(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】消火栓装置及び消火栓設備
(51)【国際特許分類】
A62C 35/20 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
A62C35/20
(21)【出願番号】P 2021094103
(22)【出願日】2021-06-04
(62)【分割の表示】P 2016236605の分割
【原出願日】2016-12-06
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】梅原 寛
(72)【発明者】
【氏名】安藤 拓史
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-147704(JP,A)
【文献】特開2002-291930(JP,A)
【文献】特開2000-148270(JP,A)
【文献】特開2000-271241(JP,A)
【文献】特開2009-103227(JP,A)
【文献】特開2009-190460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にノズル付きのホースが収納され、前記ホースを取り出すための開口を有する筐体と、
前記筐体の開口に開閉自在に配置された扉と、
を備えた消火栓装置であって、
前記扉の前記筐体内側となる裏面及び前記筐体内部に、消火栓弁を開閉させるために前記消火栓弁に対するパイロット圧を制御する構造の一部であるパイロット配管が配置され、
前記扉の裏面のパイロット配管と前記筐体内部のパイロット配管は、前記扉の開閉による前記扉の裏面のパイロット配管の位置と前記筐体内部のパイロット配管の位置との距離の変化に対応して自在に連結させる配管自在連結機構を介して接続され、
前記配管自在連結機構は、
前記筐体側に固定された第1スイベルジョイントと、
前記上扉の裏面に固定された第2スイベルジョイントと、
前記第1スイベルジョイントと前記第2スイベルジョイントとの間を一対の配管をスイベルジョイントを介して屈曲自在に連結させる2節リンク配管と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
内部にノズル付きのホースが収納され、前記ホースを取り出すための開口を上面に有する筐体と、
前記筐体の開口に開閉自在に配置された上扉と、
を備えた消火栓装置が前記筐体の上面が監視員通路の路面側となるようにトンネル壁面に沿った前記監視員通路下に埋込み設置された消火栓設備であって、
前記上扉の前記筐体内側となる裏面及び前記筐体内部に、消火栓弁を開閉させるために前記消火栓弁に対するパイロット圧を制御する構造の一部であるパイロット配管が配置され、
前記上扉の裏面のパイロット配管と前記筐体内部のパイロット配管は、前記上扉の開閉による前記上扉の裏面のパイロット配管の位置と前記筐体内部のパイロット配管の位置との距離の変化に対応して自在に連結させる配管自在連結機構を介して接続され、
前記配管自在連結機構は、
前記筐体側に固定された第1スイベルジョイントと、
前記上扉の裏面に固定された第2スイベルジョイントと、
前記第1スイベルジョイントと前記第2スイベルジョイントとの間を一対の配管をスイベルジョイントを介して屈曲自在に連結させる2節リンク配管と、
を備えたことを特徴とする消火栓設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル付きホースを引き出して消火用水又は消火泡を放出させる消火栓装置及び消火栓設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や自動車専用道路などのトンネル内に設置するトンネル非常用設備として消火栓装置が設けられており、消火栓装置は開放自在な消火栓扉を備え、先端にノズルを装着したホースと消火栓弁を含むバルブ類を収納している。
【0003】
消火栓装置は、一般的に、トンネル側壁に沿って例えば50メートル間隔でトンネル壁面に埋込み設置されている。火災を伴う車両事故が発生した場合には、監視員通路のあるトンネルでは、事故車両の運転者等の道路利用者は監視員通路の側面に設置されたステップ等により監視員通路に登り、トンネル壁面に設置された消火栓装置の消火栓扉を前方に開放してノズル付きのホースを取出して消火作業を行うようにしている。
【0004】
監視員通路は路面に対し高くした側壁通路として設けられ、トンネル内の車両通行を妨げることなく且つ安全にトンネル内に設置している消火栓装置を含む各種の機器の点検を行うことを可能としている。
【0005】
また、監視員通路のないトンネルにあっては、事故車両の運転者等の利用者は、トンネル壁面に設置された消火栓装置に近づき、同様に、消火栓扉を前方に開放してノズル付きのホースを取出して消火作業を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-181057号公報
【文献】特開2008-055024号公報
【文献】特開2009-285126号公報
【文献】特開2017-209145号公報
【文献】特開平05-338496号公報
【文献】実開平05-041975号のCD-ROM
【文献】特開2009-092285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、シールド工法等により作られた都市型トンネルにあっては、トンネル壁面に消火栓装置を埋込み設置できない構造であり、監視員通路の側壁面に消火栓装置を埋込み設置する必要がある。
【0008】
しかしながら、従来の消火栓のように扉を前開きする消火栓装置を監視員通路に設置した場合には、消火栓扉が開くと建築限界を超えて道路側に飛び出す問題がある。
【0009】
