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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】リモート操作システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20230526BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
H05K13/08 Z
H05K13/08 A
G05B19/418 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019125985
(22)【出願日】2019-07-05
(65)【公開番号】P2021012937
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】森田 敬太
(72)【発明者】
【氏名】角 英樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕樹
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-143169(JP,A)
【文献】特開2012-089634(JP,A)
【文献】国際公開第2014/076755(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置と、前記作業装置にエラーが発生した場合に前記作業装置に対するリモート操作が可能なリモート監視部とを含むリモート操作システムであって、
前記作業装置は、
前記作業装置にエラーが発生した場合にそのエラーに関する情報の取得動作を開始する情報取得部と、
前記情報取得部によって取得される前記情報がオペレータによる対応が可能な状態になっているか否かを判断する判断部と、
前記判断部により、前記情報取得部によって取得される前記情報が前記オペレータによる対応が可能な状態になっていると判断された場合に、前記情報取得部によって取得される前記情報を前記リモート監視部に送信する情報送信部とを備え、
前記リモート監視部は、
表示部と、
前記情報送信部から送信される前記情報を受信する情報受信部と、
前記情報受信部が前記情報の受信を開始した場合に、前記情報受信部が受信する前記情報を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えたリモート操作システム。
【請求項2】
作業装置と、前記作業装置にエラーが発生した場合に前記作業装置に対するリモート操作が可能なリモート監視部とを含むリモート操作システムであって、
前記作業装置は、
前記作業装置にエラーが発生した場合にそのエラーに関する情報の取得動作を開始する情報取得部と、
前記情報取得部が前記情報の取得動作を開始した場合に、前記情報取得部によって取得される前記情報を前記リモート監視部に送信する情報送信部と、
前記情報取得部によって取得される前記情報がオペレータによる対応が可能な状態になっているか否かを判断する判断部と、
前記判断部により、前記情報取得部によって取得される前記情報が前記オペレータによる対応が可能な状態になっていると判断された場合に、前記リモート監視部に表示開始指令を送信する指令送信部とを備え、
前記リモート監視部は、
表示部と、
前記情報送信部から送信される前記情報を受信する情報受信部と、
前記指令送信部から送信された前記表示開始指令を受信する指令受信部と、
前記指令受信部が前記指令送信部から送信された前記表示開始指令を受信した場合に、前記情報受信部が受信する前記情報を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えたリモート操作システム。
【請求項3】
前記情報取得部はカメラであり、前記エラーに関する情報は前記エラーの発生箇所を撮像する動画像である請求項1または2に記載のリモート操作システム。
【請求項4】
前記オペレータによる対応が可能な状態は、前記オペレータが前記エラーを解消させるための操作を行うことができる状態である請求項1~3のいずれかに記載のリモート操作システム。
【請求項5】
前記判断部は、撮像を開始した前記カメラが前記エラーの発生箇所を撮像する位置への移動が完了したことをもって、前記オペレータが前記エラーを解消させるための操作を行うことができるものとなったと判断する請求項4に記載のリモート操作システム。
【請求項6】
