(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】トンネルの複合面層における上面層合材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
E01C 7/08 20060101AFI20230526BHJP
【FI】
E01C7/08
(21)【出願番号】P 2023042114
(22)【出願日】2023-03-16
【審査請求日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】202210639598.3
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523097514
【氏名又は名称】中▲鉄▼四局集▲団▼第一工程有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】521485601
【氏名又は名称】中鉄四局集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA TIESIJU CIVIL ENGINEERING GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 96, Wangjiang East Road, Baohe District, Hefei City, Anhui Province, 230023, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】左▲暁▼▲紅▼
(72)【発明者】
【氏名】李▲長▼▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】李峰
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼▲欽▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲戦▼▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼永▲傑▼
(72)【発明者】
【氏名】王▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲顧▼▲傑▼
(72)【発明者】
【氏名】▲衛▼秀坡
(72)【発明者】
【氏名】王▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼▲紹▼君
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼▲潤▼▲澤▼
(72)【発明者】
【氏名】何曦
(72)【発明者】
【氏名】宋博
(72)【発明者】
【氏名】孔▲令▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】肖俊▲聯▼
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101671991(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105585280(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1580129(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108250778(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103553441(CN,A)
【文献】特開2016-210876(JP,A)
【文献】特開2020-197067(JP,A)
【文献】特開2003-55560(JP,A)
【文献】特開2003-261772(JP,A)
【文献】特開2018-199779(JP,A)
【文献】特開2019-210384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの複合面層における上面層合材であって、
重量%として、SBS改質アスファルト4~7部と、粗骨材70~90部と、細骨材10~15部と、鉱石粉6~10部と、セメント1~3部と、複合繊維0.2~0.5部と、難燃剤8~12部と、剥離防止剤0.5~1部と、界面活性剤0.3~0.6部とを含み、
前記難燃剤は、ナノ水酸化アルミニウムと、ハイドロタルサイト類化合物と、シリカと、シランカップリング剤とを含み、ただし、ナノ水酸化アルミニウムと、ハイドロタルサイト類化合物と、シリカと、シランカップリング剤との質量比は(10~15):2:1:1であり、
前記複合繊維は鉱物繊維とポリイミド繊維とを含み、ただし、鉱物繊維とポリイミド繊維との質量比は1:1~1.5:1である、
