(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】ワッシャー固定方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B23P 19/00 20060101AFI20230526BHJP
【FI】
B23P19/00 304A
(21)【出願番号】P 2018098862
(22)【出願日】2018-05-23
【審査請求日】2021-05-18
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506154029
【氏名又は名称】センサータ テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】エルニー シュート アウターカンプ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ボス
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-188625(JP,A)
【文献】登録実用新案第3206940(JP,U)
【文献】実開昭63-110386(JP,U)
【文献】実開昭49-089554(JP,U)
【文献】特開2018-111163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00
F16L 19/10
F16J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッセンブリプロセスであって、
非円形形状を有するワッシャー、および前記ワッシャーの最大の半径方向の寸法より小さな内壁寸法を有する窪みを有するワークピースを受け取ることと、
前記ワッシャーを弾性的に変形させ、その一方で、前記弾性的に変形されたワッシャーを前記窪みに押し込むことと、
前記ワッシャーが保持力によって前記窪みの前記内壁に対抗して固定されるように、前記弾性的に変形されたワッシャーを開放することを含み、
前記ワークピースは、
圧力センサを含む、アッセンブリプロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のアッセンブリプロセスであって、前記開放されたワッシャーが、前記窪みの内壁の第2の高さより高い第1の高さを有する封止要素を含み、前記窪みの内壁より軟らかい可鍛性の金属材料から構成される、アッセンブリプロセス。
【請求項3】
請求項1に記載のアッセンブリプロセスであって、弾性的に変形させることが、前記ワッシャーを、挿入ツールの円錐形状の表面を通って、前記窪みへ向かって押すことを含み、前記円錐形状の表面が、前記窪みの直径より小さな直径を規定し、且つ、前記窪みに近接して配置される第1の端部、および、前記ワッシャーを収容するのに十分な幅の第2の端部を有する、アッセンブリプロセス。
【請求項4】
請求項3に記載のアッセンブリプロセスであって、前記弾性的に変形されたワッシャーを開放することはさらに、前記ワッシャーが、前記挿入ツールの前記円錐形状の表面の前記第1の端部から延在する面取りと相互作用するように、前記ワッシャーを前記窪みへ押し込むことを含む、アッセンブリプロセス。
【請求項5】
請求項1に記載のアッセンブリプロセスであって、前記ワッシャーを弾性的に変形させることおよび押し込むことはさらに、100Nより低い力で、前記ワッシャーおよびワークピースを共に押すことを含む、アッセンブリプロセス。
【請求項6】
請求項1に記載のアッセンブリプロセスであって、前記ワッシャーが、半径方向のみに弾性的に変形される、アッセンブリプロセス。
【請求項7】
請求項1に記載のアッセンブリプロセスであって、前記ワッシャーが、前記センサのポートに結合可能な燃料レールの硬さより低い硬さを有する、アッセンブリプロセス。
【請求項8】
請求項
1に記載のアッセンブリプロセスであって、前記ワッシャーが、圧力センサの硬さより低い硬さを有する、アッセンブリプロセス。
【請求項9】
アッセンブリシステムであって、
最大の半径方向の寸法を有するワッシャーと、
前記ワッシャーを収容するように適合される端部を有するプランジャーと、
前記ワッシャーの前記最大の半径方向の寸法より小さな直径の窪みを含むワークピースと、
前記ワークピースに構成可能な挿入ツールであって、前記挿入ツールの円錐形の表面の第1の端部が前記窪みに近接して配置され、前記第1の端部が、前記窪み直径より小さいまたは前記窪み直径と等しい直径を規定するが、前記プランジャーの前記端部を収容するのに十分な幅であり、前記円錐形の表面が、前記ワッシャーの前記最大の半径方向の寸法を収容するのに十分な幅の第2の端部を有する、前記挿入ツールとを有し、
