IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京電力株式会社の特許一覧 ▶ 大成建設株式会社の特許一覧 ▶ 成和リニューアルワークス株式会社の特許一覧 ▶ 東京機材工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-水中撮影装置および水中撮影方法 図1
  • 特許-水中撮影装置および水中撮影方法 図2
  • 特許-水中撮影装置および水中撮影方法 図3
  • 特許-水中撮影装置および水中撮影方法 図4
  • 特許-水中撮影装置および水中撮影方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】水中撮影装置および水中撮影方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/40 20230101AFI20230526BHJP
   G03B 17/08 20210101ALI20230526BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20230526BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230526BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20230526BHJP
【FI】
H04N23/40 300
G03B17/08
G03B17/56 H
G03B15/00 T
H04N23/51
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019013475
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020123787
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000194756
【氏名又は名称】成和リニューアルワークス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596074029
【氏名又は名称】東京機材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 誠
(72)【発明者】
【氏名】湯本 隆行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓
(72)【発明者】
【氏名】町田 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 涼子
(72)【発明者】
【氏名】大沢 秀男
(72)【発明者】
【氏名】本間 和人
(72)【発明者】
【氏名】紅林 良亮
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 公男
(72)【発明者】
【氏名】細越澤 保
(72)【発明者】
【氏名】工藤 幸司
【審査官】大濱 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-201717(JP,A)
【文献】特開2009-293308(JP,A)
【文献】特開2000-160978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/40
G03B 17/08
G03B 17/56
G03B 15/00
H04N 23/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影対象面を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段を収容する箱体と、
前記箱体の側面に設けられた伸縮筒体と、を備える水中撮影装置であって、
前記箱体は、角筒状の本体部と、前記本体部の側面に固定された筒体取付部とを備えており、
前記撮影手段は、前記筒体取付部を通して前記箱体の外部を撮影可能に前記本体部に収容されており、
前記伸縮筒体は、前記筒体取付部に固定されていて、軸方向で伸縮可能であるとともに前記筒体取付部と連通しており、
前記伸縮筒体の先端は、透明な押付面部で遮蔽されており、
前記箱体に供給された気体または液体の圧力によって前記伸縮筒体が伸張することを特徴とする、水中撮影装置。
【請求項2】
収縮時の前記伸縮筒体の前記押付面部を覆う蓋材を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の水中撮影装置。
【請求項3】
