0042】
先端枠70を先細りに貫通するジェット孔72の出口が、ジェット出口141を構成する。先端枠70を貫通するチャンネル孔78の先端側の端面が、チャンネル出口142を構成する。先端枠70を貫通する送気孔73の先端側に、送気ノズル143が突出している。先端枠70を貫通する送水孔74の先端側に、送水ノズル144が突出している。
【0043】
ジェット孔72、送気孔73、送水孔74およびチャンネル孔78は、それぞれ操作部側で1段の段差を有して太径部が形成されている。ジェット孔72の太径部に、ジェットパイプ721が接着等の任意の方法により固定されている。ジェットパイプ721の内面は、ジェット孔72の内面に滑らかに連続している。
【0044】
送気孔73の太径部に、送気パイプ731が接着等の任意の方法により固定されている。送気パイプ731の内面は、送気孔73の内面に滑らかに連続している。送水孔74の太径部に、送水パイプ741が接着等の任意の方法により固定されている。送水パイプ741の内面は、送水孔74の内面に滑らかに連続している。チャンネル孔78の太径部に、チャンネルパイプ781が接着等の任意の方法により固定されている。チャンネルパイプ781の内面は、チャンネル孔78の内面に滑らかに連続している。
【0045】
ジェットパイプ721、送気パイプ731、送水パイプ741およびチャンネルパイプ781の長さは略同一であり、操作部側の端面は、先端枠縁701の端面と略同一面上である。
【0046】
先端枠70の操作部側の端面の外周近傍に、円形断面を有するワイヤ止穴77が4個、略均等振り分けで配置されている。
【0047】
図11は、撮像・ケーブルユニット15の半断面図である。
図11において、左側が先端側、右側が操作部側である。撮像・ケーブルユニット15は、後述するケーブル部組50と、撮像ユニット60とを、外装筒68を用いて連結して構成されている。
【0048】
図12は、ケーブル部組50の部分半断面図である。
図13は、ケーブル部組50を先端側からみた側面図である。
図12および
図13において、左側が先端側、右側が操作部側である。ケーブル部組50は、ケーブル束51、接続ブロック53および接続枠52を含む。
【0049】
前述のとおり、ケーブル束51は、複数のケーブル素線511の束であり、外皮により覆われている。個々のケーブル素線511も絶縁性の外皮を有する。なお、撮像素子611との信号伝達に用いられるケーブル素線511は、芯線と誘電体層とシールド線とを有する同軸ケーブルであることが望ましい。ケーブル素線511は、光通信用の光ファイバであっても良い。
【0050】
接続ブロック53は、角柱形状または角板形状に形成された多層基板である。
図13に示すように、接続ブロック53の先端側の端面には、複数の接続端子532が配置されている。それぞれの接続端子532は、たとえば半田または銅等の、導電性が高い材料により形成された突起である。接続端子532の表面は、金またはニッケル等の防食性の皮膜で覆われていることが望ましい。
【0051】
接続ブロック53の操作部側の端面には、ケーブル素線511を接続可能なピンまたは端子が設けられている。接続端子532と、ピンまたは端子とは、接続ブロック53の内部で1対1に導通している。接続枠52は、接続ブロック53よりも一回り太い内寸を有する角形の筒である。接続枠52は、たとえばステンレス鋼等の、強度が高い材料製である。
【0052】
ケーブル束51の端部の外皮は除去されて、ケーブル素線511が露出している。それぞれのケーブル素線511の導体は、半田付け等によりピンまたは端子に接続されている。接続部は、熱収縮チューブ等の絶縁体で覆われて、短絡の発生が防止されている。接続ブロック53の側面および接続部は絶縁チューブ535および接続枠52で覆われている。絶縁チューブ535は、接続枠52よりも長い熱収縮チューブである。
【0053】
接続部は、絶縁性のポッティング樹脂によりポッティングされている。ポッティング樹脂は、絶縁チューブ535および接続枠52の内部に充填されている。絶縁チューブ535の操作部側の端部は、収縮してケーブル束51の外皮に密着している。
【0054】
