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特許7285504頭皮状態改善剤及びそれを含有する化粧料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】頭皮状態改善剤及びそれを含有する化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230526BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/97 20170101ALI20230526BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/49
A61K8/60
A61K8/97
A61Q5/00
A61Q19/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021168639
(22)【出願日】2021-10-14
(65)【公開番号】P2023058866
(43)【公開日】2023-04-26
【審査請求日】2022-02-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年10月27日、Nutrients 2020,12(11)3285.doi:10.3390/nu12113285
(73)【特許権者】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(73)【特許権者】
【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】廣明 秀一
(72)【発明者】
【氏名】天野 剛志
(72)【発明者】
【氏名】中島 美緒
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】谷口 優子
【審査官】▲高▼橋 明日香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0093529(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0086977(US,A1)
【文献】特開2007-119429(JP,A)
【文献】特表2020-514287(JP,A)
【文献】特開2020-075877(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0117211(KR,A)
【文献】特開2021-008439(JP,A)
【文献】特開2013-006836(JP,A)
【文献】国際公開第2019/078370(WO,A1)
【文献】特開2007-176835(JP,A)
【文献】特表2019-514954(JP,A)
【文献】特開2021-065114(JP,A)
【文献】特開2016-130230(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0020798(US,A1)
【文献】Conditioner (ID: 6953965),Mintel GNPD [online],2019年10月,[検索日;2022年1月23日], https://www.gnpd.com,成分、商品説明、訴求内容
【文献】Natural and Non-SiliconeHair Mask (ID: 2510403),Mintel GNPD [online],2014年06月,[検索日;2022年1月23日], https://www.gnpd.com,成分、商品説明、訴求内容
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘスペレチン、ケルセチン、バイカリン、および、バイカレインより選ばれる少なくとも1種であるタイトジャンクション緩和剤と機能性成分を含有する頭皮用化粧料を第1剤とし、(A)成分として、炭素数6~12の直鎖または分岐のアルキル基を有するグリセリンモノアルキルエーテルより選ばれる少なくとも1種、(B)成分として、ナリンゲニン、ナリンギン、ヘスペリジンおよびこれらの化合物を含有する植物抽出物より選ばれる少なくとも1種であるタイトジャンクション形成促進剤を含有することを特徴とする頭皮用化粧料を第2剤として使用する2剤式頭皮用化粧料。
【請求項2】
1剤を塗布し、その後に第2剤を塗布することを特徴とする、請求項1に記載の2剤式頭皮用化粧
