(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】ロータブレードの周囲にシュラウドリングを有するタービン、及びタービン内の作動流体の漏出を制限する方法
(51)【国際特許分類】
F01D 11/14 20060101AFI20230525BHJP
F02C 7/28 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
F01D11/14
F02C7/28 A
(21)【出願番号】P 2021541683
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2020025031
(87)【国際公開番号】W WO2020151925
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】102019000001173
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】アスティ、アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】トンアレッリ、レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】マルケッティ、シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンティーレ、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】フェデリギ、エンリコ
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-250304(JP,A)
【文献】特開昭56-134561(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0045312(US,A1)
【文献】国際公開第2004/033755(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0150730(US,A1)
【文献】特開2006-348942(JP,A)
【文献】特表2015-537139(JP,A)
【文献】特開2018-159301(JP,A)
【文献】特開2010-261450(JP,A)
【文献】特開2015-200319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 11/00-11/24
F01D 5/00- 5/34
F01D 9/00- 9/06
F01D 25/26
F02C 7/28
F04D 29/52-29/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ(210)と、ステータ(260)と、シュラウドリング(250)と、
複数の半径方向に配向された装置(280-1、280-2、280-3、280-4)と、を備えているタービンであって、
前記ロータ(210)が、ロータブレード(213-1)の少なくとも1つのアレイを備え、
前記シュラウドリング(250)が、前記ロータブレード(213-1)のアレイの周囲に延在し、
前記ステータ(260)が、前記シュラウドリング(250)の周囲に延在しているケーシング(261)を備え、
前記シュラウドリング(250)が、10μm/m/℃よりも低い熱膨張係数を有する材料で作製されているか、又は含有し、
前記ロータ(210)及び/又は前記ステータ(260)が、前記シュラウドリング(250)の熱膨張係数よりも高い熱膨張係数を有する1種以上の材料で作製され、
前記シュラウドリング(250)が
、スリーブの形態の第1の環状の内側部(251)と、フランジの形態の第2の環状外側部品(254)とを備え、前記第2の環状外側部品(254)が複数の凹部を有し、
前記ケーシング(261)が複数の凹部を有し、前記ケーシング(261)の各々の前記凹部が前記
第2の環状外側部品(254)の対応する前記凹部に対向するように設けられ、
前記タービンの動作中に前記ケーシング(261)が熱膨張及び/または収縮した場合に、前記ケーシング(261)と前記シュラウドリング(250)との間の半径方向距離が変化可能であるとともに、前記シュラウドリング(250)と前記ケーシング(261)との間の相対角度位置が実質的に固定されるように、各々の前記装置が、前記
第2の環状外側部品(254)の対応する凹部内を、及び/又は前記ケーシング(261)の対応する凹部内を半径方向に摺動するように配設され
、
前記第2の環状外側部品(254)の軸方向両側端部が、前記タービンの動作中に、前記シュラウドリング(250)と前記ケーシング(261)との間の相対軸方向位置が実質的に固定されるように前記ケーシング(261)に位置決めされている、タービン。
【請求項2】
前記第2の環状外側部品(254)の一方の軸方向端部が、前記ケーシング(261)に設けられた第1の環状フランジ(272)によって位置決めされる、請求項1に記載のタービン。
【請求項3】
前記第2の環状外側部品(254)の他方の軸方向端部が、前記ケーシング(261)に支持されるワッシャ(277)によって位置決めされる、請求項
2に記載のタービン。
【請求項4】
前記装置(280)がキーである、請求項1から3のいずれか1項記載のタービン。
【請求項5】
前記装置(280)が、前記ケーシング(261)に固定され(282)、前記