以上により、ケーブル部組50の先端側の端部は、略角柱形状に形成されている。接続枠52の内部にはポッティング樹脂が充填されているため、外力が加わった場合であっても、断線等のトラブルの発生が防止されている。
【0055】
図14は、撮像ユニット60の半断面図である。
図14において、左側が先端側、右側が操作部側である。撮像ユニット60は、撮像素子611と、撮像素子611に光学像を結像する光学部品とを、ピントを合わせて組み立てた部品である。撮像ユニット60は、撮像枠61、撮像素子611、撮像基板612、フィルタ623、撮像レンズ枠622、撮像レンズ621および遮光マスク614を有する。
【0056】
撮像枠61の外形は、略角柱状であり、先端側の外寸が、操作部側の外寸よりも一回り太く構成されている。先端側と操作部側との境界部には、長手方向に対して略垂直な当接壁628が形成されている。
【0057】
撮像枠61の操作部側は、一様な厚さであり、角筒形状になっている。撮像枠61の先端側は、操作部側に比べて厚くなっており、内面は円筒形状である。撮像枠61の先端近傍の側面に、2個のカニメ穴619が対称に配置されている。撮像枠61は、たとえばステンレス鋼等の、強度が高い材料製である。
【0058】
撮像基板612は、角柱形状または角板形状に形成された部品内蔵基板である。撮像基板612は、撮像素子611を制御するドライバ回路を内蔵している。撮像素子611は、撮像基板612の先端側の面に実装されている。撮像基板612の操作部側の面に、複数の撮像端子616が配置されている。
【0059】
撮像端子616は、操作部側に向けて突出する複数の爪を有する。撮像端子616は、たとえば真鍮等の硬度の高い導体の表面を、金メッキにより被覆して構成される。撮像端子616の配置は、
図13を使用して説明した接続端子532に対応している。撮像素子611の入出力端子は、撮像基板612の内部でドライバ回路を介して撮像端子616に接続されている。
【0060】
撮像素子611の先端側にフィルタ623が取り付けられている。フィルタ623は、撮像素子611に入射する光から、たとえば赤外線等の不要な光を除去し、所望の色合いの画像を撮像できるように調整する。
【0061】
フィルタ623、撮像素子611および撮像基板612の側面は、絶縁チューブ615により覆われて、撮像素子部組617を構成している。絶縁チューブ615は熱収縮チューブであり、収縮させることにより、それぞれの部品の側面に接触する。撮像素子611への迷光の入射を避けるため、絶縁チューブ615は遮光性を有することが望ましい。
【0062】
撮像レンズ枠622は、複数の撮像レンズ621を適切な位置に固定して、撮像レンズ部組62を構成する。遮光マスク614は、撮像レンズ枠622の内面に固定されている。遮光マスク614は、撮像レンズ部組62から、撮像素子611への不要な周辺光線の入射を防止する。
【0063】
撮像枠61に、撮像レンズ部組62および撮像素子部組617が挿入され、ピント調整を行なった後に接着剤等により強固に固定されることにより、撮像ユニット60が製作される。撮像ユニット60には、撮像素子611および撮像レンズ621等の高価な部品を含む上、ピント調整の作業を要する高価な部品である。本実施の形態においては、撮像ユニット60は使用済の内視鏡10から回収され、新たな内視鏡10の製造に再利用される。
【0064】
図15は、外装筒68の斜視図である。
図15において、左側が先端側、右側が操作部側である。外装筒68は、ケーブル部組50と、撮像ユニット60とを、連結する連結部材である。外装筒68は、薄肉の角筒形状である。外装筒68の1面には、一方の端部に半円形の筒切欠部681が2個並んで設けられており、反対側の端部寄りに丸孔である保持凹部682が設けられている。
【0065】
外装筒68は、たとえば真鍮または樹脂等の、撮像枠61に比べて破壊しやすい材料製の角形パイプを切断および孔あけ加工して製作される。外装筒68は、たとえば真鍮または樹脂等の薄板を折り曲げて製作されても良い。真鍮を用いる場合、外装筒68の肉厚は、0.1ミリメートルから0.2ミリメートル程度であることが望ましい。
【0066】