前記作業装置はパーツフィーダによって供給される部品を移動自在な装着ヘッドによりピックアップして基板に装着する部品実装装置であり、前記カメラは前記装着ヘッドに取り付けられている請求項2に記載のリモート操作システム。
【請求項7】
前記エラーの発生箇所は、前記パーツフィーダによって部品が供給される部品供給位置である請求項6に記載のリモート操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置にエラーが発生した場合にリモート監視部からの作業装置に対するリモート操作が可能なリモート操作システムに関する。
システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業装置にエラーが発生した場合、作業装置に有線または無線で接続されているリモート監視部からのリモート操作でそのエラーを解消させることができるリモート操作システムが知られている(例えば、下記の特許文献1参照)。このようなリモート操作システムの中には、作業装置にエラーが発生するとリモート操作モードに入り、作業装置が備えるカメラが移動してエラーに関する情報(動画像)を取得し、その取得した情報をリモート監視部の表示部に表示させることで、オペレータが表示部の画面に表示された画像を見ながらエラーを解消させるための操作(リモート操作)を行うことができるようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-200654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のリモート操作システムでは、リモート操作モードに入り、カメラによって撮像される動画像がリモート監視部の表示部に表示され始めた(すなわち作業装置にエラーが発生したことが通知された)時点では、カメラはまだエラーの発生箇所に到達しておらず、オペレータは作業装置にエラーが発生したことは分かっているものの、エラー解消のための作業に取り掛かることができなかった。このためリモート監視部のオペレータは、エラーの発生が通知されてから実際にエラー解消のための作業を開始できるようになるまで、一定の時間待たされることとなるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、リモート監視部のオペレータがエラーの発生を通知されてから待ち状態を経ることなくエラー解消のための作業に取り掛かることができるリモート操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のリモート操作システムは、作業装置と、前記作業装置にエラーが発生した場合に前記作業装置に対するリモート操作が可能なリモート監視部とを含むリモート操作システムであって、前記作業装置は、前記作業装置にエラーが発生した場合にそのエラーに関する情報の取得動作を開始する情報取得部と、前記情報取得部によって取得される前記情報がオペレータによる対応が可能な状態になっているか否かを判断する判断部と、前記判断部により、前記情報取得部によって取得される前記情報が前記オペレータによる対応が可能な状態になっていると判断された場合に、前記情報取得部によって取得される前記情報を前記リモート監視部に送信する情報送信部とを備え、前記リモート監視部は、表示部と、前記情報送信部から送信される前記情報を受信する情報受信部と、前記情報受信部が前記情報の受信を開始した場合に、前記情報受信部が受信する前記情報を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えた。
【0007】
また、もうひとつの本発明のリモート操作システムは、作業装置と、前記作業装置にエラーが発生した場合に前記作業装置に対するリモート操作が可能なリモート監視部とを含むリモート操作システムであって、前記作業装置は、前記作業装置にエラーが発生した場合にそのエラーに関する情報の取得動作を開始する情報取得部と、前記情報取得部が前記情報の取得動作を開始した場合に、前記情報取得部によって取得される前記情報を前記リモート監視部に送信する情報送信部と、前記情報取得部によって取得される前記情報がオペレータによる対応が可能な状態になっているか否かを判断する判断部と、前記判断部により、前記情報取得部によって取得される前記情報が前記オペレータによる対応が可能な状態になっていると判断された場合に、前記リモート監視部に表示開始指令を送信する指令送信部とを備え、前記リモート監視部は、表示部と、前記情報送信部から送信される前記情報を受信する情報受信部と、前記指令送信部から送信された前記表示開始指令を受信する指令受信部と、前記指令受信部が前記指令送信部から送信された前記表示開始指令を受信した場合に、前記情報受信部が受信する前記情報を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リモート監視部のオペレータがエラーの発生を通知されてから待ち状態を経ることなくエラー解消のための作業に取り掛かることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1におけるリモート操作システムの構成を示す要部斜視図