第2の環状外側部品(254)の対応する凹部(255)内を半径方向に摺動するように配設されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のタービン。
【請求項6】
前記シュラウドリング(250)が、内部領域(252)に摩耗性材料の層(253)を備えている、請求項1から5のいずれか1項に記載のタービン。
【請求項7】
前記アレイの前記ロータブレード(213)のうちの1つ以上が、先端領域(214)に摩耗材料の層(215)又は摩耗材料の装置を備えている、請求項6に記載のタービン。
【請求項8】
前記シュラウドリング(250)が、8μm/m/℃よりも低い熱膨張係数を有する材料で作製されているか、又は含有している、請求項1から7のいずれか1項に記載のタービン。
【請求項9】
前記シュラウドリング(250)が、合金材料又はセラミック材料で作製されているか、又は含有している、請求項1から8のいずれか1項に記載のタービン。
【請求項10】
前記ロータ(210)及び前記ステータ(260)が、1種以上の金属材料で作製されている、請求項1から9のいずれか1項に記載のタービン。
【請求項11】
前記シュラウドリング(950)が、前記ロータブレード(913-1、913-2)の2つ以上のアレイの周囲に延在している、請求項1から10のいずれか1項に記載のタービン。
【請求項12】
前記ステータが、ベーン(967-2)の少なくとも1つのアレイを備え、前記ベーン(967-2)が、前記シュラウドリング(950)に嵌合され、軸方向に離間して位置する2つの前記ロータブレード(913-1、913-2)のアレイの間に配置されている、請求項11に記載のタービン。
【請求項13】
ガスタービン又は蒸気タービンである、請求項1から12のいずれか1項に記載のタービン。
【請求項14】
タービンの作動動作中の、前記タービン内のロータ(210)とステータ(260)との間の作動流体の漏出を制限する方法であって、前記タービンが、ロータブレード(213-1)のアレイを有する少なくとも1つのロータホイール(212-1)と、前記ロータブレード(213-1)のアレイの周囲に延在しているステータケーシング(261)と、を備え、前記ステータケーシング(261)が、前記ステータケーシング(261)の温度に依存する半径方向サイズを有し、前記ロータホイール(212-1)が、前記ロータホイール(212-1)の温度に依存する半径方向サイズを有し、前記方法が、
シュラウドリング(250)を配設するステップであって、前記シュラウドリング(250)が、前記シュラウドリング(250)の温度から実質的に独立した半径方向サイズを有する、配設するステップ(1320)と、
前記ロータブレード(213-1)のアレイと前記ステータケーシング(261)との間で、前記ロータホイール(212-1)の周りに同心状に前記シュラウドリング(250)を位置決めするステップ(1350)と、
前記シュラウドリングの温度と前記ステータケーシング(261)の温度から独立して結合が維持されるように、かつ、前記シュラウドリング(250)と前記ステータケーシング(261)との間の半径方向移動を可能に、前記シュラウドリング(250)を前記ステータケーシング(261)と複数のキー(280)を介して機械的に結合させるステップ(1360)と、を含み、
前記シュラウドリング(250)が
、スリーブの形態の第1の環状の内側部(251)と、フランジの形態の第2の環状外側部品(254)とを備え、前記第2の環状外側部品(254)が複数の凹部を有し、
前記ステータケーシング(261)が複数の凹部を有し、前記ステータケーシング(261)の各々の前記凹部が前記
第2の環状外側部品(254)の対応する前記凹部に対向するように設けられ、
前記タービンの動作中に前記ステータケーシング(261)が熱膨張及び/または収縮した場合に、前記ステータケーシング(261)と前記シュラウドリング(250)との間の半径方向距離が変化可能であるとともに、前記シュラウドリング(250)と前記ステータケーシング(261)との間の相対角度位置が実質的に固定されるように、前記複数のキー(280)の各々が、前記
第2の環状外側部品(254)の対応する凹部内を、及び/又は前記ステータケーシング(261)の対応する凹部内を半径方向に摺動するように配設され、
前記第2の環状外側部品(254)の軸方向両側端部が、前記タービンの動作中に、前記シュラウドリング(250)と前記ステータケーシング(261)との間の相対軸方向位置が実質的に固定されるように前記ステータケーシング(261)に位置決めされ、
前記タービンの作動温度において、前記アレイの前記ロータブレード(213-1)の先端領域(214)が、前記シュラウドリング(250)の内部領域(252)に近接又は接触する、方法。
【請求項15】
前記シュラウドリング(250)の内部領域(252)に摩耗性材料の層(253)を配設するステップ(1330)と、
前記アレイの前記ロータブレード(213-1)の先端領域(214)に摩耗若しくは材料の層(215)、又は摩耗材料の装置を配設するステップ(1340)と、を更に含み、