外装筒68は、たとえば丸棒または角棒等の、任意の形状の棒材に、撮像枠61および接続枠52の外径形状と対応する形状の貫通孔を設けた形状であっても良い。
【0067】
図11から
図15を使用して、撮像・ケーブルユニット15の製造方法の概要を説明する。撮像枠61の操作部側の側面に接着剤を塗布する。外装筒68を当接壁628に突き当たるまで被せる。接着剤を十分に硬化させる。以上により、撮像ユニット60と外装筒68とが固定される。
【0068】
接続枠52の側面に接着剤を塗布する。接着剤を塗布した部分を、外装筒68に挿入し、接続端子532と撮像端子616とを突き当てる。接続枠52の操作部側の縁をカシメて、内向きに屈曲した屈曲部685を形成することにより、接続端子532を撮像端子616に押し込む。
【0069】
図16は、
図11のA部拡大図である。接続端子532に、撮像端子616の先端が突き刺さり、強固な接続状態が得られる。接着剤を十分に硬化させる。以上により、撮像ユニット60とケーブル部組50とが接続された状態で固定され、撮像・ケーブルユニット15が完成する。
【0070】
前述のとおり、接続端子532は半田または銅等の、導電性が高い材料により形成されており、撮像端子616は真鍮等の硬度の高い導体材料により形成されている。撮像端子616の材料の方が、接続端子532の材料よりも硬度が高いため、撮像端子616は変形または削れ等のダメージをほとんど受けずに、接続端子に突き刺さる。したがって、撮像ユニット60は繰り返して使用できる。
【0071】
図17は、当付板58の正面図である。当付板58は、たとえばステンレス鋼等の強度が高い材料製の円板である。当付板58は、角孔581、ジェット孔582、送気孔583、送水孔584、照明孔586、ワイヤ孔587およびチャンネル孔588を有する。いずれも貫通孔である。それぞれの孔の配置は、
図10を使用して説明した先端部品13のレイアウトと同様であるため説明を省略する。
【0072】
前述のとおり、ワイヤ孔587は、湾曲ワイヤ17は挿通可能であるが、湾曲ワイヤ止171は挿通不可能な寸法である。
【0073】
図18および
図19は、内視鏡10の組立方法を説明する説明図である。なお、以下では挿入部14の組立方法について説明し、操作部20およびコネクタ部24の組立については説明を省略する。
【0074】
図18および
図19は、
図6と同じ切断面による断面図を示す。
図18に示すように、2個の照明孔76それぞれに、照明ケーブル761に接続された発光素子136を挿入して接着する。
【0075】
図19に示すように、未使用のマルチルーメンチューブ40の端面に当付板58を当てた状態で、湾曲ワイヤ17を湾曲ワイヤ孔47に、ケーブル束51をケーブル孔42に、それぞれ挿入する。
【0076】
先端枠縁701の内面および各パイプの外面に接着剤を塗布する。照明ケーブル761を照明孔46に挿入する。撮像・ケーブルユニット枠151の角柱形状部分が角孔71内に、湾曲ワイヤ止171がワイヤ止穴77にそれぞれ入り込む。角孔71は、角柱形状部分の外装部品である外装筒68と嵌合する、本実施の形態の収容部の一例である。なお、角孔71と外装筒68との間には、隙間が設けられていても良い。
【0077】
空気孔711が設けられているため、撮像・ケーブルユニット15の先端と窓板145との間の空気は外部に流出する。チャンネルパイプ781、ジェットパイプ721、送気パイプ731および送水パイプ741も、それぞれマルチルーメンチューブ40に設けられた、対応する孔に入り込む。
【0078】
先端部品13とマルチルーメンチューブ40の端面とを突き当てた状態で、接着剤を硬化する。操作部20およびコネクタ部24の組立を行なう。以上により、
図1から
図8を使用して説明した内視鏡10が完成する。内視鏡10は、滅菌パックに梱包されて、たとえば電子線滅菌等により滅菌された後に出荷される。
【0079】
ユーザは、内視鏡10を1回だけ使用する。使用済の内視鏡10は、メーカにより回収され、洗浄、滅菌等の感染防止措置が行なわれる。その後、内視鏡10が分解されて、撮像ユニット60等の再利用可能な部品が回収される。再利用可能な部品に対しては所定の検査が行なわれ、合格した場合に新たな内視鏡10の製造に用いられる。
【0080】
