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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】路面評価システム及び評価方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/01 20060101AFI20230526BHJP
【FI】
E01C23/01
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019130803
(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公開番号】P2021014742
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2018年7月23日に、「路面評価システム及び評価方法」について、学位論文公開発表を行った。 2018年9月5日に、「路面評価システム及び評価方法」に関する学位論文について、インターネット公開のため、北見工業大学学術機関リポジトリ(KIT-R)博士論文登録書に署名した。
(73)【特許権者】
【識別番号】504300088
【氏名又は名称】国立大学法人北海道国立大学機構
(73)【特許権者】
【識別番号】000181354
【氏名又は名称】鹿島道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 智彦
(72)【発明者】
【氏名】川村 彰
(72)【発明者】
【氏名】富山 和也
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-123510(JP,A)
【文献】岡部俊幸、大嶋智彦、川村彰、富山和也,タイヤ/路面騒音を活用した路面の局在損傷の評価方法に関する研究,土木学会論文集E1(舗装工学) ,日本,公益社団法人 土木学会,2017年12月,Vol.73,No.3(舗装工学論文集第22巻),第I_107-I_114頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/01
J-STAGE
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタイヤにおける路面騒音を測定する路面騒音測定装置と、車速を測定する速度センサと、車両の現在位置の情報を取得する装置と、外気温を測定する装置と、制御装置を備え、
前記制御装置は、音圧レベルを外気温と車速により補正する機能と、
補正された路面騒音の内の250Hz以下の第1及び第2の低周波数の音圧レベルを選択する機能と、選択された音圧レベルと基準路面における前記250Hz以下の第1及び第2の低周波数の音圧レベルとの音圧レベル差を演算する機能と、演算された音圧レベル差から路面を評価するためのパラメータを式 ((第1の低周波数における音圧レベル差)2+(第2の低周波数における音圧レベル差)21/2 により演算する機能と、演算されたパラメータをしきい値と比較する機能と、前記パラメータの値がしきい値よりも大きい位置の路面を損傷が存在する路面と判断する機能を有することを特徴とする路面評価システム。
【請求項2】
車両のタイヤにおける路面騒音を測定する路面騒音測定装置と、車速を測定する速度センサと、車両の現在位置の情報を取得する装置と、外気温を測定する装置と、制御装置を備え、
前記制御装置は、測定された路面騒音を測定された外気温と車速により補正する機能と、補正された路面騒音の音圧レベルと基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差を演算する機能と、演算された音圧レベル差と路面の位置との特性を決定する機能と、音圧レベル差と路面の位置との特性から路面の評価が可能なイメージデータを作成し、前記イメージデータに基づいて路面損傷の可能性が高い路面位置を決定する機能と、決定された路面位置における補正された路面騒音の内の250Hz以下の第1及び第2の低周波数の音圧レベルを選択する機能と、選択された音圧レベルと基準路面における前記250Hz以下の第1及び第2の低周波数の音圧レベルとの音圧レベル差を演算する機能と、演算された音圧レベル差から路面を評価するためのパラメータを式 ((第1の低周波数における音圧レベル差)2+(第2の低周波数における音圧レベル差)21/2 により演算する機能と、演算されたパラメータをしきい値と比較する機能と、前記パラメータの値がしきい値よりも大きい位置の路面を損傷が存在する路面と判断する機能を有することを特徴とする路面評価システム。
【請求項3】
路面騒音測定装置により車両のタイヤにおける路面騒音を測定する工程と、
速度センサにより車速を測定する工程と、
車両の現在位置の情報を取得する工程と、
外気温を測定する工程と、
測定された路面騒音を測定された外気温と車速により補正する工程と、
補正された路面騒音の内の250Hz以下の第1及び第2の低周波数の音圧レベルを選択する工程と、
選択された音圧レベルと基準路面における前記250Hz以下の第1及び第2の低周波数の音圧レベルとの音圧レベル差を演算する工程と、
演算された音圧レベル差から路面を評価するためのパラメータを式 ((第1の低周波数における音圧レベル差)2+(第2の低周波数における音圧レベル差)21/2 により演算する工程と、
演算されたパラメータをしきい値と比較する工程と、
前記パラメータの値がしきい値よりも大きい位置の路面を損傷が存在する路面と判断する工程を有することを特徴とする路面評価方法。
【請求項4】
路面騒音測定装置により車両のタイヤにおける路面騒音を測定する工程と、
速度センサにより車速を測定する工程と、
車両の現在位置の情報を取得する工程と、
外気温を測定する工程と、
測定された路面騒音を測定された外気温と車速により補正する工程と、
補正された路面騒音の音圧レベルと基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差を演算する工程と、
演算された音圧レベル差と路面の位置との特性を決定する工程と、
決定された音圧レベル差と路面の位置との特性から路面の評価が可能なイメージデータを作成する工程と、
前記イメージデータに基づいて路面損傷の可能性が高い路面位置を決定する工程と、
決定された路面位置における補正された路面騒音の内の250Hz以下の第1及び第2の低周波数の音圧レベルを選択する工程と、
選択された音圧レベルと基準路面における前記250Hz以下の第1及び第2の低周波数の音圧レベルとの音圧レベル差を演算する工程と、
演算された音圧レベル差から路面を評価するためのパラメータを式 ((第1の低周波数における音圧レベル差)2+(第2の低周波数における音圧レベル差)21/2 により演算する工程と、
演算されたパラメータをしきい値と比較する工程と、前記パラメータの値がしきい値よりも大きい位置の路面を損傷が存在する路面と判断する工程を有することを特徴とする路面評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
路面の段差やひび割れ等の各種損傷を検討して路面を評価することは、道路を走行する車両の安全な運行に直結し、非常に重要である。そのため、路面評価は正確に実行されなければならない。
従来の路面評価は、専用の路面性状測定車による計測に基づいて行われていた。しかし、専用の路面性状測定車は大変に高額であり、その減価償却を考慮すると、専用の路面性状測定車による測定のコストは、例えば1回の計測で100万円程度/回の高額になってしまう。それに加えて、専用の路面性状測定車を用いたデータの解析には、専用の装置や人材が必要となる。そのため、専用の路面性状測定車を用いた路面の凹凸評価には、多大なコストが必要である。
これに対して、専用の路面性状測定車を用いること無く、作業員のみにより人力で路面評価に必要な調査、計測を行うことも考えられる。しかし、路面評価に必要な調査、計測を行っている間は、作業員の安全を画するため、評価の対象となる路面に車両を走行するのを規制する必要がある。そのため、作業員のみによる(人力による)路面評価は、評価の対象となる路面が極めて短い距離の場合(いわゆる「プロジェクトレベル」)でなければ、従来は困難であった。
