(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】部品実装装置および基板搬送方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230526BHJP
【FI】
H05K13/04 P
(21)【出願番号】P 2018181119
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】比山 弘章
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第03/088730(WO,A1)
【文献】特開2009-038148(JP,A)
【文献】特開2018-142629(JP,A)
【文献】特開2014-157960(JP,A)
【文献】国際公開第2004/093514(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ベルトを駆動するベルト駆動機構を有し、前記搬送ベルトによって部品が実装される基板を搬送して所定の実装作業位置に位置決めする基板搬送機構と、
前記搬送ベルトによって搬送される基板を所定の停止位置において検出する第1の基板検出センサと、
前記搬送ベルトによって搬送される基板を前記停止位置よりも基板搬送方向における下流側に設定されたオーバラン検出位置において検出する第2の基板検出センサと、
前記第1の基板検出センサおよび前記第2の基板検出センサの検出結果に基づいて前記ベルト駆動機構を制御する搬送制御部と、を備え、
前記搬送制御部は、前記第1の基板検出センサが前記基板を検出すると、前記ベルト駆動機構を停止させ、
前記第2の基板検出センサは、平面視において前記第1の基板検出センサに対して前記基板搬送方向に斜交する方向に隣接して設置され、
前記第1の基板検出センサおよび前記第2の基板検出センサは、相対的な位置関係を維持したまま平面視において前記基板搬送方向に直交する方向に移動可能であ
り、
前記第1の基板検出センサと前記第2の基板検出センサのそれぞれは、前記搬送ベルトによって搬送される基板の下方に設置される、部品実装装置。
【請求項2】
前記第2の基板検出センサは、平面視において前記第1の基板検出センサに対して前記基板搬送方向に少なくとも前記停止位置と前記オーバラン検出位置の前記基板搬送方向の間隔よりも離して設置される、請求項
1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記第1の基板検出センサおよび前記第2の基板検出センサは、反射式のセンサである、請求項1
または2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記搬送制御部は、前記ベルト駆動機構を停止させた後に前記第2の基板検出センサが前記基板を検出すると、前記第2の基板検出センサが前記基板を検出しなくなるまで前記基板を前記基板搬送方向の上流側に移動させる、請求項1から
3のいずれかに記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記実装作業位置と前記停止位置の前記基板搬送方向の差である搬送補正値を記憶する記憶部をさらに備え、
前記搬送制御部は、前記第1の基板検出センサが前記基板を検出した後、前記搬送補正値だけ前記基板を移動させる、請求項1から
4のいずれかに記載の部品実装装置。
【請求項6】
搬送ベルトを駆動するベルト駆動機構を有し、前記搬送ベルトによって部品が実装される基板を搬送して所定の実装作業位置に位置決めする基板搬送方法であって、
前記搬送ベルトによって搬送される基板を所定の停止位置において
前記基板の下方から検出する第1の基板検出センサ、および、平面視において前記第1の基板検出センサに対して基板搬送方向に斜交する方向に隣接して設置され、前記搬送ベルトによって搬送される基板を前記停止位置よりも前記基板搬送方向における下流側に設定されたオーバラン検出位置において
前記基板の下方から検出する第2の基板検出センサを、相対的な位置関係を維持したまま平面視において前記基板搬送方向に直交する方向に移動させる工程と、
前記第1の基板検出センサおよび前記第2の基板検出センサの検出結果に基づいて前記ベルト駆動機構を制御する工程と、を含み、
