(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】運搬台車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/00 20060101AFI20230526BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20230526BHJP
B62B 5/04 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
B62B3/00 Z
B62B5/00 J
B62B5/04 A
(21)【出願番号】P 2018157882
(22)【出願日】2018-08-25
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000155045
【氏名又は名称】株式会社本宏製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】吉井 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 直樹
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-306623(JP,A)
【文献】実開昭55-179904(JP,U)
【文献】特開2008-302903(JP,A)
【文献】特開2007-297011(JP,A)
【文献】特開2013-233881(JP,A)
【文献】登録実用新案第3120654(JP,U)
【文献】米国特許第07216877(US,B1)
【文献】独国特許出願公開第102009014864(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/00
B62B 5/00
B62B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬物を載置する荷台部の各隅部に設けられる四つの旋回自在な自在輪と、前記荷台部の長手方向中間位置の左右両側に設けられる一対の中間輪と、前記中間輪を旋回自在な自在輪状態と旋回不能な固定輪状態とに切り替える中間輪旋回制御機構及び前記中間輪を制動する中間輪制動機構とを備える運搬台車であって、前記中間輪制動機構は、前記中間輪に制動力を付与する制動力付与部と、この制動力付与部を作動させる操作部と、
前記操作部の操作により生じる駆動力を前記制動力付与部に伝達する駆動伝達機構と、前記制動力付与部の前記制動力を調整する制動力調整手段
とを有し、
前記駆動伝達機構は、前記操作部の操作により前記制動力付与部を作動させる作動部を有し、また、前記制動力付与部は、ブレーキシューと、このブレーキシューを押動操作する押動操作部材とからなり、前記押動操作部材は、前記中間輪が転動自在に設けられる中間輪取付部の旋回中心線上に上下移動自在に設けられ、また、前記ブレーキシューは、前記押動操作部材の直下に位置するようにして前記中間輪取付部に上下擺動自在に設けられ、前記押動操作部材の下方移動により押動され下方擺動して前記中間輪に圧接し、前記中間輪に制動力を付与するように構成され、また、前記制動力調整手段は
、前記一対の中間輪の夫々に
対して設けられる前記作動部に突没自在に螺着されるネジ部材であり、前記作動部の下方側への突出量を調整することで前記押動操作部材の下方への移動量を調整するように構成され、また、前記中間輪は
、前記四つの自在輪よりも下方に突出して設けられ、この中間輪が接地面に接地した状態においては、前側二つの前記自在輪若しくは後側二つの前記自在輪のいずれかが前記接地面から浮上するように構成され、また、前記荷台部は、フレーム部と、このフレーム部に対して起伏回動自在に設けられる底板部とで構成され、前記フレーム部は、前後方向に延設される中央フレーム部と、この中央フレーム部の前端部及び後端部にして前記自在輪が設けられる自在輪取付フレーム部と、この自在輪取付フレーム部間にして前記中間輪が設けられる中間輪取付フレーム部とからなり、また、前記中央フレーム部は前記自在輪取付フレーム部に対して接離自在に設けられ、前記荷台部は、前記底板部の一側端部を支点とした起伏回動操作により前記中央フレーム部の一側端部を前記自在輪取付フレーム部に対して上昇させる中央フレーム上下作動機構を有し、前記底板部の起立操作により、前記中央フレーム部の前記一側端部が前記自在輪取付フレーム部に対して上昇すると共に、前記中間輪取付フレーム部も上昇移動し該中間輪取付フレーム部に設けられた前記中間輪が接地面から浮上して非接地状態になるように構成されていることを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
