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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/66 20230101AFI20230526BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230526BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20230526BHJP
【FI】
H04N23/66
H02J7/00 X
H04N23/63
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019052627
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020155932
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 剛志
(72)【発明者】
【氏名】小川 和洋
【審査官】大濱 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-112736(JP,A)
【文献】特開2001-190034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/66
H02J 7/00
H04N 23/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能なレンズユニットを装着可能なカメラ本体と、
前記レンズユニットが前記カメラ本体に装着されたとき、前記レンズユニットの消費電流又は電圧を特定することが可能なレンズ情報を取得する通信部と、
前記レンズ情報に基づき前記消費電流又は電圧の値を示す消費電力情報を取得する制御部と、
前記カメラ本体に、充電可能な電池を接続する電池接続部と、
前記制御部により制御され、電池残量のレベルに応じて表示する表示部と、
を備えた撮像装置であって
前記制御部は、
前記消費電力情報に応じて前記撮像装置の動作を停止させる下限電圧であるアンダーカット電圧を計算し、
前記アンダーカット電圧に応じて前記電池残量のレベルを変更し、
前記表示部において、前記電池残量のレベルに応じて前記電池残量を示す情報を表示させる、
ことを特徴とする、撮像装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記電池残量のレベルに応じたバー、パーセント、残量電圧、及び残量時間のうち少なくとも一つにより表示することを特徴とする、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記電池残量のレベルは、閾値を含み、
前記表示部は、前記閾値に基づき、前記電池残量のレベルの表示を変更することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記レンズ情報は、前記レンズユニットの消費電流又は電圧、及び前記レンズユニットの識別情報の少なくとも一方を含むことを特徴とする、
請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記消費電力情報に応じて前記撮像装置の動作を停止させる下限電圧であるアンダーカット電圧を計算し、
前記アンダーカット電圧を用いて前記電池残量のレベルの切り替えに用いられる閾値を決定し、
前記閾値に応じて、前記電池残量のレベルを変更することを特徴とする、
請求項1から4のいずれかにに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記アンダーカット電圧の値は、前記消費電流又は電圧の値の1次関数に近似することを特徴とする、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記レンズユニットが取り外されたとき、前記アンダーカット電圧を他の所定のアンダーカット電圧に変更することを特徴とする、
請求項5又は6に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交換可能なレンズユニットを装着可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池残量を表示する機能を有する撮像装置が知られている。特許文献1には、撮像装置の処理内容を監視し、同処理内容に応じてバッテリレベルを示す電圧値を変更して、電池残量を表示する撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-114133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交換可能なレンズユニットを装着する撮像装置において、負荷がそれぞれ異なるレンズユニットへの安定した電力供給は必要である。しかし、レンズユニットの機種やメーカによって必要消費電力は異なる。このため、撮像装置が予め処理内容の消費電力を把握する必要のある特許文献1の方法では、装着されたレンズユニットへの安定した電力供給は実現できない。
