(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】パワーユニット懸架構造
(51)【国際特許分類】
B60K 1/00 20060101AFI20230526BHJP
B60K 17/04 20060101ALI20230526BHJP
B60K 17/12 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
B60K1/00
B60K17/04 K
B60K17/12
(21)【出願番号】P 2019087411
(22)【出願日】2019-05-07
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】土屋 利幸
(72)【発明者】
【氏名】梅津 崇
(72)【発明者】
【氏名】田島 正夫
(72)【発明者】
【氏名】白石 拡之
(72)【発明者】
【氏名】西河 鋭長
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-182749(JP,A)
【文献】特開2016-22811(JP,A)
【文献】特開2018-154194(JP,A)
【文献】特開2012-171529(JP,A)
【文献】特開2016-132326(JP,A)
【文献】特開2018-114786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00
B60K 17/04
B60K 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ、トランスアクスル、及びその他のユニット構成部材を有するパワーユニットが搭載された電気自動車におけるパワーユニット懸架構造であって、
車両幅方向の略中央部に前記トランスアクスルが配置され、
前記トランスアクスルに対して上方側であって、前記車両幅方向の一方側の位置に前記モータが配置されると共に、
前記トランスアクスルに対して上方側であって、前記モータとは反対側の位置に、前記その他のユニット構成部材のうちの一部又は全部が配置されており、
前記パワーユニットを上面視した状態において、前記車両幅方向軸に略平行な慣性主軸上に前記モータ及び前記その他のユニット構成部材が懸架されていることを特徴とするパワーユニット懸架構造。
【請求項2】
前記トランスアクスルが備えているデファレンシャルギアが、前記車両幅方向の略中央部を通るセンターライン上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーユニット懸架構造。
【請求項3】
前記電気自動車の前記車両幅方向の両側において、前後方向に延びるように配置された一対のサイドメンバを有し、
前記モータが、前記一対のサイドメンバのうち一方に対して第一のマウントを介して直接的あるいは間接的に懸架され、
前記その他のユニット構成部材のうちの一部又は全部が、前記一対のサイドメンバのうち他方に対して第二のマウントを介して直接的あるいは間接的に懸架されると共に、
前記モータに作用するトルク反力を受ける反力受部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパワーユニット懸架構造。
【請求項4】
前記第一のマウント、及び前記第二のマウントのいずれか一方又は双方が、前記電気自動車が備えるサスペンションタワーの基端近傍に配置され、前記サスペンションタワーに対して連結、あるいは前記サスペンションタワーと一体化されていることを特徴とする請求項3に記載のパワーユニット懸架構造。
【請求項5】
前記その他のユニット構成部材が、パワーコントロールユニット、あるいはその他の補機を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のパワーユニット懸架構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、トランスアクスル、及びその他のユニット構成部材を有するパワーユニットが搭載された電気自動車におけるパワーユニット懸架構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているようなパワーユニット懸架構造を備えた電気自動車が提供されている。特許文献1のパワーユニット懸架構造は、車両幅方向にモータ及び減速機の共通の軸を配置したものとされている。また、特許文献1のパワーユニット懸架構造は、パワーユニットの周囲に配置されたサブフレームのサイドフレーム部に対し、パワーユニットの左右両側部を懸架ブラケット、マウントゴム、モータ側マウントブラケットを介して懸架した構造とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来からあるパワーユニット懸架構造の多くは、内燃機関を搭載した車両をベースとして開発された車体を電気自動車用のものとして採用し、この車体に対してパワーユニットを懸架しようとするものである。そのため、例えばデファレンシャルギアが車両幅方向略中央部(センターライン)から外れた位置に配置される等した場合には、トルクステアを解消すべく、中間シャフト等の他部材が必要になる場合があった。また、従来からあるパワーユニット懸架構造においては、サイドメンバとの兼ね合いで配置スペースに制約が生じる等の問題が生じる場合があった。そのため、従来技術においては、パワーユニットを懸架するために車両前後方向に大きなスペースが必要となってしまう等の問題があった。