【0003】
上述した様な問題を解決するため、出願人は、路面騒音によって路面評価を行う技術を提案した(特許文献1参照)。この技術(特許文献1)は、路面騒音を測定し、車両の現在位置を特定し、路面騒音を外気温と車速により補正し、補正された路面騒音と路面の位置との関係を決定し、当該路面騒音と路面の位置との関係から路面の評価が可能なイメージデータを作成しており、非常に有用である。
しかし、出願人は、当該技術(特許文献1)をさらに改良して、正確かつ容易に路面を評価したいという希望を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-123510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術(特許文献1)をさらに改良して、正確かつ容易に路面を評価することが出来る路面評価システム及び評価方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の路面評価システム(100)は、車両(1)のタイヤ(例えば左右何れかの後輪2)における路面騒音を測定する路面騒音測定装置(例えばマイクロホン3)と、車速を測定する速度センサ(5)と、車両(1)の現在位置の情報を取得する装置(例えば、衛星60からの信号に基づいて当該車両1の現在位置の情報(位置情報)を取得する装置(GPSレシーバ6)、エンジン制御コンピュータ7からの車速パルスを受信する装置、距離測定装置等)と、外気温を測定する装置(9)と、制御装置(10:PC、その他の情報処理機能を有する装置)を備え、
前記制御装置(10)は、音圧レベル(例えば、測定された路面騒音の音圧レベル:基準路面の路面騒音の音圧レベルを含む)を外気温と車速により補正する機能と、補正された路面騒音の音圧レベルと基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差を演算する機能と、演算された音圧レベル差と路面の位置との特性を決定する機能と、演算された音圧レベル差と路面の位置との特性から(例えば路面の段差やひび割れ等の)路面の評価が可能なイメージデータ(路面評価用イメージデータ:サウンドスペクトログラム或いは図表等を含む)を作成する機能と、前記イメージデータに基づいて路面評価をする機能を有することを特徴としている。
ここで、前記イメージデータに基づいて路面評価をする機能は人間(例えばオペレータや研究者等)により実行することが出来るし、或いは、情報処理機能を有する計算機(コンピュータ等)におけるデータ処理により実行することも可能である。
【0007】
本発明の路面評価システム(100)において、前記制御装置(10)は、測定された路面騒音を所定範囲の周波数毎に分割する機能と、分割された周波数毎に決定された音圧レベルの差と路面の位置との特性を合成して路面の評価が可能なイメージデータ(路面評価用イメージデータ)を作成する機能を有するのが好ましい。
或いは前記制御装置(10)は、(例えばフィルタにより)測定された路面騒音の音圧レベルから、基準路面の音圧レベルを全ての周波数で減算する機能を有することが可能である。
【0008】
係るシステム(100)を用いて行われる本発明の路面評価方法は、
路面騒音測定装置(例えばマイクロホン3)により車両(1)のタイヤ(例えば左右何れかの後輪2)における路面騒音を測定する工程と、
速度センサ(5)により車速を測定する工程と、
(例えば、衛星60からの信号に基づいて当該車両1の現在位置の情報(位置情報)を取得する装置(衛星測位システムの受信装置:例えばGPSレシーバ6)、エンジン制御コンピュータ7からの車速パルスを受信する装置、距離測定装置等により)車両(1)の現在位置の情報を取得する工程と、
外気温を測定する工程と、
音圧レベルを外気温と車速により補正する工程と、
補正された路面騒音の音圧レベルと基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差を演算する工程と、
演算された音圧レベル差と路面の位置との特性を決定する工程と、
決定された音圧レベル差と路面の位置との特性から(例えば路面の段差やひび割れ等の)路面の評価が可能なイメージデータ(路面評価用イメージデータ:サウンドスペクトログラム、或いは図表等を含む)を作成する工程と、
前記イメージデータに基づいて路面評価をする工程を有することを特徴としている。
ここで本発明の路面評価方法において、前記イメージデータに基づいて路面評価をする工程は人間(例えばオペレータや研究者等)により実行することが出来る。
或いは、本発明の路面評価システムにおける制御装置(におけるデータ処理)により、前記イメージデータに基づいて路面評価を実行することも可能である。
【0009】
本発明の路面評価方法は、測定された路面騒音を所定範囲の周波数毎に分割する工程と、
分割された周波数毎に決定された音圧レベル差と路面の位置との特性を合成して路面の評価が可能なイメージデータ(路面評価用イメージデータ)を作成する工程を有するのが好ましい。
或いは本発明の路面評価方法において、(例えばフィルタにより)測定された路面騒音の音圧レベルから基準路面の音圧レベルを全ての周波数で減算する工程を有することが可能である。
【0010】
また本発明の路面評価システム(100-1)は、車両(1)のタイヤ(例えば左右何れかの後輪2)における路面騒音を測定する路面騒音測定装置(例えばマイクロホン3)と、車速を測定する速度センサ(5)と、車両(1)の現在位置の情報を取得する装置(例えば、衛星60からの信号に基づいて当該車両1の現在位置の情報(位置情報)を取得する装置(GPSレシーバ6)、エンジン制御コンピュータ7からの車速パルスを受信する装置、距離測定装置等)と、外気温を測定する装置(9)と、制御装置(10-1:PC、その他の情報処理機能を有する装置)を備え、
前記制御装置(10-1)は、音圧レベルを外気温と車速により補正する機能と、
補正された路面騒音の内の第1及び第2の低周波数の音圧レベルを選択する機能と、選択された音圧レベルと基準路面における前記第1及び第2の低周波数の音圧レベルとの音圧レベル差(LF、LF)を演算する機能と、演算された音圧レベル差(LF、LF)から路面を評価するためのパラメータ(LDI)を式
((第1の低周波数における音圧レベル差LF)+(第2の低周波数における音圧レベル差LF)1/2
により演算する機能と、演算されたパラメータ(LDI)をしきい値(LDIしきい値)と比較する機能と、前記パラメータの値がしきい値(LDIしきい値)よりも大きい位置の路面を損傷が存在する路面と判断する機能を有することを特徴としている。
ここで、第1の低周波数は80~125Hzが好ましく、第2の低周波は160~250Hzが好ましい。
【0011】
この様なシステム(100-1)による本発明の路面評価方法は、
路面騒音測定装置(例えばマイクロホン3)により車両(1)のタイヤ(例えば左右何れかの後輪2)における路面騒音を測定する工程と、
速度センサ(5)により車速を測定する工程と、
(例えば、衛星60からの信号に基づいて当該車両1の現在位置の情報(位置情報)を取得する装置(衛星測位システムの受信装置:例えばGPSレシーバ6)、エンジン制御コンピュータ7からの車速パルスを受信する装置、距離測定装置等により)車両(1)の現在位置の情報を取得する工程と、
外気温を測定する工程と、
測定された路面騒音を測定された外気温と車速により補正する工程と、
補正された路面騒音の内の第1及び第2の低周波数の音圧レベルを選択する工程と、
選択された音圧レベルと基準路面における前記第1及び第2の低周波数の音圧レベルとの音圧レベル差(LF、LF)を演算する工程と、
演算された音圧レベル差(LF、LF)から路面を評価するためのパラメータ(LDI)を式
((第1の低周波数における音圧レベル差LF)+(第2の低周波数における音圧レベル差LF)1/2
により演算する工程と、