前記第1の基板検出センサが前記基板を検出すると、前記ベルト駆動機構を停止させる、基板搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を実装する部品実装装置および基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装する部品実装装置は、基板搬送機構によって搬送された基板を所定の実装作業位置に位置決めして部品実装作業を実行する。基板搬送機構として、水平走行する搬送ベルトによって基板を移動させる方式が多用されている。このような搬送ベルト方式の基板搬送機構における基板位置決め機構として、搬送ベルトの側方に配置された基板検出センサの検出信号に基づいて基板の停止位置制御を行うセンサ方式のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の部品実装装置では、投光器と受光器を備えた遮光式センサを用い、投光器からの検査光が基板によって遮光されたことを受光器が検知することによって基板が目標停止位置に到達したことを検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、コネクタ部品などが基板の前端面から下流側にはみ出して実装された基板や反った基板の場合、コネクタ部品で検査光が遮光されて基板の前端面が検出できなかったり、基板が湾曲することで設定とは異なる位置を検出したりする問題点があり、基板を正確に実装作業位置に位置決めすることができないことがあるという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、基板を正確に実装作業位置に位置決めすることができる部品実装装置および基板搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装装置は、搬送ベルトを駆動するベルト駆動機構を有し、前記搬送ベルトによって部品が実装される基板を搬送して所定の実装作業位置に位置決めする基板搬送機構と、前記搬送ベルトによって搬送される基板を所定の停止位置において検出する第1の基板検出センサと、前記搬送ベルトによって搬送される基板を前記停止位置よりも基板搬送方向における下流側に設定されたオーバラン検出位置において検出する第2の基板検出センサと、前記第1の基板検出センサおよび前記第2の基板検出センサの検出結果に基づいて前記ベルト駆動機構を制御する搬送制御部と、を備え、前記搬送制御部は、前記第1の基板検出センサが前記基板を検出すると、前記ベルト駆動機構を停止させ、前記第2の基板検出センサは、平面視において前記第1の基板検出センサに対して前記基板搬送方向に斜交する方向に隣接して設置され、前記第1の基板検出センサおよび前記第2の基板検出センサは、相対的な位置関係を維持したまま平面視において前記基板搬送方向に直交する方向に移動可能であり、前記第1の基板検出センサと前記第2の基板検出センサのそれぞれは、前記搬送ベルトによって搬送される基板の下方に設置される。
本発明の基板搬送方法は、搬送ベルトを駆動するベルト駆動機構を有し、前記搬送ベルトによって部品が実装される基板を搬送して所定の実装作業位置に位置決めする基板搬送方法であって、前記搬送ベルトによって搬送される基板を所定の停止位置において前記基板の下方から検出する第1の基板検出センサ、および、平面視において前記第1の基板検出センサに対して基板搬送方向に斜交する方向に隣接して設置され、前記搬送ベルトによって搬送される基板を前記停止位置よりも前記基板搬送方向における下流側に設定されたオーバラン検出位置において前記基板の下方から検出する第2の基板検出センサを、相対的な位置関係を維持したまま平面視において前記基板搬送方向に直交する方向に移動させる工程と、前記第1の基板検出センサおよび前記第2の基板検出センサの検出結果に基づいて前記ベルト駆動機構を制御する工程と、を含み、前記第1の基板検出センサが前記基板を検出すると、前記ベルト駆動機構を停止させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板を正確に実装作業位置に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成を示す平面図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える基板搬送機構の(a)平面図(b)側面図
【
図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える基板搬送機構の第1の基板検出センサと第2の基板検出センサの構成を示す(a)平面図(b)前面図
【
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【
図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える基板搬送機構による基板搬送のフロー図
【
図6】(a)(b)(c)(d)本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える基板搬送機構による基板搬送の工程説明図
