(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】コア材およびこれを用いた光伝送体、該光伝送体の製造方法、該光伝送体を用いた照明装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/00 20060101AFI20230526BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20230526BHJP
C08G 18/79 20060101ALI20230526BHJP
C08G 18/38 20060101ALI20230526BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230526BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230526BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20230526BHJP
【FI】
G02B6/00 331
F21V8/00 200
C08G18/79 010
C08G18/38 076
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y113:13
(21)【出願番号】P 2020533967
(86)(22)【出願日】2018-08-01
(86)【国際出願番号】 JP2018028851
(87)【国際公開番号】W WO2020026376
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000103541
【氏名又は名称】オート化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591158690
【氏名又は名称】ダイアボンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】樫村 昇平
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-224196(JP,A)
【文献】特開2007-086527(JP,A)
【文献】特開2004-361831(JP,A)
【文献】特開2008-090327(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0221947(US,A1)
【文献】特開2011-257442(JP,A)
【文献】特表2009-525498(JP,A)
【文献】特開2005-036243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00- 6/02
G02B 6/12- 6/14
F21S 2/00-19/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物と
ポリオキシアルキレン系ポリオールを含む水酸基含有化合物を反応させて得られるチオウレタン樹脂を含有することを特徴とするコア材。
【請求項2】
前記イソシアネート基含有化合物が、イソシアヌレート変性体を含むことを特徴とする請求項
1に記載のコア材。
【請求項3】
前記チオール基含有化合物のチオール基1モルに対し、前記
ポリオキシアルキレン系ポリオールを含む水酸基含有化合物の水酸基のモル数が0.05~10モルであることを特徴とする請求項
1または2に記載のコア材。
【請求項4】
さらに、光散乱粒子を含有することを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載のコア材。
【請求項5】
さらに、硬化促進触媒、可塑剤、安定剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、脱水剤および有機溶剤から選択される1種以上の添加剤を含有することを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載のコア材。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載のコア材と該コア材の外周を被覆したクラッド材を含む光伝送体。
【請求項7】
イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物と
ポリオキシアルキレン系ポリオールを含む水酸基含有化合物を含有するコア材組成物をクラッド材の中空部内に充填する工程と、
該中空部内に充填した該コア材組成物を反応硬化させる工程と、を備えた、チオウレタン樹脂を含有するコア材を含む光伝送体の製造方法。
【請求項8】
イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物
とポリオキシアルキレン系ポリオールを含む水酸基含有化合物を反応させて得られるチオウレタン樹脂を含有するコア材と該コア材の外周を被覆したクラッド材とを含む光伝送体と、光源と、を有し、該光伝送体の少なくとも一端に前記光源からの光が入射して該光伝送体を発光させることを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光性に優れたコア材およびこれを用いた光伝送体、該光伝送体の製造方法、該光伝送体を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の内外装の装飾照明、屋内・屋外の看板等の装飾照明には光伝送体(光発光体)が使用されている。光伝送体としては、中空状のクラッド材の中にコア材組成物を充填し硬化させたものが使用されている。光伝送体は、少なくともその一端から発光ダイオード等の光(光源)を入射させると、コア材とクラッド材の屈折率の違いにより、クラッド材の側面から光を出射させることで光源の色合いに応じた照明装置となる。光伝送体に使用するコア材としては、ポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物からなる重合体が提案されている(例えば、特許文献1~5)。
【0003】
ポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物からなるコア材は、柔軟で可とう性に優れるため、光伝送体を大口径化した場合でも容易に任意の形状に配設することが可能である。しかし、光伝送体には、可とう性のみならず、側面出射光の低下が少なく、優れた側面出射性(発光性)を有するものが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2003/021309号公報
