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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】嵌合具および嵌合具付き袋体
(51)【国際特許分類】
   A44B 19/16 20060101AFI20230526BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20230526BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
A44B19/16
B65D33/00 C
B65D33/25 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018241452
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2020099602
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】尾池 隆行
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-201369(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0077154(KR,A)
【文献】特開2011-121615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 19/16
B65D 33/00
B65D 33/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の第1基材に長手方向に沿って設けられた第1嵌合部を備える第1嵌合部材と、
帯状の第2基材に長手方向に沿って設けられ、前記第1嵌合部と着脱自在に嵌合する第2嵌合部を備える第2嵌合部材と、
前記第1基材および前記第2基材に、前記第1嵌合部または前記第2嵌合部と並行して設けられた易カット部と、
前記易カット部と前記第1嵌合部または前記第2嵌合部との間に形成される接続部と、を備え、
前記易カット部は、前記基材の厚さ方向に突出する一つの凸条と、前記凸条と短手方向に離間することなく連続するように隣接する一つの凹溝とにより構成され、且つ、前記凸条と前記凹溝との間には、前記第1基材における前記第2基材と対向する対向面と面一となる平坦な領域を有さず、前記凸条と前記凹溝との間の距離がゼロであり、
前記易カット部は外力により前記凹溝に沿って切断可能に構成されている嵌合具。
【請求項2】
前記接続部に隣接して前記凹溝が設けられている
請求項1に記載の嵌合具。
【請求項3】
内容物を収容する収容部を備える袋本体と、
前記袋本体の内面の開口部近傍に取り付けられた請求項1または請求項2に記載の嵌合具と、を備え、
前記易カット部が前記袋本体の開口部側に設けられ、前記前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部が前記収容部側に設けられている嵌合具付き袋体。
【請求項4】
前記凸条が前記袋本体の前記開口部側に設けられ、
前記凹溝が前記収容部側に設けられている
請求項3に記載の嵌合具付き袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合具および嵌合具付き袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、薬品、雑貨等の様々な分野において、袋体の開口部近傍の内面に、開口部を開閉自在に封じる嵌合具が取り付けられた嵌合具付き袋体が広く用いられている。嵌合具としては、互いに着脱自在に嵌合する第1嵌合部と第2嵌合部とが、帯状の一対の基材の長手方向に沿ってそれぞれ設けられ、一対の基材を対向配置して嵌合させる例が挙げられる。例えば、第1嵌合部及び第2嵌合部がいずれも、並行する複数の雄爪部を有し、互いの雄爪部の頭部を対向する2つの雄爪部の間に挿入して互いに引っ掛けて嵌合する着脱可能な嵌合具が知られている。
【0003】
このような嵌合具付き袋体では、嵌合具の第1嵌合部と第2嵌合部とを嵌合させることにより、袋体に形成した開口部を閉じることができる。また、嵌合具が取り付けられた袋本体の各々の開口端をそれぞれ把持し、それらを離間する方向に引っ張り、第1嵌合部と第2嵌合部との嵌合を解除することで、袋体を再び開封することができる。このように嵌合具付き袋体は、繰り返し袋体の開閉が行える。
【0004】
一方、例えば、防湿性、防酸素性が要求される食品、薬品、雑貨の包装に使用される嵌合具付き袋体では、商品の物流、販売時に密封状態を保持するため、袋体の嵌合具よりも外方の開口端を封止し、商品の消費時に開封し、その後、嵌合具により袋体の開閉を行う嵌合具付き袋体が用いられている。このような嵌合具付き袋体では、袋体を容易に切り裂ける易カット性樹脂部を設けた袋体が知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。具体的には、嵌合具と袋体の開口端の封止部との間に易カット性樹脂部を設け、袋体の端部に形成したノッチから易カット性樹脂部を引き裂くことにより、袋体の開口端部を容易に切断して嵌合具付き袋体を開封可能に構成している。易カット性機能およびノッチを備える嵌合具付き袋体は、直線的に開口端部を切断可能であり、かつ、切断時に切断線が逸れて嵌合具が破損すること等を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-244027号公報