演算されたパラメータ(LDI)をしきい値(LDIしきい値)と比較する工程と、
前記パラメータ(LDI)の値がしきい値(LDIしきい値)よりも大きい位置の路面を損傷が存在する路面と判断する工程を有することを特徴としている。
【0012】
さらに本発明の路面評価システム(100-2)は、車両(1)のタイヤ(例えば左右何れかの後輪2)における路面騒音を測定する路面騒音測定装置(例えばマイクロホン3)と、車速を測定する速度センサ(5)と、車両(1)の現在位置の情報を取得する装置(例えば、衛星60からの信号に基づいて当該車両1の現在位置の情報(位置情報)を取得する装置(GPSレシーバ6)、エンジン制御コンピュータ7からの車速パルスを受信する装置、距離測定装置等)と、外気温を測定する装置(9)と、制御装置(10-2:PC、その他の情報処理機能を有する装置)を備え、
前記制御装置(10-2)は、測定された路面騒音を測定された外気温と車速により補正する機能と、補正された路面騒音の音圧レベルと基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差を演算する機能と、演算された音圧レベル差と路面の位置との特性を決定する機能と、音圧レベル差と路面の位置との特性から(例えば路面の段差やひび割れ等の)路面の評価が可能なイメージデータ(路面評価用イメージデータ:例えば図表等を含む)を作成し、前記イメージデータに基づいて路面損傷の可能性が高い路面位置を決定する機能と、決定された路面位置における補正された路面騒音の内の第1及び第2の低周波数の音圧レベルを選択する機能と、選択された音圧レベルと基準路面における前記第1及び第2の低周波数の音圧レベルとの音圧レベル差(LF、LF)を演算する機能と、演算された音圧レベル差(LF、LF)から路面を評価するためのパラメータ(LDI)を式
((第1の低周波数における音圧レベル差LF)+(第2の低周波数における音圧レベル差LF)1/2
により演算する機能と、演算されたパラメータ(LDI)をしきい値(LDIしきい値)と比較する機能と、前記パラメータ(LDI)の値がしきい値(LDIしきい値)よりも大きい位置の路面を損傷が存在する路面と判断する機能を有することを特徴としている。
ここで、前記イメージデータに基づいて路面損傷の可能性が高い路面位置を決定する機能は、人間(例えばオペレータや研究者等)により実行することが出来るし、或いは、情報処理機能を有する計算機(例えばコンピュータ、各種端末等)におけるデータ処理として実行することも可能である。
【0013】
係るシステム(100-2)を用いて行われる本発明の路面評価方法は、
路面騒音測定装置(例えばマイクロホン3)により車両のタイヤ(例えば左右何れかの後輪2)における路面騒音を測定する工程と、
速度センサ(5)により車速を測定する工程と、
(例えば、衛星60からの信号に基づいて当該車両1の現在位置の情報(位置情報)を取得する装置(衛星測位システムの受信装置:例えばGPSレシーバ6)、エンジン制御コンピュータ7からの車速パルスを受信する装置、距離測定装置等により)車両(1)の現在位置の情報を取得する工程と、
外気温を測定する工程と、
測定された路面騒音を測定された外気温と車速により補正する工程と、
補正された路面騒音の音圧レベルと基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差を演算する工程と、
演算された音圧レベル差と路面の位置との特性を決定する工程と、
決定された音圧レベル差と路面の位置との特性から(例えば路面の段差やひび割れ等の)路面の評価が可能なイメージデータ(路面評価用イメージデータ:例えば図表等を含む)を作成する工程と、
前記イメージデータに基づいて路面損傷の可能性が高い路面位置を決定する工程と、
決定された路面位置における補正された路面騒音の内の第1及び第2の低周波数の音圧レベルを選択する工程と、
選択された音圧レベルと基準路面における前記第1及び第2の低周波数の音圧レベルとの音圧レベル差(LF、LF)を演算する工程と、
演算された音圧レベル差(LF、LF)から路面を評価するためのパラメータ(LDI)を式
((第1の低周波数における音圧レベル差LF)+(第2の低周波数における音圧レベル差LF)1/2
により演算する工程と、
演算されたパラメータ(LDI)をしきい値(LDIしきい値)と比較する工程と、前記パラメータ(LDI)の値がしきい値(LDIしきい値)よりも大きい位置の路面を損傷が存在する路面と判断する工程を有することを特徴としている。
ここで本発明の路面評価方法において、イメージデータに基づいて路面損傷の可能性が高い路面位置を決定する工程は人間(例えばオペレータや研究者等)により実行することが出来るし、或いは、或いは、情報処理機能を有する計算機(コンピュータ等)におけるデータ処理により実行することも可能である。
【0014】
本発明において、音圧レベル差(LF、LF)を演算するに際しては、対数として演算しても良いし、或いは、dBの絶対値同士を単純に減算しても良い。
また本発明において、前記基準路面は、評価対象となる路面における損傷が少ない良好な領域の路面、新しい舗装を施工した直後の路面、研究施設に設けられている密粒度舗装の路面の何れかより選択することが出来る。
ここで本発明の路面評価システム(100、100-1、100-2)は、車両に搭載可能な機器により構成されている。この車両は乗用車であっても良いし、二輪車や貨物用自動車であっても良い。
【発明の効果】
【0015】
上述する構成を具備する本発明によれば、本発明のシステム(100、100-1、100-2)を搭載した車両(1)を評価するべき路面上で走行すると、車両(1)のタイヤ(例えば左右何れかの後輪2)における路面騒音を路面騒音測定装置(例えばマイクロホン3)で測定することにより、当該路面騒音に基づいて路面の評価を行うことが出来る。そして、路面騒音を測定するという簡易な手法により路面評価を実行することが出来るので、路面評価に係るコストを大幅に低減することが可能になる。
そして本発明によれば、全ての構成機器を通常の車両に搭載することが可能であり、専用の路面性状測定車を購入せずに、通常の車両に若干の改造を施すことにより導入することが出来る。そのため、路面評価に係るコストを安価にすることが出来る。さらに、作業員による測定のように、評価するべき路面の交通を規制する必要もなく、路面上で作業員に危険が及んでしまうことも防止される。
上述した様に、路面騒音と路面のきめ深さとは強い相関関係があるので、路面騒音により評価を行う本発明によれば、路面のひび割れ状態の把握、段差やピットホールの抽出、路面粗さの把握を正確に実行することが出来る。
【0016】
本発明において、音圧レベル差(補正された路面騒音の音圧レベルと基準路面の音圧レベルとの差)と路面の位置との特性から(例えば路面の段差やひび割れ等の)路面の評価が可能なイメージデータ(路面評価用イメージデータ:例えば図表等を含む)を作成しているので、路面損傷の可能性のある部分を明確に特定することが出来る。
そして、例えば、補正された路面騒音の音圧レベルと路面の位置との特性から作成した路面の評価が可能なイメージデータ(特許文献1のイメージデータ)に比較して、特に、周波数毎のdBの濃淡を用いて表示したサウンドスペクトラムを用いた場合には、dBの濃淡の表示を調整しなくても、路面損傷の恐れがある箇所が明確に表示される。
【0017】
また本発明において、式
((第1の低周波数における音圧レベル差LF)+(第2の低周波数における音圧レベル差LF)1/2
により演算されるパラメータ(LDI)により(例えば、LDIしきい値と比較することにより)、当該パラメータ(LDI)の箇所が路面損傷の恐れがあるか否かを瞬時に判断できるという利点がある。
【0018】
さらに本発明において、前記イメージデータから路面損傷の恐れがある箇所を選択し、当該選択された箇所について前記パラメータ(LDI)を演算することにより、評価対象である路面全体のパラメータを演算することに比較して演算の労力及びコストが低減する。
