(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】焦点距離が調整可能なレンズを備える光学システム
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20230525BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20230525BHJP
G02B 3/14 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
G02B7/02 A
G02B7/04 Z
G02B7/02 C
G02B7/04 E
G02B3/14
(21)【出願番号】P 2021537747
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2019086852
(87)【国際公開番号】W WO2020136143
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518044871
【氏名又は名称】ネクストレンズ スウィッツァーランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】ブエラー,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】スモルカ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ハース,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】バーランゲン,マシュー
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0084435(KR,A)
【文献】特開2011-008121(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0033308(KR,A)
【文献】特開2006-098987(JP,A)
【文献】国際公開第2019/238205(WO,A1)
【文献】特開2011-141438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学要素(3)のための固体レンズ鏡筒(2)を備える光学システム(1)であって、前記レンズ鏡筒(2)は、前記光学システム(1)の光軸(100)に沿って延在し、前記レンズ鏡筒(2)は、複数の光学要素(3)を保持し、前記複数の光学要素(3)は:
a)少なくとも1つの固体レンズ(53)を備えるレンズシステム(5)、
b)焦点距離が調整可能な第1のレンズ(6)であり、前記第1のレンズ(6)は、透明な流体が充填された容器(62)を備え、前記容器(62)は、前記容器(62)の透明な底部(67)に面する弾性変形可能かつ透明な膜(61)を備える、前記第1のレンズ(6)、
を備え、
前記レンズ鏡筒(2)は、前記光軸(100)に沿って面する第1及び第2の開口部(22、22’)を有し、前記第1及び/又は第2の開口部(22、22’)は、前記レンズシステム(5)を受け入れるように構成され、前記レンズ鏡筒(2)は、前記光軸(100)に垂直に延在する第1のスロット(24)を有し、前記第1のレンズ(6)は、前記光軸(100)に垂直な前記第1のスロット(24)を介して前記レンズ鏡筒(2)に挿入される、
前記光学システム(1)。
【請求項2】
前記光学システム(1)は、焦点距離が調整可能な第2のレンズ(7)を備え、前記第2のレンズ(7)は、透明な流体が充填された容器(72)を備え、前記容器(72)は、前記容器(72)の透明な底部(77)に面する弾性変形可能かつ透明な膜(71)を備え、前記レンズ鏡筒(2)は、前記光軸(100)に垂直に延在する第2のスロット(25)を有し、前記第2のレンズ(7)は、前記第2のスロット(25)を介して前記レンズ鏡筒(2)に挿入される、
請求項1に記載の光学システム(1)。
【請求項3】
前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の焦点距離を調整するために、前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の前記膜(61、71)は、膜曲率が調整可能な前記膜(61、71)の領域を
定義するための、前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の円周方向の剛性のレンズ成形要素に接続される、請求項
2に記載の光学システム(1)。
【請求項4】
前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の前記容器(62、72)は、流体が充填されたレンズ容積
部、及び流体が充填されたリザーバー容積
部を包含し、前記リザーバー容積
部は、レンズ容積
部に接続され
、前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の前記容器(62、72)は、前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の前記容器(62、72)のリザーバー容積
部に隣接する弾性変形可能な壁部材(63、73)を備える、請求項
2~3のいずれか一項に記載の光学システム(1)。
【請求項5】
前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の前記容器(62、72)の弾性変形可能な壁部材(63、73)は、前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の前記膜(61、71)によって形成される、請求項4に記載の光学システム(1)。
【請求項6】
前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の前記容器(62、72)の前記リザーバー容積
部は、前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の前記光軸(100)に垂直な方向の前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の前記容器(62、72)の前記レンズ容積
部の隣に横方向に配置される、請求項4又は5に記載の光学システム(1)。
【請求項7】
前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)は、前記容器(62、72)の外側を向く前記弾性変形可能な壁部材(63、73)上
に配置される剛性のプッシャープレートを備え、前記プッシャープレートは、前記プッシャープレートをリザーバー容積
部の内側又は外側に動かす外力を受けて、その結果、リザーバー容積
部を収縮又は増加し、したがってそれに応じて前記膜(61、71)を変形させることによってレンズ容積
部を増加又は縮小し、それにより、前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の焦点距離を調整するように構成される、請求項4~6のいずれか一項に記載の光学システム(1)。
【請求項8】
前記第1及び/又は第2のスロット(24、25)に挿入される前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の前記膜(61、71)は、レンズ鏡筒(2)によって包含され、前記リザーバー容積
部及び前記変形可能な壁部材(63、73)を備える容器部分は、前記変形可能な壁部材(63、73
)が、前記レンズ鏡筒(2)の外側から利用可能であり、外部レンズアクチュエータ(68、78)を用いて、前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)の焦点距離を制御することを可能にするように、レンズ鏡筒(2)から突出している、請求項
