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  • 特許-ベルトテンション機構 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】ベルトテンション機構
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/14 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
F16H7/14 A
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021198140
(22)【出願日】2021-12-06
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】521411851
【氏名又は名称】東友科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TECO IMAGE SYSTEMS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】12F., No. 503, Sec. 6, Nanjing E.Rd., Neihu Dist., Taipei City 114, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】陳韋▲シェン▼
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-110254(JP,U)
【文献】特開平5-107827(JP,A)
【文献】特開2017-13454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一側、第二側、第一開口及び第二開口を備える支持壁と、
第一部分、第二部分、及び前記第一部分と前記第二部分を接続する旋回部を備え、前記旋回部が前記第二開口を通過することで、前記第一部分と前記第二部分が、それぞれ前記支持壁の前記第一側と前記第二側に位置する、第一支持部材と、
その上に伝達ベルトが套設され、第一セクション及び第二セクションを備える受力柱であって、前記第一支持部材の前記第一部分に垂直に配置され、かつ前記支持壁の前記第一開口を通じることで、前記第一セクションと前記第二セクションが、それぞれ前記支持壁の前記第一側と前記第二側に設けられ、かつ駆動される時にベルト張力を発生させる前記伝達ベルトが、前記受力柱の前記第二セクションに設置されている、受力柱と、
前記受力柱の前記第二セクションに設置された第二支持部材と、
前記受力柱の前記第一セクションに接続されて第一ばね力を提供する第一ばねと、
前記第二支持部材に接続されて第二ばね力を提供する第二ばねと、
を含み、
前記第一ばね力と前記第二ばね力の合力が、前記ベルト張力の作用力とバランスをとり、かつ前記ベルト張力の前記作用力によって前記受力柱にモーメントを発生させる時、前記第一支持部材の前記第一部分及び前記第二部分が、それぞれ前記支持壁の前記第一側の表面及び前記第二側の表面に接触し、互いに対向しかつ前記支持壁に向かう当接力が発生し、さらに前記モーメントを相殺することを特徴とする、ベルトテンション機構。
【請求項2】
前記第一ばね力と前記第二ばね力の合力の方向は、前記ベルト張力の前記作用力と反対方向であることを特徴とする、請求項1に記載のベルトテンション機構。
【請求項3】
前記第一ばね力と前記第二ばね力の合力は、前記ベルト張力の前記作用力に等しいことを特徴とする、請求項1に記載のベルトテンション機構。
【請求項4】
前記第一ばね力は、前記第二ばね力よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のベルトテンション機構。
【請求項5】
前記受力柱が、前記第一支持部材に貫設された根元部をさらに含み、かつ前記第一ばねと前記根元部との間に第一距離を有し、並びに前記第二ばねと前記根元部との間に第二距離を有し、前記第一ばね力と前記第一距離との積は、前記第二ばね力と前記第二距離との積以上であることを特徴とする、請求項1に記載のベルトテンション機構。
【請求項6】
前記第一支持部材の前記旋回部が、前記第一支持部材の前記第一部分及び前記第二部分が前記支持壁の前記第一側の表面及び前記第二側の表面に接触するように、前記支持壁の厚みに対応する旋回高さを有することを特徴とする、請求項1に記載のベルトテンション機構。
【請求項7】
