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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/14 20060101AFI20230525BHJP
   G01B 21/16 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
G01B5/14
G01B21/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022102164
(22)【出願日】2022-06-24
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 隆
(72)【発明者】
【氏名】荒 洋造
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-120521(JP,A)
【文献】特開平10-185543(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2311101(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/14
G01B 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置に設置される第1ユニットと、
前記第1位置から離間した第2位置に設置される第2ユニットと、
前記第1ユニットと前記第2ユニットの間に配置される接続部と、
前記第2ユニットに設けられ、且つ、前記接続部の少なくとも一部を回転可能に前記接続部の一端側を保持する保持部と、
前記第1ユニットに配置され、且つ、前記接続部の他端側の変位を前記第1位置と前記第2位置の間の距離の変化として計測するセンサと、を有し、
前記接続部は、前記接続部の少なくとも一部が回転することによって、前記第1位置と前記第2位置との間に高低差があっても、前記第1ユニット及び前記第2ユニットをそれぞれ前記第1位置及び前記第2位置に配置可能なクランク部を含む、
ことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記接続部は、前記クランク部の一端を中心とする前記クランク部の他端の回転軌道の半径の範囲内で、前記第1位置と前記第2位置との間に高低差があっても、前記第1ユニット及び前記第2ユニットをそれぞれ前記第1位置及び前記第2位置に配置する、請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記第1ユニットに対する前記接続部の少なくとも一部の回転を係止させる係止部をさらに有する、請求項1または2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記第1ユニットの設置面に対して前記第2ユニットの設置面が任意の角度に配置された状態で、前記接続部の前記一端側に対する前記保持部の回転を係止させる第2係止部をさらに有する、請求項1または2に記載の計測装置。
【請求項5】
前記クランク部は、前記接続部に対して着脱可能に設けられる、請求項1または2に記載の計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋桁等の構造物の維持管理のために、構造物の変位を計測する計測装置が開発されている。計測装置は、例えば、構造物に設置されたケースの変位を計測することにより、構造物の変位を計測する。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数のケースと、各ケースの収容部が形成する空間に配置され、所定方向に移動可能なスケール部と、センサ部とを含む長さ測定装置が開示されている。各ケースは、構造物の間隙をまたいで構造物に設置され、センサ部は、スケール部における間隙をまたぐ第1の点と第2の点との間の長さを測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-120521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
間隙を有する構造物において、間隙により離間する各部分は段差を有している場合がある。間隙により離間する各部分が段差を有している場合、その間隙をまたいで各ケースを適切に設置するためには、一方のケースの下に段差に相当する厚さを有する板を配置する必要があり、設置者は、多大な労力を必要としていた。
【0006】
本発明は、複数のユニットを用いて変位を計測する計測装置を設置する際の設置者の利便性を向上させることが可能な計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る計測装置は、第1位置に設置される第1ユニットと、第1位置から離間した第2位置に設置される第2ユニットと、第1ユニットと第2ユニットの間に配置される接続部と、第2ユニットに設けられ、且つ、接続部の少なくとも一部を回転可能に接続部の一端側を保持する保持部と、第1ユニットに配置され、且つ、接続部の他端側の変位を第1位置と第2位置の間の距離の変化として計測するセンサと、を有し、接続部は、接続部の少なくとも一部が回転することによって、第1位置と第2位置との間に高低差があっても、第1ユニット及び第2ユニットをそれぞれ第1位置及び第2位置に配置可能なクランク部を含む。
【0008】