【文献】特開2012-201369号公報
【文献】国際公開第2011/070996号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1から特許文献3に記載の袋体は、易カット性機能を備える樹脂部および嵌合具を樹脂フィルムに形成し、樹脂フィルムの縁端部を熱溶着して袋体を形成した後、袋体の端部を切込んでノッチを形成する。そのため、ノッチの位置が易カット性機能を備える樹脂部からずれると、円滑な切断の妨げとなる。そのため、易カット性機能を備える樹脂部とノッチとの位置合わせの精度を高める必要があった。
また、易カット性樹脂部は、切断方向に細かく断裁され易い構成であるため、引き裂いた後、切断面付近の樹脂が糸状に分離し、糸状屑が発生し易いという課題があった。また、特許文献2および特許文献3の袋体では、易カット性樹脂部を引き裂いた際、切断面付近の樹脂が引き延ばされて毛羽立つことがあった。このように切断面に糸状屑や毛羽立ちが発生すると、見栄えが低下し、また、袋体に収容されている内容物を取り出す際に糸状屑や毛羽立ちが邪魔となる。特に、嵌合具付き袋体は、繰り返し開閉して使用するため、一般に長期間使用することが想定されており、糸状屑や毛羽立ちのない袋体が求められていた。
【0007】
本発明は、易カット部に沿って容易に引き裂くことが可能であり、かつ、引き裂いた後に美麗な切断面を形成可能な嵌合具、および嵌合具付き袋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成を有する。
[1]帯状の第1基材に長手方向に沿って設けられた第1嵌合部を備える第1嵌合部材と、
帯状の第2基材に長手方向に沿って設けられ、前記第1嵌合部と着脱自在に嵌合する第2嵌合部を備える第2嵌合部材と、
前記第1基材および前記第2基材に、前記第1嵌合部または前記第2嵌合部と並行して設けられた易カット部と、
前記易カット部と前記第1嵌合部または前記第2嵌合部との間に形成される接続部と、を備え、
前記易カット部は、前記基材の厚さ方向に突出する一つの凸条と、前記凸条と短手方向に離間することなく連続するように隣接する一つの凹溝とにより構成され、且つ、前記凸条と前記凹溝との間には、前記第1基材における前記第2基材と対向する対向面と面一となる平坦な領域を有さず、前記凸条と前記凹溝との間の距離がゼロであり、
前記易カット部は外力により前記凹溝に沿って切断可能に構成されている嵌合具。
[2]前記接続部に隣接して前記凹溝が設けられている、[1]に記載の嵌合具。
[3]内容物を収容する収容部を備える袋本体と、
前記袋本体の内面の開口部近傍に取り付けられた[1]または[2]に記載の嵌合具と、を備え、
前記易カット部が前記袋本体の開口部側に設けられ、前記前記第1嵌合部材及び前記第2嵌合部材が前記収容部側に設けられている嵌合具付き袋体。
[4]前記凸条が前記袋本体の前記開口部側に設けられ、
前記凹溝が前記収容部側に設けられている前記[3]に記載の嵌合具付き袋体。
【発明の効果】
【0009】
易カット部に沿って容易に引き裂くことが可能であり、かつ、引き裂いた後に美麗な切断面を形成可能な嵌合具、および嵌合具付き袋体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る嵌合具を示した斜視図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る嵌合具が嵌合した状態における断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る嵌合具付き袋体の正面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る嵌合具付き袋体の斜視図である。
図6図4のB-B断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る嵌合具の第一変形例を示した断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る嵌合具の第二変形例を示した断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る嵌合具の第三変形例を示した断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る嵌合具の第四変形例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[嵌合具]
以下、本発明の一実施形態に係る嵌合具を図1から図3を参照して説明する。