【
図7】(a)(b)本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える基板搬送機構による基板搬送の工程説明図
【
図8】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える基板搬送機構による基板搬送の効果を説明する(a)平面図(b)正面図
【
図9】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える基板搬送機構により特殊基板を搬送する基板搬送の説明図
【
図10】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える基板搬送機構により特殊基板を搬送する他の基板搬送のフロー図
【
図11】(a)(b)本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える基板搬送機構により特殊基板を搬送する他の基板搬送の工程説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置、基板搬送機構の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(
図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(
図1における上下方向)が示される。
図2(b)、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(
図2(b)における上下方向)が示される。Z方向は、部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向である。
【0010】
まず
図1を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。
図1において、基台1aの中央には、基板搬送機構2がX方向に設置されている。基板搬送機構2は、上流側から搬入された基板3をX方向へ搬送し、以下に説明する実装ヘッドによる実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構2は、部品実装作業が完了した基板3を下流側に搬出する。基板搬送機構2の両側方には、それぞれ部品供給部4が設置されている。
【0011】
両方の部品供給部4には、複数のテープフィーダ5がX方向に並列に装着されている。テープフィーダ5は、部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッドが部品をピックアップする部品取出し位置に部品を供給する。
【0012】
図1において、基台1aの上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル6が配置されている。Y軸テーブル6には、同様にリニア機構を備えたビーム7がY方向に移動自在に結合されている。ビーム7には、実装ヘッド8がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド8の下端部には、部品を真空吸着して保持する吸着ノズル(図示省略)が装着されている。
【0013】
Y軸テーブル6およびビーム7は、実装ヘッド8を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる実装ヘッド移動機構9を構成する。実装ヘッド移動機構9および実装ヘッド8は、部品供給部4に装着されているテープフィーダ5の部品取出し位置から部品を吸着ノズルによって真空吸着してピックアップし、基板搬送機構2に保持された基板3の実装位置に移送して実装する部品実装作業の一連のターンを繰り返し実行する。
【0014】
図1において、ビーム7には、ビーム7の下面側に位置して実装ヘッド8とともに一体的に移動するヘッドカメラ10が装着されている。実装ヘッド8が移動することにより、ヘッドカメラ10は基板搬送機構2の実装作業位置に位置決めされた基板3の上方に移動して、基板3に設けられた基板マーク3aを撮像して基板3の位置を認識する。
【0015】
部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ11が設置されている。部品認識カメラ11は、部品供給部4から部品を取り出した実装ヘッド8が部品認識カメラ11の上方に位置した際に、吸着ノズルに保持された部品を下方から撮像する。実装ヘッド8による部品の基板3への部品実装作業では、ヘッドカメラ10による基板3の認識結果と部品認識カメラ11による部品の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0016】
