(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】搬送装置、露光装置および搬送方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/68 20060101AFI20230526BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230526BHJP
F16C 29/02 20060101ALI20230526BHJP
F16C 32/06 20060101ALI20230526BHJP
F16C 29/04 20060101ALI20230526BHJP
B65G 51/03 20060101ALI20230526BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
H01L21/68 K
H01L21/68 A
F16C29/02
F16C32/06 A
F16C29/04
B65G51/03 E
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2019015524
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】水端 稔
(72)【発明者】
【氏名】波多野 章人
(72)【発明者】
【氏名】小八木 康幸
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2005-0060238(KR,A)
【文献】特開2005-268335(JP,A)
【文献】特開2001-110699(JP,A)
【文献】特開2004-79639(JP,A)
【文献】特開2018-170412(JP,A)
【文献】特開2013-86964(JP,A)
【文献】特開2016-166924(JP,A)
【文献】国際公開第2011/059003(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/069423(WO,A1)
【文献】特開2010-62428(JP,A)
【文献】特開2006-322531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
H01L 21/677
F16C 29/02
F16C 32/06
F16C 29/04
B65G 51/03
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定盤上のレールに沿って移動可能な搬送装置であって、
前記レールに沿って搬送方向にスライドするスライド部材と、
前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する気体噴出部と、
前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられ、
前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上する制動部と
を備え
、
前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制する、搬送装置。
【請求項2】
前記気体噴出部が前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上しながら、前記スライド部材が前記レールに沿ってスライドした後で前記スライド部材が停止または減速する場合、あるいは、前記スライド部材が発進または加速する場合に、前記制動部は、前記レールに気体を噴出する、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記スライド部材の前記一方側の側面と前記制動部とを連結する連結部をさらに備える、請求項1
または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記スライド部材が前記レールに沿って移動するように前記スライド部材を駆動する駆動部をさらに備える、請求項1から
3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
レールに沿って移動可能な搬送装置であって、
前記レールに沿って搬送方向にスライドするスライド部材と、
前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する気体噴出部と、
前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられた制動部と
を備え、
前記制動部は、前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上し、
前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制し、
前記スライド部材が前記レールに沿ってスライドする際の前記制動部と前記レールとの間の距離は、前記レールに対する前記制動部の浮上力が最大となる前記制動部と前記レールとの間の距離よりも長い
、搬送装置。
【請求項6】
レールに沿って移動可能な搬送装置であって、
前記レールに沿って搬送方向にスライドするスライド部材と、
前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する気体噴出部と、
前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられた制動部と
を備え、
前記制動部は、前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上し、
前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制し、
前記スライド部材が前記レールに沿ってスライドする場合、前記制動部と前記レールとの間の距離は、前記気体噴出部と前記レールとの間の距離よりも長い
、搬送装置。
【請求項7】
レールに沿って移動可能な搬送装置であって、
前記レールに沿って搬送方向にスライドするスライド部材と、
前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する気体噴出部と、
前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられた制動部と
を備え、
前記制動部は、前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上し、
前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制し、
前記レールに対する前記制動部の浮上力が最大となる前記制動部と前記レールとの間の距離は、前記スライド部材が前記レールに沿ってスライドする際の前記気体噴出部と前記レールとの間の距離よりも短い
、搬送装置。
【請求項8】
レールに沿って移動可能な搬送装置であって、
前記レールに沿って搬送方向にスライドするスライド部材と、
前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する気体噴出部と、
前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられた制動部と
を備え、
前記制動部は、前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上し、
前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制し、
前記制動部から噴出される前記気体の噴出量が変化する
、搬送装置。
【請求項9】
レールに沿って移動可能な搬送装置であって、
前記レールに沿って搬送方向にスライドするスライド部材と、
前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する気体噴出部と、
前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられた制動部と、
前記スライド部材の前記一方側の側面と前記制動部とを連結する連結部と
を備え、
前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制し、
前記連結部は、
前記スライド部材の前記一方側の側面に取り付けられた接触部と、
前記接触部から前記スライド部材の搬送方向に沿って延びる支持部と、
前記制動部と前記支持部とを接続する接続部と
を含む
、搬送装置。
【請求項10】
前記接続部は、前記制動部と接触する球体を含む、請求項
9に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記接続部は、前記支持部に支持され、前記球体を押圧するロッド部をさらに含む、請求項
10に記載の搬送装置。
【請求項12】
レールに沿って移動可能な搬送装置であって、
前記レールに沿って搬送方向にスライドするスライド部材と、