また、本発明に係る計測装置において、接続部は、クランク部の一端を中心とするクランク部の他端の回転軌道の半径の範囲内で、第1位置と第2位置との間に高低差があっても、第1ユニット及び第2ユニットをそれぞれ第1位置及び第2位置に配置することが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る計測装置において、第1ユニットに対する接続部の少なくとも一部の回転を係止させる係止部をさらに有することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る計測装置において、第1ユニットの設置面に対して第2ユニットの設置面が任意の角度に配置された状態で、接続部の一端側に対する保持部の回転を係止させる第2係止部をさらに有することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る計測装置において、クランク部は、接続部に対して着脱可能に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る計測装置は、複数のユニットを用いて変位を計測する変位計測装置を設置する際の設置者の利便性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】計測装置100の構成を説明するための模式図である。
図2】計測装置100の構成を説明するための模式図である。
図3】(A)は第1係止部133と第1被係止部134の関係について説明するための模式図であり、(B)第2係止部136と保持部121の関係について説明するための模式図である。
図4】(A)、(B)は接続部130の回転について説明するための模式図である。
図5】第2ユニット120の回転について説明するための模式図である。
図6】計測装置100の概略構成を示すブロック図である。
図7】計測処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】他の接続部230について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶことに留意されたい。
【0015】
図1及び図2は、本発明に係る計測装置100の構成を説明するための模式図である。図1は、使用時における計測装置100の斜視図であり、図2は、第1ユニット110のフレームを外した状態の計測装置100の斜視図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、計測装置100は、基準物T1と、計測対象である対象物T2との間の距離の変化を計測することにより、基準物T1に対する対象物T2の変位、即ち相対位置の変化を計測する。対象物T2は、例えば橋桁、トンネル又はビル等である。対象物T2が橋桁である場合、基準物T1は、例えばその橋桁の端部が配置される橋台等である。対象物T2がトンネルである場合、基準物T1は、例えばそのトンネルのセグメントを連結する継手部等である。対象物T2がビルである場合、基準物T1は、例えばそのビルとビルの間をつなぐエキスパンションジョイント部 の一方等である。なお、基準物T1及び対象物T2は、遊間又はひび割れ等の隙間を有する橋桁の、隙間を挟んで配置された各部、又は、隙間を有するトンネルの、隙間を挟んで配置された壁面等のように、同一の構造物でもよい。
【0017】
計測装置100は、第1ユニット110、第2ユニット120及び接続部130等を有する。第1ユニット110は、基準物T1内の隙間付近の適宜な位置P1に設置され、第2ユニット120は、基準物T1内の位置P1から離間した、対象物T2内の位置P2に設置される。位置P1は、第1位置の一例であり、位置P2は、第2位置の一例である。接続部130は、第1ユニット110と第2ユニット120の間に配置される。
【0018】
第1ユニット110は、略直方体の形状を有するフレームで囲まれた筐体(ケース)とセンサ112等の内容物とで構成される。第1ユニット110の底面110aは、基準物T1の上面、底面又は側面等の表面に設置される設置面である。第1ユニット110の、第2ユニット120側の側面110bには、開口110cが形成される。第1ユニット110の上面110dには、開口110eが形成される。第1ユニット110には、固定部材111、センサ112、バッテリ113、基板114、通信装置115、アンテナ116及び制御ユニット117等が配置される。
【0019】
第2ユニット120は、略直方体の形状を有するフレームで囲まれた筐体(ケース)である。第2ユニット120の底面120aは、対象物T2の上面、底面又は側面等の表面に設置される設置面である。第2ユニット120の、第1ユニット110側の側面120bには、保持部121が設けられる。
【0020】
接続部130は、第1ユニット110と第2ユニット120の間に配置される。接続部130の一端は、第2ユニット120の保持部121に取り付けられる。接続部130の他端は、第1ユニット110の側面110bに形成された開口110cを介して第1ユニット110の内部に配置される。接続部130は、ロッド部131、ジャバラ部132、第1係止部133、第1被係止部134、クランク部135及び第2係止部136等を有する。
【0021】
図1において、矢印A1はロッド部131の延伸方向を示し、矢印A2は高さ方向を示し、矢印A3はロッド部131の延伸方向A1及び高さ方向A2と直交する横方向A3を示す。
【0022】
第1ユニット110の固定部材111は、接続部130のロッド部131を初期位置に固定させるための部材である。製品出荷時に、固定部材111は、上面110dから開口110eを介して第1ユニット110内部に挿入される。固定部材111の先端がロッド部131に形成された開口131aに係合することにより、固定部材111は、ロッド部131を初期位置に固定させる。これにより、計測装置100の輸送中又は設置中に、ロッド部131が第1ユニット110内部の部材、特にセンサ112等に衝突することが防止され、第1ユニット110の故障の発生が防止される。また、計測装置100の輸送中又は設置中に、ロッド部131が初期位置からずれてセンサ112の検知可能範囲を最大限に利用できなくなることが抑制される。
【0023】