また、路面損傷の可能性が高い路面位置におけるパラメータ(LDI)により損傷の評価を行うので、路面の評価が容易且つ確実に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態のブロック図である。
図2】第1実施形態における制御装置を示す機能ブロック図である。
図3】第1実施形態の制御を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態におけるサウンドスペクトログラムの一例を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態における制御装置を示す機能ブロック図である。
図6】第2実施形態の制御を示すフローチャートである。
図7】本発明の第3実施形態における制御装置の一部を示す機能ブロック図である。
図8】第3実施形態における制御装置における図7とは別の部分を示す機能ブロック図である。
図9】第3実施形態の制御の一部を示すフローチャートである。
図10】第3実施形態の制御における図9で示す以外の手順における制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に図1図2図3を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
図1において、全体を符号100で示す路面評価システムは、車両1と、車両1のタイヤ2(図示の例では、左側の後輪)における路面とタイヤによる騒音(路面騒音:タイヤ/路面騒音)を測定する路面騒音測定装置3(以下、「マイクロホン3」と言う)と、車速センサ5と、車両1の現在位置の情報を取得する装置6(例えば、衛星60からの信号に基づいて当該車両1の現在位置の情報(位置情報)を取得する装置(以下、「GPSレシーバ6」と言う)を備えている。
【0021】
さらに路面評価システム100は、エンジン制御コンピュータ7と、車体の外板に取り付けた外気温を測定する装置9(以下、「温度センサ9」と言う)と、カメラ40と、制御装置10(PC、その他の情報処理機能を有する装置)を備えている。
車体の外板に温度センサ9を取り付けることに代えて、車内に設けた温度センサの測定結果を処理して、外気温を決定することも可能である。
カメラ40は、動画カメラを用い、車両上方に取り付け、周囲の景色と路面の双方を同時に撮影可能としている。
【0022】
図1において、マイクロホン3と左側後輪2との間には、後輪2の発する風切り音の影響を遮断するための防風スクリーン4が配置されている。
マイクロホン3は、タイヤ2の風切音の影響を受けず、可聴音の路面騒音を確実に録音でき、防風スクリーン4がタイヤ2と干渉しない位置に設けられる。そして車両前後方向におけるマイクロホン3の設置位置は、例えば、後輪の路面との接地点から650mm以上後方である。ただし、タイヤの風切り音を拾わず、可聴音の路面騒音を録音でき、防風スクリーン4がタイヤと干渉しない位置であれば、車両前後方向において、後輪の路面との接地点からの650mm未満の距離にマイクロホン3を設けても良い。
マイクロホン3の高さ方向位置は、マイクロホン3を包囲する防風スクリーン4が、路面FRと接触しないように設定され、例えば地上200mm以上にマイクロホン3が設置される。ただし、防風スクリーン4が路面と接触しない位置であれば、地上200mm未満の位置にマイクロホン3を設けても良い。
【0023】
GPSレシーバ6で受信した衛星60からの情報によって車両1の位置を特定するには、車両位置の精度は低い(粗い)。車両位置の精度を高くして、細かく路面評価をするためには、エンジン制御コンピュータ7から発信される車速パルスに基づいて、車両の位置を特定する。
ここで、車両の位置を高精度で特定する機能は、制御装置10における車両位置決定ブロック12(後述:図2参照)が有している。
【0024】
次に図2に基づいて、制御装置10を説明する。
図2において、制御装置10は、路面騒音決定ブロック11、車両位置決定ブロック12、車速決定ブロック13、外気温決定ブロック14、分割ブロック15、音圧レベル補正ブロック16、音圧レベル減算ブロック17、特性決定ブロック18、イメージデータ作成ブロック19、記憶ブロック20を備えている。
【0025】
路面騒音決定ブロック11は、情情報伝達ラインL1を介し且つインターフェースIF1を経由してマイクロホン3と接続されていると共に、情報伝達ラインL2により分割ブロック15に接続されている。
路面騒音決定ブロック11は、マイクロホン3から取得した音声情報により、測定された路面騒音の音圧レベルを決定する機能を有していると共に、情報伝達ラインL2を介して決定した路面騒音の音圧レベルを分割ブロック15に送信する機能を有している。
【0026】
車両位置決定ブロック12は、情情報伝達ラインL3を介し且つインターフェースIF1を経由してGPSレシーバ6と接続されていると共に、情報伝達ラインL4を介し且つインターフェースIF1を経由してエンジン制御コンピュータ7の車速パルス発信部(図示せず)と接続されている。
車両位置決定ブロック12は、GPSレシーバ6からの情報によって、路面評価をしている位置(車両1の位置)の精度が比較的低い位置情報を取得して、車両1の大体の位置を把握する。そして、エンジン制御コンピュータ7の車速パルス発信部から発信される車速パルスに基づいて、路面評価を行っている位置について、高精度の位置情報を取得する(車両1の正確な位置を特定する)。車両位置決定ブロック12で決定された路面評価位置の情報(車両位置情報)は、情報伝達ラインL5により特性決定ブロック18に送信される。
【0027】
車速決定ブロック13は、情報伝達ラインL6を介し且つインターフェースIF1を経由して車速センサ5と接続されると共に、情報伝達ラインL7を介して音圧レベル補正ブロック16と接続されている。
騒音測定時の路面騒音(音圧レベル)は車速の影響を受けるため、車速決定ブロック13で決定した車速情報を音圧レベル補正ブロック16に送信して、音圧レベルを補正する。
【0028】
外気温度決定ブロック14は、情報伝達ラインL8を介し且つインターフェースIF1を経由して温度センサ9と接続される共に、情報伝達ラインL9により音圧レベル補正ブロック16と接続されている。
騒音測定時の路面騒音(音圧レベル)は、外気温の影響を受けるため、外気温度決定ブロック14で決定した外気温情報を音圧レベル補正ブロック16に送信して、音圧レベルを補正する。
【0029】
分割ブロック15は、路面騒音決定ブロック11から取得した路面騒音の音圧レベルを、所定範囲の周波数毎の音圧レベルに分割する機能を有している。
分割ブロック15は、分割した周波数毎の音圧レベルを、情報信号ラインL10により音圧レベル補正ブロック16に送信する機能も有している。
音圧レベル補正ブロック16は、車速決定ブロック13から取得した車速情報及び外気温度決定ブロック14から取得した外気温情報を参照して、分割ブロック15から取得した周波数毎の音圧レベルを補正する機能を有している。
音圧レベル補正ブロック16は、補正された周波数毎の音圧レベルを、情報信号ラインL11により音圧レベル減算ブロック17に送信する機能も有している。
【0030】
音圧レベル減算ブロック17は、情報信号ラインL12により記憶ブロック20と接続されており、記憶ブロック20に記憶されている周波数毎の基準路面の音圧レベルを取得する。
音圧レベル減算ブロック17は、音圧レベル補正ブロック16から取得した周波数毎の補正された路面騒音の音圧レベル(計測された路面騒音の音圧レベルの補正値)と、記憶ブロック20から取得した周波数毎の基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差を演算する機能を有している。
音圧レベル減算ブロック17は、演算された音圧レベル差(周波数毎の路面騒音の音圧レベルと、周波数毎の基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差)を、情報信号ラインL13により特性決定ブロック18に送信する機能も有している。
【0031】
「基準路面」としては、評価対象である路面において損傷が少ない良好な領域の路面か、新しい舗装を施工した直後の路面か、或いは、研究施設に設けられている密粒度舗装の路面の何れかより選択することが出来る。