前記第一支持部材を前記支持壁に固定させるための複数の固定具をさらに含み、前記支持壁及び前記第一支持部材が、それぞれこれらの固定具が貫設するための複数の固定穴を有することを特徴とする、請求項1に記載のベルトテンション機構。
【請求項8】
前記第二支持部材が、前記受力柱の前記第二セクションにおいて前記伝達ベルトの両側に架け渡されていることを特徴とする、請求項1に記載のベルトテンション機構。
【請求項9】
第一固定部及び第二固定部を有するばね固定座をさらに含み、前記第一ばねが前記第一固定部に結合され、かつ前記第二ばねが前記第二固定部に結合されていることを特徴とする、請求項1に記載のベルトテンション機構。
【請求項10】
前記ばね固定座が、前記支持壁に垂直に当接しており、かつ前記第一固定部及び前記第二固定部が、それぞれ前記支持壁の前記第一側及び前記第二側に設けられていることを特徴とする、請求項9に記載のベルトテンション機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベルトテンション機構、特に自動安定化構造を備えたベルトテンション機構に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のプリンターの伝達ベルトは、主に2種類の構造を使用してベルト張力を達成しており、一つはボルト(またはねじ)、もう一つはばねである。
【0003】
ボルト方式では、主にボルトによって伝達ベルトが取り付けられた受力柱に力を加え、力の大きさを変えることにより、伝達ベルトによるベルト張力に影響を与える。この方式は、伝達ベルト材質の延性が低いため、プリンターの移動または他の要因、例えば環境変化によって、熱膨張、冷収縮が発生することで、筐体が変位すると、ボルトが剛性かつ非弾性の材質で、微調整が不可能な場合、わずかな変形によるわずかな変化によるベルトの変位でも、ベルトの張力が急速に変化することもあり、例えば変位量が0.25mmである時、張力は1-1.5kg急激に上昇し、このような急速な張力変化により、ベルトが長期間にわたって緩み現象を起こしやすく、ベルト張力を維持するために、ボルトを常に調整する必要があるという欠点がある。
【0004】
ばね方式では、ばねによって伝達ベルトが取り付けられた受力柱に力を加える。ばねの作用は2種類に分けられ、一つはモーメント方式で力を加えるものであり、この方式では、ばねと伝達ベルトが設置された受力柱との間に支点が設けられ、ばねと受力柱はそれぞれ前記支点の両側に位置するため、前記ばねの力はモーメント方式によって前記受力柱に与えることができる。もう一つは、直引方式によって達成し、この方式では、ばねの力は受力柱に直接到達し、受力柱に直接的に影響を与える。しかし、ばねによって力を加える方式は、ばねが弾性を提供できることで、変位によるベルト張力の急激な変化を低減することができるが、ばねによって受力柱に加えられる力が一点に集中するため、受力柱が不均一な力により破損しやすく、長期間にわたってベルトテンション機構の内部構造はバランスを失い、さらにベルト張力に影響を与えやすい。
【0005】
そこで、従来の技術の欠如を改善することができるベルトテンション機構を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、構造設計により、内部作用力が自動的に安定化しバランスをとる効果を達成するベルトテンション機構を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、両ばねを設置することにより、従來の技術における受力柱の応力集中による内部構造の損傷問題を解決するベルトテンション機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、第一側、第二側、第一開口及び第二開口を備える支持壁と、第一部分、第二部分、及び前記第一部分と前記第二部分を接続する旋回部を備え、前記旋回部が前記第二開口を通過することで、前記第一部分と前記第二部分が、それぞれ前記支持壁の前記第一側と前記第二側に位置する第一支持部材と、その上に伝達ベルトが套設され、第一セクション及び第二セクションを備える受力柱であって、前記第一支持部材の前記第一部分に垂直に配置され、かつ前記支持壁の前記第一開口を通じることで、前記第一セクションと前記第二セクションが、それぞれ前記支持壁の前記第一側と前記第二側に設けられ、かつ駆動される時にベルト張力を発生させる前記伝達ベルトが、前記受力柱の前記第二セクションに設置されている、受力柱と、前記受力柱の前記第二セクションに設置された第二支持部材と、前記受力柱の前記第一セクションに接続されて第一ばね力を提供する第一ばねと、前記第二支持部材に接続されて第二ばね力を提供する第二ばねと、を含み、前記第一ばね力と前記第二ばね力の合力は、前記ベルト張力の作用力とバランスをとり、かつ前記ベルト張力の前記作用力によって前記受力柱にモーメントを発生させる時、前記支持部材の前記第一部分及び前記第二部分が、それぞれ前記支持壁の前記第一側の表面及び前記第二側の表面に接触し、互いに対向しかつ前記支持壁に向かう当接力が発生し、さらに前記モーメントを相殺する、ベルトテンション機構を提供する。