この問題を解決するため、監視員通路内に消火栓装置を埋込み設置し、道路側に面してスライド開閉される前扉を設けると共に、監視員通路面に上向きに開閉される上扉を設けた消火栓装置が提案されている。
【0010】
このように監視員通路に埋込み設置された消火栓装置によれば、車両事故による火災の発生時に、利用者は、道路に面した前扉を開くことで、ホース収納部から簡単且つ容易にノズル付きホースを引き出して消火を行うことができる。また、消火栓装置の前に車両が停止して前扉からの操作ができない場合には、監視員通路の上扉を開くことで、停止車両に妨げられることなく、ノズル付きホースを引き出して消火を行うことができる。
【0011】
このような監視員通路に設置された消火栓装置にあっては、前扉又は上扉を開いてノズル付きのホースを引き出し、筐体内に設けている消火栓弁開閉レバーを開位置に操作することで、消火栓収納箱に対し分離配置されている消火栓弁を遠隔的に開放させて、引き出されたホースに消火用水を供給して放水させる。
【0012】
しかしながら、前扉又は上扉を開くことで開放された例えば筐体の上部開口内部に消火栓開閉レバーが収納されているため、外部から見て消火栓弁開閉レバーが見つけづらく、操作に手間取る場合がある。また、道路利用者は筐体開口から内部に手を入れて消火栓開閉レバーを操作しなければならないため、道路側からも、また、監視員通路側からも操作しにくいという問題がある。
【0013】
そのため、消火栓弁開閉レバーを見えやすい位置とするために開放される扉の裏面に設けることが考えられるが、この場合、消火栓弁を開放させるために消火栓弁に対するパイロット圧を制御する構造であるパイロット配管や電動パイロット弁を動作させるための配線を筐体内部から扉の裏面にかけて配置することになり、扉の開閉により扉の裏面側の管又はケーブルの位置と筐体内部側の管又はケーブルの位置との距離が変化することから、開閉による管又はケーブルに対する負荷が大きく、場合によっては扉の開閉動作を妨げる問題が発生する。
【0014】
本発明は、扉の開閉の影響を受けることなく、筐体内部から扉裏面にかけて配管又は配線を可能とする消火栓装置及び消火栓設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(消火栓装置1)
本発明は、
内部にノズル付きのホースが収納され、ホースを取り出すための開口を有する筐体と、
筐体の開口に開閉自在に配置された扉と、
を備えた消火栓装置であって、
扉の筐体内側となる裏面及び筐体内部に、消火栓弁を開閉させるために消火栓弁に対するパイロット圧を制御する構造の一部であるパイロット配管が配置され、
扉の裏面のパイロット配管と筐体内部のパイロット配管は、扉の開閉による扉の裏面のパイロット配管の位置と筐体内部のパイロット配管の位置との距離の変化に対応して自在に連結させる配管自在連結機構を介して接続され、
配管自在連結機構は、
筐体側に固定された第1スイベルジョイントと、
上扉の裏面に固定された第2スイベルジョイントと、
第1スイベルジョイントと前記第2スイベルジョイントとの間を一対の配管をスイベルジョイントを介して屈曲自在に連結させる2節リンク配管と、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
(消火栓設備)
本発明の別の形態にあっては、
内部にノズル付きのホースが収納され、ホースを取り出すための開口を上面に有する筐体と、
筐体の開口に開閉自在に配置された上扉と、
を備えた消火栓装置が筐体の上面が監視員通路の路面側となるようにトンネル壁面に沿った監視員通路下に埋込み設置された消火栓設備であって、
上扉の筐体内側となる裏面及び筐体内部に、消火栓弁を開閉させるために消火栓弁に対するパイロット圧を制御する構造の一部であるパイロット配管が配置され、
上扉の裏面のパイロット配管と筐体内部のパイロット配管は、上扉の開閉による上扉の裏面のパイロット配管の位置と筐体内部のパイロット配管の位置との距離に対応して自在に連結させる配管自在連結機構を介して接続され、
配管自在連結機構は、
筐体側に固定された第1スイベルジョイントと、
上扉の裏面に固定された第2スイベルジョイントと、
第1スイベルジョイントと第2スイベルジョイントとの間を一対の配管をスイベルジョイントを介して屈曲自在に連結させる2節リンク配管と、
を備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明の消火栓設備による他の特徴は、前述した消火栓装置の場合と基本的に同じになることから、その説明を省略する。
【発明の効果】
【0023】
(消火栓装置1の効果)
本発明は、内部にノズル付きのホースが収納され、ホースを取り出すための開口を有する筐体と、筐体の開口に開閉自在に配置された扉と、を備えた消火栓装置であって、扉の筐体内側となる裏面及び筐体内部に、消火栓弁を開閉させるために消火栓弁に対するパイロット圧を制御する構造の一部であるパイロット配管が配置され、扉の裏面のパイロット配管と筐体内部のパイロット配管は、扉の開閉による扉の裏面のパイロット配管の位置と筐体内部のパイロット配管の位置との距離の変化に対応して自在に連結させる配管自在連結機構を介して接続されたため、扉の開閉により筐体側と扉側に配置されたパイロット配管の距離が異なっても、この距離の変化を吸収するパイロット配管の自在連結機構により、筐体側から扉側に対する配管接続を可能とする。
【0024】
(配管自在連結機構1による効果)
また、配管自在連結機構は、筐体側に固定された第1配管連結部と、上扉の裏面に固定された第2配管連結部と、第1配管連結部と第2配管連結部との間を伸縮自在且つ回動自在に連結させる伸縮配管とを備えたため、扉の開閉に伴い筐体側及び扉側の連結部分が回動することで扉の動きが可能となり、また、扉の開閉状態で、筐体側及び扉側の連結部分の距離が異なるが、この距離の相違は伸縮管の軸方向の伸縮で吸収され、扉の動きを妨げることなく、扉側と筐体側との間のフレキシブルなパイロット配管の接続を可能とする。
