(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01G 11/78 20130101AFI20230526BHJP
H01G 11/06 20130101ALI20230526BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20230526BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20230526BHJP
【FI】
H01G11/78
H01G11/06
H01G11/12
H01M50/202 101
(21)【出願番号】P 2020510901
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2019012824
(87)【国際公開番号】W WO2019189162
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2018069687
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】脇中 潔
【審査官】北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-142049(JP,A)
【文献】実開昭57-102119(JP,U)
【文献】実開昭55-162184(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/78
H01G 11/06
H01G 11/12
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電デバイスと、
底面部と前記底面部の反対側に位置する開口部とを有し、前記蓄電デバイスが収容されるケースと、
前記開口部を覆う蓋と、
前記ケースと前記蓋の間を封止する封止部材と、を備え、
前記ケースは、前記開口部の外周に沿って、前記開口部を取り囲む第1のケース面
と、
前記第1のケース面の外側に、前記第1のケース面よりも前記底面部から離れた位置に配置される第2のケース面を有し、
前記蓋は、前記第1のケース面と対向する第1の蓋面を有し、
前記封止部材は、前記第1のケース面と前記第1の蓋面との間に配置され、
前記第1の蓋面と前記第2のケース面とが接触する、
蓄電モジュール。
【請求項2】
請求項
1に記載の蓄電モジュールにおいて、
前記ケースは、前記第1のケース面と前記第2のケース面とを繋き、前記第1のケース面と前記第2のケース面と交差する第3のケース面を有し、
前記封止部材は、前記第3のケース面と接触する、
蓄電モジュール。
【請求項3】
請求項
2に記載の蓄電モジュールにおいて、
前記蓋は、前記第1の蓋面に繋がり、前記第3のケース面と対向する第2の蓋面を有し、
前記封止部材は、前記第3のケース面と前記第2の蓋面との間に配置され、前記第2の蓋面とは離間している、
蓄電モジュール。
【請求項4】
請求項
3に記載の蓄電モジュールにおいて、
前記蓋は、前記第1の蓋面の外周に、前記第1の蓋面と交差する第3の蓋面を有し、
前記ケースは、前記第2のケース面の外周に繋がり、前記第2のケース面と交差する第
4のケース面を有し、
前記第4のケース面は、前記第3の蓋面と対向し、
前記第4のケース面と前記第3の蓋面との間に第1の隙間が設けられる、
蓄電モジュール。
【請求項5】
請求項
4に記載の蓄電モジュールにおいて、
前記ケースは、前記第1のケース面の内周に繋がり、前記第1のケース面と交差する第5のケース面を有し、
前記第5のケース面は、前記第2の蓋面と対向し、
前記第5のケース面と前記第2の蓋面との間に第2の隙間が設けられ、
前記第1の隙間における前記第4のケース面と前記第3の蓋面の間の距離が、前記第2の隙間における前記第5のケース面と前記第2の蓋面の間の距離よりも小さい、
蓄電モジュール。
【請求項6】
請求項1ないし
5の何れか一項に記載の蓄電モジュールにおいて、
前記封止部材は、弾性体であり、前記第1のケース面と前記第1の蓋面との間で圧縮されている、
蓄電モジュール。
【請求項7】
請求項
6に記載の蓄電モジュールにおいて、
前記蓋は、前記第1の蓋面の反対側に位置する第4の蓋面を有し、
前記第4の蓋面から突出し、前記封止部材に沿う突状部が設けられる、
蓄電モジュール。
【請求項8】
請求項
7に記載の蓄電モジュールにおいて、
前記突状部は、前記開口部から前記底面部へ向かう方向から見たときに、前記封止部材と重なるように配置される、
蓄電モジュール。
【請求項9】
請求項7ないし
8の何れか一項に記載の蓄電モジュールにおいて、
前記第1のケース面と前記封止部材の密着強度は、前記第1の蓋面と前記封止部材の密着強度よりも大きい、
蓄電モジュール。
【請求項10】
請求項
6ないし
9の何れか一項に記載の蓄電モジュールにおいて、
前記封止部材は、紫外線硬化樹脂により形成される、
蓄電モジュール。
【請求項11】
請求項
6ないし
10の何れか一項に記載の蓄電モジュールにおいて、
前記ケースは、前記開口部を取り囲む部分の外周が長方形であり、前記長方形の4つの角部にそれぞれ第1の固定部を有するとともに、前記4つの角部の内の前記長方形の長辺に沿って並ぶ2つの角部の間に、前記長辺に沿って配置される2つの第2の固定部を有し、
前記2つの第2の固定部の内の1つと前記2つの第2の固定部の内の当該1つに最も近い前記第1の固定部との距離は、前記2つの第2の固定部の間の距離よりも小さく、
前記蓋は、前記第1の固定部および前記2つの第2の固定部のそれぞれにおいて前記ケースに固定されている、
蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の蓄電装置と、これら蓄電装置を支持するホルダーと、蓄電装置と電気的に接続され、ホルダーに支持された制御基板と、蓄電装置と電気的に接続されたコネクタと、蓄電装置、ホルダー、制御基板およびコネクタを収容する有底筒状のケースと、ケースを封止する蓋とから構成される蓄電ユニットが、たとえば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1の蓄電ユニットでは、蓋は、ケースの開口部側に設けられたケース収容部内に挿入され、ビスによりケースに固定される。蓋には貫通孔が設けられ、この貫通孔からコネクタがケースの外部に露出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
上記蓄電ユニットでは、蓋とケースとの境目(継ぎ目)がケースの側壁部側も表れず、ケースの開口部側のみに表れる。このため、外部からの水適は、蓋とケースの底面部が対向する方向以外から境目を通じてケースの内部に入り込むことができず、ケースの内部に水滴が入り込む可能性を低減できる。
【0006】
しかしながら、蓄電ユニットが、より水に晒されやすい環境で使用される場合には、蓋とケースとの境目から水が入り込んだときに、その水がケースの内部に浸入してしまわないよう、蓋とケースとの間に、より高い水封性が求められる。
【0007】
かかる課題に鑑み、本発明は、蓄電デバイスが収容されるケースと、ケースの開口部を覆う蓋との間の水封性を向上できる蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の主たる態様に係る蓄電モジュールは、蓄電デバイスと、底面部と前記底面部の反対側に位置する開口部とを有し、前記蓄電デバイスが収容されるケースと、前記開口部を覆う蓋と、前記ケースと前記蓋の間を封止する封止部材と、を備える。ここで、前記ケースは、前記開口部の外周に沿って、前記開口部を取り囲む第1のケース面を有する。前記蓋は、前記第1のケース面と対向する第1の蓋面を有する。前記封止部材は、前記第1のケース面と前記第1の蓋面との間に配置される。
【0009】
なお、特許請求の範囲において、「対向」の用語は、必ずしも向き合うもの同士が平行であることを意味しない。
【0010】
本発明によれば、蓄電デバイスが収容されるケースと、ケースの開口部を覆う蓋との間の水封性を向上できる。
【0011】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、蓄電モジュールの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、蓄電モジュールの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る、前方下方から見た、一体化された蓄電デバイス、デバイスホルダ、回路基板および蓋の斜視図である。
【
図4】
図4(a)ないし(c)は、それぞれ、実施の形態に係る、コネクタが一体形成された蓋の正面斜視図、背面斜視図および底面斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る、コネクタが一体形成された蓋の平面図である。
【
図6】
図6(a)および(b)は、それぞれ、実施の形態に係る、ガスケットが形成される前のケースの正面斜視図および背面斜視図である。
【
図7】
図7(a)および(b)は、それぞれ、実施の形態に係る、ケースの平面図および正面図である。
【
図8】
図8(a)は、実施の形態に係る、
図7(a)のA-A´線で切断したケースの部分拡大断面図であり、
図8(b)は、実施の形態に係る、
図7(a)のB-B´線で切断したケースの部分拡大断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る、
図7(a)のA-A´線と同じ位置で切断された蓄電モジュールの部分拡大断面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る、
図7(a)のB-B´線と同じ位置で切断された蓄電モジュールの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態に係る蓄電モジュール1について図面を参照して説明する。便宜上、各図には、適宜、前後、左右および上下の方向が付記されている。なお、図示の方向は、あくまで蓄電モジュール1の相対的な方向を示すものであり、絶対的な方向を示すものではない。
【0014】
本実施の形態において、天面410aが、特許請求の範囲に記載の「第4の蓋面」に対応する。また、底面410bが、特許請求の範囲に記載の「第1の蓋面」に対応する。さらに、周面410cが、特許請求の範囲に記載の「第3の蓋面」に対応する。さらに、外周面451aが、特許請求の範囲に記載の「第2の蓋面」に対応する。さらに、内周壁面507が、特許請求の範囲に記載の「第5のケース面」に対応する。さらに、内側縁面551が、特許請求の範囲に記載の「第1のケース面」に対応する。さらに、外側縁面552が、特許請求の範囲に記載の「第2のケース面」に対応する。さらに、内側周面553が、特許請求の範囲に記載の「第3のケース面」に対応する。さらに、外側周面554が、特許請求の範囲に記載の「第4のケース面」に対応する。さらに、角ネジ穴555が、特許請求の範囲に記載の「第1の固定部」に対応する。さらに、中間ネジ穴556が、特許請求の範囲に記載の「第2の固定部」に対応する。さらに、ガスケット800が、特許請求の範囲に記載の「封止部材」に対応する。さらに、隙間S1が、特許請求の範囲に記載の「第1の隙間」に対応し、隙間S2が、特許請求の範囲に記載の「第2の隙間」に対応する。