7のいずれか一項に記載の光学システム(1)。
【請求項9】
前記レンズシステム(5)は、前記レンズ鏡筒(2)の前記光軸(100)に沿って、かつその上に配置される複数の積層光学要素(3、53、54)を有する少なくとも1つの光学要素積層体(51、52)を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学システム(1)。
【請求項10】
前記光学システム(1)は、前記レンズ鏡筒(2)に配置されるイメージセンサー(9)を備え、前記レンズ鏡筒(2)は、積層光学要素(3、53、54)を有する、2つの光学要素積層体(51、52)である第1の光学要素積層体(51)、及び第2の光学要素積層体(52)を備え、焦点距離が調整可能な前記第1のレンズ(6)は、イメージセンサー(9)から第1の所定の距離(101a)に配置され、焦点距離が調整可能な前記第2のレンズ(7)は、イメージセンサー(9)から第2の所定の距離(101b)に配置され、前記第1の光学要素積層体(51)は、前記第1のレンズ(6)とイメージセンサー(9)との間の前記光軸(100)上に配置され、前記第2の光学要素積層体(52)は、前記レンズ鏡筒(2)の前記光軸(100)上の前記第1のレンズと前記第2のレンズ(6、7)との間に配置さ
れる、請求項9に記載の光学システム(1)。
【請求項11】
前記第2の所定の距離(101b)は、前記第1の所定の距離(101a)の2倍の大きさである、請求項10に記載の光学システム(1)。
【請求項12】
折り返しミラー(4)又は折り返しプリズムは、前記レンズ鏡筒(2)に配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載の光学システム(1)。
【請求項13】
前記折り返しミラー(4)は、前記光学システム(1)に
閉ループ制御による光学的安定化を提供するように構成された傾斜可能なミラーである、請求項12に記載の光学システム(1)。
【請求項14】
前記レンズ鏡筒(2)は、前記レンズ鏡筒(2)に前記光学要素(3、53、54、6、7)を固定するためのアライメントツール又は接着剤を挿入するための横方向の開口部(29)を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の光学システム(1)。
【請求項15】
前記第1及び/又は第2のスロット(24、25)は、前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)のためのハードストップ部分を有し、前記ハードストップ部分は、前記第1及び/又は第2のレンズ(6、7)を所定の位置の前記ハードストップ部分に接合するためのものである、請求項
2~14のいずれか一項に記載の光学システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に光学イメージングのための光学システムに関し、このシステムは、焦点距離が調整可能な少なくとも1つのレンズを備え、前記レンズは、レンズの焦点距離を調整するための弾性的に変形可能な膜を備える。
【背景技術】
【0002】
焦点距離又はズームなどの光学特性を調整できることを必要とする光学システムは、当業界ではよく知られている。
【0003】
光学システムの光学特性を調整するために、固体の固定焦点レンズなどの少なくとも1つの光学要素は、光学システムの中で、特に光軸に沿って機械的に動かされる。
【0004】
多くの場合、光学システムの所望の光学特性を調整するために、2つの光学要素、例えば2つのレンズを動かさなければならない。
【0005】
光学要素の機械的な横方向への移動により、調整を行わない固定式の光学システムと比較して故障が発生しやすく、堅牢性に欠ける。
【0006】
さらに、特に製造公差のために、光学システムの組み立ては、光学特性を満たすための光学要素の精巧な調整を必要とする。このアライメント工程は、通常、光学システムに備えられるレンズが多いほど大変になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、少なくとも1つの光学特性を調整することができ、精巧なアライメント手順を必要とせずに組み立てることが容易な光学システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する光学システムによって達成される。
【0009】
有利な実施形態は下位請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明による光学ズームシステムの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、第1及び第2のレンズを第1及び第2のスロットに挿入する工程を示す。
【
図3】
図3は、接触表面が傾斜した接触部を有する光学要素積層体の概略的な分解横断面図である。
【
図4AB】
図4A及びBは、接触表面が傾斜した接触部及び接合する接触部により形成された接着剤ポケットを有する光学要素積層体の概略的な横断面図である。
【
図5】
図5は、接触部が傾斜した接触表面を持ち、一方の接触表面が光軸に垂直な光学要素積層体の概略的な横断面図である。
【
図6】
図6は、レンズ鏡筒の3つの方位角的な平坦部を示す。
【
図7】
図7は、固体レンズにアパーチャー要素を取り付けた光学要素積層体の組み立て状態の概略的な横断面図である。
【
図8】
図8は、第1及び第2のレンズが等間隔に配置された光学ズームシステムの概略的な横断面図である。
【
図9】
図9は、組み立てのための接着穴を持つレンズ鏡筒の概略的切断図である。
【
図10】
図10は、光学システムへのアクチュエータの組み立ての工程を示す図である。
【
図11】
図11は、折り返しミラーの嵌合ピンとレンズ鏡筒への組み立て工程を示す図である。
【
図12】
図12は、クランプデバイスを備える光学システムの概略的な横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
請求項1によれば、光学システムは、光学要素のための固体のレンズ鏡筒を備え、前記レンズ鏡筒は光学システムの光軸に沿って延在し、前記レンズ鏡筒は複数の光学要素を保持し、前記複数の光学要素は、
a)少なくとも1つの固体レンズを備えるレンズシステム、
b)焦点距離が調整可能な第1のレンズであり、前記第1のレンズは、透明な流体が充填された容器を備え、前記容器は、前記容器の透明な底部に面する弾性的に変形可能な透明な膜を備える、前記第1のレンズ
を備え、
特にその軸方向の端部分に、前記レンズ鏡筒が、光学システムの入射光及び出射光を受けるための光軸に沿った第1及び第2の開口部を有し、前記第1及び/又は第2の開口部は、レンズシステムを受け入れるようにさらに構成されており、前記レンズ鏡筒は、光軸に垂直に延在する第1のスロットを有し、前記第1のレンズは、光軸に垂直な第1のスロットを介してレンズ鏡筒に挿入される。
【0012】
レンズシステムは、特に、光学システムの光軸に沿って所定の順序で配置される複数の固体、すなわち剛性レンズを備える。レンズシステムは、さらに、スペーサー、アパーチャー、フィルターなどの他の光学要素を備えることができる。
【0013】
本明細書の文脈の固体レンズとは、焦点距離が固定され、変更できないレンズを指す。
【0014】
光学要素は、特に以下の:
- 特にガラス、プラスチック、又はポリマーで作成された固体レンズ、
- 例えば、不要な波長帯域をフィルターで除去するため、又は光学システムを通過する光の量を低減するためのフィルター、
- 光学要素を光軸に沿って互いに間隔を空けるためのスペーサー要素、
- レンズシステムの光学アパーチャーを光軸に沿って特定の位置にて制限するためのアパーチャー要素、