本実施形態に係る嵌合具10は、図1図3に示すように、一対の帯状の第1嵌合部材12及び第2嵌合部材14と、易カット部13と、接続部15と、を備えている。易カット部13および接続部15は、第1嵌合部材12及び第2嵌合部材14にそれぞれ設けられている。嵌合具10は、第1嵌合部材12の第1嵌合部18と、第2嵌合部材14の第2嵌合部22とが対向配置されて着脱自在に嵌合するように構成されている。嵌合具10は、後述する嵌合具付き袋体の開口部に設けられて使用される。
【0012】
(第1嵌合部材)
第1嵌合部材12は、帯状の第1基材16と、第1嵌合部18と、易カット部13と、接続部15と、を有する。第1嵌合部18は、例えば、第1基材16に長手方向に沿って延設されている。
【0013】
第1基材16としては、特に限定されず、公知の嵌合具の基材に使用されるものが使用できる。例えば、エチレン系重合体及びプロピレン系重合体等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。第1基材16は、積層フィルムからなる基材が好ましい。積層フィルムとしては、例えば、第2基材20と対向する対向面16a側から、耐熱層とヒートシール層が積層されたフィルムが挙げられる。また、第1基材16は、耐熱層とヒートシール層の間にバリア層を有していてもよい。
【0014】
耐熱層の材料としては、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリプロピレン等が挙げられる。
ヒートシール層の材料としては、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等が挙げられる。
バリア層の材料としては、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0015】
第1基材16は、1種の樹脂から構成されていてもよく、2種以上の樹脂を含む樹脂組成物から構成されていてもよい。また、必要に応じて安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤等の公知の添加剤が添加されていてもよい。
第1基材16は、積層フィルムからなる基材には限定されず、単層フィルムからなる基材であってもよい。
【0016】
第1基材16および第2基材20は、易カット性を有する樹脂で形成してもよい。易カット性機能を有する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂組成物が使用される。ポリオレフィン系樹脂組成物を構成する結晶性ポリオレフィン樹脂としては、エチレン系重合体及びプロピレン系重合体が挙げられる。エチレン系重合体としては、特に制限はなく、エチレン単独重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸系共重合体及びその金属塩との共重合体等があげられる。また、プロピレン系重合体としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンや炭素数4以上の他のオレフィンとのランダム共重合重合体又はブロック共重合体等が挙げられる。なお、第1基材16および第2基材20の全域に易カット性機能を有する樹脂で形成してもよいし、易カット部13を、易カット性機能を有する樹脂で形成してもよい。
【0017】
第1嵌合部18は、図1図3に示すように、第2嵌合部材14の第2基材20に対向する第1基材16の対向面16aに設けられている。帯状の第1基材16の長手方向に沿う第1側端16c側に第1嵌合部18が設けられ、第1側端16cと平行に延びる第2側端16bと第1嵌合部18との間に、接続部15および易カット部13が長手方向に並行して設けられている。
【0018】
第1嵌合部18は、第1基材16の対向面16aから立ち上がる幹部18aと、幹部18aの先端側に設けられ、幹部18aよりも大きい頭部18bとを備えている。第1嵌合部18は、雄嵌合部であり、頭部18bが後述する第2嵌合部22の凹部22c内に嵌まり込むように構成されている。
【0019】
この例の第1嵌合部18における頭部18bは、第2側端16b側の部分18cが、第1側端16c側の部分18dよりも大きく突き出た形状を有する。この構成により、袋体において後述するように第1嵌合部18と第2嵌合部22とを嵌合させた状態では、内容物が収容される収容部側は開口部側に比べて嵌合強度が高くなり、袋体の内圧が高まっても第1嵌合部18と第2嵌合部22の嵌合が解除され難くなる。また、開口部側においては嵌合強度が比較的低くなり、手で力を加えることで第1嵌合部18と第2嵌合部22との嵌合を容易に解除できる。
【0020】
第1嵌合部18の形状は、第2嵌合部22と嵌合できる形状であればよく、公知の形状を採用できる。第1嵌合部18の材料としては、特に限定されず、例えば、第1基材16と同じ材料が使用できる。
【0021】
図1図3に示すように、易カット部13は、第1基材16の対向面16aに第1嵌合部18と並行して設けられている。易カット部13は、一つの凸条11と、凸条11に隣接して形成される一つの凹溝19とで構成されている。
