(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】エッジ割れ検出装置及び圧延設備並びにエッジ割れ検出方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/16 20180101AFI20230525BHJP
G01N 23/18 20180101ALI20230525BHJP
【FI】
G01N23/16
G01N23/18
(21)【出願番号】P 2022543835
(86)(22)【出願日】2020-08-18
(86)【国際出願番号】 JP2020031091
(87)【国際公開番号】W WO2022038668
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】314017543
【氏名又は名称】Primetals Technologies Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松井 陽一
(72)【発明者】
【氏名】小田原 優太
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-017383(JP,A)
【文献】特開平06-288934(JP,A)
【文献】特開平01-250848(JP,A)
【文献】特開昭61-099846(JP,A)
【文献】特開平09-089809(JP,A)
【文献】特開2000-283932(JP,A)
【文献】特開昭63-201512(JP,A)
【文献】特開平08-094341(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0127627(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第104897058(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N23/00-23/2276
G01N21/84-21/958
G01B15/00-15/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される金属板のエッジ割れを検出するためのエッジ割れ検出装置であって、
前記金属板の板幅方向に沿って配列される複数の素子を含む検出部を備え、
前記複数の素子の各々は、前記板幅方向における該素子の位置での前記金属板の有無を検出可能に構成され、
前記複数の素子のうち、前記板幅方向における第1領域内に位置する複数の第1素子の各々による検出結果に基づいて、前記板幅方向における前記金属板の板端位置を特定するように構成された板端位置特定部と、
前記複数の素子のうち、前記板端位置に基づいて選択され、前記板幅方向において前記第1領域よりも狭い第2領域内に位置する複数の第2素子の各々による検出結果に基づいて、前記金属板のエッジ割れを検出するように構成されたエッジ割れ検出部と、
を備え
、
前記板端位置特定部は、第1サイクル時間毎に、前記複数の第1素子の各々による検出結果を取得するとともに該検出結果に基づいて前記板端位置を特定するように構成され、
前記エッジ割れ検出部は、前記第1サイクル時間よりも短い第2サイクル時間毎に前記複数の第2素子の各々による検出結果を取得するように構成された
エッジ割れ検出装置。
【請求項2】
前記第2サイクル時間は、前記第1サイクル時間の1/10以下である
請求項
1に記載のエッジ割れ検出装置。
【請求項3】
前記板端位置特定部は、前記第1サイクル時間毎に、前記複数の第1素子の状態を前記板幅方向に沿って順に読み込むことで、前記第1サイクル時間における前記複数の第1素子による検出結果を取得するように構成された
請求項
1又は
2に記載のエッジ割れ検出装置。
【請求項4】
前記エッジ割れ検出部は、前記第2サイクル時間毎に、前記複数の第2素子の状態を前記板幅方向に沿って順に読み込むことで、前記第2サイクル時間における前記複数の第2素子による検出結果を取得するように構成された
請求項
1乃至
3の何れか一項に記載のエッジ割れ検出装置。
【請求項5】
前記エッジ割れ検出部は、前記複数の第2素子のうち、前記板幅方向における前記第2素子の位置において前記金属板が存在しないことを検出した前記第2素子の個数に基づいて、前記エッジ割れを検出するように構成された
請求項1乃至
4の何れか一項に記載のエッジ割れ検出装置。
【請求項6】
前記エッジ割れ検出部は、前記複数の第2素子のうち、連続して配列される規定個数以上の第2素子の各々が前記金属板が存在しないことを検出したとき、前記金属板にエッジ割れがあると判定するように構成された
請求項
5に記載のエッジ割れ検出装置。
【請求項7】
前記エッジ割れ検出部は、前記複数の第2素子の個数に対する、前記金属板が存在しないことを検出した前記第2素子の個数の割合が規定値以上であるとき、前記金属板にエッジ割れがあると判定するように構成された
請求項
5又は
6に記載のエッジ割れ検出装置。
【請求項8】
前記第2領域は、前記板端位置と、前記板端位置から前記板幅方向において内側にずれた位置との間の領域である
請求項1乃至
7の何れか一項に記載のエッジ割れ検出装置。
【請求項9】
前記エッジ割れ検出部は、前記複数の第2素子のうち、前記板端位置よりも内側に位置する第2素子が前記金属板が存在しないことを検出するか否かに基づき、前記金属板におけるエッジ割れの存在の可能性を判定するように構成され、
前記エッジ割れ検出部である上流側エッジ割れ検出部と、
前記エッジ割れ検出部であるとともに、前記金属板の搬送方向において前記上流側エッジ割れ検出部とは異なる位置に設けられる下流側エッジ割れ検出部と、
同時刻において、前記上流側エッジ割れ検出部又は前記下流側エッジ割れ検出部の一方のみが、前記エッジ割れの可能性があると判定したときに、前記金属板にエッジ割れがあると判定するように構成された第1判定部と、を備える
請求項1乃至
8の何れか一項に記載のエッジ割れ検出装置。
【請求項10】
搬送される金属板のエッジ割れを検出するためのエッジ割れ検出装置であって、
前記金属板の板幅方向に沿って配列される複数の素子を含む検出部を備え、
前記複数の素子の各々は、前記板幅方向における該素子の位置での前記金属板の有無を検出可能に構成され、
前記複数の素子のうち、前記板幅方向における第1領域内に位置する複数の第1素子の各々による検出結果に基づいて、前記板幅方向における前記金属板の板端位置を特定するように構成された板端位置特定部と、
前記複数の素子のうち、前記板端位置に基づいて選択され、前記板幅方向において前記第1領域よりも狭い第2領域内に位置する複数の第2素子の各々による検出結果に基づいて、前記金属板のエッジ割れを検出するように構成されたエッジ割れ検出部と、
を備え、
前記エッジ割れ検出部は、前記複数の第2素子のうち、前記板端位置よりも内側に位置する第2素子が前記金属板が存在しないことを検出するか否かに基づき、前記金属板におけるエッジ割れの存在の可能性を判定するように構成され、
前記エッジ割れ検出部である第1端側エッジ割れ検出部と、
前記エッジ割れ検出部であるとともに、前記板幅方向において前記金属板を挟んで前記第1端側エッジ割れ検出部とは反対側に設けられる第2端側エッジ割れ検出部と、
同時刻において、前記第1端側エッジ割れ検出部が前記エッジ割れの可能性があると判定し、かつ、前記第2端側エッジ割れ検出部において、前記板端位置よりも前記板幅方向にて外側に位置する第2素子が前記金属板が存在することを検出しないとき、前記金属板にエッジ割れがあると判定するように構成された第2判定部と、を備え
る
エッジ割れ検出装置。
【請求項11】
前記検出部は、
前記複数の素子を含む放射線受光部と、
前記金属板を挟んで前記放射線受光部とは反対側に設けられ、前記放射線受光部に向かう放射線を発生するように構成された放射線発生部と、を含み、