【0009】
一実施形態において、前記第一ばね力と前記第二ばね力の合力の方向は、前記ベルト張力の前記作用力と反対方向である。
【0010】
一実施形態において、前記第一ばね力と前記第二ばね力の合力は、前記ベルト張力の前記作用力に等しい。
【0011】
一実施形態において、前記第一ばね力は、前記第二ばね力よりも大きい。
【0012】
一実施形態において、前記受力柱は、前記第一支持部材に貫設された根元部をさらに含み、かつ前記第一ばねと前記根元部との間に第一距離を有し、並びに前記第二ばねと前記根元部との間に第二距離を有し、前記第一ばね力と前記第一距離との積は、前記第二ばね力と前記第二距離との積以上である。
【0013】
一実施形態において、前記第一支持部材の前記旋回部は、前記支持部材の前記第一部分及び前記第二部分が前記支持壁の前記第一側の表面及び前記第二側の表面に接触するように、前記支持壁の厚みに対応する旋回高さを有する。
【0014】
一実施形態において、前記第一支持部材を前記支持壁に固定させるための複数の固定具をさらに含み、前記支持壁及び前記第一支持部材は、それぞれこれらの固定具が貫設するための複数の固定穴を有する。
【0015】
一実施形態において、前記第二支持部材は、前記受力柱の前記第二セクションにおいて前記伝達ベルトの両側に架け渡されている。
【0016】
一実施形態において、第一固定部及び第二固定部を有するばね固定座をさらに含み、前記第一ばねは前記第一固定部に結合され、かつ前記第二ばねは前記第二固定部に結合されている。
【0017】
一実施形態において、前記ばね固定座は、前記支持壁に垂直に当接しており、かつ前記第一固定部及び前記第二固定部は、それぞれ前記支持壁の前記第一側及び前記第二側に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明にかかるベルトテンション機構を採用したプリンターを示す模式図である。
図2A図2Aは第一視点からの本発明実施例のベルトテンション機構を示す模式図である。
図2B図2Bは第二視点からの本発明実施例のベルトテンション機構を示す模式図である。
図3A図3Aは本発明実施例のベルトテンション機構における第一支持部材、受力柱及び固定具を示す模式図である。
図3B図3Bは本発明実施例のベルトテンション機構における第一支持部材と受力柱を示す上面図である。
図4図4は本発明実施例のベルトテンション機構を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の特徴と利点を示すいくつかの典型的な実施形態について、後述の説明において記述する。本発明は異なる態様において様々な変更を加えることができ、いずれも本発明の範囲から逸脱することなく、かつその説明及び図面は本質的に説明するために用いられものであり、本発明を限定する意図はないことを理解されたい。
【0020】
図1を参照し、本発明にかかるベルトテンション機構を採用した裝置を示す模式図である。本発明は、主にベルトテンション機構を提供し、前記ベルトテンション機構は、例えば、プリンター、スキャナ、ファックス機、または多機能事務機などの事務機に適用できるが、これに限定されない。プリンターを例として、図1に示すように、プリンター1は、筐体本体11、プーリセット12、スライドベース13、印刷モジュール14及びベルトテンション機構2を含む。プーリセット12は筐体本体11に設置され、プリンター1に接続されたコンピューターシステムの駆動制御に応じて、他の部材を作動させることで、印刷作業を行う。プーリセット12は、モーターなどの動力源(図示せず)の駆動を受けて回転するための駆動輪121と、被動輪122と、駆動輪121の回転に応じて連動するように、駆動輪121と被動輪122との間に周回して套設された伝達ベルト123を含むことができる。スライドベース13は伝達ベルト123に掛け渡され、印刷モジュール14はスライドベース13に接続され、伝達ベルト123が駆動される時、スライドベース13及び印刷モジュール14を移動させて印刷を行うことができる。ベルトテンション機構2は、伝達ベルト123の張力を調整するように、被動輪122側の筐体本体11に設置されている。
