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特許7285384澱粉含有樹脂組成物、ペレット、フレーク、樹脂成形物、澱粉含有樹脂組成物の製造方法、ペレット又はフレークの製造方法、及び樹脂成形物の製造方法
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  • 特許-澱粉含有樹脂組成物、ペレット、フレーク、樹脂成形物、澱粉含有樹脂組成物の製造方法、ペレット又はフレークの製造方法、及び樹脂成形物の製造方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】澱粉含有樹脂組成物、ペレット、フレーク、樹脂成形物、澱粉含有樹脂組成物の製造方法、ペレット又はフレークの製造方法、及び樹脂成形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 3/02 20060101AFI20230525BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20230525BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20230525BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20230525BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20230525BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
C08L3/02
C08L101/00
C08L23/06
C08L23/12
C08L21/00
C08J5/00 CEP
C08J5/00 CES
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023013649
(22)【出願日】2023-01-31
【審査請求日】2023-02-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231453
【氏名又は名称】日本食品化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】相沢 健太
(72)【発明者】
【氏名】堀之内 歩
(72)【発明者】
【氏名】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】重實 大介
【審査官】長岡 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-169615(JP,A)
【文献】特開2021-127454(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0009387(US,A1)
【文献】特開2011-026538(JP,A)
【文献】特開2009-292877(JP,A)
【文献】特開2004-002613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
澱粉含有樹脂組成物であって、
前記澱粉含有樹脂組成物は、澱粉、及び熱可塑性樹脂を含み、
前記澱粉含有樹脂組成物中に分散する前記澱粉の粒子の平均粒子径が、3μm以上、25μm以下であり、
前記平均粒子径が、前記澱粉の粒子の長径の平均値より算出される平均粒子径であり、
フィルム成形後の引張弾性率が2500MPa以下であり、
前記引張弾性率が、JIS K 7127 タイプ5に準拠した試験片である前記フィルムを、23℃、50%RHの環境下において、チャック間距離70mm、引張速度100mm/minで測定し、ひずみ0.4%~1.2%の間で接線の傾きが最大になる接点を含むひずみ0.05%幅の範囲における応力/ひずみ曲線の回帰直線の傾きから算出された引張弾性率であ
澱粉含有樹脂組成物。
【請求項2】
前記澱粉含有樹脂組成物全体の重量を100重量%として、
前記澱粉の含有量が、55~95重量%であり、
前記熱可塑性樹脂の含有量が、5~45重量%である、
請求項1記載の澱粉含有樹脂組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂がポリオレフィンである、請求項1記載の澱粉含有樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレン及びポリエチレンの少なくとも一方である、請求項記載の澱粉含有樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、エラストマーを含む、
請求項1記載の澱粉含有樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の澱粉含有樹脂組成物を含むペレット。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の澱粉含有樹脂組成物を含むフレーク。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の澱粉含有樹脂組成物を含む樹脂成形物。
【請求項9】
前記澱粉、及び前記熱可塑性樹脂を含む原料を混合する混合工程を含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の澱粉含有樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
前記澱粉、及び前記熱可塑性樹脂を含む原料を混合する混合工程を含み、
前記混合工程は、さらに、原料として前記エラストマーを混合する工程を含む、
請求項記載の澱粉含有樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
澱粉含有樹脂組成物を押出成形してストランドを形成するストランド形成工程と、
前記ストランドを切断してペレット又はフレークを形成するストランド切断工程と、を含み、
前記澱粉含有樹脂組成物は、請求項1からのいずれか一項に記載の澱粉含有樹脂組成である、
ペレット又はフレークの製造方法。
【請求項12】
ペレット又はフレークを含む原料を樹脂成形して樹脂成形物を製造する樹脂成形工程を含み、
前記ペレットは、請求項記載のペレットであり、
前記フレークは、請求項記載のフレークである、樹脂成形物の製造方法。
【請求項13】
さらに、前記ペレット又は前記フレークと、他の熱可塑性樹脂を含む原料とを混練する混練工程を含み、
前記樹脂成工程が、前記混練工程で得られた混練物を樹脂成形して樹脂成形物を製造する工程である、
請求項12記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、澱粉含有樹脂組成物、ペレット、フレーク、樹脂成形物、澱粉含有樹脂組成物の製造方法、ペレット又はフレークの製造方法、及び樹脂成形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今般、再生可能材料の利用や二酸化炭素排出量削減等の炭素循環の観点や、生分解性樹脂の普及等による地球環境保護の観点から、従来の石油由来樹脂からバイオマス由来樹脂への切り替えが求められている。このような背景の中、樹脂に澱粉を配合する手法が開発されている(特許文献1及び2)。