【0025】
(伸縮配管構造による効果)
また、伸縮配管は、第1配管連結部に一端が回動自在に連結された第1伸縮管と、第2配管連結部に一端が回動自在に連結された第2伸縮管を備え、第1伸縮管の他端の内側又は外側に第2伸縮管の他端を、シールを介して摺動自在に嵌め入れるようにしたため、簡単な構造により扉の開閉に伴う筐体側と扉側との間の距離の変化を吸収可能とする。
【0026】
(配管自在連結機構2による効果)
また、配管自在連結機構は、筐体側に固定された第1スイベルジョイントと、上扉の裏面に固定された第2スイベルジョイントと、第1スイベルジョイントと第2スイベルジョイントとの間を、一対の配管をスイベルジョイントを介して屈曲自在に連結させる2節リンク配管とを備えたため、扉の開閉に伴い筐体側及び扉側の連結部分が回動することで扉の動きが可能となり、また、扉の開閉状態で、筐体側及び扉側の連結部分の距離が異なるが、この距離の相違は伸縮管の軸方向の伸縮で吸収され、扉の動きを妨げることなく、扉側と筐体側との間のフレキシブルなパイロット配管の接続を可能とする。
【0027】
(消火栓装置2の効果)
また、本発明の別の形態にあっては、内部にノズル付きのホースが収納され、ホースを取り出すための開口を有する筐体と、筐体の開口に開閉自在に配置された扉と、を備えた消火栓装置であって、扉の筐体内側となる裏面に、消火栓弁を遠隔的に開閉させる消火栓弁開閉操作部と、消火栓弁開閉操作部の操作による開操作及び閉操作を検出して検出信号を出力する開閉操作検出部と、が設けられ、筐体内部に、消火栓弁を開閉させる消火栓弁に対するパイロット圧を制御するために開閉される電動パイロット弁と、開閉操作検出部の開操作の検出信号により電動パイロット弁を開駆動させ、開閉操作検出部の閉操作の検出信号により電動パイロット弁を閉駆動させる開閉回路部と、が設けられ、開閉操作検出部側の信号線は、扉の開閉による開閉操作検出部の位置と開閉回路部の位置との距離の変化に対応して自在に連結させる配線自在接続機構を介して開閉回路部側の信号線に接続されたため、扉側には消火栓弁開閉操作部と開閉検出部を設けるだけで良いことから、扉側の構造が簡単にできる。また配線自在接続機構は、配管自在連結機構と同様に扉の開閉で筐体側と扉側を連結する信号線の距離が異なっても、この距離の変化を吸収する信号線の自在接続により、筐体側と扉側の配線接続を可能とする。
【0028】
本発明の消火栓設備、及び消火栓装置の配管方法又は配線方法による効果は、前述した消火栓装置の場合と同じになることから、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】シールドトンネル内に設置した消火栓設備を含むトンネル非常用設備を示した説明図
【
図2】消火栓収納箱の外観を正面、平面及び側面から示した説明図
【
図3】消火栓収納箱の内部構造を正面、平面及び側面から示した説明図
【
図4】上扉を前開きして前扉をスライド落下して開放させた消火栓収納箱を示した説明図
【
図5】上扉を後開きさせた消火栓収納箱を正面から示した説明図
【
図6】消火栓収納箱の横から見た断面を示した説明図
【
図7】配管自在連結機構の他の実施形態を示した説明図
【
図8】
図7の消火栓収納箱の横から見た断面を示した説明図
【
図9】放水制御機構を監視員通路側の消火栓収納箱と共に路面側から見た断面で示した説明図
【
図10】電気式の放水操作機構の実施形態を、上扉を前開きして前扉をスライド落下して開放させた消火栓収納箱を正面から示した説明図
【
図11】
図10の消火栓収納箱に対する放水制御機構を路面側から見た断面で示した説明図
【
図12】電動パイロット弁の操作回路の実施形態を示した回路ブロック図
【
図13】電動パイロット弁の操作回路の他の実施形態を示した回路ブロック図
【
図14】電動パイロット弁の操作回路の他の実施形態を示した回路ブロック図
【
図15】電動パイロット弁の操作回路の他の実施形態を示した回路ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0030】
[トンネル非常用設備の概要]
図1は自動車専用道路のトンネル内に設置された消火栓設備を含むトンネル非常用設備を示した説明図である。
図1に示すように、シールド工法により構築されたトンネル10内は円筒形のトンネル壁面12により覆われ、床版18により仕切られることで道路15が設けられており、この例にあっては、道路15は1方向2車線としている。
【0031】
床版18で仕切られた道路15の左側のトンネル壁面12に沿って監視員通路14が設けられ、監視員通路14の下側の内部空間はダクト22として利用され、電線管等が敷設される。監視員通路14は例えば高さが90センチメートル、横幅が70センチメートルといった大きさをもつ。
【0032】
道路15が形成された床版18の下側はトンネル横方向に複数の区画に仕切られており、例えば、監視員通路14の下に位置する区画は、管理用通路20として使用され、また、管理用通路20はトンネル内での火災発生時には、緊急避難通路として使用される。管理用通路20には給水本管24が敷設されている。
【0033】
トンネル10の長手方向の50メートルおきには、消火栓設備16が設置され、消火栓設備16はホースが収納された消火栓収納箱30と放水制御機構収納部90に分離して設置されている。
【0034】
消火栓収納箱30は、監視員通路14の路面及び道路15側の壁面にかけて箱形に刳り貫かれた消火栓埋込部に配置されている。放水制御機構収納部90は、消火栓収納箱30の下側となる管理用通路20に配置され、給水本管24から分岐した分岐配管24aが引き込まれ、また、消火栓収納箱30に消火用水を供給する給水配管25が立ち上げられている。
