IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ CONNEXX SYSTEMS株式会社の特許一覧

特許7285608複合電池、およびそれを備えた複合電池システム
<>
  • 特許-複合電池、およびそれを備えた複合電池システム 図1
  • 特許-複合電池、およびそれを備えた複合電池システム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】複合電池、およびそれを備えた複合電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/253 20210101AFI20230526BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20230526BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20230526BHJP
   H01M 8/04089 20160101ALI20230526BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20230526BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20230526BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20230526BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20230526BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230526BHJP
   H01M 50/249 20210101ALN20230526BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20230526BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20230526BHJP
   H01M 4/485 20100101ALN20230526BHJP
   H01M 4/587 20100101ALN20230526BHJP
【FI】
H01M50/253
H01M8/00 A
H01M8/04014
H01M8/04089
H01M8/04537
H01M8/04701
H01M8/04858
H01M8/0606
H01M10/44 P
H01M50/249
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
H01M10/052
H01M4/485
H01M4/587
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022579659
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 JP2022039276
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2021173562
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】712006374
【氏名又は名称】CONNEXX SYSTEMS株式会社
(72)【発明者】
【氏名】塚本 壽
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-094058(JP,A)
【文献】特許第6767399(JP,B2)
【文献】国際公開第2020/017034(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/176047(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/089811(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
H01M 4/00- 4/62
H01M 8/00- 8/24
H01M10/05-10/0587
H01M10/36-10/48
H01M12/00-16/00
H02J 7/00- 7/12
H02J 7/34- 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギを直流電力に変換して出力する発電装置と、
前記発電装置の出力ラインに直接接続され、前記発電装置によって発電された直流電力を充電する複合電池と、
前記発電装置によって発電された直流電力および前記複合電池から放電された直流電力を交流電力に変換し、負荷へ供給するパワーコントロールシステムと、
前記発電装置の発電量および前記負荷の需要量に応じて前記複合電池の充放電を制御する制御装置と、を有し、
前記複合電池は、
所定の温度条件で作動する全固体二次電池と、
前記全固体二次電池に並列接続された高出力型のリチウムイオン二次電池と、
前記全固体二次電池の動作電圧を所定の範囲に保持するための動作電圧保持装置と、