【0003】
ここで、粉末状の澱粉を既存の樹脂加工工程又は樹脂成形工程で取り扱うことは難しい。したがって、澱粉を熱可塑性樹脂に配合してペレット状又はフレーク状に成形し、マスターバッチの形態で供給することが望ましい。ペレット状に成形するには、例えば、二軸スクリュー式押出機から吐出されたストランドをペレタイザーで引張り、冷却してからカットする手法があげられる。フレーク状に成型するには、例えば、二軸スクリュー式押出機から吐出されたストランドをホットカットによりカットする方法があげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-026538号公報
【文献】特許第7121428号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、澱粉高配合のストランドは脆くなりやすく、例えば、押出機から吐出されたストランドを安定的に得ることが難しい。
【0006】
そこで、本発明は、安定的にストランドを得ることができる澱粉含有樹脂組成物、及び澱粉含有樹脂組成物の製造方法、並びに本発明の澱粉含有樹脂組成物を含むペレット、本発明の澱粉含有樹脂組成物を含むフレーク、樹脂成形物、ペレット又はフレークの製造方法、及び樹脂成形物の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の澱粉含有樹脂組成物は、
澱粉、及び熱可塑性樹脂を含み、
フィルム成形後の引張弾性率が2500MPa以下である。
【0008】
本発明のペレットは、本発明の澱粉含有樹脂組成物を含む。
【0009】
本発明のフレークは、本発明の澱粉含有樹脂組成物を含む。
【0010】
本発明の樹脂成形物は、本発明の澱粉含有樹脂組成物を含む。
【0011】
本発明の澱粉含有樹脂組成物の製造方法は、
前記澱粉、及び前記熱可塑性樹脂を含む原料を混合する混合工程を含む、
前記本発明の澱粉含有樹脂組成物の製造方法である。
【0012】
本発明のペレット又はフレークの製造方法は、
澱粉含有樹脂組成物を押出成形してストランドを形成するストランド形成工程と、
前記ストランドを切断してペレット又はフレークを形成するストランド切断工程と、を含み、
前記澱粉含有樹脂組成物は、前記本発明の澱粉含有樹脂組成物である。
【0013】
本発明の樹脂成形物の製造方法は、
ペレット又はフレークを含む原料を樹脂成形して樹脂成形物を製造する樹脂成形工程を含み、
前記ペレットは、本発明のペレットであり、
前記フレークは、本発明のフレークである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、安定的にストランドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1Aは、実施例で製造した澱粉含有樹脂組成物の破断断面及び澱粉粒の長径を示す電子顕微鏡画像である。
図1B図1Bは、実施例で使用した澱粉粒の長径を示す電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、本発明の実施に好適な形態について開示する。ただし、以下の実施形態は本発明の代表的な実施形態を開示したものであり、本発明の範囲が以下の実施形態のみに限定されることはない。
【0017】
本発明において、特に断らない限り、「質量%」と「重量%」とは互いに読み替えてもよく、「質量部」と「重量部」とは互いに読み替えてもよい。
【0018】
本発明において、「澱粉を実質的に可塑化させない」とは、例えば、澱粉の可塑化による澱粉の性状変化を、物性が良好なストランドを得られる範囲内に留めることを意味する。
【0019】
本発明において、「ストランド」とは、特に断りのない限り、各種押出機から吐出された澱粉含有樹脂組成物の総称を意味し、長さ等の形状は特に限定されない。例えば、ひも状の長いものや平板状の短いものなど、各種押出機から吐出されたものであればあらゆる形状のものを含むものとする。
【0020】
<澱粉含有樹脂組成物>
まず、本発明の澱粉含有樹脂組成物について説明する。
【0021】
[引張弾性率]
本発明の澱粉含有樹脂組成物の前記フィルム成形後の引張弾性率は、2500MPa以下である。前記引張弾性率は、その下限値が、例えば、500MPa以上、1000MPa以上、1500MPa以上であり、その上限値が、例えば、2400MPa以下、2200MPa以下、2000MPa以下である。前記引張弾性率は、後述する実施例記載の測定方法によって測定することができる。前記引張弾性率は、例えば、後述する澱粉及び熱可塑性樹脂等の配合比や、熱可塑性樹脂の引張弾性率等を調整することにより、調整可能である。
【0022】
前記フィルム成形は、ヒートプレスを用いて温度150℃~200℃、圧力0.6t~0.9t、1~10分間の範囲で実施し、厚さ0.1mmから1.5mmのフィルムを成形する。フィルムを取り出しやすいように、成形する原料を鉄板やPETフィルムで挟んでプレスしても良い。例えば、後述する実施例記載の条件で成形する。尚、成形する樹脂含有組成物は混練状態を均一にして弾性率の測定偏差を小さくするために、バンバリーミキサーで150℃~200℃、20~40rpmの条件で20分間混練したものをフィルム成形の原料とする。
【0023】
本発明の澱粉含有樹脂組成物の前記フィルム成形後の引張弾性率が2500MPa以下である場合、安定的にストランドを得ることができる。例えば、押出機から吐出された、長く伸ばされた形態であるストランドをコールドカットによりカッティングしてペレットを得る場合、形成したストランドが破断する頻度が低下し、生産性が向上する。また、押出機から吐出されたストランドをホットカットによりカッティングしてペレットまたはフレークを得る場合、ストランドが脆くないため、ペレット状またはフレーク状にならなかった粕の発生量が減少し、歩留まりが向上し、よって生産性も向上する。なお、長く伸ばされた形態であるストランドを作製した際に破断しやすい物性を示す澱粉含有樹脂組成物は非常に脆いため、その後の加工不良又は成形不良が生じる場合がある。そのため、例えば、澱粉の含有量を高めた組成物であり、かつ澱粉を実質的に可塑化させないことが望まれる場合において、本発明は有用である。
【0024】
[澱粉]
前記澱粉は、特に限定されないが、例えば、トウモロコシ、馬鈴薯、さつまいも、タピオカ、サゴやし、米、小麦等から得られる未加工澱粉があげられる。すなわち、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、小麦澱粉等があげられる。また、未加工澱粉をエーテル化、エステル化等したものや、架橋処理、酸化処理、酸処理等をした、加工澱粉もあげられる。前記澱粉は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0025】
前記澱粉は、例えば、製造コストの観点からコーンスターチ、タピオカ澱粉が好ましく、更に好ましくはコーンスターチである。また、分散性の観点から、好ましくは澱粉の平均粒子径が25μm以下であると良く、平均粒子径の観点からはトウモロコシ、タピオカから得られる未加工澱粉、又はトウモロコシ、タピオカを原料とする加工澱粉が良い。
【0026】