【0015】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る、蓄電モジュール1の斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る、蓄電モジュール1の分解斜視図である。なお、
図2では、ガスケット800の図示が省略されている。
【0017】
蓄電モジュール1は、5つの蓄電デバイス100と、デバイスホルダ200と、回路基板300と、蓋400と、ケース500と、を備える。蓋400には、コネクタ600が一体形成される。5つの蓄電デバイス100が保持されたデバイスホルダ200と、回路基板300と、蓋400とが一体化された後、蓄電デバイス100が保持されたデバイスホルダ200と回路基板300とがケース500内に収容され、ケース500の開口部506が蓋400で覆われる。蓋400は、8本のネジ700によってケース500に固定される。
【0018】
蓄電モジュール1は、各種の電子機器、電気機器、産業機器、自動車等に用いられ、電力のアシスト、バックアップなどを行う。蓄電モジュール1が、たとえば、自動車に搭載された場合、自動車のバッテリーからの供給される電力により蓄電デバイス100を充電することができる。
【0019】
図3は、本実施の形態に係る、前方下方から見た、一体化された蓄電デバイス100、デバイスホルダ200、回路基板300および蓋400の斜視図である。
【0020】
蓄電デバイス100は、たとえば、電気二重層キャパシタである。蓄電デバイス100は、リチウムイオンキャパシタ等、電気二重層キャパシタ以外のキャパシタであってもよい。また、蓄電デバイス100は、その正極の活物質として導電性高分子が用いられたものであってもよい。導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロールまたはポリチオフェンおよびこれらの誘導体等が挙げられ、複数種の導電性高分子を用いてもよい。
【0021】
各蓄電デバイス100は、図示しないデバイス素子と電解液とが収容された細長い有底円筒状の容器110と、ゴム成分を含む弾性材料により形成され、容器110の開口を封止する封口体120と、封口体120から外部に引き出される正極リード端子130および負極リード端子140と、を含む。正極リード端子130はデバイス素子の正極と電気的に接続され、負極リード端子140はデバイス素子の負極と電気的に接続される。
【0022】
デバイスホルダ200は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの樹脂材料により形成される。
【0023】
デバイスホルダ200は、5つの蓄電デバイス100を左右方向に並んだ状態で保持するため、左右方向に連続する5つの収納部210を備える。各収納部210は、蓄電デバイス100の周面の半分が収納できるように半円弧状に凹む。各収納部210には、上下方向の3か所に一対の爪部211が設けられる。各爪部211は、収納部210の円弧状の保持面と同じ曲率を有するように湾曲し、収納部210の内側に張り出す。各収納部210の保持面にも、図示しない一対の爪部が2か所に設けられる。各蓄電デバイス100は、3か所の一対の爪部211と2か所の一対の爪部で挟み込まれることにより、各収納部210内に保持される。
【0024】
デバイスホルダ200の左右の側面には、上下方向に延びる差込リブ220が形成される。また、デバイスホルダ200の底面には、左右方向に延びる差込リブ230が形成される。
【0025】
回路基板300は、左右方向に長いほぼ長方形状を有する。デバイスホルダ200は、その左右の側面に設けられた、先端がフック状の爪部240を、回路基板300の取付孔301に挿入する、いわゆるスナップフィットの構造により、回路基板300に固定される。回路基板300の上部が上方にはみ出し、デバイスホルダ200の下部が下方にはみ出すように、デバイスホルダ200と回路基板300と前後方向に重なる。
【0026】
回路基板300には、5つの蓄電デバイス100を直列または並列に接続するためのパターン配線(図示せず)が形成される。各蓄電デバイス100の正極リード端子130および負極リード端子140がパターン配線に半田付けにより接続される。また、回路基板300には、外部のバッテリー等からの電力供給により各蓄電デバイス100に充電を行うための充電回路(図示せず)が配置される。なお、
図2および
図3には、充電回路に含まれるFET(Field effect transistor)302とFET302から放熱を行うための
ヒートシンク303とが示されている。
【0027】
図4(a)ないし(c)は、それぞれ、本実施の形態に係る、コネクタ600が一体形成された蓋400の正面斜視図、背面斜視図および底面斜視図である。
図5は、本実施の形態に係る、コネクタ600が一体形成された蓋400の平面図である。なお、
図4(a)ないし(c)には、便宜上、本体部410の周面410cと突状部430との境界が破線で示されている。また、
図5には、便宜上、突状部430にハッチングが施されている。さらに、
図5には、蓋400をケース500に取り付けた状態でのガスケット800の位置が破線により示されている。
【0028】
蓋400は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの樹脂材料により形成される。蓋400は、左右方向に長いほぼ長方形の板状を有する本体部410を備える。本体部410は、天面410aと、底面410bと、前後左右の側面からなり天面410aおよび底面410bに垂直な周面410cとを含み、前後左右の4つの角部がR形状を有する。なお、周面410cには、右側面の部分に凹み部410dが形成される。
【0029】