前記タービンの作動温度において、前記先端領域(214)又は前記摩耗材料の装置が、前記内部領域(252)の中へ部分的に入り込む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記シュラウドリング(250)が、10μm/m/℃よりも低い熱膨張係数を有する材料で作製されているか、又は含有し、前記ロータ(210)及び/又は前記ステータ(260)が、前記シュラウドリング(250)の熱膨張係数よりも高い熱膨張係数を有する1種以上の材料で作製されている、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の環状外側部品(254)の一方の軸方向端部が、前記ステータケーシング(261)に設けられた第1の環状フランジ(272)によって位置決めされる、請求項14から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の環状外側部品(254)の他方の軸方向端部が、前記ステータケーシング(261)に支持されるワッシャ(277)によって位置決めされる、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する主題は、一般に、タービンに関し、より具体的には、タービンのロータブレードの周囲に新しいシュラウドリングの一実施形態を有するガスタービン及び蒸気タービンに関し、並びに、タービン内の、具体的にはタービン内のロータブレードの先端部の周囲の作動流体の漏出を制限する新しい方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、機械の動作中に流路内に流れる、空気などの作動流体を処理するように設計された機械であり、具体的には、ガスタービンは、流動作動流体からの運動エネルギーを機械のロータに伝達し、したがって、そのロータを回転させる。
【0003】
タービン効率は、出力された機械ロータ動力と、入力された機械作動流体動力との比として定義することができる。タービン効率は、タービンの作動動作中のロータブレードの先端部で生じる作動流体の漏出によって悪影響を受ける。
【0004】
図1は、既知の(高温ガス)タービン100の非常に概略的な断面図を示す。タービン100は、ロータ110と、ステータ160と、を備える。ロータ110は、シャフト111と、シャフト111に固定された例えば3つのホイール112と、を備え、第1のホイール112-1は、(第1の膨張段に対応する)ブレード113-1の第1のアレイを有し、第2のホイール112-2は、(第2の膨張段に対応する)ブレード113-2の第2のアレイを有し、第3のホイール112-3は、(第3の又は最終膨張段に対応する)ブレード113-3の第3のアレイを有する。ステータ160は、シェル161を有するケーシングと、作動流体を入口ILから出口OLへと指向する内部環状流路と、を備える。環状流路は、ステータ外壁165及びステータ内壁169によって画定され、その内部には、ロータブレードのアレイ(
図1では、例えば、ロータブレード113-1、113-2、及び113-3の3つのアレイが存在する)及びステータベーンのアレイ(
図1では、例えば、ステータベーン167-1、167-2、167-3、及び167-4の4つのアレイが存在する)が提供されている。ステータ外壁165(直接的及び/又は間接的に共に接合されたいくつかのリングで作製され得る)は、例えば環状部材を通してシェル161に固定されており、
図1では、例えば、2つの環状要素163-1及び163-2が存在する。ステータ内壁169(いくつかのリングで作製される)は、例えばベーンのアレイを通して外壁165に固定されており、
図1では、例えば、例えばベーン167-1、167-2、167-3、及び167-4の4つのアレイを通して外壁165にそれぞれ固定された4つの内壁リングが存在する。ロータ160は、ステータ110に回転可能に結合されている。この目的のために、
図1では、各々が内壁リングとシャフトとの間に位置決めされた2つのベアリング190-1及び190-2が存在する。
【0005】
しかしながら、
図1の高温ガスタービンでは、ロータブレード113-1、113-2、113-3の先端部とステータ外壁165との間の隙間に作動流体の漏出が生じることがあり得るが、この隙間は、タービンの動作中の接触を回避し、したがって、外壁(固定されている)及びブレード(回転する)両方への損傷を回避する。隙間のサイズを適切に選択することによって、あらゆる動作条件において接触(したがって損傷)が回避され得る。
【0006】
米国特許第4,784,569号は、(高温ガス)タービン内の漏出を制限するためのソリューションを提供している。このソリューションによれば、ロータブレードの先端部の周囲に適切に成形されたシュラウドリングは、効率的なエネルギー抽出のために大部分の作動流体がブレードの間を通過し、かつブレードの外周を通過することによる損失が殆どないように、満足なガスシールを提供する。しかしながら、作動温度における(高温ガス)タービンでは、任意のシュラウドリングは、変形し(例えば、半径方向内向き又は外向きに湾曲し)、このような変形は、シュラウドリングとブレードとの間に接触による損傷を生じさせ得る。上記569号特許のシュラウドリングは、それが熱的に変形するが、ブレードからの運転隙間を維持するように成形されている。したがって、このタイプのシュラウドリングに関しては、依然として作動流体の漏出が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、タービンの作動動作中にロータブレードの外周を通じた漏出が少ない、更には漏出しない(したがって、ロータブレードの先端部とシュラウドリングの表面との間に、従来の技術及び設計によって可能であった、又は想到されたよりも少ない隙間を有する(ゼロ隙間を含む))、かつ接触による損傷を殆ど又は全く伴わない、新しいタービンを作成することが望ましく、具体的には、ステータとの接触によるロータブレードの損傷を回避することが望ましく、A)ブレードが全速力で回転し、ロータ及びステータが高温であるときの作動動作条件時だけでなく、B)ブレードが低速で回転し、かつロータ及びステータがどちらも低温であるときの起動及び停止時、C)ブレードがそれらの速度を上昇させたときにロータが高温で、かつステータが低温であるランプアップ中、D)ブレードがそれらの速度を減少させたときにロータが低温で、かつステータが高温であるランプダウン中においても、ステータとの接触によるロータブレードの損傷を回避することが望ましい。