内部と外部とが熱的に分離されるように、断熱性を有する部材で形成された筐体と、を備え、
前記全固体二次電池は、前記筐体の内部に配置され、外部から充電電力を供給すると鉄の還元反応が発生して外部に酸素を排出し、前記充電電力を停止して外部から酸素を供給すると鉄の酸化反応が発生して外部に電力を供給するものであり、
前記発電装置、前記パワーコントロールシステム、前記制御装置、前記リチウムイオン二次電池および前記動作電圧保持装置は、前記筐体の外部に配置される複合電池システム
【請求項2】
前記動作電圧保持装置は、前記全固体二次電池に直列接続された電圧制御装置であり、前記電圧制御装置は、前記全固体二次電池の動作電圧を前記リチウムイオン二次電池の動作電圧範囲の内側に保持するように制御する請求項1に記載の複合電池システム
【請求項3】
前記動作電圧保持装置は、前記全固体二次電池の温度を前記所定の温度条件の範囲内で制御する温度制御装置であり、前記温度制御装置は、前記全固体二次電池の動作電圧を前記リチウムイオン二次電池の動作電圧範囲の内側に保持するように制御する請求項1に記載の複合電池システム
【請求項4】
前記動作電圧保持装置は、前記全固体二次電池に供給する空気の流量を制御する空気流量制御装置であり、前記空気流量制御装置は、前記全固体二次電池の動作電圧を前記リチウムイオン二次電池の動作電圧範囲の内側に保持するように制御する請求項1に記載の複合電池システム
【請求項5】
前記全固体二次電池は、放電時に水素ガスを水蒸気に酸化する燃料極を備えた平板状の電極複合体と、前記水蒸気と反応して前記水素ガスを生成し、自らは酸化物となる負極燃料物質体と、を有し、
前記電極複合体は、450~1000℃に加熱維持されるものであり、
前記負極燃料物質体は、300~1000℃に加熱維持されるものである請求項1~4のいずれか1項に記載の複合電池システム
【請求項6】
前記リチウムイオン二次電池は、正極材料としてリチウム金属酸化物を使用し、負極材料としてチタン酸リチウムを使用したリチウムイオン二次電池、または正極材料としてリチウム金属酸化物を使用し、負極材料として黒鉛系炭素材料を使用したリチウムイオン二次電池である請求項1~4のいずれか1項に記載の複合電池システム
【請求項7】
前記発電装置は、内燃機関式発電装置、ボイラー式発電装置および燃料電池式発電装置から成る群から選択された1つであり、
前記複合電池の前記全固体二次電池は、前記発電装置から排出される流体の熱エネルギを使用して加熱維持される請求項1~4のいずれか1項に記載の複合電池システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記発電装置の発電量が前記負荷の需要量よりも多い場合には、前記負荷の需要量を前記負荷に供給するとともに前記発電装置の発電量の余剰分を前記複合電池に充電し、前記発電装置の発電量が前記負荷の需要量よりも少ない場合には、前記発電装置の発電量を前記負荷に供給するとともに前記負荷の需要量の不足分を前記複合電池から放電するように制御する請求項1~4のいずれか1項に記載の複合電池システム。
【請求項9】
さらに、前記筐体の外部に配置され、一方が前記発電装置の前記出力ラインに接続され、他方が充電スイッチを介して系統に接続された充電器を備え、
前記複合電池は、前記充電スイッチが充電側の場合に、系統の電力によって生じた前記充電器の出力電力を充電する請求項1~4のいずれか1項に記載の複合電池システム。
【請求項10】
さらに、前記筐体の外部に配置され、一方が前記発電装置の前記出力ラインに接続され、他方が電気自動車に搭載された車載二次電池に接続可能な双方向DCDCコンバータを備え、
前記車載二次電池は、前記発電装置によって発電された直流電力および系統の電力によって生じた前記充電器の出力電力を充電する機能と、自身に充電された電力を前記パワーコントロールシステムに放電する機能と、を有する請求項に記載の複合電池システム。
【請求項11】
さらに、系統と前記負荷との間に配置され、系統との連携を遮断する非連携スイッチを備え、
前記制御装置は、前記非連携スイッチが非連携側の場合に、前記発電装置による発電電力および前記複合電池による充電電力によって前記負荷の需要を満たすように制御する請求項1~4のいずれか1項に記載の複合電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種電池が並列接続された複合電池、およびそれを備えた複合電池システムに関し、特に全固体二次電池とリチウムイオン二次電池とから成る複合電池、およびそれを備えた複合電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一定以上の高出力密度を維持しつつ高エネルギ密度を得たいという要求と、一定以上の高エネルギ密度を維持しつつ高出力密度を得たいという要求に同時に応える二次電池として、性質の異なる2種類の二次電池を組み合わせた複合電池が開示されている。例えば、特許文献1には、開回路電圧が異なる大容量型二次電池と高出力型二次電池とが並列接続された複合電池が開示されている。
【0003】