前記複数の素子の各々は、前記放射線を受けたときに前記板幅方向における前記素子の位置にて前記金属板は存在しないことを検出し、前記放射線を受けないときに前記板幅方向における前記素子の位置にて前記金属板が存在することを検出するように構成された
請求項1乃至
10の何れか一項に記載のエッジ割れ検出装置。
【請求項12】
金属板を圧延するための圧延装置と、
前記圧延装置での圧延中に前記金属板の板幅方向端部におけるエッジ割れを検出するように構成された請求項1乃至
11の何れか一項に記載のエッジ割れ検出装置と、
を備える圧延設備。
【請求項13】
搬送される金属板のエッジ割れを、前記金属板の板幅方向に沿って配列される複数の素子を含む検出部を用いて検出するエッジ割れ検出方法であって、
前記複数の素子の各々は、前記板幅方向における該素子の位置での前記金属板の有無を検出可能に構成され、
前記複数の素子のうち、前記板幅方向における第1領域内に位置する複数の第1素子の各々による検出結果に基づいて、前記板幅方向における前記金属板の板端位置を特定するステップと、
特定された前記板端位置に基づいて、前記複数の素子から前記板幅方向において前記第1領域よりも狭い第2領域内に位置する複数の第2素子を選択するステップと、
選択された前記複数の第2素子の各々による検出結果に基づいて、前記金属板のエッジ割れを検出するステップと、
を備え
、
前記板端位置を特定するステップは、第1サイクル時間毎に、前記複数の第1素子の各々による検出結果を取得するとともに該検出結果に基づいて前記板端位置を特定し、
前記エッジ割れを検出するステップでは、前記第1サイクル時間よりも短い第2サイクル時間毎に前記複数の第2素子の各々による検出結果を取得する
エッジ割れ検出方法。
【請求項14】
搬送される金属板のエッジ割れを、前記金属板の板幅方向に沿って配列される複数の素子を含む検出部を用いて検出するエッジ割れ検出方法であって、
前記複数の素子の各々は、前記板幅方向における該素子の位置での前記金属板の有無を検出可能に構成され、
前記複数の素子のうち、前記板幅方向における第1領域内に位置する複数の第1素子の各々による検出結果に基づいて、前記板幅方向における前記金属板の板端位置を特定するステップと、
特定された前記板端位置に基づいて、前記複数の素子から前記板幅方向において前記第1領域よりも狭い第2領域内に位置する複数の第2素子を選択するステップと、
選択された前記複数の第2素子の各々による検出結果に基づいて、前記金属板のエッジ割れを検出するステップと、
を備え、
前記エッジ割れを検出するステップでは、前記複数の第2素子のうち、前記板端位置よりも内側に位置する第2素子が前記金属板が存在しないことを検出するか否かに基づき、前記金属板におけるエッジ割れの存在の可能性を判定し、
同時刻において、前記板幅方向の第1端側において、前記エッジ割れを検出するステップを実行した結果前記エッジ割れの可能性があると判定され、かつ、前記板幅方向において前記金属板を挟んで第1端側とは反対の第2端側において、前記エッジ割れ検出するステップを実行した結果、前記板端位置よりも前記板幅方向にて外側に位置する第2素子が前記金属板が存在することを検出しないとき、前記金属板にエッジ割れがあると判定する
エッジ割れ検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エッジ割れ検出装置及び圧延設備並びにエッジ割れ検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属板の製造プロセスにおいて、金属板の板幅方向端部にエッジ割れが生じることがある。エッジ割れが拡大すると板破断に至る可能性があるため、エッジ割れを適切に検出することは重要である。
【0003】
特許文献1には、圧延プロセスラインの出側に設置したエッジプロフィール計を用いて、板端部での鋼板長手方向における板厚の急激な落ち込みに基づいて、鋼板のエッジ割れを検出することが記載されている。特許文献1に記載されるエッジプロフィール計は、板端部において互いに対向するように設けられるX線発生器及びX線検出器を含む。X線検出器は、板幅方向に配列される複数のセンサを含み、X線発生器で発生されて鋼板によって減衰されるX線を検出することで、板厚分布を計測するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、圧延ライン等において搬送される金属板のエッジ割れを、板幅方向に配列される複数のセンサ(素子)を用いて検出する場合、複数のセンサから短い時間間隔で次々に送られる多数の検出信号を計算機で受け取って処理する必要がある。したがって、高速で搬送される金属板の小さなエッジを適切に検出するために、効率的にエッジ割れを検出することが望まれる。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、金属板のエッジ割れを効率的に検出可能なエッジ割れ検出装置及び圧延設備並びにエッジ割れ検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態に係るエッジ割れ検出装置は、
搬送される金属板のエッジ割れを検出するためのエッジ割れ検出装置であって、
前記金属板の板幅方向に沿って配列される複数の素子を含む検出部を備え、
前記複数の素子の各々は、前記板幅方向における該素子に対応する位置での前記金属板の有無を検出可能に構成され、
前記複数の素子のうち、前記板幅方向における第1領域内に位置する複数の第1素子の各々による検出結果に基づいて、前記板幅方向における前記金属板の板端位置を特定するように構成された板端位置特定部と、
前記複数の素子のうち、前記板端位置に基づいて選択され、前記板幅方向において前記第1領域よりも狭い第2領域内に位置する複数の第2素子の各々による検出結果に基づいて、前記金属板のエッジ割れを検出するように構成されたエッジ割れ検出部と、
を備える。
【0008】
また、本発明の少なくとも一実施形態に係る圧延設備は、
金属板を圧延するための圧延装置と、
前記圧延装置での圧延中に前記金属板の板幅方向端部におけるエッジ割れを検出するように構成された上述のエッジ割れ検出装置と、
を備える。
【0009】
また、本発明の少なくとも一実施形態に係るエッジ割れ検出方法は、
搬送される金属板のエッジ割れを、前記金属板の板幅方向に沿って配列される複数の素子含む検出部を用いて検出するエッジ割れ検出方法であって、
前記複数の素子の各々は、前記板幅方向における該素子の位置での前記金属板の有無を検出可能に構成され、
前記複数の素子のうち、前記板幅方向おける第1領域内に位置する複数の第1素子の各々による検出結果に基づいて、前記板幅方向における前記金属板の板端位置を特定するステップと、
特定された前記板端位置に基づいて、前記複数の素子から前記板幅方向において前記第1領域よりも狭い第2領域内に位置する複数の第2素子を選択するステップと、
選択された前記複数の第2素子の各々による検出結果に基づいて、前記金属板のエッジ割れを検出するステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、金属板のエッジ割れを効率的に検出可能なエッジ割れ検出装置及び圧延設備並びにエッジ割れ検出方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る圧延設備の概略構成図である。
【
図2】一実施形態に係るエッジ割れ検出装置の概略構成図である。
【
図3】一実施形態に係るエッジ割れ検出装置の概略構成図である。
【
図4】一実施形態に係るエッジ割れ検出の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】金属板に生じるエッジ割れを模式的に示す図である。
【
図6】一実施形態に係るエッジ割れ検出処理を説明するための図である。