本体部410には、各角部に円形の角取付孔411が形成される。また、本体部410には、前側および後側において、長手方向である左右方向に並ぶ2つの角取付孔411の間に、2つの円形の中間取付孔412が形成される。本体部410の前端縁は、2つの中間取付孔412の周りの部分が台形状に前方へ張り出し、本体部410の後端縁は、2つの中間取付孔412の周りの部分が台形状に後方へ張り出す。
【0030】
本体部410には、左右方向の中央よりも左側であって前後方向の中央に、円形の通気孔413が形成される。本体部410の天面410aおよび底面410bには、それぞれ、通気孔413の周囲に円環状のリブ414、415が形成される。通気孔413は、リブ415に取り付けられた通気膜420により底面410b側から覆われる。通気膜420は、撥水・撥油処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)製の不織布または織布からなる基材上にPTFE多孔質膜を積層して、撥水・撥油膜を形成した部材であり、水をはじいて空気を通す性質を有する。
【0031】
蓋400には、その表側である本体部410の天面410aに、本体部410の外周縁に沿って、ほぼ長方形の枠状の突状部430が、天面410aから突出するように設けられる(
図5参照)。突状部430は、角取付孔411および中間取付孔412を避けるために幅が狭くなった幅狭部431と、幅狭部431以外の部分である幅の広い幅広部432とを含む。幅広部432には、凹部である肉盗み部433が設けられる。また、蓋400には、本体部410の天面410aにおける突状部430の内側の領域に、リブ群440が、天面410aから突出するように設けられる。リブ群440は、左右方向に延びる複数のリブ441と前後方向に延びる複数のリブ442とが適宜組み合わされた構成を有し、突状部430、通気孔413のリブ414およびコネクタ600に繋がる。リブ群440の高さは、突状部430の高さより低くされる。
【0032】
蓋400には、その裏側である本体部410の底面410bに、全体として底面410bから隆起するように、内蓋部450が設けられる。内蓋部450は、ケース500の開口部506の形状に対応する形状、即ち、4つの角部に大きなRを有する長方形状を有し、蓋400がケース500に装着されたときにケース500の内周壁面507の内側に入り込む。内蓋部450は、内蓋部450の外周縁部を形成する環状の外周リブ451を備える。また、内蓋部450は、外周リブ451の内側において、コネクタ600の裏側の領域を肉厚にする四角形状の肉厚部452を備え、肉厚部452以外の領域にリブ群453を備える。リブ群453は、通気孔413のリブ415の周りを囲む環状のリブ454と、左右方向に延びる複数のリブ455と、前後方向に延びる複数のリブ456とが組み合わされた構成を有し、外周リブ451および肉厚部452に繋がる。外周リブ451の外周面451aは、本体部410の底面410bに垂直であり、底面410bに繋がる。
【0033】
蓋400には、内蓋部450の左右の端部に、取付ボス460が設けられる。取付ボス460には、後方に開口するネジ穴461が形成される。
【0034】
コネクタ600は、蓋400と一体形成され、ハウジング610と、複数の端子620とを含む。ハウジング610は、上面が開口する左右方向に長いほぼ直方体の箱状を有する。蓋400の本体部410の一部がハウジング610の底面部611として共用される。ハウジング610の前後左右の側面からなる周面部612が、蓋400の本体部410の天面410aから突出する。複数の端子620は、インサート成形によって、ハウジング610の底面部611に、左右方向に並ぶように埋め込まれる。各端子620は、一端側がハウジング610の内部に収まり、他端側が蓋400の裏側の内蓋部450から外部に突出する。各端子620の他端側は、ほぼL字に折り曲げられる。ハウジング610の底面部611は、各端子620を保持する部分の肉厚が大きくなるよう、各端子620の周囲部分611aが隆起する。
【0035】
このように、コネクタ600が蓋400に一体形成されているので、コネクタ600のハウジング610と蓋400との間に境目が生じない。このため、従来のような、蓋に貫通孔を設けて、貫通孔からコネクタを外部に露出させる構成と違って、コネクタと貫通孔との境目から水等が浸入することを懸念しなくてよい。
【0036】
図3に示すように、蓋400は、裏側の2つの取付ボス460が図示しないネジによって回路基板300に取り付けられることにより、回路基板300の上端部に固定される。コネクタ600の各端子620が回路基板300のパターン配線に接続される。これにより、5つの蓄電デバイス100と、これら蓄電デバイス100からの電力を出力するための端子620とが電気的に接続される。また、充電回路と、この充電回路にバッテリーからの電力を供給するための端子620とが電気的に接続される。
【0037】
図6(a)および(b)は、それぞれ、本実施の形態に係る、ガスケット800が形成される前のケース500の正面斜視図および背面斜視図である。
図7(a)および(b)は、それぞれ、本実施の形態に係る、ケース500の平面図および正面図である。
図8(a)は、本実施の形態に係る、
図7(a)のA-A´線で切断したケース500の部分拡大断面図であり、
図8(b)は、本実施の形態に係る、
図7(a)のB-B´線で切断したケース500の部分拡大断面図である。なお、
図7(a)には、便宜上、ガスケット800にハッチングが施されている。
【0038】
ケース500は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの樹脂材料により形成される。ケース500は、左右方向に広く前後方向に薄いほぼ直方体の箱状に形成され、底面部501と、前側面部502と、後側面部503と、左側面部504と、右側面部505とを含み、上端面に開口部506を有する。ケース500は、各側面部502~505同士の間の4つの角部が大きなR形状に形成される。これにより、ケース500の底面部501および開口部506の形状は、4つの角部に大きなR形状を有する長方形となる。