請求項1記載の運搬台車において、前記操作部を操作することで前記各中間輪に設けられた前記制動力付与部が同時に下方へ移動し、前記一対の中間輪が同時に制動するように構成されていることを特徴とする運搬台車。
【請求項3】
請求項2記載の運搬台車において、前記操作部は、足踏みにより操作する足踏み操作部であることを特徴とする運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台の各隅部に設けられる四つの自在輪と、荷台の長手方向中間位置に設けられブレーキ機構が備えられていると共に旋回自在な自在輪状態と旋回不能な固定輪状態とに切り替え可能に構成される一対の中間輪との計六つの車輪を有する運搬台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の運搬台車として、例えば特許文献1に示すようなものがある。
【0003】
この特許文献1の運搬台車は、床フレームに両中間部キャスタの旋回を規制または規制解除する旋回規制・解除手段を有し、この旋回規制・解除手段は、床パネルの伏せ動作に伴い旋回規制部材がこの床パネルに押されて下降することによりキャスタ本体に掛止されて中間部キャスタの旋回を阻止する一方、床パネルの起立動作に伴い旋回規制部材がバネ部材の弾性力により上昇してキャスタ本体との掛止状態を解除されて中間部キャスタの旋回を許容するように構成されている。
【0004】
更に、この旋回規制・解除手段は、床パネルを伏せた状態のまま両中間部キャスタの旋回規制状態を強制的に解除する強制解除部材を有し、この強制解除部材は、下降状態にある旋回規制部材を回動させることによりキャスタ本体との掛止状態を解除して中間部キャスタの旋回を許容するように構成されている。
【0005】
また更に、この特許文献1の運搬台車は、中間部キャスタによる走行を停止させる走行停止手段を有し、この走行停止手段は、中間部キャスタのキャスタ本体に設けられたブレーキペダルと、このブレーキペダルを操作するブレーキ操作部材とを有し、ブレーキ操作によりこのブレーキ操作部材が下降しブレーキペダルを下方に押し下げ、この押し下げられたブレーキペダルが車輪の外周面に押し付けられて、車輪の回転が止められる構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この特許文献1の走行停止手段は、ブレーキペダルが旋回自在なキャスタ本体に設けられていて、このキャスタ本体の旋回動作により位置が変動するのに対し、このブレーキペダルを押し下げ操作するブレーキ操作部材は、このブレーキペダルの位置変動には追従せず位置が固定されている構成となっている。そのため、中間部キャスタが所定の向き(直進方向の向き)になってないと、ブレーキ操作部材とブレーキペダル間に位置ずれが生じ、ブレーキ操作部材が下降してもブレーキペダルに当接せず、ブレーキペダルを押し下げることができないため、ブレーキをかける際は、必ず中間部キャスタを所定の向きにしなければならないという煩わしさがある。
【0008】
更に、この特許文献1は、ブレーキがかけられた状態で強制解除部材の操作により両中間部キャスタの旋回規制状態を強制的に解除し中間部キャスタを旋回させるとブレーキ操作部材がブレーキペダルから外れ、ブレーキが解除された状態になるが、その際、ブレーキ操作部材はブレーキをかけた位置のまま、即ち下降した状態のままであるため、中間部キャスタの旋回動作の際に干渉して破損等の不具合が生じる可能性がある。
【0009】