一方、使用時(設置時)に、固定部材111が第1ユニット110から取り外されることにより、ロッド部131が移動可能となり、接続部130は、第1ユニット110に対してロッド部131の延伸方向A1に沿ってスライド移動可能となる。固定部材111が取り外された後、固定部材111の代わりに、蓋部材111bが開口110eに配置される。これにより、開口110eからの雨、埃等の進入が防止され、第1ユニット110の故障の発生が防止される。
【0024】
ロッド部131の初期位置は、ロッド部131の先端(センサ112により検知される位置)がセンサ112の検知可能範囲の中心に配置される位置に設定される。これにより、計測装置100は、対象物T2が基準物T1から離間する方向に移動する場合と、基準物T1に接近する方向に移動する場合の両方について、対象物T2の移動距離の計測可能な上限を最大にすることができる。
【0025】
固定部材111は、第1ユニット110内部に挿入されるのでなく、第1ユニット110外部からロッド部131に係合して、ロッド部131を固定させるように設けられてもよい。その場合、開口131aは、ロッド部131の、第1ユニット110外部に配置される部分に形成される。固定部材111の一端は、開口131aに係合され、固定部材111の他端は、第1ユニット110外部の所定位置にテープ又は所定のロック部材等により係止される。この場合、第1ユニット110の上面110dには開口が形成されない。蓋部材111bを使用することなく、第1ユニット110内部への雨、埃等の進入が防止されるため、第1ユニット110の故障の発生がより確実に防止されるとともに、計測装置100の部品コストの増大が抑制される。
【0026】
センサ112は、第1ユニット110内部に、接続部130のロッド部131の先端(第2ユニット120の反対側の端部)と対向する位置に配置される。ロッド部131の、第2ユニット120の反対側の端部は、接続部の他端の一例である。センサ112は、リニアポジションセンサであり、例えば可変抵抗器である。センサ112は、ロッド部131の延伸方向A1に沿って延伸する抵抗体と、ロッド部131の先端の移動に従ってその抵抗体上を移動する接点(摺動子)とを含む。抵抗体の両端に設けられた端子には一定の電圧がかけられ、接点の抵抗体上の位置に応じて、接点から出力される電圧が変動する。したがって、センサ112は、接点から出力される電圧に基づいて、ロッド部131の先端の位置を検出することができる。センサ112は、ロッド部131が初期位置に配置されている時に接点から出力される電圧に対する、接点から現在出力されている電圧の差に対応するロッド部131の変位を示す変位信号を制御ユニット117に出力する。
【0027】
接続部130の一端は、第2ユニット120の保持部121に取り付けられ、それにより、接続部130は第2ユニット120に対して固定される(延伸方向A1にスライド移動しない)。そのため、ロッド部131は、第1ユニット110が設置される基準物T1内の位置P1に対して、第2ユニット120が設置される対象物T2内の位置P2が延伸方向A1に移動した場合に延伸方向A1に移動する。即ち、センサ112は、接続部130の他端側の変位を、第1ユニット110が設置される基準物T1内の位置P1と第2ユニット120が設置される対象物T2内の位置P2の間の距離の変化として計測する。
【0028】
なお、センサ112は、ロッド部131の延伸方向A1に沿って並べて配置された複数の発光器及び受光器でもよい。各発光器及び各受光器は、ロッド部131の先端の移動範囲を挟んで相互に対向して配置される。センサ112は、各受光器が対向して配置された各発光器から出射された光を受光しているか、ロッド部131に遮られて受光していないかにより、各発光器及び各受光器の間にロッド部131が存在するか否かを検出する。センサ112は、ロッド部131が初期位置に配置されている時に発光器から出射された光を受光する受光器の数に対する、発光器から出射された光を現在受光している受光器の数の差に対応するロッド部131の変位を示す変位信号を制御ユニット117に出力する。また、センサ112は、ロッド部131の先端に向けて光を照射する発光器と、発光器により照射され且つロッド部131の先端で反射した光を受光する受光器とを有してもよい。その場合、センサ112は、発光器が光を照射してから受光器が光を受光するまでの時間に基づいてロッド部131の変位を検出する。また、センサ112は、撮像センサ等の、ロッド部131の変位を検出可能な他の任意のセンサでもよい。
【0029】
バッテリ113は一次電池または二次電池である。バッテリ113は、センサ112、通信装置115、アンテナ116及び制御ユニット117と接続され、センサ112、通信装置115、アンテナ116及び制御ユニット117に電力を供給する。
【0030】
基板114は、様々な回路部品が実装された回路基板である。基板114は、樹脂材料等で形成され、第1ユニット110に固定されている。基板114の下面には、通信装置115が配置され、基板114の上面には、アンテナ116及び制御ユニット117が配置されている。
【0031】
通信装置115は、無線通信インタフェース回路を備え、計測装置100を無線通信ネットワークに接続する。通信装置115は、アンテナ116を介して不図示の基地局との間でLTE(Long Term Evolution)方式、特にLPWA(Low Power Wide Area)方式等による無線通信を行う。なお、基地局との間の通信方式は、LTE方式に限定されず、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式、5G(Fifth Generation)方式等の他の通信方式でもよく、今後使用される通信方式でもよい。通信装置115は、制御ユニット117から供給されたデータを、基地局を介して外部のサーバ等の情報処理装置等に送信する。また、通信装置115は、基地局を介して情報処理装置等から受信したデータを制御ユニット117に供給する。なお、通信装置115は、アンテナ116を介して不図示のWifi(Wireless Fidelity)のアクセスポイントとの間でIEEE802.11規格の無線通信方式による無線通信を行うものでもよい。