図2】本発明の実施の形態1におけるリモート操作システムを構成する部品実装装置の側面図
図3】本発明の実施の形態1におけるリモート操作システムを構成する部品実装装置のパーツフィーダが部品供給位置に供給する部品を部品実装装置が備える装着ヘッドでピックアップした状態を示す斜視図
図4】本発明の実施の形態1におけるリモート操作システムの制御系統を示すブロック図
図5】本発明の実施の形態1におけるリモート操作システムの部品実装装置にエラーが発生した場合の部品実装装置側の処理の流れを示すフローチャート
図6】本発明の実施の形態1におけるリモート操作システムの部品実装装置にエラーが発生した場合のリモート監視部側の処理の流れを示すフローチャート
図7】(a)(b)本発明の実施の形態1におけるリモート操作システムの部品実装装置を構成するパーツフィーダの部品供給位置を基板カメラにより撮像して得られた画像の一例を示す図
図8】本発明の実施の形態2におけるリモート操作システムの制御系統を示すブロック図
図9】本発明の実施の形態2におけるリモート操作システムの部品実装装置にエラーが発生した場合の部品実装装置側の処理の流れを示すフローチャート
図10】本発明の実施の形態2におけるリモート操作システムの部品実装装置にエラーが発生した場合のリモート監視部側の処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるリモート操作システム1を示している。リモート操作システム1は、作業装置としての部品実装装置2と、部品実装装置2にエラーが発生した場合に部品実装装置2に対するリモート操作が可能なリモート監視部3とを含んだ構成となっている。
【0011】
図1および図2において、部品実装装置2は、基台11、搬送コンベア12、パーツフィーダ13、ヘッド移動機構14、装着ヘッド15、基板カメラ16および部品カメラ17を備えている。搬送コンベア12は基台11上を基台11の左右方向(X軸方向)に延びて設けられており、上流側から送られてきた基板KBを受け取って所定の作業位置に位置決めする。
【0012】
パーツフィーダ13は、ここではテープフィーダであり、内蔵したスプロケット13S(図2および図3)によって、リールRLに巻き付けられたキャリアテープCTを引き出して基台11の前後方向(Y軸方向)に搬送し、搬送コンベア12側の端部に設けられた部品供給位置13Kに部品BHを供給する。ヘッド移動機構14は例えばXYガントリー機構から成り、装着ヘッド15を水平面内で移動させる。装着ヘッド15は上下方向(Z軸方向)の下方に延びた複数のノズル15Nを備えており、各ノズル15Nの下端に真空吸着力を発生させて、パーツフィーダ13が部品供給位置13Kに供給する部品BHを吸着してピックアップする(図3)。
【0013】
図1および図2において、基板カメラ16は撮像光軸を下方に向けた姿勢で装着ヘッド15に取り付けられている。基板カメラ16は、装着ヘッド15と一体となって水平面内方向に移動し、搬送コンベア12によって作業位置に位置決めされた基板KBを上方から撮像する。また基板カメラ16は、部品実装装置2にエラーが発生した場合に、そのエラーが発生した箇所(エラー発生箇所)を上方から動画撮像する。
【0014】
図1および図2において、部品カメラ17は撮像光軸を上方に向けた姿勢で基台11に取り付けられている。部品カメラ17は、部品BHをピックアップした装着ヘッド15が上方に位置した状態で、装着ヘッド15がノズル15Nに吸着させている部品BHを下方から撮像する。
【0015】
部品実装装置2が備える制御装置18(図2)は、部品実装装置2の各部の動作を制御する(図4)。制御装置18は、具体的には、搬送コンベア12による基板KBの搬送および作業位置への位置決め動作の制御を行い、各パーツフィーダ13による部品供給位置13Kへの部品供給動作の制御を行う。また制御装置18は、ヘッド移動機構14による装着ヘッド15の移動動作の制御を行い、装着ヘッド15による部品BHのピックアップ動作の制御を行う。