【0008】
一態様によれば、本明細書で開示する主題は、ロータと、ステータと、シュラウドリングと、を備えるタービンに関し、ロータは、ロータブレードの少なくとも1つのアレイを備え、シュラウドリングは、ロータブレードのアレイの周囲に延在し、ステータは、シュラウドリングの周囲に延在しているケーシングを備え、シュラウドリングは、ケーシングと移動可能に結合され、よって、タービンの動作中に、ケーシングが熱膨張及び収縮し、それによって、ケーシングとシュラウドリングとの間の半径方向距離を変化させることを可能にする。
【0009】
本発明は、ガスタービン(具体的にはその第1の膨張段、より具体的にはその第1の膨張段)に適用するために考案されたが、蒸気タービンにも良好に適用され得る。
【0010】
別の態様によれば、本明細書で開示する主題は、タービンの作動動作中のタービン内のロータとステータとの間の作動流体の漏出を制限する方法に関し、タービンは、ロータブレードのアレイを有する少なくとも1つのロータホイールと、ロータブレードのアレイの周囲に延在しているステータケーシングと、を備え、ステータケーシングは、その温度に依存する半径方向サイズを有し、ロータホイールは、その温度に依存する半径方向サイズを有し、本方法は、シュラウドリングを配設するステップであって、シュラウドリングが、シュラウドリングの温度から実質的に独立した半径方向サイズを有する、配設するステップと、ロータブレードのアレイとステータケーシングとの間で、ロータホイールの周りに同心状にシュラウドリングを位置決めするステップと、シュラウドリングの温度から、かつケーシングの温度から独立して結合が維持されるように、シュラウドリングをケーシングと機械的に結合させるステップと、を含み、タービンの作動温度において、該アレイのロータブレードの先端領域が、シュラウドリングの内部領域に近接又は接触する。
【0011】
以下により良好に説明するように、ステータケーシングは、加熱されたときに膨張し、かつ冷却されたときに収縮する、1種以上の材料、典型的には金属材料で作製され、したがって、このようなステータケーシングは、加熱されたときにその半径方向サイズを含むそのサイズが増加し、かつ冷却されたときにその半径方向サイズを含むそのサイズが減少する。反対に、新しいシュラウドリングは、加熱されたときに殆ど膨張せず、かつ、冷却されたときに殆ど収縮しない材料-例えば10μm/m/℃よりも低い熱膨張係数に由来する-で作製され、したがって、このようなシュラウドリングは、加熱されたときにその半径方向サイズを含むそのサイズが殆ど増加せず、かつ冷却されたときにその半径方向サイズを含むそのサイズが殆ど減少しない。
【0012】
以下により良好に説明するように、該アレイのロータブレードの先端領域がシュラウドリングの内部領域と接触したときに、いかなる接触による損傷も伴うことなく、軽度の摩耗だけしか生じないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の開示された実施形態、及びその付随する利点の多くのより完全な理解は、添付図面と関連して考慮されるときに、以下の詳細な説明を参照することによって、より良く理解されるように、容易に取得されるであろう。
【
図1】
図1は、従来技術のタービンの概略縦断面図を示す。
【
図2】
図2は、タービンの第1の実施形態の部分概略縦断面図を示す。
【
図3】
図3は、
図2のタービンのステータの部分概略縦断面図を示す。
【
図4】
図4は、
図2のタービンのロータの部分概略縦断面図を示す。
【
図5】
図5は、
図2のタービンのシュラウドリングの部分概略縦断面図を示す。
【
図6】
図6は、
図1のタービンのステータシェル、シュラウドリング、及びいくつかのキーのA-A断面図を示す。
【
図7】
図7は、第1の位置/条件での
図1のタービンのキーの部分拡大A-A断面図を示す。
【
図8】
図8は、第2の位置/条件での
図1のタービンのキーの部分拡大A-A断面図を示す。
【
図9】
図9は、第1の動作条件での
図1のタービンの部分概略縦断面図を示す。
【
図12】
図12は、タービンの第2の実施形態の部分概略縦断面図を示す。
【
図13】
図13は、タービン内の漏出を制限する方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(高温ガス)タービンが作動するときに、その構成要素は、実質的に一定の作動温度を有し、かつ維持する。この条件を考慮して、発明者らは、タービンの動作中にロータブレードの外周を通じた作動流体のいかなる漏出も存在しないように、タービン部品の形状及びサイズを理想的に選択することが可能であることを発見した。実際に、以前のタービン設計とは異なり、タービンロータブレードの先端部(例えば、