- ミラー、特に半透明のミラー、
のうちの1つである。
【0015】
スペーサーは、光学システムにおいてアパーチャー要素としても使用でき、その逆も可能である。
【0016】
本明細書の文脈の「レンズ鏡筒(lens barrel)」という用語とは、特に光学要素を保持し、特に剛性に保持するように構成されたデバイスを指す。レンズ鏡筒は、特に光学要素の安定性及び環境の保護を提供するためのレンズ鏡筒壁を有する。
【0017】
「環境の保護」という用語は、特に、光学要素を周囲の光、湿気、及び/又は埃から保護することを指す。
【0018】
レンズ鏡筒は、特に、光軸を中心に円周方向に延在する光学要素を包含し、かつ保持するための円筒形の内部輪郭を有する。
【0019】
レンズ鏡筒は、特に、金属、プラスチック、又はポリマーを含むか、又はそれらからなる。
【0020】
レンズ鏡筒は、特に、光軸に沿って真っ直ぐに延在し、特に、レンズ鏡筒の外壁は、光軸に直交して円筒形、半円筒形、又は長方形の横断面形状を有する。
【0021】
レンズ鏡筒は、特に、光学システムのイメージセンサにより検出可能な光の波長範囲内の光を吸収するように構成される。このため、レンズ鏡筒は、少なくとも光学要素を包含するレンズ鏡筒の内側に黒色を施すことができる。
【0022】
レンズ鏡筒は、光軸に沿って第1の開口部及び第2の開口部を有し、レンズ鏡筒内のレンズシステムに光が出入りすることができるようになっている。
【0023】
これらの開口部の少なくとも1つは、光学システムの組み立て時に光学要素を受け入れるように構成されている。そのため、少なくとも1つの開口部は、光学要素を受け入れるのに十分な大きさのアパーチャーを有する。
【0024】
レンズ鏡筒のアパーチャーを制限するためのアパーチャー構成要素で少なくとも1つの開口部を覆うことにより、組み立て後のレンズ鏡筒の開口を制限することが可能である。
【0025】
レンズシステムは、特に、第1及び/又は第2の開口部を介してレンズ鏡筒に挿入される。
【0026】
焦点距離が調整可能な第1のレンズを組み立てるために、レンズ鏡筒は、特に横方向に第1のレンズを受け入れるように構成される専用の第1のスロットを有し、すなわち、第1のレンズは、前記第1のスロットを介してレンズ鏡筒に挿入され、特にレンズ鏡筒の第1又は第2の開口部を介さない。したがって、第1及び第2の開口部は、特に、第1のスロット以外のレンズ鏡筒の異なる開口部である。
【0027】
第1のスロットは、特に、レンズ鏡筒の側面部分に配置されている。
【0028】
第1のスロットは、レンズ鏡筒の開口部、特に光学システムの光軸に垂直に配向されるレンズ鏡筒壁の開口部である。第1のスロットは、特に、組み立て時の垂直方向の挿入動作により、第1のレンズを受け入れるように構成されている。
【0029】
第1及び第2の開口部は、特に、レンズシステムを軸方向に受け入れるように、又はレンズ鏡筒の光軸に沿った軸方向の挿入動作を受け入れるように構成されている。
【0030】
第1及び/又は第2のレンズをレンズ鏡筒に固定するために、第1及び/又は第2のスロットは、特に、接着剤を提供及び受容する穴の形態の窪み又は開口部の隣に特に配置される境界面を備える。第1及び/又は第2のレンズは、接着剤用の対応する境界面を備える。
【0031】
第1のレンズは、特に、光学システムの光軸に対して垂直な動きで、光学システムに、特にレンズ鏡筒に挿入される。
【0032】
これは、特に光軸に沿った動きで、第1又は第2の開口部からレンズ鏡筒に挿入されるレンズシステムとは対照的である。
【0033】
第1のレンズは、その光軸が光学システムの光軸と整列するように配置される、すなわち、第1のレンズの膜が光軸上に配置される。
【0034】
焦点距離が調整可能な第1のレンズは、弾性変形可能な膜の曲率を調整することによって焦点距離を変更する(以下を参照)。
【0035】
第1のレンズは、膜の曲率を変更することにより、それに応じて、正レンズから負レンズに切り替えることもできる。
【0036】
膜の曲率は、容器内の流体への圧力を増減することによって調整される。流体の圧力が増加すると、膜は強制的に容器の外側に膨らみ、圧力が減少すると、膜は強制的に内側に湾曲する。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、容器の透明な底部は、プラスチック、ポリマー、ガラスなどの硬質化合物を含むか、又はそれからなる。
【0038】
本発明の別の実施形態によれば、容器の透明な底部は、容器内の流体の圧力に応じてその曲率を調整する第2の弾性変形可能な膜を備えるか、又はそれからなる。
【0039】
本発明は、多種多様な異なる用途、特に、屈折計、厚さ計、生体計測、視野計、屈折角膜計、レンズ分析器、眼圧計、色盲検査鏡、コントラストメーター、角膜内皮細胞顕微鏡(endothelmicroscope)、両眼視機能検査装置(binoptometer)、OCT、眼科鏡、RTA、マシンビジョン、カメラ、携帯電話カメラ、医療機器、ロボットカム、仮想現実又は拡張現実カメラ、顕微鏡、望遠鏡、内視鏡、ドローンカメラ、監視カメラ、ウェブカム、自動車カメラ、モーショントラッキング、双眼鏡、研究、自動車、プロジェクター、眼科用レンズ、レンジファインダー、バーコードリーダーなどの眼科学機器に適用することができる。
【0040】
本発明の別の実施形態によれば、第1のスロットは、光学システム内の第1のレンズに所定の位置を提供するように、第1のレンズにハードストップを提供するように構成されている。
【0041】
本発明の別の実施形態によれば、光学システムは、焦点距離が調整可能な第2のレンズを備え、前記第2のレンズは、透明な流体が充填された容器を備え、前記容器は、この容器の透明な底部に面する弾性変形可能かつ透明な膜を備え、前記レンズ鏡筒は、光軸に垂直に延在する第2のスロットを有し、前記第2のレンズは、光軸に垂直な前記第2のスロットを通って前記レンズ鏡筒に挿入される。
【0042】
第2のスロット及び第2のレンズは、第1のスロット及び第1のレンズについて開示された実施形態に従って具体化することができるが、第1のスロット及び第1のレンズと同一である必要はない。
【0043】
この実施形態によれば、焦点距離が調整可能な第2のレンズを組み立てるために、レンズ鏡筒は、特に横方向に第2のレンズを受け入れるように構成された専用の第2のスロットを有し、すなわち、第2のレンズは、特に前記レンズ鏡筒の第1又は第2の開口部を介さずに、前記第2のスロットを介してレンズ鏡筒に挿入される。
【0044】
第2のスロットは、特に、レンズ鏡筒の側面部分に配置されている。
【0045】
第2のスロットは、特に、レンズ鏡筒の開口部、特に光学システムの光軸に垂直に配向されるレンズ鏡筒壁の開口部である。
【0046】
それ故、第2のレンズは、特に、光学システムの光軸に対して垂直な動きで、光学システムに、特にレンズ鏡筒に挿入される。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、第2のレンズの容器の透明な底部は、ポリマー又はガラスなどの剛性化合物を含むか、又はそれからなる。
【0048】
本発明の別の実施形態によれば、第2のレンズの容器の透明な底部は、容器内の流体の圧力に応じてその曲率を調整する第2の弾性変形可能な膜を備えるか、又はそれからなる。
【0049】
第1及び第2のレンズは、光学システムの特に別個の構成要素であり、特にそれらの容器間に流体接続を有さない。
【0050】
第1及び第2のスロットは、光学システムの光軸に沿って、したがってレンズ鏡筒に沿って軸方向にシフトして配置される。
【0051】
一実施形態によれば、光学ズームデバイスは、特に第1のレンズが光学ズームデバイスの光路内の光偏向デバイスの後ろに配置される場合、光路内の光偏向デバイス(例えば、折り返しプリズム又はミラー)の前に配置される剛性レンズを備える。