前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する気体噴出部と、
前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられた制動部と
を備え、
前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制し、
前記スライド部材は、前記レールに対向する内周面と、前記一方側の側面を含む外周面とを有し、
前記気体噴出部は、前記スライド部材の内周面に配置される
、搬送装置。
【請求項13】
基板を搬送する、請求項1から12のいずれかに記載の搬送装置と、
前記搬送装置に搬送された基板を露光する露光部と
を備える、露光装置。
【請求項14】
定盤上のレールに気体を噴出しながらスライド部材が前記レールに沿って搬送方向にスライドする工程と、
前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられた制動部
が前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上して、前記スライド部材を制動する工程と
を包含
し、
前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制する、搬送方法。
【請求項15】
前記制動する工程において、前記制動部から噴出される前記気体の噴出量が変化する、請求項14に記載の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、露光装置および搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レールに対して空気(エア)などの気体を噴出して浮上してレールに沿ってスライドすることで部材を搬送する搬送装置が知られている。このような搬送装置は、エアベアリングとも呼ばれる。このような搬送装置は、部材を滑らかに搬送できるため、露光処理する基板を搬送するために用いられる(特許文献1参照)。特許文献1の移動体装置は、エアを噴出して浮上装置を浮上させたうえで浮上装置の上に載置された基板を所定の方向に搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の移動体装置では、スライド部材の速度が変化する際に、スライド部材がガイド部材(レール)と接触するおそれがあった。特に、近年、基板の大型化が進行しており、処理速度の向上のために、スライド部材がレール上を高速でスライドすることが要望されている。この場合、スライド部材の速度が変化する際にスライド部材がレールと接触するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、スライド部材とレールとの接触を抑制可能な搬送装置、露光装置および搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、搬送装置は、定盤上のレールに沿って移動可能である。前記搬送装置は、スライド部材と、気体噴出部と、制動部とを備える。前記スライド部材は、前記レールに沿って搬送方向にスライドする。前記気体噴出部は、前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する。前記制動部は、前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられ、前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上する。前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制する。
本発明の搬送装置において、前記気体噴出部が前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上しながら、前記スライド部材が前記レールに沿ってスライドした後で前記スライド部材が停止または減速する場合、あるいは、前記スライド部材が発進または加速する場合に、前記制動部は、前記レールに気体を噴出する。
本発明の搬送装置において、前記搬送装置は、前記スライド部材の前記一方側の側面と前記制動部とを連結する連結部をさらに備える。
本発明の搬送装置において、前記搬送装置は、前記スライド部材が前記レールに沿って移動するように前記スライド部材を駆動する駆動部をさらに備える。
【0008】
本発明の他の局面によれば、搬送装置は、レールに沿って移動可能である。前記搬送装置は、スライド部材と、気体噴出部と、制動部とを備える。前記スライド部材は、前記レールに沿って搬送方向にスライドする。前記気体噴出部は、前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する。前記制動部は、前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられる。前記制動部は、前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上する。前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制する。前記スライド部材が前記レールに沿ってスライドする際の前記制動部と前記レールとの間の距離は、前記レールに対する前記制動部の浮上力が最大となる前記制動部と前記レールとの間の距離よりも長い。
【0009】
本発明のさらに他の局面によれば、搬送装置は、レールに沿って移動可能である。前記搬送装置は、スライド部材と、気体噴出部と、制動部とを備える。前記スライド部材は、前記レールに沿って搬送方向にスライドする。前記気体噴出部は、前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する。前記制動部は、前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられる。前記制動部は、前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上する。前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制する。前記スライド部材が前記レールに沿ってスライドする場合、前記制動部と前記レールとの間の距離は、前記気体噴出部と前記レールとの間の距離よりも長い。
【0010】
本発明のさらに他の局面によれば、搬送装置は、レールに沿って移動可能である。前記搬送装置は、スライド部材と、気体噴出部と、制動部とを備える。前記スライド部材は、前記レールに沿って搬送方向にスライドする。前記気体噴出部は、前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する。前記制動部は、前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられる。前記制動部は、前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上する。前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制する。前記レールに対する前記制動部の浮上力が最大となる前記制動部と前記レールとの間の距離は、前記スライド部材が前記レールに沿ってスライドする際の前記気体噴出部と前記レールとの間の距離よりも短い。
【0011】
本発明のさらに他の局面によれば、搬送装置は、レールに沿って移動可能である。前記搬送装置は、スライド部材と、気体噴出部と、制動部とを備える。前記スライド部材は、前記レールに沿って搬送方向にスライドする。前記気体噴出部は、前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する。前記制動部は、前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられる。前記制動部は、前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上する。前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制する。前記制動部から噴出される前記気体の噴出量が変化する。
【0013】
本発明のさらに他の局面によれば、搬送装置は、レールに沿って移動可能である。前記搬送装置は、スライド部材と、気体噴出部と、制動部と、連結部とを備える。前記スライド部材は、前記レールに沿って搬送方向にスライドする。前記気体噴出部は、前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する。前記制動部は、前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられる。前記連結部は、前記スライド部材の前記一方側の側面と前記制動部とを連結する。前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制する。前記連結部は、前記スライド部材の前記一方側の側面に取り付けられた接触部と、前記接触部から前記スライド部材の搬送方向に沿って延びる支持部と、前記制動部と前記支持部とを接続する接続部とを含む。