【0005】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、交換可能なレンズユニットが装着されたときに安定した電力供給を行うのに有効な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示に係る撮像装置は、交換可能なレンズユニットを装着可能なカメラ本体と、通信部と、制御部と、電池接続部と、表示部とを備える。通信部は、レンズユニットがカメラ本体に装着されたとき、レンズユニットの消費電流又は電圧を特定することが可能なレンズ情報を取得する。制御部は、レンズ情報に基づき消費電流又は電圧の値を示す消費電力情報を取得する。電池接続部は、カメラ本体に、充電可能な電池を接続する。表示部は、制御部により制御され、電池残量のレベルに応じて表示する。制御部は、消費電力情報に応じて電池残量のレベルを変更し、表示部において、電池残量のレベルに応じて電池残量を示す情報を表示させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の撮像装置によれば、交換可能なレンズユニットが装着されたときに安定した電力供給を行うのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態におけるアンダーカット電圧を設定するための数値例を示す表である。
図2図2は、実施の形態におけるアンダーカット電圧とレンズ消費電流との関係を示すグラフである。
図3A図3Aは、アンダーカット電圧に至るまでの電池残量と、電池残量のレベルの一例である閾値との関係を示すグラフである。
図3B図3Bは、アンダーカット電圧に至るまでの電池残量と、電池残量のレベルの一例である閾値との関係を示すグラフである。
図4図4は、図3Bの閾値を変更したグラフである。
図5図5は、電池残量のバー表示の例を示す図である。
図6】実施の形態のカメラの構成図である。
図7】実施の形態のカメラによる電池残量レベル変更動作を示すフローチャートである。
図8】実施の形態のカメラにより変更された電池残量表示の例を示す。
図9】その他実施の形態におけるカメラによる電池残量レベル変更動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
以下の説明において、「撮像装置」は、特に断らない限りレンズユニットユニットを含まない。「アンダーカット電圧」は、電池がこの電圧以下になった場合は、撮像装置等の機器の動作を停止させる下限電圧であり、電池の放電終止電圧(過放電を防止するための下限電圧)より少し高い電圧に設定される電圧を示す。「電池残量のレベル」は、電池の満充電時の電圧のレベル100としアンダーカット電圧のレベルを0とした場合の、アンダーカット電圧に至るまでの電池残量のレベルを示す。
【0012】
1.実施の形態1
1-1.概要
充電タイプの電池は、通常、アンダーカット電圧が設定される。アンダーカット電圧は、低く設定すると電池の放電時間が長くなるメリットがあるが、負荷に必要な供給電圧がアンダーカット電圧を上回ると装置が急に動作できなくなる等のデメリットがある。また、撮像装置に装着されるレンズユニットへの供給電圧は、規格等により、所定の規格電圧以上を供給しなければならない場合がある。ここでは、この所定の規格電圧を例えば6.2(V)とする。この場合、電源である撮像装置の電池のアンダーカット電圧としては、6.2(V)に、レンズユニットの負荷に必要な電圧を加えた電圧を設定する必要がある。
【0013】
レンズユニットの負荷を一律とし、レンズユニット装着時に撮像装置の電池のアンダーカット電圧を一律に高めに設定することが考えられる。しかし、レンズユニットの負荷はレンズユニットの機種やメーカによって異なるところ、アンダーカット電圧を一律に高めに設定すると、実際には供給電圧に余裕があっても撮像装置が動作を停止してしまうことも想定される。一方、アンダーカット電圧を一律に低めに設定すると、交換されたレンズユニットの負荷電流が大きい場合、電池の供給能力が足りず撮像装置の正常な終了処理が実行できず、撮像装置がシャットダウンするおそれがある。例えば、撮像したデータをSDカード等のメモリカードに書き込む途中で、撮像装置が正常な終了処理が実行できずにシャットダウンしてしまうと、撮像したデータを破損してしまうおそれがある。
【0014】
図1は、所定の規格電圧を6.2(V)とした場合に必要なアンダーカット電圧を設定するための数値例を示す表である。図1の表において、電圧降下は、レンズユニットが撮像装置に装着された状態でシャッターを押されたときの電圧降下を示す。
【0015】
レンズユニットは機種やメーカによって消費電流が異なる。図1に示す最大消費電流が異なるレンズユニットが必要な供給電圧について検討する。例えば、最大消費電流が300mAのレンズユニットが装着された場合、電池の電圧降下は0.33(V)である。しかし、レンズに供給される電圧は、撮像装置の内部回路の抵抗の影響により、実際には、0.36(V)となる。つまり、撮像装置の制御部であるカメラコントローラ(後述する)が認識する電圧と、レンズユニットに供給される電圧とは、0.03(V)の差がある。