一方、燃料電池は、燃料気体を供給することで発電体に電力を発生させる手段である。燃料電池の中でも酸素イオン伝導性の無機固体電解質を用いた固体酸化物形燃料電池(SOFC、Solid Oxide Fuel Cell)は、クリーンで発電効率の高い優れた発電装置であることが知られている。それに加えて、燃料電池の放電によって消費された燃料気体を復元させる仕組みを持ち、二次電池として使用できる燃料電池システムが開発されている。例えば、特許文献2には、シンプルかつコンパクトで、しかも電池容量およびエネルギ密度が十分大きい構成の固体酸化物形燃料電池システムが記載されている。
【0004】
したがって、複合電池の大容量型二次電池として燃料電池システムを使用し、高出力型二次電池として高出力型のリチウムイオン二次電池を使用すれば、従来よりもクリーンで充放電効率の高い優れた複合電池を構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4082147号
【文献】特許第6767399号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の複合電池を構成する大容量型二次電池と高出力型二次電池は動作温度がほぼ常温で同一であるのに対して、特許文献2の燃料電池システムは動作温度が高温である。したがって、特許文献1の高出力型二次電池と特許文献2の燃料電池システムとを組み合わせて複合電池を構成する場合には、それぞれを別々の温度環境に設置して各二次電池の互いに異なる動作温度を保たなければならない点が考慮されていないという問題があった。
【0007】
また、特許文献1の複合電池を構成する大容量型二次電池と高出力型二次電池は環境温度が変動しても動作電圧が比較的小さく変動するのに対して、特許文献2の燃料電池システムは環境温度が変動すると動作電圧が比較的大きく変動するので、その変動を吸収しなければならない点が考慮されていないという問題があった。
【0008】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、各二次電池の互いに異なる動作温度を保つこと、および燃料電池システム、すなわち本願の全固体二次電池で生じる環境温度の変動に伴う動作電圧の変動を吸収することが可能な複合電池システムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記目的に加え、従来と同等以上に一定期間継続的に全固体二次電池を動作させること、複合電池をシンプルに構成すること、および複合電池の適用範囲を広げることが可能な複合電池システムを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、上記目的に加え、従来と同等以上にシステム全体の熱効率、電力自給率、稼働率を高めること、およびシステム全体の電池容量を増やすことが可能な複合電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、まず、断熱性を有する部材で形成された筐体の内部に燃料電池システム、すなわち本願の全固体二次電池を配置し、その筐体の外部に高出力型二次電池、すなわち本願のリチウムイオン二次電池を配置することによって、各二次電池の互いに異なる動作温度を保つことができることを見出した。
【0010】
また、本発明者は、全固体二次電池の動作電圧を所定の範囲に保持するための動作電圧保持装置として、例えば、電圧制御装置、温度制御装置、空気流量制御装置などを備えることによって、全固体二次電池で生じる環境温度の変動に伴う動作電圧の変動を吸収することができることを見出し、本発明に至ったものである。
【0011】
即ち、本発明はエネルギを直流電力に変換して出力する発電装置と、発電装置の出力ラインに直接接続され、発電装置によって発電された直流電力を充電する複合電池と、発電装置によって発電された直流電力および複合電池から放電された直流電力を交流電力に変換し、負荷へ供給するパワーコントロールシステムと、発電装置の発電量および負荷の需要量に応じて複合電池の充放電を制御する制御装置と、を有し、複合電池は、所定の温度条件で作動する全固体二次電池と、全固体二次電池に並列接続された高出力型のリチウムイオン二次電池と、全固体二次電池の動作電圧を所定の範囲に保持するための動作電圧保持装置と、内部と外部とが熱的に分離されるように、断熱性を有する部材で形成された筐体と、を備え、全固体二次電池は、筐体の内部に配置され、外部から充電電力を供給すると鉄の還元反応が発生して外部に酸素を排出し、充電電力を停止して外部から酸素を供給すると鉄の酸化反応が発生して外部に電力を供給するものであり、発電装置、パワーコントロールシステム、制御装置、リチウムイオン二次電池および動作電圧保持装置は、筐体の外部に配置される複合電池システムを提供するものである。
【0012】
ここで、上記においては、動作電圧保持装置は、全固体二次電池に直列接続された電圧制御装置であり、電圧制御装置は、全固体二次電池の動作電圧をリチウムイオン二次電池の動作電圧範囲の内側に保持するように制御するのが好ましい。
動作電圧保持装置は、全固体二次電池の温度を所定の温度条件の範囲内で制御する温度制御装置であり、温度制御装置は、全固体二次電池の動作電圧をリチウムイオン二次電池の動作電圧範囲の内側に保持するように制御するのが好ましい。