【文献】特開2004-347997号公報
【文献】特開2004-361831号公報
【文献】特開2005-275019号公報
【文献】特開2005-275020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、発光性に優れたコア材、これを用いた光伝送体、該光伝送体の製造方法、該光伝送体を用いた照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、イソシアネート基含有化合物と、チオール基含有化合物と、任意成分として活性水素含有化合物とを反応して得られるチオウレタン樹脂を含有するコア材を用いた光伝送体が、発光性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)~(12)に示すものである。
(1)イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物とを反応させて得られるチオウレタン樹脂を含有することを特徴とするコア材。
(2)(1)に記載のコア材において、前記チオウレタン樹脂が、前記イソシアネート基含有化合物と前記チオール基含有化合物の他に、前記チオール基含有化合物以外の活性水素含有化合物とを反応させて得られることを特徴とするコア材。
(3)前記イソシアネート基含有化合物が、イソシアヌレート変性体を含むことを特徴とする(1)または(2)に記載のコア材。
(4)前記活性水素含有化合物が、水酸基含有化合物を含む活性水素含有化合物であることを特徴とする(2)または(3)に記載のコア材。
(5)前記チオール基含有化合物のチオール基1モルに対し、前記活性水素含有化合物の活性水素(基)のモル数が0.05~10モルであることを特徴とする(2)~(4)のいずれかに記載のコア材。
(6)さらに、光散乱粒子を含有することを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載のコア材。
(7)さらに、硬化促進触媒、可塑剤、安定剤、接着性向上剤および有機溶剤から選択される1種以上の添加剤を含有することを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載のコア材。
(8)(1)~(7)のいずれかに記載のコア材と該コア材の外周を被覆したクラッド材を含む光伝送体。
(9)イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物とを含有するコア材組成物をクラッド材の中空部内に充填する工程と、中空部内に充填した該コア材組成物を反応硬化させる工程と、を備えた、チオウレタン樹脂を含有するコア材を含む光伝送体の製造方法。
(10)前記コア材組成物が、さらに、前記チオール基含有化合物以外の活性水素含有化合物を含有する(9)に記載の製造方法。
(11)イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物を反応させて得られるチオウレタン樹脂を含有するコア材と該コア材の外周を被覆したクラッド材とを含む光伝送体と、光源と、を有し、該光伝送体の少なくとも一端に光源からの光が入射して光伝送体を発光させることを特徴とする照明装置。
(12)(11)に記載の照明装置において、前記チオウレタン樹脂が、前記イソシアネート基含有化合物と前記チオール基含有化合物の他に、前記チオール基含有化合物以外の活性水素含有化合物とを反応させて得られる照明装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコア材は、クラッド材で被覆されることで、発光性に優れた光伝送体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のコア材を実施形態に即して詳細に説明する。
【0009】
本発明のコア材は、イソシアネート基含有化合物と、チオール基含有化合物と、必要に応じて、任意成分としてチオール基含有化合物以外の活性水素含有化合物とが反応して得られるチオウレタン樹脂を含有することを特徴とする。以下、コア材の各成分について、詳細に説明する。
【0010】
チオウレタン樹脂は、イソシアネート基含有化合物と、チオール基含有化合物と、必要に応じて、任意成分としての活性水素含有化合物(以下、「他の活性水素含有化合物」ということがある。)とが反応して得られ、その樹脂中に1個以上のチオウレタン基(-NHCOS-)を有するものである。
【0011】
チオウレタン樹脂を、イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物とを反応して得る場合、例えば、チオウレタン樹脂を、イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物のみで反応して得る場合、イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物の反応は、イソシアネート基含有化合物のイソシアネート基とチオール基含有化合物のチオール基を、反応モル比(イソシアネート基/チオール基)で、好ましくは0.8~1.5、さらに好ましくは0.9~1.3、特に好ましくは0.9~1.2となる範囲で行うことができる。
【0012】
チオウレタン樹脂を、イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物と他の活性水素含有化合物とを反応して得る場合、イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物と他の活性水素含有化合物との反応は、チオール基含有化合物のチオール基と活性水素含有化合物の活性水素(基)との合計モル数に対するイソシアネート基含有化合物のイソシアネート基のモル数を、反応モル比(イソシアネート基/(チオール基+活性水素(基)))で、好ましくは0.8~1.5、さらに好ましくは0.9~1.3、特に好ましくは0.9~1.2となる範囲で行うことができる。
【0013】
他の活性水素含有化合物の活性水素(基)のモル数とチオール基含有化合物のチオール基のモル数との比率は、チオール基含有化合物のチオール基1モルに対し、チオール基含有化合物以外の他の活性水素含有化合物の活性水素(基)のモル数が0.05~10モルであることが好ましく、0.1~8モルであることがより好ましく、0.1~5モルであることがさらに好ましく、0.2~4モルであることが特に好ましい。