【0005】
また、従来技術のパワーユニット懸架構造においては、ユニットの慣性主軸が車両幅方向軸等に対して傾いているため、車両幅方向に略平行なユニットロール方向の慣性軸をバランスさせることが困難である。そのため、駆動反力が入力された場合に、パワーユニットのバランスが悪く、例えば大きな振動や騒音の発生原因となったり、耐久性を低下させる可能性がある等の問題があった。
【0006】
そこで本発明は、パワーユニットの懸架に要するスペースを車両前後方向にコンパクト化しつつ、パワーユニットをバランス良く懸架可能なパワーユニット懸架構造の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決すべく提供される本発明は、モータ、トランスアクスル、及びその他のユニット構成部材を有するパワーユニットが搭載された電気自動車におけるパワーユニット懸架構造であって、車両幅方向の略中央部に前記トランスアクスルが配置され、前記トランスアクスルに対して上方側であって、前記車両幅方向の一方側の位置に前記モータが配置されると共に、前記トランスアクスルに対して上方側であって、前記モータとは反対側の位置に、前記その他のユニット構成部材のうちの一部又は全部が配置されており、前記パワーユニットを上面視した状態において、前記車両幅方向軸に略平行な慣性主軸上に前記モータ及び前記その他のユニット構成部材が懸架されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明のパワーユニット懸架構造は、トランスアクスルに対して上方側にモータやその他のユニット構成部材を配置したものである。そのため、本発明のパワーユニット懸架構造によれば、パワーユニットの懸架に要する車両前後方向へのスペースを最小限に抑制できる。従って、本発明のパワーユニット懸架構造によれば、例えば電気自動車の居室拡大や衝突による衝撃を受けても潰れずに残る部分(衝突時デッドストローク)の最小化等、車両前後方向への省スペース化に伴う様々な副次的効果が見込める。
【0009】
また、本発明のパワーユニット懸架構造は、車両幅方向の略中央部にトランスアクスルが配置され、トランスアクスルに対して車両幅方向一方側にモータを配置すると共に、他方側にその他のユニット構成部材のうちの一部又は全部を配置し、前記車両幅方向軸に略平行な慣性主軸上にモータ及びその他のユニット構成部材を懸架したものである。このような構成とすることにより、車両幅方向に略平行なユニットロール方向の慣性軸を車両幅方向軸に対して略平行に配置させ、パワーユニットをバランス良く懸架することができる。従って、本発明のパワーユニット懸架構造によれば、振動や騒音抑制や、耐久性の向上等の効果が見込める。
【0010】
また、本発明のパワーユニット懸架構造のように、車両幅方向の略中央部にトランスアクスルを配置することにより、衝突時に例えばトランスアクスルとステアリングシャフトやペダル等が干渉する可能性を低減できる。これにより、クラッシュストロークとして見込んでいる領域に、衝突時デッドストロークが発生するのを最小限に抑制できる。また、デッドストロークの最小化が図れるため、本発明によれば、電気自動車のショートオーバーハング化や前後方向の省スペース化にも貢献できる。
【0011】
また、上述した本発明のパワーユニット懸架構造は、前記トランスアクスルが備えているデファレンシャルギアが、前記車両幅方向の略中央部を通るセンターライン上に配置されたものであると良い。
【0012】
かかる構成によれば、左右のドライブシャフトに作用するねじれ剛性を略均一化することができる。これにより、電気自動車におけるトルクステアの発生を抑制することができる。
【0013】
上述した本発明のパワーユニット懸架構造は、前記電気自動車の前記車両幅方向の両側において、前後方向に延びるように配置された一対のサイドメンバを有し、前記モータが、前記一対のサイドメンバのうち一方に対して第一のマウントを介して直接的あるいは間接的に懸架され、前記その他のユニット構成部材のうちの一部又は全部が、前記一対のサイドメンバのうち他方に対して第二のマウントを介して直接的あるいは間接的に懸架されると共に、前記モータに作用するトルク反力を受ける反力受部材が設けられているものであると良い。
【0014】
かかる構成によれば、モータ及びその他のユニット構成部材をフローティングさせた状態とすることができる。これにより、ギアノイズや、その他のユニット構成部材において発生する振動の伝達を低減することができる。
【0015】
なお、上述のようにモータ及びその他のユニット構成部材のうちの一部又は全部は、サイドメンバに対して第一のマウント及び第二のマウントを介して直接的に懸架されても良いが、例えば、サイドメンバにマウントがないサスペンションやクロスメンバーに対して第一のマウント及び第二のマウントを介して懸架する等して、サイドメンバに対して間接的に懸架されても良い。
【0016】
また、モータに作用するトルク反力を受ける反力受部材は、例えば第一のマウント及び第二のマウントと同様にマウントによって構成したり、いわゆるトルクロッドやトルクストッパ等によって構成したりしても良い。また、反力受部材は、単一のマウント等によって構成されても良いが、複数のマウント等によって構成されても良い。
【0017】
上述した構成によれば、マウント軸が車両左右軸で略一致させることができる。これにより、例えば、駆動反力に対するマウント特性が制御しやすくなる、衝突時における一対のサイドメンバの耐力や変形量も合わせやすくなる等の効果が得られる。