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(A)炭素数6~12の直鎖または分岐のアルキル基を有するグリセリンモノアルキルエーテルより選ばれる少なくとも1種、並びに、(B)ナリンゲニン、ナリンギン、ヘスペリジンおよびこれらの化合物を含有する植物抽出物より選ばれる少なくとも1種であるタイトジャンクション(TJ:Tight Junction)形成促進剤、とを含有する新規な頭皮状態改善剤、及び該頭皮状態改善剤を含有する頭皮用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は表皮と真皮で構成され、表皮はさらに深層から基底層、有棘層、顆粒層、角質層に分けられる。皮膚の重要な機能の一つにバリア機能があり、外界からの異物の侵入・攻撃を守る役割や、体内からの水分の蒸散を防ぐ役割を果たしている。
このバリア機能が破綻すると、細菌やウイルスなどの異物が体内に侵入しやすくなり、炎症や皮膚疾患を引き起こす可能性がある。また、生体内からの水分の蒸散を招き、皮膚の乾燥やターンオーバーの乱れを引き起こす可能性もある。
タイトジャンクション(以下「TJ」と表記する。)は顆粒層に存在する細胞間接着装置であり、皮膚のバリア機能において重要な役割を果たしている。
【0003】
近年、このような観点から、TJの形成を制御する物質を探索する試みがなされている(特許文献1)。TJの形成を制御する物質として、植物由来の抽出物を用いた研究が行われており、例えば、TJの形成促進剤や皮膚のバリア機能向上剤(特許文献2)、TJの形成緩和剤(特許文献3)が報告されている。
通常の皮膚と同じように、頭皮においても皮膚バリア機能を向上させることは重要である。頭皮は皮脂腺や汗腺が多く存在し、通常の皮膚と比べて水分と油分が多い部位である。頭皮は通常の皮膚よりもバリア機能や保湿作用が低く、トラブルを起こしやすい。
しかしながら、従来のTJ形成促進剤は通常の皮膚における機能に焦点を当てており、頭皮への言及はほとんどない。頭皮の環境に適し、頭皮の皮膚バリア機能の向上に優れ、さらに組み合わせる機能性成分の効果を向上させるTJ形成促進作用をもつ頭皮状態改善剤がもとめられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016―113368号公報
【文献】特開2016―222558号公報
【文献】特開2020―075877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、頭皮の皮膚バリア機能向上性に優れる頭皮状態改善剤、及び、それを用いた頭皮用化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、植物からの抽出物に含有されるフラボノイド類がTJに与える影響について鋭意研究努力を重ねた。
その結果、ナリンゲニン、ナリンギン、ヘスペリジンは優れたTJ形成促進作用を示し、さらに、植物抽出物、その中でもヘスペレチンは、TJ緩和作用を示すことを発見した。
本発明者らは、TJ形成促進作用を示す上記化合物に炭素数6~12の直鎖または分岐のアルキル基を有するグリセリンモノアルキルエーテルを組み合わせることで、TJ形成促進剤を含有する頭皮状態改善剤と頭皮との馴染みをよくし、頭皮におけるTJ形成促進作用を向上させることを見出した。
頭皮状態改善剤に含有される植物抽出物中にTJ形成促進効果を示す化合物とTJ緩和効果を示す化合物の双方を含有する場合、TJ形成促進作用を効果的に示すために必要なTJ緩和効果を示す化合物の合計量のTJ形成促進効果を示す化合物の合計量に対する上限比率を見出し本発明に至ったものである。
【0007】
また、TJ緩和剤と機能性成分とを含有する化粧料を第1剤とし、頭皮状態改善剤を含有する頭皮用化粧料を第2剤として使用した場合、第1剤としてTJ緩和剤と機能性成分とを併用することで機能性成分の浸透を促進し、機能性成分の効果を高めることができ、さらに頭皮状態改善剤を含有する頭皮用化粧料を第2剤として用いることで機能性成分の持続性を向上させることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、炭素数6~12の直鎖または分岐のアルキル基を有するグリセリンモノアルキルエーテルより選ばれる少なくとも1種、並びに、ナリンゲニン、ナリンギン、ヘスペリジンおよびこれらの化合物を含有する植物抽出物より選ばれる少なくとも1種であるTJ形成促進剤、さらに必要に応じてヘスペレチン、ケルセチン、バイカリン、および、バイカレインより選ばれる少なくとも1種であるTJ緩和剤とを含有する頭皮状態改善剤、及び前記頭皮状態改善剤を含有する1剤式頭皮用化粧料を提供する。
また本発明は、TJ緩和剤と機能性成分とを含有する頭皮用化粧料を第1剤とし、前記頭皮状態改善剤を含有する頭皮用化粧料を第2剤として使用することを特徴とする2剤式頭皮用化粧料を提供する。
【0009】