【0014】
上記のように、チオウレタン樹脂を得るにあたり、イソシアネート基含有化合物に反応させる化合物として、チオール基含有化合物を単独で使用することができる。また、イソシアネート基含有化合物に反応させる化合物として、チオール基含有化合物とチオール基含有化合物以外の他の活性水素含有化合物を併用することもできる。
【0015】
イソシアネート基含有化合物は、1分子中に1個以上のイソシアネート基を有する化合物である。イソシアネート基含有化合物としては、有機ポリイソシアネート、有機モノイソシアネートを挙げることができる。
【0016】
有機ポリイソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。具体的には、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート等のトルエンポリイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′-ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンポリイソシアネート、1,2-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4,6-トリメチルフェニル-1,3-ジイソシアネート、2,4,6-トリイソプロピルフェニル-1,3-ジイソシアネート等のフェニレンポリイソシアネート、1,4-ナフタレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンポリイソシアネート、その他の芳香族ポリイソシアネートとして、クロロフェニレン-2,4-ジイソシアネート、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′-ジメチルジフェニルメタン-4,4′-ジイソシアネート、3,3′-ジメトキシジフェニル-4,4′-ジイソシアネートが挙げられる。また、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。さらに、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネート等のポリメリックイソシアネートが挙げられる。また、さらに、これらの有機ポリイソシアネートを変性して得られる、ウレトジオン結合、イソシアヌレート結合、アロファネート結合、ビュレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合またはウレア結合を1分子中に1個以上有する変性ポリイソシアネートが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、およびこれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートが好ましく、さらにこれらを変性して得られるイソシアヌレート結合を有する変性イソシアネートが好ましい。
【0017】
有機モノイソシアネートは、1分子中に1個のイソシアネート基を有する化合物である。有機モノイソシアネートを使用する場合は、有機ポリイソシアネートと併用することが好ましい。有機モノイソシアネートとしては、具体的には、n-ブチルモノイソシアネート、n-ヘキシルモノイソシアネート、n-ヘキサデシルモノイソシアネート、n-オクタデシルモノイソシアネート、p-イソプロピルフェニルモノイソシアネート、p-ベンジルオキシフェニルモノイソシアネートが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
チオール基含有化合物は、1分子中にチオール基を1個以上有する化合物である。チオール基含有化合物には、1分子中にチオール基を1個有するモノチオール化合物、1分子中にチオール基を2個以上有するポリチオール化合物が挙げられる。チオール基含有化合物としては、1,2-エタンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、2,3-ブタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,8-オクタンジチオール、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、1,2-ベンゼンジチオール、1,4-ベンゼンジチオール、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、トルエン-3,4-ジチオール、1,5-ジメルカプトナフタレン、4,4’-ビフェニルジチオール、4,4’-チオビスベンゼンチオール、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,3,5-ベンゼントリチオール、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、トリアジントリチオール、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)を挙げることができる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0019】
チオール基含有化合物の数平均分子量は、50~1,000が好ましく、80~800が特に好ましい。
【0020】
チオール基含有化合物としては、ポリチオール化合物が好ましい。また、チオール基含有化合物の1分子あたりのチオール基数は、2~6が好ましく、2~4が特に好ましい。
【0021】
他の活性水素含有化合物としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物が挙げられる。水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物は、それぞれ、単独でチオール基含有化合物と組み合わせて使用することができる。また、水酸基含有化合物とアミノ基含有化合物とチオール基含有化合物と組み合わせて使用することができる。
【0022】
水酸基含有化合物としては、高分子ポリオール、低分子ポリオール、高分子モノオール、低分子モノオールが挙げられる。アミノ基含有化合物としては、高分子ポリアミン、低分子ポリアミン、高分子モノアミン、低分子モノアミンが挙げられる。なお、本発明において、「高分子」とは数平均分子量が1,000以上の化合物、「低分子」とは数平均分子量が1,000未満の化合物であることを意味する。また、本発明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数値である。