【0039】
左側面部504と後側面部503との間の角部および右側面部505と後側面部503との間の角部には、上部および下部に、後方に向くほぼ円筒形状の取付ボス510が設けられる。各取付ボス510には、円筒形状を有する金属製のナット511が埋め込まれる。また、各取付ボス510には、周面に、角部に繋がる5つの補強用のリブ512が形成され、端面に、左側面部504または右側面部505に繋がる2つの補強用のリブ513が形成される。
【0040】
ケース500の外壁面には、上部および下部の前側に、横方向に延びる3本の補強用のリブ521が形成され、上部および下部の後側に、横方向に延びる3本の補強用のリブ522が形成される。前側の3本のリブ521のうち、上下の2本のリブ521は、前側面部502と左側面部504と右側面部505とに亘って設けられ、その両端部が取付ボス510の2本のリブ513に繋がり、中央のリブ521は、前側面部502とその両側の角部に亘って設けられる。後側の3本のリブ522は、後側面部503に設けられ、その両端部が取付ボス510の後側の3本のリブ512に繋がる。また、ケース500の内部には、前側面部502および後側面部503の内壁面に、それぞれ、その上端から下端に亘って縦方向(上下方向)に延びる補強用の6本のリブ531、532が、左右方向に適宜の間隔を有して設けられる。
【0041】
このように、ケース500の前側面部502および後側面部503では、外壁面の複数のリブ521、522と内壁面の複数のリブ531、532とが格子状に設けられるので、左側面部504および右側面部505に比べて面積が大きい前側面部502および後側面部503が良好に補強され、以てケース500全体が良好に補強される。しかも、格子を形成する複数のリブ521、522、531、532が外壁面と内壁面とに分かれて設けられているので、ケース500の外壁面の凹凸を少なくできて外壁面に埃等の異物が付着しにくくなる。また、ケース500の内壁面に縦方向のリブ531、532が設けられているので、ケース500を成形により製造する際、ケース500の内部から金型を容易に抜くことができ、金型の構造が複雑にならない。
【0042】
さらに、ケース500の外壁面の前側の2本のリブ521は、取付ボス510のリブ513に繋げられており、ケース500の外壁面の後側の3本のリブ522は、取付ボス510のリブ512に繋げられているので、これらリブ521、522を強くすることができて、ケース500をより良好に補強できる。
【0043】
ケース500の内部において、底面部501の内壁面には、左右方向に延びる2つのリブ541により底面ホルダ固定溝542が、左右方向の3か所に分かれて設けられる。また、左側面部504および右側面部505には、上下方向に延び3つのリブ543により側面ホルダ固定溝544と基板固定溝545とが設けられる。底面ホルダ固定溝542と側面ホルダ固定溝544は、前後方向における位置が同じとなる。蓄電デバイス100を保持したデバイスホルダ200と回路基板300とがケース500内に収容されると、デバイスホルダ200の側面の差込リブ220が側面ホルダ固定溝544に差し込まれ、デバイスホルダ200の底面の差込リブ230が底面ホルダ固定溝542に差し込まれる。また、回路基板300の左端部および右端部が、それぞれ、左側面部504および右側面部505の基板固定溝545に差し込まれる。これにより、蓄電デバイス100を保持したデバイスホルダ200と回路基板300とがケース500に内部において固定される。
【0044】
なお、ケース500の前後左右4つの側面部502、503、504、505の内壁面により内周壁面507が構成される。
【0045】
ケース500には、上端部に、蓋400が装着される蓋装着部550が設けられる。蓋装着部550は、蓋400が収容できるように、蓋400に対応する形状に凹む。蓋装着部550は、開口部506の外周に設けられ、開口部506と同じ側、即ち上側を向く内側縁面551と、内側縁面551の外周に設けられ、ケース500の底面部501からの高さが内側縁面551よりも一段高い外側縁面552と、内側縁面551と外側縁面552とに繋がる、これらの縁面551、552に垂直な内側周面553と、外側縁面552の外周に設けられ、外側縁面552に垂直な外側周面554とを含む。内側縁面551は、開口部506の外形と同じ形状の所定幅の帯状を有する。外側縁面552は、蓋400の本体部410と同じ外形状を有する。蓋装着部550の外側縁面552まで深さは、蓋400の本体部410の厚さとほぼ同じであり、外側縁面552から内側縁面551までの深さは、蓋400の裏側の内蓋部450の高さよりも小さい。
【0046】
図7(a)に示すように、蓋装着部550の内側縁面551には、封止部材であるガスケット800が配置される。ガスケット800は、内側縁面551の形状と同様のループ形状を有する。ガスケット800は、弾性を有する紫外線硬化樹脂、たとえば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂などにより形成される。即ち、ガスケット800の形状となるように内側縁面551上に粘性の高い液状(ゲル状)の紫外線硬化樹脂を塗布し、塗布した紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させることにより、内側縁面551に強く密着したガスケット800が出来上がる。
図8(a)および(b)に示すように、内側縁面551上で形成されたガスケット800は、上側がほぼ球面状を有し、外側縁面552よりも僅かに(たとえば、0.5mm程度)上方に突出する。また、ガスケット800と内側周面553との間には僅かに隙間が形成される。