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.(A)成分として、炭素数6~12の直鎖または分岐のアルキル基を有するグリセリンモノアルキルエーテルより選ばれる少なくとも1種と、(B)成分として、ナリンゲニン、ナリンギン、ヘスペリジンおよびこれらの化合物を含有する植物抽出物より選ばれる少なくとも1種であるタイトジャンクション形成促進剤、とを含有することを特徴とする頭皮状態改善剤。
2.さらに、(C)成分として、ヘスペレチン、ケルセチン、バイカリン、および、バイカレインより選ばれる少なくとも1種であるタイトジャンクション緩和剤、を含有する頭皮状態改善剤であって、上記(B)成分に含まれるナリンゲニン、ナリンギン、および、ヘスペリジンの合計量に対し、(C)成分の合計量が25質量%以下であることを特徴とする、上記1に記載の頭皮状態改善剤。
3.上記1または上記2に記載の頭皮状態改善剤を含有する頭皮用化粧料。
4.タイトジャンクション緩和剤[(D)成分]と機能性成分[(E)成分]とを含有する頭皮用化粧料を第1剤とし、上記3に記載の頭皮用化粧料を第2剤として使用する2剤式頭皮用化粧料。
5.上記4に記載の第1剤を塗布し、その後に上記4に記載の第2剤を塗布することを特徴とする、2剤式頭皮用化粧料の使用方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の頭皮状態改善剤は、TJの形成を促進し、皮膚のバリア機能を向上させることができるため、外界刺激からの頭皮の防御、体内の水分・成分の蒸散防止を図ることができる。また、該頭皮状態改善剤を配合することにより、優れた整肌作用を有する頭皮用化粧料を提供することができる。
また、本発明の頭皮用化粧料は、2剤式頭皮用化粧料として使用することができる。第1剤としてTJ緩和剤と機能性成分とを含有する頭皮用化粧料を使用し、TJ緩和剤によ
り機能性成分を深部まで浸透させた後、第2剤として頭皮状態改善剤を含有する頭皮用化粧料を使用することで、早期に頭皮のバリア機能を回復させ、頭皮を外界からの刺激から守り、水分・成分の蒸散を防ぐことができる。2剤式頭皮用化粧料として使用することにより、優れた浸透効果を有する2剤式頭皮用化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】試験対象者の頭皮状態をマイクロスコープにて観察した写真であって、試験開始前のもの。
図2】試験対象者の頭皮状態をマイクロスコープにて観察した写真であって、試験終了後のもの。
図3】試験対象者の頭皮状態をマイクロスコープにて観察した写真であって、試験終了後のもの。
図4】試験対象者の頭皮状態をマイクロスコープにて観察した写真であって、試験終了後のもの。
図5】試験対象者の角質染色による頭皮状態を示したものであって、試験開始前のもの。
図6】試験対象者の角質染色による頭皮状態を示したものであって、試験終了後のもの。
図7】試験対象者の角質染色による頭皮状態を示したものであって、試験終了後のもの。
図8】試験対象者の角質染色による頭皮状態を示したものであって、試験終了後のもの。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の頭皮状態改善剤は、(A)炭素数6~12の直鎖または分岐のアルキル基を有するグリセリンモノアルキルエーテルより選ばれる少なくとも1種、並びに、(B)ナリンゲニン、ナリンギン、ヘスペリジンおよびこれらの化合物を含有する植物抽出物より選ばれる少なくとも1種であるタイトジャンクション形成促進剤,とを含有する。
ヘスペレチン、ケルセチン、バイカリン、及びバイカレインは、TJ緩和作用を示すことから、TJ形成促進剤であるナリンゲニン、ナリンギン、および、ヘスペリジンの合計量に対し、TJ緩和作用を示すヘスペレチン、ケルセチン、バイカリン、および、バイカレインの合計量が25質量%以下であることが好ましい。
【0013】
(A)成分
本発明において、(A)成分は、頭皮との馴染みをよくし、頭皮におけるタイトジャンクション形成促進作用を向上させる効果を発揮するものである。
本発明における(A)炭素数6~12の直鎖または分岐のアルキル基を有するグリセリンモノアルキルエーテルは、グリセリンと炭素数6~12の直鎖または分岐のアルキル基を有する1価アルコールとから製造することができ、また、グリモイスト(日油(株)社製)、アデカノールNHG((株)ADEKA社製)、などの市販品や、3-((2-Propylheptyl)Oxy)Propane-1、2-Diol(Chemieliva Pharmaceutical Co.Ltd.社製)等の試薬を使用してもよい。
(A)成分は、1種のみを使用しても良く、2種以上を併用してもよい。頭皮への馴染みの観点から、グリセリンモノアルキルエーテルのアルキル基は、炭素数7~9の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、炭素数7~9の分岐のアルキル基がより好ましい。