また更に、上記の場合、ブレーキ操作部(足踏み部)はブレーキをかけている状態のままなので、見た目はブレーキがかかっているように見え、このように、見かけ上はブレーキがかかっているように見えるが実際はブレーキがかかっていないことで、ブレーキがかかっていない状態で放置され台車が勝手に動いてしまう危険性があるなどの問題がある。
【0010】
本発明は、上述のような問題点を解決するものであり、中間輪を有する六輪タイプの運搬台車において、中間輪の向き(旋回角度)に関わらず中間輪に制動力を付与することができる運搬台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
運搬物を載置する荷台部1の各隅部に設けられる四つの旋回自在な自在輪2と、前記荷台部1の長手方向中間位置の左右両側に設けられる一対の中間輪3と、前記中間輪3を旋回自在な自在輪状態と旋回不能な固定輪状態とに切り替える中間輪旋回制御機構及び前記中間輪3を制動する中間輪制動機構とを備える運搬台車であって、前記中間輪制動機構は、前記中間輪3に制動力を付与する制動力付与部4と、この制動力付与部4を作動させる操作部6と、前記操作部6の操作により生じる駆動力を前記制動力付与部4に伝達する駆動伝達機構と、前記制動力付与部4の前記制動力を調整する制動力調整手段7とを有し、前記駆動伝達機構は、前記操作部6の操作により前記制動力付与部4を作動させる作動部8を有し、また、前記制動力付与部4は、ブレーキシュー4Aと、このブレーキシュー4Aを押動操作する押動操作部材4Bとからなり、前記押動操作部材4Bは、前記中間輪3が転動自在に設けられる中間輪取付部5の旋回中心線上に上下移動自在に設けられ、また、前記ブレーキシュー4Aは、前記押動操作部材4Bの直下に位置するようにして前記中間輪取付部5に上下擺動自在に設けられ、前記押動操作部材4Bの下方移動により押動され下方擺動して前記中間輪3に圧接し、前記中間輪3に制動力を付与するように構成され、また、前記制動力調整手段7は、前記一対の中間輪3の夫々に対して設けられる前記作動部8に突没自在に螺着されるネジ部材7であり、前記作動部8の下方側への突出量を調整することで前記押動操作部材4Bの下方への移動量を調整するように構成され、また、前記中間輪3は、前記四つの自在輪2よりも下方に突出して設けられ、この中間輪3が接地面に接地した状態においては、前側二つの前記自在輪2若しくは後側二つの前記自在輪2のいずれかが前記接地面から浮上するように構成され、また、前記荷台部1は、フレーム部9と、このフレーム部9に対して起伏回動自在に設けられる底板部10とで構成され、前記フレーム部9は、前後方向に延設される中央フレーム部9Aと、この中央フレーム部9Aの前端部及び後端部にして前記自在輪2が設けられる自在輪取付フレーム部9Bと、この自在輪取付フレーム部9B間にして前記中間輪3が設けられる中間輪取付フレーム部9Cとからなり、また、前記中央フレーム部9Aは前記自在輪取付フレーム部9Bに対して接離自在に設けられ、前記荷台部1は、前記底板部10の一側端部を支点とした起伏回動操作により前記中央フレーム部9Aの一側端部を前記自在輪取付フレーム部9Bに対して上昇させる中央フレーム上下作動機構11を有し、前記底板部10の起立操作により、前記中央フレーム部9Aの前記一側端部が前記自在輪取付フレーム部9Bに対して上昇すると共に、前記中間輪取付フレーム部9Cも上昇移動し該中間輪取付フレーム部9Cに設けられた前記中間輪3が接地面から浮上して非接地状態になるように構成されていることを特徴とする運搬台車に係るものである。
【0013】
また、請求項1記載の運搬台車において、前記操作部6を操作することで前記各中間輪3に設けられた前記制動力付与部4が同時に下方へ移動し、前記一対の中間輪3が同時に制動するように構成されていることを特徴とする運搬台車に係るものである。
【0014】
