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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】ディスプレイ装置、移動体
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20230526BHJP
   B60J 1/02 20060101ALI20230526BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230526BHJP
   H10K 59/00 20230101ALI20230526BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20230526BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20230526BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALN20230526BHJP
【FI】
G09F9/00 304Z
G09F9/00 350Z
G09F9/00 346A
B60J1/02 M
H05B33/14 A
H10K59/00
H05B33/04
H05B33/02
G02F1/1333
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021552112
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(86)【国際出願番号】 JP2020029963
(87)【国際公開番号】W WO2021075127
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】P 2019191498
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 賢治
(72)【発明者】
【氏名】瓜生 英一
(72)【発明者】
【氏名】石橋 将
(72)【発明者】
【氏名】山下 修司
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-529392(JP,A)
【文献】特開2006-162890(JP,A)
【文献】特開2003-258211(JP,A)
【文献】特開平11-198679(JP,A)
【文献】国際公開第2014/050138(WO,A1)
【文献】特開2018-052758(JP,A)
【文献】特開2019-117215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0078407(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R9/00-11/06
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板と、
前記ガラス板の所定領域に対向し、前記所定領域内に収まる透過型の表示パネルと、
前記ガラス板の前記所定領域と前記表示パネルとの間にあって、前記所定領域内に収まり、減圧状態の内部空間を有するガラスパネルユニットと、
前記表示パネルを駆動する駆動部と、
を備え、
前記駆動部は、前記表示パネルと重ならないように、前記ガラスパネルユニットにおける前記ガラス板とは反対側の面に配置され、
前記ガラスパネルユニットは、前記駆動部と前記ガラス板の前記所定領域との間に介在する、
ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記ガラス板は、対象物に取り付けるための取付領域を有し、
前記取付領域は、前記ガラス板において前記所定領域と重ならない領域にある、
請求項1のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ガラス板は、平面部と、曲面部と、を含み、
前記所定領域は、前記平面部にある、
請求項1又は2のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記所定領域は、透過領域と、前記透過領域を囲う不透過領域とを含み、
前記ガラスパネルユニットの外縁は、前記不透過領域にある、
請求項1~3のいずれか一つのディスプレイ装置。
【請求項5】
前記不透過領域は、暗色の領域である、
請求項4のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記ガラスパネルユニットは、封止材により封止された排気孔を有し、
前記排気孔は、前記不透過領域にある、
請求項4又は5のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記ガラス板は、前記表示パネルと前記ガラスパネルユニットとのいずれよりも強度が高い、