【0052】
本発明の別の実施形態によれば、第1及び/又は第2のレンズの焦点距離を調整するために、第1及び/又は第2のレンズの膜は、膜曲率が調整可能な膜の領域を定義するための第1及び/又は第2のレンズの円周方向の剛性レンズ成形要素に接続される。
【0053】
レンズ成形要素は、第1及び/又は第2のレンズの十分に定義された変形を可能にし、第1及び/又は第2のレンズによって引き起こされる光学収差を低減するなど、より優れた光学性能を実現する。
【0054】
本発明の別の実施形態によれば、第1及び/又は第2のレンズの容器は、流体が充填されたレンズ容積と、流体が充填されたリザーバー容積とを包囲し、前記リザーバー容積は、レンズ容積に接続され、特に流体的に接続され、前記第1及び/又は第2のレンズの容器は、前記第1及び/又は第2のレンズの容器のリザーバー容積に隣接する弾性変形可能な壁部材を備えている。
【0055】
この実施形態では、遠隔に又は外部に配置されたアクチュエータによって第1のレンズ及び/又は第2のレンズの焦点距離を調整することができ、光学システムの設計及び組み立ての自由度を高めることができる。
【0056】
この実施形態のもう一つの利点は、膜及びレンズリザーバーを、レンズの光学特性に望ましくない影響を与える熱を発生させるアクチュエータなどの液体レンズの構成要素から離すことができることである。
【0057】
本発明の別の実施形態によれば、第1及び/又は第2のレンズの容器の弾性変形可能な壁部材は、第1及び/又は第2のレンズの膜によって形成されている。
【0058】
この実施形態では、より複雑でない作動機構を実現する。さらに、膜の応力が動作時のみに最小限に抑えられるように、前記システムの電源が切られている場合、容器内の圧力が均等にされる。
【0059】
本発明の別の実施形態によれば、第1及び/又は第2のレンズの容器のリザーバー容積は、第1及び/又は第2のレンズの光軸に垂直な方向において、第1及び/又は第2のレンズの容器のレンズ容積の横方向に隣に配置される。
【0060】
本実施形態では、組み立てスペースが、光軸から離れて設けられ、したがって膜のような温度に敏感な構成要素から離れて設けられている。
【0061】
本発明の別の実施形態によれば、変形可能な壁部材及び膜は、容器の同じ側面に配置されている。
【0062】
本発明の別の実施形態によれば、第1のレンズの容器は、第1のレンズの容器の側壁を形成するフレーム構造を備え、前記第1のレンズの容器のフレーム構造は、第1のレンズの容器の膜によって、特に第1のレンズの容器の壁によって覆われる第1のレンズの容器のレンズ容積を形成する第1の窪みを備え、かつ前記第1のレンズの容器のフレーム構造は、第1のレンズの容器の壁部材によって、特に第1のレンズの容器の壁によって覆われる第1のレンズの容器のリザーバー容積を形成する第2の窪みを備え;及び/又は第2のレンズの容器は、第2のレンズの容器の側壁を形成するフレーム構造を備え、前記第2のレンズの容器のフレーム構造は、第2のレンズの容器の膜によって、特に第2のレンズの容器の壁によって覆われる第2のレンズの容器のレンズ容積を形成する第1の窪みを備え、かつ前記第2のレンズの容器のフレーム構造は、第2のレンズの容器の壁部材によって、特に第2のレンズの容器の壁によって覆われる第2のレンズの容器のリザーバー容積を形成する第2の窪みを備える。
【0063】
本発明の別の実施形態によれば、第1のレンズのフレーム構造の第1の窪みは、第1のレンズのレンズ成形要素を形成する円周方向の端を備え;及び/又は第2のレンズのフレーム構造の第1の窪みは、第2のレンズのレンズ成形要素を形成する円周方向の端を備える。
【0064】
本発明の別の実施形態によれば、第1及び/又は第2のレンズは、弾性変形可能な壁部材、特に容器の外側を向く壁部材の側面に配置された剛性プッシャープレートを備え、前記プッシャープレートは、プッシャープレートをリザーバー容積の内側又は外側に動かす外力を受けるように構成され、その結果、リザーバー容積を縮小又は増加させ、したがって、それに応じて膜を変形させることによってレンズ容積を増加又は収縮させ、それによって第1及び/又は第2のレンズの焦点距離を調整する。
【0065】
剛性のプッシャープレートは、特に、アクチュエータのピストン又はピンを受け入れるために、アクチュエータに面した側面に窪みを有する。
【0066】
剛性のプッシャープレートは、壁部材に作動力を均等に提供することを可能にし、より正確な作動を可能にし、プッシャープレートの全領域にわたって作動応力を分散させる。
【0067】
本発明の別の実施形態によれば、第1及び/又は第2のスロットに挿入された第1及び/又は第2のレンズの膜は、レンズ鏡筒によって包含され、特に光軸に配置され、その結果、第1及び/又は第2のレンズの光軸とレンズ鏡筒の光軸が整列し、レンズリザーバー容積及び変形可能な壁部材を備える容器部分は、レンズ鏡筒から、特に径方向に突出し、その結果、前記変形可能な壁部材、特にプッシャープレートが、レンズ鏡筒の外側から利用可能であり、外部から、特に別の組み立て工程において、光学システムに取り付けることができるか、又は取り付けられる外部レンズアクチュエータを使用して第1及び/又は第2のレンズの焦点距離を制御することができる。
【0068】
本発明の別の実施形態によれば、レンズシステムは、レンズ鏡筒の光軸に沿って、又はその上に配置された、複数の積層光学要素を有する少なくとも1つの光学要素積層体を備える。
【0069】
光学要素積層体は、レンズ鏡筒の第1の開口部又は第2の開口部を介して挿入される。
【0070】
本明細書の文脈の光学要素積層体とは、特に、一列に接合して配置される複数の光学要素を指す。積層光学要素は、特に、剛性の実体物を形成するように互いに接着又はその他の方法で取り付けられている。
【0071】
本発明の別の実施形態によれば、光学要素積層体の積層光学要素のそれぞれは、光学要素を中心に、特に光学システムの光軸を中心に、特に対称的に延在する固体の縁部を有し、光軸に沿って面する光学要素の少なくとも一方の側面では、前記縁部は、積層光学要素の隣接する光学要素の接触部を接合するための接触部を備える。
【0072】
縁部は、特に、それぞれの光学要素又は光学システムの光軸から所定の半径で延在する。縁部は、特に、光学要素の円周方向の端に配置されている。
【0073】
縁部は、特に、光学要素を縁取る別個の構成要素として形成される。
【0074】
あるいは、縁部は、光学要素と一体的に形成される。
【0075】
各光学要素は、光軸に沿って面する2つの側面を備え、一方の側面は例えば入射光に向き、反対側の側面は光軸に沿った透過光に向いている。
【0076】
光学要素の側面とは、固体である必要はなく、光学要素の幾何学的特性に対処するための単なる言及である。
【0077】
接触部は、特に、光軸に沿って面する縁部の端にある。
【0078】
接触部では、積層光学要素が互いに接合し、固定されている。
【0079】
本発明の別の実施形態によれば、接触部は、光軸に向かって、又は光軸から離れて円錐状に傾斜している。
【0080】
接触部のこの形状は、積層光学要素の組み立て時に光学要素を接合するための自己センタリング効果をもたらし、これにより、特に自動化又は半自動化の様式での光学システムの迅速かつ信頼性の高い製造が可能になる。
【0081】
本発明の別の実施形態によれば、積層光学要素の2つの隣接する光学要素の接合する接触部は、2つの光学要素の接触部が相補的でかつ接合する接触表面を形成するように傾斜している。
【0082】
これらの接触表面は、特に、接着剤が接触表面で2つの光学要素を耐久性のある様式で接続できるように平面である。
【0083】
さらに、この形状により、複数の光学要素を積層することができ、傾斜した接触部では、異なる傾斜によって積層の順序を「コード化」することができ、その結果、正しい2つの光学要素を接触させた場合にのみ、接触表面が相補的になり、接着剤での接続に適した状態になる。