【
図7】
図6の模式図のうち、金属板の板端部を拡大して示す図である。
【
図8】一実施形態に係るエッジ割れ検出装置の概略構成図である。
【
図9】一実施形態に係るエッジ割れ検出装置の概略構成図である。
【
図10】第1判定部による判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】一実施形態に係るエッジ割れ検出装置の概略構成図である。
【
図12】一実施形態に係るエッジ割れ検出装置の概略構成図である。
【
図13】第2判定部による判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0013】
(圧延設備の構成)
以下、幾つかの実施形態に係るエッジ割れ検出装置の適用先の一例として金属板を圧延するための圧延設備について説明するが、幾つかの実施形態に係るエッジ割れ検出装置は、圧延設備以外の金属板の加工装置にも適用可能である。
【0014】
図1は、幾つかの実施形態に係るエッジ割れ検出装置が適用される圧延設備の概略構成図である。
図1に示すように、圧延設備1は、金属板Sを圧延するように構成された圧延装置2と、金属板Sのエッジ割れを検出するためのエッジ割れ検出装置100と、を備えている。
【0015】
圧延装置2は、金属板Sを圧延するための少なくとも1つの圧延スタンド10を含む。
図1に示す例示的な実施形態では、圧延装置2は1台の圧延スタンド10を含む。他の実施形態では、圧延装置2は2以上の圧延スタンド10を含んでいてもよい。
【0016】
圧延装置2は、圧延スタンド10に向けて金属板Sのコイルを巻き出すための巻出し機4と、圧延スタンド10からの金属板Sを巻き取るための巻取機14と、を含む。また、圧延スタンド10と巻出し機4との間、及び、圧延スタンド10と巻取機14との間には、金属板Sをガイドするための入側ピンチロール6及び出側ピンチロール12がそれぞれ設けられていてもよい。
【0017】
図1に示す圧延スタンド10は、圧延材料である金属板Sを挟むように設けられる一対の圧延ロール(ワークロール)15,16と、一対の圧延ロール15,16をそれぞれ挟んで、金属板Sとはそれぞれ反対側に設けられる一対の中間ロール17,18及び一対のバックアップロール19,20と、を含む。中間ロール17,18及びバックアップロール19,20は、圧延ロール15,16を支持するように構成されている。また、圧延スタンド10は、一対の圧延ロール15,16に荷重を加えて金属板Sを圧下するための圧下装置(不図示)を備えている。
【0018】
圧延ロール15,16には、スピンドル(不図示)等を介してモータ(不図示)が接続されており、圧延ロール15,16は、モータによって回転駆動されるようになっている。金属板Sの圧延時には、圧下装置で金属板Sを圧下しながらモータにより圧延ロール15,16を回転させることで、圧延ロール15,16と金属板Sとの間に摩擦力が生じ、この摩擦力によって金属板Sが圧延ロール15,16の出側へと搬送される。
【0019】
(エッジ割れ検出装置の構成)
図2及び
図3は、一実施形態に係るエッジ割れ検出装置の概略構成図である。
図1~
図3に示すように、エッジ割れ検出装置100は、搬送される金属板Sの板幅方向端部の近傍に設けられる検出部30と、検出部30からの信号を処理するための処理部50と、を備えている。
【0020】
処理部50は、検出部30からの信号に基づいて、金属板Sの板幅方向における板端位置を特定するための板端位置特定部52と、検出部30からの信号に基づいて、金属板Sの板幅方向の端部(以下、単に端部ともいう。)におけるエッジ割れを検出するためのエッジ割れ検出部54と、を含む。
【0021】
処理部50は、プロセッサ(CPU等)、記憶装置(メモリデバイス;RAM等)、補助記憶部及びインターフェース等を備えた計算機を含む。処理部50は、インターフェースを介して、検出部30からの信号を受け取るようになっている。プロセッサは、このようにして受け取った信号を処理するように構成される。また、プロセッサは、記憶装置に展開されるプログラムを処理するように構成される。これにより、上述の各機能部(板端位置特定部52及びエッジ割れ検出部54)の機能が実現される。
【0022】
処理部50での処理内容は、プロセッサにより実行されるプログラムとして実装される。プログラムは、補助記憶部に記憶されていてもよい。プログラム実行時には、これらのプログラムは記憶装置に展開される。プロセッサは、記憶装置からプログラムを読み出し、プログラムに含まれる命令を実行するようになっている。
【0023】
図3に示すように、検出部30は金属板Sの板幅方向に沿って配列される複数の素子36を含む。複数の素子36の各々は、板幅方向における該素子36の位置での金属板Sの有無を検出可能に構成される。金属板Sの有無の検出結果を示す信号は、処理部50に送られるようになっている。
【0024】
幾つかの実施形態では、検出部30は、放射線(X線等)を用いてエッジ割れを検出するように構成される。
図3に示す例示的な実施形態では、検出部30は、複数の素子36を含む放射線受光部34と、金属板Sを挟んで放射線受光部34とは反対側に設けられる放射線発生部32と、を含む。放射線発生部32は、放射線受光部34の複数の素子36に向かう放射線101(X線等)を発生するように構成される。
【0025】
一実施形態では、複数の素子36は、放射線101を受光すると信号を出力する半導体素子である。複数の素子36の各々は、放射線101を受けたときに板幅方向における当該素子36の位置にて金属板Sは存在しないことを検出し、放射線101を受けないときに板幅方向における当該素子36の位置にて金属板Sが存在することを検出するように構成される。
【0026】
すなわち、板幅方向において金属板Sが存在する領域においては、放射線発生部32からの放射線101は、金属板Sによって遮断される。このため、この領域に位置する素子36の各々は、放射線101を受けないので、放射線101を受光したことを示す信号を出力しない。一方、板幅方向において金属板Sが存在しない領域においては、放射線発生部32からの放射線101は、金属板Sによって遮断されない。このため、この領域に位置する素子36の各々は、放射線101を受け、放射線101を受光したことを示す信号を出力する。
【0027】
上述の半導体素子は、CdTe(カドミウムテルライド)系半導体素子であってもよい。CdTe系半導体素子は高い分解能を有するため、高速で搬送される金属板Sの板端位置やエッジ割れを適切に検出しやすい。
【0028】
複数の素子36の板幅方向における配列ピッチは、特に限定されないが、例えば、0.05mm以上1mm以下であってもよい。
【0029】
(エッジ割れ検出の処理フロー)
以下、幾つかの実施形態に係るエッジ割れ検出装置100よるエッジ割れ検出の処理の流れ(エッジ割れ検出方法)について説明する。
図4は、幾つかの実施形態に係るエッジ割れ検出装置100によるエッジ割れ検出の処理の流れを示すフローチャートである。
【0030】
図4に示すように、一実施形態ではまず、複数の素子36のうち、板幅方向における第1領域R1(
図3参照)内に位置する複数の第1素子36Aの各々による検出結果に基づいて、板幅方向における金属板Sの板端Eの位置を特定する(S2)。
【0031】
ステップS2について
図3に示す場合を説明する。
図3に示される例では、複数の第1素子36Aのうち、第1素子36A’及び第1素子36A’よりも板幅方向の内側(金属板Sの中心線側)に位置する第1素子36Aは、それぞれの第1素子36Aの位置にて金属板Sが存在することを検出する。また、複数の第1素子36Aのうち、第1素子36A’よりも板幅方向の外側(金属板Sの中心線と反対側)に位置する第1素子36Aは、それぞれの第1素子36Aの位置にて金属板Sが存在しないことを検出する。したがって、この場合、板幅方向における第1素子36A’の位置に板端Eが位置していると特定される。