請求項1~6のいずれか一つのディスプレイ装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一つのディスプレイ装置と、
前記ディスプレイ装置が窓として搭載される移動体本体と、
を備える、
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ディスプレイ装置、及び移動体に関する。本開示は、より詳細には、背後(背景)を透かして見ることを可能にする透過型のディスプレイ装置(透明ディスプレイ装置)、及び当該ディスプレイ装置を備える移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、有機ELなどの発光型ディスプレイの電極部の少なくとも一部分にITOなどの透明電極を用いることにより、背景が透けて見える両面発光型の透明ディスプレイ装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-71948号公報
【発明の概要】
【0004】
課題は、断熱性能を向上しつつ耐久性能の向上が図れるディスプレイ装置、及び移動体を提供することである。
【0005】
本開示の一態様は、ディスプレイ装置であって、ガラス板と、透過型の表示パネルと、ガラスパネルユニットと、を備える。 前記表示パネルは、前記ガラス板の所定領域に対向し、前記所定領域内に収まる。前記ガラスパネルユニットは、前記ガラス板の所定領域と前記表示パネルとの間にあって、前記所定領域内に収まり、減圧状態の内部空間を有する。
【0006】
本開示の一態様は、移動体であって、前記ディスプレイ装置と、前記ディスプレイ装置が窓として搭載される移動体本体と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態のディスプレイ装置の前方斜視図である。
図2図2は、上記ディスプレイ装置の後方斜視図である。
図3図3は、上記ディスプレイ装置の一部を省略した断面図である。
図4図4は、上記ディスプレイ装置の分解斜視図である。
図5図5は、上記ディスプレイ装置のガラスパネルユニットの斜視図である。
図6図6は、上記ガラスパネルユニットの断面図である。
図7図7は、上記ディスプレイ装置の構成の説明図である。
図8図8は、上記ディスプレイ装置の構成の説明図である。
図9図9は、上記ディスプレイ装置の構成の説明図である。
図10図10は、上記ディスプレイ装置の構成の説明図である。
図11図11は、上記ディスプレイ装置の使用例の説明図である。
図12図12は、上記ディスプレイ装置を備える移動体の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態
(1-1)概要
図1及び図2は、一実施形態のディスプレイ装置10を示す。ディスプレイ装置10は、いわゆる透過型ディスプレイ装置(透明ディスプレイ装置)である。透過型ディスプレイ装置は、透過型ディスプレイ装置の背後(背景)を透かして見ることを可能にする。透過型ディスプレイ装置は、必要に応じて、背景を見せることができ、映像を見せることもできる。また、透過型ディスプレイ装置は、背景の視認性を損なうことなく、所望の情報を背景に重ねて表示することが可能である。
【0009】
図3に示すように、本実施形態のディスプレイ装置10は、ガラス板20と、透過型の表示パネル31と、ガラスパネルユニット40と、を備える。表示パネル31は、ガラス板20の所定領域210に対向し、所定領域内210に収まる。ガラスパネルユニット40は、ガラス板20の所定領域210と表示パネル31との間にあって、所定領域210内に収まり、減圧状態の内部空間44を有する。なお、図3では、所定領域210を分かりやすく図示するために、所定領域210をハッチングで示している。また、図3では、ガラスパネルユニット40を簡略化して図示している。
【0010】
ディスプレイ装置10では、表示パネル31とガラス板20との間にガラスパネルユニット40を備える。ガラスパネルユニット40は、内部空間44を有しており、内部空間44は減圧状態であるから、ガラス板20と表示パネル31との間の伝達される熱量を低減できる。よって、ディスプレイ装置10では、ガラスパネルユニット40によって表示パネル31を熱から保護することができて、断熱性能を向上できる。また、ガラスパネルユニット40がガラス板20と表示パネル31とで保護されるから、ガラスパネルユニット40の破損の可能性を低減できて、耐久性能を向上できる。したがって、ディスプレイ装置10によれば、断熱性能を向上しつつ耐久性能の向上が図れる。
【0011】
(1-2)詳細
