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特許7285589対話型健康状態評価方法およびそのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】対話型健康状態評価方法およびそのシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20230526BHJP
【FI】
G16H50/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021531393
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 US2018063478
(87)【国際公開番号】W WO2020112147
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-06-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502250743
【氏名又は名称】國立成功大學
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL CHENG KUNG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヤン-シャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ペイ-チン
【審査官】佐伯 憲太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0114680(US,A1)
【文献】国際公開第2018/061170(WO,A1)
【文献】特開2018-152810(JP,A)
【文献】特開2018-092586(JP,A)
【文献】特開2008-234443(JP,A)
【文献】特開2016-224784(JP,A)
【文献】特開2003-271741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対話設計データベースから健康状態評価の質問を選択し、データ出力インターフェースによって前記健康状態評価の質問を提示すること、
前記データ出力インターフェースによって前記健康状態評価の質問が提示された後に、マルチモーダルデータ入力インターフェースによって返信メッセージを受信すること、
識別手順により、前記返信メッセージの種類を決定すること、
前記返信メッセージが数値タイプの場合、健康状態評価手順により、前記返信メッセージと数値ルールに従って第1の評価結果を生成し、前記第1の評価結果を一時的な記憶領域に格納すること、
前記返信メッセージがテキストタイプの場合は、前記返信メッセージから意味解釈手順によりキーワードを抽出し、前記健康状態評価手順により前記キーワードに応じた第2の評価結果を生成し、前記第2の評価結果を前記一時的な記憶領域に格納すること、
前記第1の評価結果または前記第2の評価結果を生成した後に、対話終了信号を受信したかどうかを判定すること、
前記対話終了信号を受信している場合、前記健康状態評価手順により前記一時的な記憶領域のデータに応じた評価レポートを出力すること、および
前記対話終了信号が受信されていない場合、別の健康状態評価の質問を選択すること、を含み、
前記対話設計データベースは、複数の健康状態評価の質問を含み、前記健康状態評価の質問のそれぞれは、前記対話設計データベース内のゼロまたは少なくとも1つの他の健康状態評価の質問に対応するフォローアップ項目を有しており、
前記別の健康状態評価の質問は、前記フォローアップ項目から選択的に選択され、
前記評価レポートを出力する前に、
ユーザの顔画像またはユーザの音声信号に従って、ユーザに対応する記憶領域をユーザデータベースから検索すること、および
前記評価レポートを前記記憶領域に格納すること、
をさらに含み、
前記フォローアップ項目は、複数の質問候補を含み、前記別の健康状態評価の質問を選択した後に、
前記別の健康状態評価の質問が属する目的カテゴリのユーザ完成度があらかじめ設定された閾値に達しているかどうかを判定すること、
前記ユーザ完成度が前記あらかじめ設定された閾値に達していない場合、前記フォローアップ項目から、前記健康状態評価の質問と同じ目的カテゴリに属するさらに別の質問を選択すること、および
前記ユーザ完成度が前記あらかじめ設定された閾値に達した場合、別の目的カテゴリのさらに別の健康状態評価の質問を選択すること、
をさらに含み、
前記ユーザ完成度は、対応する前記返信メッセージを有する健康状態評価の質問の数を前記目的カテゴリの複数の健康状態評価の質問の総数で割ることによって得られる割合である、対話型健康状態評価システムによって実行される対話型健康状態評価方法。