【0021】
次に、図2Aから3Bを参照し、図2Aは第一視点からの本発明実施例のベルトテンション機構を示す模式図であり、図2Bは第二視点からの本発明実施例のベルトテンション機構を示す模式図であり、図3Aは本発明実施例のベルトテンション機構における第一支持部材、受力柱及び固定具を示す模式図であり、図3Bは本発明実施例のベルトテンション機構における第一支持部材と前記受力柱を示す上面図である。図に示すように、本発明実施例のベルトテンション機構2は、支持壁21、第一支持部材22、第二支持部材23、受力柱24、第一ばね25及び第二ばね26を含み、前記支持壁21は、前記第一支持部材22によって前記支持壁21に設置されたプリンター1の筐体本体11の側板であってもよく、前記ベルトテンション機構2は前記筐体本体11に固定されている。また、前記伝達ベルト123は、前記被動輪122により前記受力柱24に套設されることで、前記ベルトテンション機構2によってそのベルト張力を調節する。
【0022】
図3A及び3Bに示すように、前記第一支持部材22は階段状のプレートであり、第一部分221、第二部分222、及び前記第一部分221と前記第二部分222を接続する旋回部223を含み、前記第一部分221と前記第二部分222は、ほぼ平行に配置されている。前記受力柱24は、前記第一支持部材22の前記第一部分221に垂直に設置されるため、第一セクション241、第二セクション242及び前記第一支持部材22に貫設された根元部243に分けられている。言い換えれば、前記第一セクション241及び前記第二セクション242は、それぞれ前記第一支持部材22の反対両側に設けられ、すなわち、前記第一セクション241及び前記第二セクション242は、前記第一支持部材22からそれぞれ反対方向に延びる。一実施形態において、図3Aに示すように、前記受力柱24の前記第一セクション241及び前記第二セクション242は、二つの異なる部材であってもよく、前記第一セクション241が前記第一支持部材22の前記第二セクション242に対する反対側に延び、かつ前記受力柱24の長さが被動輪122の設置位置に応じて調整することができように、組み入れら(例えば、鎖定され)て前記受力柱24を形成する。もちろん、前記第一セクション241及び前記第二セクション242は一体的に形成されてもよく、または前記第一支持部材22と前記受力柱24における一つのセクション(例えば、前記第二セクション242)が一体的に形成されてから、別のセクション(例えば、前記第一セクション241)に組み入れられてもよいため、実際の使用要求や製造プロセスに応じて、制限なく変更できる。
【0023】
図2A及び2Bに示すように、前記支持壁21は、第一側211、第二側212、第一開口213及び第二開口214を含み、かつ前記第一支持部材22は、前記旋回部223で前記第二開口214を通過し、前記第一部分221が前記第一側211に位置し、前記第二部分222が前記第二側212に位置するように、前記支持壁21に設置される。前記受力柱24は、前記第二セクション242が前記支持壁21の前記第二側212に位置し、前記第一セクション241が前記支持壁21の前記第一側211に位置するように、前記支持壁21の前記第一開口213を通じている。
【0024】
ここで、前記旋回部223は、前記支持壁21の厚みに対応する旋回高さHを有するように構築されているため、前記第一部分221及び前記第二部分222を、それぞれ前記支持壁21の前記第一側211の表面及び前記第二側212の表面にちょうど接触させて、前記第一支持部材22と前記支持壁21との間の安定した接觸設置を達成する。
【0025】
さらに、前記第一支持部材22は、複数の固定具27により前記支持壁21に固定され、前記固定具27は段付ねじであってもよいが、これに限定されない。図2Aから3Aに示すように、前記第一支持部材22の前記第一部分221及び前記第二部分222は、それぞれ固定具27により前記支持壁21に取付けられ、このとき、固定具27が貫設するように、前記支持壁21に複数の固定穴215が対応して設けられ、前記第一支持部材22に複数の固定穴224が対応して設けられいる。一実施形態において、前記第一部分221を固定させるためのこれらの固定穴215、224の少なくとも一つ、及び前記第二部分222を固定させるためのこれらの固定穴215、224の少なくとも一つは、前記固定具27の固定位置を調整する機能をさらに提供する制限シュートとしてもよい。