(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】給湯方法、及び、制御装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20230526BHJP
F24H 15/212 20220101ALI20230526BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20230526BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230526BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230526BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
G06Q50/06
F24H15/212
H02J3/14 130
H02J3/14 160
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J7/35 K
(21)【出願番号】P 2022018117
(22)【出願日】2022-02-08
(62)【分割の表示】P 2017253536の分割
【原出願日】2017-12-28
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】阪口 敬司
(72)【発明者】
【氏名】井藤 好克
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋平
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-005851(JP,A)
【文献】特開2013-099140(JP,A)
【文献】特開2014-078127(JP,A)
【文献】国際公開第2017/090180(WO,A1)
【文献】特開2016-044848(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145369(WO,A1)
【文献】特開2013-148287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 3/14
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 7/35
F24H 15/212
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実行される給湯方法であって、
需要家が備える太陽光発電設備の発電電力から前記需要家の消費電力を差し引いた余剰電力の、将来における時間推移を予測する予測ステップと、
(i)前記余剰電力が発生すると予測された対象期間において、前記需要家が備える給湯設備の沸き上げ動作に必要な消費電力量を、予測された前記余剰電力によってまかなえない場合には、前記対象期間に含まれる第一期間、及び、前記対象期間よりも電気料金が安い第二期間に、前記給湯設備の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成し、(ii)前記対象期間において、前記給湯設備の沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された前記余剰電力によってまかなえる場合には、前記第一期間に前記給湯設備の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成する計画ステップと、
作成された前記スケジュールに基づいて、前記給湯設備に沸き上げ動作を実行させる実行ステップとを含み、
前記(i)の場合においては、前記第二期間は、前記第一期間とは非連続の夜間に相当する期間
であって前記対象期間の当日の前記対象期間よりも前の期間であり、前記第二期間のうちに系統
から購入した電力を用いて全給湯量の一部を沸き上げる前記スケジュールを作成する
給湯方法。
【請求項2】
前記予測ステップにおいては、前記発電電力として、任意の日時の天気予報情報に対応づけて記録された発電電力情報を採用して予測を行う
請求項1に記載の給湯方法。
【請求項3】
前記需要家の前記消費電力は、消費電力の平均値情報とカレンダー情報とを対応づけた履歴情報を参照して推定される
請求項1に記載の給湯方法。
【請求項4】
前記カレンダー情報における日付は、休日であるか平日であるかが区別されている
請求項3に記載の給湯方法。
【請求項5】
前記需要家は、さらに、蓄電システムを備え、
前記給湯方法は、さらに、前記沸き上げ動作の実行中に、系統電源から前記需要家への電力の順潮流が発生した場合に、前記蓄電システムが放電を行うことによって前記蓄電システムの蓄電電力を前記給湯設備に供給するアシストステップを含む
請求項1~4のいずれか1項に記載の給湯方法。
【請求項6】
さらに、前記対象期間よりも電気料金が安い期間に前記蓄電システムを前記系統電源からの電力で充電する充電ステップを含む
請求項5に記載の給湯方法。
【請求項7】
さらに、前記余剰電力を用いて前記蓄電システムを充電する充電ステップを含む
請求項5に記載の給湯方法。
【請求項8】
さらに、前記給湯設備の沸き上げ動作に必要な消費電力量を前記給湯設備が通知する通知ステップを含み、
前記計画ステップにおいては、通知された消費電力量に基づいて、前記給湯設備の沸き上げ動作に必要な消費電力量を、予測された前記余剰電力によってまかなえるか否かを判断する
請求項1~7のいずれか1項に記載の給湯方法。
【請求項9】
需要家が備える太陽光発電設備の発電電力から前記需要家の消費電力を差し引いた余剰電力の、将来における時間推移を予測する予測部と、