以下、ディスプレイ装置10について図1図11を参照して更に詳細に説明する。ディスプレイ装置10は、透過型ディスプレイ装置である。ディスプレイ装置10は、図4に示すように、ガラス板20と、表示部30と、ガラスパネルユニット40と、保護板50と、回路部60と、緩衝部材70と、枠部80と、カバー90とを備える。
【0012】
ガラス板20は、矩形の平板状である。また、ガラス板20は、ガラス板20を介して背景を視認できるように可視光を透過する性質を有する。特に、ガラス板20は無色透明であるとよい。ガラス板20の材料は、例えば、ソーダライムガラス、高歪点ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ネオセラムである。本実施形態では、ガラス板20は、いわゆる強化ガラスである。強化ガラスの例としては、物理強化ガラス、化学強化ガラス、熱強化ガラスが挙げられる。また、ガラス板20は、表示パネル31とガラスパネルユニット40とのいずれよりも強度が高い。つまり、ガラス板20は、表示パネル31とガラスパネルユニット40を保護する機能を有している。
【0013】
ガラス板20は、厚み方向の両面である、第1面21(図4参照)及び第2面22(図1参照)を有する。第1面21は、ディスプレイ装置10の内側を向く面(内面)であり、第2面22は、ディスプレイ装置10の外側を向く面(外面)である。本実施形態では、ガラス板20は、全体として厚みが一様である。ガラス板20は、部分的に湾曲している。つまり、ガラス板20は曲げガラス板である。より詳細には、図4に示すように、ガラス板20は、表示パネル31の縦方向に対応する方向(図4の上下方向)の一端部(図4の下端部)が湾曲している。よって、ガラス板20は、平面部201と、曲面部202とを備える。平面部201は、平坦な矩形の板状である。曲面部202は、平面部201の一端から延び、厚み方向に湾曲した矩形の板状である。本実施形態では、第1面21は、平面部201に対応する部分では平面であり、曲面部202に対応する部分では凹面である。第2面22は、平面部201に対応する部分では平面であり、曲面部202に対応する部分では凸面である。
【0014】
ガラス板20の第1面21は、所定領域210と、取付領域211とを含む。所定領域210は、表示パネル31、ガラスパネルユニット40、及び保護板50を配置するための領域である。換言すれば、所定領域210は、表示パネル31による画像の表示に利用される領域である。所定領域210は、図7に示すように、透過領域210aと、不透過領域210bとを含む。透過領域210aは、光を透過させる領域である。透過領域210aは矩形状である。不透過領域210bは、透過領域210aを囲う領域である。不透過領域210bは、光を透過させない領域である。なお、図7図10では、不透過領域210bを分かりやすく図示するために、不透過領域210bをドットのハッチングで示している。不透過領域210bは、矩形枠状である。不透過領域210bは、暗色の領域である。なお、暗色は、黒、青等であり得る。本実施形態では、不透過領域210bは、印刷技術により、ガラス板20の第1面21の所定の領域に黒色の層を形成することで設けられている。取付領域211は、ディスプレイ装置10を対象物に取り付けるために用いられる領域である。本実施形態では、所定領域210は平面部201に対応する領域であり、取付領域211は曲面部202に対応する領域である。
【0015】
ディスプレイ装置10では、表示部30、ガラスパネルユニット40、及び、保護板50は、ガラス板20に重ねて配置される。特に、ガラス板20には、ガラスパネルユニット40、表示部30、及び保護板50がこの順番に重なって配置されている。
【0016】
ガラスパネルユニット40は、本実施形態では、真空断熱ガラスユニットである。真空断熱ガラスユニットは、少なくとも一対のガラスパネルを備える複層ガラスパネルの一種であって、一対のガラスパネル間に真空空間(減圧空間)を有している。
【0017】
ガラスパネルユニット40は、図5及び図6に示すように、一対のパネル(第1及び第2パネル)41,42と、枠体43と、を備える。また、ガラスパネルユニット40は、一対のパネル41,42と枠体43とで囲まれた空間(内部空間)44を有する。更に、ガラスパネルユニット40は、内部空間44内に、ガス吸着体45と、複数のピラー(スペーサ)46と、を備える。なお、図5及び図6では、ガラスパネルユニット40を分かりやすく図示するために、図4とはガラスパネルユニット40の寸法を異ならせている。
【0018】
