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特許7285336メタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法及びメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】メタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法及びメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/90 20060101AFI20230525BHJP
   C07C 11/04 20060101ALI20230525BHJP
   C07C 11/06 20060101ALI20230525BHJP
   C07C 1/20 20060101ALI20230525BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230525BHJP
【FI】
B01J29/90 Z
C07C11/04
C07C11/06
C07C1/20
C07B61/00 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021563631
(86)(22)【出願日】2019-05-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-12
(86)【国際出願番号】 CN2019086394
(87)【国際公開番号】W WO2020227849
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジンリン
(72)【発明者】
【氏名】イエ,マオ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,チョンミン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ジビン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,タオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シャンガオ
(72)【発明者】
【氏名】タン,ハイロン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジン
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101844089(CN,A)
【文献】特開2008-080238(JP,A)
【文献】米国特許第09108892(US,B2)
【文献】特開昭58-030340(JP,A)
【文献】特表2017-533199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C07C 11/04
C07C 11/06
C07C 1/20
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生対象触媒を含有する再生領域に混合ガスを通入し、部分再生反応を行って再生触媒を得る工程を含み、
前記混合ガスには、水蒸気と空気とが含まれており、
前記再生触媒において、少なくとも一部の再生触媒のコークス含有量が1%より大きく、
前記混合ガスにおいて、水蒸気と空気との体積比範囲は、1:0.01~1:0.5であり、
前記部分再生反応において、前記混合ガスと再生対象触媒との接触時間は、10分間~200分間であり、
再生器に通入される前記混合ガスにおいて、水蒸気の空間速度は0.1h -1 ~10h -1 であり、空気の空間速度は0.01h -1 ~6h -1 である、ことを特徴とするメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法。
【請求項2】
前記混合ガスにおいて、水蒸気と空気との体積比範囲は、1:0.01~1:0.14である、ことを特徴とする請求項1に記載のメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法。
【請求項3】
少なくとも一部の前記再生触媒のコークス含有量は、1.1~8%である、ことを特徴とする請求項1に記載のメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法。
【請求項4】
少なくとも一部の前記再生触媒のコークス含有量は、2.8%~7.5%である、ことを特徴とする請求項1に記載のメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法。
【請求項5】
