(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】レーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20230526BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20230526BHJP
【FI】
B23K26/00 Q
B23K26/064 K
B23K26/00 B
(21)【出願番号】P 2019059501
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】永利 圭太
(72)【発明者】
【氏名】山崎 直哉
(72)【発明者】
【氏名】松本 明久
(72)【発明者】
【氏名】劉 寒飛
(72)【発明者】
【氏名】若子 康一
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-122945(JP,A)
【文献】特開平11-110333(JP,A)
【文献】特開2016-127560(JP,A)
【文献】特開2015-156572(JP,A)
【文献】特開2006-095538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
B23K 26/064
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源及び該レーザ光源を駆動するレーザ光源用駆動回路を備える発振器ユニットと、
前記発振器ユニットと第1の電気ケーブル及び光ファイバケーブルにより接続され、前記光ファイバケーブルを介して伝送された前記レーザ光を走査するレーザ走査部、及び、該レーザ走査部を駆動する走査部用駆動回路を備えるヘッドユニットと、
前記発振器ユニットと第2の電気ケーブルにより接続され、前記レーザ光源用駆動回路に対して前記第2の電気ケーブルを介して電力を供給するレーザ電源、及び、前記走査部用駆動回路に対して前記第1の電気ケーブル及び前記第2の電気ケーブルを介して電力を供給する走査電源を備えるコントローラユニットと、を有し、
前記発振器ユニット、前記ヘッドユニット及び前記コントローラユニットのそれぞれは、自身の識別情報が予め設定されるものであり、
前記コントローラユニットは、自身の識別情報と該コントローラユニットに対応する前記発振器ユニットの識別情報及び前記ヘッドユニットの識別情報とを記憶する記憶部と、前記コントローラユニットに接続された発振器ユニット
、ヘッドユニット及びコントローラユニットの識別情報と前記記憶部に記憶された識別情報とを比較して不一致か否かを判定する判定部と、該判定部により不一致であると判定された場合に識別不一致に関する情報を表示する表示部とを有し、
前記発振器ユニットは、少なくとも前記レーザ光源及び前記レーザ光源用駆動回路を収容する筐体を有し、該筐体の一側面に前記第1の電気ケーブルが接続される第1接続部と、前記第2の電気ケーブルが接続される第2接続部と、前記光ファイバケーブルが接続される第3接続部と、を有するレーザ加工装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記判定部により、前記コントローラユニットに対して、前記ヘッドユニットが不一致である場合に該ヘッドユニットが不一致である旨を表示し、前記発振器ユニットが不一致である場合に該発振器ユニットが不一致である旨を表示する、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記ヘッドユニット側の識別情報及び前記発振器ユニット側の識別情報を表示する、請求項1又は2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記ヘッドユニット及び前記発振器ユニットのいずれか一方のみが不一致の場合には第1の表示形態で表示し、前記ヘッドユニット及び前記発振器ユニットの両方が不一致の場合には前記第1の表示形態とは異なる第2の表示形態で表示する、請求項1~3の何れか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記表示部における第1の表示形態及び第2の表示形態の少なくとも一方の表示形態を設定変更可能な表示形態設定部を有する、請求項4に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記表示部にて表示される表示時間を設定変更可能な時間変更部を有する、請求項1~5の何れか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記判定部は、不一致であると判定した場合に、前記表示部による表示に加え、加工禁止状態とする、請求項1~6の何れか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記識別情報には、機種情報が含まれ、