【0022】
凸条11は、第1基材16の対向面16aから突出して形成されている。図2および図3に示すように、凸条11は、第1基材16の長手方向に直交する断面(図1に示すA-A断面)形状が略三角形を有する突起が長手方向に連続して形成されている。
【0023】
凹溝19は、凸条11に隣接して第1基材16の厚さが薄くなる溝である。凹溝19は、第1基材16の長手方向に直交する断面(図1に示すA-A断面)形状が略三角形に窪む溝である。凹溝19は、第1基材16の長手方向に連続して形成されている。
【0024】
凸条11と凹溝19とは隣接して短手方向に隣接して形成されている。ここでいう隣接とは、凸条11と凹溝19とが短手方向に離間せずに連続して設けられていることを意味する。つまり、凸条11と凹溝19との間に、対向面16aと面一となる平坦な領域を備えず、凸条11と凹溝19との間の距離はゼロである。本実施形態では、図2および図3に示すように、対向面16aに対して傾斜している凸条11の斜面11aと、対向面16aに対して傾斜している凹溝19の斜面19aとが同じ傾斜角度で連続した斜面を構成している。凸条11と凹溝19とは隣接して設けられていればよく、凸条11の斜面11aと凹溝19の斜面19aとは、傾斜角度が異なっていてもよい。
【0025】
接続部15は、易カット部13と第1嵌合部18との間に形成されている。接続部15は、易カット部13と第1嵌合部18とを接続する領域である。つまり、接続部15は、第1嵌合部18および易カット部13に隣接して設けられている。図2および図3に示す例では、接続部15は、第1嵌合部18と、易カット部13の凹溝19との間の第1基材16の厚さが均一な領域である。なお、接続部は均一な厚さでなくてもよく、例えば、易カット部13と第1嵌合部18との間に勾配が設けられている接続部であってもよい。
【0026】
(第2嵌合部材)
第2嵌合部材14は、帯状の第2基材20と、第2嵌合部22と、易カット部13と、接続部15と、を有する。第2嵌合部22は、第2基材20に長手方向に沿って延設されている。
第2基材20としては、特に限定されず、例えば第1基材16と同じ基材が挙げられ、好ましい態様も同じである。
【0027】
第2嵌合部22は、図1~3に示すように、第1嵌合部材12の第1基材16に対向する対向面20aに設けられている。第2嵌合部材14は、帯状の第2基材20の長手方向に沿う第1側端20c側に第2嵌合部22が設けられ、第1側端20cと平行に延びる第2側端20bと第1嵌合部18との間に、接続部15および易カット部13が長手方向に並行して設けられている。
【0028】
第2嵌合部22は、第2基材20の対向面20aから断面円弧状に立ち上がる一対の第1アーム部22aおよび第2アーム部22bを備えている。第2嵌合部22には、第1アーム部22aと第2アーム部22bの間に第2基材20の長手方向に延びる凹部22cが形成されている。
【0029】
図3に示すように、第1嵌合部18の頭部18bが第2嵌合部22の凹部22c内に嵌まり込み、第1嵌合部18の頭部18bが第2嵌合部22の第1アーム部22a及び第2アーム部22bのそれぞれの先端部分で係止されることで、第1嵌合部18と第2嵌合部22とが嵌合する。また、嵌合している状態の第1嵌合部18を第2嵌合部22から離間させる方向に動かすことで、第1嵌合部18の頭部18bが第2嵌合部22の第1アーム部22aと第2アーム部22bを内側から押し広げながら脱離する。このように、第1嵌合部18と第2嵌合部22とは着脱自在に嵌合するように構成されている。
【0030】
第2嵌合部22の形状は、第1嵌合部18と第2嵌合部22とを互いに着脱することで、袋本体の開口部の開閉が繰り返し行える形状であればよい。
第2嵌合部22の材料としては、特に限定されず、例えば、第1基材16と同じ材料が使用できる。
【0031】
図1図3に示すように、易カット部13は、第2基材20の対向面20aに第2嵌合部22と並行して設けられている。易カット部13は、一つの凸条11と、凸条11に隣接して形成される一つの凹溝19とで構成されている。第2嵌合部材14の易カット部13および接続部15は、第1嵌合部材12と同じ構成である。
【0032】
図2および図3に示すように、易カット部13および接続部15は、第1嵌合部18と第2嵌合部22とが嵌合した状態でそれぞれ対向する位置に設けられている。
【0033】
第1嵌合部材12および第2嵌合部材14に形成された各凸条11は、第1基材16のその他の部分の厚さより厚く、凹溝19は第1基材16の他の部分の厚さより薄い。例えば、図3に示すように、第1基材16および第2基材20のベース部分の厚さTbは100~200μmであり、凸条11の最大突出部となる三角形の頂点における厚さT11は400μmであり、凹溝19の最も溝が深い箇所であり、厚さが薄い部分の厚さT19は40μmである。このように、易カット部13は、凸条11の最大厚さT11と、凹溝19における最小厚さT19との差が、第1基材16および第2基材20のベース部分の厚さTbに対して十分に大きい。
【0034】
