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特許7285638燃料漏れを抑制するプロトン交換膜を有する燃料電池を含むシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】燃料漏れを抑制するプロトン交換膜を有する燃料電池を含むシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0258 20160101AFI20230526BHJP
   H01M 8/0271 20160101ALI20230526BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20230526BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20230526BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/0271
H01M8/04 Z
H01M8/10 101
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018230900
(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公開番号】P2019133916
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】1762071
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510132347
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ポワロ-クローヴェジエ ジャン-フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ロジーニ セバスチャン
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-508948(JP,A)
【文献】特開2006-179364(JP,A)
【文献】特開2006-127947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/04
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ案内プレート(5)と、
前記流れ案内プレートと向かい合う第1膜電極接合体であって、第1のマニホルド(592)から、前記流れ案内プレート前記第1膜電極接合体との間に配置された反応領域を通って第2のマニホルド(595)まで第1の流体を流すように構成された第1膜電極接合体(110)と、
前記流れ案内プレートと向かい合う、前記第1膜電極接合体と反対の第2膜電極接合体であって、第3のマニホルド(591)から、前記流れ案内プレートと前記第2膜電極接合体との間の別の反応領域を通って第4のマニホルド(596)まで第2の流体を流すように構成された第2膜電極接合体と、
前記流れ案内プレート(5)と前記第1膜電極接合体(110)との間に配置された周辺シール(517)と、
前記流れ案内プレート(5)と前記第1膜電極接合体(110)との間に配置された中間シールであって、前記周辺シール(517)によって囲われ、かつ前記反応領域(54)を囲う中間シール(518)と、
を備え、
前記第1のマニホルド、前記第2のマニホルド、前記第3のマニホルド及び前記第4のマニホルドは、前記中間シールによって囲われた領域内に設けられ、
第5のマニホルド(597)と第6のマニホルド(598)は、前記中間シールと前記周辺シールとの間の領域内に設けられ、
流体流れ回路(572,574)、第5のマニホルド(597)と第6のマニホルド(598)との間に配置され、前記中間シールと前記周辺シールとの間に設けられ、前記第5のマニホルド又は前記第6のマニホルドは、前記中間シール(518)により前記第1のマニホルド乃至前記第4のマニホルドと隔離されており、
前記流体流れ回路(572,574)内の前記第5のマニホルド(597)と前記第6のマニホルド(598)との間、流体を運ぶように構成されている、燃料電池(4)。
【請求項2】
前記第1膜電極接合体は、プロトン交換膜(113)を含
前記プロトン交換膜を横断し、前記中間シールと前記周辺シールとの間に配置された透水膜(117)を更に備える、
請求項に記載の燃料電池(4)。
【請求項3】
前記周辺シール(517)に対して垂直に配置され、前記流れ案内プレートと前記第2膜電極接合体との間に配置された別の周辺シール(537)と、
前記中間シール(518)に対して垂直に配置され、前記流れ案内プレートと前記第2膜電極接合体との間に配置された別の中間シール(538)であって、前記の周辺シールによって囲われ、かつ前記反応領域を囲う別の中間シールと、
前記別の周辺シールと前記別の中間シールとの間の領域に設けられた第7のマニホルド及び第8のマニホルドと、
前記第7のマニホルドと前記第8のマニホルドとの間に設けられた別の流体流れ回路と、を更に備え、