ことを特徴とするトンネルの複合面層における上面層合材。
【請求項2】
前記粗骨材は、11~15mm粒径の砕石と、6~11mm粒径の砕石と、3~6mm粒径の砕石とを含み、ただし、11~15mm粒径の砕石と、6~11mm粒径の砕石と、3~6mm粒径の砕石との質量比は(35~40):(30~34):(5~9)であり、
前記細骨材は砕砂であり、砕砂の粒径は3mm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載のトンネルの複合面層における上面層合材。
【請求項3】
前記剥離防止剤はステアリン酸アルミニウムであり、
前記界面活性剤は、アルキルカルボン酸塩陰イオン界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩アニオン界面活性剤、アルキルスルホン酸塩アニオン界面活性剤のうちの1種または2種以上を混合してなるものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のトンネルの複合面層における上面層合材。
【請求項4】
前記トンネルの複合面層における上面層合材は、老化防止剤0.1~0.3部と安定剤0.1~0.3部とをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のトンネルの複合面層における上面層合材。
【請求項5】
前記老化防止剤は、シリコーンゴムと、イソプレンゴムと、ブタジエンゴムとを混合してなるものであり、ただし、シリコーンゴムと、イソプレンゴムと、ブタジエンゴムとの質量比は(1~1.5):1:1であり、
前記安定剤は、珪酸ナトリウムとスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーとを混合してなるものであり、ただし、珪酸ナトリウムとスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーとの質量比は1:1~1:1.5である、
ことを特徴とする請求項4記載のトンネルの複合面層における上面層合材。
【請求項6】
前記トンネルの複合面層における上面層合材のアスファルトアグリゲートレシオは5.5~6.5%である、
ことを特徴とする請求項4記載のトンネルの複合面層における上面層合材。
【請求項7】
請求項1に記載のトンネルの複合面層における上面層合材の製造方法であって、
配合比に応じて粗骨材と細骨材を秤量し、加熱して撹拌混合し、第1の混合物を得るステップ1と、
配合比に応じてSBS改質アスファルトを秤量し、加熱して熱改質アスファルトを得るステップ2と、
配合比に応じて鉱石粉、セメント、複合繊維、難燃剤及び界面活性剤を秤量し、撹拌混合して第2の混合物を得るステップ3と、
まずステップ1で得られた第1の混合物とステップ3で得られた第2の混合物を撹拌混合し、第3の混合物を得て、続いてステップ2で得られた熱改質アスファルトを第3の混合物に添加し、撹拌混合し続けるとともに、保温し、トンネルの複合面層における上面層合材を得るステップ4と、を含む、
ことを特徴とするトンネルの複合面層における上面層合材の製造方法。
【請求項8】
ステップ1における加熱温度は190~200℃であり、ステップ2における加熱温度は170~180℃であり、ステップ4における保温温度は170~185℃であり、
ステップ3の第2の混合物には、老化防止剤と安定剤とをさらに加える、
ことを特徴とする請求項7記載のトンネルの複合面層における上面層合材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト合材の技術分野に属し、具体的にはトンネルの複合面層における上面層合材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国のハイクラス(high-class)の道路の発展に伴い、道路トンネルの数が増加しつつあり、各クラスの道路トンネルはセメントコンクリート路面を採用し、必要な時点に、難燃性能に優れ、オプトエレクトロニクス照明を利用し、光反射特性が良好なアスファルト表面層構造を採用することができる。現在、トンネルは、滑り抵抗性に優れ、騒音が小さく、走行が快適な難燃アスファルト路面舗装を採用することが既に発展傾向になり、ただし、トンネルの複合面層における上面層合材はアスファルト合材を採用したが、実際の応用過程において、アスファルト合材は良好な難燃性能と路面性能を両立できない。
【0003】
したがって、上記従来技術の不足に対して改善した技術案を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的はトンネルの複合面層における上面層合材及びその製造方法を提供することであり、従来のトンネルの複合面層における上面層合材の応用に存在する良好な難燃性能と路面性能を両立できないという問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
