(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】運転経路生成システム、運転経路生成方法、運転経路生成プログラム、およびドローン
(51)【国際特許分類】
B64C 13/18 20060101AFI20230526BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230526BHJP
B64U 10/16 20230101ALI20230526BHJP
G01C 21/20 20060101ALI20230526BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20230526BHJP
B64U 101/40 20230101ALN20230526BHJP
【FI】
B64C13/18 Z
B64C27/08
B64U10/16
G01C21/20
G05D1/10
B64U101:40
(21)【出願番号】P 2019179785
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】515019537
【氏名又は名称】株式会社ナイルワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【氏名又は名称】栗原 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】和氣 千大
(72)【発明者】
【氏名】柳下 洋
(72)【発明者】
【氏名】西東 敦教
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 一雄
(72)【発明者】
【氏名】村雲 泰
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-113864(JP,A)
【文献】特開2005-176741(JP,A)
【文献】特開2017-206066(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179404(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0110014(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104808660(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/18
B64C 27/08
B64C 39/02
B64U 10/16
B64U 101/40
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G05D 1/00- 1/12
G08G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンの運転経路を生成する運転経路生成装置と、
少なくとも作業エリア内を前記運転経路に沿って飛行して作業を行うドローンと、
を含む運転経路生成システムであって、
前記作業エリアの外縁を周回する周回運転経路を生成する外周経路生成部と、
前記周回運転経路の内側に規定される内側エリアを往復する往復運転経路を生成する内側経路生成部と、を備え、
前記内側経路生成部は、前記往復運転経路の飛行速度を、前記周回運転経路の飛行速度より速くする、
運転経路生成システム。
【請求項2】
前記作業エリアの外部であって前記ドローンが離発着を行う発着地点と、前記作業エリア内の地点との間の発着経路を生成する発着経路生成部をさらに備え、
前記発着経路生成部は、前記発着経路における前記ドローンの飛行速度を、前記作業エリアにおける飛行速度よりも速くする、
請求項1記載の運転経路生成システム。
【請求項3】
少なくとも作業エリア内を飛行して作業を行うドローンの運転経路を生成する方法であって、
前記作業エリアの外縁を周回する周回運転経路を生成するステップと、
前記周回運転経路の内側に規定される内側エリアを往復する往復運転経路を生成するステップと、を含み、
前記往復運転経路の飛行速度は、前記周回運転経路の飛行速度より速く制御される、
運転経路生成方法。
【請求項4】
少なくとも作業エリア内を飛行して作業を行うドローンの運転経路を生成するプログラムであって、
前記作業エリアの外縁を周回する周回運転経路を生成する命令と、
前記周回運転経路の内側に規定される内側エリアを往復する往復運転経路を生成する命令と、をコンピュータに実行させ、
前記往復運転経路の飛行速度は、前記周回運転経路の飛行速度より速く制御される、
運転経路生成プログラム。
【請求項5】
運転経路生成装置により生成される運転経路を受信して、前記運転経路に沿って飛行可能なドローンであって、
作業エリアの外縁を周回する周回運転経路と、前記周回運転経路の内側に規定される内側エリアを往復する往復運転経路と、に沿って飛行し、
前記往復運転経路の飛行速度を、前記周回運転経路の飛行速度より速く制御する、
ドローン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、運転経路生成システム、運転経路生成方法、運転経路生成プログラム、およびドローン