【請求項2】
前記健康状態評価の質問のそれぞれは、前記フォローアップ項目に対応する応答キーワードセットを有し、
前記別の健康状態評価の質問を選択することは、前記キーワードが前記応答キーワードセットを満たす場合、前記応答キーワードセットに対応する前記フォローアップ項目を選択すること、をさらに含む、対話型健康状態評価システムによって実行される、請求項1に記載の対話型健康状態評価方法。
【請求項3】
前記健康状態評価の質問のそれぞれは、トリガーキーワードセットを有し、
前記別の健康状態評価の質問を選択することは、前記別の健康状態評価の質問として、前記トリガーキーワードセットが前記キーワードに対応する前記健康状態評価の質問を見つけること、をさらに含む、対話型健康状態評価システムによって実行される、請求項1に記載の対話型健康状態評価方法。
【請求項4】
前記対話設計データベースから前記健康状態評価の質問を選択する前に、
検出装置によって画像データまたは音声データを取得すること、
前記画像データが前記ユーザの顔画像を有するか、前記音声データが前記ユーザの音声信号を有するかを判定すること、
前記画像データに前記ユーザの顔画像がある場合、または前記音声データに前記ユーザの音声信号がある場合、前記対話設計データベースから前記健康状態評価の質問を選択することを開始すること、をさらに含む、対話型健康状態評価システムによって実行される、請求項1に記載の対話型健康状態評価方法。
【請求項5】
前記対話終了信号を受信したかどうかを判定することは、対話終了を表すトリガー信号を受信すること、または、ゼロの健康状態評価の質問に対応する健康状態評価の質問のフォローアップ項目を受信すること、を含む、対話型健康状態評価システムによって実行される、請求項1に記載の対話型健康状態評価方法。
【請求項6】
複数の健康状態評価の質問を含む対話設計データベースであって、前記健康状態評価の質問のそれぞれは、前記対話設計データベース内のゼロまたは少なくとも1つの他の健康状態評価の質問に対応するフォローアップ項目を有している対話設計データベースと、
前記対話設計データベースに通信可能に接続されて、前記健康状態評価の質問を提示するように構成されている、データ出力インターフェースと、
返信メッセージを受信するように構成されたマルチモーダルデータ入力インターフェースと、
前記マルチモーダルデータ入力インターフェースに接続され、前記返信メッセージがテキストタイプに属するか、または数値タイプに属するかを決定するように構成された識別モジュールと、
前記識別モジュールと通信可能に接続され、前記テキストタイプに属する返信メッセージからキーワードを抽出するように構成された意味解釈モジュールと、
前記識別モジュールおよび前記意味解釈モジュールと通信可能に接続され、数値タイプに属する前記返信メッセージおよび数値ルールに従って第1の評価結果を生成し、前記キーワードに応じて第2の評価結果を生成し、前記第1および第2の評価結果を一時的な記憶領域に格納し、前記一時的な記憶領域に格納されたデータに基づいて評価レポートを出力するように構成された健康状態評価モジュールと、
前記対話設計データベース、前記マルチモーダルデータ入力インターフェース、および前記健康状態評価モジュールに通信可能に接続され、対話終了信号を受信した場合に前記評価レポートを出力するように前記健康状態評価モジュールに通知し、前記対話終了信号を受信していない場合には別の健康状態評価の質問を選択するように構成された制御モジュールと、
前記健康状態評価モジュールに接続されたユーザデータベースと、
を含み、前記別の健康状態評価の質問は、前記フォローアップ項目から選択的に選択され、
前記ユーザデータベースは、ユーザの顔画像またはユーザの音声に基づいて、前記ユーザに対応する記憶領域を検索し、前記評価レポートを前記記憶領域に格納し、
前記フォローアップ項目は、複数の質問候補を含み、
前記別の健康状態評価の質問を選択した後、
前記制御モジュールは、前記別の健康状態評価の質問が属する文句的カテゴリのユーザ完成度があらかじめ設定された閾値に達しているかどうかをさらに判定し、前記ユーザ完成度が前記あらかじめ設定された閾値に達していない場合、前記フォローアップ項目から、前記健康状態評価の質問と同じ目的カテゴリに属するさらに別の質問を選択し、前記ユーザ完成度が前記あらかじめ設定された閾値に達した場合、別の目的カテゴリのさらに別の健康状態評価の質問を選択し、
前記ユーザ完成度は、対応する前記返信メッセージを有する健康状態評価の質問の数を前記目的カテゴリの複数の健康状態評価の質問の総数で割ることによって得られる割合である、対話型健康状態評価システム。
【請求項7】