(i)前記余剰電力が発生すると予測された対象期間において、前記需要家が備える給湯設備の沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された前記余剰電力によってまかなえない場合には、前記対象期間に含まれる第一期間、及び、前記対象期間よりも電気料金が安い第二期間に、前記給湯設備の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成し、(ii)前記対象期間において、前記給湯設備の沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された前記余剰電力によってまかなえる場合には、前記第一期間に前記給湯設備の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成する計画部と、
作成された前記スケジュールに基づいて、前記給湯設備に沸き上げ動作を実行させる実行部とを備え、
前記(i)の場合においては、前記第二期間は、前記第一期間とは非連続の夜間に相当する期間
であって前記対象期間の当日の前記対象期間よりも前の期間であり、前記計画部は、前記第二期間のうちに系統から購入した電力を用いて全給湯量の一部を沸き上げる前記スケジュールを作成する
制御装置。
【請求項10】
コンピュータによって実行される給湯方法であって、
需要家が備える太陽光発電設備の発電電力から前記需要家の消費電力を差し引いた余剰電力の、将来における時間推移を予測する予測ステップと、
(i)前記余剰電力が発生すると予測された対象期間において、前記需要家が備える給湯設備の沸き上げ動作に必要な消費電力量を、予測された前記余剰電力によってまかなえない場合には、前記対象期間に含まれる第一期間、及び、前記対象期間よりも電気料金が安い第二期間に、前記給湯設備の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成し、(ii)前記対象期間において、前記給湯設備の沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された前記余剰電力によってまかなえる場合には、前記第一期間に前記給湯設備の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成する計画ステップと、
作成された前記スケジュールに基づいて、前記給湯設備に沸き上げ動作を実行させる実行ステップとを含み、
前記(i)の場合においては、前記第二期間は、前記第一期間とは非連続の夜間に相当する期間
であって前記対象期間の当日前記対象期間よりも前の期間であり、前記第二期間のうちに系統
から購入した電力を用いて全給湯量の一部を沸き上げる前記スケジュールを作成
し、
前記需要家は、さらに、蓄電システムを備え、
前記給湯方法は、さらに、前記沸き上げ動作の実行中に、系統電源から前記需要家への電力の順潮流が発生した場合に、前記蓄電システムが放電を行うことによって前記蓄電システムの蓄電電力を前記給湯設備に供給するアシストステップを含む
給湯方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯設備の沸き上げ動作のスケジュールを作成する給湯方法、及び、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ式の給湯器が知られている。一般に、ヒートポンプ式の給湯器は、夜間などの電気料金が安い時間帯に湯を沸き上げ、貯湯タンクに蓄える。特許文献1には、太陽光発電システムの発電電力を、蓄電装置及びヒートポンプ等の熱源装置に配分する需給制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、需要家における電力関連のコストのさらなる削減については検討の余地がある。例えば、電力の売電価格が下がると、太陽光発電設備の発電により日中に生じる余剰電力を売電ではなく給湯設備の沸き上げ動作に使用することで需要家における電力関連のコストを削減できる場合がある。
【0005】
本発明は、経済的な沸き上げ動作のスケジュールを作成することができる給湯方法、及び、制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る給湯方法は、需要家が備える太陽光発電設備の発電電力から前記需要家の消費電力を差し引いた余剰電力の、将来における時間推移を予測する予測ステップと、(i)前記余剰電力が発生すると予測された対象期間において、前記需要家が備える給湯設備の沸き上げ動作に必要な消費電力量を、予測された前記余剰電力によってまかなえない場合には、前記対象期間に含まれる第一期間、及び、前記対象期間よりも電気料金が安い第二期間に、前記給湯設備の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成し、(ii)前記対象期間において、前記給湯設備の沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された前記余剰電力によってまかなえる場合には、前記第一期間に前記給湯設備の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成する計画ステップと、作成された前記スケジュールに基づいて、前記給湯設備に沸き上げ動作を実行させる実行ステップとを含む。
【0007】