【0023】
高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオール、動植物系ポリオールが挙げられる。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
【0024】
高分子ポリオールの数平均分子量は、1,000以上であれば、特に限定されないが、1,000~40,000が好ましく、さらに1,000~20,000が好ましく、特に1,000~10,000が好ましい。
【0025】
ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸や、これらの無水物あるいはメチルエステルやエチルエステル等のアルキルエステルを含むカルボン酸類の1種以上と、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類の1種以上との反応によって得られるポリエステルポリオールが挙げられる。また、ポリエステルポリオールとしては、上記したカルボン酸類、低分子ポリオール類に加え、さらにブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上と反応させて得られるポリエステルアミドポリオールが挙げられる。さらに、ポリエステルポリオールとしては、低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、ε-カプロラクトン、γ-バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0026】
ポリカーボネートポリオールとしては、上記のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類とホスゲンとの脱塩酸反応、上記低分子ポリオール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
【0027】
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、上記のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類;ソルビトール、マンニトール、ショ糖(スクロース)、グルコース等の糖類系低分子多価アルコール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子多価フェノール類の1種以上を開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物の1種以上を開環付加重合または共重合させた、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシブチレン系ポリオール、ポリオキシテトラメチレン系ポリオール、ポリ(オキシエチレン)(オキシプロピレン)系ポリオール、さらに、上記のポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートエーテルポリオールが挙げられる。また、上記の各種ポリオールと有機イソシアネート化合物とを、イソシアネート基に対し水酸基過剰の条件で反応させて、分子末端を水酸基としたポリオールも挙げられる。ポリオキシアルキレン系ポリオールのアルコール性水酸基の数は、1分子中に平均して2個以上であれば特に限定されないが、1分子中に2~4個が好ましく、1分子中に2~3個が特に好ましい。
【0028】
ポリオキシアルキレン系ポリオールを合成する際の触媒としては、ナトリウム系触媒、カリウム系触媒等のアルカリ金属化合物触媒、カチオン重合触媒、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体触媒、ホスファゼン化合物触媒が挙げられる。これらのうち、アルカリ金属化合物触媒、複合金属シアン化錯体触媒が好ましい。また、複合シアン化錯体触媒を用いて合成したポリオキシアルキレン系ポリオールは、総不飽和度が低くポリオールの粘度が低い点で好ましい。
【0029】
また、上記したポリオキシアルキレン系ポリオールに加えて、必要に応じて、チオウレタン樹脂の変性用として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低分子モノアルコール類を開始剤として、前記プロピレンオキシド等の環状エーテル化合物を開環付加重合させたポリオキシプロピレン系モノオール等のポリオキシアルキレン系モノオールを使用することもできる。
【0030】
チオウレタン樹脂の原料であるポリオール成分について、上記のポリオキシアルキレン系ポリオールやポリオキシアルキレン系モノオール等の「系」とは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上がポリオキシアルキレン等の主成分で構成されていれば、残りの部分が、ポリオキシアルキレン等の主成分以外の成分であるエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン等で変性されていてもよいことを意味する。ポリオキシアルキレン等の主成分は、水酸基を除いた部分の好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
【0031】
ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する(メタ)アクリレート単量体類と、水酸基を含有する(メタ)アクリレート単量体類以外のアクリル酸および/またはメタクリル酸(以下、「(メタ)アクリル酸」ということがある。)アルキルエステル単量体と、必要に応じてラジカル重合開始剤と、を加えて共重合させたものが挙げられる。
【0032】
炭化水素系ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール;水素添加ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール等のポリアルキレンポリオール;塩素化ポリプロピレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール等のハロゲン化ポリアルキレンポリオールが挙げられる。
【0033】