【0084】
本発明の別の実施形態によれば、積層光学要素の少なくとも1つの光学要素の縁部は、光学要素の両側面で、光軸に向かって及び/又は光軸から離れて傾斜した接触部を有する。
【0085】
2つを超える光学要素を有する光学要素積層体を組み立てることができるように、このような光学要素を2つの光学要素の間に配置することができる。
【0086】
本発明の別の実施形態によれば、積層光学要素の隣接する光学要素の接合する接触部には、隣接する光学要素を接触部で互いに固定するための接着化合物のための窪みが形成され、前記窪みは、特に接触部の接触表面を周方向に取り囲んでいる。
【0087】
窪みは、特に接着剤の接着ポケットであり、接着剤が接触表面の間で流れるように、窪みに接着剤を供給することができる。
【0088】
本実施形態では、光学要素積層体の製造の複雑さを軽減することが可能である。
【0089】
本発明の別の実施形態によれば、積層光学要素のうち少なくとも1つの光学要素は、固体レンズであり、レンズの接触部は、レンズの表面曲率とは異なる傾きを有する。
【0090】
本発明の別の実施形態によれば、縁部は、光学要素から光軸に沿って軸方向に突出している。
【0091】
本発明の別の実施形態によれば、積層光学要素のうち少なくとも1つの光学要素は、円筒の壁を有する円筒として形成されたスペーサー要素又はアパーチャー要素であり、前記円筒は光軸に沿って延在し、円筒の壁は接触部を備える。
【0092】
スペーサー要素は透明であり得、前記アパーチャー要素は少なくとも1つの非透明部分を備える。
【0093】
スペーサー要素は、レンズ間に所定の距離を提供するために、例えば固体レンズの間に配置される。
【0094】
スペーサー要素及び/又はアパーチャー要素は、接触部を備え、したがって光学要素積層体の他の光学要素と同様に、自己センタリング方式で光学要素積層体に組み立てることができ、組み立て時の複雑さを軽減することができる。
【0095】
本発明の別の実施形態によれば、レンズ鏡筒は内側鏡筒壁を有し、前記内側鏡筒壁はレンズシステムの周りに延在し、前記鏡筒壁は、レンズシステムに接触し、かつ内側鏡筒壁にある3つの方位角に規則的に間隔を空けた平坦部を使用してレンズシステムを光軸上で径方向にセンタリングするように構成されている。
【0096】
この実施形態は、積層光学要素の接触部に追加又は代替して実装することができる。
【0097】
3つの平坦部は、特に、内側鏡筒壁の円形の形状を割線状に「切り詰め(カットショート)」し、したがって、光学要素にわずかなクランプ力を及ぼすように構成される。それ故、鏡筒の内壁は完全に円形ではない。
【0098】
3つの平坦部は、レンズシステムに統合されるアライメントツールを提供する。
【0099】
本発明の別の実施形態によれば、レンズシステムの少なくとも1つの光学要素又は積層光学要素の少なくとも1つの光学要素は、レンズ鏡筒の光軸に垂直に配向された接触表面を有する接触部を備える縁部(上で定義される)を有し、レンズシステム又は積層される光学要素をレンズ鏡筒の光軸に沿って整列させるように、前記光学要素は、レンズ鏡筒の対応する接触表面で、接合し、特に停止している。
【0100】
レンズ鏡筒の垂直方向の接触表面は、光学要素を有するレンズシステムを光軸に沿って整列させるのに役立つ。
【0101】
この実施形態では、光学システムを迅速かつ正確に組み立てることができる。
【0102】
本発明の別の実施形態によれば、レンズシステムの少なくとも1つの固体レンズは、アパーチャー要素を有し、前記アパーチャー要素は、光軸に垂直なリング状の領域として形成される固体レンズの一部に配置され、前記領域は、少なくとも1つの固体レンズの縁部の径方向内側に位置し、特に、前記領域は、前記領域と縁部との間の周方向の段差によって径方向に制限されている。
【0103】
この実施形態では、比較的に近い間隔をとる必要がある積層光学要素の間にアパーチャーを設けることができる。
【0104】
本発明の他の実施形態によれば、光学システムは、特にレンズ鏡筒に配置されるイメージセンサを備える。
【0105】
本発明の別の実施形態によれば、光学システムは、特に光学要素積層体を備えるレンズ鏡筒に配置されるイメージセンサを備え、焦点距離が調整可能な第1のレンズを備える第1のスロットは、イメージセンサから第1の所定の距離に配置され、特にレンズシステム、特に光学要素積層体は、第1のレンズとイメージセンサとの間の光軸上に配置される。
【0106】
本発明の別の実施形態によれば、光学システムは、レンズ鏡筒に配置される、特にレンズ鏡筒に取り付けられるイメージセンサを備え、前記レンズ鏡筒は、光学要素が積層された第1の光学要素積層体及び第2の光学要素積層体の2つの光学要素積層体を備え、焦点距離が調整可能な前記第1のレンズは、イメージセンサから第1の所定の距離に配置され、焦点距離が調整可能な前記第2のレンズは、イメージセンサから第2の所定の距離に配置され、前記第1の光学要素積層体は、レンズ鏡筒の第1のレンズとイメージセンサとの間の光軸上に配置され、前記第2の光学要素積層体は、前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間の光軸上に配置され、その結果、特に、光学システムが光学ズームシステムを形成し、特に、前記第1のレンズと前記第2のレンズの調整可能な焦点距離によって、前記ズームが調整可能となるようになっている。
【0107】
本発明の別の実施形態によれば、第1及び第2のレンズを備える第1及び第2のスロットが光軸に沿って互いに等距離に配置されるように、第2の所定の距離は、第1の所定の距離の2倍の大きさである。
【0108】
この実施形態では、類似の焦点距離の変化がこの形状では通常必要とされるため、第1及び第2のレンズの焦点距離を作動させるために、同じ又は類似の種類のアクチュエータを使用することができる。
【0109】
本発明の別の実施形態によれば、折り返しミラー又は折り返しプリズムがレンズ鏡筒に配置され、特に取り付けられている。
【0110】
特に「折り返しミラー(fold mirror)」又は「折り返しプリズム(fold prism)」という用語は、ミラー又はプリズムの機能、すなわち光学システムの光路を折り返すことを意味する。「fold mirror(折り返しミラー)」は、当技術分野では「folding mirror」又は「folded mirror」と呼ばれることもある。
【0111】
剛性の光学システムを提供するために、前記ミラーを鏡筒に(ミラーフレームを使用して)接着することができる。
【0112】
この実施形態では、携帯電話のように、特にコンパクトで他の構成要素と混み合うような所定のスペース及びレイアウト形状を持つデバイスに光学システムを配置することができる。
【0113】
本発明の別の実施形態によれば、折り返しミラーは、特に光学システムを作動的に光学的に安定させるように構成された調整可能なミラーである。
【0114】
この実施形態では、携帯電話などのカメラを備えた携帯小型デバイスに光学システムを組み込むことを可能にする。作動的な安定化は、閉ループ制御によって実現することができる。
【0115】
本発明の別の実施形態によれば、レンズ鏡筒は、突起及び/又は窪みを備えるセンタリング構造を備え、折り返しミラー又は折り返しプリズムは、レンズ鏡筒のセンタリング構造の窪みに適合する突起及び/又はレンズ鏡筒のセンタリング構造の突起を受け入れる窪みを備える相補的なセンタリング構造を備え、その結果、折り返しミラー又は折り返しプリズムをレンズ鏡筒の所定の位置に配置して取り付けることができるようになっている。
【0116】
この実施形態では、光学システムの組み立てを迅速に自動化し、かつ信頼性を高めることを可能にして、光学的なアライメント工程を省略することができる。
【0117】