これにより、前記ワッシャーを前記挿入ツールを通って前記窪みへ押すことが、前記ツールの前記円錐形の表面による前記ワッシャーの半径方向の圧縮を介して、前記ワッシャーを弾性的に変形させる、アッセンブリシステム。
【請求項10】
請求項
9に記載のアッセンブリシステムであって、
前記挿入ツールがさらに、前記円錐形の表面の前記第2の端部から離れた前記第1の端部から延在する面取りを備えて構成され、前記面取りにより、前記弾性的に変形されたワッシャーが、前記窪みの内壁に係合するように膨張することが可能となる、アッセンブリシステム。
【請求項11】
請求項
10に記載のアッセンブリシステムであって、前記面取りが、前記弾性的に変形されたワッシャーの漸進的な膨張を可能にするように、角度を備えて構成される、アッセンブリシステム。
【請求項12】
請求項
9に記載のアッセンブリシステムであって、前記プランジャーの前記端部が、前記ワッシャーを受け取るためのノッチを含み、当該ノッチが、前記ワッシャーの半径方向の弾性変形を収容するのに十分小さなノッチ幅を有する、アッセンブリシステム。
【請求項13】
請求項
9に記載のアッセンブリシステムであって、さらに、前記ワークピースおよび前記プランジャーを共に押すためのプレスを含む、アッセンブリシステム。
【請求項14】
請求項
9に記載のアッセンブリシステムであって、前記プランジャーおよび前記挿入ツールは、ワークピースおよび前記ワッシャーのそれぞれの硬さより高い硬さを有する、アッセンブリシステム。
【請求項15】
請求項
9に記載のアッセンブリシステムであって、前記ワークピースが圧力センサを含む、アッセンブリシステム。
【請求項16】
請求項
10に記載のアッセンブリシステムであって、前記面取りが、前記弾性的に変形されたワッシャーの迅速な膨張を可能にするように、段付きの特徴を備えて構成される、アッセンブリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、異なるかたさの材料を含むワークピースへの金属パーツのアッセンブリに関し、より詳細には、高流圧封止構造のための製造のツールおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1Aにおいて部分的に示したような次世代燃料システム100は、排出規制に合致するために、それらの燃料レール102において、より高い燃料圧力(例えば、2100~2700バール)を利用する。高く加圧された流体システムは、接合された部材間の封止を要求する。これらの一層高い圧力に対応するために、燃料レール102のかたさなどの材料特性が変更される。概ね円筒形のボディおよび外部ねじ山を有する雄コネクタセンサポート106を備えて構成される、
図1Bにおける分解組立図に示したような高圧センサ104は、典型的に、燃料レール102の雌端108にねじ切り可能に接続される。従来、圧力センサポート106と燃料レール端部108との間の封止は、燃料レール108が、漏れ止めの封止がつくられるように変形された状態で、金属同士でなされる。燃料レール102のかたさの増加に起因して、燃料レール端部108の変形、および、圧力センサポート106と燃料レール102との間の関連の封止は、もはや保証されない。エラストマーまたはポリマー封止は、それらの浸透性および不十分な材料強度特性に起因して、このような用途に不適当である。変形性のくさび形状の封止縁部を備える軟質金属ガスケットは、典型的に費用が高く、ボルトに対してくさび型封止のための配置を提供するボルト孔を備える、金属シートのプレートから構成される特別な支持フレームを要し、それらの使用は、平坦なフランジ面を封止するのに限定され、圧力センサ104のポート106において形成され得るOリング溝などの溝に適合しない。
【0003】
それゆえ、必要とされるのは、燃料センサと一層高い材料かたさの燃料レールとの間など、高圧接続のための信頼できる封止構造である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書において説明される実施形態は、信頼できる高圧封止構造を形成するために、金属ワッシャーをワークピースに固定するためのアッセンブリプロセスおよび装置を提供する。ワークピース(例えば、燃料圧力センサ等)のポケット付きポートと、圧力センサが接合される、燃料レールなどのより高硬度の機械要素との間に金属ワッシャーの一部を置くことによって、堅牢な封止が確立され得る。説明される方法および機器は、圧力センサへのワッシャーの固定による一体化された封止を可能にし、燃料レールへの圧力センサの封止の信頼性を不確かなものにするワッシャーの塑性変形を伴わない。圧力センサの輸送の間ワッシャーが固定されているように、ワッシャーを圧力センサポートに組み込むことは、圧力センサを燃料レールに接続する直前にワッシャーが付加されることが必要とされる場合に起こり得る、センサポートの潜在的な破壊を防止する。