動植物系ポリオールとしては、ヒマシ油系ポリオール、絹フィブロインが挙げられる。
【0034】
チオウレタン樹脂の原料である上記した高分子ポリオールは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールが好ましく、特にポリオキシアルキレン系ポリオールが好ましい。
【0035】
低分子ポリオールとしては、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロへキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノール骨格含有ポリエーテルポリオール、(メタ)アクリロイル基含有ポリオール、数平均分子量が1,000未満のポリオキシアルキレン系ポリオール(例えば、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリ(オキシエチレン)(オキシプロピレン)系ポリオール等)が挙げられる。本発明において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基および/またはメタクリロイル基」を意味する。これらの低分子ポリオールは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、数平均分子量が1,000未満のポリオキシアルキレン系ポリオール(ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリ(オキシエチレン)(オキシプロピレン)系ポリオール)が好ましく、さらに数平均分子量が200~800のポリオキシアルキレン系ポリオール(ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリ(オキシエチレン)(オキシプロピレン)系ポリオール)が好ましい。
【0036】
アミノ基含有化合物のうち、高分子ポリアミンとしては、ポリオキシアルキレンポリアミンが挙げられる。ポリオキシアルキレンポリアミンとしては、ポリオキシアルキレントリアミン、ポリオキシアルキレンジアミンが挙げられる。ポリオキシアルキレンポリアミンの数平均分子量は、1,000以上であれば特に限定されないが、1,000~10,000が好ましい。
【0037】
本発明のコア材は、必要に応じて、さらに、光散乱粒子を配合することができる。光散乱粒子としては、無機系光散乱粒子、有機系光散乱粒子を挙げることができる。これらは、いずれも1種または2種を組み合わせて使用することができる。
【0038】
無機系光散乱粒子としては、石英ガラス(シリカ)、多成分ガラス等のガラス微粒子、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子、硫酸バリウム等の硫酸塩粒子、炭酸カルシウム等の炭酸塩粒子が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
有機系光散乱粒子としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン-パーフロロアルコキシエチレン(PFA)、ポリクロルトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン-エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド、フッ化ビニリデン-六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレンプロピレンゴム、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン-ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテル、TFE-パーフルオロジメチルジオキソラン共重合体、フッ素化アルキルメタクリレート系共重合体、フッ素系熱可塑性エラストマー等のフッ素系ポリマー粒子が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0040】
光散乱粒子の平均粒子径は、0.1~50μmが好ましく、さらに1~30μmが好ましい。光散乱粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法で測定した数値である。
【0041】
光散乱粒子の配合量は、コア材全体の0.0005~0.1質量%が好ましく、さらに0.0008~0.08質量%が好ましい。
【0042】
本発明のコア材は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記した各成分以外に、必要に応じて、各種の添加剤を適宜含有することができる。添加剤は、各成分を混合した後の粘度調整、硬化促進、揺変性、およびコア材の耐候性、耐熱性、接着性の性能を向上させるため等に使用する。具体的には、例えば、硬化促進触媒、可塑剤、安定剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、脱水剤および有機溶剤等を挙げることができる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
硬化促進触媒は、イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物との反応、イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物と他の活性水素含有化合物との反応を促進させるために使用する。硬化促進触媒としては、具体的には、金属系触媒、アミン系触媒が挙げられる。
【0044】