【0035】
[消火栓設備]
図2は消火栓収納箱の外観を正面、平面及び側面から示した説明図、
図3は消火栓収納箱の内部構造を正面、平面及び側面から示した説明図である。
【0036】
(消火栓収納箱の外観構造)
図2に示すように、消火栓設備16の消火栓収納箱30は、監視員通路14の路面下の内部空間に埋込み設置されている。消火栓収納箱30は、
図2(A)に示すように、筐体31の前面中央の下側に固定扉33が配置されると共に、固定扉33の上側に前扉32が上下方向にスライド自在に配置されている。
【0037】
また、
図2(B)に示すように、消火栓収納箱30の監視員通路14の路面側となる上面中央には、前扉32と同じ横幅の上扉36が配置されている。上扉36は、
図2(C)に示すように、上扉36aで示す前開きと、上扉36bで示す後開きができる。
【0038】
ここで、上扉36aで示す前開きとは、上扉36の奥行側の後縁部を軸として上向き回りに開閉されることを意味し、また、上扉36bで示す後開きとは、上扉36の手前の前縁部を軸として上向き回りに開閉されることを意味する。
【0039】
前扉32と上扉36は閉鎖状態で係止されており、利用者が道路15側から操作する場合には、前開きハンドル34を開操作すると、上扉36に対する前扉32の係止が解除され、前扉32は自重により固定扉33の裏側に落下して消火栓収納箱30の前面上部を開口させ、また、上扉36を前開きすることで、消火栓収納箱30の上面を開口させる。
【0040】
また、利用者が監視員通路14側から操作する場合には、後開きハンドル38を開操作すると、筐体31に対する上扉36の係止が解除され、上扉36を後開きすることで、消火栓収納箱30の上面を開口させる。
【0041】
消火栓収納箱30の前面左上部には通報装置パネル42が設けられる。通報装置パネル42には、赤色表示灯44、発信機45、電話ジャック46及び応答ランプ48が設けられている。赤色表示灯44は常時点灯し、消火栓設備の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機45を押して押し釦スイッチをオンすると、発信信号が監視室の防災受信盤に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が火災受信機から送られて、応答ランプ48が点灯され、更に、赤色表示灯44が点滅される。
【0042】
(消火栓収納箱の内部構造)
図3に示すように、消火栓収納箱30の内部下側はホース収納部50となっており、保形構造のホース60を水平回りに内巻きしている。ここで、消火栓収納箱30の横幅は約1.4メートル程度、奥行きは約0.35メートル程度であることから、ホース収納部50に内巻きされたホース60の1ターンの長さは概ね3.5メートル程度となり、ホース長さは30メートル以上必要とすることから、ホース60は9ターン以上内巻きすればよい。
【0043】
消火栓収納箱30の中央にはガイドパイプ54,56で構成されたホースガイド52が配置されている。ホースガイド52は金属パイプを使用しており、上面から前面にL型の屈曲した2本のガイドパイプ56を、
図2に示した前扉32と上扉36の開口の内側に配置し、前面の略中央で横向きにガイドパイプ54を配置して両端をガイドパイプ56に固定しており、前扉32及び上扉36の開放状態で、上部前面及びこれに続く上部開口をガイドパイプ54,56で仕切ることで、ホース60の取出し空間が形成されている。
【0044】
また、ガイドパイプ56は、その上部を閉鎖している上扉36の下面に位置させ、上扉36を閉鎖状態でガイドパイプ56の上に載置して支える上扉支持構造としている。ここで、扉開口の2か所にガイドパイプ56が前後方向に位置して上扉36を支えており、閉鎖している上扉36に人が乗ったとしても、ガイドパイプ56により支えていることで、十分な支持強度が得られている。
【0045】
上扉36の裏面には消火栓弁開閉レバー68を備えた操作箱66が配置されている。操作箱66の内部には後の説明で明らかにする手動パイロット弁が設けられており、消火栓弁開閉レバー68の操作により手動パイロット弁が操作され、
図1に示したように、管理用通路20に配置された放水制御機構収納部90に設けられた消火栓弁を遠隔制御させる。
【0046】
このように上扉36の裏面に消火栓弁開閉レバー68が設けられたことで、上扉36を前開き又は後開きすると、扉裏面に保持されている消火栓弁開閉レバー68が消火栓収納箱30の上部に現れることになる。
【0047】
上扉36の前開きで扉裏面に保持されている消火栓弁開閉レバー68が現れる位置は、道路15から概ね0.9~1.3メートルの範囲のいずれかとなり、これは道路15に立った利用者の腰から肩までの範囲に相当し、目の前に消火栓弁開閉レバー68が出現することから、消火栓弁開閉レバー68の操作が容易にできる。
【0048】
また、上扉36の後開きで扉裏面に保持されている消火栓弁開閉レバー68が現れる位置は、監視員通路14の路面から概ね0.2~0.4メートルの範囲のいずれかとなり、監視員通路14に体をかがめて後開きハンドル38を操作している利用者の目の前に消火栓弁開閉レバー68が出現し、利用者は監視員通路14側から消火栓弁開閉レバー68を容易に操作することができる。
【0049】
上扉36の裏面にはノズルホルダー64が配置され、ノズルホルダー64にホース60の先端に設けられた泡ノズル62が着脱自在に係止されている。このため上扉36を前開き又は後開きすると、扉裏面に保持されている泡ノズル62が消火栓収納箱30の上部に現れることになる。
【0050】
上扉36の前開きで扉裏面に保持されている泡ノズル62が現れる位置は、消火栓弁開閉レバー68の場合と同様に、道路15に立った利用者の腰から肩までの範囲に相当し、目の前に泡ノズル62が出現することから、泡ノズル62の取出しが容易にできる。