に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にドローンと呼ばれる小型ヘリコプター(マルチコプター)の応用が進んでいる。その重要な応用分野の一つとして農地(圃場)への農薬や液肥などの薬剤散布が挙げられる(たとえば、特許文献1)。欧米と比較して農地が狭い日本においては、有人の飛行機やヘリコプターではなくドローンの使用が適しているケースが多い。
【0003】
ドローンが少ないエネルギーで広範囲での作業を行うために、ドローンの運転経路を生成することが必要とされている。
【0004】
特許文献2には、外周領域に作業車の駐車位置を設定する駐車位置設定部と、作業対象領域を網羅する往復走行及びUターン走行経路のための走行経路要素から、走行すべき次走行経路要素を選択する経路要素選択部と、が備えられている走行経路管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許公開公報 特開2001-120151
【文献】特許公開公報 特開2018-101410
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
少ないエネルギーで広範囲の作業が可能な、ドローンの運転経路を生成する運転経路生成システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る運転経路生成システムは、ドローンの運転経路を生成する運転経路生成装置と、少なくとも作業エリア内を前記運転経路に沿って飛行して作業を行うドローンと、を含む運転経路生成システムであって、前記作業エリアの外縁を周回する周回運転経路を生成する外周経路生成部と、前記周回運転経路の内側に規定される内側エリアを往復する往復運転経路を生成する内側経路生成部と、を備え、前記内側経路生成部は、前記往復運転経路の飛行速度を、前記周回運転経路の飛行速度より速くする。
【0008】
前記作業エリアの外部であって前記ドローンが離発着を行う発着地点と、前記作業エリア内の地点との間の発着経路を生成する発着経路生成部をさらに備え、前記発着経路生成部は、前記発着経路における前記ドローンの飛行速度を、前記作業エリアにおける飛行速度よりも速くする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係る運転経路生成方法は、少なくとも作業エリア内を飛行して作業を行うドローンの運転経路を生成する方法であって、前記作業エリアの外縁を周回する周回運転経路を生成するステップと、
前記周回運転経路の内側に規定される内側エリアを往復する往復運転経路を生成するステップと、を含み、前記往復運転経路の飛行速度は、前記周回運転経路の飛行速度より速く制御される。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のさらに別の観点に係る運転経路生成プログラムは、少なくとも作業エリア内を飛行して作業を行うドローンの運転経路を生成するプログラムであって、前記作業エリアの外縁を周回する周回運転経路を生成する命令と、前記周回運転経路の内側に規定される内側エリアを往復する往復運転経路を生成する命令と、をコンピュータに実行させ、前記往復運転経路の飛行速度は、前記周回運転経路の飛行速度より速く制御される。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のさらに別の観点に係るドローンは、運転経路生成装置により生成される運転経路を受信して、前記運転経路に沿って飛行可能なドローンであって、前記作業エリアの外縁を周回する周回運転経路と、前記周回運転経路の内側に規定される内側エリアを往復する往復運転経路と、に沿って飛行し、前記往復運転経路の飛行速度を、前記周回運転経路の飛行速度より速く制御する。
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0012】
少ないエネルギーで広範囲の作業が可能な、ドローンの運転経路を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本願発明に係るドローンの第1実施形態を示す平面図である。
【
図6】上記ドローンが有する薬剤散布システムの全体概念図である。
【
図7】上記ドローンを含む薬剤散布システムの別の例を示す全体概念図である。
【
図8】上記ドローンを含む薬剤散布システムのさらに別の例を示す全体概念図である。
【
図9】上記ドローンの制御機能を表した模式図である。
【
図10】本願発明に係る運転経路生成システムの様子を示す全体概念図である。
【
図11】上記運転経路生成システムに含まれる運転経路生成装置の機能ブロック図である。
【
図12】上記運転経路生成装置が有する経路生成部、および上記ドローンが有する発着経路生成部により生成される運転経路の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照しながら、本願発明を実施するための形態について説明する。図はすべて例示である。以下の詳細な説明では、説明のために、開示された実施形態の完全な理解を促すために、ある特定の詳細について述べられている。しかしながら、実施形態は、これらの特定の詳細に限られない。また、図面を単純化するために、周知の構造および装置については概略的に示されている。