前記判定部は、前記機種情報が不一致であるか否かを判定し、前記機種情報が不一致である場合に機種情報が一致するまで前記発振器ユニットへの電力供給を停止して前記加工禁止状態とする、請求項7に記載のレーザ加工装置。
【請求項9】
前記第1接続部と、前記第2接続部とは離して設けられる、請求項1~8の何れか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項10】
前記第1の電気ケーブルは、前記光ファイバケーブルと同等の長さを有し、
前記第2の電気ケーブルは、前記光ファイバケーブルよりも長い、請求項1~9の何れか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項11】
前記コントローラユニットは、別体の設定用端末を接続する端末接続部を有する、請求項1~10の何れか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項12】
前記コントローラユニットは、前記第1の電気ケーブル及び第2の電気ケーブルを介して、前記発振器ユニット及び前記ヘッドユニットに対し、少なくともレーザオンオフデータ及び走査位置データを含む制御データを送信するものであり、
前記発振器ユニットは、前記制御データ内から前記レーザオンオフデータを取得し、前記ヘッドユニットは、前記制御データ内から前記走査位置データを取得する、請求項1~11の何れか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項13】
前記コントローラユニット及び前記発振器ユニットは、それぞれ、冷却用のファンを有すると共に、前記発振器ユニット側の冷却用のファンよりも前記コントローラユニットの冷却用のファンの方が冷却能力が高い、請求項1~12の何れか1項に記載のレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加工対象物の表面にレーザ光を照射し、文字、記号、または、図形等を形成するレーザ加工装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のレーザ加工装置では、レーザ光源を含む発振器ユニット(レーザ出射ユニット)と、レーザ光を走査するヘッドユニット(走査ユニット)と、コントローラユニットとを有する。コントローラユニットは電気ケーブルにて発振器ユニットと接続される。コントローラユニットは、別の電気ケーブルにてヘッドユニットと接続される。また、発振器ユニットはヘッドユニットと光ファイバケーブルにより接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなレーザ加工装置では、ヘッドユニットと発振器ユニットとコントローラユニットとがそれぞれ別体であるため、設置の自由度を高めることが可能である。しかしながら、ヘッドユニットと発振器ユニットとは光ファイバケーブルで接続されているため、光ファイバケーブルの長さが長くなると、光ファイバケーブル内でレーザ光が減衰してしまう。従って、ヘッドユニットと発振器ユニットとの距離は必要以上に長くできない。
【0005】
また、特許文献1のレーザ加工装置では、コントローラユニットに対してヘッドユニット及び発振器ユニットがそれぞれ個別に電気ケーブルで接続されているため、ヘッドユニットと発振器ユニットとの間の光ファイバケーブルの長さ並びに各電気ケーブルの長さを設定した上で個別に各ケーブルの配索経路を考える必要がある。すなわち、配線が複雑となり、更なる設置の自由度向上が望まれている。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、設置の自由度を向上できるレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するレーザ加工装置は、レーザ光を出射するレーザ光源及び該レーザ光源を駆動するレーザ光源用駆動回路を備える発振器ユニットと、前記発振器ユニットと第1の電気ケーブル及び光ファイバケーブルにより接続され、前記光ファイバケーブルを介して伝送された前記レーザ光を走査するレーザ走査部、及び、該レーザ走査部を駆動する走査部用駆動回路を備えるヘッドユニットと、前記発振器ユニットと第2の電気ケーブルにより接続され、前記レーザ光源用駆動回路に対して前記第2の電気ケーブルを介して電力を供給するレーザ電源、及び、前記走査部用