【0051】
また、上扉36を後開きした場合にも、扉裏面に保持されている泡ノズル62は監視員通路14に体をかがめて後開きハンドル38を操作している利用者の目の前に出現し、利用者は監視員通路14側から泡ノズル62を容易に取り出すことができる。
【0052】
ホース収納部50に内巻きされたホース60は、
図3(B)の平面に示すように、2つの平行線と2つの半円からなる角丸長方形(長円形)となり、更に、ガイドパイプ56が位置する前面側の平行線ホース部分で内側に湾曲した状態で巻かれている。
【0053】
筐体31内に重ねて内巻きされたホース60は、角丸長円形の平行線ホース部分がガイドパイプ56により内側に変形されることで、外側に広がろうとする反発力がホース60に発生し、これがホース60を筐体内壁側に押し付ける力となり、重ねて内巻きしたホース60の平行線ホース部分が内側に崩れてしまうことを確実に防止可能とする。
【0054】
また、ホースを外部に引き出す場合には、半円ホース部分の変形によるホースを押し出そうとする力に加え、平行線ホース部分についても、ガイドパイプ56による変形力によるホースを押し出そうとする力が発生し、ホースの引き出し力を低減可能とする。
【0055】
[放水操作機構]
図4は上扉を前開きして前扉をスライド落下して開放させた消火栓収納箱を示した説明図であり、
図4(A)に正面を示し、
図4(B)に上扉裏面の放水操作部を取り出して示す。また、
図5は上扉を後開きさせた消火栓収納箱を正面から示した説明図、
図6は消火栓収納箱の横から見た断面を示した説明図であり、
図6(A)に前扉及び上扉の閉鎖状態の断面を示し、
図6(B)に前扉をスライド開放して上扉の前開きした状態の断面を示し、
図6(C)に上扉を後開きした状態の断面を示す。更に、
図7は放水制御機構を監視員通路側の消火栓収納箱と共に路面側から見た断面で示した説明図である。
【0056】
(配管自在連結機構)
図4(A)に示すように、前開き状態で示す上扉36の裏面に配置された操作箱66には、
図4(B)に示すように、手動パイロット弁65が収納されており、手動パイロット弁65は消火栓弁開閉レバー68により開閉操作が行われる。手動パイロット弁65に対してはパイロット配管86,88が接続されている。
【0057】
図4(A)に示すように、操作箱66からは上扉36の裏面に沿って左右にパイロット配管86,88が引き出されており、配管自在連結機構70を介して筐体31側のパイロット配管86,88に連結されている。
【0058】
配管自在連結機構70は、操作箱66の手動パイロット弁65に接続されるパイロット配管86,88を、上扉36の前開き及び後開きに対応した距離の変化を吸収して筐体31側のパイロット配管86,88と自在に連結させる機能を備える。
【0059】
図4(A)及び
図6(A)に示すように、配管自在連結機構70は、筐体31側に固定された第1配管連結部82、上扉36の裏面に固定された第2配管連結部84、第1の配管連結部82と第2の配管連結部84との間を伸縮自在且つ回動自在に連結させる2本の伸縮管76,78を備えた伸縮配管で構成される。
【0060】
伸縮配管を構成する伸縮管76,78は、
図6(A)に示すように、伸縮管76,78の一端に設けられた回動連結部72,74により配管連結部82,84に回動自在に連結され、大径とした伸縮管76の先端に、小径とした伸縮管78の先端を摺動自在に嵌め入れており、伸縮管76,78の嵌め合わせ部分にはシール80が配置されて隙間を塞いでいる。
【0061】
(配管自在連結機構の連結距離の変化)
図6(A)に示すように、上扉36が閉鎖された状態では、伸縮管76,78は筐体31側の筐体連結中心Pと上扉36の扉連結中心Qは最も短い距離L0となっており、伸縮管76,78は最も縮んだ状態にある。
【0062】
図6(B)に示すように、上扉36が前開きされた状態(前扉32はスライド開放)では、筐体連結中心Pを回転中心として伸縮管76,78は上向き右回りに回動し、閉鎖状態での扉連結中心Qまでの距離を半径とする円による伸縮管76,78の中心軸線との交点Q1に対し、前開きされた上扉36の扉連結中心は、扉連結中心Rとなり、距離ΔL1だけ増加した距離L1に伸びる。
【0063】
このため上扉36を前開きすると、筐体連結中心Pを中心に回動した伸縮管76,78は距離L1に伸展する。
【0064】
図6(C)に示すように、上扉36が後開きされた状態では、筐体連結中心Pを回転中心として伸縮管76,78は上向き左回りに回動し、閉鎖状態での扉連結中心Qまでの距離を半径とする円による伸縮管76,78の中心軸線との交点Q2に対し、後開きされた上扉36の扉連結中心は、扉連結中心Sとなり、距離ΔL2だけ増加した距離L2に伸びる。
【0065】
このため上扉36を後開きすると、筐体連結中心Pを中心に回動した伸縮管76,78は距離L2に伸展する。
【0066】
このように配管自在連結機構70は、上扉36側のパイロット配管86,88を固定側となる筐体31側のパイロット配管86,88に対し、上扉36の前開き又は後開きに伴う連結距離の変化を吸収させるように伸縮自在且つ回動自在に連結させる機能を果たす。
【0067】
(上扉の後開き)
図5に示すように、上扉36を後ろ開きした場合には、
図6(C)に示したように、配管自在連結機構70の伸縮管76,78が伸展し、上扉36と筐体31側のパイロット配管86,88の連結状態を維持する。
【0068】
(配管自在連結機構の他の実施形態)
図7は上扉を前開きして前扉をスライド落下して開放させた消火栓収納箱を示した説明図、
図8は
図7の消火栓収納箱の横から見た断面を示した説明図であり、
図8(A)に前扉及び上扉の閉鎖状態の断面を示し、
図8(B)に前扉をスライド開放して上扉の前開きした状態の断面を示し、
図8(C)に上扉を後開きした状態の断面を示す。
【0069】