【0006】
トンネルの複合面層における上面層合材であって、
重量%として、SBS改質アスファルト4~7部と、粗骨材70~90部と、細骨材10~15部と、鉱石粉6~10部と、セメント1~3部と、複合繊維0.2~0.5部と、難燃剤8~12部と、剥離防止剤0.5~1部と、界面活性剤0.3~0.6部とを含み、
前記難燃剤は、ナノ水酸化アルミニウムと、ハイドロタルサイト類化合物と、シリカと、シランカップリング剤とを含み、ただし、ナノ水酸化アルミニウムと、ハイドロタルサイト類化合物と、シリカと、シランカップリング剤との質量比は(10~15):2:1:1であり、
前記複合繊維は鉱物繊維とポリイミド繊維とを含み、ただし、鉱物繊維とポリイミド繊維との質量比は1:1~1.5:1である、トンネルの複合面層における上面層合材。
【0007】
本発明は、前記のトンネルの複合面層における上面層合材の製造方法をさらに提供し、前記製造方法は、
配合比に応じて粗骨材と細骨材を秤量し、加熱して撹拌混合し、第1の混合物を得るステップ1と、
配合比に応じてSBS改質アスファルトを秤量し、加熱して熱改質アスファルトを得るステップ2と、
配合比に応じて鉱石粉、セメント、複合繊維、難燃剤及び界面活性剤を秤量し、撹拌混合して第2の混合物を得るステップ3と、
まずステップ1で得られた第1の混合物とステップ3で得られた第2の混合物を撹拌混合し、第3の混合物を得て、続いてステップ2で得られた熱改質アスファルトを第3の混合物に添加し、撹拌混合し続けるとともに、保温し、トンネルの複合面層における上面層合材を得るステップ4と、を含む。
【0008】
[有益な効果]
本発明のトンネルの複合面層における上面層合材はアスファルト合材であり、本発明のアスファルト合材における各原料の間により良好な相溶性を有し、分散しやすく、より良好な難燃性能を有するだけでなく、より良好な路面性能を有し、路面の耐用年数を効果的に延長させる。ただし、鉱石粉とセメントをフィラーとして採用し、減水剤を添加する必要がなく合材の各技術要求を満たすことができる。複合繊維、難燃剤、剥離防止剤及び界面活性剤は、合材が良好な滑り止め性能、難燃防火性能、耐久性能、分散性能及び力学性能を有することを保証できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
従来のトンネルの複合面層における上面層合材の応用に存在する良好な難燃性能と路面性能を両立できないという問題に対して、本発明は、トンネルの複合面層における上面層合材を提供し、本発明の合材はアスファルト合材であり、アスファルト合材における各原料の間により良好な相溶性を有し、分散しやすく、より良好な難燃性能を有するだけでなく、より良好な路面性能を有し、路面の耐用年数を効果的に延長する。
【0010】
トンネルの複合面層における上面層合材は、重量%として、SBS改質アスファルト4~7部(例えば4部、5部、6部、7部及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)と、粗骨材70~90部(例えば70部、75部、80部、85部、90部及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)と、細骨材10~15部(例えば10部、11部、12部、13部、14部、15部及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)と、鉱石粉6~10部(例えば6部、7部、8部、9部、10部及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)と、セメント1~3部(例えば1部、2部、3部及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)と、複合繊維0.2~0.5部(例えば0.2部、0.3部、0.4部、0.5部及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)と、難燃剤8~12部(例えば8部、9部、10部、11部、12部及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)と、剥離防止剤0.5~1部(例えば0.5部、0.6部、0.7部、0.8部、0.9部、1.0部及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)と、界面活性剤0.3~0.6部(例えば0.3部、0.4部、0.5部、0.6部及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)とを含む。
【0011】