本発明の別の実施形態によれば、レンズ鏡筒は、レンズ鏡筒に光学要素を固定するためのアライメントツール又は接着剤を挿入するための横方向の開口部を備えている。
【0118】
この実施形態では、レンズ鏡筒にレンズシステムを挿入した状態で、光学システムの微調整を行うことができる。
【0119】
本発明の別の実施形態によれば、第1及び/又は第2のスロットは、第1及び/又は第2のレンズのハードストップ部を有し、前記ハードストップ部は、第1及び/又は第2のレンズを所定の位置で前記ハードストップ部に接合させるためのものである。
【0120】
この実施形態では、レンズ鏡筒の第1及び第2のレンズを精密に組み立て、かつそれらの位置及び向きを明確に規定することを可能にする。
【0121】
ハードストップ部は、特にレンズ鏡筒と一体的に形成されており、特に第1及び第2のスロットと一体的に形成されている。
【0122】
本発明の別の態様によれば、レンズ鏡筒は、レンズ鏡筒の周囲に配置されたクランプデバイス内に備えられ、前記クランプデバイスは、特に堅さ及び剛性の観点から、光学システムに更なる安定性を提供するように、光軸に沿ってレンズ鏡筒にクランプ力を作用させる。
【0123】
クランプデバイスは、特に金属又はポリマーを含むか、又はそれからなる。
【0124】
クランプデバイスは、ハウジングとして形成することで、埃、湿度、又は光などの環境の影響に対する更なる保護を提供することができる。
【0125】
本発明の別の実施形態によれば、第1のレンズは、第1のレンズの容器の弾性変形可能な第1の壁部材に作用して、第1のレンズのリザーバー容積から第1のレンズのレンズ容積へ、又は第1のレンズのレンズ容積から、第1のレンズのリザーバー容積へ、流体をポンプするように構成されるアクチュエータを備え、その結果、第1のレンズの膜の前記領域の曲率を変化させ、それにより第1のレンズの焦点距離を変化させるようになる。
【0126】
アクチュエータは、特に、容器の変形可能な壁部材に力を加えるための可動アクチュエータピストンを備えたピエゾアクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータ、又はリラクタンスアクチュエータである。
【0127】
本発明の別の実施形態によれば、第2のレンズは、第2のレンズの容器の弾性変形可能な第2の壁部材に作用して、第2のレンズのリザーバー容積から第2のレンズのレンズ容積へ、又は第2のレンズのレンズ容積から第2のレンズのリザーバー容積へ、流体をポンプするように構成されるアクチュエータを備え、その結果、第2のレンズの膜の前記領域の曲率を変化させ、それにより第2のレンズの焦点距離を変化させるようになる。
【0128】
アクチュエータは、特に、容器の変形可能な壁部材に力を加えるための可動アクチュエータピストンを備えたピエゾアクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータ、又はリラクタンスアクチュエータである。
【0129】
本発明の別の実施形態によれば、第1及び/又は第2のレンズの容器は、第1及び/又は第2のレンズのアクチュエータが、横方向にシフトされた第1の組み立て位置で容器と接合することを可能にする組み立て構造を備え、前記組み立て構造は、アクチュエータの作動ピストンと変形可能壁部材との間の安全限界を維持しながら、前記第1の組み立て位置から変形可能壁部材の中心にある第2の位置へ、変形可能壁部材に向かってアクチュエータを横方向に移動させることができるように構成され、前記組み立て構造は、アクチュエータが第2の位置にある場合にのみ、アクチュエータピストンが変形可能な壁部材、特にプッシュプレートと接合する第3の位置へのレンズ鏡筒の光軸に特に平行なアクチュエータの軸方向移動を可能にするように構成され、特に、前記組み立て構造は、アクチュエータを第3の位置にロックするように構成される。
【0130】
この実施形態は、特に第1及び/又は第2のレンズの変形可能な壁部材への損傷に関して、光学システムの安全で破壊のない組み立てを可能にする。
【0131】
本発明の別の実施形態によれば、レンズ鏡筒は、前記鏡筒の堅さが増加するように、長方形の外側の横断面を有する部分を備える。
【0132】
本発明の別の実施形態によれば、レンズシステムに備えられる少なくとも1つ、特に全ての光学要素、より特に全ての光学要素、すなわち第1及び第2のレンズもまた、光学システムの光軸の周りに延在し、前記光学要素の外側輪郭、特に光軸に直交する横断面は、円形断面と、少なくとも1つの、特に2つの平面又は非円形断面を有し、前記少なくとも1つの平面又は非円形断面は、円形断面に接し、前記レンズ鏡筒は、光学要素が平面又は非円形断面と適合するように同じ横断面を表す、光軸に沿う少なくとも1つの部分を有する。
【0133】
この実施形態は、レンズ鏡筒内の少なくとも1つの光学要素に所定の配向を提供し、Dカット光学要素とも呼ばれる。非円形断面は、突起及び押出又は切り欠き(ノッチ:notch)であり得る。そのため、Dカット光学要素は、光学要素の回転対称性が崩れるように、少なくとも一断面が円形の外側輪郭から逸脱している。この部分を「平面」又は「非円形」と呼ぶ。
【0134】
本実施形態によるレンズ鏡筒は、Dカット光学要素を包含かつ保持するために、特に非円筒形の内輪郭を有している。
【0135】
内側輪郭は、特に、レンズ鏡筒の光軸に沿ったDカット要素の形状の押出である。
【0136】
一実施形態によると、平面断面は、光学要素の周りの円形断面の完全な仮想的な継続によって定義される円の割線に従う。
【0137】
別の実施形態によれば、縁部は、光学要素のDカット輪郭に沿って延在する。
【0138】
本発明の別の実施形態によれば、レンズ鏡筒は、埃及び環境の影響から光学システムを保護するための布で覆われているが、空気の交換を可能にする開口部をその鏡筒壁に有する。
【0139】
本発明による問題は、さらに、光学システムの組み立て方法によって解決され、この方法は、以下の工程を含む:
a)レンズシステムをレンズ鏡筒の第1及び/又は第2の開口部を介してレンズ鏡筒に挿入する工程、
b)第1のレンズを第1のスロットに挿入する工程、
c)第1のレンズ用のアクチュエータを第1のレンズ及びレンズ鏡筒に組み立てる工程、
d)折り返しミラーをレンズ鏡筒に取り付ける工程、
e)イメージセンサをレンズ鏡筒に取り付ける工程。
【0140】
この方法の別の実施形態によれば、レンズシステムは、第1及び第2の光学要素積層体を備え、レンズシステムを挿入する第1の工程において、第1の光学要素積層体は、レンズ鏡筒の第1の開口部を介してレンズ鏡筒に挿入され、レンズシステムを挿入する第2の工程において、第2の光学要素積層体は、レンズ鏡筒の第2の開口部を介してレンズ鏡筒に挿入される。
【0141】
この方法の別の実施形態によれば、方法の工程d)の前に、第2のレンズがレンズ鏡筒の第2のスロットに挿入され、第2のレンズ用のアクチュエータが第2のレンズ及びレンズ鏡筒に取り付けられる。
【0142】
特に、例示的な実施形態について、図面と併せて以下に説明する。図面は、特許請求の範囲に添付され、示された実施形態の個々の特徴及び本発明の態様を説明する文章が添付されている。図面に示されている、及び/又は図面の文章に記載されているそれぞれの個々の特徴は、本発明によるデバイスに関連する特許請求の範囲に(また、分離された方法で)組み込まれ得る。
【0143】
以下では、本発明の更なる特徴及び実施形態が、特許請求の範囲に添付される図面を参照して説明される。
【0144】