【0014】
本発明の搬送装置において、前記接続部は、前記制動部と接触する球体を含む。
【0015】
本発明の搬送装置において、前記接続部は、前記支持部に支持され、前記球体を押圧するロッド部をさらに含む。
【0017】
本発明のさらに他の局面によれば、搬送装置は、レールに沿って移動可能である。前記搬送装置は、スライド部材と、気体噴出部と、制動部とを備える。前記スライド部材は、前記レールに沿って搬送方向にスライドする。前記気体噴出部は、前記スライド部材と前記レールとの間に位置し、前記レールに気体を噴出する。前記制動部は、前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられる。前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制する。前記スライド部材は、前記レールに対向する内周面と、前記一方側の側面を含む外周面とを有し、前記気体噴出部は、前記スライド部材の内周面に配置される。
【0018】
本発明の他の局面によれば、露光装置は、基板を搬送する、上記に記載の搬送装置と、前記搬送装置に搬送された基板を露光する露光部とを備える。
【0019】
本発明のさらに他の局面によれば、搬送方法は、定盤上のレールに気体を噴出しながらスライド部材が前記レールに沿って搬送方向にスライドする工程と、前記スライド部材の搬送方向の一方側の側面に設けられた制動部が前記レールに気体を噴出して前記レールに対して浮上して、前記スライド部材を制動する工程とを包含する。前記制動部は、前記スライド部材と前記レールとの接触を抑制する。
【0020】
本発明の搬送方法において、前記制動する工程において、前記制動部から噴出される前記気体の噴出量が変化する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、スライド部材とレールとの接触を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態の搬送装置の模式的な斜視図である。
【
図2】(a)~(c)は本実施形態の搬送装置による搬送方法を説明するための模式図である。
【
図3】(a)は本実施形態の搬送装置の模式的な底面図であり、(b)および(c)は本実施形態の搬送装置の模式的な断面図である。
【
図4】(a)は本実施形態の搬送装置の模式的な底面図であり、(b)は本実施形態の搬送装置の模式図である。
【
図5】本実施形態の搬送装置の模式的な拡大図である。
【
図6】(a)および(b)は本実施形態の搬送装置における制動部の浮上力の変化を説明するための模式図である。
【
図7】制動部とレールとの間の距離と制動部の浮上力との関係を示すグラフである。
【
図8】(a)および(b)は本実施形態の搬送装置における制動部の浮上力の変化を説明するための模式図である。
【
図9】(a)および(b)は本実施形態の搬送装置における制動部の浮上力の変化を説明するための模式図である。
【
図10】(a)は本実施形態の搬送装置の模式的な底面図であり、(b)および(c)は本実施形態の搬送装置の模式的な断面図である。
【
図11】本実施形態の搬送装置の模式的な斜視図である。
【
図12】(a)は本実施形態の搬送装置の模式的なXZ断面図であり、(b)は本実施形態の搬送装置の模式的なYZ断面図である。
【
図14】(a)は本実施形態の搬送装置を備えた露光装置の模式的な側面図であり、(b)は露光装置の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を記載することがある。典型的には、X方向およびY方向は水平方向に平行であり、Z方向は鉛直方向に平行である。
【0024】
図1を参照して、本発明による搬送装置の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の搬送装置100の模式的な斜視図である。搬送装置100は、搬送対象物を搬送するために用いられる。搬送装置100は、レール200に沿って移動する。ここでは、レール200は、Y方向に沿って延びる。例えば、レール200は、定盤210の上に配置される。
【0025】
搬送装置100は、スライド部材110と、気体噴出部120と、制動部130とを備える。スライド部材110は、レール200に取り付けられる。
【0026】
スライド部材110は、レール200に沿って搬送方向にスライドする。スライド部材110は、搬送対象物を載置した状態でスライドする。ここでは、スライド部材110は、レール200に沿って+Y方向にスライドする。また、スライド部材110は、レール200に沿って-Y方向にスライド可能であってもよい。
【0027】
例えば、スライド部材110は、石を加工することによって作製される。一例では、スライド部材110は、グラナイトの加工によって作製される。
【0028】
気体噴出部120は、スライド部材110とレール200との間に位置する。気体噴出部120は、スライド部材110の内周面に設けられる。気体噴出部120は、レール200に気体を噴出する。典型的には、気体噴出部120がレール200に気体を噴出することにより、気体噴出部120とともにスライド部材110がレール200に対して浮上し、スライド部材110および気体噴出部120とレール200との間に隙間が形成される。
【0029】
例えば、気体噴出部120とレール200との隙間は3μm以上15μm以下である。また、気体噴出部120とレール200との隙間は5μm以上10μm以下であってもよい。気体噴出部120が気体を噴出することにより、スライド部材110がレール200に沿ってスライドする際に、スライド部材110は、レール200と接触することなくレール200に対して滑らかにスライドできる。
【0030】
制動部130は、スライド部材110の外周面に設けられる。詳細には、制動部130は、スライド部材110の搬送方向の一方側の側面に設けられる。ここでは、制動部130はスライド部材110の+Y方向側の側面に設けられる。
【0031】
スライド部材110がレール200に沿ってスライドした後でスライド部材110が停止または減速する場合、慣性により、スライド部材110がレール200と接触するおそれがある。しかしながら、本実施形態の搬送装置100では、制動部130が、スライド部材110の姿勢が変化しないようにスライド部材110の動きを制限する。このため、制動部130により、スライド部材110の動きの変化に起因してスライド部材110がレール200と接触することを抑制できる。
【0032】
あるいは、スライド部材110が発進または加速する場合、慣性により、スライド部材110がレール200と接触するおそれがある。しかしながら、本実施形態の搬送装置100では、制動部130が、スライド部材110の姿勢が変化しないようにスライド部材110の動きを制限する。このため、制動部130により、スライド部材110の動きの変化に起因してスライド部材110がレール200と接触することを抑制できる。
【0033】
例えば、制動部130は、レール200に気体を噴出してもよい。この場合、制動部130は、レール200に対して浮上する。例えば、スライド部材110の+Y方向側の側面に設けられた制動部130がレール200に気体を噴出することにより、+Y方向にスライドしたスライド部材110が停止または減速する場合でも、スライド部材110がレール200と接触することを抑制できる。
【0034】
なお、制動部130が気体を噴出する場合、制動部130による気体の噴出量は、スライド部材110の動きに応じて変化してもよい。例えば、スライド部材110が搬送方向にスライドする場合には、制動部130は気体を噴出しない一方で、スライド部材110が停止または減速する場合、制動部130は気体を噴出してもよい。あるいは、スライド部材110が搬送方向にスライドする場合には、制動部130による気体の噴出量は少ない一方で、スライド部材110が停止または減速する際に、制動部130による気体の噴出量は増大してもよい。さらに、スライド部材110が完全に停止すると、制動部130による気体の噴出量はゼロにまで減少してもよい。
【0035】
スライド部材110は、上部112と、第1側部114aと、第2側部114bとを有する。典型的には、上部112の上面は平坦である。搬送装置100が搬送対象物を搬送する場合、搬送対象物は上部112の上面に載置される。
【0036】
上部112は、略直方体形状である。上部112は、+Z方向側の主面と、-Z方向側の主面とを有する。上部112は、レール200の上面に配置される。上部112の-Z方向側の主面は、レール200の上面と対向する。
【0037】
第1側部114aは、略直方体形状であり、上部112の-Z方向側の主面において+X方向側に位置する。第1側部114aは、上部112と連結する。第1側部114aは、レール200の側面に沿って配置され、レール200の側面と対向する。
【0038】