図示はされていないが、計測された路面騒音の音圧レベルは、車速と外気温による補正を行っており、基準面の音圧レベルに対しても車速、外気温の補正を行なった上で、前記音圧レベル差を演算している。
ここで、音圧レベルは「dB」単位で表され、対数(log)で定義されている。音圧レベル差を演算するに際してdB同士を減算すると、対数として演算することになる(logA-logB=logA/B)。
しかしながら図示の実施形態において、音圧レベルの差を演算するに際して、例えば、
100-60=40 → 40dB の様に、絶対値を単純に減算しても良い。図示の実施形態では、単純に絶対値を単純に減算する手法を採用している。
【0032】
特性決定ブロック18は、車両位置決定ブロック12から取得した路面評価位置の情報(車両位置情報)と音圧レベル減算ブロック17から取得した基準路面との音圧レベル差(周波数毎の路面騒音の音圧レベルと基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差)に基づき、周波数毎の路面位置と基準路面との音圧レベル差の特性を決定する機能を有している。
特性決定ブロック18で決定された周波数毎の路面位置と基準路面との音圧レベル差の特性は、情報信号ラインL14によりイメージデータ作成ブロック19に送信される。
【0033】
イメージデータ作成ブロック19は、インターフェースIF2を介して制御装置10外の表示装置50(モニタ)と情報信号ラインL15により接続されている。
イメージデータ作成ブロック19は、特性決定ブロック18から取得した周波数毎の路面位置と基準路面との音圧レベル差の特性に基づいて、例えば路面の段差やひび割れ等の路面の評価が可能なイメージデータ(路面評価用イメージデータ:サウンドスペクトログラム或いは図表等を含む)を作成する機能を有している。当該イメージデータの作成に際して、分割された周波数毎に決定された基準路面との音圧レベル差と路面位置との特性を全周波数に亘って合成して、路面評価が可能なイメージデータ(路面評価用イメージデータ)を作成する。係る作業は、既存のイメージ処理技術により行うことが出来る。
イメージデータ作成ブロック19は、作成したイメージデータ(評価用イメージデータ)を、表示装置50(モニタ)に送信する機能を有している。
【0034】
イメージデータ作成ブロック19で作成されたイメージデータ(評価用イメージ)に基づいて、(例えばモニタ50に表示させて)路面評価を実行することが出来る。当該路面評価は、オペレータ、研究者等が実行することが出来るが、情報処理機能を有する計算機(コンピュータ等)におけるデータ処理により実行することも可能である。
評価用イメージの一例が図4に示されるが、これについては後述する。
なお、制御装置10は、例えばフィルタを用いて、測定された路面騒音の音圧レベルから、基準路面の音圧レベルを全ての周波数で減算する機能を有する様に構成することも可能である。
【0035】
図1図2で示すシステムを用いた第1実施形態による路面評価の制御について、主として図3を参照して説明する。
図3において、ステップS1では、マイクロホン3で路面騒音を測定し、GPSレシーバ6から測定時の位置情報を取得し且つ車速パルスに基づいて測定時の位置情報を取得する。それと共に、車速センサ5により車速を測定し、温度センサ9により外気温を測定する。
測定された路面騒音は路面騒音決定ブロック11で処理され、測定時の位置情報は車両位置決定ブロック12で処理され、車速情報は車速決定ブロック13で処理され、外気温情報は外気温決定ブロック14で処理される。そしてステップS2に進む。
【0036】
ステップS2では、分割ブロック15により、路面騒音決定ブロック11から取得した路面騒音(音圧レベル)を周波数毎の音圧レベルに分割する。そしてステップS3に進む。
ステップS3では、音圧レベル補正ブロック16により、分割ブロック15から取得した周波数毎の音圧レベルを、車速決定ブロック13から取得した車速情報、外気温度決定ブロック14から取得した外気温情報に照らして(周波数毎に)補正する。車速情報、外気温情報に基づいて行われる補正は、基準路面の音圧レベルに対しても実行される。そしてステップS4に進む。
【0037】
ステップS4では、音圧レベル減算ブロック17により、音圧レベル補正ブロック16より取得した補正された周波数毎の路面騒音の音圧レベルから、記憶ブロック20より取得した周波数毎の基準路面の音圧レベルを減算し、音圧レベル差を演算する。そしてステップS5に進む。
ステップS5では、特性決定ブロック18により、音圧レベル減算ブロック17から取得した音圧レベル差(周波数毎の、路面騒音の音圧レベルと基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差)と車両位置決定ブロック12から取得した路面位置の情報(車両1の位置情報)に基づき、周波数毎の路面位置と音圧レベル差との特性を決定する。
そしてステップS5では、イメージデータ作成ブロック19により、周波数毎の路面位置と音圧レベル差との前記特性に基づいて、路面評価用イメージデータ(サウンドスペクトログラム或いは図表等を含む)を作成する。
そしてステップS6に進む。
【0038】
ステップS6では、ステップS5における路面位置と音圧レベル差との特性の決定及び路面評価用イメージデータの作成が、路面騒音決定ブロック11から取得した路面騒音(音圧レベル)における全ての周波数範囲について実行されたか否かを判断する。
ステップS6において、全ての周波数範囲について路面評価用イメージデータが作成された場合(ステップS6が「Yes」)はステップS7に進み、全ての周波数範囲について路面評価用イメージデータが作成されていない場合(ステップS6が「No」)はステップS3に戻ってステップS3以降を繰り返す。
【0039】
ステップS7(全ての周波数範囲について路面評価用イメージデータが作成された場合)では、評価対象路面の全ての区間についてステップS1~ステップS6の処理が行われたか否かを判断する。
ステップS7において、路面評価をするべき全ての区間について処理が完了している場合(ステップS7が「Yes」)はステップS8に進み、全ての区間について処理が完了していない場合(ステップS7が「No」)はステップS1に戻ってステップS1以降を繰り返す。
ステップS8(路面評価をするべき全ての区間について処理が完了した場合)では、イメージデータ作成ブロック19で作成された路面評価用イメージデータを、例えばモニタ50に表示させて、当該路面評価用イメージデータに基づいて路面評価を行う。当該評価は情報処理機能を備えるコンピュータにより行うが、専門家或いはアナリストが実行することも可能である。
ここでステップS7とステップS8を同時に実行することも可能である。
図1図3では明示されていないが、路面評価用イメージデータを作成するに際して、路面騒音特性に好適な「時間重み付け」(データ処理)を行い、解析間隔を特定することが可能である。
また、測定された路面騒音の音圧レベルを周波数毎に分解せず、例えばフィルタにより、測定された路面騒音の音圧レベルから基準路面の音圧レベルを(全ての周波数において)減算することも可能である。
【0040】
図示の実施形態において、前記路面評価用イメージデータとして、例えば、周波数毎の音圧レベル差(dB)を、いわゆる「モノクロ」の濃淡を用いて表示したサウンドスペクトラムを採用することが出来る。或いは、周波数毎の音圧レベル差(dB)を異なる色彩で表現したサウンドスペクトラムを採用することが出来る。
周波数毎の音圧レベル差(dB)を「モノクロ」の濃淡を用いて表示したサウンドスペクトラムを、図4で例示する。
図4において、横軸は路面騒音の測定開始点(横軸の左端)からの距離(Distance:単位m)を示し、左側の縦軸は周波数(Frequency:単位Hz)を示し、右側(凡例)の縦軸は補正された路面騒音の音圧レベルと基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差(Difference in SPL:単位dB)を示している。