前記の流体流れ回路内において前記第7のマニホルドと前記第8のマニホルドとの間、流体を運ぶように構成されている、請求項1又は2に記載の燃料電池(4)。
【請求項4】
前記流体流れ回路内と前記の流体流れ回路内とは異なる流体を運ぶように構成されている、請求項に記載の燃料電池(4)。
【請求項5】
前記流体流れ回路は酸素枯渇エアーで満たされている、
請求項1~のいずれか一項に記載の燃料電池(4)。
【請求項6】
前記流体流れ回路はエアー及び水で満たされている、請求項1~のいずれか一項に記載の燃料電池(4)。
【請求項7】
前記流体流れ回路は前記反応領域(54)を横断する別の流れ回路と接続されている、
請求項1~のいずれか一項に記載の燃料電池(4)。
【請求項8】
前記流体流れ回路は、別個のマニホルドを接続する2つの別々の流れ領域を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の燃料電池(4)。
【請求項9】
前記流体流れ回路(572,574)内の前記第5のマニホルド(597)と第6のマニホルド(598)との間を、流体を運ぶように構成されたポンプ(6)を更に備える、
請求項1~のいずれか一項に記載の燃料電池(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気を生成するプロトン交換膜を有する燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
プロトン交換膜を有する燃料電池は300°C未満の動作温度で使用される。プロトン交換膜は固体電解質を形成する。低温用途では、一般に、リン酸を充填したペルフルオロスルホン化型又はポリベンズイミダゾール型の膜が使用される。
【0003】
特に、燃料電池は通常、連続的に導入される2つの反応物間で電気化学反応が発生する基本セルのスタックを含んでいる。燃料はアノードと接触させ、酸化剤はカソードに接触させる。
【0004】
反応は、2つの半反応(half-reaction)に細分化され、一方はアノード/膜界面で発生し、他方はカソード/膜界面で発生する。この半反応は、2つの電極と電子伝導体との間のイオン伝導体が存在する場合しか発生し得ない。
【0005】
これらの燃料は、一般にスタックを一端から他端まで横切る入口マニホルド及び出口マニホルドから、反応領域に接触させる。燃料は一般に、導電機能と、セルのスタックをクランプする力を伝達する機能も果たすバイポーラプレートの流路により、マニホルドとそれらの反応領域との間に案内される。各マニホルドは、燃料電池内を循環する各種燃料の混合を防止するシールで囲われている。各電池は、マニホルドから反応領域まで関連する燃料を導くようにシールを通じて注入する手段を備える。
【0006】
周辺シールは各バイポーラプレートの周囲に配置され、それによって、反応領域と流れマニホルドを含むセルの中央部分を囲んでいる。この周辺シールは各種流れ回路用の、かつ外部との相互シールを与えるものである。
【0007】
各種シールは完璧なシールを与えるものではない。とりわけ、少量の燃料が燃料電池から漏洩する場合が多い。したがって、低濃度の燃料が燃料電池に隣接した環境に残存したままとなる。燃料が二水素の場合、二水素は低粘度を呈するため、これらの漏れが更に助長される。燃料電池の近傍では、燃料、とりわけ二水素が存在することに関連するリスクを抑制するため、ほとんどの場合、換気装置が増設されている。しかし、燃料電池の一部の用途では、セルは収容される場合があり、あるいは換気装置は非常に高額であるし、技術的に不適合であることが明白な場合がある。
【0008】
特許文献1(JP2006/179364)には、漏れを検出し収容するための燃料電池設計が開示されており、それには、燃料電池の反応領域に隣接した近傍に反応領域シールを形成することが提案されている。反応領域シールは周辺シールにより囲われている。中間領域は周辺シールと反応領域シールとの間に設けられる。反対のマニホルドは中間領域に設けられている。各マニホルドは漏れからの流体を検出するプローブを備える。燃料電池は一方のプローブは他方より高くして配置されている。二水素はマニホルドの最も高い位置に配置されたプローブにより検出され、冷却水は、マニホルドの最も低い位置に配置されたプローブにより検出されることになる。とりわけ、これらの位置的制約のため、このような燃料電池は試験用の実験的な状況でしか使用することができない。
【0009】
特許文献2(US2006/110651)には、アノード反応領域の周囲に流れ回路が設けられた構造が開示されている。この周辺の流れ回路は、酸化剤入口マニホルド及び出口マニホルドに接続されているので、この周辺の流れ回路は、カソード反応領域を経由しない流れによって横切られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2006/179364号公報
【文献】米国特許出願公開第2006/110651号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような構造では、この周辺流れ回路に、反応領域を供給するものとは異なる流体を供給することはできないし、また漏れの内容物を分析するために流体を容易に回収することもできない。
【0012】