【0005】
1つの実施形態において、アッセンブリプロセスが提供される。当該プロセスにおいて、非円形(例えば、楕円、四角等)のワッシャー、および、ワッシャーの最大の半径方向の寸法より小さい内径を有する環状窪み(例えば、ポケットまたは溝等)を備えて構成されるワークピースが受け取られる。ワッシャーが、環状窪みの内径と等しいまたはそれよりも小さな直径を有する丸い形状になるように、ワッシャーは、環状窪み内へ押し込まれながら弾性的に変形される。一旦、弾性的に変形されたワッシャーが環状窪み内へ押されると、ワッシャーは解放される。開放の際、ワッシャーはその元の形状に膨張しようとするが、ワッシャーの膨張および窪みの壁との接触の結果として生じる保持力によって、環状窪みの内壁に対抗して固定される。
【0006】
1つの実施形態において、固定された膨張したワッシャーは、封止構造において或る要素を含み、固定されたワッシャーの高さは、環状窪みの内壁の高さより高い。ワッシャーは、圧力センサの環状窪みの内壁より軟らかい可鍛性の金属材料から構成され得る。ワッシャーは、圧力センサポートの環状窪みの付近に配置された挿入ツールの円錐(円錐台)形状の表面を通って、環状窪みに向かって押されることによって、弾性的に変形され得る。挿入ツールは、圧力センサの環状窪みの直径より小さい直径を規定する第1の端部、および、変形されていないワッシャーの最大の半径方向の寸法を収容するのに十分な幅の第2の端部を有する。
【0007】
別の実施形態において、弾性的に変形されたワッシャーは、開放されながら、さらに環状窪み内へ押し込まれ得る一方で、ワッシャーは、挿入ツールの円錐形状の表面の第1の端部から延在する、挿入ツールの面取りされた領域と相互作用する。面取りとの機械的相互作用により、開放されたワッシャーは、環状窪みの内壁に対して半径方向にゆっくりと膨張することが可能となる。開示される固定プロセスによって、ワッシャーは、塑性変形を何ら伴わずに、または、ほんのわずかな塑性変形で、半径方向のみに弾性的に変形され得る。
【0008】
弾性的に変形可能な非円形ワッシャーの変形および押し込みは、用途に必要とされる材料および寸法に応じて、150Nより低い、ことによると100Nより低い力によって、ワッシャーおよびワークピースを共に押すことによって達成され得る。ワッシャーは、好ましくは、ワークピース/圧力センサ、および、そこに接続される燃料レールより軟らかい材料から構成される。また、挿入ツールは、好ましくは、挿入ツールの摩耗を減少または防止するために、ワッシャーより高いかたさを有する材料から形成される。
【0009】
別の態様において、一体化された信頼できる高圧封止構造を形成するために、ワークピースアッセンブリシステムが、金属ワッシャーをワークピース(例えば、圧力センサ)に固定するために提供される。アッセンブリシステムは、ワークピースおよび下部プレス部材(すなわち、プランジャー)を共に押すように構成される機械プレスを備えて構成され得る。プランジャーは、非円形の弾性的に変形可能なワッシャーを収容するように適応される端部を有する。アッセンブリシステムはまた、ワッシャーの最大の半径方向の寸法より小さい直径の環状窪みを備えるポートを有するワークピースに適用可能な挿入ツールを含む。円錐台状の挿入ツールの円錐台状の表面が、(製造がおこなわれるときに)センサポートの環状窪みの付近に配置される第1の開放端に配置される。第1の開放端は、窪みの内壁の直径より小さいまたはそれと等しい直径を有するが、プランジャープレス部材の往復する先端を収容するのに十分な幅を有する。円錐台状の表面は、第1の開放端と同軸上に整合され、且つ、非円形(例えば、楕円形、四角等)ワッシャーの変形していない最大の半径方向の寸法を収容するのに十分な幅に寸法された、第2の開放端を有する。ワッシャーを、挿入ツールを用いてセンサポートの環状窪みに押す一方で、ワッシャーは、ツールの円錐台状の表面による半径方向の圧縮を介して丸い形状に弾性的に変形される。
【0010】
挿入ツールは、円錐台状の表面の第1の開放端から延在する面取りまたは段を備えて構成され得、これにより、弾性的に変形されたワッシャーは、圧力センサの窪みの内壁と係合するために、いったん第1の開放端を完全に横切ることによって解放されると、膨張することが可能となる。面取りは、弾性的に変形されたワッシャーの漸進的な膨張を可能にする角度を備えて構成されてよく、段は、より即時の膨張を引き起こすように構成されてよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、プランジャープレス部材の先端は、非円形ワッシャーを受け取るための環状のノッチを含む。ノッチは、ワッシャーの元の変形していない形状および弾性的に変形された形状において、いずれのワッシャー形状においてもワッシャー上に保持力を与えることなく、ワッシャーを収容するのに十分な幅を有するように寸法される。