【0018】
上述した本発明のパワーユニット懸架構造は、前記第一のマウント、及び前記第二のマウントのいずれか一方又は双方が、前記電気自動車が備えるサスペンションタワーの基端近傍に配置され、前記サスペンションタワーに対して連結、あるいは前記サスペンションタワーと一体化されているものであると良い。
【0019】
かかる構成によれば、電気自動車の車体剛性を向上させることができると共に、衝突による衝撃を受けてもサスタワーが潰れずに残るのを最小限に抑制できる。
【0020】
上述した本発明のパワーユニット懸架構造は、前記その他のユニット構成部材が、パワーコントロールユニット、あるいはその他の補機を含むものであると良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、パワーユニットの懸架に要するスペースを車両前後方向にコンパクト化しつつ、パワーユニットをバランス良く懸架可能なパワーユニット懸架構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパワーユニット懸架構造を示す模式図である。
【
図2】
図1に示したパワーユニット懸架構造の側面図である。
【
図3】(a),(b)はそれぞれ、パワーユニット懸架構造と慣性主軸の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係るパワーユニット懸架構造10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に示すように、パワーユニット懸架構造10は、電気自動車の車体をなす左右のサイドメンバ2,4を利用してパワーユニット20を懸架したものである。サイドメンバ2,4は、それぞれ電気自動車の車両幅方向の両側(左右)において、車両前後方向に延びるように配置された左右一対の部材である。
【0024】
図1に示すように、パワーユニット20は、トランスアクスル22、モータ24、及びその他のユニット構成部材を有する。本実施形態のパワーユニット懸架構造10においては、その他のユニット構成部材として、パワーコントロールユニット26が設けられている。パワーユニット20は、第一のマウント30、及び第二のマウント32を介してサイドメンバ2,4に対して懸架されると共に、反力受部材34を用いてモータ24に作用するトルク反力を受けることができるように設置されている。反力受部材34は、例えば第一のマウント30及び第二のマウント32と同様のマウントや、いわゆるトルクロッドやトルクストッパ等によって構成することができる。反力受部材34は、単一のマウント等によって構成されても良いが、複数のマウント等によって構成されても良い。
【0025】
具体的には、トランスアクスル22は、車両幅方向の略中央部に配置されている。トランスアクスル22は、従来公知のものと同様に、トランスミッション(図示せず)や、デファレンシャルギア22a等を一体化した装置である。デファレンシャルギア22aは、車両幅方向両方向(左右方向)に延びるように設けられたドライブシャフト6,8に対して接続されている。
【0026】
モータ24は、トランスアクスル22に対して上方側に配置されている。また、モータ24は、トランスアクスル22に対して車両幅方向一方側(図示例では左側)に隣接する位置に配置されている。トランスアクスル22は、第一のマウント30を介して左側のサイドメンバ2に対して懸架されている。第一のマウント30は、サイドメンバ2においてサスペンションタワー3の根元近傍の位置に設けられている。モータ24の出力軸は、デファレンシャルギア22aに対して動力伝達可能なように直接的あるいは間接的に接続されている。
【0027】
パワーコントロールユニット26は、トランスアクスル22に対して上方側に配置されている。また、パワーコントロールユニット26は、モータ24とは反対側の位置(図示例では右側)に配置されている。パワーコントロールユニット26は、第二のマウント32を介し、右側のサイドメンバ4に対して懸架されている。第二のマウント32は、サイドメンバ4においてサスペンションタワー5の根元近傍の位置に設けられている。
【0028】
図1や
図2に示すように、パワーユニット懸架構造10は、モータ24及びトランスアクスル22(デファレンシャルギア22a)が上下に配置された構成とされている。また、
図3に示すように、パワーユニット懸架構造10は、パワーユニット20を車両上方側から見た(上面視した)状態において、車両幅方向軸に略平行な慣性主軸X上にモータ24及びパワーコントロールユニット26を懸架した構成とされている。また、パワーユニット懸架構造10は、デファレンシャルギア22aが車両幅方向の略中央部を通るセンターラインCL上に到来するように配置されている。
【0029】
上述したように、本実施形態のパワーユニット懸架構造10は、トランスアクスル22に対して上方側にモータ24やパワーコントロールユニット26を配置したものである。そのため、パワーユニット懸架構造10は、パワーユニット20の懸架に要する車両前後方向へのスペースを最小限に抑制できる。これにより、例えば電気自動車の居室拡大や衝突時デッドストロークの最小化等、車両前後方向への省スペース化や、ショートオーバーハング化を図ることができる。
【0030】