前記箱体が昇降可能なガイドレールを備えていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の水中撮影装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の水中撮影装置を利用した水中撮影方法であって、
前記箱体を所定の位置まで吊下ろす作業と、
前記箱体に気体または液体を供給して前記伸縮筒体を伸張させるとともに前記押付面部を前記撮影対象面に密着させる作業と、
前記押付面部を前記撮影対象面に密着させた状態で、前記撮影手段により前記撮影対象面を撮影する作業と、を備えていることを特徴とする、水中撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中撮影装置およびこれを使用した水中撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水中(安定液中や泥水中を含む)の既設構造物等を検査する際に、ダイバーが水中に潜って確認する場合がある。ところが、安定液中や泥水中では、視界が悪く、目視で確認することは困難である。また、狭隘な場所では、ダイバーが潜ることはできない。そのため、既設構造物等の現況を確認するために、水中カメラ(例えば、特許文献1参照)を利用して水中で撮影する場合がある。水中カメラは、地上部から吊り下げた状態で、既設構造物等の外面に沿って移動させながら撮影するのが一般的である。ところが、視界が悪い水中では、水中カメラを使用した場合であっても撮影が困難であった。そのため、特許文献2には、収納ケーシングに収納された撮影手段と、撮影手段と撮影面との間に配置された透明シートとを備える検査装置が開示されている。特許文献2の検査装置は、収納ケーシングと透明シートとで囲まれた空間に清水を充満させて、透明シートを撮影面に接触させた状態で、撮影手段により撮影を行うことで、濁水中(安定液中や泥水中を含む)での撮影面の撮影を可能としている。ところが、特許文献2の検査装置は、検査装置を移動させる際に、透明シートが既設構造物等に接触して破損するおそれがある。透明シートが破損すると、収納ケーシング内に濁水等が入り込んで、撮影ができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-48331号公報
【文献】特開平05-196429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、視界が悪い水中においても撮影対象面を撮影することを可能とした水中撮影装置および水中撮影方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の水中撮影装置は、撮影対象面を撮影する撮影手段と、前記撮影手段を収容する箱体と、前記箱体の側面に設けられた伸縮筒体とを備えている。前記箱体は、角筒状の本体部と、前記本体部の側面に固定された筒体取付部とを備えており、前記撮影手段は、前記筒体取付部を通して前記箱体の外部を撮影可能に前記本体部に収容されている。前記伸縮筒体は、前記筒体取付部に固定されていて、軸方向で伸縮可能であるとともに前記筒体取付部と連通しており、前記伸縮筒体の先端は、透明な押付面部で遮蔽されており、前記箱体に供給された気体または液体の圧力によって前記伸縮筒体が伸張する。
また、本発明の水中撮影方法は、前記箱体を所定の位置まで吊下ろす作業と、前記箱体に気体または液体を供給して前記伸縮筒体を伸張させるとともに前記押付面部を前記撮影対象面に密着させる作業と、前記押付面部を前記撮影対象面に密着させた状態で前記撮影手段により前記撮影対象面を撮影する作業とを備えている。
かかる水中撮影装置および水中撮影方法によれば、伸縮筒体を収縮させた状態で箱体を移動させるため、伸縮筒体が他の部材(例えば、既設構造物等)に接触し難い。そのため、伸縮筒体が破損し難い。また、所定の位置において、伸縮筒体を伸張させて、押付面部を撮影対象面に押し付けた状態で撮影を行うため、視界が悪い水中においても撮影対象面を撮影することができる。
【0006】
なお、収縮時の前記伸縮筒体の前記押付面部を覆う蓋材を備えていてもよい。このようにすれば、箱体の移動時に収縮筒体が他の部材等に接触して破損することをより確実に防止することができる。
また、前記箱体が昇降可能なガイドレールを備えているのが望ましい。このようにすれば、箱体の位置がぶれることを防止することができるとともに、ガイドレールにより反力を確保することでより確実に押付面部を撮影対象面に押し当てることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の水中撮影装置および水中撮影方法によれば、伸縮筒体が破損し難い。また、所定の位置において、伸縮筒体を伸張させて、押付面部を撮影対象面に押し付けた状態で撮影を行うため、視界が悪い水中においても撮影対象面を撮影することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る水中撮影装置を示す正面図である。