【0032】
アンテナ116は、2GHz帯、1.7GHz帯、900MHz帯、800MHz帯等の帯域を感受帯域とするアンテナである。なお、アンテナ116は、主に2.4GHz帯、5GHz帯等を感受帯域とするアンテナでもよい。
【0033】
制御ユニット117は、計測装置100による処理を制御するユニットである。制御ユニット117は、例えばMCU(Micro Controller Unit)である。制御ユニット117の詳細については後述する。
【0034】
第2ユニット120の保持部121は、接続部130のクランク部135を回転可能に、接続部130の一端側に設けられた第2係止部136を保持する。即ち、保持部121は、接続部130の少なくとも一部を回転可能に接続部130の一端側を保持する。
【0035】
ロッド部131は、第1ユニット110の側面110bに形成された開口110cを介して、第1ユニット110の外部から内部に挿入される。ロッド部131の先端(第2ユニット120の反対側の端部)は、センサ112と対向する位置に配置される。ロッド部131は、その延伸方向A1に沿ってスライド移動可能に設けられ、且つ、その延伸方向A1を中心として回転しないように設けられる。ロッド部131は、例えば可能な限り短くしたステンレス鋼で形成される。これにより、気温差によるロッド部131の伸縮の発生が低減され、計測装置100は、気温に関わらず、対象物T2の変位を正しく計測することができる。
【0036】
ジャバラ部132は、第1ユニット110外部において、第1ユニット110の側面120bと当接し且つロッド部131の周囲を取り囲むように設けられる。ジャバラ部132が設けられることにより、第1ユニット110への水滴又は埃等の進入が抑制される。
【0037】
第1係止部133及び第1被係止部134は、係止部の一例である。第1係止部133は、ロッド部131の、第2ユニット120側の端部に設けられる。第1係止部133は、ロッド部131と別部材で形成される。なお、第1係止部133は、ロッド部131と一体に形成されてもよい。第1被係止部134は、クランク部135の、第1ユニット110側の端部に、第1係止部133に螺合するように設けられる。第1被係止部134は、クランク部135と別部材で形成される。なお、第1被係止部134は、クランク部135と一体に形成されてもよい。
【0038】
クランク部135は、第2ユニット120側の端部の軸と、第1ユニット110側の端部の軸とが略平行に且つずれて配置されるように、二点で略直角(約90°)に屈曲した棒状の部材である。即ち、クランク部135は、ロッド部131の延伸方向A1から見たときに、第1ユニット110側の端部の軸と第2ユニット120側の端部の軸とが異なる位置に配置されるように形成される。クランク部135の、第2ユニット120側の端部は、第1ユニット110側の端部の軸を中心として、即ちロッド部131の延伸方向A1を中心として、図2の矢印A4の方向に回転可能に設けられる。即ち、クランク部135は、ロッド部131の延伸方向A1に沿って回転可能に設けられる。クランク部135は、例えばステンレス鋼で形成される。これにより、気温差によるクランク部135の伸縮の発生が低減され、計測装置100は、気温に関わらず、対象物T2の変位を正しく計測することができる。
【0039】
なお、クランク部135の屈曲する角度は90°に限定されず、クランク部135は、例えば鈍角をなすように屈曲していてもよい。また、クランク部135は、屈曲するのでなく、湾曲していてもよい(緩やかなカーブを有していてもよい)。これらにより、計測装置100は、設置条件を緩やかにすることができる。例えば、基準物T1及び対象物T2のうちの一方の表面のスペースが小さい場合でも、基準物T1の表面と対象物T2の表面の段差にクランク部135を接触させることなく、計測装置100が適切に設置される可能性が高くなる。また、クランク部135は、設置者により任意の角度に屈曲又は湾曲可能に設けられてもよい。これにより、計測装置100は、設置条件をより緩やかにすることができる。また、クランク部135の屈曲する位置は、二点に限定されず、三点以上でもよい。例えば、クランク部135がコの字形状を有するように、四点で屈曲している場合、基準物T1と対象物T2の間に、表面より突出する壁面が存在していても、クランク部135がその壁面を迂回するように計測装置100を設置することが可能となる。
【0040】
第2係止部136は、クランク部135の、第2ユニット120側の端部に設けられる。第2ユニット120の保持部121は、第2係止部136に螺合するように設けられる。第2係止部136は、クランク部135と別部材で形成される。なお、第2係止部136は、クランク部135と一体に形成されてもよい。保持部121は、クランク部135の第2ユニット120側の端部の軸を中心として、即ち、クランク部135の第2ユニット120側の端部の延伸方向を中心として、図2の矢印A5の方向に回転可能に設けられる。即ち、第2ユニット120は、クランク部135の第2ユニット120側の端部の延伸方向に沿って回転可能に設けられる。保持部121は、第2ユニット120と別部材で形成される。なお、保持部121は、第2ユニット120と一体に形成されてもよい。
【0041】
図3(A)は、第1係止部133と第1被係止部134の関係について説明するための模式図である。
【0042】