第1及び第2パネル41,42は、互いに対向して位置する。本実施形態では、第1及び第2パネル41,42は、僅かな距離をあけて互いに対向して位置する。第1パネル41は、第1ガラスパネル411と、第1ガラスパネル411上に形成された低放射膜412を含む。低放射膜412は、銀等の低放射性を有する金属を含有する膜であり、放射による伝熱を抑制する機能を有する。低放射膜412は、第1ガラスパネル411の内部空間44に臨む面に形成される。本実施形態では、低放射膜412はいわゆるLow-E膜である。第1ガラスパネル411の大きさにより、第1パネル41の大きさが決まる。第2パネル42は、第2ガラスパネル421を含む。第2パネル42は、第1パネル41に対向して位置する。第2ガラスパネル421の大きさにより、第2パネル42の大きさが決まる。第1及び第2パネル41,42は、同形状である。第1及び第2パネル41,42はいずれも矩形の平板状である。第1及び第2パネル41,42は、ガラスパネルユニット40を介して背景を視認できるように可視光を透過する性質を有する。特に、第1及び第2パネル41,42は無色透明であるとよい。第1及び第2パネル41,42の第1及び第2ガラスパネル411,421の材料は、例えば、ソーダライムガラス、高歪点ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ネオセラムである。本実施形態では、第1及び第2ガラスパネル411,421は、いわゆる強化ガラスである。強化ガラスの例としては、物理強化ガラス、化学強化ガラス、熱強化ガラスが挙げられる。
【0019】
枠体43は、第1及び第2パネル41,42間にあり、第1及び第2パネル41,42を互いに気密に接合する。これによって、第1及び第2パネル41,42と枠体43とで囲まれた内部空間44が形成される。本実施形態では、内部空間44は減圧状態となっている。より詳細には、内部空間44は真空状態となっている。換言すれば、内部空間44は、内部の圧力が大気圧より低い状態となっている。枠体43は、熱接着剤(封着材)で形成されている。言い換えれば、枠体43は、硬化した熱接着剤である。熱接着剤は、例えば、ガラスフリットである。ガラスフリットの例としては、低融点ガラスフリットが挙げられる。低融点ガラスフリットの例としては、ビスマス系ガラスフリット、鉛系ガラスフリット、バナジウム系ガラスフリットが挙げられる。枠体43は、外形が第1及び第2パネル41,42と同様の形状である。枠体43は、第1及び第2パネル41,42の外周に沿って形成されている。また、熱接着剤は、ガラスフリットに限定されず、例えば、低融点金属や、ホットメルト接着材などであってもよい。
【0020】
ガス吸着体45は、内部空間44内に配置される。具体的には、ガス吸着体45は、円形の板状であり、第1パネル41に配置されている。ガス吸着体45は、第1パネル41の外縁(つまり、ガラスパネルユニット40の外縁)の近傍にある。特に、本実施形態では、第1パネル41の4つの角のうちの2つに、ガス吸着体45が設けられている。ガス吸着体45は、不要なガス(残留ガス等)を吸着するために用いられる。不要なガスは、例えば、枠体43を形成する熱接着剤が加熱された際に、熱接着剤から放出されるガスである。ガス吸着体45は、ゲッタを有する。ゲッタは、所定の大きさより小さい分子を吸着する性質を有する材料である。ゲッタは、例えば、蒸発型ゲッタである。蒸発型ゲッタは、所定温度(活性化温度)以上になると、吸着された分子を放出する性質を有している。そのため、蒸発型ゲッタの吸着能力が低下しても、蒸発型ゲッタを活性化温度以上に加熱することで、蒸発型ゲッタの吸着能力を回復させることができる。蒸発型ゲッタは、例えば、ゼオライトまたはイオン交換されたゼオライト(例えば、銅イオン交換されたゼオライト)である。ガス吸着体45は、このゲッタの粉体を備えている。具体的には、ガス吸着体45は、ゲッタの粉体を含む液体(例えばゲッタの粉体を液体に分散して得られた分散液や、ゲッタの粉体を液体に溶解させて得られた溶液)を塗布して固形化することにより形成される。この場合、ガス吸着体45を小さくできる。したがって、内部空間44が狭くてもガス吸着体45を配置できる。
【0021】
複数のピラー46は、内部空間44内に配置されている。複数のピラー46は、第1及び第2パネル41,42間の間隔を所定間隔に維持するために用いられる。つまり、複数のピラー46は、第1及び第2パネル41,42間の距離を所望の値に維持するために使用される。なお、ピラー46の大きさ、ピラー46の数、ピラー46の間隔、ピラー46の配置パターンは、適宜選択することができる。各ピラー46は、上記所定間隔とほぼ等しい高さを有する円柱状である。例えば、ピラー46は、人が視認しにくい大きさであることが好ましい。一例として、ピラー46は、直径が1mm、高さが100μmである。なお、各ピラー46は、角柱状や球状などの所望の形状であってもよい。複数のピラー46は、その全部または一部がポリイミド等の樹脂で形成されていることが好ましい。
【0022】