図20から
図23は、内視鏡10の分解方法を説明する説明図である。
図20から
図23は、
図3と同じ切断面による断面図を示す。まず、操作部20を分解して、ケーブル束51が操作部側で接続された部分を取り外す。
【0081】
窓板145を先端枠70から取り外す。この作業は、たとえば
図2を使用して説明した窓板145の縁と窓板枠75の縁との間の隙間に、治具を差し込んで抉ることにより実施する。
【0082】
窓板145と先端枠70との接着に、温度依存性の高い接着剤、すなわち温度が変化した場合に接着力が変化する接着剤を使用して、窓板145を取り外し可能にしても良い。具体的には、窓板145と先端枠70との接着に、内視鏡10の通常の輸送、保管および使用条件では発生せず、撮像ユニット60を劣化させない程度の温度、たとえば60度から70度程度の温度で急激に劣化する接着剤を使用する。たとえば、60度から70度程度のガラス転移点を有する接着剤を使用するか、または、60度から70度程度の軟化点を有するホットメルト接着剤を使用する。この場合、内視鏡10を当該温度まで暖めることで、窓板145を外せる。
【0083】
固定ネジ69の頭部を覆う接着剤を、ピンセット等を用いて除去する。その後、固定ネジ69および保護シート691を取り外す。以上により、
図20に示す状態が実現する。連通孔712の操作部側の奥に、保持凹部682が露出した状態になっている。
【0084】
図21を使用して説明を続ける。先端が棒状である押出治具81を、連通孔712を介して保持凹部682に差し込む。押出治具81を用いて保持凹部682を先端側に押し出すことにより、
図22に示すように撮像・ケーブルユニット15の先端が先端部品13から突出する。
【0085】
図23を使用して説明を続ける。カニメ治具82を2つのカニメ穴619に差し込む。カニメ治具82は、たとえばピンセットまたはラジオペンチ等の挟む機能を有する工具の両端に、カニメ穴619に対応するピンが内向きに固定されている治具である。カニメ治具82を引っ張ることにより、撮像・ケーブルユニット15を内視鏡10から取り出せる。
【0086】
取り出した撮像・ケーブルユニット15から、外装筒68を取り外す。たとえば、筒切欠部681にピンセット等の工具を差し込んで、外装筒68を引き裂く。ヤスリにより、外装筒68の稜線を削り落としても良い。撮像枠61、および、接続枠52は、外装筒68よりも強度が高い材料製であるため、外装筒68だけを破壊できる。
【0087】
前述の窓板145の取り外し工程と同様に、組立時に温度依存性の高い接着剤を使用し、撮像・ケーブルユニット15を暖めることにより外装筒68を取り外してもよい。なんらかの手段により外装筒68を取り外すことにより、撮像ユニット60を破壊せずに回収できる。
【0088】
回収した撮像ユニット60に対して、所定の品質検査を行い、合格した場合に新たな内視鏡10の製造に再利用する。
【0089】
本実施の形態によると、撮像ユニット60を再利用できる内視鏡10を提供できる。高価な部品を再利用することにより、高画質のシングルユース用の内視鏡10を、安価に提供できる。
【0090】
撮像ユニット60は、たとえばチャンネル径、または、有効長等の仕様の異なる内視鏡10であっても、共通して利用できる。したがって、ユーザのニーズに応じた内視鏡10を速やかに提供できる。
【0091】
たとえば当付板58等、撮像ユニット60以外の部品を再利用してもよい。ケーブル部組50にダメージを与えずに撮像・ケーブルユニット15を内視鏡10から取り出せる場合には、外装筒68を破壊さず、撮像・ケーブルユニット15全体を再利用しても良い。
【0092】
なお、先端部品13は、チャンネルパイプ781、ジェットパイプ721、送気パイプ731および送水パイプ741の一部または全部を含まなくても良い。この場合、先端部品13に含まれないパイプは、マルチルーメンチューブ40の先端に取り付けられる。
【0093】
[実施の形態2]
本実施の形態は、ケーブル部組50と撮像ユニット60とを一体に構成した内視鏡10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0094】