前記澱粉の含有量は、特に制限はないが、例えば、バイオマス率の向上を鑑みて、前記澱粉含有樹脂組成物全体の重量を100重量%として、55重量%以上、より好ましくは60重量%以上、最も好ましくは65重量%以上であり、熱可塑性樹脂と混合して澱粉を分散させる観点から、前記澱粉含有樹脂組成物全体の重量を100重量%として、95重量%以下、より好ましくは90重量%以下、更に好ましくは80重量%以下、最も好ましくは75重量%以下であり、その範囲が、例えば、55~95重量%、より好ましくは55~90重量%、更に好ましくは60~80重量%、最も好ましくは65~75重量%である。本発明は、例えば、澱粉の含有量が55重量%以上と高い場合であっても、前記引張弾性率が2500MPa以下であれば、形成したストランドが破断しにくいため、安定的にストランドを得ることができる。
【0027】
本発明の澱粉含有樹脂組成物は、例えば、熱可塑性樹脂中に澱粉粒が分散した構造を有する澱粉含有樹脂組成物である。例えば、必要に応じて、前記澱粉に含まれる水分含有量や前記澱粉含有樹脂組成物全体に含まれる水分含有量、及び後述する澱粉用可塑剤の添加量の調整もしくは前記澱粉用可塑剤を使用しないことにより、前記澱粉の粒子(以下、「澱粉粒」という場合がある。)を一定範囲のサイズとすることができる。すなわち、前記澱粉を実質的に可塑化させないことができる。
【0028】
ここで、澱粉高配合のストランドは脆くなりやすく、例えば、ストランド化に際してストランドが破断してしまうおそれがあるため、安定的にストランドを得ることが難しい。このような課題を解決する為に、例えば、澱粉を可塑化させる澱粉用可塑剤(例えば、グリセリン等)を配合する方法がある。一方で、澱粉用可塑剤を使用した場合、熱可塑性樹脂に配合された澱粉の粒子径が原料の澱粉粒の粒子径よりも小さくなることが知られている。例えば、特許文献1には、平均粒子径が1μm以下になるような形態が開示されている。これは可塑化に伴って、澱粉粒が部分的、あるいは全体的に崩壊したことによるものと推察される。すなわち、澱粉粒の粒子径が一定範囲のサイズとなるように調整することは、前記澱粉を実質的に可塑化させないことに繋がると推察される。ただし、これはあくまでも仮説にすぎず、本発明はこれに限定されない。
【0029】
前記澱粉粒の平均粒子径は、例えば、3μm以上である。澱粉を実質的に可塑化させない特徴を鑑みると、5μm以上であってもよく、より好ましくは、7μm以上である。前記平均粒子径の上限は、特に制限されないが、例えば、分散性の観点から、25μm以下、より好ましくは20μm以下である。なお、前記澱粉粒の平均粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、倍率と視野を、長径を測定可能な澱粉粒が10~20個となるように調整し、得られたSEM像から測定されたそれぞれの澱粉粒の長径の平均値を平均粒子径とすることができる。なお、例えば、前記澱粉含有樹脂組成物の形態が後述する本発明のペレットの場合、上記平均粒子径の測定は、基本的には任意に取りだした1つのペレットについて行えばよいが、ペレット毎に数値が大きくばらつく場合には、ランダムに搾取したペレット10個の平均値を平均粒子径とすることができる。また、前記倍率と前記視野において撮像されたSEM像において、いずれか一ヵ所でも前記平均粒子径を満たす場合には、本発明における前記平均粒子径を満たすものとする。
【0030】
前記澱粉に含まれる水分含有量は、特に制限はないが、例えば、澱粉を実質的に可塑化させない量とすることが好ましい。前記実質的に可塑化させない量は、例えば、0重量%である。また、前記澱粉に水分が含まれる場合において、前記実質的に可塑化させない量は、例えば、水分が澱粉を可塑化させ得ることに鑑みれば、澱粉の性状を著しく変化させない程度の割合とすべきであり、例えば、下限値が、0重量%を超え、上限値が、15重量%以下、好ましくは12重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは7重量%以下、最も好ましくは3重量%以下であり、その範囲は、例えば、0~15重量%、好ましくは0~12重量%、より好ましくは0~10重量%、更に好ましくは0~7重量%、最も好ましくは0~3重量%である。
【0031】
前記水分含有量の測定方法は、例えば、水分計を用いて乾燥重量法により測定することができる。このとき、乾燥条件は、例えば、130℃、20分間の条件である。また、前記水分含有量は、例えば、カールフィッシャー法で測定してもよい。
【0032】
[熱可塑性樹脂]
前記熱可塑性樹脂は、特段の制限はなく、例えば、一般的な公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、例えば、生分解性を有している熱可塑性樹脂が使用されてもよい。例えば、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリエチレン等の炭素数2~20のオレフィンの重合体であるポリオレフィン系樹脂;ポリノルボルネン等のポリ環状オレフィン系樹脂;ポリスチレン、ABS樹脂等のポリスチレン系樹脂;ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート等のポリエステル系樹脂等があげられ、これらの混合物であってもよい。前記ポリエチレンは、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等があげられる。また、共重合体であってもよく、エチレン-プロピレン(ブロック及びランダム)共重合体、エチレン-α-オレフィン(炭素数4~20のα-オレフィン)共重合体、プロピレン-α-オレフィン(炭素数4~20のα-オレフィン)共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体等があげられる。また、酸変性していてもよく、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレンや無水マレイン酸変性ポリプロピレン等があげられる。また、グラフト化されていてもよく、例えば、無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンや無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン等があげられる。前記熱可塑性樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0033】
前記熱可塑性樹脂は、例えば、汎用性の観点からポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、更に好ましくはポリプロピレンである。
【0034】
前記熱可塑性樹脂の引張弾性率は、例えば、安定製造の観点から、好ましくは100MPa以上、更に好ましくは500MPa以上であり、好ましくは1500MPa以下、更に好ましくは1000MPa以下であり、その範囲は、例えば、100~1500MPaが好ましく、更に好ましくは500~1000MPaである。前記引張弾性率は、例えば、従来公知の引張試験機等を用いて測定することができる。前記引張弾性率は、例えば、後述する実施例記載の測定方法によって求めてもよいし、文献等に記載のデータであってもよい。
【0035】