図2】水中撮影装置を示す断面図である。
図3】水中撮影装置を示す平面図である。
図4】水中ポンプを示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図5】水中撮影装置を利用した撮影状況を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態では、構造物の現況を水中において確認する際に、水中撮影装置1(図1参照)を利用して構造物の外面を撮影する場合について説明する。水中において構造物を撮影する目的としては、例えば、既設構造物に連続する地下構造物を構築する場合において、既設構造物の外面に沿って掘削溝を形成し、既設構造物の外面を清掃する際に、外面の清掃状況を確認する場合等がある。また、ダム等の構造物を水中から撮影する場合にも、水中カメラを利用して撮影する場合がある。
構造物の水中撮影に利用する水中撮影装置1は、図1および図2に示すように、箱体2と、撮影手段3と、伸縮筒体4と、蓋材5とを備えている。
【0010】
箱体2は、鋼製の容器であって、角筒状の本体部21と、円筒状の筒体取付部22とを備えている。
本体部21は、角筒状の鋼管を主体に形成されており、底部が底板23により遮蔽されている。本体部21の上端部には、遮蔽蓋24を固定するためのフランジ25が形成されている。フランジ25は、L型鋼により形成されている。フランジ25の一方の片は本体部21の上縁に重ねられた状態で溶接されており、他方の片は側方に張り出している。フランジ25には、遮蔽蓋24の縁部に形成された複数のボルト孔に対応するボルト孔が形成されている。遮蔽蓋24は、フランジ25に上載した状態で、遮蔽蓋24およびフランジ25のボルト孔を挿通させたボルトBにナットNを螺着することにより、本体部21に固定する。なお、本体部21の上端またはフランジ25と遮蔽蓋24との当接部には、シール材またはパッキンが介設するのが望ましい。
【0011】
遮蔽蓋24には、本体部21内へ水や空気等を流体圧送するための圧送ホースPが接続されている。圧送ホースPは、遮蔽蓋24に形成されたホース接続部に接続する。本実施形態では、二つのホース接続部が形成されているが、ホース接続部の数および配置は限定されるものではない。
本体部21に上部および下部には、それぞれ水抜き孔26が形成されている。水抜き孔26には、水抜き孔26を開閉する開閉弁が設けられている。水抜き孔26の配置および数は限定されるものではないが、少なくとも上側の水抜き孔26は撮影手段3よりも上側に配置されていて、下側の水抜き孔26は底板23の近傍に形成する。なお、水抜き孔26は、必要に応じて形成すればよい。
筒体取付部22は、本体部21の四つの側面のうちの一つの側面に固定されている。筒体取付部22は、円筒状の鋼管からなり、本体部21の内部に連通している。
【0012】
箱体2は、水中に立設されたガイドレール6に沿って昇降(上下動)可能である。なお、ガイドレール6は、必要に応じて設ければよい。図2および図3に示すように、本実施形態では、ガイドレール6としてH形鋼を使用する。ガイドレール6を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、溝形鋼であってもよい。箱体2の本体部21には、筒体取付部22の反対側の側面に、ガイドレール6に係止される係止部材27が突設されている。係止部材27は、鋼材を組み合わせることにより構成されている。係止部材27は、本体部21の外面に立設された鋼板からなる一対の連結部27a,27aと、連結部27a,27aの先端に固定された溝形鋼からなる基部27bと、基部27bの両フランジに固定されたL形鋼からなる係止部27c,27cとを備えている。係止部材27は、係止部27cをガイドレール6の一方のフランジに係止した状態で、ガイドレール6に沿って摺動する。また、基部27bには、横軸を中心に回転するローラー27dが設けられている。ローラー27dは、ガイドレール6のフランジの表面を走行する。箱体2は、係止部材27をガイドレール6に係止させた状態で、ガイドレール6に沿って摺動する。なお、係止部材27の構成は限定されるものではない。
箱体2の上部外面には、ワイヤ係止部28が形成されている。箱体2は、ワイヤ係止部28に係止された吊ワイヤWにより吊持されている。
【0013】