前記部分再生反応は、500℃~700℃の条件下で行われる、ことを特徴とする請求項1に記載のメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法。
【請求項6】
前記部分再生反応は、600℃~680℃の条件下で行われる、ことを特徴とする請求項1に記載のメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法。
【請求項7】
前記再生対象触媒のコークス含有量は、6%~14%である、ことを特徴とする請求項1に記載のメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法。
【請求項8】
流動床反応プロセスを採用するメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造する方法であって、
請求項1~7のいずれか1項に記載のメタノールからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法に従って、再生対象触媒を部分再生する、ことを特徴とするメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造する方法。
【請求項9】
メタノール及び/又はジメチルエーテルを含有する原料ガスを、メタノールからオレフィンを製造するための触媒を担持した流動床反応器に通入し、メタノールからオレフィンを製造する反応を行う工程と、
再生対象触媒を再生領域に送り、再生領域に前記混合ガスを通入し、部分再生反応を行って再生触媒を得る工程と、
前記再生触媒を前記流動床反応器に戻す工程とを含む、ことを特徴とする請求項8に記載のメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造する方法。
【請求項10】
前記メタノールからオレフィンを製造するための触媒には、シリコアルミノ燐酸分子篩が含まれている、ことを特徴とする請求項9に記載のメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、化学工業触媒分野に属し、メタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法及びメタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン、プロピレンは、国民経済の重要な基礎原料であり、石油化学と化学工業の発展において重要な戦略的地位を占めている。中国のエチレン生産原料は、ナフサを主とし、そのコストが比較的に高い。工業上、メタノールからオレフィンを製造する技術は、石炭から、SAPO系触媒を利用して流動床プロセスを用いて、高選択性の低炭素オレフィンの製造に成功した。しかし、SAPO系触媒は、一定時間の反応後、炭素堆積による不活化し、触媒の活性と選択性を回復するために、炭焼き再生を行う必要がある。
【0003】
従来技術において、メタノールからオレフィンを製造するための触媒の再生プロセスは、空気を主とした混合ガスを再生ガスとし、再生供給原料ガスにおける補助ガスの量を調節することで、再生プロセスの「温度暴走」又は「尾ガス燃焼」現象を防止する。
【0004】
しかし、このような方法では、大量温室効果ガスCOが発生するため、環境保護に不利であり、且つメタノール炭素原子の利用率が低下している。また、空気を利用して炭焼きを行うことにより、触媒に対して部分再生を行うと、その炭焼き速度が速く、触媒残留炭素含有量の管理に不利であり、操作プロセスの難しさを増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方面によれば、本出願は、メタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法を提供する。この方法は、水蒸気と空気との混合ガスを利用して、不活性化触媒を結合活性化し、再生対象触媒中の一部の堆積炭素を選択的に除去し、より良好なオレフィン選択性を有する部分再生メタノールからオレフィンを製造するための触媒を得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記メタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法であって、前記方法は、
再生対象触媒を含有する再生領域に混合ガスを通入し、部分再生反応を行って再生触媒を得る工程を含み、
前記混合ガスには、水蒸気と空気とが含まれており、
前記再生触媒において、少なくとも一部の再生触媒のコークス含有量が1%より大きい、ことを特徴とする。
【0007】
この方法は、空気と水蒸気を混合することにより、空気の流動性を利用して、活性部位付近の堆積炭素に対する水蒸気の選択性を向上させ、反応活性を向上させ、得られた部分再生触媒がより良い低炭素オレフィン選択性を有するとともに、良好なメタノール転化率を保持した。