駆動回路に対して前記第1の電気ケーブル及び前記第2の電気ケーブルを介して電力を供給する走査電源を備えるコントローラユニットと、を有し、前記発振器ユニット、前記ヘッドユニット及び前記コントローラユニットのそれぞれは、自身の識別情報が予め設定されるものであり、前記コントローラユニットは、自身の識別情報と該コントローラユニットに対応する前記発振器ユニットの識別情報及び前記ヘッドユニットの識別情報とを記憶する記憶部と、前記コントローラユニットに接続された発振器ユニット、ヘッドユニット及びコントローラユニットの識別情報と前記記憶部に記憶された識別情報とを比較して不一致か否かを判定する判定部と、該判定部により不一致であると判定された場合に識別不一致に関する情報を表示する表示部とを有し、前記発振器ユニットは、少なくとも前記レーザ光源及び前記レーザ光源用駆動回路を収容する筐体を有し、該筐体の一側面に前記第1の電気ケーブルを接続する第1接続部と、前記第2の電気ケーブルを接続する第2接続部と、前記光ファイバケーブルを接続する第3接続部と、を有する。
【0008】
上記態様によれば、発振器ユニットは、筐体の一側面に、第1~第3接続部を有する構成となっているため、電気ケーブル及び光ファイバケーブルで接続されるヘッドユニットと発振器ユニットとは必要以上に長くすることなく、電気ケーブルのみで接続された発振器ユニットとコントローラユニットとの間の距離を長くすることが可能となる。また、発振器ユニットとヘッドユニットとが電気ケーブル及び光ファイバケーブルで接続されるため、これらのケーブルの配索経路を同じとすることができる。そのため、ケーブルの配索経路を簡素化でき、設置の自由度を向上できる。また、コントローラユニットに表示部を備え、少なくとも表示部で識別不一致に関する情報を表示するため、設置の自由度を確保しつつコントローラユニットの設置場所から離れて設置される加工場所にあるヘッドユニット及び発振器ユニットとの接続における識別不一致をコントローラユニット側で確認することができる。これにより、正しいユニットに接続し直すことを容易とすることができる。発振器ユニットにおいて各ケーブルの接続部が筐体の一側面側に設けられるため、各ケーブルの配索を簡素化できる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、レーザ光の減衰を設置の自由度を向上できるレーザ加工装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】同実施形態におけるレーザ加工装置及び設定用端末のブロック図。
【
図3】同実施形態における発振器ユニットの背面図。
【
図4】同実施形態における表示部の表示例を説明するための説明図。
【
図5】同実施形態における表示部の表示例を説明するための説明図。
【
図6】同実施形態におけるヘッドユニットの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、レーザ加工装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のレーザ加工装置10は、発振器ユニット11と、ヘッドユニット12と、コントローラユニット13とを有する。
【0012】
図1~
図3に示すように、発振器ユニット11は、略直方体状の筐体21内に、レーザ光源22と、レーザ光源用駆動回路23と、入出力回路24と、記憶部25とを有する。また、発振器ユニット11は、筐体21内のレーザ光源22及び各種電子部品を冷却するためのファン26を有する。
【0013】
レーザ光源22は、レーザ光を出射するものであればよく、例えばYAGレーザ、CO2レーザやファイバレーザが挙げられる。
レーザ光源用駆動回路23は、レーザ光源22を駆動するための回路である。
【0014】
入出力回路24は、外部との信号のやり取りを行うための回路である。記憶部25には、発振器ユニット11の識別情報が記憶される。識別情報は、型式(機種情報)並びにシリアル番号を含む。
【0015】
本実施形態の発振器ユニット11の筐体21は、略直方体状をなし、その一側面21aにヘッドユニット12と接続するための複数の接続部31,32,33と、コントローラユニット13と接続するための複数の接続部34,35とを有する。
【0016】