前記健康状態評価の質問のそれぞれは、前記フォローアップ項目に対応する応答キーワードセットを有し、前記制御モジュールは、前記キーワードが前記応答キーワードセットに合致するか否かを判断し、前記キーワードが前記応答キーワードセットに合致する場合、前記応答キーワードセットに対応するフォローアップ項目を選択するようにさらに構成される、請求項6に記載の対話型健康状態評価システム。
【請求項8】
前記健康状態評価の質問のそれぞれは、トリガーキーワードセットをさらに有し、前記制御モジュールは、前記健康状態評価の質問における前記トリガーキーワードセットを使用して、他の健康状態評価の質問として前記トリガーキーワードセットが前記キーワードに合致する前記健康状態評価の質問を探すようにさらに構成される、請求項6に記載の対話型健康状態評価システム。
【請求項9】
前記制御モジュールに通信可能に接続され、画像データまたは音声データを取得するように構成された検出装置をさらに含み、
前記制御モジュールは、前記データ出力インターフェースにさらに接続され、前記画像データが前記ユーザの顔画像を有するかどうか、または前記音声データが前記ユーザの音声を有するかどうかを判定するようにさらに構成され、前記画像データが前記ユーザの顔画像を有するか、または前記音声データが前記ユーザの音声を有する場合、前記制御モジュールは、前記対話設計データベースから前記健康状態評価の質問を選択し、前記データ出力インターフェースを使用して前記健康状態評価の問題を提示する、請求項6に記載の対話型健康状態評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、健康状態評価に関し、より詳細には、対話型健康状態評価システムおよびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会の到来により、高齢者の長期介護は、現代社会や家庭において最も関心の高い問題の一つとなっている。一方、ロボットと人工知能の相互作用の急速な発展の下で、提供可能な在宅介護サービスはますます多様化している。例えば、ヘルスケア機能やコンパニオン機能を持つロボットは、在宅のお年寄りや一人暮らしのお年寄りの介護をサポートすることができる。介護作業を技術化することで、介護者不足の重圧を軽減することができる。医療現場では、ロボットが医療従事者の反復的な健康教育を支援することで、医療従事者は患者に必要な個別のケアに集中し、医療の質を向上させることができる。
【0003】
しかしながら、人工知能技術とヘルスケアを組み合わせた既存のシステムでは、ケアされる対象との対話型の仕組み(interactive mechanism)がない。我々は、非構造化データの一種である言葉を使ってコミュニケーションをしている。もし、上記のシステムのソフトウェアが深い意味理解の設計を欠いているならば、判断の助けとなるのは、似たようなことや似たようなユーザの経験に頼るしかない。したがって、前記システムは通常、現在のユーザの好み、因果関係、および文脈に基づくよりスマートな健康状態の評価結果を提供することができず、また、ユーザと対話する際にユーザの意図を正確に検出することが困難な場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような観点から、本開示では、上記の問題を解決するための対話型健康状態評価システムおよび対話型健康状態評価方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る対話型健康状態評価方法は、対話設計データベースから健康状態評価の質問を選択し、データ出力インターフェースによって健康状態評価の質問を提示すること、ここで、対話設計データベースは、複数の健康状態評価の質問を含み、健康状態評価の質問のそれぞれは、対話設計データベース内のゼロまたは少なくとも1つの他の健康状態評価の質問に対応するフォローアップ項目を有する。マルチモーダルデータ入力インターフェースは、返信情報を受信する。識別手順は、前記返信メッセージの種類を決定し、返信情報が数値タイプに属する場合、健康状態評価プログラムは、第1の評価結果を生成し、返信情報と数値ルールに従って第1の評価結果を一時的な記憶領域に格納し、返信情報がテキストタイプに属する場合、意味理解プログラムは、返信情報からキーワードを抽出し、健康状態評価プログラムは、キーワードに応じた第2の評価結果を生成し、第2の評価結果を一時的な記憶領域に格納する。第1の評価結果または第2の評価結果が生成された後、対話終了信号を受信したかどうかを判定し、対話終了信号を受信している場合には、健康状態評価プログラムは、一時的な記憶領域のデータに応じた評価レポートを出力し、対話終了信号を受信していない場合には、フォローアップ項目内で別の健康状態評価の質問を選択する。
【0006】