図1のブレード113-1、113-2、及び113-3を参照されたい)と、ロータブレードの周囲に延在しているステータ部材、例えば固定シュラウドリング(例えば、
図1の外壁165を参照されたい)との間の隙間がゼロであることが発見されている。このようにして、作動条件においてタービン効率が最大となり、望ましい。
【0015】
タービンのランプアップ中に、タービン構成要素の温度が大きく変化し、正確には、例えば、100~400℃の温度上昇が存在し得る。各タービン部品は、異なる温度上昇を受け、その温度上昇があらゆる場所で同時に生じず、概して、タービンロータが最初に高温になり、次いで、タービンステータが高温になることに留意されたい。
【0016】
タービンのランプダウン中には、対応する温度の低下が生じるが、この場合は、最初にタービンロータが低温になり、次いで、タービンステータが低温になる。
【0017】
タービン部品の温度が変化すると、そのサイズが変化し、具体的には、温度の上昇がサイズ増加に対応し、温度の低下がサイズ減少に対応する。
【0018】
上述した理想的な選択が行われた場合、タービンの起動及び停止時に、ロータブレードの先端部と周囲のステータ部材との間の隙間は、ゼロであるか、又は小さく、正である。
【0019】
しかしながら、上述した理想的な選択が行われた場合、タービンブレードは、少なくとも1つのタービンホイールがそのブレードと共に、周囲のステータ部材よりも先に、熱膨張するので、タービンのランプアップ中に、それらの周囲に延在しているステータ部材と接触することになり、その結果、ブレード及び部材に損傷が生じる。
【0020】
起動、停止、ランプアップ、及びランプダウン時のタービンロータブレードの外周を通じた作動流体の漏出は、作動動作段と比較した場合に、これらの動作段の持続時間が比較的短いので、全体的なタービン効率に対する影響がごくわずかであることが認識されている。
【0021】
本明細書に開示するように、新しいタービンは、ロータが高温であるときに漏出が少ないか、又は存在しないように配設され、したがって、具体的には作動条件において、すなわちタービンの作動中に、高い効率は達成される。この目的のために、シュラウドリングは、少なくとも1つのタービンロータブレードのアレイの周囲に位置決めされ、ロータが高温であるときに満足な作動流体シールを提供する。このようなシュラウドリングは、タービンステータと堅固に結合されず、ステータとの、具体的にはタービンケーシングとのシュラウドリングの機械的結合は、シュラウドリングの位置に影響することなく、したがって、タービンのあらゆる動作条件において漏出を伴うことなく、ケーシングが熱膨張する(及び収縮する)ことを可能にする。シュラウドリング(例えば、
図7の部材250を参照されたい)及びタービンケーシング(例えば、
図7の部材261を参照されたい)は、一組のキー(例えば、
図7の部材280-1、280-2、280-3、280-4を参照されたい)を通して、半径方向に摺動可能に結合され得る。
【0022】
好ましくは、新しいタービンのシュラウドリングは、その温度から実質的に独立したサイズを有する。最初に、ロータが低温であるとき、ロータとリングとの間の隙間には、いくらかの漏出が存在し、この段では、ステータは、低温であり、ロータと結合されている。例えば、
図9を参照されたい。その後、ロータが高温になると、ロータが膨張し、隙間がゼロまで、又はほぼゼロまで減少し、その結果、漏出もまたゼロまで、又はほぼゼロまで減少し、この段で、ステータは、まだ低温であり、ロータと結合されている。例えば、
図10を参照されたい。最後に、ロータは、高温になり、膨張して、隙間並びに漏出は、ゼロ又はほぼゼロのままであり、この段で、ステータは、高温になり、かつ膨張するが、ロータと結合されたままである。例えば、
図11を参照されたい。
【0023】
本発明は、ガスタービン(具体的にはその第1の膨張段、より具体的にはその第1の膨張段)に適用するために考案されたが、蒸気タービンにも良好に適用され得る。
【0024】
ここで、本開示の実施形態が詳述されると、その1つ以上の実施例が図面に示されている。各実施例は、本開示を限定するものではないが、本開示の説明によって提供される。実際に、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、本開示において様々な変更及び変形が行われることができることが、当業者にとって明らかであろう。本明細書全体を通して「一実施形態」又は「実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所における「一実施形態では」又は「実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。更に、特定の特徴、構造又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わされてもよい。
【0025】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であり、挙げられた要素以外に更に要素があってもよいと意味することを意図している。
【0026】
ここで、図面を参照すると、
図2~
図8の図は、新しいタイプのシュラウドリングと共に構成された(高温ガス)タービンの同じ第1の実施形態の異なる図である。具体的には、これらの図は、タービンの第1の膨張段の図である。しかしながら、同じソリューション又は同様のソリューションが、タービンの任意の膨張段で使用され得る。更に、同じソリューション又は同様のソリューションが、タービンのいくつかの膨張段で使用され得る。