本発明はこれらの欠点のうち1つ以上を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に規定した燃料電池に関するものである。
【0014】
本発明はまた、従属請求項の変形例に関するものである。当業者は、独立請求項の特徴とは独立して、従属請求項の変形例の特徴又は明細書の特徴のそれぞれを組み合わせることができ、必ずしも中間的な一般化を形成するものではないことを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面を参照して非限定的な例証により提供される以下の説明から明らかになるであろう。
図1】燃料電池用の膜電極接合体及びバイポーラプレートのスタックの一例の分解斜視図である。
図2】シールを備えた本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池のバイポーラプレートのアノード面の図である。
図3】シールを備えた、本発明の第2の実施形態にかかる燃料電池のバイポーラプレートのアノード面の図である。
図4】本発明にかかる燃料電池用の流れ回路の様々な構成を模式的に示す。
図5】本発明にかかる燃料電池用の流れ回路の様々な構成を模式的に示す。
図6】本発明にかかる燃料電池用の流れ回路の様々な構成を模式的に示す。
図7】本発明にかかる燃料電池の一例の概略断面図である。
図8】第1の実施形態の燃料電池の変形例のアノード面の図である。
図9】第1の実施形態の燃料電池の別の変形例のアノード面の図である。
図10】中間領域近傍の燃料電池の様々な変形例の断面図である。
図11】中間領域近傍の燃料電池の様々な変形例の断面図である。
図12】中間領域近傍の燃料電池の様々な変形例の断面図である。
図13】中間領域近傍の燃料電池の様々な変形例の断面図である。
図14】中間領域近傍の燃料電池の様々な変形例の断面図である。
図15】中間領域近傍の燃料電池の様々な変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は燃料電池4のセル1のスタックの分解概略斜視図である。垂直はセル1のスタックを製造する方向を規定するものである。燃料電池4は複数の重畳セル1を含む。このセル1はプロトン交換膜又はポリマー電解質膜型である。
【0017】
燃料電池4は燃料源40を備える。本ケースの燃料源40は各セル1の入力部に二水素を供給する。燃料電池4はまた、酸化剤源42を備える。本ケースの酸化剤源42は各セル1の入力部にエアーを供給するものであり、このエアーの酸素は酸化剤として使用される。各セル1は排気流路も備える。1つ又は複数のセル1は反応領域を冷却する回路も有する。
【0018】
各セル1は膜電極接合体110、すなわち、MEA110を備える。膜電極接合体110は固体電解質113、カソード(図示せず)及びこの電解質の両面側に配置され、この電解質113に取り付けられたアノード111を含む。電解質層113はプロトン伝導を可能にしつつ、セルに存在するガスに対して不浸透性である膜を形成する。電解質層は電子がアノード111とカソードとの間を通過するのも防止する。電解質113は、例えば、ペルフルオロスルホン化の、リン酸をドープしたポリベンズイミダゾール(PBI)の膜又はプロトン伝導性アイオノマーで形成することができる。
【0019】
バイポーラプレート5は隣接するMEAの各対の間に配置されている。バイポーラプレート5はMEAの各面において反応物流れ案内部を形成する。本ケースの各バイポーラプレート5は、反対の外側面でアノード流路及びカソード流路を画定する。バイポーラプレート5はまた、有利なことに、連続する2つの膜電極接合体間の冷却剤流路を画定する。バイポーラプレート5はそれぞれ、それ自体既知の方法で、例えば、ステンレス鋼又はチタン合金、アルミニウム合金、ニッケル合金若しくはタンタル合金からなる2つの接合された導電性金属シートから形成することができる。そして、各シートはそれぞれの外側面を画定する。バイポーラプレート5はまた、任意の他の方法、例えば、炭素ポリマー複合材料からの成形又は射出によって得ることもできる。このようにして、バイポーラプレート5を単一のピースとして形成することもできる。そして、バイポーラプレート5の外側面はこのような単一のピース部分により画定される。各膜電極接合体110はまた、アノードとバイポーラプレートとの間に配置されたガス拡散層(図示せず)と、カソードと別のバイポーラプレートとの間に配置された別のガス拡散層と、を含むことができる。膜電極接合体110が、本明細書には示されてない補強材を含んでもよい。
【0020】
既知の方法では、燃料電池4が動作すると、エアーがMEA110とバイポーラプレート5との間を流れ、二水素がこのMEA110と別のバイポーラプレート5との間を流れる。バイポーラプレート5の特定の機能は、MEA110の両面の反応物の流れを案内することである。アノードでは、MEA110を横切るプロトンを生成するために二水素がイオン化される。この反応により生成された電子はバイポーラプレート5によって収集される。生成された電子は、その後、燃料電池4に接続された電荷に印加され、電流を形成する。カソードでは、酸素が還元され、プロトンと反応して、水を形成する。アノード及びカソードでの反応は、以下の通り、運用される。
アノードでは、