本発明の一態様に係る制御装置は、需要家が備える太陽光発電設備の発電電力から前記需要家の消費電力を差し引いた余剰電力の、将来における時間推移を予測する予測部と、(i)前記余剰電力が発生すると予測された対象期間において、前記需要家が備える給湯設備の沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された前記余剰電力によってまかなえない場合には、前記対象期間に含まれる第一期間、及び、前記対象期間よりも電気料金が安い第二期間に、前記給湯設備の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成し、(ii)前記対象期間において、前記給湯設備の沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された前記余剰電力によってまかなえる場合には、前記第一期間に前記給湯設備の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成する計画部と、作成された前記スケジュールに基づいて、前記給湯設備に沸き上げ動作を実行させる実行部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、経済的な沸き上げ動作のスケジュールを作成することができる給湯方法、及び、制御装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る給湯システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る給湯システムの動作のシーケンス図である。
【
図3】
図3は、沸き上げ動作のスケジュール作成処理のフローチャートである。
【
図4】
図4は、沸き上げ動作に必要な消費電力量を余剰電力でまかなえるか否かの判断を説明するための第一の概念図である。
【
図5】
図5は、沸き上げ動作に必要な消費電力量を余剰電力でまかなえるか否かの判断を説明するための第二の概念図である。
【
図6】
図6は、沸き上げ動作の実行中に発電電力が不足する場合のパワーコンディショナの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[給湯システムの構成]
まず、実施の形態に係る給湯システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る給湯システムの機能構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示されるように、給湯システム100は、太陽光発電設備10と、パワーコンディショナ20と、検出装置25と、蓄電システム30と、分電盤40と、制御装置50と、給湯設備60と、ルータ70と、天気予報情報配信サーバ80とを備える。また、
図1においては、系統電源120及びインターネット130も図示されている。給湯システム100が備える各構成要素は、天気予報情報配信サーバ80を除いて、施設110に設けられる。施設110は、需要家の一例である。
【0014】
太陽光発電設備10は、施設110の屋根などに設置され、太陽光を電力に変換することにより発電する。太陽光発電設備10は、具体的には、PV(PhotoVoltaic)パネルを含む太陽電池モジュールによって実現される。
【0015】
パワーコンディショナ20は、太陽光発電設備10によって発電された電力、及び、蓄電システム30の放電によって得られる電力を施設110内で使用するための電力変換装置である。また、パワーコンディショナ20は、太陽光発電設備10によって発電された電力を蓄電システム30に供給することもできる。つまり、蓄電システム30は、太陽光発電設備10によって発電された電力により充電される。パワーコンディショナ20は、具体的には、インバータ回路などによって実現される。
【0016】
また、パワーコンディショナ20は、検出装置25によって順潮流が検出されると、蓄電システム30に放電を行わせることにより、蓄電システム30の蓄電電力を施設110内の機器(例えば、給湯設備60)に供給することもできる。順潮流とは、具体的には、系統電源120と分電盤40とを接続する幹線41に系統電源120から分電盤40に向かって流れる電流である。検出装置25は、具体的には、CT(Current Transformer)であるが、ロゴスキー回路またはGMR(Giant Magnetic Resistance)素子などであってもよい。
【0017】
蓄電システム30は、施設110における電源として機能する装置である。蓄電システム30は、リチウムイオン電池などの二次電池、二次電池を充電する充電回路、及び、二次電池を放電する放電回路などによって実現される。
【0018】
分電盤40は、系統電源120から供給される電力を分配する装置である。分電盤40は、具体的には、幹線41から分岐した複数の分岐回路に電力を分配する。分岐回路には、施設110内に設置された電気機器(例えば、給湯設備60)が接続される。
【0019】
分電盤40は、分岐回路ごとに電力計測素子を有する。電力計測素子は、具体的には、CTであるが、ロゴスキー回路またはGMR素子などであってもよい。分岐回路ごとに電力計測素子が設けられることにより、分電盤40は、分岐回路ごとに消費電力を計測することができる。
【0020】
また、分電盤40は、無線通信を行うための無線通信モジュールを有し、ルータを介して制御装置と無線通信が可能である。無線通信モジュールは、言い換えれば、無線通信回路である。これにより、分電盤40は、電力計測素子によって計測した分岐回路ごとの消費電力を制御装置に送信することができる。分岐回路ごとの消費電力は、制御装置50が備える記憶部52に消費電力の履歴情報として蓄積される。
【0021】
なお、分電盤40が電力計測機能及び通信機能を有することは必須ではない。例えば、給湯システム100は、分電盤40とは別に、スマートメータ(つまり、通信機能を備える電力メータ)を備えてもよい。
【0022】