【0008】
空気のみで再生する場合(又は空気含有量が高い場合)には、再生速度が速く、空気炭焼きにより触媒を部分再生すると、触媒残留炭素の性質が大きく変化し、コークスを含有する再生触媒の反応プロセスでの触媒作用が減弱し、低炭素オレフィン選択性は最大値に達することができなくなる。水蒸気のみで再生する場合には、触媒残留炭素の性質及び含有量は、温度、空間速度と時間などの条件を介して制御でき、それによって、生成物中の低炭素オレフィンの選択性を保証・向上させる。しかし、水蒸気の酸化性が弱すぎるため、比較的高い再生温度が必要であり、再生時間が長く、また、炭素堆積を起こしやすく、再生寿命が理想的ではない。
【0009】
具体的には、空気含有量が比較的低い水蒸気及び空気の混合ガスの作用下で、両雰囲気の優勢を同時に発揮し、劣勢を互いに補充することにより、従来の空気無選択性深度炭焼きプロセスで大量の温室効果ガスCOの発生を回避するとともに、部分再生後の触媒は、MTO反応生成物中のオレフィンの選択性を向上させ、MTOの経済性を向上させることができる。
【0010】
この方法により処理された触媒は、新品触媒又は完全再生の触媒に必要な誘導期を省略するか、又は短縮することができ、それによって、触媒を常に最適な性能状態に維持するとともに、触媒残留炭素の性質に対する管理により、低炭素オレフィンの割合を調整しコントロールすることができ、メタノールからオレフィンを製造することの経済性を向上させる。
【0011】
選択的に、前記混合ガスにおいて、水蒸気と空気との体積比範囲は、1:0.001~1:0.8である。
【0012】
好ましくは、前記混合ガスにおいて、水蒸気と空気との体積比範囲は、1:0.01~1:0.5である。
【0013】
さらに好ましくは、前記混合ガスにおいて、水蒸気と空気との体積比範囲は、1:0.01~1:0.14である。
【0014】
選択的に、前記部分再生反応において、前記混合ガスと再生対象触媒との接触時間は、10分間~200分間である。
【0015】
選択的に、少なくとも一部の前記再生触媒のコークス含有量は、1.1~8%である。
【0016】
好ましくは、前記再生器にて部分再生反応を行って得られた前記再生触媒のコークス含有量は、2.8%~7.5%である。ここで、前記再生触媒のコークス含有量とは、再生触媒全体のコークス含有量を指す。
【0017】
再生器にて部分再生反応を行って得られた前記再生触媒のコークス含有量範囲下限は、1.2%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、2%、2.94%、3%、3.89%、4%から選ばれ、上限は、2%、2.94%、3%、3.89%、4%、4.7%、5.1%、5.9%、6%、7%、8%から選ばれる。
【0018】
さらに好ましくは、再生器にて部分再生反応を行って得られた前記再生触媒のコークス含有量は1.6%~7%である。
【0019】
本出願では、触媒のコークス含有量ωの計算式は、
式I:
コークス含有量ω=(m250℃-m900℃)/m250℃×100% (1)であり、
式I中、
ωは質量百分率で計算される触媒のコークス含有量であり、m250℃は触媒が空気雰囲気下で室温から250℃まで昇温した時の触媒の質量であり、m900℃は900℃まで昇温した時の触媒の質量である。
【0020】
選択的に、再生器に通入される前記混合ガスにおいて、水蒸気の空間速度は0.1h-1~10h-1であり、空気の空間速度は0.01h-1~6h-1である。
【0021】
選択的に、前記部分再生反応は、500℃~700℃の条件下で行われる。
【0022】
好ましくは、前記部分再生反応は、600~680℃の条件下で行われる。
【0023】
選択的に、前記再生対象触媒のコークス含有量は、6%~14%である。
【0024】
選択的に、メタノールからオレフィンを製造するための触媒を流動床反応器中にてメタノールからオレフィンを製造する反応を行い、不活性化されたメタノールからオレフィンを製造するための触媒を再生器に供給して部分再生反応を行い、得られた再生触媒が部分再生触媒であり、前記部分再生触媒を前記流動床反応器に循環させ、
前記メタノールからオレフィンを製造するための触媒は、シリコアルミノ燐酸を含有する分子篩であり、
前記メタノールからオレフィンを製造するための触媒は、流動床触媒である。
【0025】
本出願では、「オレフィン」とは、エチレンとプロピレンを指す。
【0026】
さらに別の方面によれば、本出願は、メタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造する方法を提供する。この方法は、流動床反応プロセスを採用して、上述したメタノールからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法に従って、再生対象触媒を部分再生する。
【0027】