【数1】
カソードでは、
【数2】
【0021】
動作時、燃料電池4のセル1は通常、アノードとカソードとの間に約1Vの直流電圧を発生させる。
【0022】
酸化剤源42は通常は、セル1の入力部で所与の圧力で空気流を導入するコンプレッサを備える。このようなコンプレッサは、例えば、空気圧設定値又は流量設定値を受け取り、この空気圧又は流量は、コンプレッサの可変回転速度によって調整することができる。
【0023】
バイポーラプレート5及び膜電極接合体110のスタックは複数の流れマニホルドを形成するように意図されている。このため、それぞれの孔がバイポーラプレート5及び膜電極接合体110に設けられている。バイポーラプレート5及び膜電極接合体110の孔が互いに反対に配置され、様々な流れマニホルドを形成する。
【0024】
図2は、後述するシールを備えた、本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池4のバイポーラプレート5のアノード面の図である。燃料電池4は本図には示されていないバイポーラプレート5の反対に配置されたMEA110を備える。シールはMEA110に対して押し付けられている。図2は、その中間部分に配置された燃料を反応領域54に案内するように意図したバイポーラプレート5の外側面を示す。こうして燃料はバイポーラプレート5とMEA110との間の反応領域54に案内される。
【0025】
バイポーラプレート5は第1の長手方向端部の孔又はマニホルド591、592と、第2の長手方向端部の孔595、596とを備える。バイポーラプレート5は反応領域の第1の面の孔593と反応領域の第2の面の孔594を備える。孔593、594は実質的に孔591と孔596との中間に配置されている。孔591~596はそれぞれ、シール511~516によって囲われている。
【0026】
孔591は、例えば、燃料供給マニホルドを形成するのに使用され、孔596は、例えば、燃焼残渣及び未使用燃料を排出するマニホルドを形成するのに使用される。孔593は、例えば、反応領域54に対する冷却剤供給マニホルドを形成するのに使用され、孔594は、例えば、冷却剤排出マニホルドを形成するのに使用される。孔592は、例えば、酸化剤供給マニホルドを形成するのに使用され、孔595は、例えば、生成された水及び未使用酸化剤を排出するマニホルドを形成するのに使用される。冷却剤の流れ方向は点線矢印を用いて本図に模式的に示されている。反応物の流れ方向は破線矢印を用いて本図に模式的に示されている。したがって、冷却剤の流れは反応物の流れに実質的に垂直となる。
【0027】
本ケースのバイポーラプレート5は互いに固く接続された2枚のシートにより形成されており、図2がシート50の外側面を示している。燃料を反応領域54に案内するため、本ケースのバイポーラプレート5は、壁部541によって区切られた流路542を備える。燃料均質化領域52、55は、有利なことに、反応領域54の両面に設けられている。均質化領域52及び均質化領域55は、既知の方法で、それぞれ、マニホルド591を流路542と接続し、マニホルド596を流路542と接続する。
【0028】
中間シール518は反応領域54、均質化領域52、55及びマニホルド591,592,595、596を囲んでいる。こうしてマニホルド591とマニホルド596との間の燃料の流れは正常に、シール518によって封じ込められる。
【0029】
周辺シール517は、すべての孔又はマニホルド591~596及び中間シール518を囲んでいる。こうして、中間領域57がシール517とシール518との間に設けられる。本ケースのマニホルド593及びマニホルド594は中間領域57に設けられている。
【0030】
流れマニホルド597及び流れマニホルド598も中間領域57に設けられる。マニホルド597は流体を中間領域57に導入するよう意図されており、マニホルド598はこの流体を排出するように意図されている。マニホルド597からマニホルド598に移行するために、流体は中間領域57内に設けられた流れ回路を通過しなければならない。この流れ回路はとりわけ、シール518の境界を越えた燃料を回収できるように中間シール518に沿って延びている。燃料電池4は中間領域57の流れ回路を通ってマニホルド597とマニホルド598との間を流体を運ぶように構成されたポンプ6を更に含む。マニホルド597及びマニホルド598はシールで囲われてもよいし、囲われてなくてもよい。本発明によれば、マニホルド597を通って中間領域57に反応領域に供給する流体とは異なる流体を供給するか、あるいは中間領域57からの流体及びマニホルド598で回収された流体の内容物を容易に分析することができるように、マニホルド597、598の少なくとも1つは、シール518によりマニホルド591,592,595及び596から隔離されている。図示する例では、マニホルド597及びマニホルド598はともに、シール518により、マニホルド591,592,595及び596から隔離されている。
【0031】
図示する例では、バイポーラプレート5は実質的に長方形である。本ケースのシール517、518も本発明の簡略化した構成を説明するために長方形である。
【0032】