前記グリセリンモノアルキルエーテルとして、例えば、3-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,2-プロパンジオール(以下、「エチルヘキシルグリセリン」と表記する)、3-(2-エチルヘプチルオキシ)-1,2-プロパンジオールなどが挙げられる。中でも、頭皮への馴染みがよいという観点からエチルヘキシルグリセリンがさらにより好ましい。
本発明の頭皮状態改善剤における(A)成分の総含有量は、0.001~10質量%が
好ましい。総含有量が前記下限未満であると本発明の作用が得られない恐れがあり、前記上限を超えると含有量に見合った作用が得られない傾向があり、コスト的に不利である。
【0014】
(B)成分:TJ形成促進剤
本発明の(B)成分である、ナリンゲニン、ナリンギン、および、ヘスペリジンは、化合物であってもよいし、これらの化合物を含有する植物抽出物であってもよい。
また、これらの化合物は分散性や溶解性向上を目的とした糖転移体であってもよい。(例:糖転移ヘスペリジン)
植物抽出物は、例えば、文旦、グレープフルーツ、オレンジ、ダイダイ、イーチャンレモン、八朔、タチバナ、ユズ、じゃばら、みかんなどの柑橘類から得られる植物抽出物が挙げられる。
前記植物抽出物はいずれも医薬又は民間薬、食品、化粧品の成分として一般的に用いられている。中でも、ナリンゲニン、ナリンギン、ヘスペリジンの含有量が多いという観点から、文旦、グレープフルーツ、みかん、オレンジ、じゃばら、イーチャンレモン、ダイダイの抽出物が好ましく、文旦、グレープフルーツ、みかん抽出物を使用することがより好ましい。
【0015】
本発明における上記植物抽出物は、従来の抽出方法により抽出したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。抽出方法は、特に限定されず、溶媒を用いた一般的な抽出方法を用いることができる。抽出に使用する植物は、そのまま用いても良く、粉砕や乾燥等を施して用いても良いが、粉砕して用いることが好ましく、乾燥させたものを用いることがより好ましい。
抽出に使用する溶媒は、特に制限されず、水、低級1価アルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)、多価アルコール類(例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)、エステル類(例えば酢酸メチル、酢酸エチル等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)等の極性溶媒や、ハロゲン化炭化水素類(例えばクロロホルム、四塩化炭素等)、炭化水素類(例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等)等を用いることができる。
またこれらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上からなる混合溶媒を用いてもよい。特に、極性溶媒を用いることが好ましく、メタノールを用いるのがより好ましい。
抽出手順は、特に制限されず、例えば、抽出に使用する植物を20~40℃の前記溶媒中に1時間~7日間浸漬し、濾過する手順が挙げられる。
また、得られた抽出物を希釈、濃縮、凍結乾燥、精製等することにより抽出物の希釈液や濃縮液、乾燥物、精製物を得ることができ、これらを本発明に係る植物抽出物として用いることもできる。
【0016】
本発明において(B)成分は、ナリンゲニン、ナリンギン、ヘスペリジン、および、これらの化合物を含有する植物抽出物より選ばれる少なくとも1種、を使用することができる。
本発明の頭皮状態改善剤における(B)成分に含まれるナリンゲニン、ナリンギン、および、ヘスペリジンの合計量は、固形物換算で0.000001~10質量%が好ましい。合計量が前記下限未満であると本発明の作用が得られない恐れがあり、前記上限を超えると合計量に見合った作用が得られない傾向があり、コスト的に不利である。
【0017】
(C)成分:TJ緩和剤
本発明の(C)成分としては、(B)成分として植物抽出物を用いる場合に植物抽出物中に含まれる、ヘスペレチン、ケルセチン、バイカリン、および、バイカレインが挙げられる。
また、(B)成分のTJ形成促進剤として植物抽出物を用いる場合、TJ形成促進剤で
あるナリンゲニン、ナリンギン、および、ヘスペリジンの合計量に対し、TJ緩和剤である(C)成分、すなわちヘスペレチン、ケルセチン、バイカリン、および、バイカレインの合計量が25%より多く含まれると、TJ形成促進効果が悪化する傾向がある。
すなわち、下記条件がTJ形成促進効果を効果的に発現させる条件となる。
TJ緩和剤化合物合計量/TJ形成促進剤化合物合計量≦0.25
【0018】
なお、上記において各記号の定義は以下のとおりである。
TJ緩和剤化合物合計量:
第1剤に含まれるTJ緩和作用を示す化合物の合計量
TJ形成促進剤化合物合計量:
第1剤に含まれるTJ形成促進作用を示す化合物の合計量
【0019】
本発明の頭皮状態改善剤は、医薬品、医薬部外品、薬用又は化粧用の製剤類をはじめとする各種の外用剤に配合することが可能であるが、その優れたTJ形成促進効果により優れた整肌作用が得られるため、頭皮に適用する頭皮用化粧料に配合することが好適である。
本発明の頭皮用化粧料は、頭皮に塗布する事により、頭皮のTJ形成を促進させ、頭皮のバリア機能を向上させることができる。
【0020】
上記のとおり、本発明の頭皮状態改善剤は、(A)成分、(B)成分、さらに(C)成分を含有することにより、1剤式頭皮用化粧料に使用することができる。
また、本発明の頭皮状態改善剤は、2剤式頭皮用化粧料の第2剤に使用することもできる。
第1剤としてTJ緩和剤[(D)成分]と機能性成分[(E)成分]を含有する頭皮用化粧料を使用し、第2剤として頭皮状態改善剤を含有する頭皮用化粧料を使用することで、整肌作用と機能性成分の浸透促進に優れた2剤式頭皮用化粧料を提供することができる。
すなわち、2剤式頭皮用化粧料の第1剤の塗布により、TJを緩和し機能性成分の浸透促進し、次いで、2剤式頭皮用化粧料の第2剤の塗布により、緩んだTJを元に戻し(TJ形成促進させ)、機能性成分の持続性とバリア機能を向上させることができる。
【0021】
(D)成分:TJ緩和剤
本発明の(D)成分は、2剤式頭皮用化粧料の第1剤に含有される成分であって、TJ緩和剤としては特に限定されず、従来公知のTJ緩和剤を使用することができ、例えば、(C)成分と同じ化合物である、ヘスペレチン、ケルセチン、バイカリン、バイカレイン、およびこれらの化合物が挙げられる。
また、従来公知のTJ緩和剤である、インドメタシンやジクロフェナク等を使用することができる。
中でも、TJ緩和作用が優れていることから、バイカレインを使用することが好ましい。
上記バイカレインは、化合物単体であっても、抽出物であってもよい。抽出物とは例えば、バイカリンと同様、シソ科コガネバナの周皮を除いた根を乾燥した生薬であるオウゴン抽出物が挙げられる。
【0022】
本発明の2剤式頭皮用化粧料に含まれる、上記本発明のTJ形成促進剤及びTJ緩和剤の各合計量は、2剤式頭皮用化粧料の剤型によって適宜調節され得るが、例えば固形物換算で0.000001~10質量%が好ましい。各合計量が前記下限未満であると本発明の作用が得られない恐れがあり、前記上限を超えると量に見合った作用が得られない傾向があり、コスト的に不利である。
【0023】
(E)成分:機能性成分
機能性成分は、特に限定はされず皮膚において有用な効果を発揮する成分を使用することができ、例えば、保湿作用、育毛作用、血行促進作用、抗酸化作用、抗炎症作用、メイラード反応抑制作用、色素沈着抑制作用、抗しわ作用、皮膚修復活性作用、エラスターゼ活性阻害作用、リパーゼ阻害作用、チロシナーゼ阻害作用などの効果を発現する成分が挙げられる。
例えば、保湿作用を発現する成分としては、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、多糖類、グリセリン、尿素、アミノ酸類(特許第5932948号参照。);育毛作用を発現する成分としては、ミノキシジル、アデノシン、コレウスフォルスコリ根エキス、オウギエキス、チンピエキス(特許第5932948号、特開2019-178099号参照。);血行促進作用を発現する成分としては、ビタミンE類、トウガラシチンキ(特許第5932948号参照。)があげられる。
また、抗酸化作用を発現する成分としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ジブチルヒドロキシアニソール(BHA)、酢酸トコフェロール(特許第5932948号参照。)抗炎症作用を発現する成分としては、グリチルリチン、アラントイン(特許第5932948号参照。)、メイラード反応抑制作用を発現する成分としては、カルカデ抽出物、ハイビスカス抽出物、トウニン抽出物(特許第5300233号参照。)があげられる。
【0024】
本発明の頭皮状態改善剤は、第1剤としてTJ緩和剤(D)成分と機能性成分(E)成分を含有する頭皮用化粧料を使用し、第2剤として頭皮状態改善剤を含有する頭皮用化粧料を使用する2剤式頭皮用化粧料として使用することができ、第1剤の塗布により、TJを緩和し機能性成分の浸透促進し、次いで第2剤の塗布により、緩んだTJを元に戻し、機能性成分の持続性とバリア機能を向上させることができる。
そして、第1剤に(B)成分であるTJ形成促進剤を含む場合は、下記の条件を満たすことが必要である。
好ましくは、TJ緩和剤化合物合計量(質量)のTJ形成促進剤化合物合計量に対する割合が0.25以上、より好ましくは、TJ緩和剤化合物合計量の(TJ形成促進剤化合物合計量に対する割合が、0.5以上、さらに好ましくは、TJ緩和剤化合物合計量のTJ形成促進剤化合物合計量に対する割合が1.0以上である。