制御装置50は、施設110における消費電力(より具体的には、消費電力及び消費電力量)を管理する装置であり、言い換えれば、電力管理装置である。制御装置50は、具体的には、通信部51と、記憶部52と、制御部53とを備える。また、図示されないが、制御装置50は、ユーザの操作を受け付けるユーザインターフェース、及び、ユーザが施設110における消費電力及び消費電力量を確認するための画像が表示される表示部などを備えてもよい。
【0023】
通信部51は、制御装置50が分電盤40及び給湯設備60と通信を行うための無線通信モジュールである。無線通信モジュールは、言い換えれば、無線通信回路である。通信部51は、例えば、分電盤40によって計測された施設110における消費電力を分電盤40から取得する。消費電力は、例えば、分岐回路ごとの消費電力を区別(認識)可能な態様で取得される。消費電力は、リアルタイムで取得されてもよいし、定期的にまとめて取得されてもよい。
【0024】
記憶部52には、通信部51が取得した消費電力が、当該消費電力が計測された日時(タイムスタンプ)と対応付けられて消費電力の履歴情報として記憶される。消費電力の記憶は、例えば、制御部53によって行われる。消費電力に対応付けられる日時は、分電盤40によって付与されていてもよいし、制御装置50の制御部53によって付与されてもよい。
【0025】
記憶部52には、その他に、制御部53が実行する制御プログラムなどが記憶される。記憶部52は、具体的には、半導体メモリなどの記憶装置である。記憶部52は、制御装置50とは別体であってもよい。
【0026】
制御部53は、通信部51によって取得された記憶部52への消費電力の記憶など、制御装置50における各種情報処理を行う。制御部53は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ、または、専用回路によって実現される。制御部53は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、及び、専用回路の2つ以上の組み合わせによって実現されてもよい。
【0027】
また、制御部53は、予測部54と、計画部55と、実行部56とを備える。これらの構成要素は、沸き上げ動作のスケジュール作成処理、及び、沸き上げ動作の実行処理を行う。沸き上げ動作のスケジュール作成処理、及び、沸き上げ動作の実行処理については後述される。
【0028】
給湯設備60は、施設110において湯を供給するための設備である。給湯設備60は、具体的には、ヒートポンプ61と、貯湯タンク62と、給湯制御装置63とを備える。
【0029】
ヒートポンプ61は、冷媒を用いて大気の熱を吸熱し、電力によって冷媒を圧縮することで生成される熱を、熱交換器を介して水に与える。貯湯タンク62は、ヒートポンプ61によって加熱された水(すなわち、湯)を蓄えるタンクである。
【0030】
給湯制御装置63は、ヒートポンプ61を制御することにより、ヒートポンプ61を用いた沸き上げ動作を行う。給湯制御装置63は、ヒートポンプ61を制御するための制御信号を出力する給湯制御部、及び、制御装置50と通信を行うための無線通信モジュールなどを備える。また、給湯制御装置63は、ユーザの操作を受け付けるユーザインターフェース、及び、給湯設備60の動作状態を示す画像が表示される表示部などを備えてもよい。
【0031】
なお、給湯設備60は、分電盤40から供給される電力を用いて給湯動作を行うこともできるし、パワーコンディショナ20から供給される電力を用いて沸き上げ動作を行うこともできる。分電盤40から供給される電力は、言い換えれば、系統電源120から供給される電力である。パワーコンディショナ20から供給される電力は、具体的には、太陽光発電設備10によって発電された電力、または、蓄電システム30の蓄電電力である。
【0032】
ルータ70は、分電盤40、制御装置50、及び、給湯設備60が相互に無線通信を行うための通信中継装置である。また、分電盤40、制御装置50、及び、給湯設備60のそれぞれは、ルータ70を介してインターネット130に接続することもできる。インターネット130は、通信ネットワークの一例である。
【0033】
天気予報情報配信サーバ80は、制御装置50に天気予報情報を配信する情報処理装置である。天気予報情報配信サーバ80は、例えば、3時間おきに24時間先までの天気予報情報を配信する。つまり、天気予報情報配信サーバ80は、定期的に天気予報情報を配信し、制御装置50の通信部51は、インターネット130及びルータ70を介して定期的に天気予報情報を受信する。後述のように、天気予報情報は、太陽光発電設備の発電電力の予測に用いられる。
【0034】
なお、複数のサーバによって天気予報情報配信サーバ80と同等の機能が実現されてもよい。例えば、天気予報情報の専用配信サーバ、及び、制御装置50の管理サーバによって天気予報情報配信サーバ80と同等の機能が実現されてもよい。この場合、管理サーバは、専用配信サーバから天気予報情報を取得し、取得した天気予報情報を制御装置50に配信する。
【0035】
[給湯システムの動作]
給湯システム100は、夜間に翌日の昼間の余剰電力の時間推移を予測し、給湯設備60が余剰電力を用いた沸き上げ動作のスケジュールを作成する。余剰電力とは、太陽光発電設備10の発電電力から施設110の消費電力を差し引いた電力を意味する。施設110の消費電力は、より正確には、施設110全体の消費電力から給湯設備60の消費電力を除いた消費電力を意味する。
【0036】
売電価格(つまり、電力会社に電力を売却する際の価格)が下がると、太陽光発電設備10の発電によって得られる余剰電力を電力会社に売却するのではなく、施設110内で使用するほうが経済的な場合がある。例えば、昼間における買電価格(つまり、電力会社から電力を購入する際の価格)が売電価格よりも高い場合には、余剰電力を可能な限り施設110内で消費するほうが経済的である。