【0027】
この第1の実施形態と以前のタービンとの間の違いは、
図1のタービン100の第1の膨張段(ブレード113-1に対応する)での構造と、
図2のタービン200の第1の膨張段(ブレード213-1に対応する)での構造とを比較することによって、より容易に理解され得、
図1及び
図2の対応する部材の参照番号は、100だけ異なり、よって、例えば、
図2の部材212-1が、
図1の部材112-1に対応することに留意されたい。
【0028】
改善された及び発明性のある第1の実施形態のタービン200は、ロータ210と、ステータ260と、シュラウドリング250と、を備え、以前の教示とは異なり、新しいシュラウドリング250は、ステータ260と結合されるが、特定の移動の可能性があり、したがって、厳密に言えば、タービンステータの構成要素とみなされ得ない。
【0029】
ロータ210は、シャフト211に固定されたホイール212-1の構成要素である少なくとも1つのブレード213-1のアレイを備え、典型的に、ロータは、同じシャフトに固定されたいくつかのホイール(ブレードを有する)を備える。シュラウドリング250は、ブレード213-1のアレイの周囲に延在しており、第2の実施形態に関してより良好に説明するように、シュラウドリングは、ブレードの1つ、又は2つ、又は3つ以上のアレイの周囲に延在し得る。ステータ260は、シュラウドリング250の周囲に延在しているケーシングを備え、第1の実施形態によれば、ケーシングのシェル261は、シュラウドリング250の周囲に延在している。
【0030】
図2に関して、ロータブレード213-1のアレイは、ステータベーン267-1の第1のアレイの後にあり得、及び/又はその後にステータベーン267-2の第2のアレイが続き得る。流路は、ステータ外壁265及びステータ内壁269によって画定され、その内部には、少なくともロータブレード213-1のアレイ、及び場合により、ステータベーン267-1及び267-2のアレイが提供される。
図2の実施形態によれば、ベーン267-1は、外壁265の第1のリング及び内壁269の第1のリングに固定されており、ベーン267-2は、外壁265の第2のリング及び内壁269の第2のリングに固定されており、更に、外壁265の第1のリングは、シェル261と結合され、内壁269の第1のリングは、ベアリング290-1と結合されている。
図2の実施形態によれば、シュラウドリング250は、外壁265の第1のリングと外壁265の第2のリングとの間に軸方向に位置決めされる。
【0031】
第1の実施形態によるシュラウドリング250の幾何学的形状は、
図5からより良好に理解することができ、ロータ先端部の周囲からのゼロ又はほぼゼロの作動流体の漏出を提供するように構成されるのであれば、代替的な形状及び幾何学形状が可能である。シュラウドリング250は、スリーブの形態の第1の環状の内側部251(例えば、円筒形又は円錐形スリーブ)と、フランジの形態の第2の環状外側部品254と、を備え、第1の環状内側部251は、ブレード213-1の先端部(
図4の214)に作動流体シールを提供する役割を果たし、第2の環状外側部品254は、シェル261と、具体的には後述するシェル261の配設270(例えば、
図3を参照されたい)と結合する役割を果たす。
【0032】
シュラウドリング250(例えば
図6から分かるように、環状形状を有する)は、ケーシングと、具体的にはシェル261(例えば
図6から分かるように、環状形状を有する)と移動可能に結合され、よって、タービンの動作中(すなわち、起動から停止までの期間中)にケーシングが熱膨張及び収縮することを可能にし、それによって、それらの間の半径方向距離を変化させる。例えば
図6を考慮すると、シェル261及びシュラウドリング250は、同心円状で半径方向に離間されており、上述した結合は、同心性を維持しながら、シェルとリングとの間の(例えば、約0.5~約5.0mmの)半径方向距離の変化に適応することが可能である。
【0033】
シュラウドリング250とケーシングとの、具体的にはシェル261との間の結合は、ケーシングに対するシュラウドリング250の実質的にいかなる回転も可能にしない。実際に、ケーシングは、タービンの動作中(すなわち、起動から停止までの期間中)に、シュラウドリングとケーシングとの間の相対角度位置を実質的に固定するように構成されており、これに関して、シェル261の配設270の詳細な説明を続ける。
【0034】
シュラウドリング250とケーシングとの、具体的にはシェル261との間の結合は、ケーシングに対するシュラウドリング250の実質的にいかなる軸方向並進も可能にしない。実際に、ケーシングは、タービンの動作中(すなわち、起動から停止までの期間中)に、シュラウドリングとケーシングとの間の相対軸方向位置を実質的に固定するように構成されており、これに関して、シェル261の配設270の詳細な説明を続ける。
【0035】
シュラウドリング250及びケーシングは、具体的にはシェル261は、例えば
図6に示すように、部品に分割されるとみなされ得、このような分割は、共に接合された部材に、又は単純に、かつより典型的には、単一のピースの異なるゾーンに対応し得る。シュラウドリング250の部品250-1、250-2、250-3、250-4は、ケーシングのシェル261の対応する部品261-1、261-2、261-3、261-4と摺動可能に結合され、それによって、相対半径方向位置の変化を可能にする。