第2側部114bは、略直方体形状であり、上部112の-Z方向側の主面において-X方向側に位置する。第2側部114bは、上部112と連結する。第2側部114bは、レール200の側面に沿って配置され、レール200の側面と対向する。
【0039】
ここでは、制動部130は、上部112の+Y方向側の側面に配置される。また、制動部130として第1制動部130aおよび第2制動部130bが設けられている。第1制動部130aは、スライド部材110の+X方向側に設けられており、第2制動部130bは、スライド部材110の-X方向側に設けられている。
【0040】
レール200は、基台202と、第1部材204aと、第2部材204bとを含む。基台202、第1部材204aおよび第2部材204bは、互いに平行に延びる。ここでは、基台202、第1部材204aおよび第2部材204bは、Y方向に沿って延びる。基台202は、定盤210の上面に載置される。
【0041】
第1部材204aは、基台202の上部の+X方向側に位置し、基台202の+X方向側の側面よりも+X方向に突出している。第2部材204bは、基台202の-X方向側に位置し、基台202の-X方向側の側面よりも-X方向に突出している。
【0042】
ここでは、スライド部材110は、レール200の第1部材204aおよび第2部材204bを上方および側方から覆う。レール200は、搬送装置100の一部であってもよい。また、定盤210も、搬送装置100の一部であってもよい。例えば、レール200および定盤210は、石を加工することによって作製される。一例では、レール200および定盤210は、グラナイトの加工によって作製される。
【0043】
なお、
図1では、図面が過度に複雑になることを避けるために、スライド部材110を移動するようにスライド部材110を駆動する駆動源を省略して示している。スライド部材110の駆動源として、リニアモータを用いてもよい。あるいは、スライド部材110は、別の駆動源と連結し、駆動源と連動して移動してもよい。
【0044】
以下、
図1および
図2を参照して、本実施形態の搬送装置100による搬送方法を説明する。
図2(a)~
図2(c)は、本実施形態の搬送装置100による搬送方法を説明するための模式図である。
【0045】
図2(a)に示すように、搬送装置100はレール200に沿って+Y方向に移動する。搬送装置100では、スライド部材110の上部112に基板Wが載置されており、搬送装置100は、基板Wを搬送する。なお、搬送装置100の搬送対象物は基板Wに限定されない。搬送装置100は、種々の部材を搬送できる。
【0046】
気体噴出部120はレール200に気体を噴出し、スライド部材110はレール200に沿ってスライドする。このとき、気体噴出部120が気体を噴出するため、スライド部材110はレール200と接触することなくレール200に沿ってスライドする。なお、スライド部材110がレール200に対して安定的にスライドする場合、スライド部材110とレール200との間の距離は略一定である。
【0047】
図2(b)に示すように、搬送装置100は所定の位置で停止する。このとき、スライド部材110の姿勢が変化するおそれがある。具体的には、スライド部材110はレール200に対して浮上しているが、スライド部材110の搬送方向側の端部とレール200との間の距離が短くなることがある。
【0048】
しかしながら、本実施形態の搬送装置100では、
図2(c)に示すように、制動部130が、スライド部材110の姿勢が変化しないようにスライド部材110の動きを制限する。このため、スライド部材110とレール200との接触が抑制される。
【0049】
なお、
図2を参照した上述の説明では、スライド部材110が停止または減速する際のスライド部材110の姿勢について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。搬送装置100の速度が増加する場合、スライド部材110の姿勢が変化してスライド部材110がレール200と接触するおそれがある。例えば、停止中の搬送装置100が移動を開始する場合、または、搬送装置100が加速する場合、スライド部材110の姿勢が変化してスライド部材110がレール200と接触するおそれがある。本実施形態の搬送装置100では、制動部130がスライド部材110の姿勢の変化を抑制するため、スライド部材110の速度が増加する場合でも、スライド部材110とレール200との接触を抑制できる。
【0050】
以下、
図1および
図3を参照して、本実施形態の搬送装置100を説明する。
図3(a)は、本実施形態の搬送装置100の模式的な底面図である。
【0051】
図3(a)に示すように、気体供給部220は、気体噴出部120に気体を供給する。気体噴出部120は、気体供給部220から供給された気体をレール200に噴出することで、気体噴出部120はレール200と接触することなく気体噴出部120とレール200との間に隙間を形成できる。
【0052】
気体噴出部120は、開口部122と、連絡路124とを有する。開口部122および連絡路124は、スライド部材110に設けられる。気体供給部220から、連絡路124を経由した気体は開口部122から噴出される。
【0053】
ここでは、開口部122は、スライド部材110の上部112の-Z方向側の主面の+X方向側においてY方向に沿って3個並んでおり、また、上部112の-Z方向側の主面の-X方向側においてY方向に沿って3個並んでいる。さらに、開口部122は、スライド部材110の第1側部114aの-X向側の主面においてY方向に沿って3個並んでおり、また、第2側部114bの+X向側の主面においてY方向に沿って3個並んでいる。連絡路124は、開口部122を連絡する。連絡路124は、スライド部材110の内部に設けられる。
【0054】
また、制動部130が気体を噴出する場合、気体供給部220は、気体噴出部120だけでなく制動部130に気体を供給してもよい。
図3(a)には図示していないが、制動部130の-Z方向側の面に開口部が設けられており、制動部130は開口部から気体を噴出してもよい。
【0055】
搬送装置100は、気体噴出部120として、上方噴出部120aおよび側方噴出部120bを含む。上方噴出部120aは、スライド部材110の上部112に設けられており、レール200に対して-Z方向に向かって気体を噴出する。側方噴出部120bは、スライド部材110の第1側部114aおよび第2側部114bに設けられており、レール200に対して-X方向または+X方向に向かって気体を噴出する。
【0056】
図3(b)および
図3(c)は、搬送装置100の模式的な断面図である。詳細には、
図3(b)は、-X方向から+X方向を見た場合の搬送装置100の模式的な断面図であり、
図3(c)は、+X方向から-X方向を見た場合の搬送装置100の模式的な断面図である。
【0057】
図3(b)に示すように、上部112の+Y方向側の側面に第1制動部130aが配置されている。第1側部114aには3つの開口部122が設けられている。これらの開口部122から気体が噴出されるため、第1側部114aとレール200の第1部材204aとは接触することなく第1側部114aと第1部材204aとの間に隙間が形成される。
【0058】
図3(c)に示すように、上部112の+Y方向側の側面に第2制動部130bが配置されている。第2側部114bには3つの開口部122が設けられている。これらの開口部122から気体が噴出されるため、第2側部114bとレール200の第2部材204bとは接触することなく第2側部114bと第2部材204bとの間に隙間が形成される。このため、搬送装置100は、レール200と接触することなく、同じ姿勢でレール200に沿って移動できる。
【0059】
なお、
図1~
図3に示した搬送装置100では、スライド部材110の+Y方向側の側面に制動部130が設けられたが、本実施形態はこれに限定されない。制動部130は、スライド部材110の-Y方向側の側面に設けられてもよい。あるいは、制動部130は、スライド部材110の+Y方向側の側面および-Y方向側の側面の両方に設けられてもよい。
【0060】
以下、
図1および
図4(a)を参照して、本実施形態の搬送装置100を説明する。
図4(a)は、本実施形態の搬送装置100の模式的な底面図である。
図4(a)の搬送装置100は、スライド部材110の+Y方向側および-Y方向側の両方に制動部130が設けられる点を除いて、
図3を参照して上述した搬送装置100と同様の構成を有している。このため、冗長を避けるために重複する説明を省略する。
【0061】
図4(a)に示すように、搬送装置100は、制動部130として第1制動部130aおよび第2制動部130bに加えて第3制動部130cおよび第4制動部130dを備える。第1制動部130aおよび第2制動部130bは、スライド部材110の+Y方向側の側面に設けられる。第1制動部130aは、スライド部材110の+X方向および+Y方向側に位置しており、第2制動部130bは、スライド部材110の-X方向および+Y方向側に位置している。
【0062】