接続部31は、ヘッドユニット12と接続される光ファイバケーブルFLを接続するファイバケーブル接続部である。接続部31は、光ファイバケーブルFLが接続されるとともに、取り外しできない状態で一側面21aから光ファイバケーブルFLが引き出されている。接続部32は、ヘッドユニット12と接続される第1の電気ケーブルとしての電源ケーブルSP1を接続する電源ケーブル接続部である。接続部33は、ヘッドユニット12と接続される第1の電気ケーブルとしての信号ケーブルSL1を接続する信号ケーブル接続部である。接続部34は、コントローラユニット13と接続される第2の電気ケーブルとしての電源ケーブルSP2を接続する電源ケーブル接続部である。接続部35は、コントローラユニット13と接続される第2の電気ケーブルとしての信号ケーブルSL2を接続する信号ケーブル接続部である。接続部32,33,34,35は、各ケーブルSP1,SL1,SP2,SL2が着脱可能となっている。
【0017】
図3に示すように、信号ケーブルSL1,SL2が接続される2つの接続部33,35の内の一方の接続部33は、他方の接続部35よりも上方に設けられる。また、電源ケーブルSP1,SP2が接続される2つの接続部32,34の内の一方の接続部32は、他方の接続部34よりも上方に設けられる。
【0018】
図2に示すように、入出力回路24は、発振器ユニット11の2つの接続部33,35と電気的に接続される。これにより、発振器ユニット11の入出力回路24は、接続部33,35に接続された信号ケーブルSL1,SL2を介してヘッドユニット12やコントローラユニット13と信号のやり取りが可能となっている。
【0019】
図1及び
図2に示すように、ヘッドユニット12は、略直方体状の筐体41内にレーザ走査部42と、走査部用駆動回路43と、収束レンズ44と、入出力回路45と、記憶部46とを有する。
【0020】
レーザ走査部42は、レーザ光源22により出射されたレーザ光を走査するものである。レーザ走査部42は、例えば一対のガルバノミラーと、一対のガルバノミラーの駆動させるアクチュエータを有する。走査部用駆動回路43は、レーザ走査部42を駆動するための回路であり、前記アクチュエータを制御する。走査部用駆動回路43により、レーザ走査部42のアクチュエータを介して一対のガルバノミラーの駆動が制御され、加工対象物Wの加工面上において2方向(2次元方向)に走査する。
【0021】
収束レンズ44は、レーザ走査部42で走査された光を収束して外部に出射するものである。
入出力回路45は、外部との信号のやり取りを行うための回路である。記憶部46は、ヘッドユニット12の識別情報が記憶される。識別情報は、型式(機種情報)並びにシリアル番号を含む。
【0022】
本実施形態のヘッドユニット12は、発振器ユニット11と接続するための複数の接続部51,52,53を有する。接続部51は、発振器ユニット11と接続される光ファイバケーブルFLを接続するファイバケーブル接続部である。接続部52は、発振器ユニット11と接続される電源ケーブルSP1を接続する電源ケーブル接続部である。接続部53は、発振器ユニット11と接続される信号ケーブルSL1を接続する信号ケーブル接続部である。各接続部51,52,53は、各ケーブルFL,SP1,SL1が着脱可能となっている。
【0023】
入出力回路45は、接続部53と電気的に接続される。これにより、ヘッドユニット12の入出力回路45は、信号ケーブルSL1を介して発振器ユニット11側と信号のやり取りが可能となっている。
【0024】
コントローラユニット13は、略直方体状の筐体61内に、制御部62と、電源部63と、入出力回路64と、記憶部65と、を有する。また、コントローラユニット13は、筐体61から外部に露出するように表示部66を有する。また、コントローラユニット13は、筐体61内の電源部63及び各種電子部品を冷却するためのファン67を有する。
【0025】
制御部62は、印字すべき文字等に関する加工データに基づいて加工対象物W上の加工位置に対応する複数の走査位置データ(座標データ)と、レーザオンオフデータとを含む制御データを生成する。制御部62は、制御データを自身の入出力回路64及び信号ケーブルSL2を介して発振器ユニット11の入出力回路24に伝送する。発振器ユニット11の入出力回路24は、伝送された制御データから発振器ユニット11に関わるレーザオンオフデータを取得するとともに、制御データを信号ケーブルSL1を介してヘッドユニット12の入出力回路45に伝送する。ヘッドユニット12の入出力回路45は、伝送された制御データからヘッドユニット12に関わる走査位置データを取得する。
【0026】
制御部62は、接続された各ユニット11,12の識別情報を取得する。また、制御部62は、取得した発振器ユニット11の識別情報と、取得したヘッドユニット12の識別情報とがコントローラユニット13の識別情報と不一致か否かを判定する。すなわち、制御部62は判定部として機能を有する。
【0027】
電源部63は、商用電源等の外部電源と接続され、レーザ光源用駆動回路23及び走査部用駆動回路43に対して電源ケーブルSP1,SP2を介して電力を供給する。すなわち、電源部63はレーザ電源及び走査電源として機能する。