前記熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、例えば、生産速度の観点から、0.1g/10min以上、2g/10min以上、5g/10min以上であり、70g/10min以下、60g/10min以下、40g/10min以下であり、その範囲は、例えば、0.1~70g/10min、2~70g/10min、5~60g/10minが好ましく、更に好ましくは5~40g/10minである。前記メルトフローレートは、例えば、メルトインデックサを使用してJIS K 7210に記載の方法によって求めてもよいし、文献等に記載のデータであってもよい。
【0036】
前記熱可塑性樹脂の含有量は、特に制限はないが、例えば、バイオマス率の向上を鑑みて前記澱粉を高含有とするために、前記澱粉含有樹脂組成物全体の重量を100重量%として、5重量%以上、7重量%以上、10重量%以上、15重量%以上であり、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下であり、その範囲は、例えば、5~45重量%、より好ましくは7~45重量%、更に好ましくは10~40重量%、最も好ましくは15~35重量%である。
【0037】
[エラストマー]
本発明の澱粉含有樹脂組成物において、前記エラストマーは任意成分である。すなわち、本発明の澱粉含有樹脂組成物は、例えば、さらに、前記エラストマーを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記エラストマーは、特段の制限はなく、例えば、ストランドの物性を調整する目的で添加することができる。すなわち、本発明の澱粉含有樹脂組成物を好ましい引張弾性率とする目的で添加することができる。前記エラストマーとしては、例えば、オレフィン系エラストマー、不飽和脂肪族系エラストマー、水添不飽和脂肪族系エラストマー、アミド系エラストマー、エステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー等の樹脂があげられ、また、これらの共重合体があげられる。前記共重合体は、例えば、酸無水物などを付加させることで極性基を分子中に導入してもよく、前記極性基を分子中に導入する酸無水物としては、無水マレイン酸等があげられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、これらの物質は、例えば、前記澱粉及び前記熱可塑性樹脂の少なくとも一方に予め含ませていてもよいし、本発明の澱粉含有樹脂組成物を得る任意のタイミングで含ませてもよい。
【0038】
前記エラストマーは、例えば、製造コストの観点からオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーが好ましく、更に好ましくはオレフィン系エラストマーである。
【0039】
本発明の澱粉含有樹脂組成物が前記エラストマーを含む場合、前記エラストマーの含有量は、特に制限はないが、例えば、前記澱粉の含有量、前記熱可塑性樹脂の性質等に合わせて配合され、前記澱粉含有樹脂組成物全体の重量を100重量%として、0重量%を超え10重量%以下、より好ましくは0重量%を超え7重量%以下、更に好ましくは0重量%を超え5重量%以下、最も好ましくは0重量%を超え3重量%以下である。本発明の澱粉含有樹脂組成物において、前記エラストマーの含有量を10重量%以下とした場合、例えば、前記澱粉含有樹脂組成物を含む成型物の機械的特性等の物性に対する影響が小さい。また、前記エラストマーは高コストであるため、前記エラストマーの含有量を10重量%以下とすれば、経済面においても有利である。
【0040】
[乳化剤(界面活性剤)]
本発明の澱粉含有樹脂組成物は、例えば、さらに、乳化剤(界面活性剤)を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記乳化剤は、特段の制限はなく、例えば、前記熱可塑性樹脂と前記澱粉の混合を容易にする目的で使用することができる。前記乳化剤としては、例えば、プロピレングリコールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、グリセロールトリオレエート、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、アセチル化モノグリセリド(ステアレート)、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、カルシウムステアロイル-2-ラクチレート、グリセロールモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、大豆レシチン、モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート等があげられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、これらの物質は、例えば、前記澱粉及び前記熱可塑性樹脂の少なくとも一方に予め含ませていてもよいし、本発明の澱粉含有樹脂組成物を得る任意のタイミングで含ませてもよい。なお、前記乳化剤は、後述するように、前記澱粉を実質的に可塑化させない、すなわち前記澱粉の性状を著しく変化させない限り、本発明における澱粉用可塑剤には含まれない。
【0041】
前記乳化剤(界面活性剤)は、例えば、製造コストの観点からグリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、それらの混合物が好ましく、更に好ましくはグリセロールモノステアレートである。
【0042】
前記乳化剤の含有量は、特に制限はないが、例えば、澱粉量と熱可塑性樹脂の性質等に合わせて配合され、前記澱粉含有樹脂組成物全体の重量を100重量%として、0重量%を超え10重量%以下、より好ましくは0重量%を超え7重量%以下、更に好ましくは0重量%を超え4重量%以下、最も好ましくは0重量%を超え2重量%以下である。
【0043】
[澱粉用可塑剤]
本発明の澱粉含有樹脂組成物は、例えば、澱粉用可塑剤を実質的に含まないことが好ましい。なお、本発明において「澱粉用可塑剤」という場合、特に断りのない限り、澱粉を可塑化させるために用いる可塑剤を意味する。すなわち、澱粉を含まない形態で当業者が一般的に用いる、熱可塑性樹脂の物性を調整する為の可塑剤を意味するものではない。また、本発明において、水は「澱粉用可塑剤」に含まれない。また、前述の乳化剤として用いられる添加剤は、前記澱粉を実質的に可塑化させない、すなわち前記澱粉の性状を著しく変化させない限り、本発明における澱粉用可塑剤ではないとみなす。さらに、前記実質的に含まないとは、例えば、前記澱粉を実質的に可塑化させない量、すなわち前記澱粉の性状を著しく変化させない程度の含有量を意味する。
【0044】
特許文献1に記載のとおり、前記澱粉用可塑剤を使用した場合、例えば、得られる組成物の引張弾性率の調整に限界が生じることがある。また、前記澱粉用可塑剤は揮発しやすいため、耐熱性が低下したり、あるいは着色し易くなったりする場合がある。すなわち、得られる樹脂組成物の物性や品質が限定されるため、必然的に使用用途も制限されてしまうおそれがある。
【0045】
また、本発明者らが澱粉の可塑化を検討した結果、例えば、前記澱粉用可塑剤としてグリセリンなどを用いた場合、前記澱粉用可塑剤の含有量の分だけ、前記澱粉の含有量を下げる必要があることがわかった。一方で、特許文献1に記載されるように、前記澱粉用可塑剤の配合量を下げた場合には前記澱粉が十分に可塑化されない。また、本発明者らが行った実験結果によれば、前記澱粉用可塑剤の配合量を下げた場合、前記澱粉同士が結着した硬いゴム様の物質が形成され、熱可塑性樹脂との混練が困難となった。以上のように、本発明者らは、前記澱粉を従来よりも高含有量とする場合、適当な量でない澱粉用可塑剤を添加することで、熱可塑性樹脂との混練に悪影響を及ぼすことを確認している。