本発明の嵌合具の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。第1嵌合部材および第2嵌合部材の製造方法としては、例えば、押出成形等が挙げられる。
【0035】
本実施形態に係る嵌合具によれば、凸条11と、凸条11に連続して形成される凹溝19とで易カット部13が構成されるため、凹溝19に沿って容易に第1基材16および第2基材20が容易に切断可能である。すなわち、易カット部13は、凸条11と凹溝19とが連続して形成され、凸条11と凹溝19との間に、対向面16aと面一である平坦な領域を備えない。このため、第1基材16および第2基材20において、厚さの差が大きい部分が形成される。この結果、基材の厚さが最も薄い凹溝19に応力が集中し、凹溝19に沿って第1基材16および第2基材20が切断される。また、凹溝19に応力が集中した結果、シャープな切断面が形成され、凹溝19に沿って第1基材16および第2基材20が切り裂かれた後、切断面に糸状屑や毛羽立ちが発生することを防ぎ、美麗な切断面を形成できる。
【0036】
本実施形態に係る嵌合具によれば、易カット部13が一つの凸条11と一つの凹溝19とで構成されるため、第1基材16および第2基材20に、長手方向に沿って基材を切り裂いて切断する外力が付加された場合に、易カット部1に応力が集中し、切断される線が分離したり、所望の方向から逸れることを防止できる。
【0037】
本実施形態に係る嵌合具によれば、易カット部13と第1嵌合部18または第2嵌合部22との間に接続部15を備えるため、長手方向に沿って基材を切り裂いて切断する外力が付加された場合に、易カット部1に応力が集中し、第1嵌合部18または第2嵌合部22が破損することを防止できる。
【0038】
[嵌合具付き袋体]
以下、本実施形態に係る嵌合具付き袋体として、前述した嵌合具10を備えた嵌合具付き袋体1(以下、「袋体1」と記載する場合がある。)について説明する。
【0039】
本実施形態では、袋本体40の形状は矩形である。袋本体40の形状は矩形には限定されない。また、袋本体40の大きさも特に限定されず、袋本体40に収容する内容物によって形状及び大きさを適宜選定すればよい。
袋体1は、図4および図5に示すように、内容物を収容する密封された状態の袋本体40と、袋本体40の上部の内面に、横方向に沿って取り付けられた嵌合具10とを備えている。
【0040】
袋本体40は、第1フィルム材42と第2フィルム材44とが重ね合わされ、それらの周縁部46が全てヒートシールされることで形成されており、密封されている。袋本体40の嵌合具10の下方が、内容物が収容される収容部47である。袋本体40における嵌合具10の上方は、袋体1の開封後、開口部52となる。すなわち、嵌合具10は、袋本体の開口部52近傍に取り付けられる。
【0041】
袋本体40を形成する第1フィルム材42および第2フィルム材44は、ヒートシールにより嵌合具10を溶着できるものであればよく、内面側からシーラント層と基材層を少なくとも有する積層フィルムが好ましい。
基材層としては、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリプロピレン等が挙げられる。
シーラント層としては、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等が挙げられる。
積層フィルムには、バリア層等の機能層を設けてもよい。第1フィルム材42および第2フィルム材44は、シーラント層のみからなる単層フィルムであってもよい。
【0042】
袋体1においては、図6に示すように、嵌合具10の第1基材16の外面16dが袋本体40の第1フィルム材42に溶着され、嵌合具10の第2基材20の外面20dが袋本体40の第2フィルム材44に溶着されている。
嵌合具10は、第1基材16の第2側端16bおよび第2基材20の第2側端20bが袋体1の開口部52側に配置され、第1基材16の第1側端16cおよび第2基材20の第1側端20cが袋体1の収容部47側に配置されている。
したがって、第1嵌合部18および第2嵌合部22が収容部47側に設けられ、易カット部13が開口部52側に設けられている。また、凸条11が開口部52側に設けられ、凹溝19が収容部47側に配置されている。
【0043】
袋本体40における嵌合具10の上部側であって易カット部13に対応する位置の第1フィルム材42および第2フィルム材44の外面には、横方向に沿って切断補助線48が印刷されている。袋本体40の横方向の端部であって、切断補助線48の延長線上にはノッチ50が形成されている。ノッチ50の形状は、この例では三角形状であるが、特に限定されず、半円形状、直線状等であってもよい。
【0044】
袋体1は、ノッチ50から切断補助線48に沿って袋本体40の上部を切断して除去することで、図5に示すように、上部に開口部52を形成して開封することができる。袋体1に形成した開口部52は、嵌合具10の第1嵌合部18と第2嵌合部22とを嵌合または嵌合解除することで繰り返し開閉できる。
【0045】
[嵌合具付き袋体の製造方法]
嵌合具付き袋体1の製造方法は、以下の各工程を有する。