選択的に、メタノール及び/又はジメチルエーテルを含有する原料ガスを、メタノールからオレフィンを製造するための触媒を担持した流動床反応器に通入し、メタノールからオレフィンを製造する反応を行い、
再生対象触媒を再生領域に送り、再生領域に前記混合ガスを通入し、部分再生反応を行って再生触媒を得、
前記再生触媒を前記流動床反応器に戻し、
選択的に、前記メタノールからオレフィンを製造するための触媒には、シリコアルミノ燐酸分子篩が含まれている。
【発明の効果】
【0028】
本出願は、以下の有益な効果を有する。
1)再生ガスとして水蒸気と空気混合物を採用して、触媒中の残留炭素に対してガス化部分再生を行い、そのガス化生成物はCO、Hを主とし、少量のCOがあり、循環再利用することができ、メタノール炭素原子の利用率を向上させた。
2)水蒸気と空気との割合を調節することにより、両者の優勢をそれぞれ発揮し、触媒残留炭素性質と含有量の管理に有利であり、水蒸気気化炭素堆積反応は、触媒活性部位付近で行われる必要があり、少量の空気は、活性部位炭素の転換を加速させることができ、それによって、堆積炭素を選択的に除去する。
3)水蒸気と空気を用いて、部分再生された触媒を混合してMTO反応を行うことで、初期低炭素オレフィンの選択性を完全再生の触媒の62%程度から65%~83%の範囲に向上させ、その最高選択性を保証することができる。
4)水蒸気と空気を用いて、部分再生された触媒を混合してMTO反応を行うことで、反応物メタノールは完全転化に近く、転化率は新鮮剤と同様に100%に近い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明による触媒を水蒸気と空気で結合部分再生する方法の概略図である。
図2】本出願の実施例1における新鮮触媒の触媒性能結果図である。
図3】本出願の比較例1における試料D1の触媒性能試験結果図である。
図4】本出願の実施例2における試料1の触媒性能試験結果図である。
図5】本出願の実施例3における試料2の触媒性能試験結果図である。
図6】本出願の実施例4における試料3の触媒性能試験結果図である。
図7】本出願の実施例5における試料4の触媒性能試験結果図である。
図8】本出願の実施例6における試料5の触媒性能試験結果図である。
図9】本出願の実施例7における試料6の触媒性能試験結果図である。
図10】本出願の実施例8における試料7の触媒性能試験結果図である。
図11】本出願の実施例9における試料5-10の触媒性能試験結果図である。
図12】本出願の比較例2における試料D2の触媒性能試験結果図である。
図13】本出願の実施例1と実施例9で得られた試料のXRDスペクトルであり、そのうち、a)は実施例1で得られた不活性化触媒AのXRDスペクトルであり、b)は実施例9で得られた試料5-10のXRDスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施例を結び付けながら、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
本出願で用いた触媒は、市販メタノールからオレフィンを製造するための触媒である。
【0032】
触媒のコークス含有量の測定方法は、以下のとおりである。
【0033】
触媒を空気中で250℃まで昇温し、質量をm250℃として記録し、触媒を空気中で900℃まで昇温し、質量をm900℃として記録すると、触媒の炭素堆積量は次式Iによって決定される。
式I:
コークス含有量ω=(m250℃-m900℃)/m250℃×100% (1)
【0034】
実施例におけるメタノール転化率、エチレン選択性及びプロピレン選択性は、いずれも炭素モル数に基づいて計算されたものである。
【0035】
実施例では、試料のXRD特徴付けは、Philips X’Pert PROX型X線回折計、銅ターゲット、Kα放射源(λ=1.5418 A)を採用した。装置の動作電圧は40kvであり、動作電流は40mAであった。
【0036】
図1は、メタノールからオレフィンを製造するプロセス経路図であり、このプロセスでは、本出願に記載の前記メタノールからオレフィンを製造するための触媒の部分再生方法を採用する。具体的には、メタノール及び/又はジメチルエーテルを含有する原料を反応器に通入し、反応後、生成物ガス(エチレンとプロピレン)が反応器頂部から離れ、不活性化触媒が蒸留器を介して触媒再生器に入り、触媒再生器に特定割合の空気と水蒸気との混合ガスを通入し、不活性化触媒の部分再生反応を行い、生成したCO、H、COは、触媒再生器から離れ、再生触媒は、ライザー管を介して反応器に戻す。
【0037】
実施例1
活性成分がSAPO-34であり、番号がDMTO-1である商業用メタノールからオレフィンを製造するための触媒4gを固定流動床反応器に充填し、メタノールからオレフィンを製造する反応を行い、メタノールからオレフィンを製造する反応原料は濃度80wt%のメタノール水溶液であり、反応温度は490℃であり、圧力は0.1MPaであり、メタノール空間速度は2.1h-1である。反応時間は107分間であり、メタノール転化率とオレフィン選択性を得、結果は図2に示すとおりである。