動作電圧保持装置は、全固体二次電池に供給する空気の流量を制御する空気流量制御装置であり、空気流量制御装置は、全固体二次電池の動作電圧をリチウムイオン二次電池の動作電圧範囲の内側に保持するように制御するのが好ましい。
【0013】
さらに、上記においては、全固体二次電池は、放電時に水素ガスを水蒸気に酸化する燃料極を備えた平板状の電極複合体と、水蒸気と反応して水素ガスを生成し、自らは酸化物となる負極燃料物質体と、を有し、電極複合体は、450~1000℃に加熱維持されるものであり、負極燃料物質体は、300~1000℃に加熱維持されるものであるのが好ましい。
リチウムイオン二次電池は、正極材料としてリチウム金属酸化物を使用し、負極材料としてチタン酸リチウムを使用したリチウムイオン二次電池、または正極材料としてリチウム金属酸化物を使用し、負極材料として黒鉛系炭素材料を使用したリチウムイオン二次電池であるのが好ましい。
【0015】
ここで、上記においては、発電装置は、内燃機関式発電装置、ボイラー式発電装置および燃料電池式発電装置から成る群から選択された1つであり、複合電池の全固体二次電池は、発電装置から排出される流体の熱エネルギを使用して加熱維持されるのが好ましい。
制御装置は、発電装置の発電量が負荷の需要量よりも多い場合には、負荷の需要量を負荷に供給するとともに発電装置の発電量の余剰分を複合電池に充電し、発電装置の発電量が負荷の需要量よりも少ない場合には、発電装置の発電量を負荷に供給するとともに負荷の需要量の不足分を複合電池から放電するように制御するのが好ましい。
【0016】
さらに、上記においては、さらに、筐体の外部に配置され、一方が発電装置の出力ラインに接続され、他方が充電スイッチを介して系統に接続された充電器を備え、複合電池は、充電スイッチが充電側の場合に、系統の電力によって生じた充電器の出力電力を充電するのが好ましい。
さらに、筐体の外部に配置され、一方が発電装置の出力ラインに接続され、他方が電気自動車に搭載された車載二次電池に接続可能な双方向DCDCコンバータを備え、車載二次電池は、発電装置によって発電された直流電力および系統の電力によって生じた充電器の出力電力を充電する機能と、自身に充電された電力をパワーコントロールシステムに放電する機能と、を有するのが好ましい。
さらに、系統と負荷との間に配置され、系統との連携を遮断する非連携スイッチを備え、制御装置は、非連携スイッチが非連携側の場合に、発電装置による発電電力および複合電池による充電電力によって負荷の需要を満たすように制御するのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の複合電池システムによれば、各二次電池の互いに異なる動作温度を保つこと、および全固体二次電池で生じる環境温度の変動に伴う動作電圧の変動を吸収することができる。
また、本発明の複合電池システムによれば、上記効果に加え、従来と同等以上に一定期間継続的に全固体二次電池を動作させること、複合電池をシンプルに構成すること、および複合電池の適用範囲を広げることができる。
さらに、本発明の複合電池システムによれば、上記効果に加え、従来と同等以上にシステム全体の熱効率、電力自給率、稼働率を高めること、およびシステム全体の電池容量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の複合電池システム、およびそれを構成する複合電池を示すブロック図である。
図2図1の複合電池を構成する全固体二次電池を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を添付の図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。まず、本発明の複合電池システムを構成する複合電池について詳細に説明する。図1は、本発明の複合電池システム、およびそれを構成する複合電池を示すブロック図であり、図2は、図1の複合電池を構成する全固体二次電池を模式的に示す断面図である。
【0020】
合電池10は、全固体二次電池12とリチウムイオン二次電池14と動作電圧保持装置16と筐体18とを備える。全固体二次電池12は、所定の温度条件で作動する。リチウムイオン二次電池14は、全固体二次電池12に並列接続された高出力型のものである。動作電圧保持装置16は、全固体二次電池12の動作電圧を所定の範囲に保持するためのものである。筐体18は、内部と外部とが熱的に分離されるように、断熱性を有する部材で形成されたものである。全固体二次電池12は、外部から充電電力を供給すると鉄の還元反応が発生して外部に酸素を排出し、充電電力を停止して外部から酸素を供給すると鉄の酸化反応が発生して外部に電力を供給するものである。筐体18の内部には、全固体二次電池12が配置され、筐体18の外部には、リチウムイオン二次電池14および動作電圧保持装置16が配置される。
【0021】
複合電池10は、さらに、双方向DCDCコンバータ20を備えるのが好ましい。その場合、双方向DCDCコンバータ20は、筐体18の外部に配置され、リチウムイオン二次電池14に直列接続される。なお、図1において動作電圧保持装置16は、全固体二次電池12に直列接続された位置に記載されているが、この記載位置は全固体二次電池12の動作電圧を所定の範囲に保持するという機能的位置を示したものであり、物理的な位置を示したものではない。