【0047】
外側縁面552には、4つの角部に円形の角ネジ穴555が形成される。また、外側縁面552には、前側および後側において、長手方向である左右方向に並ぶ2つの角ネジ穴555の間に、2つの円形の中間ネジ穴556が形成される。2つの中間ネジ穴556は、ケース500の左右方向における中心から等しい距離に設けられる。ここで、
図7(a)に示すように、中間ネジ穴556とその中間ネジ穴556に近い側の角ネジ穴555との距離D1は、中間ネジ穴556同士の距離D2よりも短くされる。即ち、2つの中間ネジ穴556は、ケース500の長手方向において、2つの距離D1、D2が等しくなるように均等に配置されるのではなく、少し角部に寄るように配置される。さらに、短手方向である前後に並ぶ2つの角ネジ穴555同士の距離D3は、中間ネジ穴556と角ネジ穴555との距離D1よりも短くされる。
【0048】
外側縁面552の前端縁は、2つの中間ネジ穴556の周りの部分が台形状に前方へ張り出し、外側縁面552の後端縁は、2つの中間ネジ穴556の周りの部分が台形状に後方へ張り出す。蓋装着部550には、各ネジ穴555、556の位置に取付ボス557が設けられ、各ネジ穴555、556が取付ボス557の内部まで延びる。各取付ボス557には補強用のリブ557aが形成される。前側面部502側の2つの取付ボス557のリブ557aは前側面部502のリブ521に繋がり、後側面部503側の2つの取付ボス557のリブ557aは後側面部503のリブ522に繋がる。
【0049】
蓄電デバイス100が保持されたデバイスホルダ200と回路基板300とがケース500内に収容され、蓋400がケース500の蓋装着部550に装着される。蓋400の各角取付孔411および各中間取付孔412とケース500の各角ネジ穴555および各中間ネジ穴556とが整合する。各角取付孔411および各中間取付孔412を通されたネジ700が、各角ネジ穴555および各中間ネジ穴556に止められる。これにより、蓋400がケース500に固定され、ケース500の開口部506が蓋400で塞がれる。こうして、蓄電モジュール1が組み上がる。
【0050】
図9は、本実施の形態に係る、
図7(a)のA-A´線と同じ位置で切断された蓄電モジュール1の部分拡大断面図である。
図10は、本実施の形態に係る、
図7(a)のB-B´線と同じ位置で切断された蓄電モジュール1の部分拡大断面図である。なお、
図9および
図10では、便宜上、蓄電デバイス100、デバイスホルダ200および回路基板300の図示が省略されている。
【0051】
ケース500に蓋400が装着された状態において、蓋400の底面410bとケース500の内側縁面551とが対向し、これらの間にガスケット800が配置される。また、蓋400の底面410bが外側縁面552に接触する。ガスケット800は、蓋400の底面410bとケース500の内側縁面551とで圧縮され、潰れた状態となる。上述の通り、ガスケット800は、ゲル状態で内側縁面551に塗布されることで内側縁面551と強く密着した状態となる。このため、ガスケット800と内側縁面551との間の密着強度は、ガスケット800と蓋400の底面410bとの間の密着強度よりも大きくなる。ガスケット800は、ケース500の内側周面553と、これに対向する蓋400の外周リブ451の外周面451aとの間に存在し、内側周面553と接触するが、外周リブ451の外周面451aとは接触しない。
【0052】
なお、ガスケット800と内側縁面551との間の密着強度と、ガスケット800と蓋400の底面410bとの間の密着強度のどちらが大きいかは、蓋400をケース500から取り外したときに、ガスケット800が蓋400とケース500のどちらに貼り付いているかにより確認できる。本実施の形態では、ガスケット800と内側縁面551との間の密着強度が、ガスケット800と蓋400の底面410bとの間の密着強度よりも大きいため、蓋400をケース500から取り外したときに、ガスケット800がケース500に貼り付く状態となる。
【0053】
ケース500の外側周面554が蓋400の周面410cに外側から対向し、ケース500の内周壁面507が蓋400の外周リブ451の外周面451aに外側から対向する。ケース500の外側周面554と蓋400の周面410cとの間には、隙間S1が設けられ、ケース500の内周壁面507と蓋400の外周リブ451の外周面451aとの間には、隙間S2が設けられる。ケース500の外側周面554と蓋400の周面410cとの距離D4は、全体として(周面410cの凹み部410d部分での隙間を除いて)ケース500の内周壁面507と蓋400の外周リブ451の外周面451aとの距離D5よりも短くされている。
【0054】
なお、ケース500の外側周面554と蓋400の周面410cとの間に全周に亘って隙間S1が設けられるのではなく、一部分において、ケース500の外側周面554と蓋400の周面410cとが接触していてもよい。同様に、ケース500の内周壁面507と蓋400の外周リブ451の外周面451aとの間に全周に亘って隙間S2が設けられるのではなく、一部分において、ケース500の内周壁面507と蓋400の外周リブ451の外周面451aとが接触していてもよい。
【0055】
蓋400(本体部410)の外周縁近傍部分は、その底面410bでガスケット800を押さえ付けているため、ガスケット800から弾性力を受ける。そこで、蓋400の外周縁近傍部分には、図5の破線に示すように、蓋400、即ちケース500の開口部506を正面視したときに、ガスケット800に沿うように、より具体的には、ガスケット800の真上に重なるように突状部430が形成されており、この部分の蓋400の肉厚が本体部410の肉厚よりも厚くされている。これにより、ガスケット800の弾性力による蓋400の変形が防止される。