次に
図2を参照して、基板搬送機構2の構成および機能を説明する。
図2(a)において、基板搬送機構2は固定レール2aと可動レール2bに沿ってX方向に設置された搬送ベルト12を備えている。
図2(b)に示すように、搬送ベルト12は固定レール2aおよび可動レール2bの両端部に配置された2つのプーリ12aおよびモータを駆動源とするベルト駆動機構13の駆動プーリ13aに調帯されている。ベルト駆動機構13を駆動することにより、搬送ベルト12が固定レール2aおよび可動レール2bに沿って水平移動し、搬送ベルト12の上面に載置された基板3はX方向に搬送される。
【0017】
図2(a)において、固定レール2aは、基板搬送機構2に固定されている。一方、可動レール2bは、レール移動機構(図示省略)によって搬送ベルト12、ベルト駆動機構13と一体となってY方向に移動する(矢印a)。可動レール2bの位置は、基板搬送機構2が搬送する基板3の幅(Y方向の大きさ)に応じて変更される。
【0018】
図2において、基板搬送機構2による搬送経路には、実装ヘッド8の移動可能な範囲、すなわち部品実装が可能な実装作業領域に対応して、実装ステージ[S]が設定されている。実装ステージ[S]には、下受け部材14aを昇降機構14bによって昇降させる(矢印b)構成の基板下受け部14が設けられている。下受け部材14aの上面には、基板3の下面に当接して下受け支持する複数の下受けピン14cが立設されている。実装ステージ[S]に搬入されて所定の実装作業位置に位置決めされた基板3に対して下受け部材14aを上昇させることにより、基板3は下面側から昇降自在な下受けピン14cによって下受け支持される。
【0019】
図2において、基板搬送機構2において、搬送ベルト12によって搬送される基板3の下方であって、基板3を搬送させているベルト駆動機構13を停止させる停止位置Eには、上方の基板3を検出する第1の基板検出センサ15が設置されている。基板搬送機構2において、搬送ベルト12によって搬送される基板3の下方であって、停止位置Eから基板搬送方向(X方向)にX間隔ΔXだけ下流側に設定されたオーバラン検出位置Fには、上方の基板3を検出する第2の基板検出センサ16が設置されている。
【0020】
第1の基板検出センサ15および第2の基板検出センサ16は、いずれも反射式の光学センサであり、内蔵する投光部から投光された検出光が基板3の裏面で反射された反射光を内蔵する受光部で検出することで、上方にある基板3を検出する。すなわち、搬送ベルト12によって搬送された基板3の前端面3b(
図1参照)が投光されている検出光に到達して検出光が反射されると、第1の基板検出センサ15および第2の基板検出センサ16によって基板3の前端面3bが停止位置Eおよびオーバラン検出位置Fに到達したことが検出される。
【0021】
図2において、基板搬送機構2の固定レール2aと可動レール2bには、停止位置Eから所定の距離だけ離れた上流側に設置された減速位置Dに、第3の基板検出センサ17が設置されている。第3の基板検出センサ17は遮光式の光学センサであり、搬送ベルト12によって搬送される基板3の前端面3bの中央部(固定レール2aと可動レール2bの中間の位置)が光学センサの検出光軸を通過して遮光することより、基板3の前端面3bが減速位置Dに到達したことが検出される。なお、第3の基板検出センサ17は、基板3の下方に設置した反射式の光学センサであってもよい。第1の基板検出センサ15、第2の基板検出センサ16、第3の基板検出センサ17による検出信号は、部品実装装置1の本体に備えられた制御装置30(
図4参照)に伝達される。
【0022】
次に
図3を参照して、第1の基板検出センサ15と第2の基板検出センサ16の構成について説明する。
図3(a)において、第1の基板検出センサ15と第2の基板検出センサ16は、X方向(基板搬送方向)にX間隔ΔX、Y方向(基板搬送方向に水平面内で直交する方向)にY間隔ΔYの位置関係となるように、センサ保持具18に固定されている。反射式の光学センサである第1の基板検出センサ15と第2の基板検出センサ16を基板3の下方に設置することで、基板3の前端面3bの検出精度を高くすることができ、またX間隔ΔXを小さく設定することができる。
【0023】
Y間隔ΔYは、X間隔ΔXより広くなるように設定される(ΔY>ΔX)。これによって、第1の基板検出センサ15から投光された検出光が第2の基板検出センサ16で検出されたり、第2の基板検出センサ16から投光された検出光が第1の基板検出センサ15で検出されたりする誤検出を防止することができる。なお、