【0016】
300mAのレンズユニットの場合、所定の規格電圧6.2(V)を維持するためには、シャッター操作等による電圧降下分を、6.2(V)に加算した電圧が必要になる。レンズユニットが必要な電圧が6.2(V)とすると、図1に基づけば、電池とレンズユニット間の電圧降下は0.36(V)であり、さらに、電池とカメラコントローラ間の電圧降下が0.03(V)である。よって、300mAのレンズユニットが6.2(V)の規格電圧を維持するためのアンダーカット電圧(U.C.)は、6.2(V)+0.36(V)+0.03(V)=6.59(V)となる。同様に各レンズユニットの最大消費電流値から、6.2(V)の規格電圧を維持するために必要な電圧を計算すると、図1の「設定U.C. (V)」に示すようになる。
なお、上述した電池とレンズユニット間の電圧降下の数値や計算方法は例示的なものであり、上述に限定されるものではなく、他の方法を用いてもよい。
【0017】
これらの関係をグラフにしたものを図2に示す。図2に示すように、レンズユニットの最大消費電流と、6.2(V)の規格電圧を維持するために必要な電圧とは、1次関数の近似式で表現できる。
【0018】
本開示における撮像装置は、所定の規格電圧を維持するために必要な電圧を電池のアンダーカット電圧として、レンズユニットの装着毎に動的に設定する。
【0019】
アンダーカット電圧をレンズユニット毎に変更する場合、次のような課題が生じる。
図3Aは、アンダーカット電圧を6.3(V)に設定したときの電池の放電状態を示し、図3Bは、アンダーカット電圧を7.0(V)に設定したときの電池の放電状態を示す。電池が満充電の電圧(ここでは、8.3(V)とする)からアンダーカット電圧まで放電する間に、撮像装置の表示部には、その放電状態に応じて、電池残量のレベルが表示される。電池残量のレベルを図5に示すようにL1~L4のバーで示す場合、電池残量のレベルの切り替えは、設定された閾値に基づき行われる。例えば、図3Aに示すように、電池が満充電の8.3(V)からアンダーカット電圧の6.3(V)まで放電が可能である場合、8.3(V)-6.3(V)の電圧差2.0(V)を所定の比率(ここでは、5:2:2:1)で分割し、比率に応じた閾値T1~T4を設定する。図3Aの例では、電池が満充電から閾値T4(7.3(V))まで放電される間、すなわち電池残量が100%から50%になるまで放電される間は、図5に示す表示では3本のバーにより電池残量のレベルが示される。同様に、電池が閾値T4から閾値T3(6.9(V))まで放電される間、すなわち電池残量が49%から30%になるまで放電される間は、2本のバーにより電池残量のレベルが示される。同様に、電池が閾値T3から閾値T2(6.5(V))まで放電される間、すなわち電池残量が29%から10%になるまで放電の間は、1本のバーにより電池残量のレベルが示される。電池が6.5(V)からアンダーカット電圧の6.3(V)まで放電される間、すなわち電池残量が9%から0%になるまでの放電の間は、アンダーカット電圧まで残り少ないことを示すようにバーなしで表示され、例えば点滅表示等で使用者の注意が喚起される。
【0020】
しかし、レンズユニットの装着によりアンダーカット電圧が変更される場合、例えば図3Bに示すように、アンダーカット電圧が7.0(V)に変更された場合、満充電電圧とアンダーカット電圧の電圧差は1.3(V)となる。図3Aのアンダーカット電圧が6.3(V)の場合と同じ閾値T1~T4を用いると、図5に示す表示ではL3(2本のバー)の充電状態が表示されている間に、アンダーカット電圧7.0(V)に至ってしまい、撮像装置は動作を停止する。このような場合、使用者は意図せず撮像装置の操作ができなくなったり、撮像装置が正常な終了処理を行わずシャットダウンした場合は処理途中のデータが破壊されたりする等のおそれがある。
【0021】
従って、本開示に係る撮像装置においては、図4に示すように、アンダーカット電圧が変更されたことに応じて、電池残量のレベルを変更する。
【0022】
以下、撮像装置及び撮像装置に装着可能なレンズユニットの構成及び動作について説明する。
【0023】
1-2.構成
図6は、本実施形態において、レンズユニット101が装着されたカメラ本体102(撮像装置の一例)を含むカメラ100の構成を示す。
【0024】
カメラ100は、レンズユニット101と、レンズユニット101を装着可能なカメラ本体102とを備える。
【0025】
レンズユニット101は、交換可能であり、機種やメーカに応じて異なる消費電流を要する。レンズユニット101は、レンズコントローラ120、レンズマウント130、フォーカスレンズ110及びズームレンズ112を含む光学系、フォーカスレンズ駆動部111、ズームレンズ駆動部113、絞り116、絞り駆動部117、ズームリング115、ズームレバー118、DRAM121、及びフラッシュメモリ122等を備える。
【0026】