【0032】
上述の第1領域R1の板幅方向における長さは、搬送中の金属板Sが多少蛇行した場合であっても、板端Eがこの第1領域R1の範囲内に含まれるように設定される。第1領域R1の板幅方向における長さは、例えば、金属板Sの板幅の1/4以上であってもよい。
【0033】
次に、エッジ割れ検出部54は、ステップS2で特定された板端Eの位置に基づいて、複数の素子36から、後続のステップS6にてエッジ割れの検出に用いる複数の第2素子36Bを選択する(S4)。複数の第2素子36Bは、板幅方向にて第1領域R1よりも狭い第2領域R2内に位置する。
【0034】
上述の第2領域R2は、板端Eの位置(即ち第1素子36A’の位置)を含む領域であってもよい。一実施形態では、例えば
図3に示すように、第2領域R2は、板端Eの位置と、該位置から板幅方向において内側にずれた位置との間の領域であってもよい。あるいは、一実施形態では、第2領域R2は、板端Eの位置から板幅方向において内側にずれた位置と、板端Eの位置から板幅方向において外側にずれた位置の間の領域であってもよい。
【0035】
また、エッジ割検出部54は、板端Eの位置に基づいて、エッジ割れの検出に用いる複数の第2素子を選択すればよく、第2領域R2に属する板幅方向の内側端の素子として、常に、板幅方向の最も内側の素子まで検出するようにしても良い。この場合でも、第1領域は第2領域よりも狭くなっている。
【0036】
なお、
図3に示す例では、複数の素子36のうち、第2素子36Bとして選択された素子36の各々は、第1素子36Aとしても機能する。すなわち、幾つかの実施形態では、複数の素子36の各々は、第1素子36A及び第2素子36Bの両方として機能し得るように構成されていてもよい。
【0037】
上述の第2領域R2の板幅方向における長さは、金属板Sに生じ得るエッジ割れの板幅方向の長さに基づいて設定されてもよい。例えば、金属板Sに生じることが予想されるエッジ割れの板幅方向の最大長さの2倍以上であってもよい。
【0038】
また、複数の第1素子36Aの個数は、複数の第2素子36Bの個数の20倍以上200倍以下であってもよい。
【0039】
次に、エッジ割れ検出部54は、ステップS4で選択された複数の第2素子36Bの各々による検出結果に基づいて金属板Sのエッジ割れを検出する(S6)。
【0040】
ここで、
図5は、金属板Sに生じるエッジ割れ(
図5中の斜線部)を模式的に示す図である。
図5に示すように、エッジ割れ90は、金属板Sの板幅方向の端部に生じる欠陥である。エッジ割れ90は、通常、金属板Sの板端Eから板幅方向の内側に向かって凹む形状を有する。なお、
図5に示すエッジ割れ90は、金属板Sの板幅方向の長さWであり、金属板Sの長手方向の長さLである。
【0041】
金属板Sにエッジ割れ90(金属板Sの欠損部分)が存在する場合、板幅方向においてエッジ割れ90が存在する位置の第2素子36Bの各々は、当該位置において金属板が存在しないことを検出する。また、板幅方向においてエッジ割れ90が存在しない位置の第2素子36Bの各々は、当該位置において金属板Sが存在することを検出する。したがって、複数の第2素子36Bによる検出結果に基づいて、金属板Sにおけるエッジ割れの有無を検出することができる。
【0042】
上述の実施形態によれば、複数の第1素子36Aによる検出結果から特定された板端Eの位置に基づいて選択される少数の第2素子36Bを用いてエッジ割れを検出可能である。このため、多数の素子を用いてエッジ割れ検出を行う場合等に比べて計算処理負荷を低減可能であり、効率的にエッジ割れを検出することができる。また、上述の実施形態では、比較的少数の第2素子36Bを用いてエッジ割れ検出をするため、多数の素子を用いる場合に比べ、短いサイクルでエッジ割れを検出しやすい。よって、高速で搬送される金属板Sの小さなエッジ割れを適切に検出することができる。
【0043】
幾つかの実施形態では、ステップS2において、板端位置特定部52は、第1サイクル時間T1毎に、複数の第1素子36Aの各々による検出結果を取得するとともに該検出結果に基づいて板端Eの位置を特定する。そして、ステップS6において、エッジ割れ検出部54は、第1サイクル時間T1よりも短い第2サイクル時間T2毎に複数の第2素子36Bの各々による検出結果を取得するように構成される。
【0044】
図6は、一実施形態に係るエッジ割れ検出処理を説明するための図であり、金属板Sの板幅方向及び長手方向における複数の素子36の各々の検出位置を、金属板Sの進行に合わせて、進行方向に移動させて示した模式図である。
図6において、複数の第1素子36Aによる検出位置は破線102で示され、複数の第2素子36Bによる検出位置は破線104で示されている。ここでは、金属板Sは一定の速度Vで搬送されていることを前提とする。なお、第1サイクル時間T1の間に金属板Sは距離L1(=V×T1)だけ進行し、第2サイクル時間T2の間に金属板Sは距離L2(=V×T2)だけ進行する。
【0045】
なお、
図6において、複数の第1素子36Aは、板幅方向の最も外側に位置する第1素子36Aから順に、当該第1素子36Aの板幅方向の位置における金属板Sの有無を検出するようになっている。また、複数の第2素子36Bは、板幅方向の最も外側に位置する第2素子36Bから順に、当該第2素子36Bの板幅方向の位置における金属板Sの有無を検出するようになっている。また、
図6において、第2領域R2は、複数の第1素子36Aによって特定された板端Eの位置(P1,P2等)から板幅方向内側の領域である。
【0046】
第1サイクル時間T1毎に、複数の第1素子36Aの各々による検出結果を1回ずつ取得する(即ち、複数の第1素子36Aの各々の状態を読み込む)場合、
図6に示すように、第1サイクル時間T1の間に金属板Sは距離L1だけ進行するから、金属板Sの長手方向の長さL1の範囲において、複数の第1素子36Aによって、板幅方向における第1領域R1内の各位置における金属板Sの有無が検出される。この長さL1の範囲において、通常は、1か所板端の位置(図中のP1,P2)が検出される。
【0047】
また、第2サイクル時間T2毎に、複数の第2素子36Bの各々による検出結果を1回ずつ取得する(即ち、複数の第2素子36Bの各々の状態を読み込む)場合、
図6に示すように、第2サイクル時間T2の間に金属板Sは距離L2だけ進行するから、金属板Sの長手方向の長さL2の範囲において、複数の第2素子36Bによって、板幅方向における第2領域R2内の各位置における金属板Sの有無が検出される。
【0048】
金属板Sの搬送中における板端Eの位置の変化は、金属板Sの搬送速度に対して比較的緩慢である。例えば、典型的な圧延装置の場合、金属板Sが数m進行する間に、板端位置が数mm変化する程度の場合がある。この場合、板端Eの位置は徐々に変化するため、検出サイクルをあまり短くしなくても板端Eの位置の変化を検出可能である。一方、金属板Sのエッジ割れのサイズは、金属板Sの搬送速度に対して大幅に小さい。例えば、圧延装置における典型的な搬送速度が数百mpm(あるいは数千mm/s)であるのに対し、金属板Sの長手方向におけるエッジ割れの長さは、0.5~数mm程度である。したがって、エッジ割れを見逃さずに検出するためには、検出サイクルをある程度短くする必要がある。
【0049】
この点、上述の実施形態によれば、比較的長い第1サイクル時間T1毎に複数の第1素子36Aの各々による検出結果を取得するようにしたので、板端Eの位置の特定のための計算処理負荷の増大を抑制することができるとともに、比較的短い第2サイクル時間T2ごとに複数の第2素子36Bの各々による検出結果を取得するようにしたので、高速で搬送される金属板Sの小さなエッジ割れをより確実に検出することができる。
【0050】
幾つかの実施形態では、第2サイクル時間T2は、第1サイクル時間T1の1/10以下である。即ち、