本体部21の下面(底板23の下面)には、図1及び図2に示すように、送水管7が配管されている。送水管7は、地上部に設けられた送水ポンプに接続されていて、送水管7の先端にはノズル71が設けられている。送水ポンプから供給された水(清水)は、撮影対象物に向けてノズル71から噴射される。なお、送水管7は、必要に応じて設ければよい。また、送水管7は、必ずしも本体部21の下側に配管する必要はなく、本体部21の上側に配管してもよい。また、送水管7の本数は限定されることはなく、2本以上配管されていてもよい。さらに、送水管7には、分岐管を介して複数のノズル71を設けてもよい。
【0014】
撮影手段3は、撮影対象面を撮影する、いわゆる水中カメラである。撮影手段3は、箱体2に収容されている。撮影手段3は、箱体2の底板23に固定された台座31に取り付けられている。撮影手段3は、筒体取付部22を通して、箱体2の外部を撮影可能に設けられている。また、撮影手段3は、所定の範囲内において、上下左右に撮影方向を変更可能である。撮影手段3には、地上部から延設されたケーブル32が接続されている。撮影手段3は、ケーブル32を介して送信された信号により、撮影のタイミングや、撮影方向の制御等が可能である。なお、撮影手段3は、必ずしもケーブル32が接続されている必要はなく、無線であってもよい。
【0015】
伸縮筒体4は、図2および図3に示すように、箱体2の側面に形成された筒体取付部22に取り付けられている。伸縮筒体4は、筒状の筒体本体41と、筒体本体41の先端を遮蔽する透明な押付面部42とを備えている。筒体本体41、押付面部42は、透明かつ軟質なビニールシートにより形成されていて、押付面部42は筒体本体41の開口端に固定(溶着または接着)されている。伸縮筒体4(筒体本体41)の基端部は、筒体取付部22の外面に固定されている。なお、伸縮筒体4の固定方法は限定されるものではないが、例えば、筒体取付部22に接着または溶着してもよいし、バンド等の治具43により固定してもよい。また、伸縮筒体4は、筒体取付部22の内面側に固定してもよい。伸縮筒体4の筒体本体41は、軸方向での伸縮が可能であるとともに筒体取付部22と連通しており、箱体2に供給された気体または液体の圧力によって伸張する。すなわち、伸縮筒体4は、筒体取付部22の先端部を遮蔽している。
【0016】
蓋材5は、筒体取付部22の先端に設けられていて、収縮時の伸縮筒体4の押付面部42を覆う。蓋材5は、筒体取付部22に対して、着脱可能に取り付けられている。蓋材5を取り外すことで、伸縮筒体4が露出する。なお、蓋材5は、ヒンジ等を介して、筒体取付部に回動可能に取り付けてもよい。蓋材5には、地上部に至るワイヤー(図示せず)が接続されていて、ワイヤーを引き上げると、蓋材5を筒体取付部22から取り外すことができる。なお、蓋材5の構成は限定されるものではない。
【0017】
箱体2の下端には、図4(a)および(b)に示すように、撮影対象面を洗浄するための水中ポンプ8が設けられている。水中ポンプ8は、箱体2の下端に固定された枠体81を介して設ければよい。枠体81は、鋼材を組み合わせることにより形成されており、左右一対の縦材82,82と、一対の縦材82,82の上端に横架された横材83と、一対の縦材82,82の下端に固定された底部材84とを備えている。横材83の上面には、天板85が固定されている。天板85の上面には、箱体2の脚部29(本実施形態ではL形鋼)が固定されている。
水中ポンプ8は、底部材84の上載されているとともに、一対の縦材82,82の中央部に横架された固定バンド86,86により前後から保持されている。水中ポンプ8の上部には、前方(撮影対象面側)に向けて水を噴射するノズル87が形成されている。すなわち、水中ポンプ8は、周囲から取り込んだ水を、ノズル87から噴射することにより、撮影対象面の清掃を行う。
【0018】
水中撮影装置1を使用する場合には、まず、地上部において、箱体2の内部に水を充填する。箱体2の内部に注入する水には、水道水等の不純物が含まれない清水を使用する。箱体2の内部に水が充填されたら、上側の水抜き孔26(図1および図2参照)を開口して、箱体2の内部から水抜き孔26よりも上側の水を排出する。こうすることで、箱体2の内部には所定の深さの水が貯水された状態となる。水を排水したら、水抜き孔26を遮蔽する。なお、上側の水抜き孔26を開口した状態で水を注水してもよい。この場合には、水抜き孔26からの排水が確認されるまで箱体2の内部に水を注水すればよい。
次に、図5に示すように、構造物の撮影対象面Sから所定の間隔をあけてガイドレール6を立設する。ガイドレール6は、鉛直となるように水上から支持してもよいし、水底に下端を当設させた状態で立設させてもよい。ガイドレール6を立設したら、ガイドレール6に沿って箱体2を下降させて、所定の位置まで箱体2を吊下ろす。このとき、水中ポンプ8を利用して、撮影対象面に対して水を噴射して、撮影対象面の清掃を行う。