【0015】
本願明細書において、ドローンとは、動力手段(電力、原動機等)、操縦方式(無線であるか有線であるか、および、自律飛行型であるか手動操縦型であるか等)を問わず、複数の回転翼を有する飛行体全般を指すこととする。ドローンは移動装置の例であり、本願発明に係る運転経路生成装置により生成される運転経路の情報を適宜受信し、当該運転経路に沿って飛行することが可能である。
【0016】
図1乃至
図5に示すように、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4b(ローターとも呼ばれる)は、ドローン100を飛行させるための手段であり、飛行の安定性、機体サイズ、および、バッテリー消費量のバランスを考慮し、8機(2段構成の回転翼が4セット)備えられている。
【0017】
モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、102-4a、102-4bは、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4bを回転させる手段(典型的には電動機だが発動機等であってもよい)であり、一つの回転翼に対して1機設けられている。モーター102は、推進器の例である。1セット内の上下の回転翼(たとえば、101-1aと101-1b)、および、それらに対応するモーター(たとえば、102-1aと102-1b)は、ドローンの飛行の安定性等のために軸が同一直線上にあり、かつ、互いに反対方向に回転する。なお、一部の回転翼101-3b、および、モーター102-3bが図示されていないが、その位置は自明であり、もし左側面図があったならば示される位置にある。
図2、および、
図3に示されるように、ローターが異物と干渉しないよう設けられたプロペラガードを支えるための放射状の部材は水平ではなくやぐら状の構造である。衝突時に当該部材が回転翼の外側に座屈することを促し、ローターと干渉することを防ぐためである。
【0018】
薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4は、薬剤を下方に向けて散布するための手段であり4機備えられている。なお、本願明細書において、薬剤とは、農薬、除草剤、液肥、殺虫剤、種、および、水などの圃場に散布される液体または粉体を一般的に指すこととする。
【0019】
薬剤タンク104は散布される薬剤を保管するためのタンクであり、重量バランスの観点からドローン100の重心に近い位置でかつ重心より低い位置に設けられている。薬剤ホース105-1、105-2、105-3、105-4は、薬剤タンク104と各薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4とを接続する手段であり、硬質の素材から成り、当該薬剤ノズルを支持する役割を兼ねていてもよい。ポンプ106は、薬剤をノズルから吐出するための手段である。
【0020】
図6に本願発明に係るドローン100の薬剤散布用途の実施例を使用したシステムの全体概念図を示す。本図は模式図であって、縮尺は正確ではない。操作器401は、使用者402の操作によりドローン100に指令を送信し、また、ドローン100から受信した情報(たとえば、位置、薬剤量、電池残量、カメラ映像等)を表示するための手段であり、コンピューター・プログラムを稼働する一般的なタブレット端末等の携帯情報機器によって実現されてよい。本願発明に係るドローン100は自律飛行を行なうよう制御されるが、離陸や帰還などの基本操作時、および、緊急時にはマニュアル操作が行なえるようになっていてもよい。携帯情報機器に加えて、緊急停止専用の機能を有する非常用操作機(図示していない)を使用してもよい(非常用操作機は緊急時に迅速に対応が取れるよう大型の緊急停止ボタン等を備えた専用機器であってもよい)。操作器401とドローン100はWi-Fi等による無線通信を行う。
【0021】
圃場403は、ドローン100による薬剤散布の対象となる田圃や畑等である。実際には、圃場403の地形は複雑であり、事前に地形図が入手できない場合、あるいは、地形図と現場の状況が食い違っている場合がある。通常、圃場403は家屋、病院、学校、他作物圃場、道路、鉄道等と隣接している。また、圃場403内に、建築物や電線等の障害物が存在する場合もある。
【0022】
基地局404は、Wi-Fi通信の親機機能等を提供する装置であり、RTK-GPS基地局としても機能し、ドローン100の正確な位置を提供できるようになっていてもよい(Wi-Fi通信の親機機能とRTK-GPS基地局が独立した装置であってもよい)。営農クラウド405は、典型的にはクラウドサービス上で運営されているコンピュータ群と関連ソフトウェアであり、操作器401と携帯電話回線等で無線接続されていてもよい。営農クラウド405は、ドローン100が撮影した圃場403の画像を分析し、作物の生育状況を把握して、飛行ルートを決定するための処理を行ってよい。また、保存していた圃場403の地形情報等をドローン100に提供してよい。加えて、ドローン100の飛行および撮影映像の履歴を蓄積し、様々な分析処理を行ってもよい。
【0023】