本発明のアスファルト合材において、鉱石粉とセメントをフィラーとして採用し、減水剤を添加する必要がなく合材の各技術要求を満たすことができる。複合繊維、難燃剤、剥離防止剤及び界面活性剤は、合材が良好な滑り止め性能、難燃防火性能、耐久性能、分散性能及び力学性能を有することを保証できる。鉱石粉とアスファルトを撹拌混合して形成されたアスファルトペーストは、アスファルト合材の骨格間の良好な接着力を提供し、アスファルト合材に対して重要な役割を果たす。
【0012】
本発明のアスファルト合材において、SBS改質アスファルトの技術指標は表1のSBS(I―D)型改質アスファルトの技術要求に合致するとともに、PG76-10の技術指標要求に満たすべきである。
【0013】
【0014】
本発明のアスファルト合材において、アスファルトと良好な接着能力を有することを保証するように、粗骨材が段階的に分布する砕石を採用し、すなわち、粗骨材は、11~15mm粒径の砕石と、6~11mm粒径の砕石と、3~6mm粒径の砕石とを含み、ただし、11~15mm粒径の砕石と、6~11mm粒径の砕石と、3~6mm粒径の砕石との質量比は(35~40):(30~34):(5~9)であり、例えば、質量比が35:30:5、38:32:7、38:33:8、40:34:9である。
【0015】
本発明のアスファルト合材において、細骨材は砕砂(manufactured sand)であり、砕砂の粒径は3mm以下である。好ましくは、砕砂の粒径は2.36mm以下である。細骨材とアスファルトが良好な接着能力を有することを保証するように、砕砂はアルカリ性石材砕砂であることが好ましく、その品質技術は表2の品質技術要求に合致する。
【0016】
【0017】
本発明のアスファルト合材において、鉱石粉は石灰岩又は岩漿岩における強極性岩石等の疎水性石材を粉砕して得られた鉱石粉とすることができ、鉱石粉の品質技術は表3の鉱石粉の品質技術要求に合致すべきである。
【0018】
【0019】
本発明のアスファルト合材において、難燃剤は、ナノ水酸化アルミニウムと、ハイドロタルサイト類化合物と、シリカと、シランカップリング剤とを含み、ただし、ナノ水酸化アルミニウムと、ハイドロタルサイト類化合物と、シリカと、シランカップリング剤との質量比は(10~15):2:1:1である(例えば10:2:1:1、11:2:1:1、12:2:1:1、13:2:1:1、14:2:1:1、15:2:1:1及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)。ただし、ナノ水酸化アルミニウムは量子サイズ効果と表面効果を有し、界面作用を補強することができ、無機物とポリマー基体との相溶性を改善し、難燃効果に支配的な役割を果たす。任意に、ナノ水酸化アルミニウムの粒径は30~60nm(例えば30nm、40nm、50nm、60nm及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)である。ハイドロタルサイト類化合物の難燃メカニズムは気相難燃であり、熱分解によって生成された希ガスは吸熱、希釈、遮断等の多重作用を果たすことができる。シリカの添加は難燃剤の煙抑制効果を強化するとともに、一定の充填分散作用を有することができる。シランカップリング剤を添加することにより、各成分間の界面効果を向上させ、各成分間の分散性及び接着性を向上させることができる。本発明の上記難燃剤は合材における各原料と良好な相溶性を有し、分散しやすく、合材の難燃効果を向上させるとともに、良好な路面性能を有することを保証することができる。
【0020】
本発明のアスファルト合材において、複合繊維は鉱物繊維とポリイミド繊維とを含み、ただし、鉱物繊維とポリイミド繊維との質量比は1:1~1.5:1である(例えば1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)。
【0021】
ただし、鉱物繊維は玄武岩繊維及び木質繊維とすることができ、玄武岩繊維は緊密な結晶構造を有し、表面が良好な濡れ性を有し、アスファルト、セメント等の他の原料と緊密な構造を有する。且つ玄武岩繊維は比較的に高い弾性率及び適切な破断伸び率を有し、アスファルトコンクリートの弾性変形回復能力の向上に役立つ。木質繊維は天然木材が加工された有機繊維であり、添加した後にアスファルト合材の油安定性と吸着作用を向上させ、それによりアスファルト路面の工事品質及び耐久性を向上させる。ポリイミド繊維におけるポリイミドの主鎖に大量のアリール基を含み、燃焼時に芳香族構造炭素を縮合合成することができ、燃焼時に発生するガス可燃性生成物が比較的少ないため、優れた難燃効果を有し、且つポリイミド繊維は比較的良好な分散性を有し、アスファルトと鉱石粉と他の原料との間により良好に分散させることができる。同時に、ポリイミド繊維は良好な吸着作用を有し、添加した後にアスファルトを吸着することができ、アスファルトの使用量を増加させ、骨材表面の構造アスファルト膜を厚くし、それによりアスファルト合材の路面性能を向上させる。なお、ポリイミド繊維はアスファルトと骨材との間の接着性を増加させ、アスファルト合材の粘度を向上させ、骨材間の接着能力を補強することができる。