図3(A)に示すように、第1係止部133は、ナット形状(雌ねじ形状)を有し、第1被係止部134は、ボルト形状(雄ねじ形状)を有する。第1被係止部134は、第1係止部133に螺合することにより、第1係止部133に対して回転可能に設けられる。即ち、クランク部135は、ロッド部131に対して回転可能に設けられる。これにより、計測装置100は、第2ユニット120の設置時にクランク部135を回転させた際に、ロッド部131に負荷がかかってしまい、ロッド部131が故障すること又は初期位置からずれることを抑制できる。
【0043】
また、第1被係止部134が第1係止部133に螺合して、第1被係止部134の先端134aが第1係止部133の開口(ねじ穴)の底面に達した場合、第1被係止部134の先端134aは第1係止部133の底面に押し付けられる。第1被係止部134の先端134aと第1係止部133の底面の間の摩擦力により、第1被係止部134は、第1係止部133に対して係止(固定)され、回転不能となる。したがって、ロッド部131に対するクランク部135の回転、即ち第1ユニット110に対するクランク部135の回転は係止される。このように、第1係止部133及び第1被係止部134は、第1ユニット110に対する接続部130の少なくとも一部の回転を係止させる。これにより、計測装置100の使用時に、第1ユニット110に対する接続部130の回転が制限され、計測装置100は、基準物T1及び対象物T2に安定した状態で配置される。したがって、計測装置100は、設置後のクランク部135の回転による計測誤差の発生を抑制できる。
【0044】
なお、第1係止部133がボルト形状(雄ねじ形状)を有し、第1被係止部134がナット形状(雌ねじ形状)を有してもよい。また、第1係止部133及び第1被係止部134のうちの一方が筒状部材であり、他方が筒状部材に挿入され且つ筒状部材内部で回転可能に設けられる円柱部材であってもよい。その場合、筒状部材の側面には、中心に向かって貫通する貫通穴が形成される。ねじ部材が、貫通穴を介して、筒状部材に挿入された円柱部材の側面に突き当てられることにより、筒状部材に対する円柱部材の回転が係止される。
【0045】
図3(B)は、第2係止部136と保持部121の関係について説明するための模式図である。
【0046】
図3(B)に示すように、第2係止部136は、ナット形状(雌ねじ形状)を有し、保持部121は、ボルト形状(雄ねじ形状)を有する。保持部121は、第2係止部136に螺合することにより、第2係止部136に対して回転可能に設けられる。これにより、第2ユニット120は、クランク部135に対して回転可能に設けられる。第2ユニット120がクランク部135に対して回転可能であることにより、計測装置100は、第2ユニット120の設置時に第2ユニット120を回転させた際に、クランク部135に負荷がかかり、クランク部135が故障することを抑制できる。
【0047】
また、保持部121が第2係止部136に螺合して、保持部121の先端121aが第2係止部136の開口(ねじ穴)の底面に達した場合、保持部121の先端121aは第2係止部136の底面に押し付けられる。保持部121の先端121aと第2係止部136の底面の間の摩擦力により、保持部121は、第2係止部136に対して係止(固定)され、回転不能となる。したがって、クランク部135に対する第2ユニット120の回転は係止される。このように、第2係止部136は、接続部130の一端側に対する保持部121の回転を係止させる。これにより、計測装置100の使用時に、接続部130に対する第2ユニット120の回転が制限され、計測装置100は、基準物T1及び対象物T2に安定した状態で配置される。したがって、計測装置100は、設置後の第2ユニット120の回転による計測誤差の発生を抑制できる。
【0048】
なお、第2係止部136がボルト形状(雄ねじ形状)を有し、保持部121がナット形状(雌ねじ形状)を有してもよい。また、第2係止部136及び保持部121のうちの一方が筒状部材であり、他方が筒状部材に挿入され且つ筒状部材内部で回転可能に設けられる円柱部材であってもよい。その場合、筒状部材の側面には、中心に向かって貫通する貫通穴が形成される。ねじ部材が、貫通穴を介して、筒状部材に挿入された円柱部材の側面に突き当てられることにより、筒状部材に対する円柱部材の回転が係止される。
【0049】
図4(A)及び図4(B)は、第1ユニット110に対する接続部130の回転について説明するための模式図である。図4(A)は、計測装置100を側方から見た模式図であり、図4(B)は、計測装置100を上方から見た模式図である。
【0050】
上記したように、クランク部135の第2ユニット120側の端部の軸と、第1ユニット110側の端部の軸とは、略平行に且つずれて配置される。また、クランク部135の第2ユニット120側の端部は、第1ユニット110側の端部の軸を中心として回転可能に設けられる。これにより、図4(A)及び図4(B)に示すように、クランク部135が回転することによって、高さ方向A2及び横方向A3のそれぞれにおいて、第2ユニット120は第1ユニット110に対してずれた位置に配置される。即ち、クランク部135は、第1ユニット110が設置される基準物T1内の位置P1と、第2ユニット120が設置される対象物T2内の位置P2との間に高低差があっても、第1ユニット110及び第2ユニット120をそれぞれ位置P1及び位置P2に配置可能である。これにより、計測装置100は、高低差を有する位置に第1ユニット110及び第2ユニット120を配置することが可能となり、基準物T1に対して高低差を有する対象物T2の変位を良好に測定できる。
【0051】
特に、接続部130は、クランク部135の第1ユニット110側の端部を中心とするクランク部135の第2ユニット120側の端部の回転軌道の半径の範囲内で、第1ユニット110及び第2ユニット120をそれぞれ位置P1及び位置P2に配置可能である。クランク部135の第1ユニット110側の端部は、クランク部135の一端の一例であり、クランク部135の第2ユニット120側の端部は、クランク部135の他端の一例である。クランク部135の回転軌道の半径を大きくすることにより、計測装置100は、より大きな高低差を有する位置に第1ユニット110及び第2ユニット120を配置することが可能となる。したがって、計測装置100は、基準物T1に対してより大きな高低差を有する対象物T2であってもその変位を良好に測定できる。