図24は、実施の形態2の内視鏡10を説明する説明図である。撮像・ケーブルユニット15の操作部側の端部に、第1中継基板55が設けられている。第1中継基板55の構成の詳細については後述する。スコープコネクタ27からユニバーサルコード25を介して操作部20の内部に第2ケーブル部組252が延びている。第2ケーブル部組252の端部に第2中継基板253が設けられている。
【0095】
図25は、実施の形態2の撮像・ケーブルユニット15の部分断面図である。本実施の形態の撮像・ケーブルユニット15は、撮像レンズ部組62と、ケーブル部組50と、撮像・ケーブルユニット枠151とを有する。
【0096】
撮像・ケーブルユニット枠151の外径は角柱形状であり、先端側には円筒形状の孔が、操作部側には角筒形状の孔がそれぞれ設けられている。撮像・ケーブルユニット枠151は、たとえばステンレス鋼等の、強度が高い材料製である。撮像・ケーブルユニット枠151の先端側の外面には、1組のカニメ穴619が設けられている。撮像・ケーブルユニット枠151の操作部側寄りの外面には、保持凹部682が設けられている。
【0097】
ケーブル部組50は、撮像素子611が実装された撮像基板612に、ケーブル素線511が接続された構成である。撮像レンズ部組62と、ケーブル部組50とは、ピント調整が行なわれた状態で撮像・ケーブルユニット枠151の内部に固定されている。
【0098】
図26は、第1中継基板55の正面図である。第1中継基板55は、長板状の多層基板であり、一端に取付孔554を有する。第1中継基板55の一方の面に、ランド553が配列されている。他方の面に、基板対基板コネクタである接続コネクタ552が実装されている。ランド553と接続コネクタ552の端子とは、第1中継基板55の内部で接続されている。
【0099】
図25に戻って説明を続ける。ケーブル部組50を構成する各ケーブル素線511の操作部側の端部は、ランド553にそれぞれ半田付けされている。半田付け部は、ポッティング樹脂により覆われている。
【0100】
図27は、第1中継基板55の大きさを説明する説明図である。一点鎖線の円は、マルチルーメンチューブ40を貫通するケーブル孔42の内径を示す。第1中継基板55、接続コネクタ552、ケーブル素線511およびポッティング樹脂は、ケーブル束51の外径よりも細くなるように実装されている。したがって、本実施の形態の第1中継基板55はケーブル孔42を通過可能であり、撮像・ケーブルユニット15を破壊せずに内視鏡10から取り外して再利用できる。
【0101】
図28は、撮像・ケーブルユニット15と第2ケーブル部組252との接続方法を説明する説明図である。第1中継基板55に実装された接続コネクタ552と、第2中継基板253に設けられたコネクタとが嵌め合わされている。取付孔554および第2中継基板253に設けられた貫通孔を貫通する取付ネジ259により、撮像・ケーブルユニット15および第2ケーブル部組252は、操作部20内部に取り付けられたフレーム258にネジ固定されている。
【0102】
本実施の形態によると、ケーブル束51を断線させずに撮像・ケーブルユニット15を取り外して、再利用可能な内視鏡10を提供できる。同様に、ユニバーサルコード25から第2ケーブル部組252を抜去して、再利用しても良い。
【0103】
[実施の形態3]
本実施の形態は、外装筒68と撮像枠61とをピンにより固定する内視鏡10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0104】
図29は、実施の形態3の撮像・ケーブルユニット15の半断面図である。
図30は、実施の形態3の外装筒68の斜視図である。本実施の形態の撮像枠61は、内面が円筒形になった部分の外面に当接壁628を有する。撮像枠61の各面の、当接壁628の操作部側に、ストッパ突起618が立設されている。
【0105】
外装筒68は、各面にストッパ孔688を有する。
図29に示すように、ストッパ孔688と、ストッパ突起618とは係合する。
【0106】
本実施の形態によると、撮像枠61と外装筒68との間の接着に、比較的接着力の弱い接着剤を使用できる。撮像枠61と外装筒68との間の接着を省略しても良い。したがって、再利用時に撮像ユニット60を容易に取り外せる内視鏡10を提供できる。