本開示の一実施形態に係る対話型健康状態評価システムは、複数の健康状態評価の質問を含む対話設計データベースであって、健康状態評価の質問のそれぞれは、対話設計データベース内のゼロまたは少なくとも1つの他の健康状態評価の質問に対応するフォローアップ項目を有している対話設計データベースと、対話設計データベースに通信可能に接続された、健康状態評価のためのデータ出力インターフェースと、返信情報を受信するためのマルチモーダルデータ入力インターフェースと、マルチモーダルデータ入力インターフェースに接続された識別モジュールであって、返信情報がテキストタイプに属するか、または数値タイプに属するかを判定する識別モジュールと、識別モジュールと通信可能に接続され、キーワードを用いて情報のタイプを分類する意味解釈モジュールと、識別モジュールおよび意味解釈モジュールと通信可能に接続され、数値タイプに属する返信情報および数値タイプ返信に属する数値ルールに従って第1の評価結果を生成し、キーワードに応じて第2の評価結果を生成し、第1および第2の評価結果を一時的な記憶領域に格納し、また、一時的な記憶領域に格納されたデータに基づいて評価レポートを出力する健康状態評価モジュールと、対話設計データベース、マルチモーダルデータ入力インターフェース、および健康状態評価モジュールに通信可能に接続され、対話終了信号を受信した場合に健康状態評価レポートを出力するように構成された制御モジュールと、を含む。また、対話終了信号を受信していない場合には、健康状態評価の質問のフォローアップ項目から別の健康状態評価の質問が選択される。
【発明の効果】
【0007】
上記の技術により、本開示によって開示される対話型健康状態評価システムおよびその方法は、意味的な意味を解釈し、ユーザとの対話を通じてユーザの意図やニーズをよりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本開示の一実施形態による対話型健康状態評価システムの概略ブロック図である。
図1B】本開示の別の実施形態による対話型健康状態評価システムの概略ブロック図である。
図2】本開示の一実施形態による対話型健康状態評価方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以上の本開示の説明および以下の実施形態は、本発明の精神および原理を説明し、本発明の範囲のさらなる説明を提供することを意図している。
【0010】
本開示の詳細な特徴および利点は、本開示の実施形態において以下に詳細に説明される。本開示に関連する特徴および利点は、当業者によって容易に理解されることができる。以下の実施例は、本開示をさらに詳細に説明することを意図しているが、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0011】
本開示に開示された対話型健康状態評価システムおよびその方法は、システムとユーザの間の対話(interaction)に特に注意を払うことに加えて、本開示によって設計された対話型の質問と回答を通じて、ユーザの健康状態をさらに評価する。以下では、本開示の対話型健康状態評価システムのハードウェアアーキテクチャの実施形態を、システム内の構成要素の機能とともに説明する。本開示は、別のハードウェアアーキテクチャの実施形態およびそのアプリケーションをさらに紹介し、最後に、健康状態の評価方法に基づくインタラクティブな実装を紹介する。
【0012】
対話設計データベース102、識別モジュール104、意味解釈モジュール106、健康状態評価モジュール108、データ出力インターフェース202、マルチモーダルデータ入力インターフェース204、および制御モジュール206を含む、本開示の一実施形態による対話型健康状態評価システムを示す図1Aを参照されたい。具体的には、対話設計データベース102は、記憶装置によって実装されてもよく、また、識別モジュール104、意味解釈モジュール106、健康状態評価モジュール108、および制御モジュール206は、個々の計算装置によって実装されてもよいし、単一の計算装置に統合されてもよい。
【0013】
対話設計データベース102には、複数の健康状態評価の質問がデータシート形式で格納されている。各健康状態評価の質問には、フォローアップ項目がある。フォローアップ項目は、対話設計データベース102におけるゼロまたは少なくとも1つの他の健康状態評価の質問に対応する。一実施形態では、各健康状態評価の質問は、フォローアップ項目に対応する応答キーワードセットを有する。別の実施形態では、各健康状態評価の質問は、トリガーキーワードセットを有する。
【0014】
対話設計データベース102のデータシートの一例である下記の表1を参照されたい。一実施形態では、対話設計データベース102内の全ての健康状態評価の質問は、睡眠、血糖値、血圧、回答終了、などの様々な目的に該当する。データシートでは、各健康状態評価の質問が、番号と質問スクリプトに対応している。データシートの残りのフィールドの使用は、他のモジュールの機能との関連で後述する。
【0015】