図3に示す第1の基板検出センサ15と第2の基板検出センサ16はそれぞれ個別の筐体に格納されているが、第1の基板検出センサ15の投光部と受光部および第2の基板検出センサ16の投光部と受光部を同一の筐体に格納してもよい。
【0024】
図3(a)、
図3(b)において、固定レール2aには、Y方向に延びる平板状の保持具固定部19が設置されている。保持具固定部19には、上下に貫通してY方向に延びる長孔19aが形成されている。センサ保持具18の取付け部18aは、長孔19aに挿入されるネジなどの固定具20によって保持具固定部19に固定される。センサ保持具18は、長孔19aに沿って移動させてY方向の設置位置を変更することができる(矢印c)。これによって、第1の基板検出センサ15と第2の基板検出センサ16は、相対的な位置関係を維持したまま、基板3の形状や基板3の下面に実装された部品の位置などに応じてY方向の設置位置を自在に変更することができる。
【0025】
上記のように、基板搬送機構2は、搬送ベルト12を駆動するベルト駆動機構13を有し、搬送ベルト12によって部品が実装される基板3を搬送して所定の実装作業位置に位置決めする。第1の基板検出センサ15は、搬送ベルト12によって搬送される基板3の下方に設置され、所定の停止位置Eにおいて基板3を検出する。第2の基板検出センサ16は、搬送ベルト12によって搬送される基板3の下方に設置され、停止位置Eよりも基板搬送方向(X方向)における下流側に設定されたオーバラン検出位置Fにおいて基板3を検出する。
【0026】
また、第2の基板検出センサ16は、第1の基板検出センサ15に対して基板搬送方向に水平面内で直交する直交方向(Y方向)に隣接して設置される。第2の基板検出センサ16は、第1の基板検出センサ15に対して直交方向(Y方向)に、少なくとも停止位置Eとオーバラン検出位置Fの基板搬送方向(X方向)の間隔(X間隔ΔX)よりも離して設置される。そして、第1の基板検出センサ15および第2の基板検出センサ16は、相対的な位置関係(X間隔ΔX、Y間隔ΔY)を維持したまま直交方向(Y方向)に移動可能である。
【0027】
次に
図4を参照して、部品実装装置1の制御系の構成について詳細に説明する。部品実装装置1が備える制御装置30には、基板搬送機構2、部品供給部4、実装ヘッド8、実装ヘッド移動機構9、ヘッドカメラ10、部品認識カメラ11、第1の基板検出センサ15、第2の基板検出センサ16、第3の基板検出センサ17が接続されている。制御装置30は、実装データ記憶部31、搬送制御部32、実装制御部33を備えている。
【0028】
実装データ記憶部31は記憶装置であり、部品データ31a、実装データ31b、搬送補正値データ31cなどが記憶されている。部品データ31aには、部品の種類毎に、部品名(種類)、部品のサイズなどが含まれている。実装データ31bには、製造される実装基板の種類毎に、基板3に実装される部品の部品名(種類)、実装位置(XY座標)などが含まれている。搬送補正値データ31cには、実装基板の種類毎に、実装作業位置と第1の基板検出センサ15が基板3の前端面3bを検出する停止位置Eとの基板搬送方向(X方向)の差である搬送補正値Cx(
図11(b)参照)を記憶する。すなわち、実装データ記憶部31は、実装作業位置と停止位置Eの基板搬送方向の差である搬送補正値Cxを記憶する記憶部である。
【0029】
図4において、搬送制御部32は、基板搬送機構2を制御して、基板3を搬送して実装作業位置に位置決めする。ここで
図6、
図7、
図11を参照しながら、搬送制御部32による具体的な制御について説明する。搬送制御部32は、上流側の装置から基板3を受け取ると、ベルト駆動機構13を作動させて搬送ベルト12によって基板3を下流側に搬送させる(
図6(a)の矢印d1)。また、搬送制御部32は、第3の基板検出センサ17が基板3の前端面3bが減速位置Dに到達したことを検出すると(
図6(a))、ベルト駆動機構13を制御して基板3の搬送速度を遅くさせる(
図6(b)の矢印d2)。
【0030】
なお、搬送制御部32は、基板3の前端面3bが減速位置Dに到達してから所定の時間後に(基板3の前端面3bが減速位置Dと停止位置Eの間に設定された所定の位置に到達したら)基板3の搬送速度を遅くするようにしてもよい。また、搬送制御部32は、第1の基板検出センサ15が基板3の前端面3bが停止位置Eに到達したことを検出すると(
図6(c))、ベルト駆動機構13を停止させる(
図6(d))。すなわち、搬送制御部32は、第1の基板検出センサ15が基板3を検出すると、ベルト駆動機構13を停止させる。
【0031】
また、搬送制御部32は、ベルト駆動機構13を停止させた後に第2の基板検出センサ16が基板3の前端面3bがオーバラン検出位置Fに到達したことを検出すると(