【0037】
ここで、一般的には、給湯設備60の沸き上げ動作は夜間に深夜電力を用いて行われる。つまり、給湯設備60の沸き上げ動作は、電力会社から購入した電力を用いて行われる。これに対し、給湯システム100では、必要な湯量の一部を、昼間に余剰電力を用いた沸き上げ動作を行うことによって供給する。
【0038】
以下、上記のようなスケジュールの作成処理を含む給湯システム100の動作について説明する。
図2は、給湯システム100の動作のシーケンス図である。
【0039】
まず、天気予報情報配信サーバ80は、天気予報情報を配信する(S11)。上述のように、天気予報情報配信サーバ80は、例えば、定期的に天気予報情報を配信する。制御装置50の通信部51は、インターネット130及びルータ70を介して天気予報情報を取得する(S12)。取得された天気予報情報は、例えば、記憶部52に記憶される。
【0040】
次に、給湯設備60は、沸き上げ動作に必要な消費電力量を通知する(S13)。ステップS13は、通知ステップの一例である。給湯設備60は、具体的には、施設110全体で必要な1日当たりの湯量を過去の使用湯量に基づいて予め学習する。給湯設備60は、1日当たりに必要な湯量のうち昼間に生成されても供給不足(言い換えれば、湯切れ)が生じないと推定される湯量を特定する。そして、給湯設備60は、特定した湯量を得るための沸き上げ動作に必要な消費電力量を制御装置50に通知する。なお、ステップS13においては、沸き上げ動作に必要な消費電力量の通知に加えて、沸き上げ動作の開始時刻が指定されてもよい。
【0041】
制御装置50の通信部51は、ルータ70を介して沸き上げ動作に必要な消費電力を取得する(S14)。取得された消費電力量は、例えば、記憶部52に記憶される。
【0042】
次に、制御装置50の制御部53は、沸き上げ動作のスケジュール作成処理を行う(S15)。沸き上げ動作のスケジュール作成処理の詳細については後述する。
【0043】
沸き上げ動作のスケジュールが作成されると、制御部53が有する実行部56は、作成されたスケジュールに基づいて、給湯設備60に沸き上げ動作を実行させる。実行部56は、具体的には、スケジュールに応じた沸き上げ動作の指令を通信部51に送信させる(S16)。給湯設備60の給湯制御装置63は、送信された沸き上げ動作の指令を受信し(S17)、当該指令において指定される時刻になると沸き上げ動作を実行する(S18)。ステップS16は、実行ステップの一例である。
【0044】
[沸き上げ動作のスケジュール作成処理]
次に、沸き上げ動作のスケジュール作成処理の詳細について説明する。
図3は、沸き上げ動作のスケジュール作成処理のフローチャートである。
【0045】
沸き上げ動作のスケジュールの作成処理は、例えば、夜間に行われる。まず、制御装置50の制御部53が有する予測部54は、施設110が備える太陽光発電設備10の次の日の発電電力を予測する(S21)。予測部54は、例えば、
図3のステップS12において取得された天気予報情報に基づいて時間帯における発電電力を予測する。
【0046】
なお、発電電力の予測には、発電電力の履歴情報が用いられてもよい。この場合、通信部51は、例えば、発電電力を示す発電電力情報をパワーコンディショナ20から定期的に取得する。発電電力情報は、発電が行われた日時を示す情報を含む。制御部53は、取得した発電電力情報を、対応する日時の天気予報情報に対応付けて発電電力の履歴情報として記憶しておく。この場合、パワーコンディショナ20は、例えば、無線通信モジュールを備え、ルータ70を介して発電電力情報を通信部51に送信する。
【0047】
これにより、予測部54は、発電電力の履歴情報、及び、上記ステップS12において取得された天気予報情報に基づいて、次の日のある時間帯の発電電力を予測することができる。予測部54は、例えば、次の日のある時間帯の発電電力の予測値として、過去の同じ時間帯であって天気が同一の時間帯における発電電力の平均値を採用することができる。
【0048】
次に、予測部54は、施設110における次の日の消費電力を予測する(S22)。上述のように、記憶部52には、施設110における消費電力の履歴情報が記憶されている。予測部54は、記憶部52から消費電力の履歴情報を読み出し、読み出した履歴情報に基づいて次の日の消費電力を予測する。予測部54は、例えば、次の日のある時間帯の施設110における消費電力の予測値として、過去の同じ時間帯の消費電力の平均値を採用することができる。
【0049】
施設110における消費電力は、平日(月曜日~金曜日)と、休日(土曜日及び日曜日)とで傾向が大きく異なる。そこで、予測の対象が平日であるならば、履歴情報における平日の消費電力の平均値が用いられ、予測の対象が休日であるならば、履歴情報における休日の消費電力の平均値が用いられるとよい。
【0050】
なお、ステップS22で予測される消費電力は、より正確には、施設110の全体の消費電力から消費電力から給湯設備60の消費電力を除いた消費電力である。したがって、予測部54は、履歴情報を参照することにより、施設110全体の消費電力から給湯設備60の消費電力を除いた消費電力の履歴を特定することで消費電力の予測を行う。この場合、給湯設備60が単独の分岐回路に接続されれば、予測部54は、施設110全体の消費電力から当該分岐回路の消費電力を除いた消費電力を、施設110全体の消費電力から給湯設備60の消費電力を除いた消費電力として特定することができる。施設110全体の消費電力とは、幹線41を介して供給される電力を意味する。
【0051】