また、第3制動部130cおよび第4制動部130dは、スライド部材110の-Y方向側の側面に設けられる。第3制動部130cは、スライド部材110の+X方向および-Y方向側に位置しており、第4制動部130dは、スライド部材110の-X方向および-Y方向側に位置している。
【0063】
本実施形態の搬送装置100では、第1制動部130aおよび第2制動部130bがスライド部材110の+Y方向側に設けられているため、+Y方向にスライドするスライド部材110が停止または減速する際にスライド部材110とレール200との接触を抑制できる。また、第3制動部130cおよび第4制動部130dがスライド部材110の-Y方向側に設けられているため、-Y方向にスライドするスライド部材110が停止または減速する際にスライド部材110とレール200との接触を抑制できる。
【0064】
なお、本実施形態の搬送装置100では、第1制動部130a~第4制動部130dによる気体の噴出量は、スライド部材110の動きに応じて変化してもよい。例えば、スライド部材110が+Y方向にスライドした後でスライド部材110が停止または減速する場合、第1制動部130aおよび第2制動部130bは気体の噴出を開始するかまたは気体の噴出量を増大させ、第3制動部130cおよび第4制動部130dは気体の噴出を停止するかまたは気体の噴出量を低減させてもよい。あるいは、スライド部材110が-Y方向にスライドした後でスライド部材110が停止または減速する場合、第3制動部130cおよび第4制動部130dは気体の噴出を開始するかまたは気体の噴出量を増大させ、第1制動部130aおよび第2制動部130bは気体の噴出を停止するかまたは気体の噴出量を低減させてもよい。
【0065】
なお、
図1~
図4(a)に示した搬送装置100では、制動部130はスライド部材110に直接取り付けられていたが、本実施形態はこれに限定されない。制動部130は別部材を介してスライド部材110に連結されてもよい。
【0066】
以下、
図4(b)を参照して、本実施形態の搬送装置100を説明する。
図4(b)は、本実施形態の搬送装置100の模式図である。なお、
図4(b)の搬送装置100は、スライド部材110の+Y方向側および-Y方向側に制動部130が設けられるとともに連結部材140をさらに備える点を除いて、
図1および
図2を参照して上述した搬送装置100と同様の構成を有している。このため、冗長を避けるために重複する説明を省略する。
【0067】
図4(b)には、制動部130のうち第1制動部130aおよび第3制動部130cを示している。
図4(a)を参照して上述したように、第1制動部130aは、スライド部材110の+Y方向側の側面に設けられており、第3制動部130cは、スライド部材110の-Y方向側の側面に設けられている。ここでは、第1制動部130aおよび第3制動部130cは同様の構成を有している。
【0068】
搬送装置100は、スライド部材110、気体噴出部120および制動部130に加えて連結部材140をさらに備える。連結部材140は、スライド部材110と制動部130とを連結する。連結部材140は、スライド部材110の側面に取り付けられる。連結部材140の少なくとも一部はスライド部材110と一体化される一方で、制動部130はスライド部材110とは別部材であることが好ましい。
【0069】
連結部材140は、接触部142と、支持部144と、接続部146とを含む。接触部142は、スライド部材110の側面と接触する。例えば、接触部142は、スライド部材110の側面に取り付けられる。一例では、接触部142は、スライド部材110の側面にネジ止めされる。
【0070】
支持部144は、接触部142からスライド部材110の搬送方向に沿って延びる。例えば、スライド部材110に第1制動部130aを連結する連結部材140では、支持部144は、接触部142から+Y方向に延びる。典型的には、接触部142および支持部144は一体的に形成される。例えば、接触部142および支持部144はL字形状の部材から形成される。
【0071】
接続部146は、制動部130と支持部144とを接続する。例えば、接続部146は球体を含む。球体の外周面は球状である。球体の内部は、充填されていてもよく、充填されていなくてもよい。
【0072】
制動部130が駆動する際に、接続部146の球体は、制動部130と支持部144との間で挟まれて保持されることが好ましい。この場合、制動部130と支持部144とが衝突して変形または破損することを抑制できる。また、接続部146が球体を含む場合、球体と接触する制動部130および支持部144のうちの少なくとも一方に、球体に対応した凹部が設けられることが好ましい。この場合、球体は凹部内に位置するため、接続部146は、制動部130と支持部144とを同じ位置で接続できる。
【0073】
また、上述したように、気体噴出部120とレール200との隙間は比較的狭い。このため、制動部130と支持部144との間の距離は高精度に調整可能であることが好ましい。
【0074】
次に、
図5を参照して、本実施形態の搬送装置100を説明する。
図5は、搬送装置100の模式的な拡大図である。
図5では、搬送装置100における制動部130および連結部140の近傍を拡大して示している。
【0075】
接続部146は、球体146aと、ロッド部146bとを含む。ロッド部146bは、球体146aを押圧する。ここでは、制動部130の上面には、凹部130sが設けられる。球体146aは、制動部130の上面の凹部130sに嵌る。凹部130sは、球体146aに対応した形状を有している。例えば、凹部130sは、円錐側面に対応する形状を有している。
【0076】
ロッド部146bは、一方の先端の凹んだ円柱形状である。ロッド部146bの一方の先端には凹部146sが設けられる。凹部146sは、球体146aに対応した形状を有している。例えば、凹部146sは、円錐側面に対応する形状を有している。
【0077】
支持部144には円形状の貫通孔が設けられており、ロッド部146bは、支持部144の貫通孔を貫通する。ロッド部146bの外径は、支持部144の貫通孔の口径とほぼ等しい。
【0078】
支持部144の貫通孔およびロッド部146bはねじ切りされていることが好ましい。この場合、支持部144に対してロッド部146bを回転することにより、ロッド部146bは支持部144を貫通する。これにより、制動部130と支持部144との間の距離を高精度に調整できる。
【0079】
図1~
図5を参照して上述したように、気体噴出部120だけでなく制動部130も気体を噴出する場合、制動部130がレール200に対して浮上するとともにスライド部材110、支持部144およびロッド部146bもレール200に対して浮上する。このため、球体146aは制動部130とロッド部146bとの間に挟まれたままレール200に対して浮上する。この場合、気体噴出部120の気体の噴出を維持したまま制動部130の気体の噴出を停止すると、制動部130がレール200と接触するまで落下し、球体146aも制動部130とともに落下する。
【0080】
なお、スライド部材110がスライドする場合、気体噴出部120とレール200との隙間は制動部130とレール200との隙間と等しくてもよい。この場合、気体噴出部120および制動部130の気体の噴出を停止すると、球体146aは制動部130とロッド部146bとの間に挟まれたまま、スライド部材110、支持部144および制動部130は、レール200と接触するまで同じ距離だけ落下する。
【0081】
なお、本明細書において、気体噴出部120とレール200との隙間(気体噴出部120とレール200との間の距離)を気体噴出部120のギャップということがある。また、制動部130とレール200との隙間(距離)を制動部130のギャップということがある。
【0082】
上述したように、制動部130はレール200に対して気体を噴出することでレール200に対して浮上する。なお、制動部130の浮上力は、制動部130のギャップに応じて制御できる。また、制動部130の構成に応じて、制動部130の浮上力とギャップとの対応関係も制御可能である。例えば、
図3に示した気体供給部220による気体の供給量が一定であっても、開口部122の大きさ、間隔および形状等を変更することにより、制動部130のギャップと浮上力との関係を変更できる。
【0083】
以下、
図6を参照して、本実施形態の搬送装置100における制動部130の浮上力の変化を説明する。
図6(a)および
図6(b)は、制動部130の浮上力の変化を説明するための模式図である。なお、
図6(a)および
図6(b)において矢印は、制動部130の浮上力の大きさを示している。
【0084】
図6(a)に示すように、制動部130のギャップLaが比較的大きい場合、制動部130の浮上力Faは比較的小さいことが好ましい。スライド部材110がレール200に対して滑らかにスライド可能である場合、制動部130のギャップLaは比較的大きい。この場合、制動部130の浮上力Faは比較的小さくてもよい。
【0085】