この構成では、マニホルド597、598は中間領域57の反対の隅に配置されている。本ケースのマニホルド597とマニホルド598との間の流れ回路はシール518の全周を囲んでおり、流体は流れ回路を通って流れるので、漏れの箇所にかかわらず、燃料を回収することができる。本ケースの流れ回路はバイポーラプレート5の幅方向に延びる壁部571により区切られた流路572を含む。流れ回路は、バイポーラプレート5の長手方向に延びた壁部573により区切られた流路574も含む。流路572及び574は、流体の流れを、中間領域57全域わたって促進することが可能であり、漏れた燃料がこの中間領域57の各領域に累積するのを防止することができる。
【0033】
したがって、マニホルド597、598間を循環する流体は反応領域54から漏れてしまった燃料を運ぶことができ、燃料電池4の近傍への集中を防止することができる。エアー、中性ガス又は液体などの流体の循環は燃料を運ぶように考慮され得る。特にエアーについては、混合物の非爆発性、すなわち水素濃度4%未満を保証するようにエアー流量が選択される。マニホルド597、598間を循環する冷却剤の使用は、燃料漏れの回収時、発火リスクを抑制することができる。
【0034】
図3は後述するシールを備えた、本発明の第2の実施形態にかかる燃料電池4のバイポーラプレート5のアノード面の図である。燃料電池4は本図には示されていないバイポーラプレート5の反対に配置されたMEA110を含む。シールはMEA110に対して押し付けられている。図3は燃料を、中間部分に配置された反応領域54に案内するように意図されたバイポーラプレート5の外側面を示す。こうして燃料はバイポーラプレート5とMEA110との間の反応領域54に案内される。
【0035】
バイポーラプレート5は第1の長手方向端部における孔591~593と、第2の長手方向端部における孔594~596とを備える。孔591~596はそれぞれ、シール511~516によって囲われている。孔591~596は第1の実施形態と同一の機能を有する。冷却剤の流れ方向は本図では、点線矢印により概略的に示されている。反応物の流れ方向は本図では、破線矢印により概略的に示されている。したがって、冷却剤の流れは反応物の流れに実質的に平行となる。
【0036】
本ケースのバイポーラプレート5は互いに堅く接続された2枚のシートによって形成されており、図2はシート50の外側面を示す。燃料を反応領域54に案内するために、本ケースのバイポーラプレート5は壁部541により区切られた流路542を含む。燃料均質化領域52及び55は、有利にも、反応領域54の両面に設けられている。均質化領域52、55はそれぞれ、既知の方法でマニホルド591を流路542に、マニホルド596を流路542に接続する。
【0037】
中間シール518は反応領域54、均質化領域52、55及びマニホルド591~596を囲んでいる。したがって、マニホルド591、596間の燃料の流れは通常、シール518により封じ込められている。周辺シール517は中間シール518を囲んでいる。したがって中間領域57はシール517、518間に設けられている。
【0038】
流れマニホルド597、598は中間領域57に設けられている。マニホルド597は流体を中間領域57に導入するよう意図されており、マニホルド598はこの流体を排出するように意図されている。マニホルド597からマニホルド598に移行させるため、流体は中間領域57に設けられた流れ回路を通過しなければならない。この流れ回路は、シール518の境界を越えてしまった燃料を回収できるように、とりわけ中間シール518に沿って延びている。燃料電池4は中間領域57の流れ回路を通ってマニホルド597とマニホルド598との間に流体を運ぶように構成されたポンプ6を更に含む。マニホルド597、598はシールで囲われてもよいし、囲われていなくてもよい。
【0039】
図示する例では、バイポーラプレート5は実質的に長方形である。本ケースのシール517、518も、本発明の簡略化した構成を説明するために長方形である。
【0040】
この構成では、マニホルド597、598は中間領域57の反対の隅に配置されている。本ケースのマニホルド597、598間の流れ回路は、シール518の全周を囲んでいるので、流れ回路を通って流れる流体は、漏れの箇所にかかわらず、燃料を回収することができる。本ケースの流れ回路は、バイポーラプレート5の幅方向を延びた壁部571により区切られた流路572を含む。流れ回路は、バイポーラプレート5の長手方向に延びた壁部573により区切られた流路574も含む。流路572、574は、流体の流れを、中間領域57全域に促すことができるようにし、漏れた燃料がこの中間領域57の各領域に累積するのを防止することができる。
【0041】
したがって、マニホルド597、598間を循環する流体は反応領域54から漏れてしまった燃料を運ぶことが可能になり、燃料電池4の近傍への集中を防止することができる。エアー、中性ガス又は液体などの流体の循環は燃料を運ぶために考慮され得る。
【0042】
各種実施形態の中間領域57内を循環する流体は燃料電池4の他の流体(反応物及び冷却剤)と隔離された専用の流体であってもよいし、別の流体を循環する回路に接続されていてもよい。例えば、中間領域57を循環する流体はまた、反応領域54に対して垂直に循環する冷却剤であることが想定され得る。中間領域57を循環する流体は酸化剤、例えばカソード面の近傍を循環するエアーであることが想定され得る。