図6に示す第2サイクル時間T2の間の金属板Sの進行距離L2は、第1サイクル時間T1の間の金属板Sの進行距離L1の1/10以下である。
【0051】
この場合、第2サイクル時間T2に比べて10倍以上の比較的長い第1サイクル時間T1毎に複数の第1素子36Aの各々による検出結果を取得するようにしたので、板端Eの位置の特定のための計算処理負荷の増大を抑制することができるとともに、第1サイクル時間T1に比べて1/10以下の比較的短い第2サイクル時間T2ごとに複数の第2素子36Bの各々による検出結果を取得するようにしたので、高速で搬送される金属板Sの小さなエッジ割れをより確実に検出することができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、ステップS2において、板端位置特定部52は、第1サイクル時間T1毎に、複数の第1素子36Aの状態を板幅方向に沿って順に読み込むことで、第1サイクルT1時間における複数の第1素子36Aによる検出結果を取得するように構成される。なお、第1サイクル時間T1毎に、板幅方向の外側から内側に向かって、複数の第1素子36Aの状態を板幅方向に沿って順に読み込んだ場合、これらの複数の第1素子36Aによる金属板Sの有無の検出位置は、
図6に示す破線102で示すものとなる。
【0053】
上述の実施形態によれば、第1サイクル時間T1毎に、複数の第1素子36Aの状態を板幅方向に沿って順に読み込んで複数の第1素子36Aによる検出結果を取得するようにしたので、比較的簡素な構成で金属板Sの板端Eの位置を特定することができる。例えば、比較的簡素な構成のプログラムとして、板端位置特定部52を実装することができる。
【0054】
図6では、破線104が示す検出速度は破線102が示す検出速度よりも大きい。このように検出速度が大きいほうがエッジ割れの検出にはより好ましい。これに限定せず、破線104の検出速度は破線102の検出速度と同じでも良いし、また、小さくても良い。ここで、検出速度とは、移動距離(検出する素子の数)/サンプリング時間を意味する。
【0055】
幾つかの実施形態では、ステップS6において、エッジ割れ検出部54は、第2サイクル時間T2毎に、複数の第2素子36Bの状態を板幅方向に沿って順に読み込むことで、第2サイクル時間T2における複数の第2素子36Bによる検出結果を取得するように構成される。なお、第2サイクル時間T2毎に、板幅方向の外側から内側に向かって、複数の第2素子36Bの状態を板幅方向に沿って順に読み込んだ場合、これらの複数の第2素子36Bによる金属板Sの有無の検出位置は、
図6に示す破線104で示すものとなる。
【0056】
上述の実施形態によれば、第2サイクル時間T2毎に、複数の第2素子36Bの状態を板幅方向に沿って順に読み込んで複数の第2素子36Bによる検出結果を取得するようにしたので、比較的簡素な構成で金属板Sのエッジ割れを検出することができる。例えば、比較的簡素な構成のプログラムとして、エッジ割れ検出部54を実装することができる。
【0057】
図7は、
図6の模式図のうち、金属板Sの板端部を拡大して示す図である。図中の各点(黒い丸及び白い丸)は、それぞれ、各第2素子36Bによる検出結果を示す。黒い丸は、当該第2素子36Bの板幅方向の位置で、金属板Sが存在しないことが検出されたことを示し、白い丸は、当該第2素子36Bの板幅方向の位置で、金属板Sが存在することが検出されたことを示す。
【0058】
幾つかの実施形態では、ステップS6において、エッジ割れ検出部54は、複数の第2素子36Bのうち、板幅方向における第2素子36Bの位置において金属板Sが存在しないことを検出した第2素子36Bの個数(即ち、
図7中の黒い丸の個数)に基づいて、エッジ割れを検出するように構成される。
【0059】
なお、エッジ割れ検出部54は、第2サイクル時間T2毎に、複数の第2素子36Bのうち、板幅方向における第2素子36Bの位置において金属板Sが存在しないことを検出した第2素子36Bの個数を取得するとともに、第2サイクル時間T2毎に、この個数に基づいて、エッジ割れを検出するようにしてもよい。
【0060】
金属板Sのエッジ割れが存在するとき、板幅方向における該エッジ割れの位置に対応する第2素子36Bは、当該位置において金属板Sが存在しないことを検出し、他の第2素子は、該第2素子36Bに対応する位置において金属板Sが存在することを検出する。上述の実施形態によれば、複数の第2素子36Bのうち、板幅方向における第2素子36Bの位置において金属板Sが存在しないことを検出した第2素子36Bの個数に基づいて、金属板Sのエッジ割れを適切に検出することができる。
【0061】
幾つかの実施形態では、ステップS6において、エッジ割れ検出部54は、複数の第2素子36Bのうち、連続して配列される規定個数以上の第2素子36Bの各々が金属板Sが存在しないことを検出したとき、該金属板Sにエッジ割れがあると判定するように構成される。
【0062】
例えば、第2素子の総数がM個であるときに、連続して配列されるL個以上の第2素子36Bが金属板Sが存在しないことを検出したとき、金属板Sにエッジ割れがあると判定するようにしてもよい。
【0063】
より具体的に、例えば
図7に示すように、第2素子36Bの総数が10個であるときに、連続して5個以上の第2素子36Bが金属板Sが存在しないことを検出したとき、金属板Sにエッジ割れがあると判定してもよい。
図7に示す例では、第2サイクル時間T2毎の各サイクルC1~C4のそれぞれにおいて、連続して金属板Sが存在しないことを検出した第2素子36Bの個数は、それぞれ、1、3、6、4である。すなわち、サイクルC3において、連続して5個以上(具体的には6個)の第2素子36Bによる検出が金属板Sが存在しないことを検出したので、サイクルC3に対応する長手方向の位置に、金属板Sにエッジ割れがあると判定することができる。
【0064】
幾つかの実施形態では、ステップS6において、エッジ割れ検出部54は、複数の第2素子36Bの個数(総数)Mに対する、金属板Sが存在しないことを検出した第2素子36Bの個数Nの割合N/Mが規定値以上であるとき、金属板Sにエッジ割れがあると判定するように構成される。
【0065】
例えば、上述の割合N/Mが1/2以上であるときに、金属板Sにエッジ割れがあると判定するようにしてもよい。例えば
図7に示す例では、第2素子36Bの総数(M)が10個である。また、第2サイクル時間T2毎の各サイクルC1~C4のそれぞれにおいて、金属板Sが存在しないことを検出した第2素子36Bの個数(N)は、それぞれ、1,6,6,4である。したがって、サイクルC2及びC3において、N/Mが1/2以上であるから、サイクルC2及びC3に対応する長手方向の位置に、金属板Sにエッジ割れがあると判定することができる。
【0066】
図8及び
図9は、それぞれ、一実施形態に係るエッジ割れ検出装置100の概略構成図である。なお、
図8は、圧延設備1における圧延スタンド10近傍の平面視における図である。
【0067】
図8に示すように、一実施形態では、金属板Sの板幅方向における第1端E1側にて、金属板Sの進行方向において異なる位置に、複数の検出部30(上流側検出部30A及び下流側検出部30B)が設けられる。また、
図9に示すように、処理部50は、複数の検出部30の各々に対応してそれぞれ設けられる複数の板端位置特定部52及び複数のエッジ割れ検出部54を含む。具体的には、上流側検出部30Aに対応して、上流側板端位置特定部52A及び上流側エッジ割れ検出部54Aが設けられるとともに、下流側検出部30Bに対応して、下流側板端位置特定部52B及び下流側エッジ割れ検出部54Bが設けられる。
【0068】