【0038】
反応終了後、得られた触媒を「不活性化触媒A」と記す。測定の結果、不活性化触媒Aのコークス含有量は10.2%であることが分かった。
【0039】
比較例1
不活性化触媒Aをマッフル炉内にて600℃で6時間焼成し、完全再生触媒を得、試料D1と記す。測定の結果、試料D1のコークス含有量は0.05%であることが分かった。
実施例1におけるメタノールからオレフィンを製造する反応条件に従って、再生触媒試料D1に対してメタノールからオレフィンを製造する評価反応を行い、反応時間は89分間であり、得られたメタノール転化率とオレフィン選択性の結果は、図3に示すとおりである。
【0040】
実施例2
不活性化触媒Aを反応器に置き、反応器に流量が100mL/minである窒素ガスを通入してガスパージし、反応器を650℃まで昇温し、10分間一定し、窒素ガスを遮断する。次いで、水蒸気と空気を通入し、水蒸気と空気との体積比は1:0.4であり、水蒸気の質量空間速度は8h-1であり、空気の質量空間速度は4.8h-1であり、20分間保持する。測定の結果、触媒のコークス含有量は1.2%であることが分かった。
【0041】
窒素ガス雰囲気に切り替え、反応器の温度が490℃まで低下し、20分間一定し、部分再生触媒を得、試料1と記す。
【0042】
実施例1におけるメタノールからオレフィンを製造する反応条件に従って、部分再生触媒試料1に対してメタノールからオレフィンを製造する評価反応を行い、反応時間は72分間であり、メタノール転化率とオレフィン選択性の結果は、図4に示すとおりである。
【0043】
実施例3
実施例1の方法に従って得られた不活性化触媒Aを反応器に置き、反応器に流量が100mL/minである窒素ガスを通入してガスパージし、反応器を680℃まで昇温し、10分間一定し、窒素ガスを遮断する。次いで、水蒸気と空気を通入し、水蒸気と空気との体積比は1:0.02であり、水蒸気の質量空間速度は2h-1であり、空気の質量空間速度は0.06h-1であり、180分間保持する。測定の結果、触媒のコークス含有量は1.6%であることが分かった。
【0044】
窒素ガス雰囲気に切り替え、反応器の温度が490℃まで低下し、20分間一定し、部分再生触媒を得、試料2と記す。
【0045】
実施例1におけるメタノールからオレフィンを製造する反応条件に従って、部分再生触媒試料2に対してメタノールからオレフィンを製造する評価反応を行い、反応時間は72分間であり、メタノール転化率とオレフィン選択性の結果は、図5に示すとおりである。
【0046】
実施例4
実施例1の方法に従って得られた不活性化触媒Aを反応器に置き、反応器に流量が100mL/minである窒素ガスを通入してガスパージし、反応器を620℃まで昇温し、10分間一定し、窒素ガスを遮断する。次いで、水蒸気と空気を通入し、水蒸気と空気との体積比は1:0.14であり、水蒸気の質量空間速度は3h-1であり、空気の質量空間速度は0.63h-1であり、60分間保持する。測定の結果、触媒のコークス含有量は2.8%であることが分かった。
【0047】
窒素ガス雰囲気に切り替え、反応器の温度が490℃まで低下し、20分間一定した後、部分再生触媒を得、試料3と記す。
【0048】
実施例1におけるメタノールからオレフィンを製造する反応条件に従って、部分再生触媒試料3に対してメタノールからオレフィンを製造する評価反応を行い、反応時間は72分間であり、メタノール転化率とオレフィン選択性の結果は、図6に示すとおりである。
【0049】
実施例5
実施例1に従って得られた不活性化触媒Aを反応器に置き、反応器に流量が100mL/minである窒素ガスを通入してガスパージし、反応器を650℃まで昇温し、10分間一定し、窒素ガスを遮断する。次いで、水蒸気と空気を通入し、水蒸気と空気との体積比は1:0.1であり、水蒸気の質量空間速度は6h-1であり、空気の質量空間速度は0.9h-1であり、40分間保持する。測定の結果、触媒のコークス含有量は4.7%であることが分かった。
【0050】
窒素ガス雰囲気に切り替え、反応器の温度が490℃まで低下し、20分間一定した後、部分再生触媒を得、試料4と記す。
【0051】
実施例1におけるメタノールからオレフィンを製造する反応条件に従って、部分再生触媒試料4に対してメタノールからオレフィンを製造する評価反応を行い、反応時間は56分間であり、メタノール転化率とオレフィン選択性の結果は、図7に示すとおりである。
【0052】
実施例6
実施例1に従って得られた不活性化触媒Aを反応器に置き、反応器に流量が100mL/minである窒素ガスを通入してガスパージし、反応器を600℃まで昇温し、10分間一定し、窒素ガスを遮断する。次いで、水蒸気と空気を通入し、水蒸気と空気との体積比は1:0.1であり、水蒸気の質量空間速度は6h-1であり、空気の質量空間速度は0.9h-1であり、30分間保持する。測定の結果、触媒のコークス含有量は5.1%であることが分かった。