図6(b)に示すように、制動部130のギャップLbが比較的小さい場合、制動部130の浮上力Fbは比較的大きいことが好ましい。例えば、スライド部材110がレール200に対して停止または減速する場合、制動部130のギャップLbが小さくなることがある。この場合、制動部130の浮上力Fbが大きくなることが好ましい。これにより、スライド部材110が停止または減速する際にスライド部材110がレール200と接触することを抑制できる。
【0086】
あるいは、スライド部材110がレール200に対して発進または加速する場合、制動部130のギャップが小さくなることがある。この場合、制動部130の浮上力が大きくなることが好ましい。これにより、スライド部材110が発進または加速する際にスライド部材110がレール200と接触することを抑制できる。
【0087】
例えば、制動部130の浮上力は、制動部130とレール200との間の距離に応じて変化する。さらに、制動部130の構成に応じて、制動部130のギャップと浮上力との対応関係も制御可能である。
【0088】
以下、
図7を参照して、本実施形態の搬送装置100における制動部130とレール200との間の距離と制動部130の浮上力との関係を説明する。
図7は、制動部130とレール200との間の距離と、制動部130の浮上力との関係を示すグラフである。
【0089】
図7に示すように、制動部130とレール200との間の距離がある程度長くなるとともに浮上力は増大し、浮上力はピークに達する。一方、制動部130とレール200との間の距離がさらに長くなると浮上力は低減する。このように、制動部130の浮上力は、制動部130とレール200との間の距離(制動部130のギャップ)に応じて変化する。
【0090】
例えば、
図7のグラフでは、制動部130とレール200との間の距離が5μmのときに制動部130の浮上力は最大値を示す。この場合、スライド部材110のスライド時に制動部130とレール200との間の距離が10μmとなるように予め設定すると、スライド時には制動部130の浮上力は比較的小さい一方で、スライド部材110の停止または減速時には制動部130の浮上力を増大できる。このため、スライド部材110の停止または減速する際に、スライド部材110がレール200と接触することを抑制できる。
【0091】
なお、スライド部材110がスライドする際に、制動部130とレール200との間の距離は、スライド部材110または気体噴出部120とレール200との間の距離よりも長くてもよい。この場合、制動部130の浮上力が最大となる制動部130とレール200との間の距離は、スライド部材110または気体噴出部120とレール200との間の距離と等しいことが好ましい。
【0092】
以下、
図8を参照して、本実施形態の搬送装置100を説明する。
図8(a)および
図8(b)は、搬送装置100における制動部130の浮上力の変化を説明するための模式図である。
【0093】
図8(a)に示すように、スライド部材110がレール200に対してスライドする場合、スライド部材110または気体噴出部120とレール200との間の距離はL2であり、制動部130とレール200との間の距離はL2である。ここで、距離L2のときの制動部130の浮上力は比較的弱い。ここで、スライド部材110または気体噴出部120とレール200との間の距離はL2である場合、スライド部材110または気体噴出部120の浮上力は最大となるように設定されている。
【0094】
図8(b)に示すように、スライド部材110がレール200に対して停止または減速する場合、制動部130とレール200との間の距離はL2から距離L1に変化する。ここで、制動部130は、距離L1のときの浮上力が最も強くなるように設計されている。このため、制動部130とレール200との間の距離がスライド時の距離L2よりも短くなると、制動部130の浮上力が増大する。これにより、スライド部材110が停止または減速する場合にスライド部材110がレール200と接触することを効率的に抑制できる。このように、スライド部材110がレール200に沿ってスライドする際の制動部130とレール200との間の距離は、制動部130の浮上力が最大となる制動部130とレール200との間の距離よりも長くてもよい。
【0095】
なお、
図8を参照して上述したように、スライド部材110がレール200に沿ってスライドする場合、制動部130とレール200との間の距離は気体噴出部120とレール200との間の距離と等しくてもよい。また、レール200に対する制動部130の浮上力が最大となる制動部130とレール200との間の距離は、スライド部材110がレール200に沿ってスライドする際の気体噴出部120とレール200との間の距離よりも短くてもよい。なお、スライド部材110のスライド時に、制動部130とレール200との間の距離は、スライド部材110または気体噴出部120とレール200との間の距離よりも長くてもよい。
【0096】
以下、
図9を参照して、本実施形態の搬送装置100を説明する。
図9(a)および
図9(b)は、本実施形態の搬送装置100における制動部130の浮上力の変化を説明するための模式図である。
【0097】
図9(a)に示すように、スライド部材110がレール200に対してスライドする場合、スライド部材110または気体噴出部120とレール200との間の距離はL1であり、制動部130とレール200との間の距離はL2である。距離L2は距離L1よりも大きい。
【0098】
図9(b)に示すように、スライド部材110がレール200に対して停止または減速する場合、制動部130とレール200との間の距離はL2から距離L1に変化する。距離L1は距離L2よりも短い。ここで、制動部130は、距離L1のときの浮上力が最も強くなるように設計されている。このため、制動部130とレール200との間の距離がスライド時の距離L2よりも短くなると、制動部130の浮上力が増大する。これにより、スライド部材110が停止または減速する場合にスライド部材110がレール200と接触することを効率的に抑制できる。
【0099】
このように、スライド部材110のスライド時に、制動部130とレール200との間の距離は、スライド部材110または気体噴出部120とレール200との間の距離よりも長くてもよい。この場合、制動部130の浮上力が最大となる制動部130とレール200との間の距離は、スライド時のスライド部材110または気体噴出部120とレール200との間の距離と同程度であることが好ましい。
【0100】
なお、
図3および
図4に示した搬送装置100では、気体噴出部120の開口部122はスライド部材110の平坦な内周面に設けられていたが、本実施形態はこれに限定されない。開口部122は、突起部および/または窪み部に囲まれてもよい。
【0101】
以下、
図1および
図10を参照して、本実施形態の搬送装置100を説明する。
図10(a)は、本実施形態の搬送装置100の模式的な底面図である。
【0102】
スライド部材110の内周面は、平坦部110fと、突起部110pと、窪み部110qを有する。突起部110pは、開口部122の周囲に位置し、開口部122を環状に囲む。ここでは、スライド部材110の内周面を正面視した場合、突起部110pは正方形外縁である。窪み部110qは、突起部110pに囲まれており、窪み部110qには、X方向およびY方向に沿った溝が設けられている。窪み部110qの中央に開口部122が設けられる。
【0103】
本実施形態の搬送装置100は、気体噴出部120として、上方噴出部120aおよび側方噴出部120bを備える。上方噴出部120aは、+X方向側にY方向に沿って3個並んでおり、また、-X方向側にY方向に沿って3個並んでいる。
【0104】
側方噴出部120bは、+X方向側にY方向に沿って3個並んでおり、また、-X方向側にY方向に沿って3個並んでいる。なお、Y方向に沿って並んだ側方噴出部120bの周囲の突起部110pの高さはいずれもほぼ等しい。
【0105】
ここでは、搬送装置100は、制動部130として第1制動部130aおよび第2制動部130bに加えて第3制動部130cおよび第4制動部130dを備える。第1制動部130a~第4制動部130dは、円柱形状または直方体形状である。
【0106】
例えば、第1制動部130a~第4制動部130dは金属部材を含む。一例では、第1制動部130a~第4制動部130dはステンレスを含む。第1制動部130a~第4制動部130dのそれぞれには複数の開口部が設けられる。あるいは、第1制動部130a~第4制動部130dの-Z方向の底面の中央に1つの開口部が設けられ、第1制動部130a~第4制動部130dの-Z方向の底面に、底面を覆う多孔質部材が取り付けられてもよい。
【0107】
気体供給部220は、気体噴出部120および第1制動部130a~第4制動部130dに気体を供給する。気体噴出部120は、気体供給部220から供給された気体をレール200に噴出することで、気体噴出部120はレール200と接触することなく気体噴出部120とレール200との間に隙間が形成される。
【0108】
また、第1制動部130a~第4制動部130dは、気体供給部220から供給された気体をレール200に噴出する。これにより、第1制動部130a~第4制動部130dは、スライド部材110の姿勢の変化を抑制するようにスライド部材110の動きを制限して、スライド部材110とレール200との接触を抑制できる。