上流側エッジ割れ検出部54Aは、上流側検出部30Aの複数の第2素子36Bのうち、上流側板端位置特定部52Aで特定された板端E1の位置よりも内側に位置する第2素子36Bが金属板Sが存在しないことを検出するか否かに基づき、金属板Sにおけるエッジ割れの存在の可能性を判定するように構成される。下流側エッジ割れ検出部54Bは、下流側検出部30Bの複数の第2素子36Bのうち、下流側板端位置特定部52Bで特定された板端E1の位置よりも内側に位置する第2素子36Bが金属板Sが存在しないことを検出するか否かに基づき、金属板Sにおけるエッジ割れの存在の可能性を判定するように構成される。
【0069】
処理部50は、上流側エッジ割れ検出部54A及び下流側エッジ割れ検出部54Bによる判定結果に基づいて、金属板Sにエッジ割れがあるか否かを判定するように構成された第1判定部56を含む。第1判定部56は、同時刻において、上流側エッジ割れ検出部54A又は下流側エッジ割れ検出部54Bの一方のみが、エッジ割れの可能性があると判定したときに、金属板Sにエッジ割れがあると判定するように構成される。
【0070】
図10は、上述の第1判定部56による判定処理の一例を示すフローチャートである。まず、上述したように、上流側エッジ割れ検出部54A及び下流側エッジ割れ検出部54Bのそれぞれにより、金属板Sにおけるエッジ割れの存在の可能性を判定する(S102)。その結果、上流側エッジ割れ検出部54Aが、金属板Sのエッジ割れの可能性があると判定したとする(S104でYes)。この場合、第1判定部56は、ステップS104での上流側エッジ割れ検出部54Aによる判定と同時刻に、下流側エッジ割れ検出部54Bが金属板Sのエッジ割れの可能性があると判定したか否かを判定する(S106)。
【0071】
同時刻に下流側エッジ割れ検出部54Bが金属板Sのエッジ割れの可能性があると判定していなかった場合(S106でNo)、金属板Sにエッジ割れがあると判定し(S108)、フローを終了する。一方、同時刻に下流側エッジ割れ検出部54が金属板Sのエッジ割れの可能性があると判定していた場合(S106でYes)、金属板Sにエッジ割れが生じていない可能性があると判定し(S110)、フローを終了する。
【0072】
なお、第1判定部56は、同一時刻に、上流側エッジ割れ検出部54Aと下流側エッジ割れ検出部54Bの両方がエッジ割れの可能性があると判定した場合には(S106でYes)、金属板Sにエッジ割れではなく蛇行(板幅方向における振動)が生じた可能性がある、と判定するようにしてもよい。
【0073】
あるいは、第1判定部56は、ステップS106にて、同一時刻に、上流側エッジ割れ検出部54Aと下流側エッジ割れ検出部54Bの両方が、金属板Sの板幅方向又は長手方向にて同一サイズのエッジ割れが生じた可能性があると判定した場合には、金属板Sにエッジ割れではなく蛇行(板幅方向における振動)が生じた可能性がある、と判定するようにしてもよい。
【0074】
なお、上述のステップS102~S110において、上流側エッジ割れ検出部54Aと下流側エッジ割れ検出部54Bとを入れ替えても同様の説明が成り立つ。
【0075】
上述の実施形態によれば、同一時刻において、上流側エッジ割れ検出部54A及び下流側エッジ割れ検出部54Bの一方のみがエッジ割れの可能性があると判定したときに金属板Sにエッジ割れがあると判定するようにしたので、エッジ割れの有無についての誤判定を抑制することができる。例えば、実際には金属板Sの蛇行が生じた場合に、エッジ割れであると誤判定することを抑制することができる。
【0076】
図11及び
図12は、それぞれ、一実施形態に係るエッジ割れ検出装置100の概略構成図である。なお、
図11は、圧延設備1における圧延スタンド10近傍の平面視における図である。
【0077】
図11に示すように、一実施形態では、金属板Sの板幅方向における第1端E1側及び第2端E2側に、検出部30(第1端側検出部30C及び第2端側検出部30D)がそれぞれ設けられる。また、
図12に示すように、処理部50は、複数の検出部30の各々に対応してそれぞれ設けられる複数の板端位置特定部52及び複数のエッジ割れ検出部54を含む。具体的には、第1端側検出部30Cに対応して、第1端側板端位置特定部52C及び第1端側エッジ割れ検出部54Cが設けられるとともに、第2端側検出部30Dに対応して、第2端側板端位置特定部52D及び第2端側エッジ割れ検出部54Dが設けられる。
【0078】
第1端側エッジ割れ検出部54Cは、第1端側検出部30Cの複数の第2素子36Bのうち、第1端側板端位置特定部52Cで特定された板端E1の位置よりも内側に位置する第2素子36Bが金属板Sが存在しないことを検出するか否かに基づき、金属板Sにおけるエッジ割れの存在の可能性を判定するように構成される。第2端側エッジ割れ検出部54Dは、第2端側検出部30Dの複数の第2素子36Bのうち、第2端側板端位置特定部52Dで特定された板端E2の位置よりも内側に位置する第2素子36Bが金属板Sが存在しないことを検出するか否かに基づき、金属板Sにおけるエッジ割れの存在の可能性を判定するように構成される。
【0079】
処理部50は、第1端側エッジ割れ検出部54C及び第2端側エッジ割れ検出部54Dによる判定結果に基づいて、金属板Sにエッジ割れがあるか否かを判定するように構成された第2判定部58を含む。第2判定部58は、同時刻において、第1端側エッジ割れ検出部54Cがエッジ割れの可能性があると判定し、かつ、第2端側エッジ割れ検出部54Dにおいて、板端E2の位置よりも板幅方向にて外側に位置する第2素子36Bが金属板Sが存在することを検出しないとき、金属板Sにエッジ割れがあると判定するように構成される。
【0080】
図13は、上述の第2判定部58による判定処理の一例を示すフローチャートである。まず、上述したように、第1端側エッジ割れ検出部54C及び第2端側エッジ割れ検出部54Dのそれぞれにより、金属板Sにおけるエッジ割れの存在の可能性を判定する(S202)。その結果、第1端側エッジ割れ検出部54Cが、金属板Sのエッジ割れの可能性があると判定したとする(S204でYes)。この場合、第2判定部58は、ステップS204での第1端側エッジ割れ検出部54Cによる判定と同時刻に、第2端側エッジ割れ検出部54Dが、板端E2の位置よりも板幅方向にて外側に位置する第2素子36Bが金属板が存在することを検出したか否かを判定する(S206)。
【0081】
同時刻に第2端側エッジ割れ検出部54Dが、板端E2の位置よりも板幅方向にて外側に位置する第2素子36Bが金属板が存在することを検出していないと判定される場合(S206のNo)、金属板Sにエッジ割れがあると判定し(S208)、フローを終了する。一方、同時刻に第2端側エッジ割れ検出部54Dが、板端E2の位置よりも板幅方向にて外側に位置する第2素子36Bが金属板が存在することを検出していたと判定される場合(S206のYes)、金属板Sにエッジ割れが生じていない可能性があると判定し(S210)、フローを終了する。
【0082】
なお、第2判定部58は、同一時刻に、第1端側エッジ割れ検出部54Cにてエッジ割れの可能性があると判定されるとともに、第2端側エッジ割れ検出部54Dが、板端E2の位置よりも板幅方向にて外側に位置する第2素子36Bが金属板が存在することを検出していたと判定される場合(S206のYes)、金属板Sにエッジ割れではなく蛇行(板幅方向における振動)が生じた可能性がある、と判定するようにしてもよい。
【0083】
あるいは、第2判定部58は、ステップS206にて、同一時刻に、第1端側エッジ割れ検出部54と第2端側エッジ割れ検出部54Dの両方において、板端E1及び板端E2が同一方向にずれたことを検出したときには、金属板Sにエッジ割れではなく蛇行(板幅方向における振動)が生じた可能性がある、と判定するようにしてもよい。
【0084】
なお、上述のステップS202~S210において、第1端側エッジ割れ検出部54Cと第2端側エッジ割れ検出部54Dとを入れ替えても同様の説明が成り立つ。
【0085】