通常、ドローン100は圃場403の外部にある発着地点406から離陸し、圃場403に薬剤を散布した後に、あるいは、薬剤補充や充電等が必要になった時に発着地点406に帰還する。発着地点406から目的の圃場403に至るまでの飛行経路(侵入経路)は、営農クラウド405等で事前に保存されていてもよいし、使用者402が離陸開始前に入力してもよい。
【0024】
なお、
図7に示す例のように、ドローン100、操作器401、小型携帯端末401a、営農クラウド405が、それぞれ基地局404と接続されている構成であってもよい。
【0025】
また、
図8に示す例のように、ドローン100、操作器401、小型携帯端末401aが、それぞれ基地局404と接続されていて、操作器401のみが営農クラウド405と接続されている構成であってもよい。
【0026】
図9に本願発明に係る薬剤散布用ドローンの実施例の制御機能を表したブロック図を示す。フライトコントローラー501は、ドローン全体の制御を司る構成要素であり、具体的にはCPU、メモリー、関連ソフトウェア等を含む組み込み型コンピュータであってよい。フライトコントローラー501は、操作器401から受信した入力情報、および、後述の各種センサーから得た入力情報に基づき、ESC(Electronic Speed Control)等の制御手段を介して、モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの回転数を制御することで、ドローン100の飛行を制御する。モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの実際の回転数はフライトコントローラー501にフィードバックされ、正常な回転が行なわれているかを監視できる構成になっている。あるいは、回転翼101に光学センサー等を設けて回転翼101の回転がフライトコントローラー501にフィードバックされる構成でもよい。フライトコントローラー501は、飛行制御部の例である。
【0027】
フライトコントローラー501が使用するソフトウェアは、機能拡張・変更、問題修正等のために記憶媒体等を通じて、または、Wi-Fi通信やUSB等の通信手段を通じて書き換え可能になっている。この場合において、不正なソフトウェアによる書き換えが行なわれないように、暗号化、チェックサム、電子署名、ウィルスチェックソフト等による保護が行われている。また、フライトコントローラー501が制御に使用する計算処理の一部が、操作器401上、または、営農クラウド405上や他の場所に存在する別のコンピュータによって実行されてもよい。フライトコントローラー501は重要性が高いため、その構成要素の一部または全部が二重化されていてもよい。
【0028】
バッテリー502は、フライトコントローラー501、および、ドローンのその他の構成要素に電力を供給する手段であり、充電式であってもよい。バッテリー502はヒューズ、または、サーキットブレーカー等を含む電源ユニットを介してフライトコントローラー501に接続されている。バッテリー502は電力供給機能に加えて、その内部状態(蓄電量、積算使用時間等)をフライトコントローラー501に伝達する機能を有するスマートバッテリーであってもよい。
【0029】
フライトコントローラー501は、Wi-Fi子機機能503を介して、さらに、基地局404を介して操作器401とやり取りを行ない、必要な指令を操作器401から受信すると共に、必要な情報を操作器401に送信できる。この場合に、通信には暗号化を施し、傍受、成り済まし、機器の乗っ取り等の不正行為を防止できるようにしておいてもよい。基地局404は、Wi-Fiによる通信機能に加えて、RTK-GPS基地局の機能も備えている。RTK基地局の信号とGPS測位衛星からの信号を組み合わせることで、GPSモジュール504により、ドローン100の絶対位置を数センチメートル程度の精度で測定可能となる。GPSモジュール504は重要性が高いため、二重化・多重化されていてもよく、また、特定のGPS衛星の障害に対応するため、冗長化されたそれぞれのGPSモジュール504は別の衛星を使用するよう制御されていてもよい。
【0030】
6軸ジャイロセンサー505はドローン機体の互いに直交する3方向の加速度を測定する手段(さらに、加速度の積分により速度を計算する手段)である。6軸ジャイロセンサー505は、上述の3方向におけるドローン機体の姿勢角の変化、すなわち角速度を測定する手段である。地磁気センサー506は、地磁気の測定によりドローン機体の方向を測定する手段である。気圧センサー507は、気圧を測定する手段であり、間接的にドローンの高度も測定することもできる。レーザーセンサー508は、レーザー光の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定する手段であり、IR(赤外線)レーザーであってもよい。ソナー509は、超音波等の音波の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定する手段である。これらのセンサー類は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよい。また、機体の傾きを測定するためのジャイロセンサー(角速度センサー)、風力を測定するための風力センサーなどが追加されていてもよい。また、これらのセンサー類は、二重化または多重化されていてもよい。同一目的複数のセンサーが存在する場合には、フライトコントローラー501はそのうちの一つのみを使用し、それが障害を起こした際には、代替のセンサーに切り替えて使用するようにしてもよい。あるいは、複数のセンサーを同時に使用し、それぞれの測定結果が一致しない場合には障害が発生したと見なすようにしてもよい。