図7に示すように、本実施形態の配管自在連結機構70は、配管150,152をスイベルジョイント154で連結した2節リンク配管の一端を筐体31側にスイベルジョイント156で回動自在に連結すると共に、2節リンク配管の他端を上扉36側にスイベルジョイント158で回動自在に連結している。
【0070】
図8(A)に示すように、上扉36が閉鎖された状態では、筐体31側の筐体連結中心Pと上扉36の扉連結中心Qは最も短い距離L0となっており、配管150,152は屈曲状態にある。
【0071】
図8(B)に示すように、上扉36が前開きされた状態(前扉32はスライド開放)では、筐体連結中心Pを回転中心として配管150,152は上向き右回りに回動して直線状態となり、距離L1に伸びる。
【0072】
図8(C)に示すように、上扉36が後開きされた状態では、筐体連結中心Pを回転中心として配管150,152は上向き左回りに回動し、配管150,152は屈曲の小さい距離L2に伸びる。
【0073】
このように
図7及び
図8に示した配管自在連結機構70も、上扉36側のパイロット配管86,88を固定側となる筐体31側のパイロット配管86,88に対し、上扉36の前開き又は後ろ開きに伴う連結距離の変化を吸収させるように伸縮自在且つ回動自在に連結させる機能を果たす。
【0074】
なお、本実施形態の配管自在連結機構70は一例であり、上扉36の前開き又は後開きに伴う連結距離の変化を吸収させるように伸縮自在且つ回動自在に連結させる機構であれば、適宜の配管連結機構を用いることができる。
【0075】
[放水制御機構の構成]
図9は放水制御機構を監視員通路側の消火栓収納箱と共に路面側から見た断面で示した説明図である。
【0076】
(放水制御機構の構成)
図9に示すように、消火栓収納箱30が配置された監視員通路14の内部空間の下側となる管理用通路20には放水制御機構収納部90が配置されている。
【0077】
放水制御機構収納部90には、放水制御機構を構成するバルブ類として、加圧開放型の消火栓弁92、自動調圧弁94、泡混合器96が設けられる。
【0078】
給水本管24から分岐された分岐配管24aは消火栓弁92の1次側に接続され、消火栓弁92に続いて自動調圧弁94と泡混合器96が接続される。泡混合器96には泡原液タンク98からの配管が接続され、泡混合器96を流れる消火用水に泡原液を所定割合で混合させた泡消火用水を給水配管25を介して消火栓収納箱30のホース60に供給させるようにしている。
【0079】
消火栓弁92は加圧開放を行うための弁開閉機構として、シリンダ室100にピストン102が摺動自在に設けられ、ピストン102には弁体105がピストンロッドにより連結され、シリンダ室100の反対側にはスプリング104が組み込まれている。
【0080】
消火栓弁92は通常状態では閉鎖している。消火栓弁92の閉鎖は、シリンダ室100から消火用水を排出してパイロット圧を減圧してゼロとし、ピストン102をスプリング104により閉鎖方向に押し、弁体105を弁座に当接させることにより1次側と2次側の流路を閉じて閉鎖状態としている。
【0081】
消火栓弁92を開放させるには、シリンダ室100に消火用水を供給してパイロット圧を加圧させることで、スプリング104に抗してピストン102を外側にストロークさせ、弁体105を弁座から離して1次側と2次側を連通させることで開放状態とする。
【0082】
消火栓弁92を遠隔操作により開放させるため、消火栓収納箱30の操作箱66には、消火栓弁開閉レバー68により開閉される手動パイロット弁65が設けられている。
【0083】
手動パイロット弁65の1次側には分岐配管24aから引き出されたパイロット配管86が配管自在連結機構70を経由して接続され、手動パイロット弁65の2次側は、別の配管自在連結機構70を経由したパイロット配管88により消火栓弁92のシリンダ室100に接続されている。
【0084】
(消火栓設備の動作)
トンネル10内で火災を伴う車両事故が発生した場合には、道路利用者は火災発生場所に近い消火栓設備16に出向き、
図2に示した通報装置パネル42の発信機45を押して監視センターの防災受信盤に火災通報信号を送信し、防災受信盤から確認応答信号を受信して応答ランプ48が点灯されると共に赤色表示灯44が点滅され、監視センター側への通報完了を確認する。
【0085】
続いて、道路15側から消火作業を行うため、消火栓収納箱30の前開きハンドル34を操作して係止を解除すると、前扉32がスライド落下して開放され、また、上扉36を前開きすると、前開きした上扉36の裏面に係止された泡ノズル62が上部に露出される。
【0086】
道路利用者はノズルホルダー64から泡ノズル62を取り外してホース60を引き出すが、このとき引き出されるホース60はガイドパイプ54、56に摺接しながら、滑らかに引き出される。
【0087】
なお、消火栓収納箱30の前に車両が停止していて前面側から操作できない場合には、利用者は監視員通路14から操作することになる。
【0088】
続いて、上扉36の裏面に配置されて目の前に出現している操作箱66の消火栓弁開閉レバー68を開方向に操作すると、手動パイロット弁65が開放され、分岐配管24aからの消火用水がパイロット配管86、手動パイロット弁65及びパイロット配管88を介して消火栓弁92のシリンダ室100に供給されてパイロット圧が加圧され、スプリング104に抗してピストン102を外側にストロークさせ、弁体105を弁座から離すことで消火栓弁92が開放される。
【0089】
消火栓弁92が開放されると給水本管24からの消火用水が消火栓弁92、自動調圧弁94、泡混合器96を介して給水配管25から消火栓収納箱30のホース60に向かって流れ、泡混合器96で泡原液が所定割合で混合され、消火栓収納箱30から引き出されたホース60の泡ノズル62から泡消火用水が放出される場合に、空気を巻き込むことで形成される消火泡が放出される。