上述の実施形態によれば、同一時刻において、上流側エッジ割れ検出部54A及び下流側エッジ割れ検出部54Bの一方のみがエッジ割れの可能性があると判定したときに金属板Sにエッジ割れがあると判定するようにしたので、エッジ割れの有無についての誤判定を抑制することができる。例えば、実際には金属板Sの蛇行が生じた場合に、エッジ割れであると誤判定することを抑制することができる。
【0086】
上述の実施形態によれば、同時刻において、第1端側エッジ割れ検出部54Aがエッジ割れの可能性があると判定し、かつ、第2端側エッジ割れ検出部54Dにおいて、板端E2の位置よりも板幅方向にて外側に位置する第2素子36Bが金属板Sが存在することを検出しないときに金属板Sにエッジ割れがあると判定するようにしたので、エッジ割れの有無についての誤判定を抑制することができる。例えば、実際には金属板Sの蛇行が生じた場合に、エッジ割れであると誤判定することを抑制することができる。
【0087】
以下、幾つかの実施形態に係るエッジ割れ検出装置及び圧延設備並びにエッジ割れ検出方法について概要を記載する。
【0088】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るエッジ割れ検出装置は、
搬送される金属板のエッジ割れを検出するためのエッジ割れ検出装置であって、
前記金属板の板幅方向に沿って配列される複数の素子を含む検出部を備え、
前記複数の素子の各々は、前記板幅方向における該素子の位置での前記金属板の有無を検出可能に構成され、
前記複数の素子のうち、前記板幅方向における第1領域内に位置する複数の第1素子の各々による検出結果に基づいて、前記板幅方向における前記金属板の板端位置を特定するように構成された板端位置特定部と、
前記複数の素子のうち、前記板端位置に基づいて選択され、前記板幅方向において前記第1領域よりも狭い第2領域内に位置する複数の第2素子の各々による検出結果に基づいて、前記金属板のエッジ割れを検出するように構成されたエッジ割れ検出部と、
を備える。
【0089】
上記(1)の構成によれば、複数の第1素子による検出結果から特定された板端位置に基づいて選択される少数の素子(第1素子よりも少ない第2素子)を用いてエッジ割れを検出可能である。このため、多数の第1素子を用いてエッジ割れ検出を行う場合等に比べて計算処理負荷を低減可能であり、効率的にエッジ割れを検出することができる。また、上記(1)の構成では、比較的少数の第2素子を用いてエッジ割れ検出をするため、多数の素子を用いる場合に比べ、短いサイクルでエッジ割れを検出しやすい。よって、高速で搬送される金属板の小さなエッジ割れを適切に検出することができる。
【0090】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記板端位置特定部は、第1サイクル時間毎に、前記複数の第1素子の各々による検出結果を取得するとともに該検出結果に基づいて前記板端位置を特定するように構成され、
前記エッジ割れ検出部は、前記第1サイクル時間よりも短い第2サイクル時間毎に前記複数の第2素子の各々による検出結果を取得するように構成される。
【0091】
金属板の搬送中における板端位置の変化は、金属板の搬送速度に対して比較的緩慢である一方、金属板の搬送速度に対するエッジ割れのサイズは小さい。この点、上記(2)の構成によれば、比較的長い第1サイクル時間毎に複数の第1素子の各々による検出結果を取得するようにしたので、板端位置の特定のための計算処理負荷の増大を抑制することができるとともに、比較的短い第2サイクル時間ごとに複数の第2素子の各々による検出結果を取得するようにしたので、高速で搬送される金属板の小さなエッジ割れをより確実に検出することができる。
【0092】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記第2サイクル時間は、前記第1サイクル時間の1/10以下である。
【0093】
上記(3)の構成によれば、第2サイクル時間に比べて10倍以上の比較的長い第1サイクル時間毎に複数の第1素子の各々による検出結果を取得するようにしたので、板端位置の特定のための計算処理負荷の増大を抑制することができるとともに、第1サイクル時間に比べて1/10以下の比較的短い第2サイクル時間ごとに複数の第2素子の各々による検出結果を取得するようにしたので、高速で搬送される金属板の小さなエッジ割れをより確実に検出することができる。
【0094】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)の構成において、
前記板端位置特定部は、前記第1サイクル時間毎に、前記複数の第1素子の状態を前記板幅方向に沿って順に読み込むことで、前記第1サイクル時間における前記複数の第1素子による検出結果を取得するように構成される。
【0095】
上記(4)の構成によれば、第1サイクル時間毎に、複数の第1素子の状態を板幅方向に沿って順に読み込んで複数の第1素子による検出結果を取得するようにしたので、比較的簡素な構成で金属板の板端位置を特定することができる。
【0096】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(4)の何れかの構成において、
前記エッジ割れ検出部は、前記第2サイクル時間毎に、前記複数の第2素子の状態を前記板幅方向に沿って順に読み込むことで、前記第2サイクル時間における前記複数の第2素子による検出結果を取得するように構成される。
【0097】
上記(5)の構成によれば、第2サイクル時間毎に、複数の第2素子の状態を板幅方向に沿って順に読み込んで複数の第2素子による検出結果を取得するようにしたので、比較的簡素な構成で金属板のエッジ割れを検出することができる。
【0098】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
前記エッジ割れ検出部は、前記複数の第2素子のうち、前記板幅方向における前記第2素子の位置において前記金属板が存在しないことを検出した前記第2素子の個数に基づいて、前記エッジ割れを検出するように構成される。
【0099】
金属板のエッジ割れが存在するとき、板幅方向における該エッジ割れの位置に対応する第2素子は、当該位置において金属板が存在しないことを検出し、他の第2素子は、該第2素子に対応する位置において金属板が存在することを検出する。上記(6)の構成によれば、複数の第2素子のうち、板幅方向における第2素子の位置において金属板が存在しないことを検出した第2素子の個数に基づいて、金属板のエッジ割れを適切に検出することができる。
【0100】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記エッジ割れ検出部は、前記複数の第2素子のうち、連続して配列される規定個数以上の第2素子の各々が前記金属板が存在しないことを検出したとき、前記金属板にエッジ割れがあると判定するように構成される。
【0101】
上記(7)の構成によれば、複数の第2素子のうち、連続して配列される規定個数以上の第2素子の各々が、該第2素子に対応する板幅方向の位置において金属板が存在しないことを検出したことに基づいて、金属板のエッジ割れを適切に検出することができる。
【0102】
(8)幾つかの実施形態では、上記(6)又は(7)の構成において、
前記エッジ割れ検出部は、前記複数の第2素子の個数に対する、前記金属板が存在しないことを検出した前記第2素子の個数の割合が規定値以上であるとき、前記金属板にエッジ割れがあると判定するように構成される。
【0103】
上記(8)の構成によれば、複数の第2素子の個数に対する、金属板が存在しないことを検出した第2素子の個数の割合が規定値以上であることに基づいて、金属板のエッジ割れを適切に検出することができる。
【0104】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかの構成において、