【0025】
なお、上記において各記号の定義は以下のとおりである。
TJ緩和剤化合物合計量:
第1剤に含まれるTJ緩和作用を示す化合物の合計量
TJ形成促進剤化合物合計量:
第1剤に含まれるTJ形成促進作用を示す化合物の合計量
【0026】
(F)任意成分
本発明の頭皮用化粧料中には、前記の必須成分に加え、本発明を妨げない範囲内で、通常の頭皮用化粧料で使用される任意成分を含有することができる。この様な任意成分として、例えば、賦形剤、増粘剤、溶剤、分散剤、溶解補助剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、着色剤等が挙げられる。
具体的には、水;乳糖、白糖等の賦形剤; 天然ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体等の増粘剤;アルコール類、グリコール類、動植物油脂類等の溶剤; ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール等の分散剤;D-マンニトール、安息香酸ベンジル等の溶解補助剤;リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩等の緩衝剤;パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール等の防腐剤;亜流酸塩、アスコルビン酸等の抗酸化剤等が挙げられる。
特に、水、アルコール類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、水、エタノール、ブチレングリコール、PEG30水添ヒマシ油がより好ましい。
【0027】
本発明の頭皮用化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、頭皮用化粧料に従来か
ら使用される成分を配合することもできる。このような成分としては、例えば、保湿剤、エモリエント剤、血行促進剤、細胞賦活化剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤、過酸化物抑制剤、育毛、養毛効果を有する成分、上記以外の植物や動物、微生物由来の各種抽出物等が挙げられる。
配合できる成分として、具体的には、グリセリン、尿素、アミノ酸、ヒアルロン酸類等の保湿剤;スクワラン、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ホホバ油、シリコン油等のエモリエント剤;ビタミンE類、トウガラシチンキ等の血行促進剤;核酸等の細胞賦活化剤、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ジブチルヒドロキシアニソール(BHA)、酢酸トコフェロール等の抗酸化剤;グリチルリチン、アラントイン等の抗炎症剤;ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン塩、パラヒドロキシ安息香酸エステル等の抗菌剤;スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)等の過酸化物抑制剤;チンピ、アロエ、ショウキョウ、ソウハクヒ等の生薬及びこれらの抽出物やパントテニルエチルエーテル、酢酸トコフェロール、フォルスコリン等の化合物等の育毛、養毛効果を有する成分;イチョウエキス、胎盤抽出物、乳酸菌培養抽出物等の上記以外の植物、動物、微生物由来の各種抽出物等が挙げられる。
本発明の頭皮用化粧料における上記成分の総含有量は、特に限定されないが、製剤化する場合、剤形や使用回数、配合する賦形剤や添加剤の種類などに応じて適宜選択され得る。
また、本発明の頭髪用化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、油脂類等の基材成分や、増粘剤、防腐剤、等張化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、香料、着色料等の種々の添加物を併用することができる。
【0028】
本発明の頭皮用化粧料としては、例えば、エッセンス、シャンプー、ヘアトリートメント、化粧水、乳液、クリーム等が挙げられる。
1剤式頭皮用化粧料を使用する場合は、頭皮用化粧料を1日に数回(好ましくは、1日に2回)、1回あたり0.5ml~5ml頭皮全体に塗布し、揉みこむ。
また、2剤式頭皮用化粧料を使用する場合は、第1剤と第2剤をそれぞれ1日に1回、1回あたり0.5ml~5ml頭皮全体に塗布し、揉みこむ。その際、第1剤を塗布後3~12時間空けて第2剤を塗布することが好ましい。さらに好ましくは、第1剤を就寝前に、第2剤を起床後に塗布することで顕著な効果が期待できる。