更に、ガラスパネルユニット40は、排気孔47を備える。排気孔47は、第1パネル41と第2パネル42との少なくとも一方に形成される。本実施形態では、第1パネル41にだけ排気孔47が形成されている。また、排気孔47は、第1パネル41の外縁(つまり、ガラスパネルユニット40の外縁)の近傍にある。本実施形態では、排気孔47は、第1パネル41の角に位置する。排気孔47は、内部空間44を減圧状態とするために利用される。つまり、排気孔47から内部空間44を排気することによって、内部空間44を減圧状態とする。内部空間44が減圧状態となった後には、排気孔47は封止される。排気孔47の封止には、封止材48及び押圧部材49が利用される。封止材48及び押圧部材49は排気孔47に挿入可能な大きさである。封止材48は、例えば、ガラスフリットである。押圧部材49は、板状である。押圧部材49は、封止材48において第2パネル42とは反対側に配置される。そして、排気孔47を通して内部空間44を排気しながら、封止材48を溶融し、押圧部材49で封止材48を変形させて、排気孔47を塞ぐ。これによって、内部空間44が減圧状態のままで封止される。
【0023】
ガラスパネルユニット40は、全体として矩形の板状である。ガラスパネルユニット40は、図8に示すように、ガラス板20の第1面21に配置される。より詳細には、ガラスパネルユニット40は、ガラス板20の所定領域210に配置される。ガラスパネルユニット40は、ガラス板20の所定領域210内に収まる大きさである。ガラスパネルユニット40は、表示パネル31の横方向に対応する方向(図8の左右方向)において、ガラス板20と寸法が等しい。本実施形態では、ガラスパネルユニット40は、所定領域210の透過領域210aよりも大きく、ガラスパネルユニット40の外縁(枠体43を含む)は不透過領域210bにある。特に、表示パネル31の横方向に対応する両方向(図8の左右方向)において、ガラス板20とガラスパネルユニット40との両側面が一致している。また、表示パネル31の縦方向に対応する一方向(図8の上方向)において、ガラス板20とガラスパネルユニット40との側面が一致している。また、ガラスパネルユニット40において、ガス吸着体45及び排気孔47は、ガラスパネルユニット40の外縁の近傍に位置することになる。本実施形態では、ガス吸着体45及び排気孔47も、不透過領域210bにある。図8では、ガス吸着体45及び排気孔47は図示されていない。
【0024】
表示部30は、画像P10(図11参照)を表示するための機能ユニットである。表示部30は、表示パネル31と、駆動部32とを含む。
【0025】
表示パネル31は、透過型のディスプレイである。透過型のディスプレイは、一例として、透明有機発光ダイオード(OLED)を用いたディスプレイが挙げられる。なお、表示パネル31の画像表示に関する構成は、従来周知の構成であってよいから詳細な説明は省略する。表示パネル31は、全体として矩形の板状である。図3及び図9に示すように、表示パネル31は、ガラスパネルユニット40におけるガラス板20とは反対側の面に配置される。より詳細には、表示パネル31は、平面視において、ガラス板20の所定領域210に配置される。表示パネル31は、ガラス板20の所定領域210に収まる大きさである。表示パネル31は、表示パネル31の横方向に対応する方向(図9の左右方向)において、ガラス板20より寸法が小さいが、所定領域210の透過領域210aよりは寸法が大きい。本実施形態では、表示パネル31は、所定領域210の透過領域210aよりも大きく、表示パネル31の外縁は不透過領域210bに位置している。特に、表示パネル31の横方向に対応する両方向(図9の左右方向)において、表示パネル31の両側面はガラス板20の両側面よりもディスプレイ装置10の内側にある。また、表示パネル31の縦方向に対応する一方向(図9の上方向)において、表示パネル31の側面はガラス板20の側面よりディスプレイ装置10の内側にある。
【0026】
駆動部32は、表示パネル31を制御して表示パネル31に画像を表示するための装置である。駆動部32の構成は、従来周知の構成であってよいから詳細な説明は省略する。駆動部32は、表示パネル31と重ならないように配置されている。本実施形態では、駆動部32は、表示パネル31の縦方向(長さ方向、高さ方向)の一端(図9の下端)に、表示パネル31の横方向(幅方向)に沿って配置されている。また、駆動部32は、図3及び図9に示すように、ガラスパネルユニット40におけるガラス板20とは反対側の面に配置される。つまり、ガラスパネルユニット40は、表示パネル31とガラス板20の所定領域210との間だけではなく、駆動部32とガラス板20の所定領域210との間にもある。
【0027】