【0022】
全固体二次電池12は、全固体二次電池12の制御部(BMS)を介して、例えば後述の制御装置36のような外部の制御装置に接続され、この制御部は、外部の制御装置からの指示に基づいて全固体二次電池12の充放電状態を制御する。リチウムイオン二次電池14は、リチウムイオン二次電池14の制御部(BMS)を介して外部の制御装置に接続され、この制御部は、外部の制御装置からの指示に基づいてリチウムイオン二次電池14の充放電状態を制御する。動作電圧保持装置16は、外部の制御装置に接続され、外部の制御装置からの指示に基づいて全固体二次電池12の動作電圧を制御する。双方向DCDCコンバータ20は、外部の制御装置に接続され、外部の制御装置からの指示に基づいてリチウムイオン二次電池14の充放電状態を制御する。
【0023】
このような構成とすることで、本発明の複合電池システムは、各二次電池の互いに異なる動作温度を保つこと、および全固体二次電池で生じる環境温度の変動に伴う動作電圧の変動を吸収することができる。
【0024】
次に、複合電池を構成する全固体二次電池について説明する。
全固体二次電池60(12)は、平板状の電極複合体62と負極燃料物質体64とを有するのが好ましい。その場合、電極複合体62は、燃料極62a(負極、アノード層ともいう)を備えたものである。燃料極62aは、放電時に水素ガスを水蒸気に酸化するものである。負極燃料物質体64は、水蒸気と反応して水素ガスを生成し、自らは酸化物となる。電極複合体62および負極燃料物質体64は、それぞれの所定の温度に加熱維持される。
【0025】
電極複合体62は、さらに、固体電解質体62bと空気極62c(正極、カソード層ともいう)とを備えたものであっても良い。その場合、固体電解質体62bは、燃料極62aの一方の表面に配置され、かつ充放電時に酸素イオンを伝導するものである。また、空気極62cは、固体電解質体62bの燃料極62aの反対側の表面に配置され、かつ放電時に空気中の酸素を酸素イオンに還元するものである。
【0026】
負極燃料物質体64は、鉄粒子または鉄粉末と形態保持材料とから成るペレット状のものであるのが好ましい。形態保持材料は、難焼結性材料またはその混合物から成る。難焼結性材料は、例えば、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムである。負極燃料物質体64の表面の少なくとも一部は、形態保持材料で覆われ、負極燃料物質体64に対する形態保持材料の質量比は、0.1%以上5%以下である。この質量比が0.1%未満の場合には、負極燃料物質体64の表面が焼結して酸化還元反応が生じない状態になる可能性があり、5%超の場合には、酸化還元速度を抑制し過ぎる可能性がある。ペレットの直径は、例えば、2~10mmである。
【0027】
電極複合体62の所定の温度は、450~1000℃であり、負極燃料物質体64の所定の温度は、300~1000℃であっても良い。即ち、電極複合体62の温度が450℃未満または負極燃料物質体64の温度が300℃未満の場合には、全固体二次電池60が作動しない可能性がある。電極複合体62の温度が1000℃超または負極燃料物質体64の温度が1000℃超の場合には、負極燃料物質体64の凝集に伴う出力低下が生じる可能性がある。
このような構成とすることで、本発明の複合電池システムは、安定的な作動に必要な温度条件を満たすので、一定期間継続的に全固体二次電池を動作させることができる。
【0028】
電極複合体62および負極燃料物質体64は、互いにガス配管またはガス流路で接続された2つの密閉容器のそれぞれに配置されても良いが、ガス配管またはガス流路を介さずに1つの密閉容器66に配置されるのが好ましい。その場合には、密閉容器66は、開口部を備え、電極複合体62は、その開口部にシール材を介して固定され、負極燃料物質体64は、密閉容器66の中に収納される。
このような構成とすることで、本発明の複合電池システムは、複合電池をシンプルに構成することができる。
【0029】
次に、複合電池を構成する高出力型のリチウムイオン二次電池について説明する。
リチウムイオン二次電池14は、正極材料としてリチウム金属酸化物を使用し、負極材料としてチタン酸リチウムを使用したLTO系のリチウムイオン二次電池であっても良い。または、リチウムイオン二次電池14は、正極材料としてリチウム金属酸化物を使用し、負極材料として黒鉛系炭素材料を使用したNCM系のリチウムイオン二次電池であっても良い。
【0030】
具体的には、LTO系のリチウムイオン二次電池とは、正極材料としてLiNiO、LiCoO、LiMn、LiNiCoMnOなどの内のいずれか1つのリチウム金属酸化物を使用し、負極材料としてLTO、すなわちチタン酸リチウム(LiTi12)を使用したものである。また、NCM系のリチウムイオン二次電池とは、正極材料として三元系、すなわちLiNiO、LiCoO、LiMn、LiNiCoMnOなどの内のいずれか1つのリチウム金属酸化物を使用し、負極材料としてグラファイトなどの黒鉛系炭素材料を使用したものである。
【0031】
このような構成とすることで、本発明の複合電池システムは、高出力の電力需要にも対応できるので、複合電池の適用範囲を広げることができる。