【0016】
制御装置18はまた、基板カメラ16と部品カメラ17の撮像動作の制御を行う。基板カメラ16が撮像して得られる画像データと部品カメラ17が撮像して得られる画像データはそれぞれ制御装置18に入力され、制御装置18はそれらの画像データに対して画像認識処理を行う。
【0017】
図1において、リモート監視部3はいわゆるリモート端末として機能するものであり、例えばパーソナルコンピュータから構成されている。ここではリモート監視部3は部品実装装置2と有線で接続されているが、無線で接続されていてもよい。図4にも示すように、リモート監視部3は少なくとも、制御部21、表示部(ディスプレイ)22および入力部23を備えている。
【0018】
図4において、部品実装装置2の制御装置18は、カメラ制御部18a、判断部18bおよび情報送信部18cを備えている。カメラ制御部18aは、部品実装装置2にエラーが発生した場合に、基板カメラ16に動画像の撮像を開始させるとともに、基板カメラ16をエラー発生箇所に向けて移動させることによって、エラーに関する情報の取得動作(エラー発生箇所の動画像の撮像動作)を開始させる。このとき基板カメラ16は、部品実装装置2にエラーが発生した場合に、そのエラーに関する情報を取得する情報取得部として機能する。
【0019】
判断部18bは、基板カメラ16によって取得される情報(動画像)が、リモート監視部3を操作するオペレータによる対応が可能な状態になっているか否かを判断する。ここで、「オペレータによる対応が可能な状態」とは、具体的には、オペレータがリモート監視部3の入力部23からエラーを解消させるための操作(リモート操作)を行うことができる状態のことをいう。
【0020】
本実施の形態では、基板カメラ16によって取得される情報は動画像であるので、判断部18bは、撮像を開始した基板カメラ16がエラーの発生箇所を撮像する位置への移動が完了した(エラー発生箇所の上方に停止した)ことをもって、オペレータがエラーを解消させるための操作を行うことができる状態となったと判断する。基板カメラ16がエラーの発生箇所を撮像する位置への移動が完了した状態で映し出される動画像はエラー発生箇所の動画像である(基板カメラ16の移動中の動画像ではない)ので、オペレータがその動画像を見ることによってエラー発生箇所の状態を把握でき、リモート監視部3からエラーを解消させるための操作を行うことが可能となる。
【0021】
情報送信部18cは、判断部18bにより、基板カメラ16によって取得される情報(動画像)がオペレータによる対応が可能な状態になっていると判断された場合に、基板カメラ16によって取得される情報(動画像)をリモート監視部3に送信(すなわち転送)する。
【0022】
図4において、リモート監視部3の制御部21は、情報受信部21aと表示制御部21bを備えている。情報受信部21aは、部品実装装置2の情報送信部18cから送信される情報(動画像)を受信する。表示制御部21bは、情報受信部21aが情報の受信を開始した場合に、情報受信部21aが受信する情報を表示部22に表示させる。
【0023】
部品実装装置2の制御装置18は、基板KBに部品BHを装着する部品装着作業を行うときは、先ず搬送コンベア12を作動させて、基板KBを所定の作業位置に位置決めする。そして、基板KBを作業位置に位置決めしたら、ヘッド移動機構14を作動させて装着ヘッド15を基板KBの上方に移動させ、基板カメラ16に基板KBを撮像させる。制御装置18は基板カメラ16に基板KBを撮像させたら、その撮像によって得られた画像に基づいて基板KBを認識する。
【0024】
制御装置18は、基板KBを認識したら、パーツフィーダ13を作動させてそのパーツフィーダ13の部品供給位置13Kに部品BHを供給させるとともに、ヘッド移動機構14を作動させて装着ヘッド15を移動させ、装着ヘッド15に装着ターンを繰り返し実行させる。
【0025】
装着ヘッド15は、1回の装着ターンにおいて、パーツフィーダ13の部品供給位置13Kの上方に移動してノズル15Nに部品BHを吸着(ピックアップ)した後、部品カメラ17の上方を通って基板KBの上方に移動し、部品BHを基板KB上の所定の部品装着位置に装着する。装着ヘッド15が部品カメラ17の上方を通るときには部品カメラ17が部品BHを下方から撮像し、制御装置18はこれにより部品BHを認識する。この部品BHの認識結果と前述の基板KBの認識結果は、部品BHを部品装着位置に装着する際の位置合わせに利用される。このようにして装着ヘッド15の装着ターンが繰り返し実行され、必要な部品BHがすべて基板KBに装着されたら、制御装置18は搬送コンベア12作動して、基板KBを部品実装装置2の下流側に搬出する。