【0090】
また、消火栓弁92が開放された場合に、ポンプ起動信号を消火ポンプ設備に送信して起動させる必要があることから、水圧を検知してオンする圧力スイッチ112を消火栓弁92の2次側に設けている。
【0091】
火災が鎮火して消火作業が終了した場合には、消火栓弁開閉レバー68を閉位置に戻し、手動パイロット弁65を閉鎖させる。手動パイロット弁65が閉鎖されると、オリフィス108及び逆止弁109を介してシリンダ室100の水がゆっくりと排水され、パイロット圧がゼロに減圧され、スプリング104によりピストン102が押し戻されて弁座に当接させ、これにより消火栓弁92が閉鎖して消火泡の放出が停止される。
【0092】
また、放水制御機構を点検する場合には、担当者が管理用通路20に配置された放水制御機構収納部90に出向き、手動開放弁106を開くと、シリンダ室100に消火用水が供給されてパイロット圧が加圧され、消火栓弁92を開放させて所定の放水試験を行わせることを可能とする。
【0093】
なお、パイロット配管88に設けられた逆止弁91は、手動開放弁106を開いたとき、逆流して消火栓収納箱30の手動パイロット弁65までのパイロット配管88内に充水されることを防いでいる。
【0094】
放水試験が終了した場合には、手動開放弁106を閉じ、オリフィス108からの排水で消火栓弁92が閉鎖される。この場合、オリフィス108からの排水では時間がかかることから、手動排水弁110を開いて排水させることで、消火栓弁92を短時間で閉鎖させるようにしても良い。
【0095】
[電気式の放水操作機構]
図10は電気式の放水操作機構の実施形態を、上扉を前開きして前扉をスライド落下して開放させた消火栓収納箱を正面から示した説明図、
図11は
図10の消火栓収納箱に対する放水制御機構を路面側から見た断面で示した説明図である。
【0096】
図10に示すように、本実施形態の放水操作機構にあっては、上扉36の裏面に配置された操作箱66には消火栓弁開閉レバー68と、消火栓弁開閉レバー68の開閉操作を検出する開閉操作検出部114が設けられている。
【0097】
一方、筐体31側には、電動パイロット弁130が配置され、電動パイロット弁130に対し開閉操作回路134が設けられている。電動パイロット弁130には
図11に示すように、管理用通路20に設置された放水制御機構収納部90からのパイロット配管86,88が連結されている。
【0098】
上扉36の操作箱66に設けられた開閉操作検出部114と筐体31の開閉操作回路134との間を接続する信号線115は、配線自在接続機構116を介して接続される。
【0099】
図10の配線自在接続機構116は、
図6に示した配管自在連結機構70と同様な機構であり、筐体31側に固定された配管連結部118、上扉36の裏面に固定された配管連結部128、配管連結部118と配管連結部128との間を伸縮自在且つ回動自在に連結させる2本の伸縮管122,124を備えた伸縮配管で構成される。
【0100】
伸縮配管を構成する伸縮管122,124は、伸縮管122,124の一端に設けられた回動連結部120,126により配管連結部118,128に回動自在に連結され、大径とした伸縮管122の先端に、小径とした伸縮管124の先端を摺動自在に嵌め入れており、伸縮管122,124の嵌め合わせ部分にはシールが配置されて隙間を塞いでいる。
【0101】
伸縮管122,124の中を通している信号線115は例えばコイル状に巻くことで伸縮自在であり、上扉36の前開き又は後開きに伴う伸縮管122,124の距離の変化を吸収可能としている。
【0102】
図11に示す放水制御機構の構成は、
図9の実施形態と同じになる。
【0103】
なお、
図10の配線自在接続機構116としては、図示の実施形態以外に、フレキシブルコードやカールコード等の伸縮自在なコードを使用しても良い。このように伸縮自在なコードを使用した場合、上扉36を閉鎖する場合に弛んだコードが筐体開口との間に挟まれないようにするため、上扉36の閉鎖状態でコードを巻き取る配線収納箱を上扉36の裏面に設ける。
【0104】
(操作回路)
図12は電動パイロット弁の操作回路の実施形態を示した回路ブロック図であり、
図12(A)は電動パイロット弁の全閉状態を示し、
図12(B)は電動パイロット弁の全開状態を示す。
【0105】
図12に示すように、本実施形態の操作回路は、上扉36の操作箱66に設けられた開閉操作検出部114、電動パイロット弁130に設けられた開閉操作回路134で構成される。
【0106】
開閉操作検出部114には消火栓弁開閉レバー68の開位置でオンし、閉位置でオフする開検出スイッチ136と、消火栓弁開閉レバー68の閉位置でオンし、開位置でオフする閉検出スイッチ138が設けられる。
【0107】
開閉操作回路134には、電動パイロット弁130の全閉位置でb側に切り替わり、電動パイロット弁130の全開位置でa側に切り替わる2回路のリミットスイッチ140,142が設けられる。
【0108】
電動パイロット弁130はモータ144と弁本体146で構成される。モータ144は、端子A-C間に所定の直流駆動電圧を印加すると弁本体146を開方向に回動させ、端子B-C間に所定の直流駆動電圧を印加すると弁本体146を閉方向に回動させる。
【0109】
図12の操作回路の動作は次ようになる。運用中は、消火栓弁開閉レバー68は閉位置にあり、操作回路は
図12(A)に示す状態にあり、モータ144に対し駆動電圧は供給されず、全閉位置に停止している。
【0110】
この状態で消火栓弁開閉レバー68を開位置に操作すると、開閉操作検出部114の開検出スイッチ136がオンし、閉検出スイッチ138がオフする。このため駆動電圧プラス側、開検出スイッチ136、リミットスイッチ140、モータ144及び駆動電圧マイナス側となる経路で駆動電圧の印加による駆動電流が端子A-C間に流れ、モータ144は弁本体146を開方向に駆動する。