【0052】
図5は、接続部130に対する第2ユニット120の回転について説明するための模式図である。
【0053】
図5に示す例では、基準物T1の位置P1は略水平に延伸する床面上に配置され、対象物T2の位置P2は略鉛直に延伸する壁面上に配置されている。上記したように、第2ユニット120は、クランク部135に対して回転可能に設けられ、第2係止部136により、クランク部135に対する第2ユニット120の回転は係止される。即ち、第2係止部136は、第1ユニット110の底面110aに対して、第2ユニット120の底面120aが任意の角度に配置された状態で、接続部130の一端側に対する保持部121の回転、即ちクランク部135に対する第2ユニット120の回転を係止させる。
【0054】
これにより、計測装置100は、任意の角度差を有する位置に第1ユニット110及び第2ユニット120を配置することが可能となり、基準物T1の表面に対して任意の角度差を有する表面を持つ対象物T2の変位を良好に測定できる。また、計測装置100は、第1ユニット110及び第2ユニット120において設置面を固有の面とし、他の面を平面以外の任意の形状とすることができるため、設計の自由度を向上させることができる。
【0055】
以下、計測装置100の設置手順について説明する。最初に、設置者は、第1ユニット110にバッテリ113をセットする。次に、設置者は、第1係止部133に対して第1被係止部134を緩めて、第1ユニット110に対してクランク部135を回転可能な状態とする。また、設置者は、第2係止部136に対して保持部121を緩めて、クランク部135に対して第2ユニット120を回転可能な状態とする。次に、設置者は、第1ユニット110及び第2ユニット120を移動及び回転させて、第1ユニット110の底面110a及び第2ユニット120の底面120aが基準物T1の表面及び対象物T2の表面と対向する位置を決定する。次に、設置者は、接着剤、両面テープ又はねじ等を用いて、第1ユニット110の底面110a及び第2ユニット120の底面120aを基準物T1の表面及び対象物T2の表面に固定させる。次に、設置者は、第1係止部133に対して第1被係止部134を締めて、第1ユニット110に対してクランク部135を固定させる。また、設置者は、第2係止部136に対して保持部121を締めて、クランク部135に対して第2ユニット120を固定させる。最後に、設置者は、第1ユニット110から固定部材111を取り外し、代わりに蓋部材111bを開口110eに配置させる。
【0056】
このように、設置者は、計測装置100を基準物T1及び対象物T2上に容易且つ確実に設置することができる。
【0057】
図6は、計測装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0058】
図6に示すように、センサ112、通信装置115及び制御ユニット117は、相互に接続される。制御ユニット117は、記憶装置140及び処理回路150等を有する。
【0059】
記憶装置140は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の半導体メモリを備える。記憶装置140は、処理回路150による処理に用いられるコンピュータプログラム、データ等を記憶する。コンピュータプログラムは、サーバから通信装置115を介して、又は、インストール用装置から不図示のシリアル通信回路を介して記憶装置140にインストールされる。なお、コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0060】
処理回路150は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等でもよい。処理回路150は、センサ112、通信装置115及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、記憶装置140に記憶されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従って動作することにより、検出手段151及び送信手段152として機能する。
【0061】
図7は、計測装置100によって実行される計測処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0062】
以下、図7に示したフローチャートを参照しつつ、計測装置100の計測処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により計測装置100の各要素と協働して実行される。
【0063】
最初に、検出手段151は、センサ112から変位信号を取得する(ステップS101)。次に、検出手段151は、取得した変位信号に示されるロッド部131の変位を特定することにより、ロッド部131の初期位置からの変位を検出する(ステップS102)。次に、検出手段151は、検出したロッド部131の変位の大きさが、予め設定された閾値より大きいか否かを判定する(ステップS103)。検出手段151は、変位の大きさが閾値以下であると判定した場合、特に処理を実行せずに、ステップS101へ処理を戻し、ステップS101以降の処理を繰り返す。一方、検出手段151により変位の大きさが閾値より大きいと判定された場合、送信手段152は、変位の大きさが閾値を超えたことを示す警告信号を、通信装置115を介して外部の情報処理装置に送信する(ステップS104)。警告信号には、第2ユニット120の変位の大きさ及び向き等の情報が含まれてもよい。情報処理装置は、計測装置100から警告信号を受信した場合、第2ユニット120が移動したこと、第2ユニット120の変位の大きさ及び向き等を管理者に通知する。その後、検出手段151は、ステップS101へ処理を戻し、ステップS101以降の処理を繰り返す。