【0109】
ここでは、気体供給部220と気体噴出部120および第1制動部130a~第4制動部130dとの間に、圧力レギュレータ222が設けられる。圧力レギュレータ222により、気体供給部220から、気体噴出部120および第1制動部130a~第4制動部130dに供給される気体の量を調整できる。
【0110】
図10(b)および
図10(c)は、本実施形態の搬送装置100の模式的な断面図である。
図10(b)は、-X方向から+X方向を見た場合の搬送装置100の模式的な断面図であり、
図10(c)は、+X方向から-X方向を見た場合の搬送装置100の模式的な断面図である。
【0111】
図10(b)および
図10(c)に示すように、Y方向に沿って並んだ上方噴出部120aの開口部122の周囲の突起部110pの高さは一定である。
【0112】
なお、
図1~
図10を参照して上述した説明では、スライド部材110は、レール200の第1部材204aおよび第2部材204bを上方および側方から覆ったが、本実施形態はこれに限定されない。スライド部材110は、レール200の第1部材204aおよび第2部材204bを上方および側方だけでなく下方から覆ってもよい。
【0113】
以下、
図11を参照して、本実施形態の搬送装置100を説明する。
図11は、本実施形態の搬送装置100の模式的な斜視図である。
図11に示した搬送装置100は、スライド部材110が第1下部116aおよび第2下部116bをさらに有する点を除いて
図1を参照して上述した搬送装置100と同様の構成を有している。このため、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0114】
図11に示すように、スライド部材110は、レール200の第1部材204aおよび第2部材204bを上方、側方および下方から覆う。レール200の第1部材204aはスライド部材110に上方、+X方向側方および下方から覆われる。また、レール200の第2部材204bはスライド部材110に上方、-X方向側方および下方から覆われる。
【0115】
スライド部材110は、上部112、第1側部114aおよび第2側部114bに加えて、第1下部116aおよび第2下部116bをさらに有する。第1下部116aは、第1側部114aの-Z方向側に配置されており、第1側部114aと連結している。第2下部116bは、第2側部114bの-Z方向側に配置されており、第2側部114bと連結している。
【0116】
このように、スライド部材110は、レール200の第1部材204aを上方、側方および下方から覆うとともに、レール200の第2部材204bを上方、側方および下方から覆う。このため、スライド部材110の位置を高精度に制御できる。
【0117】
また、
図1~
図11を参照して上述した説明では、気体噴出部120は、レール200に対して、-Z方向、-X方向および+X方向に気体を噴出したが、本実施形態はこれに限定されない。気体噴出部120は、-Z方向、-X方向および+X方向だけでなく+Z方向にも気体を噴出してもよい。
【0118】
以下、
図12を参照して、本実施形態の搬送装置100を説明する。
図12(a)は、本実施形態の搬送装置100の模式的なXZ断面図であり、
図12(b)は、本実施形態の搬送装置100の模式的なYZ断面図である。
【0119】
図12(a)および
図12(b)に示すように、搬送装置100は、気体噴出部120として、上方噴出部120a、側方噴出部120bおよび下方噴出部120cを備える。上方噴出部120aは、スライド部材110の上部112に設けられており、レール200の第1部材204aおよび第2部材204bに対して-Z方向に向かって気体を噴出する。
【0120】
側方噴出部120bは、スライド部材110の第1側部114aおよび第2側部114bに設けられており、レール200の第1部材204aおよび第2部材204bに対して-X方向または+X方向に向かって気体を噴出する。また、下方噴出部120cは、第1下部116aおよび第2下部116bに設けられており、レール200の第1部材204aおよび第2部材204bに対して+Z方向に向かって気体を噴出する。
【0121】
このように、上方噴出部120aおよび側方噴出部120bがレール200の上方および側方から気体を噴出するとともに、下方噴出部120cがレール200の下方から気体を噴出するため、スライド時におけるレール200に対するスライド部材110の位置を高精度に制御できる。
【0122】
より詳細には、上方噴出部120aは、+X方向側にY方向に沿って3個設けられており、また、-X方向側にY方向に沿って3個設けられている。側方噴出部120bは、+X方向側にY方向に沿って3個設けられており、また、-X方向側にY方向に沿って3個設けられている。下方噴出部120cは、+X方向側にY方向に沿って3個設けられており、また、-X方向側にY方向に沿って3個設けられている。
【0123】
+X方向側に設けられた3個の上方噴出部120aは、+Y方向側および-Y方向側に設けられている。+X方向側に設けられた3個の下方噴出部120cは、+Y方向側、中央および-Y方向側に設けられている。+Y方向側および-Y方向側の下方噴出部120cは、レール200の第1部材204aを介して、3個の上方噴出部120aと対向している。一方で、中央の下方噴出部120cは、レール200の第1部材204aを介して、上方噴出部120aとは対向しない。このように、レール200の第1部材204aに気体を噴出する上方噴出部120aの数は、レール200の第1部材204aに気体を噴出する下方噴出部120cの数よりも少ない。
【0124】
また、-X方向側に設けられた2個の上方噴出部120aは、+Y方向側および-Y方向側に設けられている。-X方向側に設けられた3個の下方噴出部120cは、+Y方向側、中央および-Y方向側に設けられている。
【0125】
スライド部材110の駆動機構は、スライド部材110とレール200との間に設けられてもよい。例えば、スライド部材110の駆動機構は、リニアモータであってもよい。
【0126】
以下、
図13を参照して、本実施形態の搬送装置100を説明する。
図13は、本実施形態の搬送装置100の模式図である。
図13に示した搬送装置100は、スライド部材110とレール200との間に配置された駆動部150を備える点を除いて
図1を参照して上述した搬送装置100と同様の構成を有している。このため、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0127】
図13に示すように、本実施形態の搬送装置100において、駆動部150は、スライド部材110とレール200との間に設けられる。駆動部150は、スライド部材110がレール200に沿って移動するようにスライド部材110を駆動する。
【0128】
駆動部150は、可動子152と、固定子154とを有する。可動子152は、スライド部材110の上部112に取り付けられる。詳細には、可動子152は、スライド部材110の上部112の-Z方向側の主面においてX方向の中央にY方向に沿って取り付けられる。可動子152は、コイルを含む。
【0129】
固定子154は、レール200の基台202の上部に配置される。固定子154は、Y方向に延びている。固定子154は、XZ断面においてU字形状を有している。固定子154は、磁石を含む。磁石として、ネオジム磁石が好適に用いられる。
【0130】
可動子152および固定子154は、可動子152の先端が固定子154の開口部内に進入するように配置される。可動子152に電流が流れる場合、可動子152から発生する磁束と固定子154との間の吸引作用および反発作用により、可動子152に対して力が付与される。このため、可動子152の取りつけられたスライド部材110をレール200に対してスライドできる。
【0131】
上述したように、本実施形態の搬送装置100は、種々の部材を搬送できる。特に、搬送装置100は、気体噴出部120により、レール200に対して滑らかに移動するため、振動が好ましくない部材を好適に搬送できる。例えば、搬送装置100は、基板の搬送に好適に用いられる。特に、搬送装置100は、気体噴出部120を備えていることから、搬送中であっても振動の影響を抑制しながら適切に動作を実行できる。搬送装置100は、半導体基板等の基板に対して露光する露光装置に好適に用いられる。
【0132】
以下、
図14を参照して、本実施形態の搬送装置100を備えた露光装置300を説明する。
図14(a)は、本実施形態の搬送装置100を備えた露光装置300の模式的な側面図であり、
図14(b)は露光装置300の模式的な平面図である。
【0133】
ここでは、露光装置300は、基板Wに対して露光処理を行う。露光装置300は、基板Wの上面に、CADデータなどに応じて空間変調した光を照射して、パターン(例えば、回路パターン)を露光(描画)する。搬送装置100は、露光前または露光後の基板Wを搬送する。
【0134】