【0022】
任意に、ポリイミド繊維の長さは3~6mm(例えば3mm、4mm、5mm、6mm及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)である。
【0023】
複合繊維の添加は合材施工後に得られた路面の強度及び耐疲労性能を増加することができ、且つ繊維表面はアスファルトをよく吸着させることができ、それによりアスファルトの溶出を防止する。同時に、複合繊維は原料における骨材分散問題を効果的に抑制し、且つ骨格空間を埋めて空隙率を減少させず、アスファルト合材の強度に影響を与えないと同時にその耐高温性能を向上させる。なお、複合繊維を添加したアスファルト路面の寿命は、複合繊維を添加していないアスファルト路面の2~3倍になる。
【0024】
本発明のアスファルト合材において、剥離防止剤はステアリン酸アルミニウムである。
【0025】
本発明のアスファルト合材において、界面活性剤は、アルキルカルボン酸塩陰イオン界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩アニオン界面活性剤、アルキルスルホン酸塩アニオン界面活性剤のうちの1種または2種以上を混合してなるものである。界面活性剤はアスファルト合材の締固め度を改善し、老化を減少し、接着の複数の機能を改善することができる。
【0026】
さらに、トンネルの複合面層における上面層合材は、老化防止剤0.1~0.3部(例えば0.1部、0.2部、0.3部及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)と安定剤0.1~0.3部(例えば0.1部、0.2部、0.3部及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)とをさらに含む。老化防止剤の添加は合材の耐摩耗性及び耐久性を効果的に向上させることができる。安定剤の添加は合材に優れた耐候性及び耐引張性を備えさせ、製品品質を安定させる。
【0027】
本発明の選択可能な実施例において、老化防止剤は、シリコーンゴムと、イソプレンゴムと、ブタジエンゴムとを混合してなるものであり、ただし、リコーンゴムと、イソプレンゴムと、ブタジエンゴムとの質量比は(1~1.5):1:1(例えば1:1:1、1.2:1:1、1.3:1:1、1.5:1:1及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)である。本実施例の老化防止剤は架橋作用を有し、合材における各成分を緊密に結合させ、それによりアスファルト合材の引張強度、引裂強度及び耐摩耗性を向上させ、トンネルの複合面層における上面層の耐摩耗性をより強くさせ、耐久性を向上させる。
【0028】
本発明の選択可能な実施例において、安定剤は、珪酸ナトリウムとスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーとを混合してなるものであり、ただし、珪酸ナトリウムとスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーとの質量比は1:1~1:1.5(例えば1:1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)である。
【0029】
本発明のトンネルの複合面層における上面層合材のアスファルトアグリゲートレシオ(asphalt-aggregate ratio)は5.5~6.5%(例えば5.5%、5.7%、6.2%、6.5%及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)である。なお、ここでアスファルトアグリゲートレシオはSBS改質アスファルトと鉱材(粗骨材と細骨材と鉱石粉を含む)の質量百分率である。
【0030】
本発明は、前記のトンネルの複合面層における上面層合材の製造方法をさらに提供し、前記製造方法は、
配合比に応じて粗骨材と細骨材を秤量し、加熱して撹拌混合し、第1の混合物を得るステップ1であって、ステップ1における加熱温度は190~200℃(例えば190℃、192℃、194℃、196℃、198℃、200℃及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)であるステップ1と、
配合比に応じてSBS改質アスファルトを秤量し、加熱して熱改質アスファルトを得るステップ2であって、ステップ2における加熱温度は170~180℃(例えば170℃、172℃、174℃、176℃、178℃、180℃及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)であるステップ2と、
配合比に応じて鉱石粉、セメント、複合繊維、難燃剤及び界面活性剤を秤量し、撹拌混合して第2の混合物を得るステップ3と、