【0031】
流量センサー510は薬剤の流量を測定するための手段であり、薬剤タンク104から薬剤ノズル103に至る経路の複数の場所に設けられている。液切れセンサー511は薬剤の量が所定の量以下になったことを検知するセンサーである。マルチスペクトルカメラ512は圃場403を撮影し、画像分析のためのデータを取得する手段である。障害物検知カメラ513はドローン障害物を検知するためのカメラであり、画像特性とレンズの向きがマルチスペクトルカメラ512とは異なるため、マルチスペクトルカメラ512とは別の機器である。スイッチ514はドローン100の使用者402が様々な設定を行なうための手段である。障害物接触センサー515はドローン100、特に、そのローターやプロペラガード部分が電線、建築物、人体、立木、鳥、または、他のドローン等の障害物に接触したことを検知するためのセンサーである。カバーセンサー516は、ドローン100の操作パネルや内部保守用のカバーが開放状態であることを検知するセンサーである。薬剤注入口センサー517は薬剤タンク104の注入口が開放状態であることを検知するセンサーである。これらのセンサー類はドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。また、ドローン100外部の基地局404、操作器401、または、その他の場所にセンサーを設けて、読み取った情報をドローンに送信してもよい。たとえば、基地局404に風力センサーを設け、風力・風向に関する情報をWi-Fi通信経由でドローン100に送信するようにしてもよい。
【0032】
フライトコントローラー501はポンプ106に対して制御信号を送信し、薬剤吐出量の調整や薬剤吐出の停止を行なう。ポンプ106の現時点の状況(たとえば、回転数等)は、フライトコントローラー501にフィードバックされる構成となっている。
【0033】
LED107は、ドローンの操作者に対して、ドローンの状態を知らせるための表示手段である。表示手段は、LEDに替えて、または、それに加えて液晶ディスプレイ等の表示手段を使用してもよい。ブザー518は、音声信号によりドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるための出力手段である。Wi-Fi子機機能519は操作器401とは別に、たとえば、ソフトウェアの転送などのために外部のコンピューター等と通信するためのオプショナルな構成要素である。Wi-Fi子機機能に替えて、または、それに加えて、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、NFC等の他の無線通信手段、または、USB接続などの有線通信手段を使用してもよい。スピーカー520は、録音した人声や合成音声等により、ドローンの状態(特にエラー状態)を知らせる出力手段である。天候状態によっては飛行中のドローン100の視覚的表示が見にくいことがあるため、そのような場合には音声による状況伝達が有効である。警告灯521はドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるストロボライト等の表示手段である。これらの入出力手段は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。
【0034】
●運転経路生成システムの概略
ドローン100は、様々な形状の圃場に対し、効率よく移動するための運転経路が必要である。すなわち、ドローン100は、ある圃場内に薬剤を散布する場合や、ある圃場内を監視する場合において、当該圃場の上空をくまなく飛行する必要がある。その際、なるべく同じ経路を飛行しないことで、バッテリーの消費や飛行時間を短くすることができる。また、薬剤散布においては、同じ経路に薬剤を散布すると当該経路下の薬剤濃度が高くなってしまう恐れがある。そこで、運転経路生成装置は、ドローン100を始めとする移動装置が圃場の座標情報に基づいて効率よく移動するための運転経路の生成を行う。
【0035】
ドローン100は、発着地点406から離陸して、圃場403内に規定される作業エリア81iでの作業を遂行する。ドローン100は、作業エリア81i内での作業中に、適宜作業を中断して発着地点406に帰還し、バッテリ502および薬剤の補充を行う。
【0036】
図12に示すように、ドローン100は、発着地点406と作業エリア81iとの間を飛行して移動する。ドローン100は、後述する発着経路生成部61により、発着地点406と作業エリア81iとの間の経路、すなわち発着経路80rを生成し、発着経路80rに沿って移動する。発着経路生成部61は、発着地点406を離陸するとき、又は作業エリア81i内の接続地点P1から発着地点406に向かって飛行を開始するとき等に発着経路を生成する。
【0037】