【0019】
箱体2を所定の位置まで降ろしたら、蓋材5を筒体取付部22から取り外して伸縮筒体4を露出させる。続いて、圧送ホースPを介して箱体2に空気を圧入する。箱体2に空気を圧入すると、伸縮筒体4が伸張する。伸縮筒体4は、押付面部42が撮影対象面Sに密着するまで伸張させる。このとき、ノズル71から水を噴射して、撮影対象面Sを清掃するとともに撮影対象面Sの周囲に清水を供給する。
押付面部42を撮影対象面Sに密着させたら、撮影手段3により撮影対象面を撮影する。撮影対象面Sの撮影は、撮影手段3の撮影方向を適宜変更させて行うのが望ましい。撮影後、水中撮影装置1(箱体2)を次の場所に移動させて、撮影手段3による撮影を行う。箱体2を移動させる際には、圧送ホースPを介して箱体2内から排気を行う。箱体2から空気を排気すると、箱体2の周囲の水圧により伸縮筒体4が収縮するため、押付面部42が撮影対象面Sから離間する。箱体2の移動は、押付面部42を構造物(撮影対象面S)から離間させた状態で行う。このとき、必要に応じて、蓋材5により伸縮筒体4を覆うとよい。箱体2を所定の位置に配置したら、再び箱体2の内部に空気を圧入して、伸縮筒体4を伸張させて、押付面部42を撮影対象面に当接させる。
水中撮影装置1による撮影が完了したら、箱体2を回収し、箱体2の下側の水抜き孔26から排水を行う。
【0020】
本実施形態の水中撮影装置1によれば、伸縮筒体4を収縮させて、蓋材5で覆った状態で箱体2を移動させるため、伸縮筒体4が他の部材(例えば、構造物等)に接触し難い。そのため、伸縮筒体4が破損し難い。
また、所定の位置において、伸縮筒体4を伸張させて、押付面部42を撮影対象面に押し付けた状態で撮影を行うため、視界が悪い水中(濁水中)においても撮影対象面を撮影することができる。
また、箱体2をガイドレール6に沿って移動させるため、箱体2の位置決めが容易である。また、箱体2は、ガイドレール6に支持されているため、箱体2の位置がぶれることを防止することができ、高精度に撮影することができる。さらに、ガイドレール6により反力を確保することでより確実に押付面部42を撮影対象面に押し当てることができる。
箱体2の内部を水で充填するのではなく、空気層が含まれているため、箱体2の内部の圧力を調整することが可能である。すなわち、圧縮空気を箱体2の内部に供給することで、箱体2内の圧力を周囲の圧力(水圧)よりも大きくすることで、伸縮筒体4を伸張させることができる。一方、箱体2の内部への圧縮空気の供給を停止し、気圧を大気圧と同等にすれば、箱体2内の圧力が水位の圧力(水圧)よりも小さくなるため、伸縮筒体4が収縮される。
水中ポンプ8を利用して撮影対象面Sを清掃することができるため、撮影対象面Sから付着物を除去した状態で撮影することができる。水中ポンプ8は、周囲の水を取り込んで噴射するため、別途水を用意する必要がなく、経済的である。
撮影対象面Sに対してノズル71から水を噴射することが可能なため、撮影対象面Sの周囲にきれいな水を供給して、視界を良好にすることが可能である。
水中撮影装置1は、遠隔操作により位置決めおよび撮影が可能なため、作業員が水中に潜って操作する必要がなく、安全性に優れている。
【0021】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、箱体2の下側に水中ポンプ8が配設されている場合について説明したが、水中ポンプ8は、必要に応じて設ければよい。すなわち、撮影対象面Sの清掃手段は、水中撮影装置1とは別の装置であってもよい。
また、蓋材5は、必要に応じて設ければよい。例えば、伸縮筒体4が筒体取付部22に収容される場合や、水中撮影装置1を構造物から十分に離れた位置で移動させる場合などには、蓋材5は省略してもよい。
筒体取付部22として、本体部21の側面に円筒状の部材を固定する場合について説明したが、筒体取付部22の構成は限定されるものではない。筒体取付部22は、例えば、伸縮筒体4が取り付け可能となるように本体部21の側面に形成された開口であってもよい。
前記実施形態では、箱体2の内部に水と空気により充填するものとしたが、周囲の水圧に対する箱体2内部の圧力の差を調整することが可能であれば、箱体2の内部の内部に充填する流体は限定されるものではなく、例えば、圧縮空気のみを充填してもよいし、水のみを充填してもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 水中撮影装置
2 箱体
21 本体部
22 筒体取付部
3 撮影手段
4 伸縮筒体
41 筒体本体
42 押付面部
5 蓋材
6 ガイドレール
7 送水管
S 撮影対象面
図1
図2
図3
図4
図5