【0064】
以上説明したように、計測装置100は、相互に離間した二つの位置に第1ユニット110と第2ユニット120とを設置して、各ユニットが設置された位置の間の距離の変化を測定する。計測装置100は、各ユニットの間にクランク部を回転可能に設けることにより、各ユニットが設置される位置の間に高低差があっても、各ユニットを各位置に適切に配置することが可能となる。これにより、計測装置100は、複数のユニットを用いて変位を計測する計測装置100を設置する際の設置者の利便性を向上させることが可能となる。
【0065】
計測装置100は、自然災害の発生等に備えて遊間が設けられた橋台と橋桁、トンネル内の継手部、又は、ビル間等に適切に配置され、各対象物の変位を良好に計測することが可能となる。また、設置者は、基準物T1の表面と、対象物T2の表面の間に段差があっても、段差を埋めるための板等の特別な部材を用いることなく、各表面に各ユニットを配置することが可能となる。設置者は、段差を埋めるための板と各ユニットの間の接着剤の厚み等を考慮する必要がなく、計測装置100の設置場所に段差等の制約があっても、計測装置100を容易に設置することができる。したがって、計測装置100は、計測装置100の設置用の部材費用の増大、及び、設置者の作業工数の増大を抑制することが可能となる。また、計測装置100は、クランク部を回転させることにより、各ユニットの底面の高低差を段階的でなく連続的に設定することが可能となり、各ユニットの高さを細かく調整することが可能となる。したがって、計測装置100は、任意の段差を有する表面に対して二つのユニットを傾けることなく平行に配置させることが可能となる。
【0066】
図8は、他の実施形態に係る計測装置200における接続部230について説明するための模式図である。
【0067】
計測装置200は、計測装置100が有する各部を有する。但し、図8に示すように、計測装置200は、保持部121及び接続部130の代わりに、保持部221及び接続部230を有する。
【0068】
接続部230は、ロッド部231、第1係止部233、第1被係止部234、クランク部235及び第2係止部236等を有する。ロッド部231は、ロッド部131と同様の構成及び機能を有する。また、接続部230は、接続部130と同様に、ジャバラ部132を有してもよい。
【0069】
第1係止部233は、ロッド部231の第2ユニット120側の端部に設けられる。第1被係止部234は、クランク部235の第1ユニット110側の端部に、第1係止部233に篏合するように設けられる。
【0070】
第1係止部233は、ソケット部233a及び押圧部233bを有する。ソケット部233aは、ロッド部231の端部に回転可能に取り付けられる。ソケット部233aは、BNCコネクタと同様の形状を有しており、ソケット部233aの側面には、J字形状を有し且つ一端が第2ユニット120側の端部に面する案内部233cが形成される。押圧部233bは、ロッド部231の端部に固定されて取り付けられる。押圧部233bは、ばね部材又はゴム部材等の弾性部材であり、第1被係止部234の先端234bに、第2ユニット120側に向かう付勢力を付与する。一方、第1被係止部234の側面には、突起部234aが設けられる。
【0071】
出荷前に、組立作業者は、案内部233cが所望の位置に配置されるように、ソケット部233aをロッド部231に対して回転させる。次に、組立作業者は、第1被係止部234の突起部234aを、案内部233cの第2ユニット120側の端部から進入させ、押圧部233bを押し込みながら、案内部233cの他端側まで案内させる。こうして、突起部234aが案内部233cの他端に配置された状態で出荷される。つまり、押圧部233bの付勢力によって第1被係止部234の先端234bと押圧部233bの間には常に摩擦力が発生し、第1被係止部234は係止(半固定)され、設置者による一定以上の力が働かない限り回転しない状態で出荷される。このとき、第1被係止部234が篏合されたソケット部233aも、ロッド部231に対して係止(半固定)され、設置者による一定以上の力が働かない限り回転しない状態となる。したがって、ロッド部231に対するクランク部235の回転、即ち第1ユニット110に対するクランク部235の回転は係止される。このように、第1係止部233及び第1被係止部234は、第1ユニット110に対する接続部230の少なくとも一部の回転を係止させる。即ち、係止とは、固定に限定されず、半固定も含む。
【0072】
これにより、計測装置200の使用時に、第1ユニット110に対する接続部230の回転が制限され、計測装置200は、基準物T1及び対象物T2に安定した状態で配置される。また、J字形状を有する案内部233cの端部に突起部234aを固定させることにより、クランク部235は、より安定して固定される。また、半固定状態での係止によって、設置者は、片手のみでロッド部231とクランク部235とを連結させることが可能となり、設置者の利便性が向上される。
【0073】
保持部221は、第2ユニット120の側面120bに設けられる。第2係止部236は、クランク部235の第2ユニット120側の端部に、保持部221に篏合するように設けられる。
【0074】
保持部221は、ソケット部221a及び押圧部221bを有する。ソケット部221aは、第2ユニット120の側面120bに回転可能に取り付けられる。ソケット部221aは、BNCコネクタと同様の形状を有しており、ソケット部221aの側面には、J字形状を有し且つ一端が第1ユニット110側の端部に面する案内部221cが形成される。押圧部221bは、第2ユニット120の側面120bに固定されて取り付けられる。押圧部221bは、ばね部材又はゴム部材等の弾性部材であり、第2係止部236の先端236bに、第1ユニット110側に向かう付勢力を付与する。一方、第2係止部236の側面には、突起部236aが設けられる。