【0026】
部品実装装置2が上記の部品装着作業を行っているとき、部品実装装置2に何らかのエラーが発生することがある。図5はこのように部品実装装置2にエラーが発生した場合における部品実装装置2側の処理を示すフローチャートであり、図6はリモート監視部3側の処理を示すフローチャートである。
【0027】
制御装置18は、部品実装装置2に何らかのエラーが発生したことを検知した場合には(図5に示すフローチャートのステップST1)、そのエラーの発生箇所を特定したうえで(ステップST2)、リモート操作モードに入る(ステップST3)。例えば、装着ヘッド15が或るパーツフィーダ13から部品BHをピックアップする動作を連続して失敗するようなエラーが生じた場合には、制御装置18は、そのパーツフィーダ13の部品供給位置13Kをエラー発生箇所として特定し、部品装着作業を中断したうえで、リモート操作モードに入る。
【0028】
制御装置18は、リモート操作モードに入ったら、カメラ制御部18aを通じて基板カメラ16に撮像を開始させる(ステップST4)。そして、エラー発生箇所に向けて、基板カメラ16の移動を開始させる(ステップST5)。
【0029】
基板カメラ16に撮像を開始させたら、制御装置18は、基板カメラ16によって取得される情報(動画像)の受信を開始する(ステップST6)。そして、制御装置18の判断部18bは、基板カメラ16によって取得される情報(動画像)がオペレータによる対応が可能な状態になっているか否か、すなわち、オペレータがエラーを解消させるための操作を行うことができる状態になっているか否かを判断する。この判断は、撮像を開始した基板カメラ16がエラーの発生箇所を撮像する位置への移動が完了したかどうかに基づいて行う(ステップST7)。
【0030】
制御装置18は、判断部18bにおいて、基板カメラ16の移動が完了したことによって、基板カメラ16によって取得される情報(動画像)がオペレータによる対応が可能な状態になっていると判断された場合には、その判断がされたのと同時に、情報送信部18cからリモート監視部3への情報(動画像)の送信を開始する(ステップST8)。
【0031】
リモート監視部3の制御部21は、部品実装装置2から送信される情報(動画像)を情報受信部21aにおいて受信し始めたら(図6に示すフローチャートのステップST21)、その情報受信部21aが受信する情報(動画像)の表示部22への表示を開始する(ステップST22)。このように、情報受信部21aが受信する情報の表示部22への表示が開始されることで、リモート監視部3を操作するオペレータは、部品実装装置2にエラーが発生したことに気づくことができる。
【0032】
上記のように、リモート監視部3の表示部22に情報(動画像)の表示が開始されることは、オペレータに対する、部品実装装置2にエラーが発生したことの通知となる。オペレータは、リモート監視部3の表示部22を通じて、エラーの発生箇所であるパーツフィーダ13の部品供給位置13Kのリアルタイムでの動画像を見ることができるようになり、これにより、エラー発生箇所の状態をリアルタイムで把握することが可能となる。オペレータは、リモート監視部3の表示部22を通じてエラー発生箇所の状態を把握することができるようになったら、入力部23から、エラーを解消させるための所要の操作を行う。
【0033】
部品実装装置2に発生するエラーとしては、例えば、或るパーツフィーダ13の部品供給位置13Kにおいて、ノズル15Nによって部品BHを吸着し損なうピックアップミスが挙げられる。図7(a)は、このようなピックアップミスが発生したパーツフィーダ13の部品供給位置13Kがエラー発生箇所として基板カメラ16によって撮像され、リモート監視部3の表示部22に映し出された画像GZの一例である。この例では、画像GZの中心位置KCは、部品供給位置13Kに位置した部品BHを吸着する際にノズル15Nの下端を位置させるべき位置として設定されている位置(「部品吸着位置」と称する)に一致している。
【0034】
図7(a)の画像GZでは、部品吸着位置(画像GZの中心位置KC)が部品供給位置13Kに対してずれており、このために部品BHのピックアップミスが発生したと予想される。この場合、オペレータは、入力部23から、部品吸着位置が部品供給位置13Kに一致するようにするために必要な操作(部品実装装置2に対するリモート操作)を行う。