保護板50は、全体として矩形の平板状である。保護板50は、図3及び図10に示すように、表示パネル31におけるガラスパネルユニット40とは反対側の面に配置される。より詳細には、保護板50は、平面視において、ガラス板20の所定領域210に配置される。保護板50は、ガラス板20の所定領域210内に収まる大きさである。保護板50は、表示パネル31の横方向に対応する方向(図10の左右方向)において、ガラス板20と寸法が等しい。本実施形態では、保護板50は、所定領域210の透過領域210aよりも大きく、保護板50の外縁は不透過領域210bにある。特に、表示パネル31の横方向に対応する両方向(図10の左右方向)において、ガラス板20と保護板50との両側面が一致している。また、表示パネル31の縦方向に対応する一方向(図10の上方向)において、ガラス板20と保護板50との側面が一致している。ただし、保護板50は、駆動部32を露出させるように、表示パネル31の縦方向に対応する方向の寸法が設定されている。また、保護板50は、全体として厚みが一様である。保護板50の厚み方向の両面は平面である。また、保護板50は、保護板50を介して表示パネル31の映す画像を視認できるように可視光を透過する性質を有する。特に、保護板50は無色透明であるとよい。保護板50の材料は、例えば、ソーダライムガラス、高歪点ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ネオセラムである。本実施形態では、保護板50は、いわゆる強化ガラスである。強化ガラスの例としては、物理強化ガラス、化学強化ガラス、熱強化ガラスが挙げられる。また、保護板50は、表示パネル31とガラスパネルユニット40とのいずれよりも強度が高い。つまり、保護板50は、表示パネル31とガラスパネルユニット40を保護する機能を有している。
【0028】
回路部60は、表示部30を制御するための機能ユニットである。回路部60は、外部装置から与えられる画像信号(映像信号)に基づいて表示部30を制御し、表示パネル31に画像を表示させる。回路部60は、ガラス板20の第1面21において所定領域210に配置される。特に、回路部60は、所定領域210の不透過領域210bにおいて、取付領域211の近傍に配置される。
【0029】
緩衝部材70は、図3に示すように、ガラスパネルユニット40と回路部60との間に配置される。緩衝部材70は、ガラスパネルユニット40と回路部60との衝突を防止し、ガラスパネルユニット40及び回路部60を保護する。緩衝部材70は、細長い角棒状である。緩衝部材70は、ウレタンフォーム等の緩衝材として周知の材料により形成され得る。
【0030】
枠部80は、ガラス板20、表示パネル31、ガラスパネルユニット40、及び保護板50の外縁の少なくとも一部をまとめて覆うように構成されている。特に、本実施形態では、ガラス板20、表示パネル31、ガラスパネルユニット40、及び保護板50は、矩形の板状である。図1及び図2に示すように、枠部80は、ガラス板20、表示パネル31、ガラスパネルユニット40、及び保護板50の外縁を構成する四辺のうち三辺を覆うように構成されている。特に、枠部80は、ガラス板20、表示パネル31、ガラスパネルユニット40、及び保護板50の外縁を構成する四辺のうち、ガラス板20の所定領域210に対応する三辺を覆う。枠部80は、図4に示すように、第1側部81と、一対の第2側部82とを備える。第1側部81と一対の第2側部82は、いずれも長尺の棒状であり、長さ方向に直交する断面がU字状である。つまり、第1側部81と一対の第2側部82都の内側に、ガラス板20、表示パネル31、ガラスパネルユニット40、及び保護板50の外縁の一部が挿入される(図3参照)。なお、枠部80は、樹脂材料により形成され得る。枠部80は、金属材料により形成されてもよい。
【0031】
カバー90は、駆動部32及び回路部60を保護するための部材である。カバー90は、一面が開口した矩形の箱状である。カバー90は、ガラス板20の第1面21に配置される。特に、図3に示すように、カバー90は、ガラス板20の第1面21に、駆動部32及び回路部60を覆うように配置される。なお、カバー90は、樹脂材料により形成され得る。カバー90は、金属材料により形成されてもよい。
【0032】
(1-3)使用例
本実施形態のディスプレイ装置10は、図11に示すように、表示パネル31によって、画像P10を表示することが可能である。また、ディスプレイ装置10は、透過性のディスプレイ装置であるから、ディスプレイ装置10の背後(背景)を透かして見ることが可能である。つまり、ディスプレイ装置10は、必要に応じて、背景を見せることができ、画像P10等の映像を見せることもできる。また、ディスプレイ装置10は、背景の視認性を損なうことなく、画像P10によって所望の情報を背景に重ねて表示することが可能である。一例として、ディスプレイ装置10は、図12に示すような移動体100に適用され得る。この場合、ディスプレイ装置10を取り付ける対象物は、移動体100の移動体本体110であってよい。ここで、移動体100は、乗物であり、本実施形態では自動車である。つまり、移動体本体110は車体である。ディスプレイ装置10は、移動体100の窓(ウインドシールド)として移動体本体110に搭載されている。この場合には、ディスプレイ装置10は、表示パネル31によって、車速情報、ナビゲーション情報、歩行者情報、前方車両情報、車線逸脱情報、及び車両コンディション情報等の、種々の運転支援情報を、背景に重ねて表示し、ユーザに視認させることができる。