嵌合具成形工程:嵌合具を形成する樹脂材料を押出機に供給し、環状ダイによって押し出し、空冷法又は水冷法によって冷却し、インフレーション法で拡幅製膜する。これにより、内面に第1嵌合部18または第2嵌合部22と、易カット部13と、接続部15と、が設けられた第1嵌合部材12または第2嵌合部材14が形成される。
嵌合具溶着工程:第1フィルム材42および第2フィルム材44の内面に嵌合具10を溶着する。この工程では、第1嵌合部18、第2嵌合部22、および易カット部13を避けた位置で、ヒートバー等の加熱器具を用いて、第1基材16の外面16dを第1フィルム材42の内面に溶着し、第2基材20の外面20dを第2フィルム材44の内面に溶着する。
溶断工程:嵌合具溶着工程後のフィルム材42,44を、第1嵌合部18と第2嵌合部22とが向かい合うように折り畳み、長さ方向に間隔を開けて複数の位置で、幅方向に溶断して嵌合具付き袋体1のベースを連続して形成する。
包装工程:切断後の第1フィルム材42および第2フィルム材44の内面同士を対向させた状態で包装装置内に供給し、内容物を第1フィルム材42と第2フィルム材44の間に挟みながら、第1フィルム材42および第2フィルム材44の周縁部を熱溶着する。この工程により、内容物が収容部47に収容された状態で袋本体40が密封される。
【0046】
以上説明した嵌合具付き袋体1は、易カット部13を有する嵌合具10を備えているため、密封されている袋体1を凹溝19に沿って容易に切断できる。また、易カット部13を備えることにより、切断面に糸状屑や毛羽立ちが生じることを防ぎ、美麗な切断面が形成できる。
【0047】
本実施形態に係る嵌合具付き袋体は、嵌合具10を第1フィルム材42および第2フィルム材44に溶着させる例を示したが、嵌合具付き袋体の構成はこれに限定されず、第1嵌合部および第2嵌合部が袋本体を構成するフィルム材の内面に直接形成された構成であってもよい。
【0048】
以上説明した嵌合具付き袋体の製造方法によれば、易カット部13に沿って容易に引き裂くことが可能であり、かつ、引き裂いた後に美麗な切断面を形成可能な嵌合具10、および嵌合具付き袋体1が簡便に得られる。
【0049】
なお、嵌合具付き袋体の製造方法は、上述した嵌合具付き袋体の製造方法には限定されない。例えば、嵌合具付き袋体の製造方法は、成形工程で得た筒状体を一旦巻き取ってもよい。また、必要に応じて延伸工程や印刷工程等を実施してもよい。
【0050】
本発明に係る嵌合具の易カット部の構成は、上述の実施形態で示した構成に限定されない。易カット部は、一つの凸条と一つの凹溝とが隣接して設けられていればよい。易カット部の変形例を図7から図10に示す。以降の説明において、第一実施形態で既に説明したものと共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0051】
図7は、嵌合具10の第1変形例の易カット部13Aを示す断面図である。図7に示すように、易カット部13Aの凸条11Aを長手方向に直交する断面形状が円弧状に突出する形状とし、凹溝19Aを円弧状の溝で形成してもよい。
【0052】
図8は、嵌合具10の第1変形例の易カット部13Bを示す断面図である。図8に示すように、易カット部は、第1基材16の対向面16aまたは第2基材20の対向面20aから凸条11Bが突出する突出量と、凹溝19Bの窪みの深さとが一致していなくてもよい。
【0053】
図9は、嵌合具10の第1変形例の易カット部13Cを示す断面図である。図9に示すように、接続部15に隣接して凸条11Cが設けられ、第1基材16の第2側端16b側および第2基材20の第2側端20b側に凹溝19Cを設けてもよい。また、凹溝19Cは、図9に示すように、溝の底部に平坦面を有してもよい。
【0054】
図10は、嵌合具10の第1変形例の易カット部13Dを示す断面図である。図10に示すように、凸条11Dが、凹溝19Dと第1基材16の第2側端16bまたは第2基材20の第2側端20bとの間で均一な厚さとなるように形成されていてもよい。
【0055】
上記実施形態および図7から図10に示す変形例に示すように、易カット部は、第1基材16または第2基材20の厚さが薄い凹溝19と厚い凸条11とが隣接して設けられることにより、他の領域よりも、各基材16,20の厚さの差が大きい部分が形成される。この結果、外力が付加されたときに、凹溝に応力が集中し破断され易く、さらに、糸状屑や毛羽立ちが発生し難いという効果を奏する。
【0056】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、上述の実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 嵌合具付き袋体
10 嵌合具
12 第1嵌合部材
13,13A,13B,13C,13D 易カット部
14 第2嵌合部材
16 第1基材
18 第1嵌合部
19,19A,19B,19C,19D 凹溝
20 第2基材
22 第2嵌合部
40 袋本体
47 収容部
52 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10