従来のサウンドスペクトログラム(特許文献1参照)は補正された路面騒音の音圧レベル(「音圧レベルと基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差」ではない)と路面の位置との特性から作成したサウンドスペクトログラムでは、dBを表示する濃淡や色彩を適切に調整しないと、路面損傷の可能性がある箇所を分析することが非常に困難である。従来のサウンドスペクトログラムでは、dBを表示する濃淡や色彩の調製を適切に行わないと、作成されたサウンドスペクトログラムが単一色となってしまい、分析に全く役立たない状態となる恐れが存在する。
それに対して、図4で示す実施形態に係るサウンドスペクトラムでは、「音圧レベルと基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差」を用いているため分解能の精度が高くなり、dBを表示する濃淡や色彩を厳密に調整しなくても、路面損傷の恐れがある箇所が明確に表示される。そのため、サウンドスペクトラムから路面評価を行うための労力が、大幅に低減される。
【0041】
図1図4に示す第1実施形態の評価システム100及び評価システムを用いた評価方法によれば、通常の車両に計測用機器を搭載して路面騒音を測定するという簡易な手法により精度の高い路面評価を実行することが出来るので、路面評価に係るコストを低く抑えることが出来ると共に、評価するべき路面の交通を規制する必要もなく、路面上で作業員に危険が及んでしまうことが防止される。
また、各周波数における補正された路面騒音の音圧レベルと基準路面の音圧レベルとの音圧レベル差と、路面の位置との特性から、例えば路面の段差やひび割れ等の路面の評価が可能なイメージデータ(路面評価用イメージデータ:例えば図表等を含む)を作成して、評価された路面における損傷の可能性のある部分を明確に特定することが出来る。
【0042】
次に、図5図6を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
第1実施形態では測定された路面騒音から路面評価用イメージデータを作成し、路面評価用イメージデータに基づいて路面評価を行っているが、第2実施形態の路面評価システム100-1では、新たに提案されたパラメータLDIにより路面を評価している。そして、第2実施形態の路面評価システム100-1の制御装置10-1は、図5で示されている。
第2実施形態における各機能ブロックの説明は、主として、図2(第1実施形態)では示されていない機能ブロック(路面騒音補正ブロック21、LDI演算ブロック22、比較ブロック23、損傷路面特定ブロック24等)について行う。換言すれば、図2で説明した機能ブロック(路面騒音決定ブロック11、車両位置決定ブロック12、車速決定ブロック13、外気温決定ブロック14)については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する場合がある。
図5において、路面騒音決定ブロック11、車両位置決定ブロック12、車速決定ブロック13、外気温決定ブロック14、路面騒音補正ブロック21、LDI演算ブロック22、比較ブロック23、損傷路面特定ブロック24、記憶ブロック20を備えている。
【0043】
路面騒音補正ブロック21は、情報信号ラインL16により路面騒音決定ブロック11と接続されており、情報信号ラインL17により車速決定ブロック13と接続されており、情報信号ラインL18により外気温決定ブロック14と接続されている。さらに路面騒音補正ブロック21は、情報信号ラインL19によりLDI演算ブロック22と接続されている。
路面騒音補正ブロック21は、路面騒音決定ブロック11から取得した路面騒音の音圧レベルを、車速決定ブロック13から取得した車速と外気温決定ブロック14から取得した外気温に基づいて補正する機能を有している。
そして路面騒音補正ブロック21は、補正された路面騒音の音圧レベルを、LDI演算ブロック22に送信する機能を有している。
【0044】
LDI演算ブロック22は、路面騒音補正ブロック21から取得した補正された路面騒音の音圧レベルから、第1の低周波数の路面騒音の音圧レベル(計測された音圧レベル)と第2の低周波の路面騒音の音圧レベル(計測された音圧レベル)を選択(決定)すると共に、記憶ブロック20から情報信号ラインL20により、基準路面における前記第1及び第2の低周波数の音圧レベルを取得する機能を有している。
そしてLDI演算ブロック22は、前記選択(決定)された第1及び第2の低周波数の路面騒音の音圧レベルから、基準路面における第1及び第2の低周波数の音圧レベルを減算し、それぞれの低周波数における音圧レベル差LF、LFを決定する機能を有している。
音圧レベル差LFは、第1の周波数において、路面騒音の音圧レベルから基準路面における音圧レベルを減算して得られる音圧レベル差である。そして音圧レベル差LFは、第2の周波数において、路面騒音の音圧レベルから基準路面における音圧レベルを減算して得られる音圧レベル差である。換言すれば、音圧レベル差LFは第1の低周波数における路面騒音の音圧レベルと基準面の音圧レベルの差であり、音圧レベル差LFは第2の低周波数における路面騒音の音圧レベルと基準面の音圧レベルの差である。
【0045】
さらにLDI演算ブロック22は、演算された前記音圧レベル差LF、LFから路面損傷を評価するためのパラメータLDIを、以下の演算式により演算する機能を有している。
LDI=((第1の低周波数における音圧レベル差LF)+(第2の低周波数における音圧レベル差LF)1/2
ここで、第1の低周波数は例えば80~125Hzであり、第2の低周波は例えば160~250Hzである。
計測された第1、第2の低周波数における路面騒音の音圧レベルについては、車速と外気温による補正を行っており、第1、第2の低周波数における基準面の音圧レベルに対しても車速、外気温の補正が行なわれる。その上で、音圧レベル差LF、LFが演算されている。
LDI演算ブロック22は、演算されたパラメータLDIを、情報信号ラインL21により比較ブロック23に送信する機能も有している。
【0046】
比較ブロック23は、LDI演算ブロック22から取得したパラメータLDIの数値を、情報信号ラインL22を介して記憶ブロック20から取得したLDIしきい値と比較する機能を有している。ここで、LDIしきい値は、路面の損傷状態を定量的に判断するための数値であり、LDIの数値がLDIしきい値より大きい場合は、路面に損傷が存在すると判断される。LDIしきい値は、予め経験的及び/又は理論的に、ケース・バイ・ケースで決定されて、記憶ブロック20に記憶されている。
そして比較ブロック23は、情報信号ラインL23により、比較結果を損傷路面特定ブロック24に送信する機能を有している。
【0047】
損傷路面特定ブロック24は、比較ブロック23から取得したパラメータLDIとLDIしきい値との比較結果と、情報信号ラインL24を介して車両位置決定ブロック12から取得した路面位置情報(比較ブロック23で比較されたLDI値に対応する路面位置の情報)に基づいて、パラメータLDIの値がLDIしきい値よりも大きい位置の路面(損傷が存在すると判断された路面)とその位置を特定する機能を有している。
損傷路面特定ブロック24は、損傷が存在すると判断された路面とその位置(特定結果)を、情報信号ラインL25を介し且つインターフェースIF2を経由して、制御装置10-1の外部の表示装置50(モニタ)に送信する機能を有している。パラメータLDIとLDIしきい値との比較結果は、例えば、評価対象となる路面上の位置と共に、ディスプレイ上で表示することが出来る。
各種イメージ処理技術或いは専門作業者、アナリストにより、例えばモニタ50に表示された損傷路面特定ブロック24の特定結果(パラメータLDIの値より特定した損傷と路面位置)に基づき、路面評価を行うことも可能である。
【0048】
図5で示すシステムを用いた第2実施形態の路面評価の制御について、主として図6を参照して説明する。図6の各ステップの説明において、図3の第1実施形態と同様の内容のステップについては、図3に関する内容を援用して、詳細は重複記載しない。