【0012】
代替的な実施形態において、挿入ツールは、非円錐形の形状を有するワッシャーを変形させるための内部表面を有してもよいが、この内部表面は、ワッシャーを、その元の形状からワークピースの窪みに適切な形状に、半径方向に弾性的に変形させる。ワークピースの窪みへのワッシャーの非環状の(例えば、三角、または4つの辺を有する形状の)固定が、さらに一層大きな保持力を提供し得、すなわち、ワッシャーは、窪みの内壁における軸方向の溝へ部分的に膨張する。
【0013】
開示される実施形態の利点は、そうした実施形態が、高圧での効果的且つ信頼できる封止により、少ないパーツしか必要としない、改善された一体型の封止可能なコネクタを提供することである。ワッシャーは、例えばタイプAISI304ステンレス鋼から構成され得る。ワークピースは、高圧(例えば、おおよそ2700バール)で動作する燃料レールに対抗して封止される燃料圧力センサを含んでよい。
【0014】
概要、図面、および、詳細な説明が、本明細書において説明される発明の概念の範囲を限定しないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
前述およびその他の目的、特徴および利点が、添付の図面に図示されるような、実施形態の以下のより詳細な説明から明らかとなる。図面において、同様の参照文字は、概して、異なる図面を通して、同一の、または、構造的および/もしくは機能的に類似のパーツを示す。図面は、必ずしも一定の尺度で描かれておらず、実施形態の原則を図示することに重点が置かれている。
【0016】
【
図1A】開示される実施形態が有効であり得る、例示的なアプリケーション環境(高圧燃料レール感知)の図である。
【
図1B】開示される実施形態が有効であり得る、例示的な圧力センサの分解組立図である。
【0017】
【
図2】実施形態に従ったアッセンブリシステムの初期の構成の図である。
【0018】
【
図3】初期の弾性変形状態におけるアッセンブリシステムの例示的な実施形態の図である。
【0019】
【
図4A】さらなる弾性変形状態におけるアッセンブリシステムの例示的な実施形態の図である。
【
図4B】さらなる弾性変形状態におけるアッセンブリシステムの例示的な実施形態の図である。
【0020】
【
図5】変形したワッシャーの面取りされた開放を示す、アッセンブリシステムの例示的な実施形態の図である。
【
図5A】変形したワッシャーの面取りされた開放を示す、アッセンブリシステムの例示的な実施形態の図である。
【0021】
【
図6】ワークピースの窪み内の、保持された位置におけるワッシャーを示す、アッセンブリシステムの例示的な実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
一体化されたワッシャーの固定方法、ツールおよびシステムの実施形態の以下の詳細な説明は、実際には単に例示的なものであり、開示される実施形態の範囲、均等物、用途または原則を制限することを意図するものでない。実施形態に対する代替物が、本開示の範囲から逸脱することなく、考え出されてよい。新規性のある方法および装置の関連の詳細を不明瞭にしないように、実施形態と関連した技法のよく知られた要素は、詳細に説明されず、または、省略される。例えば、採用され得る機械プレスのタイプの際立った議論は、そのようなシステムが当業者に知られているので含まれていない。
【0023】
「例示的な(exemplary)」という語は、「実施例、例、または、実例として提供される」ことを意味するように本明細書において使用される。「例示的な」ものとして本明細書において説明されるいずれの実施形態も、必ずしも、他の実施形態に対して好ましいまたは有利であると解釈されるべきでない。同様に、「実施形態」という用語、および、そうした用語の各使用と関連した説明的な言い回しは、全ての実施形態が、動作の、説明される特徴、制限、利点、または、モードを含むことを必要としない。本明細書において使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにほかの場合を示さない限り、複数形も含むように意図される。「comprises」、「comprising」、「having」、「configured」、「includes」および/または「including」という語は、本明細書において使用される場合は、所定の特徴、ステップ、動作、要素、および/または、構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/または、それらの組み合わせの存在または追加を除外しない。