図10に示すように、運転経路生成装置1は、ネットワークNWを介してドローン100、基地局404および座標測量装置2に接続されている。運転経路生成装置1、ドローン100、基地局404および座標測量装置2は、運転経路生成システム1000を構成する。運転経路生成装置1は、その機能が営農クラウド405上にあってもよいし、別途の装置であってもよい。また、運転経路生成装置1は、ドローン100が有する構成であってもよい。圃場は、作業エリアの例である。
【0038】
●座標測量装置
座標測量装置2は、RTK-GPSの移動局の機能を有する装置であり、圃場の座標情報を測量することができる。座標測量装置2は、使用者により保持して歩行することが可能な小型の装置であり、例えば棒状の装置である。座標測量装置2は、下端を地面についた状態で、使用者が直立して上端部を保持できる程度の長さの、杖のような装置であってもよい。ある圃場の座標情報を読み取るために使用可能な座標測量装置2の個数は、1個であっても複数であってもよい。複数の座標測量装置2により1か所の圃場に関する座標情報を測量可能な構成によれば、複数の使用者がそれぞれ座標測量装置2を保持して圃場を歩行することができるため、測量作業を短時間で完了することができる。
【0039】
また、座標測量装置2は、圃場における障害物の情報を測量することができる。障害物は、ドローン100が衝突する危険のある壁や法面、電柱、電線などや、薬剤散布又は監視を要さない各種物体を含む。
【0040】
座標測量装置2は、入力部201、座標検出部202および送信部203を備える。
【0041】
入力部201は、座標測量装置2の上端部に設けられる構成であり、例えば使用者の押下を受け付けるボタンである。使用者は、座標測量装置2の下端の座標を測量する際に、入力部201のボタンを押下する。
【0042】
また、入力部201は、入力される情報が圃場の外周に関する座標であるか、障害物の外周の座標であるかを区別して入力可能に構成されている。さらに、入力部201は、障害物の外周の座標を、障害物の種類と関連付けて入力可能である。
【0043】
座標検出部202は、基地局404と適宜通信を行って座標測量装置2の下端の3次元座標を検出可能な機能部である。
【0044】
送信部203は、入力部201への入力に基づいて、当該入力時の座標測量装置2下端の3次元座標を、ネットワークNWを介して操作器401又は運転経路生成装置1に送信する機能部である。送信部203は、当該3次元座標を、ポインティングされた順番とともに送信する。
【0045】
圃場の座標情報を読み取る工程において、使用者は、座標測量装置2を持って圃場を移動する。まず、当該圃場の3次元座標を取得する。使用者は、圃場の端点又は端辺上において入力部201によるポインティングを行う。次いで、使用者は、障害物の端点又は端辺上において入力部201によるポインティングを行う。
【0046】
ポインティングされて送信される圃場の端点又は端辺上の3次元座標は、圃場外周の3次元座標および障害物の3次元座標を区別して、運転経路生成装置1により受信される。また、ポインティングされる3次元座標は、操作器401の受信部4011により受信され、表示部4012により表示されてもよい。また、操作器401は、受信される3次元座標が圃場外周又は障害物の3次元座標として適しているかを判定し、再測量が必要と判定される場合は、表示部4012を通じて使用者に再測量を促してもよい。
【0047】
●運転経路生成装置
図11に示すように、運転経路生成装置1は、作業エリア情報取得部10、経路生成部40、および経路選択部50を備える。
【0048】
作業エリア情報取得部10は、座標測量装置2から送信される3次元座標の情報を取得する機能部である。また、作業エリア情報取得部10は、当該3次元座標の情報に基づいて、ドローンが作業を行う作業エリアを抽出する。
【0049】
経路生成部40は、作業エリア情報取得部10により抽出される作業エリアに、所定の経路パターンに基づいて運転経路を生成する機能部である。経路パターンとは、ある領域に対し網羅的に飛行するために、当該領域の形状に応じて自動的に経路を生成するための規則である。
【0050】
図12に示すように、作業エリア81iに対する経路パターンは、当該作業エリア81iの外周を周回する外周パターンと、外周パターンの内側を往復する内側パターンと、を含む。作業エリア81iにおいて、外周パターンにより飛行するエリアを外周エリア811i、内側パターンにより飛行するエリアを内側エリア812iと呼ぶ。また、外周エリア811iを周回飛行する経路を周回運転経路811r、内側エリア812iを往復飛行する経路を往復運転経路812rと呼ぶ。
【0051】
図11に示す経路生成部40は、作業エリアに、経路パターンに基づいて運転経路を生成する機能部である。経路生成部40は、外周経路生成部41と、内側経路生成部42と、経路連結部44と、を有する。
【0052】
図9および
図15に示すように、外周経路生成部41は、外周エリア811iにおける周回運転経路811rを生成する機能部である。周回運転経路811rは、外周エリア811i上を1回周回する経路である。本実施形態においては左回りであるが、右回りであってもよい。
【0053】