図6において、ステップS11では、第1実施形態(図3)と同様の処理を行う。そしてステップS12に進む。
ステップS12では、路面騒音補正ブロック21により、路面騒音決定ブロック11から取得した路面騒音の音圧レベルを、車速決定ブロック13から取得した車速と外気温決定ブロック14から取得した外気温により補正する。路面騒音の音圧レベルのみならず、基準路面の音圧レベルに対しても、車速と外気温に基づいて補正を実行する。そしてステップS13に進む。
【0049】
ステップS13では、LDI演算ブロック22により、補正された路面騒音の音圧レベルにおいて、第1の低周波数(例えば80~125Hz)の路面騒音の音圧レベル(計測された音圧レベル)と、第2の低周波(例えば160~250Hz)の路面騒音の音圧レベル(計測された音圧レベル)を選択或いは決定する。そしてステップS14に進む。
ステップS14では、LDI演算ブロック22により、第1及び第2の低周波数の路面騒音の音圧レベルから、基準路面における第1及び第2の低周波数の音圧レベルを減算する。そして、第1及び第2の低周波数における音圧レベル差LF、LFを決定する。
ここで、基準路面における第1及び第2の低周波数の音圧レベルは、LDI演算ブロック22により、記憶ブロック20から取得される。上述した様に、基準路面における第1及び第2の低周波数の音圧レベルも、車速と外気温に基づいて補正される。
【0050】
音圧レベル差LF、LFを決定したならばステップS15に進み、LDI演算ブロック22により、音圧レベル差LF、LFから路面損傷を評価するためのパラメータLDIを、次の演算式により演算して、ステップS16に進む。
LDI=((第1の低周波数における音圧レベル差LF)+(第2の低周波数における音圧レベル差LF)1/2
ステップS16では、比較ブロック23により、演算されたパラメータLDIの数値をLDIしきい値と比較し、LDIがLDIしきい値以下であるか否かを判断する。なお、LDIしきい値は、比較ブロック23により記憶ブロック20から取得する。
ステップS16の判断の結果、LDIの値がLDIしきい値以下の場合(ステップS16が「Yes」)はステップS18に進み、LDIの値がLDIしきい値より大きい場合(ステップS16が「No」)はステップS17に進む。
【0051】
ステップS17(LDI値がLDIしきい値より大きい場合)では、損傷路面特定ブロック24により、当該路面位置を損傷が存在する位置として特定する。そして、ステップS18に進む。なお、LDI値がLDIしきい値以下の場合には、当該位置の路面は損傷していないと判断される。
ステップS18では、評価対象路面の全ての区間についてステップS11~ステップ17の処理が行われたか否かを判断する。
ステップS18の判断の結果、ステップS11~ステップ17の処理が評価対象である路面の全ての区間について行われている場合(ステップS18が「Yes」)はステップS19に進む。一方、ステップS11~ステップ17の処理が評価対象である路面の全ての区間について行われていない場合(ステップS18が「No」)はステップS11に戻り、ステップS11以降を繰り返す。
【0052】
ステップS19では、ステップS17において路面損傷が存在する路面位置(パラメータLDI値がLDIしきい値より大きい路面位置)として特定された位置の情報を、例えばモニタ50に表示する。作業員(オペレータ或いは研究者、その他)は、路面評価の結果として当該表示内容を確認することが出来る。
ここで、第1実施形態と同様、ステップS18とステップS19を同時に(併行して)行うことも出来る。
図5図6の第2実施形態では、評価対象となる路面の全領域によりパラメータLDIを演算して、LDIの数値から路面が損傷している個所を特定している。
また、パラメータLDIがLDIしきい値より大きい路面を損傷が存在する路面として特定しているが、複数のLDIしきい値(例えば第1及び第2のしきい値)を設定し、演算されたLDI値との比較により、複数種類(例えば、要補修、要注意、損傷無の3種類)の評価を行うことも出来る。
【0053】
図5図6に示す第2実施形態の評価システム100-1及び評価システムを用いた評価方法によれば、第1の低周波数における音圧レベル差LFと第2の低周波数における音圧レベル差LFにより演算されるパラメータLDIをLDIしきい値と比較することにより、当該パラメータLDIに該当する路面箇所に路面損傷があるか否か、或いは損傷の恐れがあるか否かを、定量的に判断できる。
第2実施形態におけるその他の構成、作用効果は、第1実施形態と同様である。
【0054】
次に、図7図10を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
図5図6の第2実施形態では、評価対象となる路面の全領域においてパラメータLDIを演算し、全領域のLDIの数値から、路面が損傷している位置を決定している。
それに対して第3実施形態の路面評価システム100-2では、測定された路面騒音から路面評価用イメージデータ(例えばサウンドスペクトログラム)を作成し、路面評価用イメージデータに基づいて損傷している可能性が高い路面の位置を選択し、選択された領域についてのみパラメータLDIを計算して、パラメータLDIの数値から最終的に路面が損傷しているか否かを評価する。
【0055】
図7図8を参照して、第3実施形態の路面評価システム100-2の制御装置10-2について説明する。
図7図8において、制御装置10-2は、路面騒音決定ブロック11、車両位置決定ブロック12、車速決定ブロック13、外気温決定ブロック14、分割ブロック15、音圧レベル補正ブロック16、音圧レベル減算ブロック17、特性決定ブロック18、イメージデータ作成ブロック19、路面位置選択ブロック25、LDI演算ブロック26、比較ブロック27、損傷路面特定ブロック28、記憶ブロック20を備えている。
制御装置10-2は、図2の第1実施形態の制御装置10に対して路面位置選択ブロック25、LDI演算ブロック26、比較ブロック27、損傷路面特定ブロック28を付加している。
図7図8において、各機能ブロックの説明は、主として第1実施形態とは相違する路面位置選択ブロック25、LDI演算ブロック26、比較ブロック27、損傷路面特定ブロック28について行う。路面騒音決定ブロック11~イメージデータ作成ブロック19については、第1実施形態と同様であり、重複説明は省略する。
LDI演算ブロック26、比較ブロック27、損傷路面特定ブロック28については、第2実施形態の制御装置10―1と同様であるが、煩雑化を回避するため、図5とは別の符号を使用して説明する。
【0056】
路面位置選択ブロック25は、情報信号ラインL26によりイメージデータ作成ブロック19と接続されており、情報信号ラインL27によりLDI演算ブロック26と接続されている。
路面位置選択ブロック25は、イメージデータ作成ブロック19から取得した路面評価用イメージデータ(例えばサウンドスペクトログラム等)に基づいて、既存のイメージ処理技術により、路面損傷の可能性が高い箇所(路面位置)を選択、決定し、決定する機能を有している。路面位置選択ブロック25は、情報処理機能を有する計算機(例えばコンピュータ、各種端末等)で構成することが出来る。
【0057】
ここで、路面評価用イメージデータに基づき路面損傷の可能性が高い路面位置を選択する機能は、作業員(オペレータ、専門技術者等)が、路面評価用イメージデータ(例えばサウンドスペクトログラム)から路面損傷の可能性が高い箇所を選択することにより実行することも可能である。その場合には、制御装置10―2の外部に設けた外部入力装置60(例えばPC等の情報処理機能を有する機器)により路面評価用イメージデータが表示され、作業員は表示された路面評価用イメージデータから、路面損傷の可能性がある箇所を判断し、選択する。
自動制御により路面損傷の可能性が高い箇所を選択する場合においても外部入力装置60を配置して、作業員に路面評価用イメージデータを表示することが出来る。