【0053】
窒素ガス雰囲気に切り替え、反応器の温度が490℃まで低下し、20分間一定した後、部分再生触媒を得、試料5と記す。
【0054】
実施例1におけるメタノールからオレフィンを製造する反応条件に従って、部分再生触媒試料5に対してメタノールからオレフィンを製造する評価反応を行い、反応時間は39分間であり、メタノール転化率とオレフィン選択性の結果は、図8に示すとおりである。
【0055】
実施例7
実施例1に従って得られた不活性化触媒Aを反応器に置き、反応器に流量が100mL/minである窒素ガスを通入してガスパージし、反応器を650℃まで昇温し、10分間一定し、窒素ガスを遮断する。次いで、水蒸気と空気を通入し、水蒸気と空気との体積比は1:0.06であり、水蒸気の質量空間速度は6h-1であり、空気の質量空間速度は0.54h-1であり、50分間保持する。測定の結果、触媒のコークス含有量は5.9%であることが分かった。
【0056】
窒素ガス雰囲気に切り替え、反応器の温度が490℃まで低下し、20分間一定した後、部分再生触媒を得、試料6と記す。
【0057】
実施例1におけるメタノールからオレフィンを製造する反応条件に従って、部分再生触媒試料6に対してメタノールからオレフィンを製造する評価反応を行い、反応時間は39分間であり、メタノール転化率とオレフィン選択性の結果は、図9に示すとおりである。
【0058】
実施例8
実施例1に従って得られた不活性化触媒Aを反応器に置き、反応器に流量が100mL/minである窒素ガスを通入してガスパージし、反応器を550℃まで昇温し、10分間一定し、窒素ガスを遮断する。次いで、水蒸気と空気を通入し、水蒸気と空気との体積比は1:0.06であり、水蒸気の質量空間速度は0.8h-1であり、空気の質量空間速度は0.072h-1であり、90分間保持する。測定の結果、触媒のコークス含有量は7.5%であることが分かった。
【0059】
窒素ガス雰囲気に切り替え、反応器の温度が490℃まで低下し、20分間一定した後、部分再生触媒を得、試料7と記す。
【0060】
実施例1におけるメタノールからオレフィンを製造する反応条件に従って、部分再生触媒試料7に対してメタノールからオレフィンを製造する評価反応を行い、反応時間は39分間であり、メタノール転化率とオレフィン選択性の結果は、図10に示すとおりである。
【0061】
実施例9
実施例6のステップと条件に従って、「触媒再生-メタノールからオレフィンを製造する反応」ステップを10回繰り返し、10回の触媒再生を経て得られた部分再生触媒を試料5-10と記す。
【0062】
実施例1におけるメタノールからオレフィンを製造する反応条件に従って、部分再生触媒試料5-10に対してメタノールからオレフィンを製造する評価反応を行い、反応時間は39分間であり、メタノール転化率とオレフィン選択性の結果は、図11に示すとおりである。
【0063】
比較例2
不活性化触媒Aを反応器に置き、反応器に流量が100mL/minである窒素ガスを通入してガスパージし、反応器を650℃まで昇温し、10分間一定し、窒素ガスを遮断する。次いで、窒素ガスと空気を通入し、窒素ガスと空気との体積比は1:0.1であり、窒素ガスの質量空間速度は6h-1であり、空気の質量空間速度は0.9h-1であり、40分間保持し、再生触媒を得、試料D2と記する。測定の結果、試料D2のコークス含有量は3.5%であることが分かった。
【0064】
窒素ガス雰囲気に切り替え、反応器の温度が490℃まで低下し、20分間一定した後、実施例1におけるメタノールからオレフィンを製造する反応条件に従って、再生触媒試料D2に対してメタノールからオレフィンを製造する評価反応を行い、反応時間は72分間であり、メタノール転化率とオレフィン選択性の結果は、図12に示すとおりである。
【0065】
実施例10
XRDを採用して、それぞれ、不活性化触媒Aと試料5-10に対して特徴付けを行い、その結果は、図13に示すとおりである。不活化触媒A(図13aを参照)と試料5-10(図13bを参照))のXRDスペクトルにおいて、試料5-10の最高回折ピークのピーク強度は、不活性化触媒Aの最高回折ピークのピーク強度の95%である。
【0066】
上述から分かるように、本出願に記載の触媒部分再生方法を採用して、複数回再生を受けた触媒の結晶度が新鮮触媒に近くなる。本出願に記載の温度範囲内で、一定割合の水蒸気と空気との混合ガスを使用して触媒を部分再生すると、触媒の脱アルミニウムを発生させることなく、それによって、触媒の長期間循環利用を実現できることが分かった。
【0067】
実施例2~9における不活化触媒部分再生処理条件は、表1に示すとおりである。
【表1】
【0068】