金属系触媒としては、金属と有機酸との塩、有機金属と有機酸との塩、金属キレート化合物が挙げられる。金属と有機酸との塩としては、錫、ビスマス、ジルコニウム、亜鉛、マンガン等の各種金属とオクチル酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、ナフテン酸等の有機酸との塩が挙げられる。具体的には、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、オクチル酸ビスマス、オクチル酸ジルコニウムが挙げられる。有機金属と有機酸との塩としては、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物が挙げられる。金属キレート化合物としては、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、錫系キレート化合物である旭硝子社製EXCESTAR C-501、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)等のジルコニウムキレート化合物、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)等のチタンキレート化合物、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムキレート化合物、アセチルアセトンコバルト等のコバルトキレート化合物、アセチルアセトン鉄等の鉄キレート化合物、アセチルアセトン銅等の銅キレート化合物、アセチルアセトンマグネシウム等のマグネシウムキレート化合物、アセチルアセトンビスマス等のビスマスキレート化合物、アセチルアセトンニッケル等のニッケルキレート化合物、アセチルアセトン亜鉛等の亜鉛キレート化合物、アセチルアセトンマンガン等のマンガンキレート化合物が挙げられる。
【0045】
アミン系触媒としては、3級アミン類が挙げられる。3級アミン類としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8-ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン-7(DBU)、1,4-ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)やこれらの3級アミン類と有機カルボン酸の塩が挙げられる。
【0046】
これらの硬化促進触媒は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0047】
これらのうち、硬化促進性に優れることから、金属と有機酸との塩、有機金属と有機酸との塩、金属キレート化合物が好ましく、錫と有機酸との塩、ビスマスと有機酸との塩、有機錫と有機酸との塩、有機ビスマスと有機酸との塩、錫キレート化合物、ビスマスキレート化合物、鉄キレート化合物が特に好ましい。
【0048】
硬化促進触媒の配合量は、イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物と任意成分である他の活性水素含有化合物との合計量100質量部に対して、0.005~5質量部が好ましく、特に0.005~2質量部が好ましい。
【0049】
可塑剤は、コア材の原料であるコア材組成物の粘度を下げてクラッドの中空部に充填する際の作業性を向上させたり、コア材組成物の硬化物であるコア材の柔軟性を調整したりするために使用する。可塑剤としては、数平均分子量が1,000未満の低分子量の可塑剤、数平均分子量が1,000以上の高分子量の可塑剤が挙げられる。低分子量の可塑剤としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;塩素化パラフィン等が挙げられる。高分子量の可塑剤としては、ジカルボン酸類とグルコール類とからのポリエステル系樹脂;ポリオキシエチレングリコールやポリオキシプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコールのアルキルエーテル化誘導体やアルキルエステル化誘導体;前記チオウレタン樹脂の合成において挙げたポリオキシアルキレン系ポリオールまたはポリオキシアルキレン系モノオールと、有機モノイソシアネートまたは有機ポリイソシアネートとを反応して得られる、分子内にイソシアネート基も活性水素基も有しない液状高分子ウレタン系可塑剤;低粘度の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系(共)重合体樹脂;ポリブタジエンやポリイソプレン等のポリオレフィン樹脂、水添ポリブタジエンや水添ポリイソプレン等のポリアルキレン樹脂などが挙げられる。
【0050】
安定剤は、コア材の酸化、光劣化、熱劣化を防止して耐候性や耐熱性を向上させる目的で使用する。安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤が挙げられる。これらの安定剤は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0051】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)エステル、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]-4-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル・1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、ADEKA社製のアデカスタブLA-63P、LA-68LDが挙げられる。
【0052】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシC7-C9側鎖アルキルエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノールが挙げられる。
【0053】
紫外線吸収剤としては、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤;オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0054】
安定剤の配合量は、イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物と任意成分である他の活性水素含有化合物の合計量100質量部に対し、0.1~10質量部が好ましく、特に0.1~5質量部が好ましい。
【0055】
揺変性付与剤は、コア材組成物をクラッド材の中空部に充填する際に中空部における形状保持のために使用する。揺変性付与剤としては、微粉末シリカ、脂肪酸処理炭酸カルシウム等の無機揺変性付与剤;有機ベントナイト、脂肪酸アマイド等の有機揺変性付与剤が挙げられる。
【0056】
接着性向上剤は、コア材と中空チューブ状クラッド材の接着性の向上を目的として使用する。具体的には、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系等の各種カップリング剤またはその部分加水分解縮合物を挙げることができる。このうち、シラン系カップリング剤またはその部分加水分解縮合物が接着性に優れているため好ましい。