路面位置選択ブロック25は、選択、決定された路面位置の情報(損傷の可能性が高い路面位置)を、情報信号ラインL27によりLDI演算ブロック26に送信する機能も有している。
【0058】
LDI演算ブロック26は、路面位置選択ブロック25で選択、決定された路面位置における路面騒音(すなわち、速度及び外気温により補正された音圧レベル)から、第1の低周波数の路面騒音の音圧レベルと第2の低周波の路面騒音の音圧レベルを選択する。
そして、選択された第1及び第2の低周波数の路面騒音の音圧レベルから、基準路面における第1及び第2の低周波数の音圧レベルを減算し(演算し)、それぞれの低周波数における音圧レベル差LF、LFを決定する機能を有している。音圧レベル差LFは第1の周波数に対応し、音圧レベル差LFは第2の周波数に対応する。
ここで、路面騒音の音圧レベルと、基準路面における低周波数の音圧レベルは、共に、音圧レベル補正ブロック16で、車速及び外気温に基づいて補正されている。また、音圧レベル差LF、LFの演算に際しては、基準路面における第1及び第2の低周波数の音圧レベルは、情報信号ラインL20を介して、記憶ブロック20から取得される。
【0059】
LDI演算ブロック26は、演算された前記音圧レベル差LF、LFから、路面損傷を評価するためのパラメータLDIを、以下の演算式により演算する機能を有している。
LDI=((第1の低周波数における音圧レベル差LF)+(第2の低周波数における音圧レベル差LF)1/2
ここで、第1の低周波数は例えば80~125Hz、第2の低周波は例えば160~250Hzである。
LDI演算ブロック26は、演算されたパラメータLDIを、情報信号ラインL28により比較ブロック27に送信する機能も有している。
【0060】
比較ブロック27は、LDI演算ブロック26から取得したパラメータLDIの数値を、記憶ブロック20から情報信号ラインL22により取得したLDIしきい値(路面の損傷状態を定量的に判断するための数値)と比較する機能を有している。
比較ブロック27は、情報信号ラインL29を介して、比較結果を損傷路面特定ブロック28に送信する機能も有している。
【0061】
損傷路面特定ブロック28は、比較ブロック27から取得したパラメータLDIとLDIしきい値との比較結果に基づいて、パラメータLDIの値がLDIしきい値よりも大きい位置の路面を損傷が存在する路面と特定する機能を有している。
損傷路面特定ブロック28は、情報信号ラインL30及びインターフェースIF2を介して、特定結果を制御装置10-2外部の表示装置50(モニタ)に送信する機能も有している。
損傷路面特定ブロック28から送信されてモニタ50に表示されたパラメータLDIとLDIしきい値との比較結果は、例えば、評価対象となる路面上の位置と共に、ディスプレイ上で表示することが出来る。
各種イメージ処理技術或いは専門作業者、アナリストにより、例えばモニタ50に表示された損傷路面特定ブロック24の特定結果(パラメータLDIの値より特定した損傷と路面位置)に基づき、路面評価を行うことが可能である。
【0062】
図7図8で示すシステムを用いた第3実施形態による路面評価の制御について、主として図9図10のフローチャートを参照して説明する。
図9図10において、ステップS21~ステップS26(図9)は、それぞれ第1実施形態(図3)の対応するステップS1~ステップ6と同様であり、重複説明を省略する。
ステップS27(図10)では、路面位置選択ブロック25により、イメージデータ作成ブロック19で作成した路面評価用イメージデータ(例えばサウンドスペクトログラム等)に基づき、路面損傷の可能性が高い箇所(路面位置)を選択し、決定する。ここで、路面評価用イメージデータに基づき、路面損傷の可能性が高い箇所(路面位置)を選択し、決定する手順は、例えば、既存のイメージ処理技術により、或いは作業員により実行することが出来る。そしてステップS28に進む。
【0063】
ステップS28では、LDI演算ブロック26により、路面位置選択ブロック25で選択、決定された路面位置(ステップS27で決定された路面損傷の可能性が高い路面位置)における路面騒音において、第1の低周波数の路面騒音の音圧レベルと第2の低周波の路面騒音の音圧レベルを選択する。
そして、選択された第1及び第2の低周波数の路面騒音の音圧レベルから、基準路面における第1及び第2の低周波数の音圧レベルを減算し、第1及び第2の低周波数における音圧レベル差LF、LFを決定する。そしてステップS29に進む。
ステップS29では、LDI演算ブロック26により、音圧レベル差LF、LFから、以下の演算式に従って、路面損傷を評価するためのパラメータLDIを演算し、ステップS30に進む。
LDI=((第1の低周波数における音圧レベル差LF)+(第2の低周波数における音圧レベル差LF)1/2
【0064】
ステップS30では、比較ブロック27により、LDI演算ブロック26から取得したパラメータLDIの数値をLDIしきい値と比較し、LDI値がLDIしきい値以下であるか否かを判断する。LDIしきい値は、比較ブロック27により記憶ブロック20から取得する。
ステップS30において、LDIの値がLDIしきい値である以下の場合(ステップS30が「Yes」)はステップS32に進み、LDIの値がLDIしきい値より大きい場合(ステップS30が「No」)はステップS31に進む。
【0065】
ステップS31(LDIの値がLDIしきい値より大きい場合)では、損傷路面特定ブロック28により、当該路面位置を損傷が存在する位置として特定する。そして、ステップS32に進む。
ステップS32では、ステップS21~ステップ31の処理が評価対象である路面の全ての区間について行われたか否かを判断する。
ステップS32において、ステップS21~ステップ31の処理が評価対象路面の全ての区間について行われた場合(ステップS32が「Yes」)はステップS33に進み、ステップS21~ステップ31の処理が評価対象路面の全ての区間について行われていない場合(ステップS32が「No」)はステップS21に戻り、ステップS21以降を繰り返す。
【0066】
ステップS33(ステップS21~ステップ31の処理が評価対象路面の全ての区間について行われた場合)では、ステップS31で特定したパラメータLDI値がLDIしきい値より大きい路面位置(路面損傷が存在する路面位置)を(例えばモニタ50に)表示する。作業員(オペレータ或いは研究者、その他)は、路面評価の結果として当該表示内容を確認することが出来る。
ここで、ステップS32とステップS33を同時に(併行して)行うことも出来る。
【0067】
図7図10に示す第3実施形態の評価システム100-2及び評価システムを用いた評価方法によれば、路面評価用イメージデータ(例えばサウンドスペクトログラム等)により路面損傷の恐れがある箇所を選択(決定)し、当該選択(決定)された箇所についてのみパラメータLDIを演算して、路面損傷の評価を行っている。
そのため、評価対象である路面全域についてパラメータLDIを演算する場合に比較して、制御装置の負担を小さくしつつ、路面評価を確実に行うこと出来る。それと共に、路面評価のための労力及びコストを低減することが出来る。
第3実施形態におけるその他の構成、作用効果は、第1実施形態、第2実施形態と同様である。
【0068】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
例えば、図示の実施形態では、前記車両としては、いわゆる「ミニバン」タイプの乗用車が例示されているが、二輪車であっても良いし、貨物用自動車であっても良い。あるいは、その他のタイプの車両であっても良い。
【符号の説明】
【0069】
1・・・車両
2・・・タイヤ(例えば左右何れかの後輪)
3・・・マイクロホン(路面騒音測定装置)
5・・・速度センサ(速度測定装置)
6・・・GPSレシーバ
7・・・エンジン制御コンピュータ
9・・・温度センサ(外気温測定装置)
10、10-1、10-2・・・制御装置
60・・・衛星
100、100-1、100-2・・・路面評価システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10