まずステップ1で得られた第1の混合物とステップ3で得られた第2の混合物を撹拌混合し、第3の混合物を得て、続いてステップ2で得られた熱改質アスファルトを第3の混合物に添加し、撹拌混合し続けるとともに、保温し、トンネルの複合面層における上面層合材を得るステップ4と、を含む。ステップ4における保温温度は170~185℃(例えば170℃、175℃、180℃、185℃及び任意の2つのエンドポイントの間の区間値)である。
【0031】
さらに、ステップ3の第2の混合物には、老化防止剤と安定剤とをさらに加える。
【0032】
以下、具体的な実施例によって本発明のトンネルの複合面層における上面層合材の製造方法を詳細に説明する。
【0033】
[実施例1]
本実施例のトンネルの複合面層における上面層合材は、重量%として、SBS改質アスファルト6部と、粗骨材70部と、細骨材15部と、鉱石粉8部と、セメント2部と、複合繊維0.2部と、難燃剤10部と、剥離防止剤0.5部と、界面活性剤0.3部と、老化防止剤0.1部と安定剤0.2部とを含む。ただし、粗骨材は、11~15mm粒径の砕石と、6~11mm粒径の砕石と、3~6mm粒径の砕石とを含み、ただし、11~15mm粒径の砕石と、6~11mm粒径の砕石と、3~6mm粒径の砕石との質量比は37:30:7であり、難燃剤は、ナノ水酸化アルミニウムと、ハイドロタルサイト類化合物と、シリカと、シランカップリング剤とを含み、ただし、ナノ水酸化アルミニウムと、ハイドロタルサイト類化合物と、シリカと、シランカップリング剤との質量比は10:2:1:1であり、複合繊維は鉱物繊維とポリイミド繊維とを含み、ただし、鉱物繊維とポリイミド繊維との質量比は1:1であり、剥離防止剤はステアリン酸アルミニウムであり、界面活性剤は、アルキルカルボン酸塩陰イオン界面活性剤であり、老化防止剤は、シリコーンゴムと、イソプレンゴムと、ブタジエンゴムとを混合してなるものであり、ただし、リコーンゴムと、イソプレンゴムと、ブタジエンゴムとの質量比は1:1:1であり、安定剤は、珪酸ナトリウムとスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーとを混合してなるものであり、ただし、珪酸ナトリウムとスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーとの質量比は1:1.5であり、合材のアスファルトアグリゲートレシオは6.5%である。
【0034】
本実施例のトンネルの複合面層における上面層合材の製造方法は、
配合比に応じて粗骨材と細骨材を秤量し、加熱して撹拌混合し(加熱温度は190℃である)、第1の混合物を得るステップ(1)と、
配合比に応じてSBS改質アスファルトを秤量し、加熱して(加熱温度は190℃である)熱改質アスファルトを得るステップ(2)と、
配合比に応じて鉱石粉、セメント、複合繊維、難燃剤及び界面活性剤を秤量し、撹拌混合して第2の混合物を得るステップ(3)と、
まずステップ(1)で得られた第1の混合物とステップ(3)で得られた第2の混合物を撹拌混合し、第3の混合物を得て、続いてステップ(2)で得られた熱改質アスファルトを第3の混合物に添加し、撹拌混合し続けるとともに、170℃で保温し、トンネルの複合面層における上面層合材を得るステップ(4)と、を含む。
【0035】
[実施例2]
本実施例のトンネルの複合面層における上面層合材は、重量%として、SBS改質アスファルト6.5部と、粗骨材90部と、細骨材10部と、鉱石粉6部と、セメント1部と、複合繊維0.5部と、難燃剤8部と、剥離防止剤1部と、界面活性剤0.5部と、老化防止剤0.3部と安定剤0.1部とを含む。ただし、粗骨材は、11~15mm粒径の砕石と、6~11mm粒径の砕石と、3~6mm粒径の砕石とを含み、ただし、11~15mm粒径の砕石と、6~11mm粒径の砕石と、3~6mm粒径の砕石との質量比は38:32:7であり、難燃剤は、ナノ水酸化アルミニウムと、ハイドロタルサイト類化合物と、シリカと、シランカップリング剤とを含み、ただし、ナノ水酸化アルミニウムと、ハイドロタルサイト類化合物と、シリカと、シランカップリング剤との質量比は15:2:1:1であり、複合繊維は鉱物繊維とポリイミド繊維とを含み、ただし、鉱物繊維とポリイミド繊維との質量比は1.5:1であり、剥離防止剤はステアリン酸アルミニウムであり、界面活性剤は、アルキルカルボン酸塩陰イオン界面活性剤であり、老化防止剤は、シリコーンゴムと、イソプレンゴムと、ブタジエンゴムとを混合してなるものであり、ただし、リコーンゴムと、イソプレンゴムと、ブタジエンゴムとの質量比は1:1:1であり、安定剤は、珪酸ナトリウムとスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーとを混合してなるものであり、ただし、珪酸ナトリウムとスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーとの質量比は1:1であり、合材のアスファルトアグリゲートレシオは6.1%である。