【0056】
蓄電モジュール1が自動車等の内部に設けられた外部装置に搭載される際、ケース500の後側面部503側が、取付ボス510へのネジ止めによって外部装置の固定部に固定される。そして、外部装置に備えられたコネクタ(図示せず)が、蓄電モジュール1のコネクタ600に接続される。外部装置側で電力のアシスト、バックアップなどが必要となった際には、5つの蓄電デバイス100から出力された電力がコネクタ600および外部装置のコネクタを通じて外部装置へ供給される。
【0057】
使用時の蓄電デバイス100の発熱等によりケース500内で温度上昇が生じると、ケース500内の空気が膨張する。このとき、膨張した空気が通気膜420を通過して通気孔413から外部に逃げるので、ケース500の内圧が上昇することが防止される。一方で、通気孔413から水が侵入しても、その水は通気膜420を通過できない。このため、ケース500内へ水の侵入が防止される。
【0058】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態の蓄電モジュール1について説明した。本実施の形態の蓄電モジュール1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0059】
ケース500の内側縁面551と蓋400の底面410bとの間にガスケット800を介在させることによりケース500と蓋400との間の水封性を高めることができる。これにより、蓄電モジュール1に水が降りかかるなどし、ケース500と蓋400の境目から水が浸入しても、その水がケース500の内部に侵入してしまうことを防止できる。
【0060】
また、蓋400の底面410bがケース500の内側縁面551よりも高い外側縁面552に接触する構成とされているので、蓋400の底面410bをケース500の外側縁面552で受け止めることができる。これにより、ガスケット800が必要以上に蓋400で押さえ付けられてしまうことが防止でき、ガスケット800の破損等が防止できる。
【0061】
さらに、ガスケット800がケース500の内側周面553に接触する構成とされているので、ケース500の内側周面553と内側縁面551とを伝ってケース500の内部へ水が浸入しようとする経路において、水封部分を長くすることができる。これにより、ケース500と蓋400との間の水封性を一層高めることができる。
【0062】
さらに、蓋400の外周リブ451の外周面451aがガスケット800に接触しない構成とされているので、外周面451aとガスケット800とが対向する方向に蓄電モジュール1が振動することが生じても、ガスケット800が外周面451aから応力を受けにくく、その応力の影響を受けてガスケット800が劣化する、ということが生じにくい。
【0063】
さらに、ケース500の外側周面554と蓋400の周面410cとの間に隙間S1が設けられており、ケース500の内周壁面507と蓋400の外周リブ451の外周面451aとの間に隙間S2が設けられているので、蓋400をケース500に容易に装着できる。しかも、ケース500の外側周面554と蓋400の周面410cとの距離D4がケース500の内周壁面507と蓋400の外周リブ451の外周面451aとの距離D5よりも短くされている、言い換えれば、距離D5が距離D4よりも長くなるようにされているので、ケース500の外側周面554と蓋400の周面410cとの間から水がガスケット800側へ侵入しにくくなるともに、ケース500の内側縁面551において、製造誤差等によりガスケット800がケース500の内周壁面507側に寄って配置されるようなことが生じても、蓋400の外周リブ451の外周面451aがガスケット800に接触しにくくなる。
【0064】
さらに、蓋400の天面410aには、ガスケット800に沿うように突状部430が形成されており、ガスケット800の弾性力を受ける部分の蓋400の厚みが厚くされているので、ガスケット800の弾性力による蓋400の変形を防止でき、蓋400の変形による蓋400とケース500との水封性の低下を防止できる。しかも、蓋400全体の厚みが厚くされないので、蓋400を成形する際の樹脂(たとえば、PBT)の流動性が損なわれず、蓋400を良好に製造できる。あるいは、蓋400に使用される樹脂量を少なくでき、材料コストの低減等が図れる。特に、突状部430は、ケース500の開口部506を正面視したときに、ガスケット800に重なるように設けられているので、蓋400をより効果的に補強できて、蓋400の変形をより効果的に防止できる。
【0065】
さらに、ガスケット800が紫外線硬化樹脂により形成される構成とされているので、ゲル状の紫外線固化樹脂を、ガスケット800の形となるようにケース500の内側縁面551に塗布して硬化させることで、ガスケット800を内側縁面551に容易に組み付けることができる。なお、ゴム材料等からなる完成部品のループ状のガスケットは、その形が定まりにくい(しっかりと形を維持しにくい)ため、内側縁面551に容易に組み付けにくい。
【0066】
さらに、蓋400が上側に向けられるように蓄電モジュール1が設置されたときに、ケース500と蓋400の境目である、ケース500の外側周面554と蓋400の周面410cとの間から水が浸入しやくなる。このとき、侵入した水は、重力の関係から、上側である蓋400の底面410bとガスケット800との間よりも下側であるケース500の内側縁面551とガスケット800との間に向かいやすくなる。しかしながら、本実施の形態では、ケース500の内側縁面551とガスケット800との間の密着強度が蓋400の底面410bとガスケット800との間の密着強度よりも高いので、ケース500の内側縁面551とガスケット800との間に向かってきた水を良好に止めることができる。