【0075】
出荷前に、組立作業者は、案内部221cが所望の位置に配置されるように、ソケット部221aをクランク部235に対して回転させる。次に、組立作業者は、第2係止部236の突起部236aを、案内部221cの第1ユニット110側の端部から進入させ、押圧部221bを押し込みながら、案内部221cの他端側まで案内させる。こうして、突起部236aが案内部221cの他端に配置された状態で出荷される。つまり、第2係止部236の先端236bと押圧部221bの間には常に摩擦力が発生し、第2係止部236は係止(半固定)され、設置者による一定以上の力が働かない限り回転しない状態で出荷される。このとき、第2係止部236が篏合されたソケット部221aも、クランク部235に対して係止(半固定)され、設置者による一定以上の力が働かない限り回転しない状態となる。したがって、クランク部235に対する第2ユニット120の回転は係止される。このように、第2係止部236は、接続部230の一端側に対する保持部221の回転を係止させる。即ち、係止とは、固定に限定されず、半固定も含む。
【0076】
これにより、計測装置200の使用時に、接続部230に対する第2ユニット120の回転が制限され、計測装置200は、基準物T1及び対象物T2に安定した状態で配置される。また、J字形状を有する案内部221cの端部に突起部236aを固定させることにより、第2ユニット120は、より安定して固定される。また、半固定状態での係止によって、設置者は、片手のみでクランク部235と第2ユニット120とを連結させることが可能となり、設置者の利便性が向上される。
【0077】
以上説明したように、計測装置200は、接続部230を使用する場合も、複数のユニットを用いて変位を計測する計測装置200を設置する際の設置者の利便性を向上させることが可能となる。
【0078】
以上、好適な実施形態について説明してきたが、実施形態はこれらに限定されない。例えば、クランク部は、接続部に対して着脱可能に設けられてもよい。その場合、接続部には、取り外されたクランク部の代わりに、直線形状を有する第2ロッド部が取り付けられてもよい。これにより、設置者は、基準物T1と対象物T2の表面に高低差がない場合は、接続部に第2ロッド部を取り付けて、第1ユニット110と第2ユニット120を水平に配置することができる。一方、設置者は、基準物T1と対象物T2の表面に高低差がある場合は、接続部にクランク部を取り付けて、第1ユニット110と第2ユニット120の高さ位置を異ならせることができる。したがって、計測装置は、様々な環境における対象物の変位を適切に計測することができる。
【0079】
また、接続部において、ロッド部とクランク部の間に第3ユニットが設けられつつ、クランク部及び第2ユニット120は、第3ユニットに対して着脱可能に設けられてもよい。第3ユニットは、第2ユニットと同様の構造及び機能を有する。これにより、設置者は、基準物T1と対象物T2の表面に高低差がない場合は、第3ユニットを対象物T2に設置しつつ、第3ユニットからクランク部及び第2ユニット120を取り外して、第1ユニット110と第3ユニットを水平に配置することができる。この場合、計測装置は、第1ユニット110の設置位置と第3ユニットの設置位置の間の距離の変化を計測する。一方、設置者は、基準物T1と対象物T2の表面に高低差がある場合は、第3ユニットにクランク部及び第2ユニット120を取り付けて、第1ユニット110と第2ユニット120の高さ位置を異ならせることができる。この場合、計測装置は、第1ユニット110の設置位置と第2ユニット120の設置位置の間の距離の変化を計測する。
【0080】
この場合、クランク部の回転機構である第1係止部及び第1被係止部は、第3ユニットとクランク部の間に設けられる。なお、クランク部の回転機構である第1係止部及び第1被係止部は、ロッド部と第3ユニットの間に設けられてもよい。
【0081】
また、第1ユニット110が基準物T1に、第2ユニット120又は第3ユニットが対象物T2に設置されるのでなく、第1ユニット110が対象物T2に、第2ユニット120又は第3ユニットが基準物T1に設置されてもよい。その場合、対象物T2内の位置P2が第1位置の一例であり、基準物T1内の位置P1が第2位置の一例である。
【0082】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0083】
100、200 計測装置
110 第1ユニット
112 センサ
120 第2ユニット
121 保持部
130、230 接続部
133、233 第1係止部
134、234 第1被係止部
135、235 クランク部
136、236 第2係止部
【要約】
【課題】複数のユニットを用いて変位を計測する計測装置を設置する際の設置者の利便性を向上させることが可能な計測装置を提供する。
【解決手段】計測装置は、第1位置に設置される第1ユニットと、第1位置から離間した第2位置に設置される第2ユニットと、第1ユニットと第2ユニットの間に配置される接続部と、第2ユニットに設けられ、且つ、接続部の少なくとも一部を回転可能に接続部の一端側を保持する保持部と、第1ユニットに配置され、且つ、接続部の他端側の変位を第1位置と第2位置の間の距離の変化として計測するセンサと、を有し、接続部は、接続部の少なくとも一部が回転することによって、第1位置と第2位置との間に高低差があっても、第1ユニット及び第2ユニットをそれぞれ第1位置及び第2位置に配置可能なクランク部を含む。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8