【0028】
入出力回路64は、外部との信号のやり取りを行うための回路である。記憶部65は、コントローラユニット13の識別情報が記憶される。識別情報は、型式(機種情報)並びにシリアル番号を含む。記憶部65は、識別情報の他、前述の加工データなどをファイルとして記憶可能となっている。
【0029】
本実施形態のコントローラユニット13は、発振器ユニット11と接続するための複数の接続部71,72を有する。接続部71は、発振器ユニット11と接続される電源ケーブルSP2を接続する電源ケーブル接続部である。接続部72は、発振器ユニット11と接続される信号ケーブルSL2を接続する信号ケーブル接続部である。各接続部71,72は、各ケーブルSP1,SL2が着脱可能となっている。
【0030】
図2に示すように、本実施形態で用いられる各信号ケーブルSL1,SL2は、それぞれ、ケーブル本体SL1a,SL2aと、ケーブル本体SL1a,SL2aの両端に設けられるコネクタSL1b,SL2bとを有する。各電源ケーブルSP1,SP2は、それぞれ、ケーブル本体SP1a,SP2aと、ケーブル本体SP1a,SP2aの両端に設けられるコネクタSP1b,SP2bとを有する。光ファイバケーブルFLは、ケーブル本体FL1と、ケーブル本体FL1の両端に設けられたコネクタFL2とを有する。
【0031】
発振器ユニット11とヘッドユニット12を接続する電源ケーブルSP1のケーブル本体SP1a及び信号ケーブルSL1のケーブル本体SL1aと、発振器ユニット11とヘッドユニット12を接続する光ファイバケーブルFLのケーブル本体FL1とは、その長さが略同等である。また、発振器ユニット11とコントローラユニット13とを接続する電源ケーブルSP2のケーブル本体SP2a及び信号ケーブルSL2のケーブル本体SL2aの長さは、光ファイバケーブルFLのケーブル本体FL1の長さよりも長い。電源ケーブルSP2のケーブル本体SP2a及び信号ケーブルSL2のケーブル本体SL2aの長さは、略同等であることが好ましい。ここで、前述における各ケーブル本体FL1,SL1a,SP1a,SL2a,SP2aの長さは各コネクタFL2,SL1b,SP1b,SL2b,SP2bから露出した部分の長さを示している。また「略同等」とは仕様上略同じであることを示しており、製造誤差によるバラツキがある場合でも同じである。
【0032】
上述したように電源ケーブルSP1、信号ケーブルSL1及び光ファイバケーブルFLのケーブル本体SP1a,SL1a,FL1の長さを略同等とすることで、各ケーブル本体SP1a,SL1a,FL1の配索経路(レイアウト)を略同様とすることができる。すなわち、各ケーブル本体SP1a,SL1a,FL1を纏めて配索することが可能となる。
【0033】
図6に示すように、ヘッドユニット12に接続されるコネクタSL1b,SP1bには防水コネクタカバーC1,C2が取り付けられており、コネクタSL1b,SP1b内に液体が浸入することが抑えられている。
【0034】
図4に示すように表示部66は、通常時、ファイル番号を表示するようになっている。具体的には、予め設定された加工データのファイル番号を表示し、ユーザに対してどのファイルを選択しているか示すことが可能となっている。また、表示部66は、ヘッドユニット12側の識別情報及び発振器ユニット11側の識別情報を表示するようにしてもよい。この場合、通常時にはファイル番号を表示させ、ユーザが図示しない操作スイッチを操作することで前記識別情報を表示可能としてもよい。なお、表示部66自身にタッチセンサの機能を備えて、表示部66上に表示された仮想のスイッチを操作することで前述したように識別情報を表示可能としてもよい。
【0035】
図5に示すように、表示部66は、レーザ加工装置10においてエラーが発生した場合にその旨を表示する表示モードを有する。エラーが発生時の表示部66における表示タイミングは、エラー発生時に即座に表示することが好ましい。表示の一例として、エラー発生日時と、エラーコードと、エラー内容とを表示する。本実施形態では、制御部62は、取得した発振器ユニット11の識別情報と、取得したヘッドユニット12の識別情報とがコントローラユニット13の識別情報と不一致か否かを判定し、不一致である場合に、その旨を表示部66に表示させる。このとき、例えばヘッドユニット12の識別情報が異なるのか否か、発振器ユニット11の識別情報が異なるのか否かを個別に表示する。また、ヘッドユニット12及び発振器ユニット11のいずれか一方が不一致である場合には表示部66を第1表示形態で示し、ヘッドユニット12及び発振器ユニット11の両方が不一致である場合には表示部66を第1表示形態とは異なる第2表示形態で示す。第1表示形態と第2表示形態の差異の一例として、表示部66の表示画面における背景色を変更したり、エラー内容を変更したりすることが考えられる。また、第1表示形態と第2表示形態の少なくとも一方は後述する設定用端末100を介して変更可能としてもよい。また、表示部66にて識別不一致である旨を表示する時間は、後述する設定用端末100を介して変更可能としてもよい。