【0032】
次に、複合電池を構成する動作電圧保持装置の一例について説明する。
動作電圧保持装置16は、電圧制御装置であっても良い。その場合、電圧制御装置は、全固体二次電池12に直列接続されたものである。電圧制御装置は、全固体二次電池12の動作電圧をリチウムイオン二次電池14の動作電圧範囲の内側に保持するように制御する。
【0033】
例えば、全固体二次電池12の動作電圧がリチウムイオン二次電池14の動作電圧範囲よりも高い場合には、その動作電圧範囲の内側になるように、電圧制御装置が例えば双方向DCDCコンバータを使用して全固体二次電池12の動作電圧を降圧することによって、全固体二次電池12の動作電圧を直接制御することができる。
【0034】
また、全固体二次電池12の動作電圧がリチウムイオン二次電池14の動作電圧範囲よりも低い場合には、その動作電圧範囲の内側になるように、電圧制御装置が例えば双方向DCDCコンバータを使用して全固体二次電池12の動作電圧を昇圧することによって、全固体二次電池12の動作電圧を直接制御することができる。
【0035】
このような構成とすることで、本発明の複合電池システムは、電圧制御装置が全固体二次電池の動作電圧を直接制御するので、全固体二次電池で生じる環境温度の変動に伴う動作電圧の変動をより確実に吸収することができる。
【0036】
次に、複合電池を構成する動作電圧保持装置の他の一例について説明する。
動作電圧保持装置16は、温度制御装置であっても良い。その場合、温度制御装置は、全固体二次電池12の温度を所定の温度条件の範囲内で制御するものである。温度制御装置は、全固体二次電池12の動作電圧をリチウムイオン二次電池14の動作電圧範囲の内側に保持するように制御する。
【0037】
例えば、全固体二次電池12の動作電圧がリチウムイオン二次電池14の動作電圧範囲よりも高い場合には、温度制御装置が例えば全固体二次電池12に流入する空気の温度を低下させる、全固体二次電池12を加熱するヒータを停止させるなどの方法で全固体二次電池12の温度を低下させる。その温度低下に伴って全固体二次電池12の動作電圧が低下するので、全固体二次電池12の動作電圧がリチウムイオン二次電池14の動作電圧範囲の内側になるように、温度制御装置が全固体二次電池12の動作電圧を間接的に制御することができる。
【0038】
また、全固体二次電池12の動作電圧がリチウムイオン二次電池14の動作電圧範囲よりも低い場合には、温度制御装置が例えば全固体二次電池12に流入する空気の温度を上昇させる、全固体二次電池12を加熱するヒータをオンさせるなどの方法で全固体二次電池12の温度を上昇させる。その温度上昇に伴って全固体二次電池12の動作電圧が上昇するので、全固体二次電池12の動作電圧がリチウムイオン二次電池14の動作電圧範囲の内側になるように、温度制御装置が全固体二次電池12の動作電圧を間接的に制御することができる。なお、この温度制御装置は、全固体二次電池12を作動させるために必ず必要な、全固体二次電池12を所定の温度に加熱維持する温度管理部(図示せず)の機能を含んでも良いし、この必須の機能を含まずに別々に構成しても良い。
【0039】
このような構成とすることで、本発明の複合電池システムは、温度制御装置が全固体二次電池の動作電圧を間接的に制御するので、全固体二次電池で生じる環境温度の変動に伴う動作電圧の変動を確実に吸収することができる。
【0040】
次に、複合電池を構成する動作電圧保持装置のさらに他の一例について説明する。
動作電圧保持装置16は、空気流量制御装置であっても良い。その場合、空気流量制御装置は、全固体二次電池12に供給する空気の流量を制御するものである。空気流量制御装置は、全固体二次電池12の動作電圧をリチウムイオン二次電池14の動作電圧範囲の内側に保持するように制御する。
【0041】
例えば、全固体二次電池12の動作電圧がリチウムイオン二次電池14の動作電圧範囲よりも高い場合には、空気流量制御装置が全固体二次電池12に供給する空気の温度によって方法が異なる。もし全固体二次電池12に供給する空気の温度の方が全固体二次電池12が加熱維持される温度よりも高ければ全固体二次電池12に供給する空気の流量を減少させ、逆にもし低ければ全固体二次電池12に供給する空気の流量を増加させる。その空気流量の変化に伴って全固体二次電池12の温度が低下し、その結果として全固体二次電池12の動作電圧が低下するので、全固体二次電池12の動作電圧がリチウムイオン二次電池14の動作電圧範囲の内側になるように、空気流量制御装置が全固体二次電池12の動作電圧を間接的に制御することができる。
【0042】
また、全固体二次電池12の動作電圧がリチウムイオン二次電池14の動作電圧範囲よりも低い場合には、空気流量制御装置が全固体二次電池12に供給する空気の温度によって方法が異なる。もし全固体二次電池12に供給する空気の温度の方が全固体二次電池12が加熱維持される温度よりも高ければ全固体二次電池12に供給する空気の流量を増加させ、逆にもし低ければ全固体二次電池12に供給する空気の流量を減少させる。その空気流量の変化に伴って全固体二次電池12の温度が上昇し、その結果として全固体二次電池12の動作電圧が上昇するので、全固体二次電池12の動作電圧がリチウムイオン二次電池14の動作電圧範囲の内側になるように、空気流量制御装置が全固体二次電池12の動作電圧を間接的に制御することができる。