また、請求項2記載の運搬台車において、前記操作部6は、足踏みにより操作する足踏み操作部6であることを特徴とする運搬台車に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、中間輪を有する六輪タイプの運搬台車において、中間輪の向き(旋回角度)に関わらず、中間輪に制動力を付与する(ブレーキをかける)ことができ、従来のものに比べて使い勝手の良い運搬台車となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】本実施例の底板部の起伏操作に伴う中間輪の状態変化を示す説明図である((A)は底板部を倒伏状態にして中間輪が接地状態になった状態、(B)は底板部の起立回動操作に伴い中間輪が接地面から浮上した状態、(C)は底板部を起立状態にして中間輪が非接地状態になった状態を示す。)。
【
図4】本実施例の中間輪旋回制御機構を示す説明斜視図である。
【
図5】本実施例の中間輪旋回制御機構及び中間輪制動機構を示す説明図である。
【
図6】本実施例の中間輪旋回制御機構及び中間輪制動機構を示す説明図である。
【
図7】本実施例の中間輪制動機構を示す説明斜視図である。
【
図8】本実施例の足踏み操作部を示す説明図である((A)は非操作状態、(B)はブレーキ解除ペダル部操作状態、(C)はブレーキ解除ペダル部操作状態を示す。)。
【
図9】本実施例の中間輪制動機構の操作説明図である((A)はブレーキ操作前の状態、(B)はブレーキ操作後の状態を示す。)。
【
図10】本実施例の制動力調整手段を示す説明図である((A)は通常状態、(B)は制動力を高めた状態を示す。)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
中間輪3に制動力を付与する(中間輪3にブレーキをかける)本発明の制動力付与部4は、中間輪3が設けられている中間輪取付部5の旋回中心部(仮想旋回軸上)に設けられているから、中間輪3(中間輪取付部5)が旋回しても制動力付与部4の位置は変動しない。
【0019】
よって、中間輪3(中間輪取付部5)の旋回動作による制動力付与部4と、この制動力付与部4を作動させる作動部8との間に位置ずれが生じず、中間輪3の旋回角度(中間輪3の向き)に関わらず作動部8が制動力付与部4を作動させて、この中間輪3に制動力を付与する(ブレーキをかける)ことができる。
【実施例】
【0020】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0021】
本実施例は、運搬物を載置する荷台部1の各隅部に設けられる四つの旋回自在な自在輪2と、前記荷台部1の長手方向中間位置の左右両側に設けられる一対の中間輪3との六つの車輪を有し、前記中間輪3を旋回自在な自在輪状態と旋回不能な固定輪状態に切り換える中間輪旋回制御機構を備えると共に、前記中間輪3を制動する中間輪制動機構を備える運搬台車である。
【0022】
以下、本実施例に係る構成各部について詳述する。
【0023】
本実施例の荷台部1は、フレーム部9と、このフレーム部9に対して載置・離脱自在に設けられる底板部10とからなり、フレーム部9は、
図2に示すように、前後方向に延設される中央フレーム部9Aと、この中央フレーム部9Aと交差(直交)するように前端部及び後端部に夫々設けられ左右方向(長手方向)両側に夫々自在輪2が設けられる自在輪取付フレーム部9Bと、この前後の自在輪取付フレーム部9B間の中央に設けられ左右方向(長手方向)両側に夫々中間輪3が設けられる中間輪取付フレーム部9Cとからなる構成とされ、また、底板部10は、
図1,2に示すように、フレーム部9に対して起伏回動自在に設けられていて、起立操作によりフレーム部9から離脱し、倒伏操作によりフレーム部9に載置セットされる構成とされている。
【0024】
また、本実施例のフレーム部9は、中央フレーム部9Aの前端部と前側の自在輪取付フレーム部9Bとが接離自在に設けられていて、底板部10の起立操作に伴いこの中央フレーム部9Aの前端部が前側の自在輪取付フレーム部9Bから離脱上昇し、この中央フレーム部9Aの前側上昇作用により中間輪取付フレーム部9Cが上昇移動し、この中間輪取付フレーム部9Cに設けられる中間輪3が非接地状態になるように構成されている。
【0025】
具体的には、本実施例は、
図3に示すように、底板部10の起伏回動操作により作動する中央フレーム上下作動機構11を備え、底板部10の起伏回動操作時にこの中央フレーム上下作動機構11を介して中央フレーム部9Aの前端部が上下移動する構成とされている。