また、上述したように、パワーユニット懸架構造10は、車両幅方向の略中央部にトランスアクスル22を配置すると共に、トランスアクスル22に対して車両幅方向一方側にモータ24を配置し、他方側にパワーコントロールユニット26を配置したものである。また、モータ24及びパワーコントロールユニット26が、車両幅方向軸に略平行な慣性主軸Xの直上に懸架されている。このような構成とすることにより、車両幅方向に略平行なユニットロール方向の慣性軸をバランスさせ、パワーユニット20をバランス良く懸架することができる。従って、上述したパワーユニット懸架構造10によれば、振動や騒音抑制や、耐久性の向上等の効果が見込める。
【0031】
また、本実施形態のパワーユニット懸架構造10のように、車両幅方向の略中央部にトランスアクスル22を配置することにより、衝突時にトランスアクスル22とステアリングシャフトやペダル等が干渉する可能性を低減できる。これにより、クラッシュストロークとして見込んでいる領域に、衝突による衝撃を受けても潰れずに残る部分(デッドストローク)が発生するのを最小限に抑制できる。また、デッドストロークの最小化が図れるため、本実施形態によれば、電気自動車のショートオーバーハング化にも貢献できる。
【0032】
また上述したように、パワーユニット懸架構造10においては、デファレンシャルギア22aが、車両幅方向の略中央部を通るセンターラインCL上に配置されたものとされている。これにより、左右のドライブシャフト6,8が略等長となり、ねじれ剛性を略均一化し、トルクステアの発生を抑制することができる。
【0033】
上述したように、本実施形態のパワーユニット懸架構造10では、サイドメンバ2,4に設けられた第一のマウント30及び第二のマウント32や、反力受部材34を用いることにより、モータ24及びパワーコントロールユニット26をフローティングさせた状態とすることができる。これにより、ギアノイズや、パワーコントロールユニット26において発生する振動の伝達を低減することができる。また、上述した構成によれば、マウント軸が車両左右軸で略一致させることができる。そのため、パワーユニット懸架構造10によれば、駆動反力に対するマウント特性が制御しやすくなる。また、パワーユニット懸架構造10によれば、衝突時における一対のサイドメンバ2,4の耐力や変形量も合わせやすくなる。
【0034】
また、パワーユニット懸架構造10は、第一のマウント30、及び第二のマウント32が、電気自動車が備えるサスペンションタワー3,5の基端近傍に配置されている。また、第一のマウント30、及び第二のマウント32は、それぞれサスペンションタワー3,5に対し、ステー等の連結部材36,38を介して連結されている。このような構成とすることにより、電気自動車の車体剛性を向上させることができると共に、衝突による衝撃を受けてもサスタワーが潰れずに残るのを最小限に抑制できる。
【0035】
なお、
図1に示したパワーユニット懸架構造10の例においては、第一のマウント30、及び第二のマウント32の双方が、サスペンションタワー3,5の基端近傍に配置されると共に、サスペンションタワー3,5に対して連結部材36,38を介して連結された構成とされているが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、パワーユニット懸架構造10は、第一のマウント30及び第二のマウント32とサスペンションタワー3,5とが連結部材36,38を介することなく一体化されたものとしても良い。また、パワーユニット懸架構造10は、必ずしも第一のマウント30及び第二のマウント32の双方が、サスペンションタワー3,5と連結あるいは一体化されている必要はなく、第一のマウント30及び第二のマウント32のいずれか一方のみがサスペンションタワー3,5のいずれかと連結あるいは一体化されているものであっても良い。また、リア駆動の車両等のように、第一のマウント30及び第二のマウント32とサスペンションタワー3,5との連結構造や一体化構造を形成できない車両においては、上述したような連結構造や一体化構造を採用する必要はない。
【0036】
本実施形態では、モータ24やトランスアクスル22と共にパワーコントロールユニット26を構成するその他のユニット構成部材として、パワーコントロールユニット26を備え、これをトランスアクスル22に対して上方側であって、モータ24とは反対側の位置に設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、トランスアクスル22に対して上方側であって、モータ24とは反対側の位置に設けるその他のユニット構成部材として、パワーコントロールユニット26に代えて、あるいはパワーコントロールユニット26に加えて、その他の構成部材として例えばエアコンコンプレッサ等を設けても良い。
【0037】
なお、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示および精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、モータ、トランスアクスル、及びその他のユニット構成部材を有するパワーユニットが搭載された電気自動車全般において、好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
2 :サイドメンバ
3 :サスペンションタワー
4 :サイドメンバ
5 :サスペンションタワー
6 :ドライブシャフト
8 :ドライブシャフト
10 :パワーユニット懸架構造
20 :パワーユニット
22 :トランスアクスル
22a :デファレンシャルギア
24 :モータ
26 :パワーコントロールユニット
30 :第一のマウント
32 :第二のマウント
34 :反力受部材
CL :センターライン
X :慣性主軸