さらに、「~に基づく(based on)」というフレーズは、他の場合が明確に述べられる場合を除いて、「少なくとも部分的に、~に基づく(based、at least in part、 on)」を意味するように意図される。また、「円錐形の(conical)」および「円錐台状の(frustoconical)」という用語は、異なる直径の、2つの開いた同軸方向に整合する対向する端部を含み、それらの間に傾斜面のある、円錐の錐台の形状を意味するように、以下の説明において互換可能に使用され得る。
【0024】
上述のように、および、
図2を参照すると、開示される実施形態は、弾性的に変形可能なワッシャー200を、ワークピース(例えば、圧力センサ206)のポート204のポケットまたは窪み202内へ一体的に固定するために使用される、封止構造アッセンブリ方法および機器に関連する。最終の組立てられた状態において、ワッシャー200は、ワッシャー200の外側の側壁210との機械的な接触において、ポート204の窪みの内壁208により提供される保持力によって保持される。
【0025】
開示されるアッセンブリ方法およびツールは、圧力センサ206と、
図1における燃料レール102などの燃料レールまたは任意の他の(例えば、ねじ切り可能に)係合可能な要素との間の信頼できる耐圧封止を必要とするアプリケーションにおいて、燃料など、高圧液体の感知の分野における用途を想定している。しかし、高真空用途など、試みの他の用途または技術分野が可能である。上述のように、燃料レールのかたさ要件が増すと、従来の封止技法は信頼できないものとなる。例えば、従来のシステムにおいて、センサポート材料は燃料レール材料より硬く、「シーリングノーズ(sealing nose)」(バイティングエッジ(biting edge))が、漏れ止めの封止をつくるために燃料レールに押しつけられていた。それゆえ、燃料レールのかたさと無関係の封止概念が開発され、この概念において、より弱い材料から成る金属層(弾性的に変形可能なワッシャー200)が、100Nより小さな機械プレス挿入力により、圧力センサ206(例えば、LFF4 M18 2700バール燃料圧力センサ)のポート窪み202内に一体的に固定される。その組立てられた固定位置におけるワッシャー200の露出された部分212は、センサポート204と燃料レール102との間にあり、それにより、信頼できる高圧封止構造が形成される。有利に、センサ206が輸送される間、ワッシャー200はポート窪み202にとどまる。供給者から顧客である自動車メーカーへの自動車部品の輸送はかなり一般的であり、顧客の施設での搭載が、典型的に、オートメーション化され得るブラインドオペレーションであるので、これは重要である。輸送後、ワッシャー200は、燃料レール102とセンサポート204との間に、それらの接合中に、よりクリーンな動作で押し込まれ、間違った数の(すなわち、0または多すぎる)ワッシャーまたは間違ったタイプのワッシャーがアッセンブリに装着されるリスクがない。
【0026】
いずれの構成要素も破壊しないやり方で、ワッシャー200に半径方向に弾性的に応力を加えて圧力センサポート204に固定するアッセンブリ方法が、そのようなアッセンブリのための例示的な製造ステップを示す
図2~
図6を参照して良好に理解される。
図2を参照すると、例示的な方法における第1のステップが、センサ206のポート204端部の周りに円錐台状の挿入ツール214を同心円状に搭載すること、および、当業者に知られたタイプの機械プレス218の上部プレス部材216においてセンサ206の他方の端部を搭載することを含んでよい。別の実施形態において、機械プレス218の上部プレス部材216は下方へ移動されてよく、挿入ツール214を支持するスプリング力に対抗してセンサポート204を押して、ポート204と挿入ツール214とワッシャー200との間に接続力を安定して配置および印加する。垂直方向に相互に移動可能であり、且つ、機械プレス218によって制御される個体金属シャフトから成る下部プレス部材(例えば、プランジャー222)が、搭載された圧力センサ206および挿入ツール214の下に同軸方向に整合される。弾性的に変形可能な非円形ワッシャー200は、初期に、プランジャー222の先端226におけるノッチ224に置かれる。
【0027】