内側経路生成部42は、内側エリア812iにおける往復運転経路812rを生成する機能部である。往復運転経路812rは、内側エリア812iを往復する経路である。往復運転経路812rは、内側エリア812iの各辺のうち、最も長い長辺813i方向に沿って連続して生成され、当該長辺に隣接する辺のうち短い方である短辺814i方向に沿う経路上で方向転換を行うように生成されている。長辺813i方向に沿う運転経路は、長辺813iに平行であってもよいし、平行でなくてもよい。また、長辺813i方向に沿う運転経路のそれぞれは、互いに平行であってもよいし、平行でなくてもよい。
【0054】
経路生成部40は、往復運転経路812rの飛行速度を周回運転経路811rの飛行速度よりも速く設定する。往復運転経路812rの速度を速くすることで、作業時間を短くし、省力化を行うことができる。一方、周回運転経路811rは、外周エリア811i、すなわち作業エリア80i内の最外周領域に規定されているため、作業者等が近くに存在する可能性が往復運転経路812rに比べて高い。そのため、安全性の観点から周回運転経路811rの飛行速度は往復運転経路812rよりも遅く設定される。
【0055】
経路生成部40は、作業エリアに複数種類の運転経路を生成可能であってもよい。経路選択部50は、いずれの運転経路に決定するかを選択可能である。使用者は、生成される複数の運転経路を目視して、運転経路を決定してもよい。
【0056】
また、経路選択部50は、使用者により優先順位の情報が入力可能であってもよい。例えば、使用者は、作業時間、ドローン100のバッテリー消費量、および薬剤消費量のうち、いずれを最優先するかを操作器401に入力する。また、操作器401は、2番目に優先すべき指標を合わせて入力可能であってもよい。経路選択部50は、複数の運転経路のうち、入力される優先順位に最も合致する運転経路を選択する。なお、より具体的には、バッテリー消費量を小さく抑える場合、高度を上げることで散布幅を広げ、経路長の短い運転経路を選択可能である。経路長が短くなることで、作業時間が短縮され、バッテリー消費量を抑えることができる。この構成によれば、使用者の方針に合わせた、効率の良い経路生成が可能である。
【0057】
経路連結部44は、周回運転経路811rおよび往復運転経路812rを連結する機能部である。この構成によれば、経路の重複を最小限にして、効率のよい運転経路を生成することができる。
【0058】
●ドローンのバッテリー監視部
図10に示すように、ドローン100は、ドローン100に搭載されるバッテリー502の蓄電量を監視するバッテリー監視部31を有する。また、バッテリー監視部31は、バッテリーのSOC値が所定値未満になるとき、ドローン100に退避行動を行わせる。退避行動は、発着地点406への帰還の他、その場で着陸する動作であってもよい。バッテリー監視部31は、バッテリーの消費率を算出し、消費率に基づいて飛行可能時間を予測する。
【0059】
●ドローンの発着経路決定部
図10に示すように、ドローン100は、発着地点406と作業エリアとの間の経路である発着経路を生成する、発着経路生成部61を有する。発着経路生成部61は、運転経路生成装置1に備えられていてもよい。発着経路生成部61は、主として、現在地取得部610、発着地点記憶部611、中断地点記憶部612、接続地点決定部613、および発着経路決定部615の各機能ブロックにより構成される。
【0060】
現在地取得部610は、ドローン100の現在の位置座標を取得する機能部である。現在地取得部610は、ドローン100が備えるGPSモジュール504を用いて、RTK基地局の信号とGPS測位衛星からの信号を組み合わせることでドローン100の位置座標を取得してもよい。
【0061】
発着地点記憶部611は、ドローン100の発着地点406の位置座標を記憶する機能部である。発着地点406の位置座標は、生成する発着経路80rの第1端点、すなわち始点又は終点の座標である。発着地点記憶部611は、現在地取得部610により取得される、ドローン100が離陸を行う時点での位置座標を記憶しておく。
【0062】
中断地点記憶部612は、ドローン100がエリア内運転経路81r上において飛行を中断した地点の座標を記憶する機能部である。ドローン100は、例えばバッテリー切れや貯留されている薬剤切れを検知した場合や、ドローン100や周辺環境に異常が発生し、作業エリア内の飛行を継続することができない場合に飛行を中断する。また、ドローン100は、使用者402からの指令により飛行を中断する。中断地点記憶部612は、現在地取得部610により取得される、飛行を中断する場合における当該中断地点の位置座標を記憶する。
【0063】
図10に示すように、接続地点決定部613は、接続地点P1の座標を決定する機能部である。接続地点P1の座標は、生成する発着経路80rの第2端点の座標である。接続地点P1の座標は、ドローン100が移動許可エリア80i内のエリア内運転経路81r上にいる場合は、ドローン100の現在の位置座標を接続地点P1の座標として決定する。
【0064】
ドローン100が発着地点406にある場合、接続地点P1は、例えば直前の飛行で中断地点記憶部612により記憶されている中断地点である。この場合、接続地点決定部613は、中断地点記憶部612に記憶されている中断地点の座標を接続地点P1の座標として決定する。
【0065】