表1:対話設計データベース102のデータシートの一例
【表1】
【0016】
引き続き、図1Aを参照されたい。データ出力インターフェース202は、対話設計デ
ータベース102と電気的に接続して通信し、データ出力インターフェース202は、選択された健康状態評価の質問を視覚的または音声的な方法でユーザに提示するために使用される。実際には、スクリーンやスピーカーなどのデータ出力インターフェース202は、選択された健康状態評価の質問を、テキストや画像、アニメーションで表示したり、音声で再生したりする。本開示は、データ出力インターフェース202のハードウェアタイプと出力質問の媒体を示しているが、それらはこれに限定されるものではない。
【0017】
ユーザがデータ出力インターフェース202から健康状態評価の質問を取得した後、本開示の本実施形態による対話型健康状態評価システムのマルチモーダルデータ入力インターフェース204は、ユーザからの応答情報を受信する。実際には、マルチモーダルデータ入力インターフェース204は、マイク、カメラ、タッチパネル、生理情報測定器(血糖値計など)、コンピュータ周辺機器などのハードウェアデバイスを採用することができ、マルチモーダルデータ入力インターフェース204への入力モードは、例えば、音声入力、画像入力、クリック画面入力、ブルートゥース送信または無線送信であり、返信情報のデータ形式は、音声、画像、トリガー信号、テキストおよび/または数字を含むことができる。
【0018】
引き続き、図1Aを参照されたい。識別モジュール104は、マルチモーダルデータ入力インターフェース204に通信可能に接続されており、識別モジュール104は、プロセッサ上で実行されるソフトウェアまたはコードなどの識別手順を実行するように構成されている。識別手順は、返信情報がテキストタイプに属するか数値タイプに属するかを判別するために使用される。例えば、マイク(マルチモーダルデータ入力インターフェース204)によって受信された音声信号は、テキストに変換され、或いは血糖値計によって測定された電子信号は、数値に変換される。具体的には、数値タイプのデータは、例えば、体温、血圧、心拍数、呼吸数などのバイタルサイン、または血糖値、血中脂質などの生理学的データなどが挙げられる。
【0019】
引き続き、図1Aを参照されたい。意味解釈モジュール106は、識別モジュール104と電気的に接続し、通信を行う。意味解釈モジュール106は、プロセッサまたは複数のキーワードを有するデータベース上で実行されるソフトウェアまたはプログラムコードなどの意味解釈プログラムを実行するために使用される。意味解釈プログラムは、テキストタイプに属する応答情報から、1つまたは複数のキーワードを検索するために使用される。文法解析や意味解析は、ニューラルネットワークや機械学習によって実現される。換言すると、意味解釈プログラムは、テキストをアイデアの言語フレームワークに変換し、そこからユーザの意図やユーザが回答したキーワードを取り出す。例えば、現在のユーザが睡眠障害や血糖値の問題について話していることを理解する。
【0020】
引き続き、図1Aを参照されたい。健康状態評価モジュール108は、プロセッサ上で実行されるソフトウェアまたはプログラムコードなどの健康状態評価プログラムを実行するために、識別モジュール104および意味解釈モジュール106と電気的に接続して通信する。健康状態評価プログラムは、応答情報及び数値状態に対応する数値ルールから第1の評価結果を生成するために使用される。例えば、血糖値計で測定された値は、事前に記憶された正常範囲の血糖値(数値ルール)と比較され、第1の評価結果が生成される。さらに、意味解釈モジュール106がキーワードを検索すると、健康状態評価モジュール108は、該キーワードと、対話設計データベース102から選択された健康状態評価の質問とに基づいて、第2の評価結果を生成するようにも動作する。
【0021】
マルチモーダルデータ入力インターフェース204がユーザから入力された情報を取得すると、健康状態評価モジュール108は、第1の評価結果および第2の評価結果の少なくとも一方を生成し、生成された評価結果を1つの一時的な記憶領域に格納する。ユーザからの返信は、テキストデータのみでも、数値データのみでもよく、両方を含んでいることも可能である。例えば、ユーザがシステムに「昨夜はよく眠れず、38度以上の熱が出ているはずである」と伝える。この例では、健康状態評価モジュール108は、「睡眠」や「悪い」などのキーワードに基づいて第2の評価結果を生成し、数値データの「38度」に基づいて第1の評価結果を生成する。本開示の実施形態による対話型健康状態評価システムが、ユーザが健康状態評価処理を完了したことを検出した場合、または、ユーザが健康状態評価処理を中断したことを検出した場合、健康状態評価モジュール108は、一時的な記憶領域に格納されたデータに基づいて、評価レポートを出力する。本開示の別の実施形態では、対話型健康状態評価システムは、各ユーザの履歴評価レポートを保存するためのユーザデータベースをさらに含んでもよい。したがって、ユーザがシステムを通じて新たな評価レポートを生成するたびに、健康状態評価モジュール108は、履歴データをこの新たな評価レポートにさらに組み込むことができ、それによってユーザの健康状態をより正確に反映することができる。