【0026】
より具体的には、この中央フレーム上下作動機構11は、前側の自在輪取付フレーム部9Bに立設されるガイド柱部12(本実施例では後述する枠体部15を支持する支柱部15Cと兼用の構造)に沿って上下移動自在に設けられ中央フレーム部9Aに連結される移動連結部13を備え、底板部10を起立操作すると、この移動連結部13が底板部10に設けられた回動部材14の上方回動により上方に押し上げられ、この移動連結部13の回動部材14による上方移動によりこの移動連結部13と連結する中央フレーム部9Aの前端部を上昇移動させる構成とされている。尚、底板部10は、起立状態にした際に後述する枠体部15に設けられた掛止部28を掛け止めすることで起立状態が保持されるように構成されていて、移動連結部13は、この底板部10が掛止部28により起立状態が保持されることで、回動部材14に支持され上方移動した状態が保持され、掛止部28を解除し底板部10を起立状態から倒伏操作してフレーム部9に載置セットすると、この底板部10の倒伏操作による回動部材14の下方回動により下方に移動し元の位置に戻るように構成され、本実施例は、この底板部10の倒伏操作に伴う移動連結部13の下方移動により上昇していた中央フレーム部9Aの前端部が下降し、この下降作用により中間輪取付フレーム部9Cが下降して中間輪3が接地面に接地状態になるように構成されている。
【0027】
即ち、本実施例は、底板部10の起伏操作が中間輪3の接地・非接地状態を切り換える操作となる構成とされている。尚、本実施例は、中間輪取付フレーム部9Cが下降した際、この中間輪取付フレーム部9Cに設けられる中間輪3が自在輪2よりもやや下方に突出した状態となるように構成されていて、この中間輪3が接地面に接地した状態になると、前側若しくは後側のいずれかの自在輪取付フレーム部9Bに設けられる自在輪2が浮上し接地面に対して非接地状態になる天秤台車状態となり、前側若しくは後側の自在輪取付フレーム部9Bに設けられる自在輪2と中間輪取付フレーム部9Cに設けられる中間輪3の四輪で常に走行するように構成されている。
【0028】
また、本実施例の荷台部1は、
図1に示すように、前端部及び後端部に夫々、運搬操作時のハンドルになると共に、棚板を架設する際の支承部となる枠体部15が設けられている。
【0029】
この枠体部15は、外枠部15Aと、この外枠部15A内に架設される複数の横桟部15Bと、外枠部15Aの下端部に連設される支柱部15Cとからなり、自在輪取付フレーム部9B上に立設される構成とされていて、また、前端部側の枠体部15には、前述した底板部10を起立状態にした際に、この底板部10の起立状態を保持するための掛止部28が設けられている。
【0030】
また、本実施例の荷台部1には、前述のとおり、中間輪3を旋回自在な自在輪状態と旋回不能な固定輪状態に切り替える中間輪旋回制御機構と、中間輪3に制動力を付与する(ブレーキをかける)中間輪制動機構とが備えられていて、この中間輪旋回制御機構及び中間輪制動機構は共に中間輪取付フレーム部9Cに設けられている。
【0031】
中間輪旋回制御機構は、
図4,5に示すように、中間輪3が転動自在に設けられる中間輪取付部5に設けられる旋回ロック係止部16と、この旋回ロック係止部に係脱自在に係止する旋回ロック部17とを備え、この旋回ロック係止部16に旋回ロック部17が係止することで中間輪3(中間輪取付部5)の旋回を不能にする(ロックする)構成とされている。
【0032】
具体的には、旋回ロック係止部16は、凹部に形成され、中間輪3が直進姿勢となる旋回角度(進行方向と平行な旋回角度)になった際に旋回ロック部17が嵌合係止するよう、中間輪取付部5の後縁中央部に設けられている。
【0033】
また、旋回ロック部17は、
図6に示すように、中間輪取付フレーム部9Cの長手方向に延設される旋回制御用回動杆18の長手方向両側に夫々、この旋回制御用回動杆18の長手方向と直交する方向に突設されていて、この旋回制御用回動杆18の回動動作により夫々の旋回ロック部17が対応する各旋回ロック係止部16に同時に係脱動作する構成とされている。
【0034】