図1は、本発明による光学システム1の例示的な実施形態の概略的な分解横断面図である。光学システム1は、光学システム1の光軸100に沿って延在するレンズ鏡筒2を備える。レンズ鏡筒2に挿入されるレンズシステム5は、第1の光学要素積層体51及び第2の光学要素積層体52の2つの別個の光学要素積層体51、52で構成されており、2つの積層体51、52のそれぞれは、複数の固体レンズ53及びスペーサー54を備える。第1の光学要素積層体51は、前記鏡筒2の第1の開口部22を介して鏡筒2内に挿入されるようになっており、前記第2の光学要素積層体52は、前記鏡筒2の第2の開口部22’を介して挿入されるようになっている。レンズ鏡筒2の第1の開口部22は、折り返しミラー4からの入射光に面する側に位置し、レンズ鏡筒2の第2の開口部22’は、第1の開口部22とは反対側、すなわち光学システム1のイメージセンサ9に面する側に位置している。
【0145】
光学システム1の組み立て状態では、折り返しミラー4がレンズ鏡筒2に取り付けられ、かつイメージセンサ9がまたレンズ鏡筒2に、例えば接着剤で取り付けられている。
【0146】
レンズ鏡筒2は、第1の調整可能レンズ6及び第2の調整可能レンズ7を受け入れるための第1のスロット24(例えば
図2を参照)と第2のスロット25(例えば
図2を参照)を備えている。
【0147】
本明細書の文脈では、第1のレンズ6とも呼ばれる第1の調整可能レンズ6は、焦点距離が調整可能である。第2の調整可能レンズ7もまた、焦点距離が調整可能である。
【0148】
第1及び第2のレンズ6、7は、それぞれ、透明な流体が入ったリザーバーを包含する容器62、72を有している。
【0149】
リザーバーでは、容器62、72のレンズ容積が、調整可能なレンズ表面として機能する弾性変形可能な膜61、71で覆われている。
【0150】
膜61、71の反対に、容器62、72は、透明な底部67、77を備えている。この実施例では、底部67、77は剛性の底部である。
【0151】
第1及び第2のレンズ6、7は、それぞれ、膜61、71を介して垂直に延びる光軸を備える。
【0152】
第1のレンズ及び第2のレンズ6、7の容器62、72は、第1及び第2のレンズ6、7の光軸100から一側面に横方向に延在している。容器62、72は、膜61、71の下のレンズ容積(図示せず)に対して横方向にずれて配置されるリザーバー容積(図示せず)を備える。第1及び/又は第2のレンズ6、7のリザーバー容積及びレンズ容積は、直接に流体的に接続されているか、又は、例えば、リザーバー容積とレンズ容積とを隔てる第3の膜を用いて連絡可能な方法で接続されている。
【0153】
リザーバー容積は、変形可能な壁部63、73で覆われており、この実施例では、壁部材63、73は、弾性的に変形可能な膜61、71によって形成されている。
【0154】
膜61、71は、膜61、71を円周の様式で囲むレンズ成形デバイスと接続されており、膜61、71が光軸100を中心に対称的に膨らんだり曲がったりすることが可能である。
【0155】
変形可能な壁部63、73は、容器壁66、76に接続されている。変形可能な壁部63、73は、膜61、71と同じ側に位置している。変形可能な壁部材63、73上には、アクチュエータピストン(図示せず)によって移動するように構成されたプッシャープレート(図示せず)が配置されている。プッシャープレートは、変形可能な壁部材に接着され得る。
【0156】
アクチュエータのピストンがプッシャープレートをリザーバー容積に向かって押す場合、変形可能な壁部材63、73がリザーバー容積に向かって膨らむことで、前記容積が縮小する。それに応じて、膜61、71には、膜61、71をレンズ容積の外側に駆動する力が発生し、これにより、第1及び/又は第2のレンズ6、7の焦点距離が調整される。
【0157】
組み立てられた状態又は組み立て中に、第1のレンズ6及び第2のレンズ7は、レンズ鏡筒2の横方向に配置されたスロット24、25を介してレンズ鏡筒2に挿入される(例えば、
図2を参照)。これにより、第1及び第2のレンズ6、7、光学要素積層体51、52、イメージセンサ9、及び折り返しミラー4の独立かつ迅速な組み立てを可能にする。
【0158】
レンズ鏡筒2は、埃、湿気、及び光、並びに他の環境的な影響からの保護を提供する。レンズ鏡筒2は、ハウジングとして形成され、光学システム1の光学要素3を保持かつ固定するように構成されている。レンズ鏡筒2は、組み立てられた光学要素3に安定性を与えるための、光学システム1の堅くかつ剛性の構成要素である。
【0159】
第1及び第2のレンズ6、7の容器62、72のリザーバー容積の横方向のシフトのため、アクチュエータ68、78はレンズ鏡筒2の外側に配置されている。このレイアウトにより、第1及び第2のレンズ6、7の光学的に活性な領域、すなわち、膜61、71、レンズ容積及び透明な底部67、77の間の熱分離の改善をもたらす。それぞれのアクチュエータ68、78によって発生した熱は、より効率的にレンズ鏡筒2の外部に放散することができ、第1及び/又は第2のレンズ6、7の光学活性領域に直接的に合うことはない。
【0160】
容器62、72の特定のレイアウトにより、第1及び第2のレンズ6、7の光学活性領域の熱的隔離が改善されることで、よりコンパクトで堅牢な光学システムを実現することができる。
【0161】
光学システム1の折り返しミラー4は、光学的画像安定化のための作動式折り返しミラーである。
【0162】
図2に見られるとおり、第1及び第2のレンズ6、7は、アクチュエータ68、78なしに第1及び第2のスロット24、25に挿入され、これにより簡略化された組み立てが可能となっている。
【0163】
組み立て中、システム1の光軸100は、重力ベクトルに沿って特に配向され、重力のたるみを最小限に抑え、光学システム1をその名目性能に近づけさせる。
【0164】
第1及び第2のレンズ6、7、並びにレンズシステム5の最終的なアライメントは、レーザー又はオプトセントリック(optocentric)デバイス及び多軸ステージシステムによって行うことができる。
【0165】
第1及び第2のレンズ6、7は、接着剤でレンズ鏡筒2に接着される。第1及び第2のレンズ6、7用のスロット24、25は、専用の接着剤ポケット及び境界面26を有し、これに第1及び第2のレンズ6、7を止めさせて、共に接着する。
【0166】
レンズ鏡筒2は、プラスチック又は金属から、例えば、射出成形、機械加工、例えば、EDM、付加造形などによって作製することができる。
【0167】
図3は、複数の固体レンズ53を備える光学要素積層体51、52の分解斜視図である。各レンズ53は、レンズ53を接合するための少なくとも1つの接触部56を有する一体的に形成された縁部55を備える。前記積層体の左側及び右側の2つの固体レンズ53はそれぞれ、光軸100に向かって、かつ中央に配置されるレンズ53に向かって傾斜した接触表面57を有する1つの接触部56を備える。中央のレンズは、2つの接触部56及び2つの接触表面57を備える。接触表面57は、左右のレンズ53の接触表面57に対して相補的な表面57を形成するように、光軸100に対して傾斜している。このように、3つのレンズ53の組み立て状態では、レンズ53は接触表面57で接合し、接触表面57で共に接着される。接触表面57が円錐形に傾斜しているため、3つのレンズ53が接触部56で接触される場合、自己センタリングする。この組み立ては、例えば、レンズ53が自動的に整列するように、振動する加振装置上にレンズ53を垂直に積層することによって容易に行うことができる。
【0168】
光軸100の外側に面し、かつレンズ鏡筒2の方に面している縁部55の平坦な領域28は、例えば接着剤によって積層レンズ53をレンズ鏡筒2に固定するために使用することができる。
【0169】
図4Aは、組み立てられた状態の光学要素積層体51、52を示しており、前記積層体51、52は、レンズ53だけでなく、スペーサー要素54も備えている。
図4Bは、前記積層体の分解図である。積層体の全ての光学要素53、54は、前記積層体の他の光学要素53、54に対して光学要素53、54を自己整列させるために、その縁部55に接合し、かつ相補的な接触表面57を有している。
【0170】