【0046】
したがって、前記澱粉用可塑剤の含有量は、例えば、前記澱粉含有樹脂組成物全体の重量を100重量%として、0重量%であることが好ましい。前記澱粉用可塑剤を含む場合であっても、例えば、前記澱粉を実質的に可塑化させない量、すなわち前記澱粉の性状を著しく変化させない程度の割合を添加するべきであり、0重量%を超え5重量%以下、より好ましくは0重量%を超え3重量%以下、更に好ましくは0重量%を超え0.5重量%以下である。
【0047】
前記澱粉用可塑剤としては、水を除き、前記澱粉を実質的に可塑化させる物質であれば、特に制限はないが、例えば、多価アルコール等の有機化合物等があげられる。具体的には、例えば、ソルビトール、マルチトール、グリセロール(グリセリン)、マンニトール、エリトリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ヘプタンジオール、1,6-へキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ナノンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジグリセロール等があげられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、これらの物質は、例えば、前記澱粉及び前記熱可塑性樹脂の少なくとも一方に予め含ませていてもよいし、本発明の澱粉含有樹脂組成物を得る任意のタイミングで含ませてもよい。
【0048】
[その他の添加剤]
本発明の澱粉含有樹脂組成物は、例えば、さらに、従来公知の各種添加剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記添加剤としては、例えば、無機充填剤、熱安定剤、耐光剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等があげられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、これらの物質は、例えば、前記澱粉及び前記熱可塑性樹脂の少なくとも一方に予め含ませていてもよいし、本発明の澱粉含有樹脂組成物を得る任意のタイミングで含ませてもよい。
【0049】
[原料中の水分]
澱粉含有樹脂組成物の原料合計重量に対する水の重量割合(すなわち水分)は、特に制限はないが、例えば、0重量%、すなわち、前記原料が水分を全く含まないことが好ましい。また、前記澱粉含有樹脂組成物の原料が水分を含む場合、本発明は澱粉を実質的に可塑化させない特徴を有すること、水分は澱粉を可塑化させ得ることを鑑みれば、澱粉の性質を著しく変化させない程度の割合とすべきである。例えば、下限値が、0重量%を超え、上限値が、15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下、最も好ましくは3重量%以下である。
【0050】
前記水分含有量の測定方法は、例えば、水分計を用いて乾燥重量法により測定することができる。このとき、乾燥条件は、例えば、130℃、20分間の条件である。また、前記水分含有量は、例えば、カールフィッシャー法で測定してもよい。さらに、前記水分含有量は、原料に含まれる水分含有量と、前記原料の構成比(使用重量比)から、前記原料中の水分含有量を算出してもよい。例えば、原料として用いた澱粉、熱可塑性樹脂、エラストマー、及び乳化剤を含むその他の添加剤に含まれる水分含有量と、前記原料の構成比(使用重量比)から、前記原料中の水分含有量を算出してもよい。
【0051】
本発明において提供される澱粉含有樹脂組成物は、最終的な形態に何ら制限はないが、例えば、後述するペレットや、前記ペレットをさらに他の熱可塑性樹脂と混合して得られる澱粉含有樹脂組成物、それらを成形して得られる後述する成形物等を一形態とすることができる。
【0052】
<ペレット、フレーク、及び樹脂成形物>
つぎに、本発明のペレット、フレーク、及び樹脂成形物について説明する。
【0053】
本発明のペレット及びフレークは、前述のとおり、本発明の澱粉含有樹脂組成物を含む。なお、本発明において、ペレットとは、例えば、前記澱粉含有樹脂組成物を粒状等の形に成形したものであり、より具体的には、前記ストランドとなった澱粉含有樹脂組成物を切断して得られる成形物を意味する。また、ペレット状とは、前記ストランドとなった澱粉含有樹脂組成物を粒状等に切断した際に得られる産物の形状、又は産物の形態を指す。本発明において、フレークとは、例えば、前記澱粉含有樹脂組成物を平板状、立方体、直方体、多角柱及び多角錐等の形に成形したものであり、より具体的には、前記ストランドとなった澱粉含有樹脂組成物を切断して得られる成形物を意味する。また、フレーク状とは、前記ストランドとなった澱粉含有樹脂組成物を平板状、立方体、直方体、多角柱及び多角錐等の形に切断した際に得られる産物の形状、又は産物の形態を指す。
【0054】
本発明の樹脂成形物は、前述のとおり、本発明の澱粉含有樹脂組成物を含む。また、本発明の樹脂成形物は、例えば、前記澱粉含有樹脂組成物を含むペレット又はフレークを成形して得られる。本発明の樹脂成形物は、例えば、さらに、他の熱可塑性樹脂を含んでも良い。前記他の熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、例えば、前述の本発明の澱粉含有樹脂組成物において説明した前記熱可塑性樹脂と同様であってもよい。
【0055】
前記樹脂成形物の引張弾性率は、例えば、200~10000MPaである。すなわち、200MPa以上、10000MPa以下である。後述する実施例に示されるとおり、ストランドの物性を鑑みると、例えば、好ましくは500MPa以上、更に好ましくは1000MPa以上であり、好ましくは6000MPa以下、更に好ましくは4000MPa以下であり、その範囲は、例えば、500~6000MPaがより好ましく、1000~4000MPaが更に好ましい。前記引張弾性率は、例えば、従来公知の引張試験機等を用いて測定することができる。前記引張弾性率は、例えば、後述する実施例記載の測定方法によって求めことができる。
【0056】
<澱粉含有樹脂組成物の製造方法、ペレット、フレーク等の製造方法、及び樹脂成形物の製造方法>
つぎに、本発明の澱粉含有樹脂組成物の製造方法、ペレット又はフレークの製造方法、及び樹脂成形物の製造方法について説明する。
【0057】
[澱粉含有樹脂組成物の製造方法]
本発明の澱粉含有樹脂組成物の製造方法は、前述のとおり、前記澱粉、及び前記熱可塑性樹脂を含む原料を混合する工程(以下、「混合工程」という場合がある。)を含み、例えば、さらに、前記エラストマーを混合する工程を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。また、前記原料は、例えば、本発明の澱粉含有樹脂組成物における、乳化剤、澱粉用可塑剤、その他添加剤を含んでもよい。
【0058】
前記混合工程について、例をあげて具体的に説明する。前記混合工程は、例えば、前記澱粉及び前記熱可塑性樹脂を加熱しながら混練する。前記混練することで、本発明の澱粉含有樹脂組成物が得られる。