【0036】
コントローラユニット13のファン67は、発振器ユニット11のファン26よりも冷却能力が高い。ここで、各ファン26,67の大きさの差異、ファン26,67の回転速度の差異、各ファン26,67の個数の差異やこれらの組み合わせによる差異で冷却能力に差異が生じる。つまり、ファン67とファン26とで「大きさ」、「回転速度」、「個数」の少なくとも1つを異ならせ、ファン67で発生可能な風の風量をファン26で発生可能な風の風量よりも大きくすることで冷却能力が高いと言える。
【0037】
コントローラユニット13には、筐体61の前面61a側に設定用端末100を接続可能な接続部73を有している。
設定用端末100は、例えば、タブレット端末、ノートパソコン、PDA(Personal Digital Assistant)やスマートフォンなどの汎用端末に専用のアプリケーションソフトウェアを導入することでレーザ加工装置10による各種の設定が可能となっている。一例としての設定用端末100は、ユーザによるデータの入力が可能な入力部101と、各種情報を表示可能な表示部102と、入出力回路103と、各部を制御する制御部104とを有する。設定用端末100はケーブル110を介してコントローラユニット13と通信可能となっている。そして、例えば入力部101を介して前述したような第1表示形態と第2表示形態の少なくとも一方を変更するように操作することで、それらの情報に基づいてコントローラユニット13の記憶部65に第1表示形態と第2表示形態に関する設定情報が記憶されることとなる。また、入力部101を介して表示部66における不一致に関する情報を表示させる場合の表示時間を変更するように操作することで、それらの情報に基づいてコントローラユニット13の記憶部65に設定された表示時間が記憶されることとなる。
【0038】
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態のレーザ加工装置10は、例えば設定用端末100において設定された加工データに基づき、制御部62にて変換されるとともに出力される制御データに基づいてレーザ光源22並びにレーザ走査部42が駆動されて加工対象物Wにレーザ光を照射する。
【0039】
(1)発振器ユニット11は、筐体21の一側面21aに、接続部31~35を有する構成となっているため、電源ケーブルSP1、信号ケーブルSL1及び光ファイバケーブルFLで接続されるヘッドユニット12と発振器ユニット11とは必要以上に長くする必要がない。そして、電源ケーブルSP2及び信号ケーブルSL2のみで接続された発振器ユニット11とコントローラユニット13との間の距離を長くすることが可能となる。また、発振器ユニット11とヘッドユニット12とが電源ケーブルSP1、信号ケーブルSL1及び光ファイバケーブルFLで接続されるため、これらのケーブルSP1,SL1,FLの配索経路を同じとすることができる。そのため、ケーブルSP1,SL1,FLの配索経路を簡素化でき、設置の自由度を向上できる。また、コントローラユニット13に表示部66を備え、少なくとも表示部66で識別不一致に関する情報を表示するため、設置の自由度を確保しつつコントローラユニット13の設置場所から離れて設置される加工場所にあるヘッドユニット12及び発振器ユニット11との接続における識別不一致をコントローラユニット13側で確認することができる。これにより、正しいユニットに接続し直すことを容易とすることができる。発振器ユニット11において各ケーブルの接続部31~35が筐体21の一側面21a側に設けられるため、各ケーブルSP1,SP2,SL1,SL2,FLの配索を簡素化できる。
【0040】
(2)表示部66は、制御部62により、コントローラユニット13に対して、ヘッドユニット12が不一致である場合に該ヘッドユニット12が不一致である旨を表示し、発振器ユニット11が不一致である場合に該発振器ユニット11が不一致である旨を表示する。これにより、ユーザに対してどのユニットが不一致であるのか報知することが可能となる。
【0041】
(3)ヘッドユニット12側の識別情報及び発振器ユニット11側の識別情報を表示部66に表示することで、識別情報をユーザ側で確認することができる。