メタノールからオレフィンを製造する実験結果において、3分間反応を初期活性とし、メタノール(ジメチルエーテルを含む)転化率が97%未満である時、触媒活性が低下した。活性保持時間及び低下前のオレフィンの最高選択性は、メタノールからオレフィンを製造する反応結果の重要なパラメータである。
【0069】
図2から分かるように、新鮮触媒のメタノールからオレフィンを製造する反応の初期活性において、メタノール転化率が99.57%であり、オレフィン選択性が65.34%であった。70分間活性維持した後、メタノール転化率は有意に低下し、70分間反応した後、新鮮触媒のオレフィン選択性は徐々に低下し、オレフィン最高選択性は86.62%であった。
【0070】
図3から分かるように、比較例試料D1を触媒とし、メタノールからオレフィンを製造する反応の初期活性において、メタノール転化率が99.6%であり、オレフィン選択性が65.9%であった。70分間活性維持した後、試料D-1のメタノール転化率は有意に低下し、90分間反応を行う時、メタノール転化率が40%になった。70分間メタノールからオレフィンを製造する反応を行った後、オレフィン選択性は徐々に低下し、オレフィン最高選択性は86.70%であった。
【0071】
図4から分かるように、試料1を触媒とし、メタノールからオレフィンを製造する反応の初期活性において、メタノール転化率が99.5%であり、オレフィン選択性が66.2%であった。54分間前後の活性維持した後、70分間メタノール転化率低下反応を行う時、メタノール転化率が85%であった。54分間反応した後、触媒のオレフィン選択性は徐々に低下し、オレフィン最高選択性は84%であり、70分間前後の反応を行い、オレフィン選択性は77.71%であった。
【0072】
図5から分かるように、試料2を触媒とし、メタノールからオレフィンを製造する反応の初期活性において、メタノール転化率が99.30%であり、オレフィン選択性が66.60%であった。54分間前後の活性維持した後、実施例3における部分再生触媒のメタノール転化率は低下し、70分間の反応を行う時、メタノール転化率が85%であった。54分間メタノールからオレフィンを製造する反応を行った後、部分再生触媒のオレフィン選択性は徐々に低下し、オレフィン最高選択性は85.20%であり、70分間前後の反応を行い、オレフィン選択性は78.71%であった。
【0073】
図6から分かるように、試料3を触媒とし、メタノールからオレフィンを製造する反応の初期活性において、メタノール転化率が99.43%であり、オレフィン選択性が69.95%であった。54分間前後の活性維持した後、実施例4における部分再生触媒のメタノール転化率は低下し、70分間の反応を行う時、メタノール転化率が83%であった。55分間メタノールからオレフィンを製造する反応を行った後、部分再生触媒のオレフィン選択性は徐々に低下し、オレフィン最高選択性は87.01%であり、70分間前後の反応を行い、オレフィン選択性は81.05%であった。
【0074】
図7から分かるように、試料4を触媒とし、メタノールからオレフィンを製造する反応の初期活性において、メタノール転化率が99.67%であり、オレフィン選択性が74.26%であった。37分間前後の活性維持した後、実施例5における部分再生触媒のメタノール転化率は低下し、54分間の反応を行う時、メタノール転化率が50%であった。37分間メタノールからオレフィンを製造する反応を行った後、部分再生触媒のオレフィン選択性は徐々に低下し、オレフィン最高選択性は86.38%であり、54分間前後の反応を行い、オレフィン選択性は73.05%であった。
【0075】
図8から分かるように、試料5を触媒とし、メタノールからオレフィンを製造する反応の初期活性において、メタノール転化率が99.73%であり、オレフィン選択性が80.01%であった。20分間前後の活性維持した後、実施例6における部分再生触媒のメタノール転化率は低下し、37分間の反応を行う時、メタノール転化率が50%であった。20分間メタノールからオレフィンを製造する反応を行った後、部分再生触媒のオレフィン選択性は徐々に低下し、オレフィン最高選択性は85.28%であり、37分間前後の反応を行い、オレフィン選択性は67.47%であった。
【0076】
図9から分かるように、試料6を触媒とし、メタノールからオレフィンを製造する反応の初期活性において、メタノール転化率が99.72%であり、オレフィン選択性が79.74%であった。3分間前後の活性維持した後、実施例7における部分再生触媒のメタノール転化率は低下し、37分間の反応を行う時、メタノール転化率が20%であった。3分間メタノールからオレフィンを製造する反応を行った後、部分再生触媒のオレフィン選択性は徐々に低下し、オレフィン最高選択性は79.74%であり、37分間前後の反応を行い、オレフィン選択性は45.2%であった。
【0077】