見られるとおり、接合する2つの光学要素53、54の接触部56は、接着剤用の窪み57bを形成する。これらの窪み57bは、接着剤ポケットとも呼ばれ、接触表面57の間に放出し前記表面57を互いに接着するために、これらの窪み57bに接着剤を供給することができる。
【0171】
これらの窪み57bは、積層体51、52を組み立てた状態でも外部から利用可能であり、これにより、積層体の組み立てを迅速かつ簡単に行うことができる。そのため、積層体はレンズ鏡筒2の外側で組み立てて接着することも、又は内側で組み立てて接着することも可能である。このため、レンズ鏡筒2には、接着剤を供給するための所定の開口部29を備えていることもある。
【0172】
この実施例で示されたスペーサー54及びレンズ53の特定の組み合わせは、接合する光学要素3、53、54から形成される窪み57bの一般的な原理を限定するものではないことを明示しておく。
【0173】
図5は、レンズ鏡筒2の内部で組み立てられた光学要素積層体を示している。レンズ鏡筒2の方に面している平坦な領域28は、光学要素53をレンズ内側鏡筒壁27に接着するために使用できることがわかる。
【0174】
さらに、レンズ鏡筒2の第2の開口部22’の側では、レンズ鏡筒2は、その内側に光軸100に垂直な方向を向いた接触表面を有している。右端の光学要素53rがレンズ鏡筒2の接触表面にて停止させることができるように、右端の光学要素53rはまた、光軸100に対して垂直に延在する接触表面57aを有する接触部56を有している。この形状により、特にレンズ鏡筒2での光学要素積層体の光軸100に沿った自己アライメントが可能となる。例えば、イメージセンサ9が第2の開口部22’に所定の距離にて配置されるために、レンズ鏡筒2内の光軸100に沿ったレンズの位置もまた非常に重要である。右端の光学要素53rはまた、上述したように接合する光学要素53を自己整列させるように、接合する光学要素53に面する側に傾斜した接触表面57を有している。
【0175】
図6は、円形の光学要素3をレンズ鏡筒2の内部で特定の方向に固定するように構成されているレンズ鏡筒2の3つの方位角的な平坦部27aを示す。この形状は、完全に円形の鏡筒壁27の形状とは異なり、光学要素3と鏡筒2の接触領域が明確に規定されるという利点がある。
【0176】
平坦部27aは、レンズ鏡筒2の横断面の残りの輪郭により整列する円の割線である。
【0177】
レンズ鏡筒2は、外側輪郭(この実施例では長方形)とは異なる内側断面(ここではほぼ円形)を有し、レンズ鏡筒2に高い剛性を提供することができることもわかる。
【0178】
図7は、固体レンズ53に取り付けられた開口要素59aを有する組み立てられた光学要素積層体の概略的横断面図を示す。レンズ53は、光軸100に垂直に延在するリング状領域58を有する。この領域58は、光軸100に沿って互いに近接して配置する必要のある2つのレンズ53の間に薄いアパーチャー59aを配置して接着するために使用され、ここでアパーチャー要素59aは、接触部56を有する別個の光学要素3として形成することができない。
【0179】
このようなアパーチャー59aは、光学要素積層体の組み立てに先立って、レンズ53に取り付けられる。
【0180】
図8は、等間隔に配置された第1及び第2のレンズ6、7を有する光学ズームシステム1の概略的な分解横断面図である。このようなズームシステム1は、
図1に示した光学システム1の特別なケースである。したがって、
図1で既に説明した要素及び特徴はここでは繰り返さない。
【0181】
光学ズームシステム1では、イメージセンサ9、第1及び第2のレンズ6、7が、互いに所定の距離で配置されている。第1のレンズ6は、光軸に沿った第1の所定の距離101aに配置されており、第2のレンズ7は、イメージセンサ9に対して光軸に沿った第2の距離に配置されており、第2の距離101bは、第1の所定の距離101aの2倍の大きさである。そのため、レンズ鏡筒のスロット(図示せず)がレンズ鏡筒2上にそれに応じて配置される。
【0182】
レンズ6、7をイメージセンサ9に対してこれらの特定の距離101a、101bに配置することで、同じ種類のアクチュエータを使用することが可能である。
【0183】
ズームシステム1は、第1の固体レンズに近接してアパーチャーストップ59aを有している。これにより、コンパクトなズームシステムを実現している。
【0184】
図9は、接着剤を適用するための穴29を有するレンズ鏡筒2を概略的に切断したものを示す。穴29は、光学要素3、53、54の縁部55の平坦な領域28の上に配置されている。このように、穴29に提供される接着剤が穴29から染み出して、レンズ内側鏡筒壁27と光学要素3、53、54の平坦な領域28との間を伝わり、その結果、光学要素3、53、54をレンズ鏡筒2に固定することができる。
【0185】
埃及び湿気から保護するように、接着剤を適用した後、穴29を適切な布又は化合物で覆うことができる。
【0186】
図10は、アクチュエータ68、78の光学システム1への組み立て工程を示す。レンズシステム5をレンズ鏡筒2に設け、固定した後、第1及び第2のレンズ6、7は、第1及び第2のスロット24、25から挿入される。
【0187】
変形可能な壁部材63、73を備える第1及び第2のレンズ6、7の容器の部分は、レンズ鏡筒2の外側にある。
【0188】
レンズ鏡筒2は、中空の矢印で示す横方向の移動によって第2の位置においてアクチュエータ68、78を受け入れるように構成されたガイド切り欠き21を備え、アクチュエータ68、78は、ガイド切り欠き21に接合するように設計された部分を有する。
【0189】
嵌合ゾーンとも呼ばれる第2の位置から、アクチュエータは、第3の位置で第1及び第2のレンズ6、7の変形可能な壁部材63、73と接合して係合する(すなわち嵌合する)できるように、システムのガイド切り欠き21によって光軸100に対して平行(中空の矢印で示す)に移動させることができる。第3の位置でのみ、アクチュエータピストンと、変形可能な壁部材63、73又は壁部材63、73に配置されたプッシャープレートとの間で接触が行われる。
【0190】
第3の位置では、アクチュエータ68、78を光学システム1にロックしたり、又はレンズ鏡筒2及び/又は第1及び第2のレンズ6、7にそれぞれ接着したりすることができる。
【0191】
これにより、異なるアクチュエータ、及び/又は調整可能なレンズ、及び/又はレンズシステムを持つ複数の異なる光学システムを組み立てることが可能である。迅速かつ容易に組み立てることができるモジュール式光学システムが作成される。これは、本発明の新規かつ有利な態様である。
【0192】
したがって、第1及び/又は第2のレンズ6、7、レンズ鏡筒2、及びアクチュエータ68、78は、機械的な衝撃に強い、特に剛性のシステムを形成している。
【0193】
アクチュエータ68、78は、システム1の光軸100に平行な作動力を適用するように構成されている。
【0194】
変形可能な壁部材63、73は、光軸100に平行な作動力を受けるように構成されている。
【0195】
折り返しミラー4をレンズ鏡筒2に対して正しい位置に配置するために、レンズ鏡筒2は、光軸100に沿って面する側面に、嵌合ピン23及び/又は嵌合穴23を備えている(例えば
図11参照)。
【0196】
折り返しミラー4は、折り返しミラー4を鏡筒2に対して所定の向き及び位置に配置するように構成された対応する嵌合穴23及び/又は嵌合ピン23を備えている。嵌合ピン23及び嵌合穴23には、接着剤が提供されることができる。これにより、光学システム1への折り返しミラー4の簡単な組み立てを可能にする。
【0197】
図12は、クランプデバイス8(破線)を備える光学システム1の概略的横断面図である。クランプデバイス8は、レンズ鏡筒2に対して、特に光軸100に沿ってクランプ力を及ぼし、それ故更なる安定性を提供する。
【0198】
クランプデバイス8は、埃及びその他の外部影響に対する保護を提供するようにハウジングとして形成することができる。