【0057】
シラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。また、これらのシラン系カップリング剤の部分加水分解縮合物が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
脱水剤は、コア材組成物中の水分量を低減させるとともに、コア材組成物中のイソシアネート基含有化合物が水と反応して発生する炭酸ガスの量を低減させるために使用する。脱水剤としては、ビニルトリメトキシシラン、酸化カルシウム、p-トルエンスルホニルイソシアネートが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
有機溶剤は、コア材組成物の各成分を混合した混合物の粘度を調整し、該混合物を中空クラッド材へ充填する際の作業性を向上させる目的で使用する。有機溶剤としては、イソシアネート基含有化合物、チオール基含有化合物、他の活性水素含有化合物、光散乱粒子、添加剤と反応しない有機溶剤であれば特に制限なく使用することができる。具体的には、酢酸エチル等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;n-ヘキサン等の脂肪族系溶剤;メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂環族系溶剤;トルエンやキシレン等の芳香族系溶剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0060】
イソシアネート基含有化合物とチオール基含有化合物と任意成分である他の活性水素含有化合物とを含めた各成分を所定の配合量にて混合することで、本発明のコア材の原料であるコア材組成物を得ることができる。得られたコア材組成物をクラッド材の中空部に充填し、充填後にコア材組成物を反応させることで硬化処理して、コア材が得られる。コア材組成物を反応させて硬化処理をする際には、加熱して硬化を促進させてもよい。反応硬化後のコア材は、すべてが固体、または固体と一部が非流動性のゲル状物である。
【0061】
次に、本発明のコア材を使用した光伝送体について説明する。光伝送体は、上記したコア材組成物を用いたコア材と、該コア材の外周を被覆したクラッド材と、を備えたものである。クラッド材は、中空部を有する形状であり、この中空部にコア材組成物が充填される。
【0062】
クラッド材の材質としては、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、シリコーン樹脂、天然ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン-四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン-パーフロロアルコキシエチレン(PFA)、ポリクロルトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン-エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン-六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレンプロピレンゴム、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン-フッ化ビニリデン共重合体(THV)、フッ化ビニリデン-四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン-パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテルTFE-パーフルオロジメチルジオキソラン共重合体、フッ素化アルキルメタクリレート系共重合体、フッ素系熱可塑性エラストマー等のフッ素系ポリマーが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合せて使用することができる。これらのうち、ポリテトラフルオロポリエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン-フッ化ビニリデン共重合体(THV)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体(FEP)が好ましい。
【0063】
クラッド材の形状としては、コア材組成物を充填し反応させて硬化することが可能な中空構造を有していれば特に制限はない。具体的には、中空チューブ状、中空シート状の形状が挙げられる。この中空構造を有するクラッド材は、照明装置に使用する際の加工のしやすさから柔軟性(フレキシブル性)を有するものが好ましい。
【0064】
次に、本発明のコア材を用いた光伝送体の製造方法について説明する。光伝送体の製造方法としては、特に制限はなく従来公知の方法で行うことができる。具体的には、例えば、コア材の原料であるイソシアネート基含有化合物、チオール基含有化合物、任意成分である他の活性水素含有化合物、さらに必要に応じて光散乱粒子、添加剤を配合した混合物(すなわち、コア材組成物)をクラッド材の中空部内に空気が入らないように充填し、該コア材組成物を反応硬化させて中空部内にてコア材を調製して、コア材と該コア材の外周を被覆したクラッド材とを備えた光伝送体を製造する方法が挙げられる。充填方法としては、真空ポンプ、チューブポンプ、加圧により充填する方法が挙げられる。
【0065】
コア材組成物をクラッド材の中空部内で反応硬化させる温度は、35~90℃が好ましく、さらに生産効率の点から50~85℃が好ましい。
【0066】
コア材組成物を作製するために必要な各成分の混合方法は、従来公知の方法で行うことができる。具体的には、例えば、攪拌機付きの混合容器に各成分を一括または逐次に仕込み均一になるまで攪拌混合する方法が挙げられる。また、スタティックミキサーを用いて各成分をインラインで混合する方法が挙げられる。
【0067】
次に、本発明の光伝送体を用いた照明装置について説明する。本発明のコア材と該コア材の外周を被覆したクラッド材とを備えた光伝送体の少なくとも一端に光源を設置し、コア材へ光を入射させる。光源としては、LED(発光ダイオード)、LD(レーザダイオード)が挙げられる。光の色は、使用用途に応じて適宜選択することができる。具体的には、赤、青、黄、緑、茶、紫、ピンク、橙、灰、白等の色が挙げられる。光源からの光量の大きさにより、光伝送体の側面の光量を調整することができる。