プランジャーのノッチ224は、初期の非円形の変形していない形状のワッシャー200を収容するのに十分幅広の幅228、および、その半径方向に変形された丸い形状(後に示す)のワッシャー200の最小の半径方向の寸法より小さな環状の直径229を有する。ノッチは、ワッシャー200の高さ232より低い高さ230を有し、この高さはほとんど変化しない。というのも、ワッシャー200が、ワッシャー200を軸方向に変形させるのに十分な軸方向の圧縮力を受けないからである。ワッシャー200は、非円形の最大の半径方向の寸法234を有し、寸法234は、その変形していない状態において、圧力センサ206のポート204における環状窪み202の直径236より大きい。挿入ツール214は、プランジャー222と、変形していないワッシャー200の最大の半径方向の寸法234とを収容するため、ポート窪み202に近接して配置される第1の開放端242から第2の開放端244への先細の抜き勾配240を備えて内向きに(ツールの中心軸に向かって)傾斜する円錐台状の内面238を備えて構成される。プランジャー222は、環状窪みの直径236および第1の開放端242の直径246より小さな外径223を有する。第1の開放端242は直径246を有し、直径246は、環状窪みの直径236よりわずかに小さいが、プランジャー222と、弾性的に半径方向に変形された形状(例えば、丸)におけるワッシャー200とを収容するのに十分幅広である。抜き勾配240は、ワッシャー200の外壁210に対する、円錐形の表面238による半径方向の圧縮力の印加を漸進的にさせるように選択される。
【0028】
図3に示されるように、プランジャー222が、(典型的には100Nより小さいが、最大で150Nの力を用いて)垂直方向にワッシャー200およびセンサポート204を共に押すので、挿入ツール214の円錐台状の内面238は、ワッシャー200に接触し、ワッシャー200の外側の側壁210(および角)上に弾性的に変形させる力を作用させ、半径方向にワッシャー200を丸い形状に圧縮する。
図4Aおよび
図4Bに示されるように、プランジャー222がさらに挿入ツール214を通ってワッシャー200を押すので、ワッシャー200は、円錐形の内面238の抜き勾配240に応答してますます半径方向に圧縮される。ワッシャー200は、円錐台状の内面238の最も深く延在する部分である第1の開放端242で最大の変形を受ける。円錐形の内面238第1の開放端242の直径246が、環状窪みの直径236より小さいこと、および、直径236に対する第1の開放端の近位位置に起因して、変形されたワッシャー200が、第1の開放端242を通って押され、第1の開放端242によって丸い形状で解放されるとき、ワッシャー200は、窪みの内壁208と接触して、または、接触せずに、環状のポート窪み202によって受け取られる。厳しい公差およびわずかなミスアラインメントが接触を不可避とすることがあるが、ワッシャー200が挿入ツール214から解放されるまで、低い保持力が、初期に、ワッシャー200と窪みの内壁208との間に存在する。
図4Aは、部分的にポート窪み202に入るときの変形されたワッシャー200を示す。
【0029】
図5を参照すると、一旦、弾性的に変形されたワッシャー200が、挿入ツールの第1の開放端242を完全に通ってプランジャー222によって押し込まれると、開放端242によってワッシャー200に提供されていた半径方向の圧縮力は取り除かれ、ワッシャー200は開放される。その後、半径方向の膨張力が、ワッシャー200を、その変形していない形状(例えば、楕円形等)に半径方向に膨張させようとする。ワッシャー200が未だ窪みの内壁208と接触していない場合、ワッシャー200は、窪みの内壁208との接触に向けてわずかに膨張し得る。ワッシャー200が、挿入ツール214からの解放の際に既に窪みの内壁208に接触している場合、半径方向の膨張力は、窪みの内壁208からの保持力によって即座に対抗される。ワッシャー側壁210が窪みの内壁208に接触する場合、ワッシャー200の膨張は停止され、窪みの内壁208によって提供される保持力が窪みの直径236へのワッシャー膨張を制限することに起因して、ワッシャー200は一体的に固定される。この窪みの直径236は、元の変形していない形状におけるワッシャー200の最大の半径方向の寸法234より小さい。1つの実施例において、0.4および0.8の摩擦係数μを提供する鋼製窪みの壁と接触する300mgの鋼製に達成可能な31Nの保持力は、おおよそa=Fμ/m=(31N*0.4)/.0003kg=4133Gの、窪みからワッシャーを取り除くのに必要とされる理論的加速に等しい。
【0030】