図7(a))、ベルト駆動機構13を逆方向に作動させて、第2の基板検出センサ16が基板3を検出しなくなるまで基板3を上流側に移動させる(
図7(b)の矢印e)。すなわち、搬送制御部32は、ベルト駆動機構13を停止させた後に第2の基板検出センサ16が基板3を検出すると、第2の基板検出センサ16が基板3を検出しなくなるまで基板3を基板搬送方向(X方向)の上流側に移動させる。
【0032】
また、搬送制御部32は、搬送補正値Cxが設定されている基板40を搬送する場合は、第1の基板検出センサ15が基板40を検出し、かつ第2の基板検出センサ16が基板40を検出しない位置に基板40を停止させた後(
図11(a))、ベルト駆動機構13を作動させて搬送補正値Cxだけ基板40を移動させる(
図11(b)の矢印f)。すなわち、搬送制御部32は、第1の基板検出センサ15が基板40を検出した後、搬送補正値Cxだけ基板40を移動させる。このように、搬送制御部32は、第1の基板検出センサ15および第2の基板検出センサ16の検出結果に基づいてベルト駆動機構13を制御する。
【0033】
図4において、実装制御部33は、基板搬送機構2、部品供給部4、実装ヘッド8、実装ヘッド移動機構9、ヘッドカメラ10、部品認識カメラ11を制御して、部品を基板3に実装させる部品実装作業を実行させる。
【0034】
次に
図5のフローに沿って、
図6、
図7を参照しながら、基板搬送機構2により基板3を搬送して実装作業位置に位置決めする基板搬送方法(基板搬送処理)について説明する。
図5において、上流側の装置から基板3が受け渡されると、搬送制御部32はベルト駆動機構13を作動させて、受け取った基板3を搬送ベルト12によって下流側に搬送させる(ST1)(
図6(a)の矢印d1)。次いで下流側に搬送される基板3の前端面3bが減速位置Dに到達したことが第3の基板検出センサ17によって検出されると(ST2においてYes)(
図6(a))、搬送制御部32はベルト駆動機構13を制御して基板3の搬送速度を遅くさせる(ST3)(
図6(b)の矢印d2)。
【0035】
次いで下流側に搬送される(
図6(c)の矢印d3)基板3の前端面3bが停止位置Eに到達したことが第1の基板検出センサ15によって検出されると(ST4においてYes)(
図6(c))、搬送制御部32はベルト駆動機構13を停止させる(ST5)。これにより、搬送ベルト12によって下流側に搬送されていた基板3は、搬送ベルト12の上面を滑って前端面3bが停止位置Eより下流側に移動した位置に停止する(
図6(d)または
図7(a))。ベルト駆動機構13が停止した後、基板3の前端面3bがオーバラン検出位置Fに到達したことが第2の基板検出センサ16によって検出されなければ(ST6においてNo)、基板搬送処理が終了する(
図6(d))。
【0036】
図5において、ベルト駆動機構13が停止した後、基板3の前端面3bがオーバラン検出位置Fに到達したことが第2の基板検出センサ16によって検出されると(ST6においてYes)(
図7(a))、搬送制御部32はベルト駆動機構13を逆方向に作動させて搬送ベルト12によって基板3を上流側に後退させる(
図7(b)の矢印e)。第2の基板検出センサ16によって基板3が検出されなくなると、搬送制御部32はベルト駆動機構13を停止させて(ST7)、基板搬送処理が終了する(
図7(b))。これによって、基板3の前端面3bが停止位置Eとオーバラン検出位置Fの間に停止した実装作業位置に基板3が位置決めされる(
図6(d)または
図7(b))。
【0037】
ここで
図8を参照して、本実施の形態の基板搬送機構2による基板搬送の効果について説明する。
図8に示す基板3は、基板3の前端面3b付近の下面にコネクタ部品34が前端面3bから下流側にはみ出すように装着されている。また、基板3は中央付近が上方に突出するように湾曲している(反っている)。このような基板3を第3の基板検出センサ17と同様の固定レール2aと可動レール2bに設置した遮光式の光学センサで検出しようとすると、前端面3bを検出するより先に前端面3bからはみ出したコネクタ部品34を誤検出して、基板3を実装作業位置に位置決めできないことがある。また、基板3が湾曲していない場合は前端面3bが検出されるなど、不安定な動作となる。
【0038】
一方、本実施の形態の基板搬送機構2は、基板3の下方に設置された反射式の光学センサ(第1の基板検出センサ15、第2の基板検出センサ16)で基板3の前端面3bを検出している。そのため、基板3の湾曲や前端面3bの中央付近に装着されたコネクタ部品34の有無に拘わらず、安定して前端面3bを検出することができ、基板3を正確に実装作業位置に位置決めすることができる。
【0039】
次に