カメラ本体102は、装着されたレンズユニット101に電圧を供給する。カメラ本体102は、カメラコントローラ153、本体マウント140、CMOSイメージセンサ150、タイミングジェネレータ(TG)151、アナログフロントエンド(AFE)152、液晶モニタ163、タッチパネル162、レリーズ釦160、操作部170、電池154が接続される電池接続部154a、DRAM155、フラッシュメモリ156、カードスロット165、及びメモリカード164等を備える。
【0027】
1-2-1.レンズユニットの構成
レンズユニット101の各部の構成について説明する。
【0028】
レンズコントローラ120は、レンズユニット101全体を制御する。レンズコントローラ120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ又は回路である。レンズコントローラ120は、使用者によるズームリング115の操作を受け付けると、ズームレンズ駆動部113を制御して、ズームレンズ112を駆動する。また、レンズコントローラ120は、使用者によるズームレバー118の操作を受け付けると、ズームレンズ駆動部113を制御して、ズームレンズ112を駆動する。なお、ズームリング115及びズームレバー118は、レンズユニット101の外面に備わる操作部材である。レンズコントローラ120は、DRAM121及びフラッシュメモリ122に接続されており、必要に応じて、情報を書き込んだり、読み出したりすることができる。また、レンズコントローラ120は、レンズマウント130を介して、カメラコントローラ153と通信することができる。尚、レンズコントローラ120は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよい。
【0029】
レンズマウント130は、カメラ本体102が備える本体マウント140と共に、レンズユニット101とカメラ本体102とを機械的及び電気的に接続するための接続部材である。レンズユニット101とカメラ本体102とが機械的及び電気的に接続されると、レンズコントローラ120とカメラコントローラ153とは通信可能な状態になる。
【0030】
DRAM121は、レンズコントローラ120による各種制御の際のワークメモリとして使用される。フラッシュメモリ122は、レンズコントローラ120により各種制御の際に使用されるプログラム、パラメータ、及びレンズデータ等を格納している。本実施の形態において、フラッシュメモリ122は、レンズ情報を格納する。レンズ情報は、レンズユニット101の最大消費電流の値を含むデータ(消費電力情報の一例)である。レンズ情報は、レンズユニット101がカメラ本体102に装着され、レンズコントローラ120とカメラコントローラ153とが、レンズマウント130及び本体マウント140を介して通信可能な状態になったとき、カメラ本体102に送信される。
【0031】
フォーカスレンズ110は、レンズユニット101の光学系に入射されCMOSイメージセンサ150上に形成される被写体像のフォーカス状態を変化させるためのレンズである。フォーカスレンズ駆動部111は、モータ等を含み、レンズコントローラ120から通知される制御信号に基づいてフォーカスレンズ110を光学系の光軸に沿って進退するように駆動する。
【0032】
ズームレンズ112は、レンズユニット101の光学系で形成される被写体像の倍率を変化させるためのレンズである。ズームレンズ駆動部113は、モータ等を含み、レンズコントローラ120から通知される制御信号に基づいてズームレンズ112を光学系の光軸に沿って進退するように駆動する。
【0033】
絞り116は、複数の機械羽根を開閉可能に構成されている。絞り116は、レンズユニット101の光学系に入射する光の光量を調節することができる調節部材である。絞り駆動部117は、モータ等を含み、レンズコントローラ120から通知される制御信号に基づいて、絞り116の機械羽根の開閉状態を変化させる。
【0034】
1-2-2.カメラ本体の構成
図1に示すように、カメラ本体102(撮像装置の一例)は、使用者によるレリーズ釦160の操作を受け付けることにより、シャッター動作やオートフォーカス動作を実行する。
【0035】
カメラコントローラ153(制御部の一例)は、レリーズ釦160や操作部170からの指示に応じて、カメラ100全体(例えば、CMOSイメージセンサ150など)を制御する。カメラコントローラ153は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ又は回路である。カメラコントローラ153は、DRAM155及びフラッシュメモリ156に接続されており、必要に応じて、情報を書き込んだり、読み出したりすることができる。カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120により送信されたレンズ情報をDRAM155やフラッシュメモリ156に書き込み、後述するように、レンズ情報に応じて電池154のアンダーカット電圧を計算し、設定する。カメラコントローラ153は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよい。