前記第2領域は、前記板端位置と、前記板端位置から前記板幅方向において内側にずれた位置との間の領域である。
【0105】
金属板のエッジ割れは、金属板の板端から内側の位置範囲に生じる。上記(9)の構成によれば、板端位置から内側の領域である第2領域内の複数の第2素子による検出結果に基づいて、金属板のエッジ割れを適切に検出することができる。
【0106】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、
前記エッジ割れ検出部は、前記複数の第2素子のうち、前記板端位置よりも内側に位置する第2素子が前記金属板が存在しないことを検出するか否かに基づき、前記金属板におけるエッジ割れの存在の可能性を判定するように構成され、
前記エッジ割れ検出装置は、
前記エッジ割れ検出部である上流側エッジ割れ検出部と、
前記エッジ割れ検出部であるとともに、前記金属板の搬送方向において前記上流側エッジ割れ検出部とは異なる位置に設けられる下流側エッジ割れ検出部と、
同時刻において、前記上流側エッジ割れ検出部又は前記下流側エッジ割れ検出部の一方のみが、前記エッジ割れの可能性があると判定したときに、前記金属板にエッジ割れがあると判定するように構成された第1判定部と、を備える。
【0107】
上記(10)の構成によれば、同一時刻において、金属板の搬送方向において異なる位置に設けられる上流側エッジ割れ検出部及び下流側エッジ割れ検出部の一方のみがエッジ割れの可能性があると判定したときに金属板にエッジ割れがあると判定するようにしたので、エッジ割れの有無についての誤判定を抑制することができる。
【0108】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかの構成において、
前記エッジ割れ検出部は、前記複数の第2素子のうち、前記板端位置よりも内側に位置する第2素子が前記金属板が存在しないことを検出するか否かに基づき、前記金属板におけるエッジ割れの存在の可能性を判定するように構成され、
前記エッジ割れ検出装置は、
前記エッジ割れ検出部である第1端側エッジ割れ検出部と、
前記エッジ割れ検出部であるとともに、前記板幅方向において前記金属板を挟んで前記第1端側エッジ割れ検出部とは反対側に設けられる第2端側エッジ割れ検出部と、
同時刻において、前記第1端側エッジ割れ検出部が前記エッジ割れの可能性があると判定し、かつ、前記第2端側エッジ割れ検出部において、前記板端位置よりも前記板幅方向にて外側に位置する第2素子が前記金属板が存在することを検出しないとき、前記金属板にエッジ割れがあると判定するように構成された第2判定部と、を備える。
【0109】
上記(11)の構成によれば、同時刻において、第1端側エッジ割れ検出部がエッジ割れの可能性があると判定し、かつ、第2端側エッジ割れ検出部において、板端位置よりも板幅方向にて外側に位置する第2素子が金属板が存在することを検出しないときに金属板にエッジ割れがあると判定するようにしたので、エッジ割れの有無についての誤判定を抑制することができる。
【0110】
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(11)の何れかの構成において、
前記検出部は、
前記複数の素子を含む放射線受光部と、
前記金属板を挟んで前記放射線受光部とは反対側に設けられ、前記放射線受光部に向かう放射線を発生するように構成された放射線発生部と、を含み、
前記複数の素子の各々は、前記放射線を受けたときに前記板幅方向における前記素子の位置にて前記金属板は存在しないことを検出し、前記放射線を受けないときに前記板幅方向における前記素子の位置にて前記金属板が存在することを検出するように構成される。
【0111】
金属板の加工装置(圧延装置等)の近傍は、圧延油やヒュームが多量に飛散し、機器の振動があり、暗い等、過酷な環境であることが多い。この点、上記(12)の構成によれば、放射線を用いてエッジ割れを検出するエッジ割れセンサを用いるようにしたので、過酷な環境下の加工装置の近傍でのエッジ割れの検出が可能である。
【0112】
(13)本発明の少なくとも一実施形態に係る圧延設備は、
金属板を圧延するための圧延装置と、
前記圧延装置での圧延中に前記金属板の板幅方向端部におけるエッジ割れを検出するように構成された上記(1)乃至(12)の何れかに記載のエッジ割れ検出装置と、
を備える。
【0113】
上記(13)の構成によれば、複数の第1素子による検出結果から特定された板端位置に基づいて選択される少数の素子(第1素子よりも少ない第2素子)を用いてエッジ割れを検出可能である。このため、多数の第1素子を用いてエッジ割れ検出を行う場合等に比べて計算処理負荷を低減可能であり、効率的にエッジ割れを検出することができる。また、上記(13)の構成では、比較的少数の第2素子を用いてエッジ割れ検出をするため、多数の素子を用いる場合に比べ、短いサイクルでエッジ割れを検出しやすい。よって、高速で搬送される金属板の小さなエッジ割れを適切に検出することができる。
【0114】
(14)本発明の少なくとも一実施形態に係るエッジ割れ検出方法は、
搬送される金属板のエッジ割れを、前記金属板の板幅方向に沿って配列される複数の素子含む検出部を用いて検出するエッジ割れ検出方法であって、
前記複数の素子の各々は、前記板幅方向における該素子の位置での前記金属板の有無を検出可能に構成され、
前記複数の素子のうち、前記板幅方向おける第1領域内に位置する複数の第1素子の各々による検出結果に基づいて、前記板幅方向における前記金属板の板端位置を特定するステップと、
特定された前記板端位置に基づいて、前記複数の素子から前記板幅方向において前記第1領域よりも狭い第2領域内に位置する複数の第2素子を選択するステップと、
選択された前記複数の第2素子の各々による検出結果に基づいて、前記金属板のエッジ割れを検出するステップと、
を備える。
【0115】
上記(14)の方法によれば、複数の第1素子による検出結果から特定された板端位置に基づいて選択される少数の素子(第1素子よりも少ない第2素子)を用いてエッジ割れを検出可能である。このため、多数の第1素子を用いてエッジ割れ検出を行う場合等に比べて計算処理負荷を低減可能であり、効率的にエッジ割れを検出することができる。また、上記(14)の方法では、比較的少数の第2素子を用いてエッジ割れ検出をするため、多数の素子を用いる場合に比べ、短いサイクルでエッジ割れを検出しやすい。よって、高速で搬送される金属板の小さなエッジ割れを適切に検出することができる。
【0116】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0117】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0118】
1 圧延設備
2 圧延装置
4 巻出し機
6 入側ピンチロール
10 圧延スタンド
12 出側ピンチロール
14 巻取機
15 圧延ロール
16 圧延ロール
17 中間ロール
18 中間ロール
19 バックアップロール
20 バックアップロール
30 検出部
30A 上流側検出部
30B 下流側検出部
30C 第1端側検出部
30D 第2端側検出部
32 放射線発生部
34 放射線受光部
36 素子
36A,36A’ 第1素子
36B 第2素子
50 処理部
52 板端位置特定部
52A 上流側板端位置特定部
52B 下流側板端位置特定部
52C 第1端側板端位置特定部
52D 第2端側板端位置特定部
54 エッジ割れ検出部
54A 上流側エッジ割れ検出部
54B 下流側エッジ割れ検出部
54C 第1端側エッジ割れ検出部
54D 第2端側エッジ割れ検出部
56 第1判定部
58 第2判定部
100 エッジ割れ検出装置
101 放射線
E 板端
E1 第1端
E2 第2端
R1 第1領域
R2 第2領域
S 金属板