【0059】
前記混練する為の設備としては、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール、単軸もしくは2軸以上の多軸スクリュー式押出機、連続混練機等があげられる。また、これらの混練機を複数組み合わせてもよく、例えば、単軸及び2軸の押出機を組み合わせた、1.5軸押出機等であってもよい。本発明では、特に制限はないが、例えば、生産速度の観点から多軸スクリュー式押出機及びその組み合わせが好ましく、更に好ましくは二軸スクリュー式押出機である。
【0060】
前記混練する温度は、特に制限はないが、例えば、着色抑制の観点から、120℃以上、好ましくは140℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、220℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは190℃以下であり、その範囲は、例えば、120℃~220℃、140℃~200℃が好ましく、更に好ましくは150℃~190℃ある。
【0061】
前記混練する際の圧力は、特に制限はないが、例えば、安定製造の観点から、0MPa以上であり、15MPa以下、10MPa以下、5MPa以下、3MPa以下であり、その範囲は、例えば、0~15MPa、0~10MPa、0~5MPaが好ましく、更に好ましくは0~3MPaである。
【0062】
本発明の澱粉含有樹脂組成物の製造方法は、例えば、さらに乾燥工程を含んでも良い。前記乾燥工程は、例えば、前記澱粉の水分含有量を、0重量%とする乾燥工程であり、前記澱粉に水分が残る場合、例えば、0重量%を超えて、10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、更に好ましくは5重量%以下、最も好ましくは3重量%以下とし、その範囲は、例えば、0~10重量%、より好ましくは0~7重量%、更に好ましくは0~5重量%、最も好ましくは0~3重量%とする乾燥工程である。また、前乾燥工程は、例えば、前記澱粉及び前記エラストマーを加熱混合して水分含有量を、0重量%とする乾燥工程であり、前記澱粉に水分が残る場合、例えば、0重量%を超えて、10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、更に好ましくは5重量%以下、最も好ましくは3重量%以下とし、その範囲は、例えば、0~10重量%、より好ましくは0~7重量%、更に好ましくは0~5重量%、最も好ましくは0~3重量%とする乾燥工程である。前記乾燥工程は、例えば、加熱乾燥、真空乾燥、風乾、赤外線乾燥、凍結乾燥、及びシリカゲル等の乾燥剤を使用した乾燥等があげられる。
【0063】
前記加熱乾燥の場合、設備として、例えば、リボンブレンダー、ドラムタンブラー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、パドルドライヤ、フラッシュドライヤ、バンドドライヤ、棚式乾燥機、コンベア式乾燥機、流動層乾燥機、振動乾燥機、攪拌乾燥機、回転乾燥機等があげられる。本発明では、特に制限はないが、連続生産の観点からバンドドライヤ、フラッシュドライヤが好ましく、更に好ましくはフラッシュドライヤである。
【0064】
[ペレット、フレーク等の製造方法]
前記混練後、例えば、加熱された吐出部より吐出された澱粉含有樹脂組成物を適当な形状に成形してもよい。前記成形後の形状は、特に制限されないが、例えば、ペレット状、フレーク状、クラム状、パウダー状、シート状、及びチップ状があげられる。また、混練後、直接成形体の形状に成形してもよい。なお、本明細書では、例えばペレット状、フレーク状またはシート状の成形物を単に「ペレット」、「フレーク」または「シート」と呼称することがある。
【0065】
前記ペレット状又は前記フレーク状とする場合、例えば次のように本発明のペレット又はフレークを製造することができる。本発明のペレット又はフレークの製造方法は、前述のとおり、本発明の澱粉含有樹脂組成物を押出成形してストランドを形成するストランド形成工程と、前記ストランドを切断してペレット又はフレークを形成するストランド切断工程と、を含む。
【0066】
前記ストランド形成工程は、例えば、前記混合工程により混合された前記澱粉含有樹脂組成物を押し出す工程(押出工程)を含む。前記押出工程は、例えば、従来公知の押出機を用いて実施することができる。前記押出機は、特に限定されないが、例えば、二軸スクリュー式押出機を使用することができる。押出機により、前記混合工程と前記押出工程の両方を行ってもよい。前記混合工程で得られた前記組成物を回収し、前記押出工程における前記押出機に供給してストランドを形成しても良い。
【0067】
前記ストランド切断工程は、例えば、前記押出工程により押出し出口部分から吐出されたストランドである前記澱粉含有樹脂組成物を切断する工程である。前記ストランドである前記澱粉含有樹脂組成物をペレット又はフレークにする方法としては、例えば、前記ストランドを空冷又は水冷してからストランドカッターにて切断するコールドカット方式や、押出機の出口部分に取り付けられた回転カッターで切断するホットカット方式、アンダーウォーターカット方式等があげられ、例えば、品質安定性の観点からコールドカット方式、ホットカット方式が好ましく、更に好ましくはコールドカット方式である。
【0068】
例えば、前記ストランドの物性が良好でない場合には、例えば、生産速度を極端に遅く設定してストランドを切れにくくすることで、前記ペレット及び前記フレークを安定的に生産することが可能となるが、生産性が極端に低下する。また、前記ストランドの物性が良好でない場合には、前述のとおり成形後の物性が悪くなる場合がある。本発明においては、澱粉含有樹脂組成物のストランド物性が改善されている為、他の熱可塑性樹脂を生産する際と同様の生産速度に設定可能であるが、例えば、実施例に記載される二軸押出機において、生産性を高める観点から、0.5kg/h以上、1kg/h以上、2kg/h以上であり、10kg/h以下、8kg/h以下、6kg/h以下であり、その範囲は、例えば、0.5~10kg/h、1~8kg/h、1~6kg/hが好ましく、更に好ましくは2~6kg/hである。
【0069】
[樹脂成形物の製造方法]
本発明の澱粉含有樹脂組成物を含む樹脂成形物の製造方法は、前述のとおり、本発明のペレット又は本発明のフレークを含む原料を樹脂成形して樹脂成形物を製造する樹脂成形工程を含む。前記原料は、例えば、前記他の熱可塑性樹脂、及び前記その他の添加剤等を含む。本発明の澱粉含有樹脂組成物は、例えば、さらに、前記ペレット又は前記フレークと、前記他の熱可塑性樹脂を含む原料とを混練する混練工程を含む。前記樹脂成形工程は、例えば、前記混練工程で得られた混練物を樹脂成形して樹脂成形物を製造する工程である。
【0070】
前記樹脂成形工程は、例えば、従来公知の方法によりすることができる。例えば、カレンダー成形、熱成形、押し出しブロー成形、インフレーション成形、真空成形、キャスト成形、発泡成形、押し出し成形、射出成形、溶融紡糸があげられる。成形物としては、例えば、容器類、包装材料、緩衝材、日用雑貨、機械部品、建築材料、自動車部品等があげられる。
【実施例
【0071】
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0072】
本実施例、及び前述の実施形態における、引張弾性率、平均粒子径、製造性、水分含有量は、以下の手順により測定を行った。