図10から分かるように、試料7を触媒とし、メタノールからオレフィンを製造する反応の初期活性において、メタノール転化率が99.47%であり、オレフィン選択性が82.97%であった。3分間前後の活性維持する時、実施例8における部分再生触媒のメタノール転化率は低下し、37分間の反応を行う時、メタノール転化率が20%であった。3分間メタノールからオレフィンを製造する反応を行った後、部分再生触媒のオレフィン選択性は徐々に低下し、オレフィン最高選択性は82.97%であり、37分間前後の反応を行い、オレフィン選択性は30.72%であった。
【0078】
図11から分かるように、試料5-10を触媒とし、メタノールからオレフィンを製造する反応の初期活性において、メタノール転化率が99.74%であり、オレフィン選択性が80.48%であった。20分間前後の活性維持する時、実施例9における部分再生触媒のメタノール転化率は低下し、37分間の反応を行う時、メタノール転化率が25%であった。20分間メタノールからオレフィンを製造する反応を行った後、部分再生触媒のオレフィン選択性は徐々に低下し、オレフィン最高選択性は85.45%であり、37分間前後の反応を行い、オレフィン選択性は67.22%であった。
【0079】
図12から分かるように、再生雰囲気が窒素ガスと空気との混合ガスである条件下で再生した後、試料D2を得、試料D2を触媒とし、メタノールからオレフィンを製造する反応の初期活性において、メタノール転化率が99.50%であり、オレフィン選択性が70.70%であった。37分間前後の活性維持した後、比較例における試料D2中の部分再生触媒のメタノール転化率は低下し、54分間の反応を行う時、メタノール転化率が85.00%であった。37分間メタノールからオレフィンを製造する反応後、部分再生触媒のオレフィン選択性は徐々に低下し、オレフィン最高選択性は83.50%であり、54分間前後の反応を行い、オレフィン選択性は79.40%であった。
【0080】
図2図3を比較すると、完全に再生された試料の触媒性能は、新鮮触媒と大きく差別がないことが分かった。図3図4~11を比較すると、本出願は、一定の混合比関係を有する水蒸気と空気の混合ガスを使用することにより、メタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するための触媒を部分再生し、完全に再生された触媒に比べて、初期活性、メタノール転化率ともに99%前後であり、且つオレフィン収率も向上させ、特にエチレン選択性を大幅に向上させ、誘導期がいずれも短縮されていることが分かった。適切な条件下で、オレフィンの最高選択性と完全に再生されたものとの差が大きくなく、ひいてはより高くなった。このように、循環流動床にて行うメタノールからオレフィンを製造する反応プロセスの調整に有利であり、オレフィン選択性を向上させ、また、再生後の生成ガスはH、COとCHを主とし、メタノールの単位あたり消費量を低減し、C原子の利用率を向上させる。
【0081】
図12図7を比較すると、本出願は、一定の混合比関係を有する水蒸気と空気との混合ガスを使用することにより、メタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するためのコークス化触媒を部分再生し、同じ割合の空気と他のガスとの混合ガスを再生ガスとして用いる技術案に比べて、初期オレフィン選択性がより高く、且つ活性保持時間内で、最高オレフィン選択性もより高いことが分かった。コークス化触媒を再生した後、生成ガスは、H、COとCHを主とし、空気と他のガスを混合してコークス化触媒を再生することから生成するCOとCOに比べて、C原子の利用率がより高い。
【0082】
以上の結果から分かるように、水蒸気と空気との混合ガスを利用して、メタノール及び/又はジメチルエーテルからオレフィンを製造するためのコークス化触媒を部分再生すると、触媒のオレフィン選択性と寿命の両者を回復することができ、且つ部分再生を繰り返すと、部分再生された触媒のオレフィン選択性と寿命も低下・減衰しない。同時に、複数回再生された触媒に対してXRD特徴付けを行い、その結晶度は新鮮触媒に近いことが分かった。上述から分かるように、この温度範囲内で、水蒸気と空気との混合ガスを利用して、触媒を部分再生することは、触媒の脱アルミニウムを引き起こすことなく、それによって、触媒の長期利用を実現する。
【0083】
以上、本出願のいくつかの実施例にすぎず、これらの実施例は例示的なものであり、制限的なものではない。本出願は、好ましい実施例で上述したように開示されているが、本出願を限定するために用いられるのではなく、当業者であれば、本出願の技術案から逸脱することなく、上記開示された技術案内容を利用して、これらの実施例に対して若干の修正又は改善を行うことができ、これらの修正、改善は、いずれも同等の実施例であり、いずれも技術案の範囲内に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13