【0107】
なお、ストッパ突起618は、互いに平行な2面にのみ設けられていてもよい。ストッパ突起618は、一つの面に複数設けられていてもよい。
【0108】
[実施の形態4]
本実施の形態は、撮像端子616と接続端子532との接続に異方性導電性フィルムを使用する内視鏡10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0109】
図31は、実施の形態4の撮像・ケーブルユニット15の半断面図である。本実施の形態の撮像端子616は、端面が平坦な突起である。撮像端子616と、接続端子532との間に、異方性導電フィルム538が挟まれている。異方性導電フィルム538は、厚さ方向に導通し、面内方向に導通しないフィルムである。
【0110】
本実施の形態によると、複数回利用しても撮像端子616が劣化しにくい内視鏡10を提供できる。
【0111】
[実施の形態5]
本実施の形態は、当付板58が外装筒68を支持する内視鏡10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0112】
図32は、実施の形態5の内視鏡10の断面図である。
図33は、
図32のB部拡大図である。本実施の形態の当付板58に設けられた角孔581の内寸は、外装筒68端部のカシメ部分よりも小さく、外装筒68端部のカシメ部分は当付板58に支持されて、マルチルーメンチューブ40側に移動しない。
【0113】
撮像・ケーブルユニット15の角柱部分は、窓板145と当付板58とに挟持されているため、温度変化、経年変化等が生じた場合であっても、撮像端子616と接続端子532との間の接続状態を安定して維持できる。
【0114】
本実施の形態によると、撮像端子616と接続端子532との間の接続状態を安定して維持する内視鏡10を提供できる。
【0115】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0116】
10 内視鏡
11 軟性部
12 湾曲部
13 先端部品
132 観察窓
133 照明窓
136 発光素子
14 挿入部
141 ジェット出口
142 チャンネル出口
143 送気ノズル
144 送水ノズル
145 窓板
15 撮像・ケーブルユニット
151 撮像・ケーブルユニット枠
16 折止部
17 湾曲ワイヤ
171 湾曲ワイヤ止
20 操作部
21 湾曲ノブ
22 チャンネル入口
23 鉗子栓
24 コネクタ部
25 ユニバーサルコード
252 第2ケーブル部組
253 第2中継基板
258 フレーム
259 取付ネジ
26 コネクタケース
27 スコープコネクタ
40 マルチルーメンチューブ
42 ケーブル孔
43 送気孔
46 照明孔
47 湾曲ワイヤ孔
48 チャンネル孔
49 ジェット孔
50 ケーブル部組(ケーブル)
51 ケーブル束
511 ケーブル素線
52 接続枠
53 接続ブロック
532 接続端子
535 絶縁チューブ
538 異方性導電フィルム
55 第1中継基板
552 接続コネクタ
553 ランド
554 取付孔
58 当付板
581 角孔
582 ジェット孔
583 送気孔
584 送水孔
586 照明孔
587 ワイヤ孔
588 チャンネル孔
60 撮像ユニット
61 撮像枠
611 撮像素子
612 撮像基板
614 遮光マスク
615 絶縁チューブ
616 撮像端子
617 撮像素子部組
618 ストッパ突起
619 カニメ穴
62 撮像レンズ部組
621 撮像レンズ
622 撮像レンズ枠
623 フィルタ
628 当接壁
68 外装筒
681 筒切欠部
682 保持凹部
685 屈曲部
688 ストッパ孔
69 固定ネジ
691 保護シート
70 先端枠
701 先端枠縁
71 角孔(収容部、貫通孔)
711 空気孔
712 連通孔
72 ジェット孔
721 ジェットパイプ
73 送気孔
731 送気パイプ
74 送水孔
741 送水パイプ
75 窓板枠
76 照明孔
761 照明ケーブル
77 ワイヤ止穴
78 チャンネル孔
781 チャンネルパイプ
81 押出治具
82 カニメ治具