【0036】
本実施例のトンネルの複合面層における上面層合材の製造方法は、
配合比に応じて粗骨材と細骨材を秤量し、加熱して撹拌混合し(加熱温度は195℃である)、第1の混合物を得るステップ(1)と、
配合比に応じてSBS改質アスファルトを秤量し、加熱して(加熱温度は180℃である)熱改質アスファルトを得るステップ(2)と、
配合比に応じて鉱石粉、セメント、複合繊維、難燃剤及び界面活性剤を秤量し、撹拌混合して第2の混合物を得るステップ(3)と、
まずステップ(1)で得られた第1の混合物とステップ(3)で得られた第2の混合物を撹拌混合し、第3の混合物を得て、続いてステップ(2)で得られた熱改質アスファルトを第3の混合物に添加し、撹拌混合し続けるとともに、170℃で保温し、トンネルの複合面層における上面層合材を得るステップ(4)と、を含む。
【0037】
[実施例3]
本実施例のトンネルの複合面層における上面層合材は、重量%として、SBS改質アスファルト5.5部と、粗骨材80部と、細骨材12部と、鉱石粉8部と、セメント3部と、複合繊維0.4部と、難燃剤12部と、剥離防止剤0.7部と、界面活性剤0.6部と、老化防止剤0.2部と安定剤0.3部とを含む。ただし、粗骨材は、11~15mm粒径の砕石と、6~11mm粒径の砕石と、3~6mm粒径の砕石とを含み、ただし、11~15mm粒径の砕石と、6~11mm粒径の砕石と、3~6mm粒径の砕石との質量比は40:34:9であり、難燃剤は、ナノ水酸化アルミニウムと、ハイドロタルサイト類化合物と、シリカと、シランカップリング剤とを含み、ただし、ナノ水酸化アルミニウムと、ハイドロタルサイト類化合物と、シリカと、シランカップリング剤との質量比は12:2:1:1であり、複合繊維は鉱物繊維とポリイミド繊維とを含み、ただし、鉱物繊維とポリイミド繊維との質量比は1.3:1であり、剥離防止剤はステアリン酸アルミニウムであり、界面活性剤は、アルキルカルボン酸塩陰イオン界面活性剤であり、老化防止剤は、シリコーンゴムと、イソプレンゴムと、ブタジエンゴムとを混合してなるものであり、ただし、リコーンゴムと、イソプレンゴムと、ブタジエンゴムとの質量比は1:1:1であり、安定剤は、珪酸ナトリウムとスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーとを混合してなるものであり、ただし、珪酸ナトリウムとスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマーとの質量比は1:1.1であり、合材のアスファルトアグリゲートレシオは5.5%である。
【0038】
本実施例のトンネルの複合面層における上面層合材の製造方法は、
配合比に応じて粗骨材と細骨材を秤量し、加熱して撹拌混合し(加熱温度は200℃である)、第1の混合物を得るステップ(1)と、
配合比に応じてSBS改質アスファルトを秤量し、加熱して(加熱温度は170℃である)熱改質アスファルトを得るステップ(2)と、
配合比に応じて鉱石粉、セメント、複合繊維、難燃剤及び界面活性剤を秤量し、撹拌混合して第2の混合物を得るステップ(3)と、
まずステップ(1)で得られた第1の混合物とステップ(3)で得られた第2の混合物を撹拌混合し、第3の混合物を得て、続いてステップ(2)で得られた熱改質アスファルトを第3の混合物に添加し、撹拌混合し続けるとともに、185℃で保温し、トンネルの複合面層における上面層合材を得るステップ(4)と、を含む。
【0039】
[比較例1]
本比較例と実施例1との相違点は、合材原料において、複合繊維は、ポリイミド繊維繊維を採用せず鉱物繊維のみを採用し、他の原料及び製造方法はいずれも実施例1と同じである。
【0040】
[比較例2]
本比較例と実施例1との相違点は、合材が従来市販されている難燃アスファルトを採用することである。
【0041】
実施例1~3及び比較例1~2で製造されたトンネルの複合面層における上面層合材に対して、それぞれ、水浸マーシャル試験、ホイールトラッキング試験、凍結融解試験、耐火性能及び抑煙性の試験を行い、試験結果を表4に示す。
【0042】
【0043】
表4の性能データから分かるように、比較例1及び比較例2に比べ、本発明の実施例1~3で製造されたトンネルの複合面層における上面層合材は良好な難燃性能と路面性能を両立する。
【要約】
重量%として、SBS改質アスファルト4~7部と、粗骨材70~90部と、細骨材10~15部と、鉱石粉6~10部と、セメント1~3部と、複合繊維0.2~0.5部と、難燃剤8~12部と、剥離防止剤0.5~1部と、界面活性剤0.3~0.6部とを含むトンネルの複合面層における上面層合材及びその製造方法。本発明のトンネルの複合面層における上面層合材はアスファルト合材であり、本発明のアスファルト合材における各原料の間により良好な相溶性を有し、分散しやすく、より良好な難燃性能を有するだけでなく、より良好な路面性能を有し、路面の耐用年数を効果的に延長させる。
【選択図】なし