基板Wには、レジストなどの感光材料の層が形成される。基板Wは、例えば、半導体基板、プリント基板、液晶表示装置などに具備されるカラーフィルタ用基板、液晶表示装置やプラズマ表示装置などに具備されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、太陽電池用パネル、などである。例えば、基板Wは薄い円形状である。
【0135】
露光装置300は、基台310、支持フレーム320、保持部330、ステージ駆動部340、露光部350および撮像部360を備える。基台310は、Y方向に延びる。基台310は、支持フレーム320、保持部330、ステージ駆動部340、露光部350および撮像部360を直接的または間接的に支持する。
【0136】
支持フレーム320は、基台310上に設けられている。支持フレーム320は、門形状であり、露光部350を支持する。具体的には、支持フレーム320は、複数の柱と、柱によって支持される中空状の箱部とを有している。露光部350は、箱部の内部に配置される。
【0137】
保持部330は、基板Wを保持するステージを含む。保持部330は、基台310上に配置される。例えば、保持部330は、平板状の外形を有し、その上面に基板Wを水平姿勢に載置して保持する。保持部330の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が設けられており、吸引孔に負圧(吸引圧)を形成することによって、保持部330上に載置された基板Wは保持部330の上面に保持される。
【0138】
ステージ駆動部340は、基台310に対して保持部330を移動する。ステージ駆動部340は、回転部材342と、搬送装置100と、レール200と、搬送装置100Aと、レール200Aとを含む。
【0139】
回転部材342は、基板Wを保持する保持部330を回転方向(Z方向を回転軸とする回転方向)に回転させる。搬送装置100および搬送装置100Aは、基板Wを保持する保持部330を搬送する。搬送装置100は、保持部330をY方向に搬送する。搬送装置100Aは、保持部330をX方向に搬送する。ステージ駆動部340は、基台310上に配置される。
【0140】
搬送装置100は、基台310の上に配置される。搬送装置100は、Y方向(主走査方向)に移動可能である。搬送装置100Aは、搬送装置100の上に配置される。搬送装置100Aは、X方向(副走査方向)に移動可能である。回転部材342は、搬送装置100Aの上に配置される。
【0141】
回転部材342は、保持部330の上面(基板Wの載置面)の中心を通り、基板Wの載置面に対して垂直な回転軸Aを中心として回転する。回転部材342は、回転軸部342aと、回転駆動部342bとを含む。回転軸部342aは、例えば、上端が載置面の裏面側に固着され、鉛直軸に沿って延びる。回転駆動部342bは、回転軸部342aの下端に設けられ、回転軸部342aを回転させる。回転駆動部342bは、回転モータを含む。回転駆動部342bが回転軸部342aを回転させることにより、保持部330が水平面内で回転軸Aを中心として回転する。
【0142】
搬送装置100Aは、スライド部材110Aと、ボールベアリング120Aと、駆動部150Aとを備える。スライド部材110Aは、回転部材342を介して保持部330を支持する。スライド部材110Aは、一対のレール200Aに沿ってスライドする。
【0143】
搬送装置100は、スライド部材110と、気体噴出部120と、制動部130と、駆動部150とを備える。スライド部材110は、搬送装置100Aを支持する。制動部130として、第1制動部130aおよび第2制動部130bに加えて第3制動部130cおよび第4制動部130dが設けられる。
【0144】
一対のレール200Aは、スライド部材110の上面でX方向に沿って延びる。各レール200Aとスライド部材110Aとの間には、ボールベアリング120Aが設置されている。スライド部材110Aは、ボールベアリング120Aを介して一対のレール200A上に支持される。スライド部材110Aは、レール200Aに摺動しながらレール200Aに沿って移動できる。
【0145】
駆動部150Aは、リニアモータを含む。リニアモータは、可動子と、固定子とを有する。可動子は、スライド部材110Aの下面に取り付けられている。固定子は、スライド部材110の上面に配置される。駆動部150Aを駆動させると、スライド部材110Aはレール200Aに沿ってX方向に沿って滑らかに移動する。
【0146】
また、基台310には、一対のレール200が配置される。レール200は、それぞれ、Y方向に延びる。スライド部材110とレール200との間には気体噴出部120が設けられている。気体噴出部120には、外部の気体供給部からエアが常時供給されており、スライド部材110は、気体噴出部120によってレール200上に非接触で浮上して支持される。
【0147】
駆動部150は、リニアモータを含む。リニアモータは、可動子と、固定子とを有する。可動子は、スライド部材110の下面に取り付けられる。固定子は、基台310上に配置される。駆動部150を駆動させると、スライド部材110はレール200に沿ってY方向に沿って滑らかに移動する。
【0148】
露光部350は、基板Wに光を照射してパターンを描画する。ここでは、露光装置300は、露光部350を2個備える。ただし、露光部350の搭載個数は、必ずしも2個である必要はなく、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。
【0149】
撮像部360は、基板Wを撮像する光学機器を含む。撮像部360は、保持部330に保持された基板Wの上面を撮像する。撮像部360は、支持フレーム320に支持される。
【0150】
撮像部360は、例えば、鏡筒と、フォーカシングレンズと、CCDイメージセンサと、駆動部とを備える。鏡筒は、露光装置300の筐体外部に配置された照明ユニット(すなわち、撮像用の照明光(ただし、照明光としては、基板W上のレジストなどを感光させない波長の光が選択されている)を供給する照明ユニット)と、ファイバケーブルなどを介して接続されている。CCDイメージセンサは、エリアイメージセンサ(二次元イメージセンサ)などにより構成される。また、駆動部は、モータなどにより構成され、フォーカシングレンズを駆動してその高さ位置を変更する。駆動部が、フォーカシングレンズの高さ位置を調整することによって、オートフォーカスが行われる。
【0151】
撮像部360においては、外部の照明ユニットから出射される光が鏡筒に導入され、フォーカシングレンズを介して、保持部330上の基板Wの上面に導かれる。そして、その反射光が、CCDイメージセンサで受光される。これによって、基板Wの上面の撮像データが取得される。この撮像データは、基板Wのアライメント(位置合わせ)に利用される。
【0152】
露光装置300は、露光動作時に、搬送装置100が基板Wを保持した保持部330を+Y方向に移動させながら保持部330の位置を計測し、露光部350は、所望のタイミングで基板Wに照射する光を切り替えることにより、基板W上にパターンを形成する。Y方向の移動が終了すると、搬送装置100AがX方向に露光ビーム幅分のステップだけ基板Wを移動させ、その後、搬送装置100が基板Wを保持した保持部330を-Y方向に移動する。これを繰り返すことにより基板Wの全面にパターンが形成される。
【0153】
本実施形態の露光装置300では、搬送装置100は、レール200に気体を噴出しながら基板WをY方向に搬送する。このため、基板Wに対する振動を抑制でき、露光部350が基板Wに光でパターンを形成する際の露光ずれを抑制できる。特に、基板Wの直径が300mm以上であっても、搬送装置100は低振動で高精度に基板Wを搬送できる。また、本実施形態の露光装置300では、搬送装置100Aは、ボールベアリング120Aによって基板WをX方向に搬送する。このため、所定の距離だけ移動した後の基板Wを確実に停止できる。
【0154】
なお、
図14を参照して上述した露光装置300では、基板Wは、X方向にはボールベアリング120Aを介して搬送されたが、本実施形態はこれに限定されない。基板WをY方向に搬送する搬送装置100だけでなく基板WをX方向に搬送する搬送装置100Aのいずれもスライド部材110、110Aに気体噴出部および制動部が設けられてもよい。
【0155】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0156】
例えば、上述した説明では、制動部130はレール200に気体を噴出したが、本実施形態はこれに限定されない。制動部130は、磁力を用いて、スライド部材110を制動してもよい。例えば、制動部130とレール200との磁力による相互作用により、制動部130はスライド部材110を制動できる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、搬送装置および搬送方法に好適に用いられる。また、本発明は、露光装置に特に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0158】
100 搬送装置
110 スライド部材
120 気体噴出部
130 制動部