【0036】
カメラコントローラ153は、図1に電池154からの点線で示した電源ラインを介して、電池154の電圧をレンズユニット101に供給する。カメラコントローラ153はまた、電池154の電圧を監視し、電池残量を示す情報を取得する。カメラコントローラ153は、例えば図5に示すバー表示により、設定された電池残量のレベルに応じて電池残量を示す情報を液晶モニタ163に表示させる。
【0037】
本体マウント140(通信部の一例)は、レンズユニット101が備えるレンズマウント130と共に、レンズユニット101及びカメラ本体102を機械的及び電気的に接続するための接続部材である。レンズユニット101とカメラ本体102とが機械的及び電気的に接続されると、レンズコントローラ120とカメラコントローラ153とは、通信ラインを介して通信可能な状態となる。本体マウント140は、カメラコントローラ153から受信した制御信号等を、レンズマウント130を介して、レンズコントローラ120に通知する。また、本体マウント140は、レンズマウント130を介して、レンズコントローラ120から受信したレンズ情報やその他データをカメラコントローラ153に通知する。
【0038】
DRAM155は、カメラコントローラ153による各種制御の際のワークメモリとして使用される。フラッシュメモリ156は、カメラコントローラ153により各種制御の際に使用されるプログラム及びパラメータ等を格納する。フラッシュメモリ156はまた、図2で示す、アンダーカット電圧を計算するための一次関数の近似式を示す情報を保持する。
【0039】
CMOSイメージセンサ150は、レンズユニット101を介して入射される被写体像を撮像して画像情報を生成する。AFE152は、CMOSイメージセンサ150により生成された画像情報をアナログ形式のデータからデジタル形式のデータに変換する。カメラコントローラ153は、AFE152でデジタル化された画像情報に対して各種の画像処理を施す。なお、CMOSイメージセンサ150に代えて、例えば、NMOSイメージセンサやCCDイメージセンサなどの他の撮像素子を用いることもできる。
【0040】
CMOSイメージセンサ150は、TG151で制御されるタイミングで動作する。TG151で制御されるCMOSイメージセンサ150の動作は、静止画像の撮像動作、動画の撮像動作、データ転送動作、及び電子シャッター動作等を含む。
【0041】
液晶モニタ163(表示部の一例)は、カメラ本体102の背面に配置され、カメラコントローラ153で処理された表示用の画像情報が示す画像を表示する。液晶モニタ163は、動画像と静止画とを選択的に表示可能である。また、液晶モニタ163は、画像の他に、カメラ100全体の設定条件や後述する電池残量を示す情報を表示可能である。なお、本実施の形態では、表示手段の一例として液晶モニタ163を備えるが、有機ELディスプレイ等の他の表示手段を用いてもよい。
【0042】
タッチパネル162は、液晶モニタ163の表面に設けられており、使用者がタッチしたタッチパネル上の電極位置に関する情報を生成する。タッチパネル162は、電極位置に関する情報に基づいて、使用者がタッチしたタッチパネル上の位置座標を算出してカメラコントローラ153に通知する。
【0043】
ステータス表示部(S表示部)166は、液晶モニタ163とは別に、カメラ本体102(例えば、カメラ本体102の背面の上部)に配置される表示部である。ステータス表示部166は、カメラコントローラ153からの指令に応じたメッセージや記号等を表示する。
【0044】
電池154は、カメラ100で消費するための電力を供給する充電可能な電池であり、例えばリチウムイオン電池やリチウム電池である。電池154は、電極を有する電池接続部154a(電池接続部の一例)に脱着可能に接続され、カメラ100に電圧を供給する。電池154は、電源スイッチ(図示省略)がオンされると、カメラコントローラ153は、カメラ本体102全体に電力を供給する。また、カメラコントローラ153は、本体マウント140及びレンズマウント130を介して、レンズユニット101に電圧を供給する。
【0045】
カードスロット165は、メモリカード164を着脱可能な接続手段である。カードスロット165は、メモリカード164を電気的及び機械的に接続可能である。なお、カードスロット165は、メモリカード164を制御する機能を備えてもよい。
【0046】
メモリカード164は、内部にフラッシュメモリ等の記憶手段を備えた外部メモリである。メモリカード164は、カメラコントローラ153で処理された画像情報等のデータを記憶可能である。また、メモリカード164は、内部に記憶する画像情報等のデータを出力可能である。メモリカード164から出力された画像情報は、カメラコントローラ153で処理され、例えば、液晶モニタ163で再生表示される。
【0047】
操作部170は、中央釦や十字釦を含む操作部材の総称である。操作部170は、MF(マニュアルフォーカス)/AF(オートフォーカス)を切り替えるスイッチを含む。操作部170が使用者による操作を受け付けると、カメラコントローラ153は、使用者の操作に基づく指示内容に応じた各種制御を実行する。