【0022】
引き続き、図1Aを参照されたい。制御モジュール206は、対話設計データベース102、マルチモーダルデータ入力インターフェース204、および健康状態評価モジュール108を通信可能に接続し、それによって上記構成要素と協働して、対話型健康状態評価プロセスを実行する。実際には、制御モジュール206は、例えば、プロセッサ上で動作するソフトウェアまたはプログラムコードである。制御モジュール206は、対話完了信号を受信すると、評価レポートを出力するように健康状態評価モジュール108に通知し、対話完了信号を受信しない場合、制御モジュール206は、健康状態評価質問のフォローアップ項目から別の健康状態評価質問を選択する。対話完了信号は、タッチパネルの戻るボタンに向けての押下や、マイクへの「対話終了」の音声などでマルチモーダルデータ入力インターフェース204によって生成されるか、あるいは、例えば、ユーザが一定の対話レベルを達成するために、対話設計データベース102の健康状態評価の質問に一定の数だけ回答したという以下の状態をシステムが検出した後に生成される。
【0023】
制御モジュール206が別の健康状態評価の質問を選択する方法を以下に説明する。本開示の別の実施形態では、制御モジュール206は、キーワードが応答キーワードセットに適合するか否かを判定すること、及びキーワードが応答キーワードセットに適合する場合に、応答キーワードセットに対応するフォローアップ項目を選択することと、をさらに実行する。表1を参照されたい。例えば、現在選択されている質問がQ3「昨夜寝る前にカフェインを含むものを飲みましたか」の場合、Q3の応答キーには「はい」と「いいえ」が含まれている。制御モジュール206が、表1のQ3のフォローアップ項目フィールドに従って、意味解釈モジュール106によって抽出されたキーワードに「はい」が含まれていることを確認すると、Q7が、ユーザが回答するための次の健康状態評価の質問として選択される。フォローアップ項目に複数の質問番号がある場合は、そのうちの1つが次の健康状態評価の質問としてランダムに選択されるか、質問がキューに入れられてユーザに順次問い合わせを行う。
【0024】
本開示の別の実施形態では、制御モジュール206はさらに、トリガーキーワードセットがキーワードに合致する、別の健康状態評価の質問を検索することを実行する。例えば、今回の質問がQ3の場合、ユーザは直接質問することなく、昨夜は「冷や汗をかいた」と記述している。制御モジュール206は、意味解釈モジュール106によって抽出されたキーワードに「冷や汗」が含まれていることを確認すると、表1の全ての「トリガーキーワードセット」を検索し、Q7を見つけ、次に行う健康状態評価の質問としてQ7を選択する。実際には、ユーザの返信信号に「トリガーキーワードセット」及び「応答キーワードセット」の両方が含まれている場合、次に選択される健康状態評価の質問は、2つのうちの優先順位に従って決定されることもでき、或いは、そのうちの1つをランダムに選択して最初の質問とすることもできる。本開示はこれに限定されるものではない。
【0025】
実際には、対話設計データベース102では、フォローアップ項目に設定された次の質問番号は、同じ目的カテゴリの他の質問に設定されることがほとんどである。そのため、システムは、ユーザの状況をより深く理解するために、同じ目的カテゴリについて、より包括的な質問をすることができる。本開示のさらに別の実施形態では、制御モジュール206は、各目的カテゴリについてユーザ完成度(user completion)をさらに計算する。「ユーザ完成度」とは、例えば、ユーザが回答した質問の数を、そのカテゴリの質問総数で割って得られるパーセンテージである。そのため、システムが次の健康状態評価の質問を選択する際に、フォローアップ項目に複数の質問番号候補が含まれている場合、システムは、まず、その質問が属する目的カテゴリのユーザ完成度があらかじめ設定された閾値に達しているかどうかを判断する。そうでない場合、システムは、質問の数が目的カテゴリの完成度のあらかじめ設定された閾値に達するまで、現在の質問と同じ目的カテゴリに属する別の質問をフォローアップ項目から選択し、その後、システムは、ユーザが回答を続けるために他の目的の別の質問を選択する。ユーザが「トリガーキーワードセット」によって他の目的のカテゴリに最初にジャンプしたとしても、システムはジャンプ先の目的カテゴリが完成に達した後、前の目的カテゴリに戻って質問を続ける。