図9を参照して、外形が単純な矩形ではない基板40(以下、「特殊基板40」と称する。)を実装作業位置に位置決めする基板搬送方法について説明する。特殊基板40の前端面はY方向に単純な直線ではなく、最も下流側に位置する第1の前端面40bと、第1の前端面40bから搬送補正値Cxだけ上流側に後退した第2の前端面40cを含んで形成されている。第2の前端面40cは、固定レール2a側に位置している。特殊基板40の実装作業位置は、第1の前端面40bが停止位置Eとオーバラン検出位置Fの間に停止する位置である。ヘッドカメラ10は、この位置に位置決めされた特殊基板40の上面に形成された基板マーク40aを撮像して特殊基板40の位置を認識する。
【0040】
特殊基板40の基板搬送では、まず、第1の基板検出センサ15と第2の基板検出センサ16を保持するセンサ保持具18を可動レール2b側に移動させて、第1の基板検出センサ15と第2の基板検出センサ16が第1の前端面40bを検出できる位置に設置する。この状態で前述の
図5に示す基板搬送処理を実行することで、特殊基板40は、第1の前端面40bが停止位置Eとオーバラン検出位置Fの間に停止した実装作業位置に位置決めされる。
【0041】
次に
図10のフローに沿って、
図11を参照しながら基板搬送機構2により特殊基板40を搬送して実装作業位置に位置決めする他の基板搬送方法(他の基板搬送処理)について説明する。
図11に示す特殊基板40は、第1の前端面40b付近の下面に高さが高いコネクタ部品41が装着されている。下方に突出したコネクタ部品41が第1の基板検出センサ15または第2の基板検出センサ16と干渉するため、
図9に示す基板搬送方法が利用できない。他の基板搬送方法では、第1の基板検出センサ15と第2の基板検出センサ16は第2の前端面40cを検出する位置に設定されており、搬送補正値データ31cに第1の前端面40bと第2の前端面40cの基板搬送方向(X方向)の差である搬送補正値Cxが記憶されている。
【0042】
図10において、まず、
図5に示す基板搬送処理(ST1~ST7)と同様の処理が実行される。これにより、
図11(a)に示すように、特殊基板40は第2の前端面40cが停止位置Eとオーバラン検出位置Fの間となる位置に停止する。次いで搬送制御部32は、ベルト駆動機構13を作動させて特殊基板40を搬送補正値Cxだけ移動させる(ST8)。この例では、
図11(b)に示すように、特殊基板40を上流側に搬送補正値Cxだけ後退させる(矢印f)。これにより、特殊基板40は、第1の前端面40bが停止位置Eとオーバラン検出位置Fの間に停止した実装作業位置に位置決めされる。
【0043】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装装置1は、搬送ベルト12を駆動するベルト駆動機構13を有し、搬送ベルト12によって部品が実装される基板3を搬送して所定の実装作業位置に位置決めする基板搬送機構2と、搬送ベルト12によって搬送される基板3の下方に設置され、所定の停止位置Eにおいて基板3を検出する第1の基板検出センサ15と、搬送ベルト12によって搬送される基板3の下方に設置され、停止位置Eよりも基板搬送方向における下流側に設定されたオーバラン検出位置Fにおいて基板3を検出する第2の基板検出センサ16と、第1の基板検出センサ15および第2の基板検出センサ16の検出結果に基づいてベルト駆動機構13を制御する搬送制御部32と、を備えている。
【0044】
そして、搬送制御部32は、第1の基板検出センサ15が基板3を検出すると、ベルト駆動機構13を停止させている。これによって、基板を正確に実装作業位置に位置決めすることができる。
【0045】
なお上記では、第1の基板検出センサ15と第2の基板検出センサ16を備え、搬送ベルト12によって搬送する基板3を実装作業位置(作業位置)に位置決めする基板搬送機構2を備える部品実装装置1について説明したが、この基板搬送機構2の使用は部品実装装置1に限定されることはない。例えば、この基板搬送機構2を基板3に半田ペーストを印刷する印刷装置に備えさせ、搬送ベルト12によって搬送する基板3を、基板3に対して印刷作業を行う印刷作業位置(作業位置)に位置決めするようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の部品実装装置および基板搬送方法は、基板を正確に実装作業位置に位置決めすることができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 部品実装装置
2 基板搬送機構
3 基板
12 搬送ベルト
13 ベルト駆動機構
15 第1の基板検出センサ
16 第2の基板検出センサ
40 特殊基板(基板)
Cx 搬送補正値
E 停止位置
F オーバラン検出位置