例えば、制限シュートの幅方向は、伝達ベルト123の伝達方向とほぼ平行であり、かつ幅は固定具27の貫設に必要な穴径の大きさよりも大きいため、ベルトの伝達方向にフレキシブルな移動空間を提供することができ、これにより、前記第一支持部材22に垂直に設置された前記受力柱24は、これらの固定穴215、224によって提供される移動空間により位置を調整することができ、さらに前記伝達ベルト123のベルト張力を調整することができる。言い換えれば、これらの固定具27とこれらの固定穴215、224は、第一支持部材22の脱落を防止しつつ、ベルトの伝達方向におけるフレキシブルな移動の自由度を維持するように、主に第一支持部材22を支持壁21に位置決めしている。一方、前記支持壁21の前記第一開口213及び前記第二開口214も、前記第一支持部材22がフレキシブルに移動可能な空間を対応して提供する。
【0026】
前記伝達ベルト123及び前記被動輪122は、前記受力柱24の前記第二セクション242に套設され、駆動される時にベルト張力を発生させる。さらに、前記第二支持部材23も、前記受力柱24の前記第二セクション242に設置されており、前記第二支持部材23は、図2A及び2Bに示すように、前記伝達ベルト123の両側に架け渡されてもよいが、これに限定されなく、前記伝達ベルト123の片側に位置するように設置されてもよい。なお、前記第一ばね25の一端は、前記受力柱24の前記第一セクション241に接続され、前記第二ばね26の一端は、前記第二支持部材23に接続されており、また、前記支持壁21には、さらにばね固定座216が設けられ、前記ばね固定座216は、前記支持壁に垂直に当接するように設置されてもよいが、これに限定されない。かつ前記ばね固定座216は、それぞれ前記支持壁21の前記第一側211及び前記第二側212に設けられた第一固定部2161及び第二固定部2162を有し、前記第一ばね25及び前記第二ばね26の他端は、それぞれ前記ばね固定座216における前記第一固定部2161及び前記第二固定部2162に接続され、これにより、第一ばね力及び第二ばね力を発生させる。例えば、前記第一ばね25及び前記第二ばね26の他端は、掛けリングにより前記第一固定部2161及び前記第二固定部2162におけるホックに套設されてもよいが、これに限定されない。
【0027】
図4を参照し、本発明実施例のベルトテンション機構を示す上面図である。図4に示すように、前記受力柱24にとっては、前記伝達ベルト123のベルト張力による作用力Fは、主に前記受力柱24の前記第二セクション242にかかり、かつその方向は、前記印刷モジュール14に向かっているため、前記受力柱24が前記第一支持部材22に垂直に設置されている場合、前記受力柱24の前記第一支持部材22に貫設された前記根元部243は破損しやすい。この問題を解決するために、本発明は、それぞれ前記受力柱24の前記第一セクション241及び前記第二セクション242に、前記第一ばね25及び前記第二ばね26を設置することで、従來の技術において片ばねのみを設置して前記受力柱24に力を加えることと比べて、本発明における両ばねの設置は、力を前記受力柱24全体により効果的に分散させ、応力が前記受力柱24の前記根元部243に集中することを回避することができる。この構成において、前記第一ばね25及び前記第二ばね26は、印刷モジュール14から離れる方向に向かう第一ばね力S1及び第二ばね力S2を提供するものであり、すなわち、前記第一ばね力S1及び前記第二ばね力S2の方向は、前記ベルト張力の作用力Fと反対方向であり、好ましくは、互いのバランスをとるように、前記第一ばね力S1と前記第二ばね力S2との合力の大きさは、前記作用力Fの大きさに等しい。さらに、二つのばねを設置することにより合力の形で力を与えるため、ばねの設置位置が若干ずれたり、伝達ベルトが若干変形したりしても、効果的に補正し、急激な張力変化を避けることができる。
【0028】
ここで、前記第一ばね力S1及び前記第二ばね力S2の大きさは、実際の適用要求に応じて異なる設計及び配置を有することができ、例えば、ベルト張力の作用力Fが2700gである場合、ベルト張力の作用力Fとのバランスをとるように、前記第一ばね力S1が1800g、前記第二ばね力S2が900gとなるように設計することができるが、これに限定されない。
【0029】