【0043】
このような構成とすることで、本発明の複合電池システムは、空気流量制御装置が全固体二次電池の動作電圧を間接的に制御するので、全固体二次電池で生じる環境温度の変動に伴う動作電圧の変動を確実に吸収することができる。
本発明の複合電池システムを構成する複合電池は、基本的に以上のように構成される。
【0044】
次に、本発明の複合電池システムについて詳細に説明する。
本発明の複合電池システム30は、発電装置32と複合電池10とパワーコントロールシステム34と制御装置36とを有する。発電装置32は、エネルギを直流電力に変換して出力する。複合電池10は、発電装置32の出力ライン32aに直接接続され、発電装置32によって発電された直流電力を充電する。パワーコントロールシステム34は、発電装置32によって発電された直流電力および複合電池10から放電された直流電力を交流電力に変換し、負荷38へ供給する。制御装置36は、発電装置32の発電量および負荷38の需要量に応じて複合電池10の充放電を制御する。筐体18の外部には、発電装置32、パワーコントロールシステム34および制御装置36が配置される。
【0045】
発電装置32は、発電装置32の制御部を介して制御装置36に接続され、この制御部は、制御装置36からの指示に基づいて発電装置32の発電状態を制御する。パワーコントロールシステム34は、制御装置36に接続され、制御装置36からの指示に基づいて負荷38に対する供給量を制御する。
【0046】
このような構成とすることで、本発明の複合電池システムは、各二次電池の互いに異なる動作温度を保つこと、および全固体二次電池で生じる環境温度の変動に伴う動作電圧の変動を吸収することができる。
【0047】
次に、本発明の複合電池システムを構成する発電装置について説明する。
発電装置32は、内燃機関式発電装置、ボイラー式発電装置および燃料電池式発電装置から成る群から選択された1つであるのが好ましい。その場合、複合電池10の全固体二次電池12は、発電装置32から排出される流体の熱エネルギを使用して加熱維持される。
【0048】
ここで、内燃機関式発電装置とは、例えば、バイオエタノールを燃料として内燃機関を運転し、エンジンのクランクシャフトを回転させて発電する発電装置である。ボイラー式発電装置とは、例えば、可燃廃棄物(燃えるゴミ)の焼却時の排熱を利用してボイラーで高温の蒸気を発生させ、その蒸気によってタービンを回転させて発電する発電装置である。燃料電池式発電装置とは、例えば、水素を燃料として供給し、酸素との電気化学反応によって発生する電気エネルギを取り出す発電装置である。その中で、電解質材料として溶融炭酸塩を使用した溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)の運転温度は、600~700℃であり、電解質材料としてジルコニア系セラミックスを使用した固体酸化物形燃料電池(SOFC)の運転温度は、700~1000℃である。
【0049】
このような構成とすることで、本発明の複合電池システムは、発電装置から排出される流体の熱エネルギを使用するので、システム全体の熱効率を高めることができる。
【0050】
次に、本発明の複合電池システムを構成する制御装置について説明する。
発電装置32の発電量が負荷38の需要量よりも多い場合には、制御装置36は、負荷38の需要量を負荷38に供給するとともに発電装置32の発電量の余剰分を複合電池10に充電するように制御するのが好ましい。逆に、発電装置32の発電量が負荷38の需要量よりも少ない場合には、制御装置36は、発電装置32の発電量を負荷38に供給するとともに負荷38の需要量の不足分を複合電池10から放電するように制御するのが好ましい。
【0051】
例えば、発電装置32の発電量が1kWで負荷38の需要量が0.7kWの場合には、制御装置36は、負荷38の需要量0.7kWを負荷38に供給するとともに発電装置32の発電量1kWの余剰分0.3kWを複合電池10に充電するように制御する。逆に、発電装置32の発電量が0.7kWで負荷38の需要量が1kWの場合には、制御装置36は、発電装置32の発電量0.7kWを負荷38に供給するとともに負荷38の需要量1kWの不足分0.3kWを複合電池10から放電するように制御する。
【0052】
このような構成とすることで、本発明の複合電池システムは、発電装置が発電した電力が最終的にすべて負荷に供給されるので、システム全体の電力自給率を高めることができる。
【0053】
次に、本発明の複合電池システムを構成する充電器および充電スイッチについて説明する。
複合電池システム30は、さらに、充電器40を備えるのが好ましい。その場合、充電器40は、筐体18の外部に配置され、充電器40の一方が発電装置32の出力ライン32aに接続され、充電器40の他方が充電スイッチ42を介して系統44に接続されたものである。複合電池10は、充電スイッチ42が充電側の場合に、系統44の電力によって生じた充電器40の出力電力を充電する。充電器40は、制御装置36に接続され、制御装置36からの指示に基づいて系統44の電力の充電電圧および充電電流を制御する。充電スイッチ42は、制御装置36に接続され、制御装置36からの指示に基づいて開閉する。