次に、予測部54は、余剰電力の時間推移を予測する(S23)。ステップS23は、予測ステップの一例である。予測部54は、具体的には、ステップS21で予測された発電電力からステップS22で予測された消費電力を減算することにより、余剰電力の時間推移を予測することができる。
【0052】
次に、計画部55は、
図3のステップS13において給湯設備60から通知された消費電力量(すなわち、
図3のステップS14において取得された消費電力量)に基づいて、給湯設備60の沸き上げ動作に必要な消費電力量を、予測された余剰電力によってまかなえるか否かを判断する(S24)。
図4は、ステップS24における判断を説明するための第一の概念図である。
図4において、縦軸は電力を示し、横軸は時刻を示す。
図4の(1)は、発電電力の予測であり、
図4の(2)は、消費電力の予測である。
【0053】
図4においては、対象期間Tにおいて余剰電力が発生すると予測され、斜線ハッチングが施された領域Aが余剰電力(あるいは余剰電力量)に相当する。つまり、領域Aは、余剰電力の時間推移を示す。ここで、例えば、給湯設備60から通知された消費電力量が領域B1で示されるとする。領域B1は、具体的には、沸き上げ動作には、消費電力P1が期間t1の間必要となることを意味する。
【0054】
計画部55は、領域A内に領域B1が収まるか否かを判断する。つまり、計画部55は、沸き上げ動作に必要な消費電力量を、予測された余剰電力によってまかなえるか否かを判断する。
図4の破線のカーブに示されるように、領域B1を領域Aに当てはめると、余剰電力が消費電力P1以上となる第一期間T1が期間t1よりも短いため、領域B1のうち楕円で囲まれた領域Cの一部が領域Aからはみ出てしまう。つまり、領域B1は、領域Aに収まらない。具体的には、したがって、計画部55は、沸き上げ動作に必要な消費電力量を、予測された余剰電力によってまかなえないと判断する(S24でNo)。
【0055】
この場合、第一期間T1にのみ沸き上げ動作が計画されると、領域Cの消費電力量に相当する湯量が不足することになる。そこで、計画部55は、不足する湯量を補うべく、対象期間T以外の期間における沸き上げ動作を計画する。このとき、計画部55は、電力料金を考慮して、対象期間Tが属する昼間の時間帯よりも電力料金が安い夜間に属する第二期間T2における沸き上げ動作を計画する。つまり、計画部55は、対象期間Tに含まれる第一期間T1に加えて、対象期間Tよりも電気料金が安い第二期間T2に、給湯設備60の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成する(S25)。ステップS25は、計画ステップの一例である。第二期間T2の長さは、T1-t1となる。
【0056】
なお、第二期間T2は、例えば、対象期間Tよりも前の期間である。これにより、第二期間T2が対象期間Tの後の期間である場合よりも、湯切れが生じる危険性を低減することができる。
【0057】
このように、計画部55は、余剰電力が発生すると予測された対象期間Tにおいて、施設110が備える給湯設備60の沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された余剰電力によってまかなえない場合には、第一期間T1、及び、第二期間T2に、給湯設備60の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成する。
【0058】
一方、ステップS24では、対象期間Tにおいて施設110が備える給湯設備60の沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された余剰電力によってまかなえると判断される場合もある。
図5は、ステップS24における判断を説明するための第二の概念図である。
【0059】
図5においては、給湯設備60から通知された消費電力量が領域B2で示される。領域B2は、具体的には、沸き上げ動作には、消費電力P1が期間t2の間必要となることを意味する。
【0060】
計画部55は、領域A内に領域B2が収まるか否かを判断する。つまり、計画部55は、沸き上げ動作に必要な消費電力量を、予測された余剰電力によってまかなえるか否かを判断する。
図5の破線のカーブに示されるように、領域B2を領域Aに当てはめると、領域B2は、領域Aに収まる。つまり、余剰電力が消費電力P1以上となる第一期間T1は、期間t2よりも短い。したがって、計画部55は、沸き上げ動作に必要な消費電力量を、予測された余剰電力によってまかなえると判断する(S24でYes)。
【0061】
この場合、計画部55は、対象期間Tに含まれる第一期間T1にのみ、給湯設備60の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成する(S26)。ステップS26は、計画ステップの一例である。
【0062】
このように、計画部55は、余剰電力が発生すると予測された対象期間Tにおいて、施設110が備える給湯設備60の沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された余剰電力によってまかなえる場合には、第一期間T1に、給湯設備60の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成する。
【0063】
以上説明した沸き上げ動作のスケジュール作成処理によれば、制御装置50は、余剰電力の時間推移を予測することにより、余剰電力を用いた沸き上げ動作のスケジュールを作成することができる。また、制御装置50は、余剰電力が十分に得られないと予測される場合には、余剰電力が得られる期間に加えて、比較的電気料金が安い期間に沸き上げ動作を行うスケジュールを作成することができる。つまり、このような制御装置50は、経済的な沸き上げ動作のスケジュールを作成することができる。
【0064】