一方、前記ベルトテンション機構2において、前記ベルト張力によって前記支持壁21に平行な方向の作用力Fを発生させることに加え、前記伝達ベルト123と前記受力柱24の前記根元部243は、距離を離間しているため、前記作用力Fは前記受力柱24にもモーメントを発生させて、前記根元部243への負担をさらに増加させ、これによって、前記受力柱24に傾きが生じる可能性がある。この問題に関して、本発明は、前記第一支持部材22の構造設計によって解決されるものであり。前記のように、前記第一支持部材22は、旋回部223を有するように設計されることで、前記第二開口214を通じる場合、前記第一部分221が前記支持壁21の前記第一側211に位置し、かつ前記第二部分222が前記支持壁21の前記第二側212に位置し、すなわち、前記第一部分221及び前記第二部分222が、それぞれ前記第一支持部材22の反対両側に設けられている。このような設計により、ベルト張力の作用力Fが前記受力柱24の前記第二セクション241に作用して反時計回り方向のモーメントを発生させる時、前記第一支持部材22は、前記受力柱24の牽引によって反時計回りに回転する傾向があり、前記第一部分221及び前記第二部分222は、前記支持壁21に向かう方向の当接力、すなわち、図4に示すような第一当接力D1及び第二当接力D2が発生し、すなわち、前記第一部分221及び前記第二部分222は、互いに対向しかつ支持壁21に向かう当接力が発生する。このように、前記モーメントは、前記第一部分221及び前記第二部分222と前記支持壁21との間の当接によって相殺され、自動的に安定化したバランスの取れた構造を達成することができ、かつ前記モーメントが大きいほど、前記支持部材21による当接力が大きくなり、機構全体がより安定するという利点がある。
【0030】
前記第一支持部材22の前記第一部分221及び前記第二部分222と前記支持壁21との位置関係は、前記第一部分221が前記第一側211に位置しかつ前記第二部分222が前記第二側212に位置する配置ではないと、モーメント発生時に相殺効果を生じないことに注意すべきである。反対に設置する(すなわち、前記第一部分が前記第二側に位置しかつ前記第二部分が前記第一側に位置する)と、かえって前記第一支持部材が浮き上がり、前記支持壁に安定的に当接してモーメントを相殺する効果を達成することができない。より具体的には、前記第一部分221及び前記第二部分222が、それぞれ前記第一側211及び前記第二側212に設けられる必要があることに加えて、前記第二部分222が、前記第一部分221と比べて前記印刷モジュール14に近い側に設置することにより、モーメント発生時に相殺効果を生じる。
【0031】
さらに、前記第一ばね25及び前記第二ばね26の設置位置及びばね力の大きさは、全体構造のバランスにとっても重要である。例えば、仮に前記第一ばね25が、ばね力の延伸方向における前記受力柱24の前記根元部243から第一距離A離れた位置に設置され、かつ前記第二ばね26が、ばね力の延伸方向における前記受力柱24の前記根元部243から第二距離B離れた位置に設置されると、前記第一支持部材22の前記第一部分221及び前記第二部分222を、前記支持壁21に密着させるために、好ましくは、前記第一ばね力S1と前記第一距離Aとの積は、前記第二ばね力S2と前記第二距離Bとの積以上である。例えば、前記第一ばね力S1が1800g、並びに前記第二ばね力S2が900gであると、第一距離Aが8mm、並びに前記第二距離Bが15mmとなるように設計することができ、これによって、前記第一ばね力S1と前記第一距離Aとの積は(1800g*8mm=14400g-mm)が前記第二ばね力S2と前記第二距離Bとの積(900g*15mm=13500g-mm)以上となる。ばね力S1、S2及び第一距離Aと第二距離Bを調整することにより、内部構造のバランスを維持しつつ、実際の実施要求を満たすことができる。
【0032】
これまで明らかなように、本発明の両ばねの設置は、多くの利点を提供する。まず、静的な状態において、両ばねは、前記ベルト張力の作用力Fが前記受力柱24の前記第二セクション242に加えた力を効果的にバランスさせ、前記受力柱24の片側のみ(前記第一セクション241または前記第二セクション242)に片ばねを設置することで応力が前記根元部243に集中することを回避するとこができる。例えば、仮に前記第一ばね25のみが設置される場合、前記ベルト張力の作用力F(例えば、上記の2700g)を単一のばね力でバランスさせる必要があり、これにより、前記受力柱24の前記根元部243にかかる力が増加する。前記第二ばね26を設置することにより、前記第一ばね25が提供する必要のあるばね力を低減し、前記根元部243にかかる力も低減することができる。また、仮に前記ベルト張力の作用力Fによるモーメントが、少なくとも前記第二ばね力S2と前記第二距離Bとの積である13500g-mmであると、前記第二ばね26がない場合、前記受力柱24の根元部243の強度は、少なくとも前記ベルト張力の作用力Fと前記第一ばね力S1のモーメント作用力の総和(例えば、13500+14400=27900g-mm)に抵抗できる必要がある。逆に、前記第二ばね26がある場合、前記ベルト張力の作用力Fが相殺されたため、前記受力柱24の根元部243の強度は、少なくとも前記第一ばね力S1によるモーメント作用力(例えば、1800g*8mm=14400g-mm)に抵抗するだけでよく、前記受力柱24の前記根元部243にかかる力を低減することにも役立つ。