【0036】
このような半径方向摺動は、半径方向に配向された突出部を有するシュラウドリングの一部、及び対応する半径方向に配向された凹部を有するケーシングの一部に由来し得、突出部は、凹部内を摺動するように配設されている。
【0037】
あるいは、このような半径方向摺動は、半径方向に配向された突出部を有するケーシングの一部、及び対応する半径方向に配向された凹部を有するシュラウドリングの一部に由来し得、突出部は、凹部内を摺動するように配設されている。
【0038】
代替的に、好ましくは、図に示すように(具体的には、
図7及び
図8を参照されたい)、このような半径方向摺動は、少なくとも1つの半径方向に配向された装置(具体的には、キー280)に由来し得る。この装置、具体的にはキー280は、シュラウドリング250の、具体的には第2の環状外側部品254の凹部255(
図7及び
図8を参照されたい)内を、及び/又はケーシングの、具体的にはシェル261の凹部262(
図7及び
図8を参照されたい)内を半径方向に摺動するように配設されている。
【0039】
この最後の可能な変形例によれば、装置、特定のキー280が、ケーシングに、具体的にはシェル261に固定されることが好ましく、
図7及び
図8の実施形態では、キー280は、ねじ282を通してシェル261に固定される。この場合、装置、具体的にはキー280は、シュラウドリング250の対応する凹部255内を半径方向に摺動する(例えば、約1.0~約5.0mm)ように配設されており、更に、キー280と凹部255との間には、(例えば、約0.1~約0.2mmの)(制限された)周方向移動の特定の可能性が存在し、
図7及び
図8に関して、「半径方向」は、垂直を意味し、「周方向」は、水平を意味する。
【0040】
装置を通した結合が選択される場合は、典型的に、いくつかの装置が使用される。この場合には、例えば
図6に示すように、タービンは、複数の半径方向に配向された装置、具体的には複数のキーを備え、第1の実施形態によれば、4つのキー280-1、280-2、280-3、280-4が使用されるが、異なる数、例えば3~例えば16が可能である。この複数の装置の各々は、シュラウドリングの対応する凹部内を、及び/又はケーシングの対応する凹部内を半径方向に摺動するように配設されている。
【0041】
図2~
図8の図に示す第1の実施形態によれば、シュラウドリング250のフランジ254は、タービンのケーシングのシェル261の配設270と結合されるように配設されている。配設270は、第1の環状フランジ272と、環状リブ274と、環状ワッシャ277(配設が装着されるとき)を受容するための環状シート276と、第2の環状フランジ278と、を含み、半径方向凹部262は、環状リブ274内に形成されている。フランジ254は、(例えば、約0.2~約0.5mmの)(制限された)軸方向移動の特定の可能性を伴って、第1のフランジ272とワッシャ277の間に位置決めされており、ワッシャ277を適所に配置する前に、シュラウドリング250のフランジ254が適所に配置されることに留意されたい。
【0042】
シュラウドリング250は、好ましくは低CTE(=Coefficient of Thermal Expansion、熱膨張係数)、具体的には約10μm/m/℃よりも低い、好ましくは約8μm/m/℃よりも低い、より好ましくは約6μm/m/℃よりも低いCTEを有する材料で作製されるか、又は含有し、このようにして、そのサイズ、具体的にはその半径方向サイズは、その温度から実質的に独立している。シュラウドリング250は、合金材料又はセラミック材料で作製され得るか、又は含有し得る。
【0043】
反対に、ロータ210及び/又はステータ260は、それらの温度に依存するサイズ、具体的には半径方向サイズを有する。実際に、ロータ210及び/又はステータ260は、典型的に、高CTE、具体的には約10μm/m/℃よりも高い、具体的には約12μm/m/℃よりも高い、更に具体的には約14μm/m/℃よりも高いCTEを有する1種以上の材料で作製される。ロータ210及びステータ260は、1種以上の金属材料で作製され得る。
【0044】
図9及び
図10及び
図11を考慮すると、どのようにタービン構成要素がタービン200の動作中にそれらの半径方向サイズを変化させることができるかを理解することが可能であり、
図9は、ロータ210が低温であり、かつステータ260が低温であるときの可能な最初の条件に対応し、
図10は、ロータ210が高温であり(かつ膨張しており)、かつステータ260が低温であるときの可能なランプアップ条件に対応し、
図11は、ロータ210が高温であり(かつ膨張しており)、かつステータ260が高温である(かつ膨張している)ときの可能な作動条件に対応し、これらの3つの図のシュラウドリング250の形状、サイズ、及び位置は、同じであることに留意されたい。
図9では、ブレード213-1とシュラウドリング250との間に広い間隙G1-1が存在し、
図10では、ブレード213-1とシュラウドリング250との間に狭い間隙G1-2が存在し、
図11では、ブレード213-1とシュラウドリング250との間に狭い間隙G1-2が存在し(更には間隙が全く存在せず)、間隙G1は、ロータ210の、具体的にはホイール212-1の膨張により減少している。それに応じて、
図9では、シュラウドリング250、具体的にはフランジ254と、シェル261、具体的にはリブ274との間に、狭い間隙G2-1が存在し(