【0029】
以下、本発明を更に詳しく説明するために実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例
【0030】
(1)抽出物サンプル
果物は、果肉、果皮(外果皮または中果皮)でそれぞれ分け、果皮を用いた。
果皮は、定温恒湿器(DK600、ヤマト科学(株)社製)を用い、60℃で一晩乾燥させ、上記ジューサーミキサーを用いて粉砕した。製粉サンプル100mgを蓋付き試験管に取り、5mlのメタノ-ル/ジメチルスルホキシド抽出溶媒(体積比1/1)を加え、往復振とうさせながら、室温で12時間抽出した。得られた抽出物を上記ハイブリッド高速冷却遠心機にて遠心分離(3,000rpm×10min)した後、上澄み液を回収し、抽出物サンプルとした。
【0031】
(2)分析サンプル製造方法
果皮から得られた上記抽出サンプルをアセトニトリル/酢酸水溶液(体積比5/95)の溶離液で2倍に希釈し、その希釈液1mlを0.45μmのメンブランフィルター((株)島津ジーエルシー社製)でろ過し、分析サンプルとした。
【0032】
(3)分析条件
分析は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC測定)にて行なった。
使用装置:UltiMate3000(Thermo Fisher SCIENTIFIC社製)
カラム:TSKgel ODS-100S(C18、粒子径5μm、4.6mm I.D.×25cm)(東ソー社製)
条件:カラム温度40℃、アセトニトリル/0.1質量%酢酸水溶液(20/80→40/60:0min→20min)溶離液、流速1ml/min、検出器UV=254、280nm
標準品: ナリンギン(シグマアルドリッチジャパン合同会社社製)、ヘスペリジン(富士フイルム和光純薬(株)社製)、ナリンゲニン(東京化成工業(株)社製)、ヘスペレチン (東京化成工業(株)社製)、ナリルチン(富士フイルム和光純薬(株)社製)
(原料製造例1) グレープフルーツ抽出物
グレープフルーツの果皮を用いて、抽出物サンプルを回収した。抽出物サンプルのHPLC分析を行ったところ、0.14質量%(検出されたフラバノン中71質量%)のナリンギンの含有を確認し、ナリンゲニン、ヘスペリジンおよびヘスペレチンは確認されなかった。
(原料製造例2)ミカン抽出物
ミカン果皮を用いて、抽出物サンプルを回収した。抽出物サンプルのHPLC分析を行ったところ、0.04質量%(検出されたフラバノン中30質量%)のヘスペリジン、0.07質量%(検出されたフラバノン中50質量%)のナリルチンの含有を確認し、ナリンゲニン、ナリンギン、ヘスペレチンは確認されなかった。
(原料製造例2)文旦抽出物
文旦皮を用いて、抽出物サンプルを回収した。抽出物サンプルのHPLC分析を行ったところ、0.13質量%(検出されたフラバノン中70質量%)のナリンギンの含有を確認し、ナリンゲニン、ヘスペリジンおよびヘスペレチンは確認されなかった。
【0033】
(4)頭皮状態改善剤の整肌作用試験
本発明の頭皮状態改善剤として、PEG-30水添ヒマシ油(NIKKOL HCO-30、日光ケミカルズ(株)社製)、エタノール(エチルアルコール99度無水グレード、三菱ケミカル(株)社製)、1,3ブチレングリコール(ハイシュガーケインBG、高級アルコール工業(株)社製)、エチルヘキシルグリセリン(グリモイスト、日油(株)社製)、ナリンギン(シグマアルドリッチジャパン合同会社社製)、ナリンゲニン(東京化成工業(株)社製)、ヘスペリジン(富士フイルム和光純薬(株)社製)、ヘスペレチン(東京化成工業(株)社製)、グレープフルーツ抽出物、ミカン抽出物、文旦抽出物を頭皮用化粧料に配合して整肌作用を評価した。
【0034】
(4-1)頭皮用化粧料の調整
試験用頭皮用化粧料として表2に示す組成を基に表1に示す組成で調整した。なお、配合量の単位は質量部で、精製水の「残量」とは全量を100質量部とするのに要する量である。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
(4-2)評価
実施例1~11、比較例1~3の頭皮用化粧料について、それぞれ25~40歳の男女6名7グループを被験者とした。
被験者は、スプレーボトルに入った頭皮用化粧料を毎日の就寝前及び起床後に頭皮全体に約5プッシュ(約1.3mL)塗布し、頭皮のマッサージを行い揉みこんだ。このモニター試験を4週間継続し、試験開始前と試験終了の4週間後において、頭皮の水分量の測定、マイクロスコープによる頭皮状態の観察、角質染色による頭皮環境の評価を行った。それぞれ下記の評価基準(以下の(6-1)、(6-2)、(6-3)を参照。)に従って評価した。
なお、この期間中、前記以外の頭皮用化粧料を使用している場合については、通常使用しているものをそのまま使用した。使用期間中に皮膚や身体の異常を訴えた者はいなかった。