【0033】
さらに、動的な状態において、特に前記伝達ベルト123が駆動される時、前記伝達ベルト123は加速度を有し別の作用力を発生させ、前記第二ばね26を設置することにより、前記別の作用力をさらに効果的に相殺することができる。例えば、前記印刷モジュール14の重量が1.2kgであると、0.9kgの第二ばね力S2が追加で抵抗できる加速度の作用力は、0.9kg*9.8/1.2kg=7.35m/secであり、実際の実施時には、印刷モジュール14に必要な印刷加速度が約6.73m/secであるため、加速度による作用力も前記第二ばね26の設置によって相殺される。
【0034】
そこで、両ばねを設置することにより、静的な状態においでも動的な状態においでも、前記受力柱の根元部243にかかる力を効果的に低減し、前記ベルトテンション機構2の内部構造の力バランスを維持することに寄与できる。これにより、力の不均衡による全体構造の損傷を生じにくい。また、このような設計により、前記伝達ベルト123と前記支持壁21との間の距離は、要求に応じて変更でき、例えば、印刷モジュール14の位置変更に応じて延長し、設計上の柔軟性を高めることができる。
【0035】
なお、本発明のベルトテンション機構2の設計は、操作の利便性も考慮しており、例えば、前記伝達ベルト123を交換する必要がある場合、前記第二ばね26と前記第二支持部材23との接続を解除して、前記第二支持部材23を取り外し、前記受力柱24を印刷モジュール14の方向に押すだけで、前記伝達ベルト123を緩めて取り外すことができ、操作上非常に便利である。
【0036】
上記は、本発明を説明するための好ましい実施形態にすぎず、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲は特許請求の範囲によって決定されることに注意すべきである。かつ本発明は、当業者なら様々な修正を加えることができるが、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することはない。
【符号の説明】
【0037】
1... プリンター
11... 筐体本体
12... プーリセット
121... 駆動輪
122... 被動輪
123... 伝達ベルト
13... スライドベース
14... 印刷モジュール
2... ベルトテンション機構
21... 支持壁
211... 第一側
212... 第二側
213... 第一開口
214... 第二開口
215... 固定穴
216... ばね固定座
2161... 第一固定部
2162... 第二固定部
22... 第一支持部材
221... 第一部分
222... 第二部分
223... 旋回部
224... 固定穴
23... 第二支持部材
24... 受力柱
241... 第一セクション
242... 第二セクション
243... 根元部
25... 第一ばね
26... 第二ばね
27... 固定具
A... 第一距離
B... 第二距離
D1... 第一当接力
D2... 第二当接力
F... 作用力
H... 旋回高さ
S1... 第一ばね力
S2... 第二ばね力
【要約】      (修正有)
【課題】バランスをとる効果を達成するベルトテンション機構を提供する。
【解決手段】ベルトテンション機構は、支持壁、第一支持部材、第二支持部材、受力柱、第一ばね及び第二ばねを含み、第一支持部材は、前記支持壁の開口を通じた旋回部を備えることで、それぞれ旋回部に接続された第一部分と第二部分が支持壁の第一側と第二側に別々に配置されている。かつ第一ばね及び第二ばねは、それぞれ支持壁の第一側及び第二側に設けられ、他方の伝達ベルトも第二側に設置されるため、前記第一ばね力と前記第二ばね力の合力は、前記伝達ベルトによるベルト張力の作用力と反対方向にバランスがとれ、かつ前記ベルト張力の作用力によって前記受力柱にモーメントを発生させる時、支持部材の第一部分及び第二部分は、それぞれ前記支持壁の第一側の表面及び第二側の表面に接触し、互いに対向しかつ前記支持壁に向かう当接力が発生し、さらに前記モーメントを相殺する。
【選択図】図2A
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4