より具体的には、旋回制御用回動杆18は、長手方向両端部に旋回ロック解除操作片部19が設けられていると共に中間輪取付フレーム部9Cに固定されたバネ部材等の付勢手段20に連結されていて、本実施例の中間輪旋回制御機構は、この付勢手段20の付勢力により旋回ロック部17が、旋回ロック係止部16が設けられた中間輪取付部5側に押圧付勢されていて、中間輪3の向きが直進方向になった際、この付勢手段20による押圧付勢により旋回ロック部17が旋回ロック係止部16に自動的に嵌合係止して中間輪3の向き(旋回角度)をこの直進方向の向きで固定(ロック)するように構成され、また、この旋回ロック状態を解除する場合は、旋回制御用回動杆18の両端部に設けられた旋回ロック解除操作片部19のいずれか一方を押し下げ操作することで、付勢手段20の付勢力に抗して旋回制御用回動杆18が回動動作し、この旋回制御用回動杆18の回動動作により旋回ロック部17が旋回ロック係止部16から離脱し、中間輪3(中間輪取付部5)が旋回可能な状態になるように構成されている。
【0035】
また、中間輪制動機構は、
図7に示すように、中間輪3に制動力を付与する制動力付与4を有し、この制動力付与部4は、中間輪3が設けられる中間輪取付部5の旋回中心部に設けられていて、中間輪3の旋回角度に関わらず作動してこの中間輪3に制動力を付与することができるように構成されている。
【0036】
具体的には、本実施例の中間輪制動機構は、前述した制動力付与部4の他、
図6に示すように、この制動力付与部4を動作させるための足踏み操作部6と、この足踏み操作部6の操作により生じる駆動力を制動力付与部4に伝達する駆動伝達機構とを備える構成とされ、足踏み操作部6を足踏み操作することで駆動伝達機構が作動し、この駆動伝達機構の作動により各中間輪3に夫々設けられた制動力付与部4が同時に下方に移動して、中間輪取付フレーム部9Cに設けられた二輪の中間輪3を同時に制動するように構成されている。
【0037】
より具体的に説明すると、足踏み操作部6は、中間輪3にブレーキをかける際に操作するブレーキペダル部6Aと、ブレーキを解除する際に操作するブレーキ解除ペダル部6Bと、ブレーキペダル部6Aの操作を駆動伝達機構に伝達する伝達杆21とからなり、図示するように、ブレーキペダル部6Aを足踏み操作すると、このブレーキペダル部6Aが回動し、このブレーキペダル部6Aに連設される伝達杆21が前方に移動し、この伝達杆21に連設される駆動伝達機構を前方に移動操作するように構成されている。
【0038】
また、本実施例の足踏み操作部6は、
図8に示すように、このブレーキペダル部6Aを足踏み操作すると、このブレーキペダル部6Aに設けられる係合部22(係合ピン22)がブレーキ解除ペダル部6Bに設けられる係合凹部23に落ち込み係合してブレーキペダル部6Aの戻り動作を抑制し、ブレーキオン状態が保持されるように構成され、また、このブレーキオン状態において、ブレーキ解除ペダル部6Bを足踏み操作すると、ブレーキペダル部6Aに設けられた係合ピン22とブレーキ解除ペダル部6Bの係合凹部23との係合状態が解除され、ブレーキペダル部6Aに設けられた復帰動作用付勢部材24の付勢力によりブレーキペダル部6Aが元の状態(ブレーキ解除の位置)に戻り移動するように構成されている。
【0039】
また、駆動伝達機構は、伝達杆21に連設される駆動伝達杆25と、この駆動伝達杆25の作動により押動操作される操作レバー部26と、この操作レバー部26が捜査されることにより回動動作する制動制御用回動杆27と、この制動制御用回動杆27に設けられこの制動制御用回動杆27の回動動作と共に動作し制動力付与部4を作動させる制動操作部8(作動部。以下、同様。)とからなる構成とされている。
【0040】
具体的には、駆動伝達杆25は、杆状部材からなり、一端部(後端部)に伝達杆連設部25Aが設けられていて、この伝達杆連設部25Aが伝達杆21に連設され、他端部(前端部)が操作レバー部26に当接若しくは近接状態になるようにして、中央フレーム部9Aに沿設状態に配設されている。
【0041】
また、制動制御用回動杆27は、
図6に示すように、中間輪取付フレーム部9Cの長手方向に延設されていて、両端部に制動操作部8、中央部に操作レバー部26が設けられている構成とされ、各制動操作部8は、板状に形成され後述する制動力付与部4に当接若しくは近接状態となるように設けられている。