【0048】
1-3.動作
図7を参照しながら、本実施の形態に係る主にカメラコントローラ153による電池残量レベル変更動作について説明する。
【0049】
カメラコントローラ153は、本体マウント140にレンズユニット101が装着されたか否かを検知する(S101)。レンズユニット101が装着されたことを検知した場合、カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120との通信を開始する(S102)。この通信の開始により、カメラコントローラ153とレンズコントローラ120とは、電力供給制御や制御信号の送受信を開始する。カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120からレンズ情報を取得する(S103)。レンズ情報は、例えば、レンズユニット101の最大消費電流の値を含む。
【0050】
カメラコントローラ153は、フラッシュメモリ156に保持した、図2に示す一次関数の近似式に基づき電池154のアンダーカット電圧の値を計算し、設定する(S104)。例えば、レンズユニット101の最大消費電流が800mAである場合、アンダーカット電圧は約7.0(V)となる。次に、カメラコントローラ153は、電池154の満充電電圧(例えば、8.3(V))とアンダーカット電圧との差を計算する(S105)。ここでは、1.3(V)とする。カメラコントローラ153は、閾値を計算する(S106)。例えば図4に示すように、5:2:2:1の比率で閾値を計算する場合、図4における閾値T1~T4の値は次のようになる。
【0051】
T4:8.3(V)-1.3(V)×0.5=7.65(V)
T3:8.3(V)-1.3(V)×0.7=7.39(V)
T2:8.3(V)-1.3(V)×0.9=7.13(V)
T1:8.3(V)-1.3(V)=7.0(V)
カメラコントローラ153は、現在の電池の電圧値を取得し、計算した閾値に基づき電池残量を示す情報を生成し、液晶モニタ163に表示する(S107)。
【0052】
上記処理は、レンズユニット101の装着毎に行われる。
【0053】
図8は、現在の電池電圧が約7.5(V)である場合、レンズユニット101が交換されたときの電池残量表示の変化の例を示す。
【0054】
図8の画面163aは、アンダーカット電圧が6.3(V)に設定されたとき(図3Aの例)の電池残量の表示を示す。満充電電圧が8.3(V)とすると、アンダーカット電圧6.3(V)との差は、2.0(V)となり、各閾値は次のようになる。
【0055】
T4:8.3(V)-2.0(V)×0.5=7.3(V)
T3:8.3(V)-2.0(V)×0.7=6.9(V)
T2:8.3(V)-2.0(V)×0.9=6.5(V)
T1:8.3(V)-2.0(V)=6.3(V)
現在の電池電圧が7.5(V)とすると、アンダーカット電圧6.3(V)に至るまでの電池残量は、(7.5(V)-6.3(V))/2.0(V)=約60%となる。また、現在の電池電圧は閾値T4を上回っているため、図5で説明したバー表示に基づくと、電池残量は3本のバーで表示される。
【0056】
一方、図8の画面163bは、上記フローチャートで例示した、アンダーカット電圧が7.0V(図4)に設定されたときの電池残量の表示を示す。上述の通り、各閾値の値は、次のようになる。
【0057】
T4:8.3(V)-1.3(V)×0.5=7.65(V)
T3:8.3(V)-1.3(V)×0.7=7.39(V)
T2:8.3(V)-1.3(V)×0.9=7.13(V)
T1:8.3(V)-1.3(V)=7.0(V)
現在の電池電圧が7.5(V)とすると、アンダーカット電圧7.0(V)に至るまでの電池残量は、(7.5(V)-7.0(V))/1.3(V)=約38%となる。また、現在の電池電圧は閾値T4とT3の間であるため、図5で説明したバー表示に基づくと、電池残量は2本のバーで表示される。
【0058】
以上のように、より高い最大消費電流を有するレンズユニット101に交換されると、アンダーカット電圧が高く設定されることになり、電池残量のレベルは変更される。よって、レンズユニット101の交換前後で実際の電池残量に変化がなくても、電池残量のレベルは小さくなって表示される。
【0059】
なお、上記例では、電池残量をバーとパーセントの双方で表示しているかいずれか一方で表示するようにしてもよい。また、電池残量をバーとパーセントとを切り替えて表示するようにしてもよい。
【0060】
また、上記例では、液晶モニタ163の電池残量を表示しているが、ステータス表示部166に電池残量を表示してもよい。
【0061】
1-4.効果等