【0043】
図4図6は、反応領域54に対して垂直にバイポーラプレート5を通過する別の流体流れ回路に接続された、中間領域57内の流れ回路の様々な構成を模式的に示す。
【0044】
図4の構成では、ポンプ6の出力は、一方でマニホルド592に、他方でマニホルド597に接続されている。マニホルド598はマニホルド592と反応領域54との間でマニホルド592の下流に接続されている。中間領域57を横断する流体の内容物の分析はマニホルド598で行うことができる。ポンプ6の入力はマニホルド595に接続されている。その後、エアーは、中間領域57に導入され、この反応領域54の上流に再導入されように反応領域54に入る前に採取される。
【0045】
図5の構成では、ポンプ6の出力はマニホルド592に接続されている。マニホルド595はマニホルド597に接続されている。マニホルド598はポンプ6の入力に接続されている。したがってエアーが中間領域57を横断するように、反応領域54の出力で採取される。したがって中間領域57を横断する流体はアノード及びカソード反応領域に供給する流体とは異なる。
【0046】
図6の構成では、ポンプ6の出力はマニホルド592に接続されている。マニホルド597は反応領域54とマニホルド595との間でマニホルド595の上流に接続されている。したがって中間領域57を横断する流体はアノード及びカソード反応領域に供給する流体とは異なる。ポンプ6の入力は一方でマニホルド595に、他方でマニホルド598に接続されている。
【0047】
マニホルド597に導入されるエアーは事前に加湿器又は相分離器を横切ってもよい。
【0048】
同様の構成は、マニホルド592をマニホルド593と交換することによって、かつマニホルド595をマニホルド594と交換することによってエアーの代わりに冷却剤用の回路を有するこれらの様々な変形例に対しても想定することができる。
【0049】
反応領域54の出力で採取されたエアーは低濃度の酸素しか含まず、二水素の漏洩時の燃焼リスクを抑制するので、図5及び図6の構成は、中間領域57の流れ回路内の流体としてエアーが使用されるのに特に有利であることが分かる。したがって、カソード反応領域の酸化剤供給の流体とは異なる流体を循環させることができることは、酸素が枯渇するので有利であることが分かる。
【0050】
図7は本発明にかかる燃料電池4の一例の概略断面図である。この場合、セル1のスタックには、燃料を供給するマニホルド592が横断し、燃焼残渣を排出するマニホルド595が横断する。この場合、セル1のスタックには、マニホルド597、598が横断する。電池4はスタックの両側に配置されたクランププレート71、72を更に含む。クランププレート71、72は、既知の方法で、スタックの方向にスタックに圧縮力を印加するのに使用される。クランププレート71、72は図6を参照して図示する流れ構成を得るように意図したパイプを更に含む。
【0051】
クランププレート71は、燃料供給入力70をマニホルド592と接続する貫通孔711と、
燃焼残渣出力74をマニホルド598と接続する貫通孔715と、マニホルド595に接続された孔712と、マニホルド597に接続された孔713であって、当該孔713は孔712に接続されているので、マニホルド595からの燃焼残渣はマニホルド597に導入され得る孔713と、孔712と孔715を接続する孔714を含む。孔712から孔713への流れを促進するため、孔714は孔712と孔715との間の負荷損失(load loss)を形成するよう意図される。負荷損失は、例えば、孔714の内部にバフルを製作することによって得られる。この負荷損失の値は、マニホルド595から出る流れの一部を各セルの中間領域57内で循環させなければならないが、マニホルド595から出る残りの流れは孔714及び孔715を通って出力75に向かって流れる。本実施例では、マニホルド597、598を通過する流体は事前にアノード反応領域を通過しているので、マニホルド597及びマニホルド598を通過する流体はマニホルド592を供給する流体とは異なる。
【0052】
パイプ711~715は、既知の方法で、クランププレート71を機械加工又は成形することによって製造することができる。
【0053】
電池4は本図では電気化学セル1のスタックの断面図として図示されている。特定の流れ回路の図の簡略化のため、流れマニホルド592は、本図では、電池4の周囲に図示されているが、実際は、その中間領域に配置されている。
【0054】
複数のスタックに共通のシリンダヘッドにおいて作製された各種マニホルドの接続も想定され得る。
【0055】
図8は、後述するシールを備えた第1の実施形態の燃料電池の変形例のアノード面の図である。燃料電池4はバイポーラプレート5の反対に配置されたMEA110を含み、本図には示されていない。シールはMEA110に対して押し付けられている。図8は燃料をその中間部分に位置する反応領域54に案内するよう意図されたバイポーラプレート5の外面を示す。したがって、燃料は、壁部541により区切られた流路542によってバイポーラプレート5とMEA110との間の反応領域54に案内される。燃料均質化領域52及び55は、有利なことに、反応領域54の両側に設けられている。