【0111】
弁本体146が全開位置に達すると
図12(B)に示すように、リミットスイッチ140,142がa側に切り替わり、モータ144に対し駆動電圧が印加されなくなり、モータ144が停止する。
【0112】
また、
図12(B)に示す全開状態で、消火栓弁開閉レバー68を閉位置に操作すると、開閉操作検出部114の開検出スイッチ136がオフし、閉検出スイッチ138がオンする。このため駆動電圧プラス側、閉検出スイッチ138、リミットスイッチ142、モータ144及び駆動電圧マイナス側となる経路で駆動電圧の印加による駆動電流が端子B-C間に流れ、モータ144は弁本体146を閉方向に駆動する。
【0113】
弁本体146が全閉位置に達すると
図12(A)に示すように、リミットスイッチ140,142がb側に切り替わり、モータ144に対し駆動電圧が印加されなくなり、モータ144が停止する。
【0114】
(操作回路の他の実施形態)
図13、
図14及び
図15は電動パイロット弁の操作回路の他の実施形態を示した回路ブロック図である。
【0115】
図13の操作回路の実施形態にあっては、上扉36の操作箱66に2回路の開閉操作検出部114-1,114-2を設け、信頼性を向上させている。
【0116】
開閉操作検出部114-1は駆動電圧のプラス側に設けられ、消火栓弁開閉レバー68の開位置でオンし、閉位置でオフする開検出スイッチ136-1と、消火栓弁開閉レバー68の閉位置でオンし、開位置でオフする閉検出スイッチ138-1が設けられる。この点は
図12の実施形態と同じである。
【0117】
これに加え駆動電圧のマイナス側に開閉操作検出部114-2が設けられ、消火栓弁開閉レバー68の開位置でオンし、閉位置でオフする開検出スイッチ136-2と、消火栓弁開閉レバー68の閉位置でオンし、開位置でオフする閉検出スイッチ138-2が設けられる。
【0118】
このように2回路の開閉操作検出部114-1,114-2が設けられたことで、駆動電圧のプラス側及びマイナス側の両方のラインをオン、オフされ、消火栓弁開閉レバー68の操作の信頼性を向上可能とする。
【0119】
図14の操作回路の実施形態は、電源電圧のプラス側のラインに、2回路の開閉操作検出部114-1,114-2を直列に設け、開検出スイッチ136-1,136-2及び閉検出スイッチ138-1,138-2の各々のアンド接続とすることで、電動パイロット弁130の開閉駆動の信頼性を向上させている。
【0120】
図15の操作回路の実施形態は、電源電圧のプラス側のラインに、2回路の開閉操作検出部114-1,114-2を直列に設け、開検出スイッチ136-1,136-2はアンド接続とし、閉検出スイッチ138-1,138-2はオア接続とすることで、電動パイロット弁130の開閉駆動の信頼性を向上させている。
【0121】
[本発明の変形例]
(配管自在連結機構)
上記の実施形態は、2本の伸縮管により配管自在連結機構を構成しているが、これに限定されず、例えば、フレキシブル配管、可撓配管、ホース等を使用しても良い。この場合、上扉を閉鎖した場合にフレキシブル配管、可撓配管、ホースが弛んで筐体開口との間に挟まれることを防止するため、上扉裏面に弛んだフレキシブル配管、可撓配管、ホースを引き込む管収納箱を設ける。
【0122】
(放水操作機構)
上記の実施形態の操作機構は、消火栓弁開閉レバーによりパイロット弁を操作することで遠隔的に消火栓弁を開閉させているが、これに限定されず、例えば、消火栓弁開閉レバーからワイヤーによって消火栓弁を直接に開閉操作させるようにしても良い。
【0123】
(第1乃至第3扉開閉機構)
上記の実施形態は、上扉を前開き及び後開きする場合を例にとっているが、上扉を前開きするだけの場合についても、上扉の扉回転中心に対し筐体連結中心がオフセットしていることから、扉側と筐体側のパイロット配管の連結に、上記の実施形態に示した配管自在連結機構を設けることで、上扉の裏面に消火弁開閉レバーを備えた放水操作機構を設けることができる。電気式の放水操作機構についても、同様に、前開きするだけの上扉に設けることができる。
【0124】
(泡消火栓設備)
上記の実施形態は、消火泡を放出させる泡消火栓設備を例にとっているが、これに限定されず、消火用水を放水させる消火栓設備としても良い。
【0125】
(その他)
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0126】
10:トンネル
12:トンネル壁面
14:監視員通路
15:道路
16:消火栓設備
18:床版
20:管理用通路
22:ダクト
24:給水本管
24a:分岐配管
25:給水配管
30:消火栓収納箱
31:筐体
32:前扉
33:固定扉
34:前開きハンドル
36:上扉
38:後開きハンドル
42:通報装置パネル
52:ホースガイド
54,56:ガイドパイプ
60:ホース
62:泡ノズル
64:ノズルホルダー
65:手動パイロット弁
66:操作箱
68:消火栓弁開閉レバー
70:配管自在連結機構
72,74,120,126:回動連結部
76,78,122,124:伸縮管
82,84,118,128:配管連結部
86,88:パイロット配管
90:放水制御機構収納部
91:逆止弁
92:消火栓弁
94:自動調圧弁
96:泡混合器
98:泡原液タンク
100:シリンダ室
102:ピストン
104:スプリング
105:弁体
106:手動開放弁
108:オリフィス
110:手動排水弁
112:圧力スイッチ
116:配線自在接続機構
130:電動パイロット弁
134:開閉操作回路
136,136-1,136-2:開検出スイッチ
138,138-1,138-2:閉検出スイッチ
140,142:リミットスイッチ
144:モータ
146:弁本体
150,152:配管
154,156,158:スイベルジョイント