【0054】
このような構成とすることで、本発明の複合電池システムは、発電装置が発電した電力だけでなく系統の電力も複合電池に充電することができるので、システム全体の稼働率を高めることができる。
【0055】
次に、本発明の複合電池システムを構成する双方向DCDCコンバータおよび電気自動車の車載二次電池について説明する。
複合電池システム30は、さらに、双方向DCDCコンバータ46を備えるのが好ましい。その場合、双方向DCDCコンバータ46は、筐体18の外部に配置され、双方向DCDCコンバータ46の一方が発電装置32の出力ライン32aに接続され、双方向DCDCコンバータ46の他方が電気自動車に搭載された車載二次電池48に接続可能である。車載二次電池48は、発電装置32によって発電された直流電力および系統44の電力によって生じた充電器40の出力電力を充電する機能と、自身に充電された電力をパワーコントロールシステム34に放電する機能と、を有する。双方向DCDCコンバータ46は、制御装置36に接続され、制御装置36からの指示に基づいて車載二次電池48の充放電状態を制御する。
【0056】
このような構成とすることで、本発明の複合電池システムは、車載二次電池も複合電池と同じ機能を持つので、システム全体の電池容量を増やすことができる。
【0057】
次に、本発明の複合電池システムを構成する非連携スイッチについて説明する。
複合電池システム30は、さらに、非連携スイッチ50を備えるのが好ましい。その場合、非連携スイッチ50は、系統44と負荷38との間に配置され、系統44との連携を遮断する。制御装置36は、非連携スイッチ50が非連携側の場合に、発電装置32による発電電力および複合電池10による充電電力によって負荷38の需要を満たすように制御する。非連携スイッチ50は、制御装置36に接続され、制御装置36からの指示に基づいて負荷38への出力電力の供給元をパワーコントロールシステム34と系統44との間で切り換える。
【0058】
具体的には前述のように、例えば、制御装置36は、発電装置32の発電量が1kWで負荷38の需要量が0.7kWの場合には、負荷38の需要量0.7kWを負荷38に供給するとともに発電装置32の発電量1kWの余剰分0.3kWを複合電池10に充電し、発電装置32の発電量が0.7kWで負荷38の需要量が1kWの場合には、発電装置32の発電量0.7kWを負荷38に供給するとともに負荷38の需要量1kWの不足分0.3kWを複合電池10から放電するように制御する。
【0059】
このような構成とすることで、本発明の複合電池システムは、系統の電力が直接負荷に流れなくなるので、システム全体の電力自給率を高めることができる。
本発明の複合電池システムは、基本的に以上のように構成される。
【0060】
以上、本発明の複合電池システム、およびそれを構成する複合電池について詳細に説明したが、本発明は上記記載に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしても良いのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の複合電池システムは、各二次電池の互いに異なる動作温度を保つこと、および全固体二次電池で生じる環境温度の変動に伴う動作電圧の変動を吸収することができるという効果に加え、従来と同等以上に一定期間継続的に全固体二次電池を動作させること、複合電池をシンプルに構成すること、および複合電池の適用範囲を広げることができるという効果もある。また、本発明の複合電池システムは、上記効果に加え、従来と同等以上にシステム全体の熱効率、電力自給率、稼働率を高めること、およびシステム全体の電池容量を増やすことができるという効果もあるので、産業上有用である。
【符号の説明】
【0062】
10 複合電池
12、60 全固体二次電池
14 リチウムイオン二次電池
16 動作電圧保持装置
18 筐体
20、46 双方向DCDCコンバータ
30 複合電池システム
32 発電装置
32a 出力ライン
34 パワーコントロールシステム
36 制御装置
38 負荷
40 充電器
42 充電スイッチ
44 系統
48 車載二次電池
50 非連携スイッチ
62 電極複合体
62a 燃料極
62b 固体電解質体
62c 空気極
64 負極燃料物質体
66 密閉容器
【要約】
各二次電池の互いに異なる動作温度を保つこと、および全固体二次電池で生じる環境温度の変動に伴う動作電圧の変動を吸収することが可能な複合電池、およびそれを備えた複合電池システムを提供する。複合電池10は、全固体二次電池12とリチウムイオン二次電池14と動作電圧保持装置16と筐体18とを備える。全固体二次電池12は、所定の温度条件で作動する。リチウムイオン二次電池14は、全固体二次電池12に並列接続された高出力型のものである。動作電圧保持装置16は、全固体二次電池12の動作電圧を所定の範囲に保持するためのものである。筐体18は、内部と外部とが熱的に分離されるように、断熱性を有する部材で形成されたものである。筐体18の内部には、全固体二次電池12が配置され、筐体18の外部には、リチウムイオン二次電池14および動作電圧保持装置16が配置される。
図1
図2