【0033】
なお、ディスプレイ装置10は、自動車に限らず、例えば、二輪車、電車、航空機、建設機械、及び船舶等、自動車以外の移動体にも適用可能である。さらに、ディスプレイ装置10は、移動体に限らず、固定体にも適用され得る。固定体の例としては、自動販売機や、ショーケース、施設が挙げられる。自動販売機や、ショーケース、施設においても、ディスプレイ装置10は窓として利用可能である。なお、施設の例としては、住宅(例えば、戸建住宅、集合住宅)、非住宅(例えば、工場、商業施設、アミューズメント施設、病院、事務所、ビル)が挙げられる。
【0034】
(2)変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。
【0035】
上記実施形態では、ディスプレイ装置10は矩形状であるが、ディスプレイ装置10は、円形状や多角形状など所望の形状であってもよい。つまり、ガラス板20、表示パネル31、ガラスパネルユニット40、及び保護板50は、矩形状ではなく、円形状や多角形状など所望の形状であってもよい。また、ディスプレイ装置10の形状や大きさは、ディスプレイ装置10の用途に応じて決定される。一例として、ディスプレイ装置10は、移動体100の窓(ウインドシールド、サイドウィンドウ、リアウィンドウ等)に応じた形状であってよい。
【0036】
一変形例では、ディスプレイ装置10は、保護板50を備えていなくてもよい。また、ディスプレイ装置10は、回路部60を備えていなくてもよい。また、ディスプレイ装置10は、緩衝部材70を備えていなくてもよい。また、ディスプレイ装置10は、枠部80を備えていなくてもよい。また、ディスプレイ装置10は、カバー90を備えていなくてもよい。
【0037】
一変形例では、ガラス板20は、第1面21と第2面22との少なくとも一方に、所望の物理特性を有する機能層を備えていてもよい。機能層は、例えば、特定波長の光を反射する膜(赤外線反射膜、紫外線反射膜)、強度を向上させるためのガラス膜、及び、反射防止膜等である。機能層は、コーティングにより形成されてもよいし、フィルムを貼付することで設けられていてもよい。この点は、表示パネル31、ガラスパネルユニット40、及び保護板50においても同様である。
【0038】
一変形例では、ガラス板20は、加飾を含む曲げガラス板、合わせ曲げガラス板、複層曲げガラス板でもよい。あるいは、ガラス板20は、曲げガラス板に限らず直線状のガラスでもよい。つまり、ガラス板20は、曲面部202がなく平面部201のみで構成されてもよい。
【0039】
上記実施形態では、表示部30の表示パネル31は、透明OLEDを利用したディスプレイ(透明OLEDディスプレイ)であるが、透明液晶又は透明LEDディスプレイ等であってもよい。つまり、表示パネル31には、従来周知の透過型ディスプレイ又は透明ディスプレイを採用できる。
【0040】
一変形例では、表示パネル31は、中間膜を介してガラスパネルユニット40に接合されてもよい。中間膜を利用することにより、表示パネル31やガラスパネルユニット40の破損時のガラスの飛散防止効果が期待できる。中間膜の材料としては、EVA、PVB、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン系接着性ポリマー等が挙げられる。中間膜は、中間膜を介して背景を視認できるように可視光を透過する性質を有しているとよい。特に、中間膜は無色透明であるとよい。なお、表示パネル31とガラスパネルユニット40との接合は、樹脂埋めのダイレクトボンディングにより実現されてもよい。つまり、表示パネル31とガラスパネルユニット40とを接着剤を用いて隙間なく接合してよい。接着剤の例としては、透明粘着剤(OCA)、及び紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0041】
一変形例では、ガラスパネルユニット40の構成は、上記の構成に限定されず、従来周知の真空断熱ガラスユニットの構成と同じであってよい。一例として、ガラスパネルユニット40は、排気孔47のない構成であってもよい。排気口レスのガラスパネルユニットは既に周知であるから特には説明しない。
【0042】
一変形例では、ガラスパネルユニット40は、上述したような中間膜を介してガラス板20に接合されてもよい。なお、ガラスパネルユニット40とガラス板20との接合は、樹脂埋めのダイレクトボンディングにより実現されてもよい。つまり、ガラスパネルユニット40とガラス板20とを上述したような接着剤を用いて隙間なく接合してよい。
【0043】