なお、上述のステップS13においては、沸き上げ動作に必要な消費電力量の通知に加えて、沸き上げ動作の開始時刻が指定されてもよい。つまり、沸き上げ動作の開始時刻が給湯設備60によって指定されてもよい。この場合、ステップS24では、対象期間Tのうち指定された開始時刻以降の期間において、沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された余剰電力によってまかなえるか否かが判断される。
【0065】
[発電電力が不足した場合の動作]
ところで、第一期間T1において実際に給湯設備60による沸き上げ動作が実行されているときに、天候の悪化により発電電力が不足する(つまり、余剰電力が不足する)場合が考えられる。以下、このような場合のパワーコンディショナ20の動作について説明する。
図6は、沸き上げ動作の実行中に発電電力が不足する場合のパワーコンディショナ20の動作のフローチャートである。
【0066】
パワーコンディショナ20は、あらかじめ蓄電システム30を充電しておく(S31)。ステップS31は、充電ステップの一例である。パワーコンディショナ20は、例えば、夜間に系統電源120から供給される電力によって蓄電システム30を充電する。言い換えれば、パワーコンディショナ20は、対象期間Tよりも電気料金が安い期間に蓄電システム30を系統電源120からの電力で充電する。これにより、昼間に系統電源120から供給される電力によって蓄電システム30を充電する場合よりも電気代を抑制することができる。
【0067】
また、パワーコンディショナ20は、昼間に余剰電力を用いて蓄電システム30を充電してもよい。これにより、系統電源120から供給される電力によって蓄電システム30を充電する場合よりも電気代を抑制することができる。
【0068】
例えば、ステップS31の後には、給湯設備60によって沸き上げ動作が行われる。沸き上げ動作中に発電電力が不足すると、給湯設備60は、発電電力の不足分を系統電源120から得ようとする。そうすると、検出装置25によって幹線41における順潮流が検出される。
【0069】
そこで、給湯設備60の沸き上げ動作中に、パワーコンディショナ20は、検出装置25によって幹線41における順潮流が検出されたか否かを判断する(S32)。このような判断は、検出装置25によって順潮流が検出されるまで継続される(S32でNo)。
【0070】
パワーコンディショナ20は、順潮流が検出されたと判断すると(S32でYes)、蓄電システム30に放電を行わせることにより、蓄電システム30の蓄電電力を給湯設備60に供給する(S33)。ステップS33は、アシストステップの一例である。これにより、沸き上げ動作において系統電源120からの電力を使用することが抑制される。蓄電システム30を充電するための電気代が系統電源120からの電力を使用するための電気代よりも低ければ、沸き上げ動作にかかる電気代を抑制することができる。
【0071】
なお、パワーコンディショナ20は、
図6の動作を制御装置50からの指示を受けることなく行うが、制御装置50からの指示に基づいて行ってもよい。
【0072】
[効果等]
以上説明したように、制御装置50などのコンピュータが実行する給湯方法は、施設110が備える太陽光発電設備10の発電電力から施設110の消費電力を差し引いた余剰電力の、将来における時間推移を予測する予測ステップと、(i)余剰電力が発生すると予測された対象期間Tにおいて、施設110が備える給湯設備60の沸き上げ動作に必要な消費電力量を、予測された余剰電力によってまかなえない場合には、対象期間Tに含まれる第一期間T1、及び、対象期間Tよりも電気料金が安い第二期間T2に、給湯設備60の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成し、(ii)対象期間Tにおいて、給湯設備60の沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された余剰電力によってまかなえる場合には、第一期間T1に給湯設備60の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成する計画ステップと、作成されたスケジュールに基づいて、給湯設備60に沸き上げ動作を実行させる実行ステップとを含む。施設110は、需要家の一例である。予測ステップは、上記実施の形態のステップS23に相当し、計画ステップは、上記実施の形態のステップS25及びステップS26に相当し、実行ステップは、上記実施の形態のステップS16に相当する。
【0073】
このような給湯方法は、余剰電力の時間推移を予測することにより、余剰電力を用いた沸き上げ動作のスケジュールを作成することができる。また、給湯方法は、余剰電力が十分に得られないと予測される場合には、余剰電力が得られる期間に加えて、比較的電気料金が安い期間に沸き上げ動作を行うスケジュールを作成することができる。つまり、このような給湯方法は、経済的な沸き上げ動作のスケジュールを作成することができる。
【0074】
また、例えば、施設110は、さらに、蓄電システム30を備える。給湯方法は、さらに、沸き上げ動作の実行中に、系統電源120から施設110への電力の順潮流が発生した場合に、蓄電システム30が放電を行うことによって蓄電システム30の蓄電電力を給湯設備60に供給するアシストステップを含む。アシストステップは、上記実施の形態のステップS33に相当する。
【0075】
これにより、沸き上げ動作において系統電源120からの電力を使用することが抑制される。また、蓄電システム30を充電するための電気代が系統電源120からの電力を使用するための電気代よりも低ければ、沸き上げ動作にかかる電気代を抑制することができる。
【0076】