【0056】
バイポーラプレート5は図2の実施例と同じ位置及び同じ機能を想定した孔又はマニホルド591~596を含む。孔591~596はそれぞれ、シール511~516によって囲われている。均質化領域52及び55はそれぞれ、マニホルド591を流路542と、マニホルド596を流路542と、既知の方法で接続する。
【0057】
中間シール518及び周辺シール517は図2の実施例と実質的に同じ構成である。したがって、中間領域57はシール517とシール518との間に区切られている。
【0058】
この変形例では、複数の別々の流れ回路が中間領域57に設けられている。このため、燃料電池4はマニホルド593の両側に配置された2つのマニホルド597を含む。燃料電池4はまた、マニホルド594の両側に配置された2つのマニホルド598を含む。こうして第1の流れ回路は、マニホルド591及び592を経由せずにマニホルド597及びマニホルド598と接続する。第2の流れ回路はマニホルド595及び596を経由せずに、別のマニホルド597及び別のマニホルド598と接続する。本ケースの第1の及び第2の流れ回路はバイポーラプレート5の幅方向に延びた壁部571により区切られた2つの流路572を含む。第1及び第2の流れ回路はまた、バイポーラプレート5の長さ方向に延びた壁部573により区切られた流路574を含む。流路572及び574は流体の流れを中間領域57全域にわたって促進することができ、漏洩燃料がこの中間領域57の領域に蓄積するのを防止することができる。流れマニホルド597及び流れマニホルド598はシール518によってマニホルド591,592,595及び596と隔離されている。
【0059】
図9は、後述するシールを備えた、第1の実施形態の燃料電池4の別の変形例のアノード面の図である。燃料電池4はバイポーラプレート5の反対に配置されたMEA110を含み、本図では図示されていない。シールはMEA110に対して押し付けられている。図9はその中間部分に配置された反応領域54に燃料を案内するように意図されたバイポーラプレート5の外側面を示す。燃料はこうして、壁部541により区切られた流路542によってバイポーラプレート5とMEA110との間の反応領域54に案内される。燃料均質化領域52、55は、有利なことに、反応領域54の両側に設けられている。
【0060】
バイポーラプレート5は図2の実施例と同じ位置及び同じ機能を想定した孔又はマニホルド591~596を含む。孔591~596はそれぞれ、シール511~516によって囲われている。均質化領域52、55はそれぞれ、マニホルド591を流路542と、マニホルド596を流路542と、既知の方法で接続する。
【0061】
中間シール518及び周辺シール517は、図2の実施例と実質的に同じ構成である。したがって、中間領域57はシール517とシール518との間に区切られている。
【0062】
この変形例では、複数の流れ回路が中間領域57に設けられている。このため、燃料電池4はマニホルド593の近傍に配置されたマニホルド597を含む。燃料電池4はまた、マニホルド594の近傍に配置されたマニホルド598を含む。したがって、第1の流れ回路はマニホルド591及び592を経由せずにマニホルド597及びマニホルド598と接続する。第2の流れ回路はマニホルド595及び596を経由せずに、マニホルド597及びマニホルド598と接続する。
【0063】
本ケースの第1の及び第2の流れ回路はバイポーラプレート5の幅方向に延びた壁部571により区切られた流路572を含む。第1の及び第2の流れ回路はまた、バイポーラプレート5の長さ方向に延びた壁部573により区切られた流路574を含む。流路572、574は流体の流れを中間領域57全域にわたって促進することが可能であり、漏れた燃料がこの中間領域57の領域に累積するのを防止することができる。流れマニホルド597、598はシール518によってマニホルド591,592,595及び596と隔離されている。
【0064】
流れ回路に導入される流体が出力マニホルド594から生じる場合、有利なことに、シール518の周りに比較的高いレベルで良好な温度均一性を維持することができるのは、それが反応領域54の温度に実質的に相当するからである。更に、伝熱流体の使用が示されている。流れ回路57に導入される流体はエアー、特に枯渇したエアーであってもよい。
【0065】
燃料電池は、反応領域54からの特定の流体の漏れを回収するために、重畳周辺流れ回路を含むことができる。これらの各種流れ回路は同じ流体によっても異なる流体によっても横断することができる。重畳流れ回路が異なる流体によって横断される場合、これらの異なる流れ回路はそれぞれ入口及び出口マニホルド又は噴射器(injector)を有することになる。
【0066】