図7も参照されたい)、
図10では、シュラウドリング250、具体的にはフランジ254と、シェル261、具体的にはリブ274との間に、狭い間隙G2-1が存在し(
図7も参照されたい)、
図11では、シュラウドリング250、具体的にはフランジ254と、シェル261、具体的にはリブ274との間に、狭い間隙G2-2が存在し(
図8も参照されたい)、間隙G2は、ステータ260の、具体的にはシェル261の膨張により増加している。
【0045】
上で説明したように、ブレード213-1の先端領域214は、少なくともタービン200の作動動作条件において、シュラウドリング250の内部領域252に近接し得る。
【0046】
代替的に、及び有利には、ブレード213-1の先端領域214は、少なくともタービン200の作動動作条件において、シュラウドリング250の内部領域252と接触し得る。しかしながら、この場合、シュラウドリング250が、内部領域252に摩耗性材料の層253を備えること、及びブレード213が、それらの先端領域214に摩耗の層215(又は摩耗材料の少なくとも1つの装置)を備えることが好ましい。このようにして、層215が層253に接触すると、損傷を伴うことなく、軽度の摩耗がブレード及び/又はシュラウドリングに生じる。更に、この場合、少なくともタービン200の作動動作条件において、ブレード213-1の先端領域214は、シュラウドリング250の内部領域252の中へ部分的に入り込み、有利には、少なくともタービンの作動動作中に、具体的には少なくともブレードの外周を通じた作動流体のいかなる漏出も存在しない。
【0047】
図12は、第1の実施形態と同様であるタービン900の第2の実施形態に関する。この実施形態によれば、シュラウドリング950(1つ以上のピースで作製され得る)は、ロータブレード913-1(第1のホイール912-1の一部)及び913-2(第2のホイール912-2の一部)の2つのアレイの周囲に延在し、あるいは、シュラウドリングは、ロータブレードの3つ以上のアレイの周囲に延在し得る。シュラウドリング950は、例えば、フランジ954を通して、タービン900のステータケーシングのシェル961の配設970と結合される。シュラウドリング950の第1の部分951-1(円筒形又は円錐形スリーブの形態)は、ロータブレード913-1の第1のアレイの周囲に延在しており、一方で、シュラウドリング950の第2の部分951-2(円筒形又は円錐形スリーブの形態)は、ロータブレード913-2の第2のアレイの周囲に延在している。
【0048】
有利には、ベーン967-2のアレイは、シュラウドリング950に、具体的にはシュラウドリング950の第3の一部953(円筒形又は円錐形スリーブの形態)に嵌合される。ベーン967-2は、ステータベーンとみなされ得る。
【0049】
本発明は、ガスタービン(具体的にはその第1の膨張段、より具体的にはその第1の膨張段)に適用するために考案されたが、蒸気タービンにも良好に適用され得る。
【0050】
上の説明から明らかであるように、第1の実施形態、第2の実施形態、及び他の同様のタービンは、少なくともその作動動作中のタービン内のロータとステータとの間の漏出を制限する方法を実施する。
【0051】
図13は、少なくともタービンの動作中のロータブレード先端部からの作動流体の漏出を制限するための方法の一実施形態のフローチャート1300を示す。方法は、開始ステップ1310及び終了ステップ1390によって開始される。この実施形態は、タービンが、ロータブレードのアレイ及びロータブレードのアレイの周囲に延在しているステータケーシングを有する少なくとも1つのロータホイールを備え、更に、ステータケーシングが、その温度に依存する半径方向サイズを有し、ロータホイールが、その温度に依存する半径方向サイズを有することを前提としている。
【0052】
この実施形態によれば、本方法は、
-シュラウドリングを配設するステップであって、シュラウドリングが、シュラウドリングの温度から実質的に独立した半径方向サイズを有する、配設するステップ(ステップ1320)と、
-ロータブレードのアレイとステータケーシングとの間で、ロータホイールの周りに同心状にシュラウドリングを位置決めするステップ(ステップ1350)と、
-具体的にはシュラウドリング及び/又はケーシングに損傷を伴うことなく、シュラウドリングの温度から、かつケーシングの温度から独立して結合が維持されるように、シュラウドリングをケーシングと機械的に結合させるステップ(ステップ1360)と、を含み、
この方法によれば、少なくともタービンの作動温度において、ブレードの先端領域は、シュラウドリングの内部領域に近接(例えば、約0.1~約1.0mm)又は接触する。
【0053】
典型的に、上述した機械的結合は、シュラウドリングとケーシングとの間の半径方向移動を可能にする。
【0054】
シュラウドリングとケーシングとの間の機械的結合は、有利なことに、複数のキーを通して行われる。
【0055】
この実施形態によれば、本方法は、
-シュラウドリングの内部領域に摩耗性材料の層を配設するステップ(ステップ1330)と、
-ブレードの先端領域に摩耗若しくは材料の層、又は摩耗材料の少なくとも1つの装置を配設するステップ(ステップ1340)と、を更に含み得、
この場合、本明細書では、少なくともタービンの作動温度において、先端領域又は摩耗装置は、摩耗材料によって摩耗性層の摩耗を通してシュラウドリングの内部領域に部分的に入り込む。