発着経路決定部615は、発着地点記憶部611、中断地点記憶部612および接続地点決定部613からの情報に基づいて、発着経路80rを決定する機能部である。発着経路決定部615は、発着地点記憶部611、中断地点記憶部612および接続地点決定部613からの情報に基づいて、発着経路80rの端点、すなわち始点と終点を決定し、始点と終点とを結ぶ発着経路を決定する。
【0066】
発着経路生成部61は、発着経路80rにおけるドローン100の飛行速度を、作業エリア81iにおける飛行速度よりも速く設定する。特に、発着経路生成部61は、発着経路80rにおける飛行速度を周回運転経路811rの飛行速度より速く設定してもよい。この構成によれば、作業時間を短縮し、少ないエネルギーで広範囲の作業が可能になる。なお、飛行速度を変更する際の加速度は、一定であってもよい。
【0067】
発着経路生成部61は、発着経路80rにおけるドローン100の高度を、作業時の高度よりも高く設定してもよい。また、接続地点P1から発着地点406まで帰還する経路において、ドローン100の高度上昇動作と前進動作を同時に行い、斜め上前方に向かって前進するように構成してもよい。この構成によれば、高度上昇動作と前進動作とを別に行う場合に比べてエネルギー消費を抑えることができる。
【0068】
発着経路生成部61は、発着地点406から接続地点P1に向かう場合において、ドローンの高度下降動作と前進動作を同時に行い、斜め下前方に向かって前進するように構成してもよい。この構成によれば、高度下降動作と前進動作とを別に行う場合に比べてエネルギー消費を抑えることができる。
【0069】
発着経路生成部61が設定する、高度を上昇させる加速度は、一定であってもよいし、所定のウェイポイント、すなわち目的地点までの距離に応じて異なっていてもよい。例えば、接続地点P1から作業エリアを出る入退出地点P2までの距離が遠いほど、当該加速度が小さくなっていてもよい。作業エリア81iの外における飛行高度を高くすることで特に人との衝突を避ける目的であるため、入退出地点P2までに高度が所定値まで上昇していれば十分だからである。同様に、ドローン100が発着地点406から入退出地点P2に向かう場合において、発着地点406から入退出地点P2までの距離が遠い程当該加速度が小さくなっていてもよい。発揮する加速度が小さいほどエネルギー消費は小さくなるので、目的地点までの距離に応じて加速度を異ならせることで、エネルギー消費を一層抑えることができる。
【0070】
また、発着経路生成部61は、発着地点406における着陸時の機先の向きを設定する。具体的には、発着経路生成部61は、ドローン100が作業を中断して発着地点406に帰還したのか、作業を完了して発着地点406に帰還したのか、に基づいて、着陸時の機先の向きを決定する。ドローン100が作業を中断して帰還した場合、発着経路決定部615は、発着地点406においてヨー回転を行い、機先を作業エリア81iに向けてドローン100を着陸させる。ドローン100が作業を完了して発着地点406に帰還した場合、発着経路生成部61は、発着地点406においてヨー回転を行わず、機先を作業エリア81iとは異なる方向へ向けて着陸する。
【0071】
ドローン100は、その中央部を回転中心として、ドローン100の位置を変えずに機先の向きを変えるヨー回転が可能である。ただし、ヨー回転は、本実施形態のように複数の回転翼を有するドローンにおいて多くのエネルギーを消費する。ヨー回転は、対角に位置する4枚2セットの回転翼のみを回転させて機体を回転させるためである。したがって、ヨー回転の頻度および時間をなるべく少なくすることで、エネルギー消費を抑えることができる。作業を中断して帰還する場合、バッテリー又は薬剤の補充後に再び当該作業エリア81iに向かう。そこで、残存するエネルギーを利用して機先を作業エリア81iに向けることで、バッテリーを効率よく消費することができる。一方、作業を完了して帰還する場合、再び当該作業エリア81iに向かうことはないため、機先を作業エリア81iに向ける動作を割愛することで、エネルギー消費を抑えることができる。
【0072】
ドローン100が発着地点406から作業エリア81iに進入する場合において、接続地点P1で、ドローン100の機先の向きを変更する場合がある。発着経路生成部61は、この機先の変更動作においてサイマルターンを行う。サイマルターンは、ドローン100の中央部以外の点を回転中心として、ドローン100の中央部の位置を移動させながら機先の向きを変える旋回である。サイマルターンはヨー回転に比べてエネルギー消費量が少ないため、この構成によればヨー回転を行う場合に比べてエネルギー消費を抑えることができる。
【0073】
なお、サイマルターンにおける旋回速度は、作業エリア81i内での飛行よりも速くなっていてもよい。
【0074】
本構成によれば、少ないエネルギーで広範囲の作業が可能な、ドローンの運転経路を生成することができる。
【0075】
なお、本説明においては、農業用薬剤散布ドローンを例に説明したが、本発明の技術的思想はこれに限られるものではなく、自律的に動作する機械全般に適用可能である。農業用以外の、自律飛行を行うドローンにも適用可能である。また、自律的に動作する、地面を自走する機械にも適用可能である。
【0076】
(本願発明による技術的に顕著な効果)
本発明に係る運転経路生成装置においては、少ないエネルギーで広範囲の作業が可能な、ドローンの運転経路を生成する。