【0026】
現在の健康状態評価の質問に応じて対話設計データベース102で選択されたフォローアップ項目が空になった場合(Q99など)、システムは対話型の質問と回答の処理を終了する。前述の場合、例えば、ユーザが一定数の対話型の質問と回答を完了した後、システムは十分な情報が収集されたと判断し、ユーザが確認するための評価レポートを生成することができ、対話型の質問と回答のプロセスを終了する。また、別の例として、ユーザが対話を終了したいときに、対話型の質問と回答のプロセスを停止することもできる。質問と回答のプロセスにおいて、制御モジュール206は、ユーザが他にコメントを提供するかどうかを確認するために、対話設計データベース102においてQ99を提供する。ユーザが「いいえ」を選択すると、対話型の質問と回答のプロセスは終了する。
【0027】
次の健康状態評価の質問を選択する上記のメカニズムによれば、本開示の一実施形態で説明した対話型健康状態評価システムは、ユーザのセマンティクス(semantics)をより詳しく理解し、ユーザの意図やニーズをよりよく知ることができる。同時に、ユーザから提供された応答情報に応じて、より正確な健康状態の評価を行う。
【0028】
本開示の別の実施形態による、例えば、有線または無線ネットワーク接続NCによって互いに通信可能に接続される評価装置10および対話装置20を含む対話型健康状態評価システムのブロック図である図1Bを参照されたい。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0029】
本実施形態の評価装置10は、例えばクラウドプラットフォームであり、対話設計データベース102と、識別モジュール104と、意味解釈モジュール106と、健康状態評価モジュール108と、通信モジュール109とを含み、構成要素102~108の機能および構成は、先に例示したとおりであるので、再度説明しない。
【0030】
具体的には、通信モジュール109は、対話設計データベース102および健康状態評価モジュール108と電気的に接続されている。通信モジュール109は、選択された健康状態評価の質問および評価レポートを、ネットワーク接続NCを介して対話装置20に送信される選択された健康状態評価の質問および評価レポートのためのデータフォーマット(例えば、ネットワークパケット)に変換する。
【0031】
さらに、評価装置10は、生活リソース、学習リソース、コンテンツリソース、または言語データベース、ユーザデータベースなどのデータベースをさらに含んでもよい。本開示の一実施形態による対話型健康状態評価システムでは、ユーザデータベースは、健康状態評価モジュール108と通信可能に接続されており、ユーザの顔画像またはユーザの声に応じて対応するユーザを識別するために使用され、評価レポートもこのユーザデータベースに保存される。
【0032】
対話装置20は、例えば、撮像装置を備えることができる、移動体(例えば、ロボット)や、撮像装置を搭載可能なモバイル機器(例えば、スマートフォンやタブレット)であり、対話型健康状態評価システムは、対話装置20にインストールされるアプリケーション(APP)の形態である。対話装置20は、データ出力インターフェース202、マルチモーダルデータ入力インターフェース204、制御モジュール206、検出装置208、および通信モジュール209を含む。構成要素202~206の機能と構成については、前節を参照し、ここではその詳細を繰り返し説明しない。通信モジュール209は、データ出力インターフェース202、マルチモーダルデータ入力インターフェース204および制御モジュール206と通信可能に接続し、制御モジュール206は、本実施形態では検出装置208と通信可能に接続している。
【0033】
検出装置208は、例えば、画像データや音声データを得るための撮像装置やマイクであり、得られたデータは制御モジュール206に送信されて、検出されているユーザがいるかどうかを判断する。 具体的には、画像データにユーザの顔画像が含まれている場合や、音声データにユーザの声が含まれている場合、制御モジュール206は、通信モジュール109を介したネットワーク接続NCを通じて、対話設計データベース102から1つの健康状態評価の質問を選択する。
【0034】
上記の2つの実施形態に基づいて、対話型健康状態評価システムのすべての構成要素を1つのハードウェアデバイスに統合する以外に、以下に説明する3つの実施形態も含まれることが理解できる。
【0035】
実施形態1:本システムは、撮像装置を備えた移動体に搭載されており、撮像装置を介した対話やコマンドによって、ユーザが周囲にいるかどうかを検知したり、ユーザに挨拶を送ったり、システム機能を起動したりすることができる。ユーザがシステム機能を操作すると、システムは操作履歴をクラウドデータベースにアップロードし、システムに関連する構成要素の機能を更新する。最後に、システムはチャートとレポートをユーザにエクスポートし、ユーザにさらなる学習と参照を提供する。