【0068】
本発明の光伝送体を用いた照明装置の用途としては、携帯電話、デジタルカメラ、腕時計、カーオーディオ、カーナビゲーション、パチンコ台、スロット台、自動販売機、自動車、電車、重機、装飾具、キッチン、交通標識、OA機器、家庭用電気製品、光学機器、ペンライト、建材、屋外看板等のイルミネーションや照明、液晶表示部のバックライトとして好適に使用することができる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明について実施例等でさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0070】
[実施例1]
攪拌装置付き混合容器にヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(コロネートHX、東ソー社製、イソシアネート(NCO)含有量21.0%)を51.3g、水酸基含有化合物A(ポリオキシプロピレンジオール、PP-400、三洋化成工業社製、水酸基価280mg/KOH)を40.4g、チオール基含有化合物(ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、SC有機化学社製)を8.3g仕込み、窒素気流下で5分間攪拌し、コア材組成物である混合物U-1を調製した。次いで、中空チューブ状クラッド材(外径4mmΦ、内径2mmΦ、長さ60cm、軟質フッ素樹脂(THV))の中空部内に混合物U-1を空気が入らないように充填した後、中空チューブ状クラッド材をその両端が上向きとなるようにU字形に曲げて治具に固定し、80℃のオーブンの中に9時間入れて混合物U-1を反応硬化させて混合物U-1から調製されたコア材を含む光伝送体を作製した。作製した光伝送体は、その両端を切断して長さ50cmの試験体にした。
【0071】
[実施例2]
攪拌装置付き混合容器にヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(コロネートHX、東ソー社製、イソシアネート(NCO)含有量21.0%)を54.1g、水酸基含有化合物A(ポリオキシプロピレンジオール、PP-400、三洋化成工業社製、水酸基価280mg/KOH)を28.5g、チオール基含有化合物(ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、SC有機化学社製)を17.4g仕込み、窒素気流下で5分間攪拌し、コア材組成物である混合物U-2を調製した。次いで、中空チューブ状クラッド材(外径4mmΦ、内径2mmΦ、長さ60cm、軟質フッ素樹脂(THV))の中空部内に混合物U-2を空気が入らないように充填した後、中空チューブ状クラッド材をその両端が上向きとなるようにU字形に曲げて治具に固定し、80℃のオーブンの中に9時間入れて混合物U-2を反応硬化させて混合物U-2から調製されたコア材を含む光伝送体を作製した。作製した光伝送体は、その両端を切断して長さ50cmの試験体にした。
【0072】
[実施例3]
攪拌装置付き混合容器にヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(コロネートHX、東ソー社製、イソシアネート(NCO)含有量21.0%)を57.3g、水酸基含有化合物A(ポリオキシプロピレンジオール、PP-400、三洋化成工業社製、水酸基価280mg/KOH)を15.1g、チオール基含有化合物(ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、SC有機化学社製)を27.6g仕込み、窒素気流下で5分間攪拌し、コア材組成物である混合物U-3を調製した。次いで、中空チューブ状クラッド材(外径4mmΦ、内径2mmΦ、長さ60cm、軟質フッ素樹脂(THV))の中空部内に混合物U-3を空気が入らないように充填した後、中空チューブ状クラッド材をその両端が上向きとなるようにU字形に曲げて治具に固定し、80℃のオーブンの中に9時間入れて混合物U-3を反応硬化させて混合物U-3から調製されたコア材を含む光伝送体を作製した。作製した光伝送体は、その両端を切断して長さ50cmの試験体にした。
【0073】
[比較例1]
攪拌装置付き混合容器にヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(コロネートHX、東ソー社製、イソシアネート(NCO)含有量21.0%)を58.5g、水酸基含有化合物A(ポリオキシプロピレンジオール、PP-400、三洋化成工業社製、水酸基価280mg/KOH)を20.5g、水酸基含有化合物B(ポリオキシプロピレントリオール、アクトコールT-300、水酸基価538mg/KOH、三井化学SKCポリウレタン社製)を21.0g仕込み、窒素気流下で5分間攪拌し、混合物U-4を調製した。次いで、中空チューブ状クラッド材(外径4mmΦ、内径2mmΦ、長さ60cm、軟質フッ素樹脂(THV))の中空部内に混合物U-4を空気が入らないように充填した後、中空チューブ状クラッド材をその両端が上向きとなるようにU字形に曲げて治具に固定し、80℃のオーブンの中に9時間入れて混合物U-4を反応硬化させて混合物U-4から調製されたコア材を含む光伝送体を作製した。作製した光伝送体は、その両端を切断して長さ50cmの試験体にした。
【0074】
実施例1~3および比較例1の試験体(光伝送体)を用いて下記の性能試験を行った。コア材の調製に用いた各成分と試験体の性能試験結果を下記表1に示す。
【0075】
性能試験
[発光性]
実施例1~3および比較例1の試験体を直線状に固定し、試験体の片端末(チューブ内のコア材)に白色LED光(製品名NS6W083B、日亜化学工業社製)を入射した。白色LED光照射の位置から10cmの所に照度計(製品名T-10MA、コニカミノルタ社製)を設置し、試験体の側面出射光の照度を測定した。なお、測定室は暗室とし、照度計の受光部と試験体との距離(受光部と試験体の断面中心部との距離)は4mmとした。
【0076】
【0077】
表1の結果より、実施例1~3の光伝送体は、比較例1の光伝送体よりも高い側面出射光の照度が得られた。特に、原料に使用したチオール基のモル数が多い(すなわち、硬化後のコア材中のチオウレタン基が多い)ほど、優れた側面出射光の照度が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のコア材は、光伝送体に優れた側面出射光の照度を付与できることから、照明装置に好適に使用することができる。