上記の結果から明らかなとおり、本発明のTJ形成促進剤は、頭皮用化粧料に配合することにより、顕著な整肌作用を発揮することが確認できた。
【0038】
(5)2剤式頭皮用化粧料の整肌作用試験
本発明の2剤式頭皮用化粧料として、第1剤のTJ緩和剤としてオウゴンエキス、機能性成分として加水分解コラーゲンまたは加水分解エラスチンを配合し、第2剤のTJ形成促進剤としてグレープフルーツ抽出物を配合し整肌作用を評価した。
【0039】
(5-1)2剤式頭皮用化粧料の調整
試験用2剤式頭皮用化粧料としてエッセンスを、表4に示す組成を基に表3に示す組成で第1剤(処方例1-3)と第2剤(処方例1-3)をそれぞれ調整した。なお、配合量の単位は質量部で、精製水の「残量」とは全量を100質量部とするのに要する量である。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
(5-2)評価
実施例12~13、比較例4~9の2剤式頭皮用化粧料について、それぞれ25~40歳の男女6名7グループを被験者とした。
被験者は、スプレーボトルに入った2剤式頭皮用化粧料を、毎日、第1剤を就寝前、第2剤を起床後に頭皮全体に毎回約5プッシュ(約1.3mL)塗布し、頭皮のマッサージを行い揉みこんだ。このモニター試験を4週間継続し、試験開始前と試験終了の4週間後において、頭皮の水分量の測定、マイクロスコープによる頭皮の観察、角質染色による頭皮環境の評価を行った。それぞれ下記の評価基準(以下の(6-1)、(6-2)、(6-3)を参照。)に従って評価した。
なお、この期間中、前記以外の頭皮頭髪用化粧料を使用した場合については、通常使用しているものをそのまま使用した。使用期間中に皮膚や身体の異常を訴えた者はいなかった。
【0043】
上記の結果から明らかなとおり、本発明の2剤式頭皮用化粧料は、第1剤にTJ緩和剤と機能性成分、第2剤にTJ形成促進剤を配合することにより、顕著な機能性成分の浸透効果を有し、整肌作用を発揮することが確認できた。
【0044】
(6-1)頭皮角層水分量の測定
試験対象者の頭皮角層水分量を高感度角層膜厚・水分計(ASA-MX3、日本アッシュ(株)社製)にて測定した。試験対象者の耳上5cmの部位を各5回測定し、平均値を算出した。試験終了後の頭皮角層水分量から試験開始前の頭皮角層水分量を引いた差を下記基準にて評価した。
5:水分量の差が+15%以上である
4:水分量の差が+5%以上+15%未満である
3:水分量の差が±5%未満である
2:水分量の差が-5%以上-15%未満である
1:水分量の差が-15%以上である
【0045】
(6-2)マイクロスコープによる頭皮状態の観察
試験対象者の頭皮状態をマイクロスコープ(i―Scope USB 2.0、(株)モリテックス社製)にて観察した。試験終了後の頭皮状態を試験終了前と比較して下記基準にて評価した。
5:毛穴の詰まりがかなり改善し、キメがかなり整っている
4:毛穴の詰まりがやや改善し、キメがやや整っている
3:変化がない
2:毛穴の詰まりがやや悪化し、キメがやや乱れている
1:毛穴の詰まりがかなり悪化し、キメがかなり乱れている
図1から図2の変化を評価3とし、図1から図3の変化を評価4とし、図1から図4の変化を評価5とした。
【0046】
(6-3)角質染色による頭皮状態の評価
試験対象者の頭皮状態を角質染色により評価した。試験対象者の耳上5cmの部位の頭皮からテープストリッピングにより角層細胞を剥離し、ゲンチアナバイオレット水溶液にて染色し、観察した。試験終了後の頭皮状態を試験開始前と比較して下記基準にて評価した。
5:重層剥離がかなり減少し、大多数の角層細胞の形が五~六角形となり整った
4:重層剥離がやや減少し、一部の角層細胞の形が五~六角形となり整った
3:変化がない
2:重層剥離がやや増加し、一部の角層細胞の形が乱れている
1:重層剥離がかなり増加し、大多数の角層細胞の形が乱れている
図5から図6の変化を評価3とし、図5から図7の変化を評価4とし、図5から図8の変化を評価5とした。
【0047】
試験ごとに各実施例及び比較例における試験対象者の平均点を用いて、以下のとおりに分類した。
〈評価判断〉
◎:極めて良好 (6名の平均点が4点以上であった)
〇:良好 (6名の平均点が3点以上4点未満であった)
×:悪い (6名の平均点が3点未満であった)
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の頭皮状態改善剤は、優れたバリア機能強化作用、整肌作用を有しており、肌荒れの予防や改善を目的とした化粧品をはじめとする各種外用剤への利用が可能となる。
また、本発明の頭髪用化粧料は優れた整肌作用を有しており、肌荒れの予防や改善を図ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8