(4)表示部66において、ヘッドユニット12及び発振器ユニット11のいずれか一方のみが不一致の場合には第1の表示形態で表示し、ヘッドユニット12及び発振器ユニット11の両方が不一致の場合には第1の表示形態とは異なる第2の表示形態で表示する。これにより、表示形態の違いによってどのユニットが不一致であるのかユーザが容易に確認することができる。
【0042】
(5)表示部66における第1の表示形態及び第2の表示形態の少なくとも一方の表示形態を設定変更可能な表示形態設定部としての記憶部65を有することで、ユーザの好みに合わせて表示形態を変更できる。
【0043】
(6)表示部66にて表示される表示時間を設定変更可能な時間変更部としての記憶部65を有することで、ユーザの好みに合わせて表示時間を変更できる。
(7)第1の電気ケーブルを構成する電源ケーブルSP1及び信号ケーブルSL1は、光ファイバケーブルFLと同等の長さを有する。第2の電気ケーブルを構成する電源ケーブルSP2及び信号ケーブルSL2は、光ファイバケーブルFLよりも長い。このため、電源ケーブルSP1及び信号ケーブルSL1を光ファイバケーブルFLと同じ配索経路で配索することが可能となる。更に、光ファイバケーブルFLよりも長い電源ケーブルSP2及び信号ケーブルSL2にて長距離レイアウトに対応することができる。
【0044】
(8)コントローラユニット13は、別体の設定用端末100を接続する接続部73を有することで、コントローラユニット13内の機能並びに構成を簡素化することができる。
【0045】
(9)コントローラユニット13は、電源ケーブルSP1,SP2及び信号ケーブルSL1,SL2を介して、発振器ユニット11及びヘッドユニット12に対し、少なくともレーザオンオフデータ及び走査位置データを含む制御データを送信する。そして、発振器ユニット11は、制御データ内からレーザオンオフデータを取得し、ヘッドユニット12は、制御データ内から走査位置データを取得する。このように各ユニット11,12において必要なデータを取得して各ユニット11,12の駆動を実現することができる。
【0046】
(10)コントローラユニット13及び発振器ユニット11は、それぞれ、冷却用のファン67,26を有することで、レーザ光源22や電源部63の異常発熱を抑えることができる。なお、各ファン67,26は熱量に応じてその個数や大きさを変更することが好ましい。
【0047】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0048】
・上記実施形態では特に言及していないが、例えば、制御部62により識別情報が不一致であると判定した場合に、加工禁止状態としてもよい。ここで、加工禁止状態とは、例えば設定用端末100の入力部101において加工開始操作をした場合であっても、それらの操作を無効にすることを含む。また加工禁止状態とは、レーザ光源22に対する電力供給を遮断することを含む。特に、識別情報として、機種情報(型番)が異なる場合にはレーザ光源22に対する電力供給を遮断することで安全性を確保することができる。
【0049】
・上記実施形態では、設定用端末100に加工開始操作が可能な入力部101を設ける構成としたが、レーザ加工装置10のコントローラユニット13に加工開始用のスイッチを設ける構成を採用してもよい。このとき、タッチパネル上のスイッチや機械的なスイッチの何れかであってもよい。
【0050】
・上記実施形態では、接続部31から光ファイバケーブルFLを取り外し不能な構成としたが、取り外し可能(着脱可能)な構成を採用してもよい。
また、発振器ユニット11の接続部32~35、ヘッドユニット12の接続部51~53及びコントローラユニット13の接続部71,72を着脱可能な構成としたがこれに限らない。例えば発振器ユニット11の接続部32と、該接続部32に対応するヘッドユニット12の接続部52とのいずれか一方のみを着脱可能とし、他方を取り外し不能な状態としてもよい。同様に、発振器ユニット11の接続部33と、該接続部33に対応するヘッドユニット12の接続部53とのいずれか一方のみを着脱可能とし、他方を取り外し不能な状態としてもよい。また、発振器ユニット11の接続部34と、該接続部34に対応するコントローラユニット13の接続部71とのいずれか一方のみを着脱可能とし、他方を取り外し不能な状態としてもよい。同様に、発振器ユニット11の接続部35と、該接続部35に対応するコントローラユニット13の接続部72とのいずれか一方のみを着脱可能とし、他方を取り外し不能な状態としてもよい。
【0051】