本実施の形態に係るカメラ本体102は、アンダーカット電圧をレンズユニット101の装着毎に設定するため、レンズユニットへの供給電圧を保証することができる。また、電池154のアンダーカット電圧の変更に伴い、表示される電池残量のレベルを変更する。これにより、レンズユニット101の交換又は装着に伴い、電池154のアンダーカット電圧の変更があっても、カメラ本体102は、電池残量のレベルを変更して表示するため、使用者は実質的な電池の充電状態を把握することが可能となる。よって、使用者は、レンズユニット101装着後に急に撮像動作ができなくなる等のリスクを回避することができ、レンズユニット101への安定した電力供給が可能となる。
【0062】
2.その他実施の形態
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、各実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0063】
(1)
図9は、レンズユニット101がカメラ本体102より取り外されたときの、カメラコントローラ153の動作を示す。カメラコントローラ153は、本体マウント140にレンズユニット101から取り外された否かを検知する(S110)。レンズユニット101が取り外されたことを検知した場合は、カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120との通信を終了させる(S111)。フラッシュメモリ156等に予め格納した所定のアンダーカット電圧の値を取得し、設定する(S111)。この所定のアンダーカット電圧値は、レンズユニット101の装着時よりも小さい値、例えば、6.2(V)未満であってもよい。カメラコントローラ153は、図7の例と同様に、電池154の満充電電圧(例えば、8.3(V))と所定のアンダーカット電圧値との差を計算する(S113)。次いで、カメラコントローラ153は、図7の例と同様に、閾値を計算し(S114)、現在の電池の電圧値を取得し、計算した閾値に基づき電池残量を示す情報を生成し、液晶モニタ163に表示させる(S115)。
【0064】
以上のようにレンズユニット101が取り外された後は、所定のアンダーカット電圧に設定することにより、電池154のアンダーカット電圧を適切に設定することができるため、使用者は実質的な電池の充電状態を把握することが可能となる。
【0065】
(2)
レンズ情報は、レンズユニット101の機種を特定できる識別情報であってもよい。この場合、カメラ本体102は、フラッシュメモリ156等に各種レンズユニットの最大消費電流値を示す情報を保持する。上記実施の形態1と同様に、カメラ本体102にレンズユニット101が装着されると、カメラコントローラ153はレンズユニット101よりレンズ情報を取得する。カメラコントローラ153は、レンズ情報のレンズユニット101の識別情報から、カメラ本体102が保持する、対応するレンズユニット101の最大消費電流値を取得する。カメラコントローラ153は、取得した最大消費電流値から、図7のS104以降の処理を実行する。
【0066】
(3)
上記実施の形態においては、レンズユニット101の最大消費電流値の代わりに、レンズユニット101の駆動電圧を取得して、アンダーカット電圧を設定してもよい。
【0067】
(4)
上記実施の形態では、電池残量のレベルの表示を切り替える閾値を5:2:2:1の比に基づき設定しているが、これに限定されない。この比は、等分の比であってもよいし、他の等分でない比で設定してもよい。
【0068】
また、バー表示は3本のバーで表現することに限定されず、これより多くても少なくてもよい。これに合わせて、閾値の数も多くても少なくてもよい。
【0069】
(5)
前記電池残量の表示は、上述したバーやパーセントで表示されることに限定されない。例えば、残量電圧(V)や、アンダーカット電圧に至るまでの残り時間で表示してもよい。また、バー、パーセント、残量電圧(V)、残り時間の一部又は全部を切り替えて表示できるようにしてもよい。
【0070】
上記実施の形態にそれぞれに開示した思想は、当業者が適宜組み合わせることができる。
【0071】
本開示は、デジタルカメラ、ムービーカメラ等の撮像装置であって、レンズユニットを装着可能なレンズユニット式の撮像装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
100 :カメラ
101 :レンズユニット
102 :カメラ本体
110 :フォーカスレンズ
111 :フォーカスレンズ駆動部
112 :ズームレンズ
113 :ズームレンズ駆動部
115 :ズームリング
116 :絞り
117 :絞り駆動部
118 :ズームレバー
120 :レンズコントローラ
121 :DRAM
122 :フラッシュメモリ
130 :レンズマウント
140 :本体マウント
150 :CMOSイメージセンサ
153 :カメラコントローラ
154 :電池
154a :電池接続部
155 :DRAM
156 :フラッシュメモリ
160 :レリーズ釦
162 :タッチパネル
163 :液晶モニタ
163a :画面
163b :画面
164 :メモリカード
165 :カードスロット
166 :ステータス表示部
170 :操作部
T1 :閾値
T2 :閾値
T3 :閾値
T4 :閾値
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9