また、例えば、給湯方法は、さらに、対象期間Tよりも電気料金が安い期間に蓄電システム30を系統電源120からの電力で充電する充電ステップを含む。充電ステップは、上記実施の形態のステップS31に相当する。
【0077】
これにより、対象期間Tに系統電源120から供給される電力によって蓄電システム30を充電する場合よりも電気代を抑制することができる。
【0078】
また、例えば、給湯方法は、さらに、余剰電力を用いて蓄電システム30を充電する充電ステップを含む。充電ステップは、上記実施の形態のステップS31に相当する。
【0079】
これにより、系統電源120から供給される電力によって蓄電システム30を充電する場合よりも電気代を抑制することができる。
【0080】
また、例えば、給湯方法は、さらに、給湯設備60の沸き上げ動作に必要な消費電力量を給湯設備60が通知する通知ステップを含む。通知ステップは、例えば、上記実施の形態のステップS13に相当する。計画ステップにおいては、通知された消費電力量に基づいて、給湯設備60の沸き上げ動作に必要な消費電力量を、予測された余剰電力によってまかなえるか否かを判断する。
【0081】
これにより、給湯設備60は、例えば、1日当たりに必要な湯量のうち昼間に生成されても湯切れが生じないと推定される湯量に対応する消費電力量を指定することができる。
【0082】
また、例えば、第二期間T2は、対象期間Tよりも前の期間である。
【0083】
これにより、第二期間T2が対象期間Tの後の期間である場合よりも、湯切れが生じる危険性を低減することができる。
【0084】
また、制御装置50は、施設110が備える太陽光発電設備10の発電電力から施設110の消費電力を差し引いた余剰電力の、将来における時間推移を予測する予測部54と、(i)余剰電力が発生すると予測された対象期間Tにおいて、施設110が備える給湯設備60の沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された余剰電力によってまかなえない場合には、対象期間Tに含まれる第一期間T1、及び、対象期間Tよりも電気料金が安い第二期間T2に、給湯設備60の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成し、(ii)対象期間Tにおいて、給湯設備60の沸き上げ動作に必要な消費電力量を予測された余剰電力によってまかなえる場合には、第一期間T1に給湯設備60の沸き上げ動作を実行するスケジュールを作成する計画部55と、作成されたスケジュールに基づいて、給湯設備60に沸き上げ動作を実行させる実行部56とを備える。
【0085】
このような制御装置50は、余剰電力の時間推移を予測することにより、余剰電力を用いた沸き上げ動作のスケジュールを作成することができる。また、制御装置50は、余剰電力が十分に得られないと予測される場合には、余剰電力が得られる期間に加えて、比較的電気料金が安い期間に沸き上げ動作を行うスケジュールを作成することができる。つまり、このような制御装置50は、経済的な沸き上げ動作のスケジュールを作成することができる。
【0086】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0087】
例えば、上記実施の形態では、給湯設備は、ヒートポンプ式であったが、ヒータ式であってもよい。
【0088】
また、上記実施の形態で説明した装置間の通信方法は、一例である。施設に配置された装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間では、例えば、特定小電力無線、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または、Wi-Fi(登録商標)などの通信規格を用いた無線通信が行われる。
【0089】
また、施設に配置された装置間においては、無線通信に代えて、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)または有線LANを用いた通信など、有線通信が行われてもよい。
【0090】
また、例えば、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、給湯システムは、クライアントサーバシステムとして実現されてもよい。例えば、給湯システムは、上記実施の形態の制御装置の機能を有するサーバ装置と、給湯設備に相当するクライアント装置とによって実現されてもよい。
【0091】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素は、当該構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0092】
また、制御部などの構成要素は、回路または集積回路によって実現されてもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0093】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、上記実施の形態に係る給湯システムとして実現されてもよいし、給湯方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態において説明された給湯システムの動作における複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理は、並行して実行されてもよい。
【0095】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
10 太陽光発電設備
30 蓄電システム
50 制御装置
54 予測部
55 計画部
56 実行部
60 給湯設備
120 系統電源