図10は中間領域57の近傍の燃料電池の横断面図である。この構成では、中間領域57は燃料流路542からの漏れを回収するようにだけ意図されている。周辺シール537は、バイポーラプレート5の反対の外側面において、周辺シール517に対して垂直に配置される(又は別の定義によれば、周辺シール537及び517はスタックの方向に重ね合わされている)。シール517及びシール537は、一方で膜113によって隔離され、他方では、バイポーラプレート5によって隔離される。中間シール538は、バイポーラプレート5の反対の外側面において、中間シール518に対して垂直に配置される(又は別の定義によれば、周辺シール538及び518はスタックの方向に重ね合わされている)。シール518及びシール538は、一方では、膜113によって隔離され、他方では、バイポーラプレート5によって隔離されている。中間領域57では、流れ回路は、シール517とシール518との間に画定され、シート51とシール52との間の流れ及びシール537とシール538との間の流れは遮断される。
【0067】
図示する例では、膜電極接合体110はそれぞれのバイポーラプレート5と接触したガス拡散層115及び116を含む。図示する例では、バイポーラプレート5は互いに重ね合わされ、かつしっかりと接続された2枚のシート50、52をそれぞれ含む。
【0068】
図11は、図10の構成の変形例である。この変形例では、膜113はシール518及びシール538で断続されている。シール517は2つの隣接するバイポーラプレート間に延びている。本ケースの中間領域57に設けられた流れ回路は、水素流路542からの漏れとエアー流路543からの漏れの両方を回収するように意図されている。
【0069】
図12図10の構成の変形例である。この変形例では、流路576は流路572の反対でバイポーラプレート5と膜113との間に設けられている。流路576は特にシート52の壁部575によって区切られている。流路576は流路572によって形成された流れ回路に対して垂直に配置された流れ回路を形成する。この流れ回路は流路543からの酸化剤の漏れを受け入れるように意図されている。この流れ回路は流体を循環するように意図されたポンプと接続され、それは流路572内を循環させるポンプと同一とすることができる。このような構成は、例えば、酸化剤が純粋な二酸素である場合に、有利であることが分かる。この構成により、反応領域54から生じうる酸化剤の漏れと、他の流体の漏れの独立した回収が可能になる。
【0070】
図13図12の構成の変形例である。この変形例では、流路576は流路572より深い。更に、シート52はシール518及びシール538で遮られている。この構成により、酸化剤流路543からの漏れと、冷却剤流路544からの漏れの両方を回収することができる。この構成により、反応領域54から生じうる酸化剤の漏れ及び他の流体の漏れの独立した回収が可能になる。
【0071】
図14図12の構成の変形例である。この変形例では、流路578はシート51とシート52との間の中間領域57に設けられ、流路544からの冷却剤の漏れを回収する。この構成では、反応領域54に流れ込む各種流体の漏れを独立して回収することができる。
【0072】
図5及び図6に示す構成では、中間領域57内の流れ回路は反応領域54の出力部でのエアーを回収することを想定することが可能である。このようなケースでは、このエアーは液体及び/又は気体水で充満されているであろう。図12図14の構成のうち1つの例を用いて、膜を中間領域57において透水性として、反応領域54に意図されたマニホルド592内に導入されるように意図された酸化剤の流路576内の流れと、マニホルド595を介した反応領域54からの燃焼残渣の流路572の流れと、を分離することができる。
【0073】
こうして反応領域54の出力部における水で充満されたエアーは、セルの外部に付加的設備を追加する必要なく、反応領域54に入るように意図された酸化剤エアーを加湿するのに使用することができる。
【0074】
図15は中間領域57の近傍の膜113に配置された透水要素又は膜117の実施形態を示す。例えば、流路572に入る酸化剤の流れ及び流路576内の燃焼残渣の流れのような他の流れ構成も想定することができる。したがって、流路572及び576を流れる流体は、例えば、別々のマニホルドを用いて異なるようにすることができる。
【0075】
また本発明は、反応領域からの漏れから生じる冷却剤を回収し、循環させるための、バイポーラプレート5の内部に設けられた周辺流体流れ回路に適用可能である。そして周辺流体流れ回路は、バイポーラプレート5の2枚のシートの間に設けられる。
【0076】
また本発明は、反応領域からの漏れから生じる酸化剤を回収し、それを循環させるための、バイポーラプレート5の別の外側面に設けられた周辺流体流れ回路に適用可能である。そして、周辺流体流れ回路はバイポーラプレート5のこの他の外側面と別の膜電極接合体との間に設けられている。
【0077】
本発明は、これまで二水素燃料が供給される燃料電池について記載してきた。もちろん、本発明はまた、他の種類の燃料、例えば、メタノールを用いた燃料電池にも適用可能である。
【0078】
前述した様々なシールは、任意の好適な種類、例えば、フラットシール、Oリング、スクリーン印刷シール又は燃料電池4の組立前にバイポーラプレート5上に配置されたシールであってもよい。
【0079】
前述の例では、中間領域内の流体の流れはポンプ6により生成される。しかし、この中間領域の出口における流体圧力より大きい中間領域の入口における流体圧力を維持することによってこのような流れを得ることも想定することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15