【0035】
リモート監視部3の制御部21は、前述のステップST22で、情報受信部21aが受信する情報の表示部22への表示を開始したら、オペレータによるリモート操作の操作入力の待ち状態に入る(ステップST23)。そして、オペレータが入力部23からリモート操作の操作入力が行われたことを検知したら、リモート監視部3の制御部21は、部品実装装置2の制御装置18に操作信号を送信する(ステップST24)。ここで「操作信号」とは、オペレータが入力部23から行ったリモート操作の操作入力に対応する信号のことである。
【0036】
制御装置18は、前述のステップST8において、リモート監視部3への情報の送信を開始したら、リモート監視部3から送信される操作信号の受信待ちに入る(ステップST9)。そして、リモート監視部3から送信された操作信号を受信したら、その受信した操作信号に従って、部品実装装置2に発生したエラーが解消されるようにするための所要の処置を実行する(ステップST10)。
【0037】
例えば、前述のように、エラー発生箇所がパーツフィーダ13の部品供給位置13Kである場合には、ノズル15Nの下端の位置が部品供給位置13Kに一致するように、部品実装装置2の制御装置18に記憶された部品吸着位置のデータを変更する。これによってエラーが解消される。図7(b)は、オペレータが入力部23から必要な操作を行うことによって、エラー発生箇所として特定されたパーツフィーダ13の部品供給位置13Kに部品吸着位置(画像GZの中心位置KC)が一致するようになった場合の画像GZを示している。
【0038】
制御装置18は、部品実装装置2に発生したエラーが解消されるようにするための処置を実行したら、リモート監視部3への動画像の送信を停止させる(ステップST11)。そして、基板カメラ16による撮像を停止させて(ステップST12)、リモート操作モードから抜ける(ステップST13)。
【0039】
このように、実施の形態1におけるリモート操作システム1は、部品実装装置2にエラーが発生した場合、そのエラーが発生した箇所の動画像を基板カメラ16によって取得し、その取得する動画像がオペレータによる対応が可能な状態になっているか否かを判断するようになっている。そして、取得する動画像がオペレータによる対応が可能な状態になっていると判断した場合には、基板カメラ16が取得する動画像をリモート監視部3に送信し、リモート監視部3は、部品実装装置2から送信される情報の受信を開始した場合に、その情報を表示部22に表示させるようになっている。
【0040】
上記構成のリモート操作システム1では、部品実装装置2にエラーが発生した場合には、そのエラーに関する情報の取得動作(エラー発生箇所を基板カメラ16によって動画撮像する動作)が開始された後、その情報がオペレータによる対応が可能な状態になって初めて、リモート監視部3の表示部22に情報が表示される。このため、リモート監視部3の表示部22にエラーに関する情報の表示が開始されたとき(部品実装装置2にエラーが発生したことが通知されたとき)には既に、リモート監視部3からエラーを解消させるための操作(リモート操作)を行うことができる状態となっており、リモート監視部3のオペレータは、部品実装装置2におけるエラーの発生を通知されてから待ち状態を経ることなく、エラー解消のための作業に取り掛かることができる。
【0041】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2におけるリモート操作システム1では、図8に示すように、部品実装装置2の制御装置18は、カメラ制御部18a、情報送信部18c、判断部18bおよび指令送信部18dを備えている。カメラ制御部18aは第1実施形態の場合と同様に、部品実装装置2にエラーが発生した場合に基板カメラ16に動画像の撮像を開始させるとともに、基板カメラ16をエラー発生箇所に向けて移動させることによって、エラーに関する情報の取得動作(エラー発生箇所の動画像の撮像動作)を開始させる。
【0042】
部品実装装置2の制御装置18が備える情報送信部18cは、実施の形態1の場合と異なり、基板カメラ16が情報(動画像)の取得動作を開始した場合に、基板カメラ16によって取得される情報をリモート監視部3に送信(すなわち転送)する。判断部18bは、実施の形態1の場合と同様に、基板カメラ16によって取得される情報(動画像)がオペレータによる対応が可能な状態になっているか否かを判断する。指令送信部18dは、判断部18bにより、基板カメラ16によって取得される情報(動画像)がオペレータによる対応が可能な状態になっていると判断された場合に、リモート監視部3に表示開始指令を送信する。