【0067】
さらに、ケース500の蓋装着部550には、4つの角部に角ネジ穴555が設けられているので、それらに対応する4本のネジ700の締付により、ガスケット800の弾性力により最もケース500から浮きやすい蓋400の4つの角部をケース500側に押さえ付けることができる。また、ケース500の長手方向では、ケース500の前縁部および後縁部において、2つの角ネジ穴555の間に2つの中間ネジ穴556が設けられており、2つの中間ネジ穴556が、長手方向に均等ではなく左右の角部に寄るように配置されるので、それらに対応する4本のネジ700により、蓋400の前縁部および後縁部における、ガスケット800による弾性力が強くなる左右の角部の近くをしっかりとケース500側に押さえ付けることができる。このように、ガスケット800による弾性力を考慮し、8本のネジ700による締付によって、蓋400をケース500にバランスよく押さえ付けることができるので、ガスケット800による蓋400とケース500との間の水封性を良好に維持することが可能となる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、また、本発明の適用例も、上記実施の形態の他に、種々の変更が可能である。
【0069】
たとえば、上記実施の形態では、紫外線硬化樹脂からなるガスケット800がケース500の内側縁面551上に形成された。しかしながら、ガスケット800を蓋400の底面410b上に形成することもできる。但し、このような構成とされた場合、蓋400にガスケット800が形成された後、蓋400が回路基板300に取り付けられ、コネクタ600の端子620の半田付け工程などが行われる。このため、蓋400がケース500に装着されるまでに時間を要し、その間のガスケット800への異物の付着が懸念される。一方、ガスケット800がケース500の内側縁面551上に形成される場合は、ガスケット800の形成後、短い時間での蓋400のケース500への装着が可能となる。このため、ケース500側にガスケット800が形成されることがより望ましい。
【0070】
また、上記実施の形態では、ケース500の内側縁面551と蓋400の底面410bとの間に紫外線硬化樹脂からなるガスケット800を介在させた。しかしながら、ケース500の内側縁面551と蓋400の底面410bとの間にゴム材料からなるガスケットを介在させるようにしてもよい。あるいは、これらのように弾性体のガスケットを用いるのではなく、ケース500の内側縁面551と蓋400の底面410bとの間に接着剤を介在させ、接着剤によるケース500の内側縁面551と蓋400の底面410bとの接着によりケース500と蓋400との間を水封するようにしてもよい。この場合、ネジ700による蓋400とケース500との固定が必要なくなるが、蓋400をケース500から容易に取り外せなくなる。
【0071】
さらに、上記実施の形態では、ケース500に角ネジ穴555と中間ネジ穴556とが設けられ、これら角ネジ穴555と中間ネジ穴556にネジ700が止められることにより、蓋400とケース500とが固定された。しかしながら、ケース500には、角ネジ穴555と中間ネジ穴556との位置に、角ネジ穴555と中間ネジ穴556とは異なる固定部が設けられ、これら固定部を用いて蓋400とケース500とが固定されてもよい。たとえば、爪と、爪が差し込まれる爪孔との係合により蓋400とケース500とが固定される場合、爪および爪孔のうち、一方がケース500に設けられる固定部となる。また、爪および爪孔のうち、他方が蓋400に設けられる。
【0072】
さらに、上記実施の形態では、蓄電モジュール1に5つの蓄電デバイス100が用いられたが、これに限られることなく、その他の個数の蓄電デバイス100が蓄電モジュール1に用いられてもよい。
【0073】
さらに、上記実施の形態では、蓄電デバイス100として、電気二重層キャパシタが用いられた。しかしながら、蓄電デバイス100として、キャパシタではなく、たとえば、正極の活物質がコバルト酸リチウムなどのリチウム遷移金属酸化物であり、負極の活物質が炭素材料であるリチウムイオン二次電池が用いられてもよい。さらに、蓄電デバイス100は、このような非水電解質二次電池でなく、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、また、一次電池であってもよい。
【0074】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【0075】
なお、上記実施の形態の説明において「上方」「下方」等の方向を示す用語は、構成部材の相対的な位置関係にのみ依存する相対的な方向を示すものであり、鉛直方向、水平方向等の絶対的な方向を示すものではない。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、各種電子機器、電気機器、産業機器、車両の電装等に使用される蓄電モジュールに有用である。
【符号の説明】
【0077】
1 蓄電モジュール
100 蓄電デバイス
400 蓋
410a 天面(第4の蓋面)
410b 底面(第1の蓋面)
410c 周面(第3の蓋面)
430 突状部
451a 外周面(第2の蓋面)
500 ケース
501 底面部
506 開口部
507 内周壁面(第5のケース面)
551 内側縁面(第1のケース面)
552 外側縁面(第2のケース面)
553 内側周面(第3のケース面)
554 外側周面(第4のケース面)
555 角ネジ穴(第1のネジ止め部)
556 中間ネジ穴(第2のネジ止め部)
700 ネジ
800 ガスケット(封止部)
S1 隙間(第1の隙間)
S2 隙間(第2の隙間)