【0073】
(引張弾性率)
澱粉含有樹脂組成物のペレットをバンバリーミキサー(Ms式加圧ニーダーDS1-3MHB-E型、日本スピンドル製造社製)で180℃、40rpmの条件で20分間混練した後、得られた混練物をPETフィルムで挟んでヒートプレス機(H300‐1、アズワン社製)にて180℃、0.9tで4分間成形し、PETフィルムごと取り出して室温まで冷却して厚さ0.1~1.5mmのフィルムを作製した。得られたフィルムを23℃、50%RHで一日静置後、レバー式試料裁断器(SDL-100、ダンベル社製)でダンベル試験片(JIS K 7127 タイプ5)に成形した。作製したダンベル試験片8サンプルを23℃、50%RHの環境下において万能材料試験機(RTG-1210、A&D社製)にてチャック間距離70mm、引張速度100mm/minで測定し、ひずみ0.4%~1.2%の間で接線の傾きが最大になる接点を含むひずみ0.05%幅の範囲における応力/ひずみ曲線の回帰直線の傾きから、引張弾性率を算出した。試験片厚さは8サンプルの厚さの平均値に設定した。得られた結果からフィルム厚と引張弾性率の検量線を作成し、検量線から算出された平均厚さの引張弾性率を、その澱粉含有樹脂組成物の引張弾性率とした。
【0074】
(澱粉粒の平均粒子径)
澱粉粒の平均粒子径は、(ペレット状とした)澱粉含有樹脂組成物をコイン状に加熱成形(180℃)し、得られた成形体を-80℃に冷却した後に破断し、その破断面を電子顕微鏡(SEM)で観察した。観察視野内において、長径を測定可能な前記澱粉粒が10~20個含まれるような倍率及び視野に設定し、得られたSEM画像中の全粒子の長径を測定し、その平均値を算出した。なお、本実施例ではコイン状に加熱成形したものの破断面を観察したが、SEM観察により粒子が確認できれば、観察する澱粉含量樹脂組成物の形状は問わない。例えば、澱粉含有樹脂組成物をフィルム状に成形して引張り、破断した部分を観察してもよいし、ペレットを冷却後破砕して、その破砕面を観察してもよい。また、澱粉含有樹脂組成物中に澱粉粒が殆ど確認できない場合は、前記澱粉粒の平均粒子径は3μm未満であるとみなす。このような場合として、例えば、可塑剤を使用したために澱粉粒が崩壊して平均粒子径が3μm未満の微細な粒子になった場合があげられる。なお、個々の澱粉粒の「長径」は、SEM像における澱粉粒をすべて楕円形とみなし、目視で前記楕円の長径に相当する部分を設定後に、前記長径の長さをスケールと比較することで測定し、算出した。平均粒子径を測定する一例として、図1A及び図1Bに、下記の試験区1-1、2-1、3-2、3-3、4-1、及び原料であるコーンスターチ、タピオカ澱粉、リン酸架橋澱粉の平均粒子径を算出した際のSEM画像を示す。なお、図1A及び図1Bに示す両矢印は、平均粒子径を測定する澱粉粒の長径を示すために加えたものである。また、図1Aにおいて、破断面に存在する孔(元々澱粉粒が埋まっていた孔)は、測定の対象としていない。なお、本実施例では目視観察で長径を設定したが、例えば、公知の画像処理技術により澱粉粒の長径を抽出し、長径の長さを測定してもよい。
【0075】
(製造性)
前述のとおり、既存技術では製造時に押出機から排出されるストランドが脆く、安定的な連続製造が行えないことが課題であった。製造性は、実施例に記載される二軸押出機において、押出機から4kg/hで吐出されたストランドを水冷し、ペレタイザーでペレット化した際、ストランドがペレタイザーへ導入されてから切れるまでの時間で評価した。評価基準は以下のとおりである。
【0076】
製造性 評価基準
◎:8分以上経過してもストランドが切れなかった。
〇:4分以上、8分未満経過してもストランドが切れなかった。
×:4分未満にストランドが切れた。
【0077】
(水分含有量)
澱粉の水分含有量の測定は、水分計(商品名:MT-C、Brabender社製)を用いて乾燥重量法により130℃、20分間の条件で測定した。なお、熱可塑性樹脂及びエラストマーの水分含有量は、カールフィッシャー法で測定することもできる。
【0078】
なお、原料の水分含有量を測定する場合は、原料として用いた澱粉、熱可塑性樹脂、エラストマー、及び乳化剤を含むその他の添加剤に含まれる水分含有量と、前記原料の構成比(使用重量比)から、前記原料中の水分含有量を算出できる。
【0079】
<澱粉含有樹脂組成物の製造>
(使用材料)
本実施例において、澱粉として「コーンスターチ(商品名:日食コーンスターチY、日本食品化工株式会社製)」「タピオカ澱粉(商品名:NATIVE TAPIOCA STARCH、ASIA MODIFIED STARCH社製)」「リン酸架橋澱粉(商品名:日食ネオビスT-100、日本食品化工株式会社製)」を使用した。それぞれ澱粉の平均粒子径は以下の通りであった。なお、原料である澱粉の平均粒子径は、測定する澱粉を両面テープでSEM測定台に固定した点を除き、上述と同様の方法で測定した。
コーンスターチ 12.8μm
タピオカ澱粉 12.2μm
リン酸架橋澱粉 11.5μm
【0080】
熱可塑性樹脂(以下、単に「樹脂」という場合がある。)として、下記の表1に記載のものを使用した。エラストマーとして「商品名:ビスタマックス(登録商標)6102(ExxonMobil社製)」を使用した。乳化剤として「商品名:リマケール(登録商標)S-200(理研ビタミン株式会社製)」を使用した。なお、本実施例において、上述の熱可塑性樹脂、エラストマー及び乳化剤は十分乾燥されたものを用いた(水分は1重量%以下)。
【0081】
【表1】
【0082】
[実施例1]
次の手順により、本実施例の澱粉含有樹脂組成物を作製した。本実施例では、引張弾性率と製造性の関係性を確認した。また、エラストマーによる製造性の改善を確認した。
【0083】
(澱粉含有樹脂組成物を含むペレットの製造)
澱粉(コーンスターチ、表2~5において「コンス」と表示。)は、棚式送風乾燥機で130℃、1時間乾燥した。下記の表2に記載の条件で、澱粉、熱可塑性樹脂、及びエラストマーをポリエチレン袋に入れて袋の口を縛り、上下左右に振って良く混合した。その全量を二軸押出機(φ20mm、L/D=45、ダイス数9(C1~C9)、テクノベル社製)のC1上部に設置されたフィーダーから供給した。混練温度はC1 90℃、C2 100℃、C3 120℃、C4 140℃、C5~9 160℃とし、軸回転数は150rpmに設定した。吐出されたストランドの澱粉含有樹脂組成物を手に持ち、水槽(商品名:SCB150‐1500、株式会社テクノベル製)にて水冷して、ペレタイザー(商品名:SCP-203‐2MT、株式会社テクノベル製)入口に供給した。ペレタイザーに引っ張られたストランドをペレタイザー内でカッティングし、実施例1の各試験区の澱粉含有樹脂組成物を含むペレットを製造した(試験区1-1、1-2)。澱粉含有樹脂組成物の引張弾性率は、上述の方法で測定した。結果を表2に示す。
【0084】
[比較例1]
また、エラストマーを配合せず、引張弾性率が2500MPa以下になるよう調整しなかった点以外は、同様の手順により、比較例1の澱粉含有樹脂組成物を含むペレットを製造した(試験区1-3)。結果を表2に示す。
【0085】
[実施例2]
本実施例では、熱可塑性樹脂の種類を変更し、製造性の違いを確認した。
【0086】
実施例1と同様の手順で、下記の表3に記載の条件で、澱粉、熱可塑性樹脂を配合し、実施例2の澱粉含有樹脂組成物を含むペレットを製造した(試験区2-1~2-3)。結果を表3に示す。