【0043】
図8に示すように、リモート監視部3の制御部21は、情報受信部21a、指令受信部21cおよび表示制御部21bを備えている。情報受信部21aは、実施の形態1の場合と同様に、部品実装装置2の情報送信部18cから送信される情報(動画像)を受信する。指令受信部21cは、部品実装装置2の指令送信部18dから送信された表示開始指令を受信する。表示制御部21bは、指令受信部21cが指令送信部18dから送信された表示開始指令を受信した場合に、情報受信部21aが受信する情報(動画像)を表示部22に表示させる。
【0044】
図9は部品実装装置2にエラーが発生した場合における部品実装装置2側の処理を示すフローチャートであり、図10はリモート監視部3側の処理を示すフローチャートである。制御装置18は、部品実装装置2にエラーが発生したことを検知した場合には(図9に示すフローチャートのステップST31)、そのエラーの発生箇所を特定したうえで(ステップST32)、リモート操作モードに入る(ステップST33)。
【0045】
制御装置18は、リモート操作モードに入ったら、カメラ制御部18aを通じて基板カメラ16に撮像を開始させるとともに(ステップST34)、基板カメラ16の撮像によって取得される情報(動画像)のリモート監視部への送信(すなわち転送)を開始する(ステップST35)。そして、制御装置18は、エラー発生箇所に向けて、基板カメラ16の移動を開始させる(ステップST36)。
【0046】
基板カメラ16によって取得される情報の受信を開始したら、判断部18bは、基板カメラ16によって取得される情報がオペレータによる対応が可能な状態になっているか否か、すなわち、オペレータがエラーを解消させるための操作を行うことができる状態になっているか否かを判断する。この判断は、撮像を開始した基板カメラ16がエラーの発生箇所を撮像する位置への移動が完了したかどうかに基づいて行う(ステップST37)。
【0047】
制御装置18は、判断部18bにおいて、基板カメラ16の移動が停止することによって、基板カメラ16によって取得される情報(動画像)がオペレータによる対応が可能な状態になっていると判断された場合には、その判断がされたのと同時に、指令送信部18dから、表示開始指令を送信する(ステップST38)。
【0048】
リモート監視部3の制御部21は、部品実装装置2から送信される情報(動画像)を情報受信部21aにおいて受信し始めたら(図10に示すフローチャートのステップST51)、情報受信部21aが表示開始指令の受信待ちに入る(ステップST52)。そして、部品実装装置2から送信された表示開始指令を受信した場合には、その受信と同時に、表示制御部21bは、情報受信部21aが受信する情報(動画像)の表示部22への表示を開始する(ステップST53)。このように、情報受信部21aが受信する情報の表示部22への表示が開始されることで、リモート監視部3を操作するオペレータは、部品実装装置2にエラーが発生したことに気づくことができる。
【0049】
上記のように、リモート監視部3の表示部22に情報(動画像)の表示が開始されることは、実施の形態1の場合と同様、オペレータに対する、部品実装装置2にエラーが発生したことの通知となる。オペレータは、リモート監視部3の表示部22を通じて、エラーの発生箇所であるパーツフィーダ13の部品供給位置13Kのリアルタイムでの動画像を見ることができるようになり、これにより、エラー発生箇所の状態をリアルタイムで把握することが可能となる。オペレータは、リモート監視部3の表示部22を通じてエラー発生箇所の状態を把握することができるようになったら、入力部23から、エラーを解消させるための所要の操作を行う。
【0050】
リモート監視部3の制御部21は、情報受信部21aが受信する情報の表示部22への表示を開始したら、オペレータによる操作入力の待ち状態に入る(ステップST54)。そして、オペレータが上記のような操作入力を行ったことを検知したら、部品実装装置2の制御装置18に操作信号を送信する(ステップST55)。
【0051】
制御装置18は、前述のステップST38において、リモート監視部3に表示開始指令を送信したら、リモート監視部3から送信される操作信号の受信待ちに入る(ステップST39)。そして、リモート監視部3から送信された操作信号を受信したら、その受信した操作信号に従って、部品実装装置2に発生したエラーが解消されるようにするための所要の処置を実行する(ステップST40)。