【0036】
実施形態2:システムは移動体に搭載され、システムはユーザと積極的に対話および交流することができる。対話のプロセスと知識ベースの構築とを通じて、システムはユーザに欠けている概念を理解し、ユーザに対応する学習リストを提供することができる。
【0037】
実施形態3:本システムはモバイル機器にインストールされており、システムはユーザとの対話および交流を積極的に行うことができる。対話のプロセス、時間、状況、ライフスタイルなどの関連情報のデータベースを確立することにより、システムは、利便性向上のためにパーソナライズされたリストをユーザに推奨できる。
【0038】
本開示の一実施形態による対話型健康状態評価方法の実行のフローチャートである、図2を参照されたい。
【0039】
ステップS10:ユーザを検出したかどうかの判定を参照されたい。詳細には、検出装置208は、画像データまたは音声データを取得し、制御モジュール206は、画像データにユーザの顔画像が含まれているかどうか、またはユーザの音声データかどうかを判断する。画像データにユーザの顔画像が含まれていた場合、または、音声データにユーザの音声データが含まれていた場合、処理はステップS12に進み、そうでない場合、検出装置208は検出処理を継続する。また、システムは、検出装置208を介してユーザを検知し、挨拶を送ることも可能である。また、ユーザは、マルチモーダルデータ入力インターフェース204を介してシステムに直接コマンドを送り、システムを起動して対話を行うことができる。
【0040】
ステップS12:健康状態評価の質問の選択と提示を参照されたい。具体的には、システムは、対話データベース102から健康状態評価の質問を選択し、データ出力インターフェース202によって健康状態評価の質問を提示する。
【0041】
ステップS14:応答情報の受信を参照されたい。詳細には、システムは、マルチモーダルデータ入力インターフェース204を介して、ユーザの音声、画像、または生理学的測定信号の応答情報を受信する。例えば、音声データはセンシングモジュールで受信され、トリガー信号はタッチスクリーンで受信され、ブルートゥースの入力信号や無線入力信号は通信モジュールで受信される。
【0042】
ステップ20:応答情報タイプの判定を参照されたい。詳細には、システムは、識別モジュール104によって、応答情報が数値タイプに属するかテキストタイプに属するかを判断する。応答情報が数値タイプに属する場合、ステップS22を参照して、健康状態評価モジュール108は、応答情報と予め設定された数値ルールとに従って、第1の評価結果を生成する。一方、応答情報がテキストタイプに属する場合には、ステップS24~S26を参照して、意味解釈モジュール106は、応答情報からキーワードを検索し、その後、健康状態評価モジュール108は、キーワードに基づいて第2の評価結果を生成する。健康状態評価モジュール108は、さらに、上記2つの評価結果のうち、少なくとも1つの評価結果を一時的な記憶領域に格納する。
【0043】
ステップS30:対話終了信号を受信したかどうかの判定を参照されたい。詳細には、対話終了信号を受信していない場合には、健康状態評価の質問のフォローアップ項目から別の健康状態評価の質問が選択され、処理はステップS12に戻る。対話終了信号を受信したかどうかの判断には、対話を終了することを表すトリガー信号を受信する方法や、ゼロの健康状態評価の質問に対応する健康状態評価の質問のフォローアップ項目を受信する方法などがある。
【0044】
逆に、システムが対話終了信号を受信している場合、健康状態評価モジュール108は、ステップS32に示すように、一時的な記憶領域のデータに基づいて評価レポートを出力し、データ出力インターフェース202を介して評価レポートを提示する。さらに、評価レポートを出力する前に、ユーザの顔画像またはユーザの声に応じて、対応するユーザの記憶領域を検索すること、および、現在のユーザに対応する記憶領域に評価レポートを格納することをさらに含む。
【0045】
要約すれば、本開示による対話型健康状態評価システムおよびその方法は、ホームロボットやAPPに導入され、家庭に適用されることで、高齢化社会や長期介護の重圧を和らげるためのコンパニオン要求を達成することができる。また、医療介護の分野にも適用することができ、医療スタッフの反復的な健康教育を置き換えることで、医療スタッフが患者の個別ケアに集中し、医療の質の向上と最適化を図ることができる。
【0046】
以上、本開示を前述の実施形態で開示してきたが、本発明を限定することを意図したものではない。本発明の範囲内であれば、本発明の主旨を逸脱することなく変更することができる。本開示によって定義される権利範囲については、添付の特許出願を参照されたい。
図1A
図1B
図2