【0042】
即ち、本実施例の駆動伝達機構は、足踏み操作部6から駆動力を駆動伝達杆25が制動制御用回動杆27に伝達し、この制動制御用回動杆27の作動により両端部の制動操作部8が作動し、両中間輪3に対して同時に付勢力を付与する(ブレーキをかける)ように構成されている。
【0043】
また、制動力付与部4は、
図7に示すように、ブレーキシュー4Aと、このブレーキシュー4Aを押動操作する押動操作部材4Bとからなる構成とされている。
【0044】
具体的には、押動操作部材4Bは、中間輪取付部5の旋回中心部(仮想旋回軸上)に設けられた挿通孔に付勢部材4Cを介して上下動自在に挿通されていて、また、ブレーキシュー4Aは、この押動操作部材4Bの直下に位置するようにして中間輪取付部5に回動自在に設けられていて、押動操作部材4Bの下方移動によりこの押動操作部材4Bに押動され、下方回動して中間輪3に圧接し、中間輪3に制動力を付与するように構成されている。
【0045】
即ち、本実施例の制動力付与部4は、中間輪3(中間輪取付部5)の旋回中心上(仮想旋回軸上)にブレーキシュー4A及び押動操作部材4Bが配設されていて、中間輪3(中間輪取付部5)が旋回しても中間輪3に対する位置関係が変わらず、何れの旋回角度においても中間輪3に対して位置ずれすることなく中間輪3に制動力を付与することができる構成とされている。
【0046】
以上をまとめると、本実施例の中間輪制動機構は、中間輪3(中間輪取付部5)の旋回角度に関わらず、
図9に示すように、足踏み操作部6のブレーキペダル部6Aを足踏み操作することにより伝達杆21が前方に移動し、この伝達杆21の前方への移動に伴い駆動伝達杆25が前方に移動して操作レバー部26を押動し、この操作レバー部26が駆動伝達杆25に押動されることで前方に傾倒回動し、この操作レバー部26の傾倒回動により制動制御用回動杆27が回動動作し、この制動制御用回動杆27の回動動作により制動操作部8が制動力付与部4の押動操作部材4Bを下方に押し下げ、この押動操作部材4Bが制動操作部8により下方に押し下げられることでブレーキシュー4Aを下方回動させ、このブレーキシュー4Aが下方か移動することで中間輪3に圧接して中間輪3に制動力を付与する構成とされている。
【0047】
また、本実施例の中間輪制動機構は、各中間輪3に対して個別に制動力を調整するための制動力調整手段7が備えられている。
【0048】
この制動力調整手段7は、足踏み操作部6を足踏み操作した際の制動力付与部4、具体的には、押動操作部材4Bの下方への移動量を調整するものであり、本実施例においては、
図10に示すように、この制動力調整手段7として、ネジ部材7を採用し、ネジ部材7と螺合する雌ネジ部(図示省略)を制動操作部8に設け、この雌ネジ部にネジ部材7を螺着して、
制動調整手段としてのネジ部材7を制動操作部8に突没自在(制動操作部8の板厚方向に移動自在)に設けて、ネジ部材7の制動操作部8の下方側への突出量を調整することで押動操作部材4Bの下方への移動量を調整する構成とされている。
【0049】
即ち、本実施例は、このネジ部材7を螺入操作し制動操作部8の下方側(裏面側)への突出量を大きくすることで、この突出量を大きくした分、制動力付与部4の押動操作部材4Bがより下方に押し下げられることとなり、より深くブレーキシュー4Aを押動して、ブレーキシュー4Aの中間輪3への圧接力が大きくして制動力を高め、逆に、突出量を小さくすることで、押動操作部材4Bの押し下げ量が小さくなり、ブレーキシュー4Aの押動が浅くなって、制動力を弱めることができるように構成されている。
【0050】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0051】
1 荷台部
2 自在輪
3 中間輪
4 制動力付与部
4A ブレーキシュー
4B 押動操作部材
5 中間輪取付部
6 操作部,足踏み操作部
7 制動力調整手段
8 作動部
9 フレーム部
9A 中央フレーム部
9B 自在輪取付フレーム部
10 底板部
11 中央フレーム上下作動機構