【0052】
制御装置18は、部品実装装置2に発生したエラーが解消されるようにするための処置を実行したら、リモート監視部3への動画像の送信を停止させる(ステップST41)。そして、基板カメラ16による撮像を停止させて(ステップST42)、リモート操作モードから抜ける(ステップST43)。
【0053】
このように、実施の形態2におけるリモート操作システム1も、実施の形態1におけるリモート操作システム1と同様、部品実装装置2にエラーが発生した場合、そのエラーが発生した箇所の動画像を基板カメラ16によって取得し、その取得する動画像がオペレータによる対応が可能な状態になっているか否かを判断するようになっている。そして、取得する動画像がオペレータによる対応が可能な状態になっていると判断した場合には、基板カメラ16が取得する動画像をリモート監視部3に送信し、リモート監視部3は、部品実装装置2から送信される情報の受信を開始した場合に、その情報を表示部22に表示させるようになっている。
【0054】
上記構成のリモート操作システム1においても、部品実装装置2にエラーが発生した場合には、そのエラーに関する情報の取得動作(エラー発生箇所を基板カメラ16によって動画撮像する動作)が開始された後、その情報がオペレータによる対応が可能な状態になって初めて、リモート監視部3の表示部22に情報が表示される。このため、リモート監視部3の表示部22にエラーに関する情報の表示が開始されたとき(部品実装装置2にエラーが発生したことが通知されたとき)には既に、リモート監視部3からエラーを解消させるための操作(リモート操作)を行うことができる状態となっており、リモート監視部3のオペレータは、部品実装装置2におけるエラーの発生を通知されてから待ち状態を経ることなく、エラー解消のための作業に取り掛かることができる。
【0055】
以上説明したように、実施の形態1および2におけるリモート操作システム1によれば、作業装置である部品実装装置2にエラーが発生した場合、そのエラーに関する情報の取得動作が開始された後、その情報がオペレータによる対応が可能な状態になって初めて、リモート監視部3の表示部22に情報が表示される。このためリモート監視部3のオペレータは、部品実装装置2におけるエラーの発生を通知されてから待ち状態を経ることなくエラーを解消させるための操作に取り掛かることができる。
【0056】
これまで実施の形態1および2について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態1および2では、作業装置に発生したエラーに関する情報はエラー発生箇所を撮像する動画像であった。このため、エラーに関する情報が、オペレータによる対応が可能な状態になっているか否かの判断は、撮像を開始した基板カメラ16がエラーの発生箇所を撮像する位置への移動が完了したかどうかの判断と同等であったが、作業装置に発生したエラーに関する情報が、例えば、エラー発生位置を数値(例えば座標)によって表すものであるような場合には、上記判断は、エラー発生位置を表す数値の表示が完了したか否かの判断と同等となる。
【0057】
また、実施の形態1および2では、リモート操作システム1を構成する作業装置が、パーツフィーダ13によって供給される部品BHを移動自在な装着ヘッド15によりピックアップして基板KBに装着する部品実装装置2であるとしていたが、作業装置は部品実装装置2に限られない。また、上述の実施の形態1および2では、部品実装装置2におけるエラーの発生箇所は、パーツフィーダ13によって部品BHが供給される部品供給位置13Kであるとしていたが、これは一例であり、部品供給位置13K以外に発生したエラーに対しても同様に対処することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
リモート監視部のオペレータがエラーの発生を通知されてから待ち状態を経ることなくエラー解消のための作業に取り掛かることができるリモート操作システムを提供する。
【符号の説明】
【0059】
1 リモート操作システム
2 部品実装装置(作業装置)
3 リモート監視部
13 パーツフィーダ
13K 部品供給位置
15 装着ヘッド
16 基板カメラ(情報取得部)(カメラ)
18b 判断部
18c 情報送信部
18d 指令送信部
21a 情報受信部
21b 表示制御部
21c 指令受信部
22 表示部
BH 部品
KB 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10