【0087】
[比較例2]
また、熱可塑性樹脂として引張弾性率が2500MPa以下とならないものを用いた点以外は、同様の手順により、比較例2の澱粉含有樹脂組成物を含むペレットを製造した(試験区2-4)。結果を表3に示す。
【0088】
[実施例3]
本実施例では、澱粉の種類と添加量を変化させ、製造性を確認した。
【0089】
実施例1と同様の手順で、下記の表4に記載の条件で、澱粉、及び熱可塑性樹脂を配合し、実施例3の澱粉含有樹脂組成物を含むペレットを製造した(試験区3-1~3-3)。結果を表4に示す。
【0090】
[実施例4]
本実施例では、乳化剤を添加し、製造性を確認した。
【0091】
実施例1と同様の手順で、下記の表5に記載の条件で、澱粉、熱可塑性樹脂、及び乳化剤を配合し、実施例4の澱粉含有樹脂組成物を含むペレットを製造した(試験区4-1)。結果を表5に示す。
【0092】
[実施例5]
本実施例では、澱粉中の水分含有量を変化させ、製造性を確認した。
【0093】
実施例1と同様の方法で乾燥させた澱粉を、前記澱粉に含まれる水分が5.5%となるまで室温で静置したこと以外は、実施例1と同様の手順で、下記表6に記載の条件で、澱粉、及び熱可塑性樹脂を配合し、実施例5の澱粉含有樹脂組成物を含むペレットを製造した(試験区5-1)。結果を表6に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
表2のとおり、引張弾性率が2500MPa以下である実施例(試験区1-1、1-2)は、澱粉含量が70及び60重量%と高含有であるが製造性は良好であった。一方で、引張弾性率が2500MPaを超える比較例1(試験区1-3)は、製造性が不良となった。また、引張弾性率が2500MPaを超える場合であっても、エラストマーを加えることで引張弾性率を2500MPa以下に設定すれば、製造性が良化することもわかった(試験区1-1)。さらに、平均粒子径が元の澱粉粒の粒子径からほとんど変化していないため、澱粉が実質的に可塑化していないこともわかった。
【0100】
表3のとおり、引張弾性率が2500MPa以下である実施例(試験区2-1~2-3)は、製造性が良好であった、一方で、引張弾性率が2500MPaを超える比較例1及び2(試験区1-3、2-4)は、不良となった。このことから、澱粉の種類を一定とした場合であっても、適宜熱可塑性樹脂を変更し、引張弾性率を2500MPa以下とすることで、製造性が改善することがわかった。
【0101】
表4のとおり、引張弾性率が2500MPa以下である限り、澱粉の量を増やしても、製造性に影響がないことが分かった(試験区2-2、3-1)。また、様々な澱粉を使用した場合であっても、引張弾性率が2500MPa以下であれば、製造性に影響がないことがわかった(試験区3-2、3-3)。
【0102】
表5のとおり、乳化剤を添加した場合であっても、引張弾性率が2500MPa以下であれば、製造性に影響がないことが分かった(試験区2-1、4-1)。
【0103】
表6のとおり、澱粉中に多少の水分が含有されている場合であっても、澱粉粒が可塑化しないため、製造性に影響がないことが分かった(試験区2-1、5-1)。
【0104】
<付記>
上記実施形態及び実施例の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載し得るが、以下には限定されない。
(付記1)
澱粉、及び熱可塑性樹脂を含み、
フィルム成形後の引張弾性率が2500MPa以下である澱粉含有樹脂組成物。
(付記2)
前記澱粉含有樹脂組成物全体の重量を100重量%として、
前記澱粉の含有量が、55~95重量%であり、
前記熱可塑性樹脂の含有量が、5~45重量%である、
付記1記載の澱粉含有樹脂組成物。
(付記3)
前記澱粉含有樹脂組成物に含まれる澱粉粒の平均粒子径が3μm以上、25μm以下であり、
前記平均粒子径が、前記澱粉粒の長径の平均値より算出される平均粒子径である、
付記1又は2記載の澱粉含有樹脂組成物。
(付記4)
前記熱可塑性樹脂がポリオレフィンである、付記1から3のいずれかに記載の澱粉含有樹脂組成物。
(付記5)
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレン及びポリエチレンの少なくとも一方である、付記4記載の澱粉含有樹脂組成物。
(付記6)
さらに、エラストマーを含む、
付記1から5のいずれかに記載の澱粉含有樹脂組成物。
(付記7)
付記1から6のいずれかに記載の澱粉含有樹脂組成物を含むペレット。
(付記8)
付記1から6のいずれかに記載の澱粉含有樹脂組成物を含むフレーク。
(付記9)
付記1から6のいずれかに記載の澱粉含有樹脂組成物を含む樹脂成形物。
(付記10)
前記澱粉、及び前記熱可塑性樹脂を含む原料を混合する混合工程を含む、
付記1から6のいずれかに記載の澱粉含有樹脂組成物の製造方法。
(付記11)
前記混合工程は、さらに、原料として前記エラストマーを混合する工程を含む、
付記10記載の製造方法。
(付記12)
澱粉含有樹脂組成物を押出成形してストランドを形成するストランド形成工程と、
前記ストランドを切断してペレット又はフレークを形成するストランド切断工程と、を含み、
前記澱粉含有樹脂組成物は、付記1から6のいずれかに記載の澱粉含有樹脂組成である、
ペレット又はフレークの製造方法。
(付記13)
ペレット又はフレークを含む原料を樹脂成形して樹脂成形物を製造する樹脂成形工程を含み、
前記ペレットは、付記7記載のペレットであり、
前記フレークは、付記8記載のフレークである、樹脂成形物の製造方法。
(付記14)
さらに、前記ペレット又は前記フレークと、他の熱可塑性樹脂を含む原料とを混練する混練工程を含み、
前記樹脂成型工程が、前記混練工程で得られた混練物を樹脂成形して樹脂成形物を製造する工程である、
付記13記載の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上、説明したとおり、本発明は、安定的にストランドを得ることができる澱粉含有樹脂組成物、及び澱粉含有樹脂組成物の製造方法、並びに本発明の澱粉含有樹脂組成物を含むペレット、本発明の澱粉含有樹脂組成物を含むフレーク、樹脂成形物、ペレット又はフレークの製造方法、及び樹脂成形物の製造方法の提供を目的とする。本発明は、例えば、澱粉含有量の高い澱粉含有樹脂組成物を効率よく大量生産することができる。さらに、ストランドの物性が改善されることで、その後の加工や成形により得られる樹脂成形物、例えば、フィルムやシート等について、機械特性や表面外観等の物性を改善することができる。本発明の用途は特に限定されない。例えば、本発明の澱粉含有樹脂組成物の用途は、本発明のペレット、フレーク及び樹脂成形物に限定されず任意であり、広範な用途に使用可能である。

【要約】
【課題】 本発明は、安定的にストランドを得ることができる澱粉含有樹脂組成物の提供を目的とする。
【解決手段】 本発明の澱粉含有樹脂組成物は、澱粉、及び熱可塑性樹脂を含み、フィルム成形後の引張弾性率が2500MPa以下であることを特徴とする。本発明のペレットは、本発明の澱粉含有樹脂組成物を含むことを特徴とする。本発明のフレークは、本発明の澱粉含有樹脂組成物を含むことを特徴とする。本発明の澱粉含有樹脂組成物の製造方法は、前記澱粉、及び前記熱可塑性樹脂を含む原料を混合する混合工程を含むことを特徴とする。
【選択図】なし

図1A
図1B