上記実施形態並びに各変形例では、各ケーブルFL,SP1,SL1,SP2,SL2を接続する接続部31,32,33,34,35を発振器ユニット11の一側面21aに設けている。ここで、例えば筐体21の一側面21aにケーブルを接続する接続部を有する構成として、次のような形態も含まれる。すなわち、筐体21の一側面21aに対して貫通孔が形成され、該貫通孔に対してケーブルFL,SP1,SL1,SP2,SL2を挿通して内部の基板や部品に対して接続がなされる場合、つまり筐体21の一側面21aからケーブルFL,SP1,SL1,SP2,SL2が導出される構成も本発明に含まれる。また、このような構成は発振器ユニット11に限らず、ヘッドユニット12やコントローラユニット13についても同様である。すなわち、ヘッドユニット12の筐体41の側面に対して貫通孔が形成され、該貫通孔に対してケーブルFL,SP1,SL1を挿通して内部に基板や部品に対して接続がなされる場合、つまり筐体41の側面からケーブルFL,SP1,SL1を導出するようにしてもよい。また、コントローラユニット13の筐体61の側面に対して貫通孔が形成され、該貫通孔に対してケーブルSP2,SL2を挿通して内部に基板や部品に対して接続がなされる場合、つまり筐体61の側面からケーブルSP2,SL2を導出するようにしてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、コントローラユニット13の接続部73に対して有線接続にて設定用端末100が接続される構成であったが、これに限らない。設定用端末100をWi-Fi、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)、赤外線通信などの無線通信方式により、外部装置と通信可能に構成してもよい。そして、発振器ユニット11、ヘッドユニット12、コントローラユニット13のいずれかのユニットにおいても設定用端末100と同じ無線通信方式に対応した通信が可能に構成されるものであってもよい。これにより、設定自体はケーブル110による接続が不要となるため、ケーブル110の配索や着脱作業が不要となり、ユーザの利便性向上に寄与できる。さらに、ヘッドユニット12を無線通信方式による通信可能な構成とした場合には、設定後の再設定作業含む設定作業やメンテナンス等により、設定の確認や変更を行う場合、ヘッドユニット12が設置される加工場所において設定の確認や変更を行うことができるため、作業性向上に寄与できる。
【0053】
・上記実施形態では、設定用端末100を接続するための接続部73をコントローラユニット13の筐体61の前面61a側に設ける構成としたが、これに限らない。例えば、筐体61の後面や側面に前記接続部73を設ける構成を採用してもよい。また、接続部73を省略し、例えば設定用端末100の機能をコントローラユニット13に組み込んだ構成を採用してもよい。
【0054】
・上記実施形態では、表示部66に不一致に関する情報を表示する構成としたが、これに加えて設定用端末100の表示部102に不一致に関する情報を表示するようにしてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、信号ケーブルSL1のケーブル本体SL1aの長さと、電源ケーブルSP1のケーブル本体SP1aの長さと、光ファイバケーブルFLのケーブル本体FL1の長さとを略同等としたが、各ケーブル本体SL1a,SP1a,FL1の長さが全て若しくは一部異なっていてもよい。
【0056】
・上記実施形態では、信号ケーブルSL2のケーブル本体SL2aの長さと、電源ケーブルSP2のケーブル本体SP2aの長さとを略同等としたが、これに限らない。各ケーブル本体SL2a,SP2aの長さが異なっていてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、電源部63を冷却するためのファン67と、レーザ光源22を冷却するためのファン26とを備える構成としたが、ファン以外の冷却手段によって冷却する構成を採用してもよい。また、ファン26,67を含めた冷却手段を省略した構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…レーザ加工装置、11…発振器ユニット、12…ヘッドユニット、13…コントローラユニット、21…筐体、21a…一側面、22…レーザ光源、23…レーザ光源用駆動回路、25…記憶部、26…ファン、31…接続部(第3接続部)、32,33…接続部(第1接続部)、34,35…接続部(第2接続部)、42…レーザ走査部、43…走査部用駆動回路、62…制御部(判定部)、63…電源部、66…表示部、67…ファン、73…接続部(端末接続部)、100…設定用端末、SP1…電源ケーブル(第1の電気ケーブル)、SL1…信号ケーブル(第1の電気ケーブル)、FL…光ファイバケーブル、SP2…電源ケーブル(第2の電気ケーブル)、SL2…信号ケーブル(第2の電気ケーブル)。