一変形例では、保護板50は、上述したような中間膜を介して表示パネル31に接合されてもよい。なお、保護板50と表示パネル31との接合は、樹脂埋めのダイレクトボンディングにより実現されてもよい。つまり、保護板50と表示パネル31とを上述したような接着剤を用いて隙間なく接合してよい。
【0044】
(3)態様
第1の態様は、ディスプレイ装置(10)であって、ガラス板(20)と、透過型の表示パネル(31)と、ガラスパネルユニット(40)と、を備える。前記表示パネル(31)は、前記ガラス板(20)の所定領域(210)に対向し、前記所定領域(210)内に収まる。前記ガラスパネルユニット(40)は、前記ガラス板(20)の所定領域(210)と前記表示パネル(31)との間にあって、前記所定領域(210)内に収まり、減圧状態の内部空間(44)を有する。この態様によれば、断熱性能を向上しつつ耐久性能の向上が図れる。
【0045】
第2の態様は、第1の態様に基づくディスプレイ装置(10)である。第2の態様では、前記ガラス板(20)は、対象物(110)に取り付けるための取付領域(211)を有する。前記取付領域(211)は、前記ガラス板(20)において前記所定領域(210)と重ならない領域にある。この態様によれば、ディスプレイ装置(10)の対象物(110)の取り付けが容易になる。
【0046】
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づくディスプレイ装置(10)である。第3の態様では、前記ガラス板(20)は、平面部(201)と、曲面部(202)と、を含む。前記所定領域(210)は、前記平面部(201)にある。この態様によれば、表示パネル(31)を配置しやすくなる。
【0047】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか一つに基づくディスプレイ装置(10)である。第4の態様では、前記ディスプレイ装置(10)は、前記表示パネル(31)を駆動する駆動部(32)を更に備える。前記駆動部(32)は、前記表示パネル(31)と重ならないように配置される。この態様によれば、駆動部(32)を表示パネル(31)による画像(P10)の視認性に影響を与えない場所に配置できる。
【0048】
第5の態様は、第4の態様に基づくディスプレイ装置(10)である。第5の態様では、前記駆動部(32)は、前記ガラスパネルユニット(40)における前記ガラス板(20)とは反対側の面に配置される。この態様によれば、ガラスパネルユニット(40)を駆動部(32)の熱からの保護にも利用できる。
【0049】
第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか一つに基づくディスプレイ装置(10)である。第6の態様では、前記所定領域(210)は、透過領域(210a)と、前記透過領域(210a)を囲う不透過領域(210b)とを含む。前記ガラスパネルユニット(40)の外縁は、前記不透過領域(210b)にある。この態様によれば、ガラスパネルユニット(40)の外縁を不透過領域(210b)で隠すことが可能となる。
【0050】
第7の態様は、第6の態様に基づくディスプレイ装置(10)である。第7の態様では、前記不透過領域(210b)は、暗色の領域である。この態様によれば、ガラスパネルユニット(40)の外縁を不透過領域(210b)で隠すことが可能となる。
【0051】
第8の態様は、第6又は第7の態様に基づくディスプレイ装置(10)である。第8の態様では、前記ガラスパネルユニット(40)は、封止材(48)により封止された排気孔(47)を有する。前記排気孔(47)は、前記不透過領域(210b)にある。この態様によれば、排気孔(47)を見えにくくすることが可能となる。
【0052】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか一つに基づくディスプレイ装置(10)である。第9の態様では、前記ガラス板(20)は、前記表示パネル(31)と前記ガラスパネルユニット(40)とのいずれよりも強度が高い。この態様によれば、表示パネル(31)とガラスパネルユニット(40)とをガラス板(20)で保護できる。
【0053】
第10の態様は、移動体(100)であって、第1~第9の態様のいずれか一つのディスプレイ装置(10)と、前記ディスプレイ装置(10)が窓として搭載される移動体本体(110)と、を備える。この態様によれば、断熱性能を向上しつつ耐久性能の向上が図れる。
【符号の説明】
【0054】
10 ディスプレイ装置
20 ガラス板
201 平面部
202 曲面部
210 所定領域
210a 透過領域
210b 不透過領域
211 取付領域
31 表示パネル
32 駆動部
40 ガラスパネルユニット
44 内部空間
47 排気孔
48 封止材
P10 画像
100 移動体
110 移動体本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12