窪みの内壁208の環状形状は、ワッシャー200が、多少その元の楕円形形状を回復または維持し、弾性的に変形された形状から、例えば、ことによると最大数十ミリメートルだけ膨張することが可能であってもよく、または、可能でなくてもよい。半径方向の力が、窪みの内壁208に接触するワッシャー200の外壁の一部に作用される。1つの代替的な実施形態において、窪み202の内壁208は、必ずしも実質的に平滑な円筒ではない。むしろ、内壁208の別の場合の平滑な連続面における不連続性(例えば、1つまたは複数の溝等)、または、窪み202全体に対する非環状形状によって、ポート204内で回転しないようにワッシャー200をさらに固定するために、ワッシャー200は、そのような不連続性に対してわずかにさらに膨張することができる。
【0031】
開放されたワッシャー200の膨張は迅速に生じることができ、ワッシャー200が挿入ツールの第1の開放端242から解放された直後、窪みの内壁208に向かって外側へスナップする。挿入ツールは、段付きの面取りを備え得て構成されてよく、この段付きの面取りにより、ワッシャー200が、窪みの内壁208の寸法によって規定された最大の形状に迅速に膨張することが可能となる。あるいは、第1の開放端242で始まり、且つ、センサポート204の接合面254に当接する挿入ツール214の表面252に向かって下方に半径方向に拡張する面取り250を備えた円錐台状の挿入ツール214を構成することによって、ワッシャーの膨張が漸進的に生じるように設計されてもよい。面取り250は、開放されたワッシャー200の外壁210と相互作用する、角度を付けられた表面256を有し、開放されたワッシャー200がさらにプランジャー222によってポート窪み202へ押されるように、開放されたワッシャー200が、漸進的に半径方向に膨張するのを可能にする。挿入ツールの面取り250に沿った、開放されたワッシャー200の膨張は、開放されたワッシャーの外壁210が、窪みの内壁208に面するときに停止する。
【0032】
図6は、開放されたワッシャー200が、ポート窪み202へ完全に挿入されて、ポート窪み202内の中心に置かれた後に、プランジャー222が後退することを示し、ここで、ワッシャー200は、保持力によって一体的に固定されている。また、挿入ツール214は、この時点で取り除かれてよい。センサアッセンブリが、(例えば、ねじ切り可能な係合により)燃料レール102に接合されたときに、突出するワッシャー領域212が、圧力センサ206と燃料レール102との間の封止構造内に変形可能な封止要素を形成するように、ポート窪み202から突出する露出されたワッシャー領域212は、ポート窪みの内壁208の高さ258より高い高さ232を有する。固定されたワッシャー200が、窪みの内壁208の形状に正確に一致することは必須ではなく、ポート窪み表面254があることのみが必須であり、センサ206が燃料レール102に接続されたとき、このポート窪み表面254に対抗して、固定されたワッシャー200の底壁260が封止構造を形成し得る。
【0033】
有利に、半径方向の弾性変形のみが、ワッシャー200によって示される。任意にワッシャー200を変形させるように設計された力は、ワッシャー200、円錐台状の挿入ツール214(抜き勾配240および面取り250を含む)、センサポート窪み202、および、プランジャー222に関するかたさおよび機械的プロファイルパラメータの関数である。ワッシャー200の材料およびかたさは、封止構造の設計圧力、寸法、適用に応じて変化し得るが、燃料レール102、圧力センサ206、および、挿入ツール214より軟らかい材料から形成される。例えば、ワッシャー200は、ステンレス鋼または合金鋼から構成されてよく、200HVロックウェル(Bスケール)より低いかたさを有することがある一方で、燃料レール102は約314HVの範囲のかたさを有し、ポートは、350HVの範囲のかたさを有する。これらのかたさ範囲の構成要素が、100Nより小さな押圧力によって、適切な弾性変形を達成し得ることが認められている。ワッシャーは、粗い縁(rough edge)を最小にする金属形成プロセス(例えば、ファインブランキング)によって形成されてよい。
【0034】
当業者は、開示される実施形態における多数の変形形態が、開示された発明に関する概念から逸脱することなく成されてよいことを容易に理解する。例えば、1つの実施形態において、非円形ワッシャー200は、三角、四角またはその他の形状を有してもよく、対応する三角、四角またはその他の形状のポート窪みによって受け取られるように圧縮されてもよい。別の実施形態において、挿入ツール214は、ワッシャーを半径方向に圧縮するように協働する複数の圧縮要素から構成されてもよい。
【0035】
本開示の多くの代替物および修正形態が、前述の記載を読んだ後、当業者に明らかになる。図によって図示および説明された特定の実施形態は、決して限定的なものと解釈されることを意図しないことを理解すべきである。本明細書において使用される要素、行為、または、命令は、そうであると明確に説明される場合を除いて、重要または必須のものと解釈されるべきでない。