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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20230526BHJP
【FI】
C12M1/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019171027
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021045092
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-07-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (ウェブ掲載) 掲載日:平成30年9月27日 http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS08122/fc91ce4e/2cda/40b1/9635/33be590cf238/20180927102904295s.pdf (販売) 販売先:株式会社スズケン 販売日:平成30年11月7日 販売先:株式会社アキメディ 販売日:平成30年11月7日 販売先:株式会社アステム 販売日:平成30年11月8日 販売先:株式会社メディセオ 販売日:平成30年11月9日 販売先:四国製薬株式会社 販売日:平成30年11月26日 販売先:株式会社ほくやく 販売日:平成30年11月26日 販売先:アルフレッサ株式会社 販売日:平成30年11月26日 販売先:株式会社バイタルネット 販売日:平成30年12月7日 販売先:株式会社ファイネス 販売日:平成30年12月18日 販売先:ティーエスアルフレッサ株式会社 販売日:平成31年1月18日 販売先:東邦薬品株式会社 販売日:平成31年1月18日 販売先:株式会社マルタケ 販売日:平成31年4月17日 販売先:中澤氏家薬業株式会社 販売日:平成31年4月22日 販売先:竹内化学株式会社 販売日:令和1年5月17日 販売先:中北薬品株式会社 販売日:令和1年6月7日 販売先:株式会社ケーエスケー 販売日:令和1年6月24日 販売先:岡野薬品株式会社 販売日:令和1年6月26日 販売先:株式会社アビオス 販売日:令和1年9月11日 販売先:アルフレッサ篠原化学株式会社 販売日:令和1年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598034720
【氏名又は名称】株式会社ミズホメディー
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】川人 雅大
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-93750(JP,A)
【文献】特開2010-081873(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0071342(US,A1)
【文献】特表2018-505680(JP,A)
【文献】特開2003-176028(JP,A)
【文献】特表2018-502309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-42
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸を含む試料を受ける凹部を有するケースと、
液剤を貯蔵し、第1軸方向に移動可能に構成される液剤容器と、
前記液剤容器が前記第1軸方向に移動する際に、前記液剤を前記凹部へ流動可能とする流動部材と、
前記ケースの端部から外向きに突出し、内部に空間を有するとともに、測定装置内に装着可能に形成される反応チューブと、
前記試料に含まれる前記核酸を保持するフィルタと、
前記ケース内に収納され、前記フィルタが前記試料に接する滴下位置と、前記フィルタが前記反応チューブの前記空間内に位置する反応位置と、の間で移動自在に前記フィルタを支持するフィルタ支持部材と、
下側から圧接して前記フィルタ支持部材の移動を規制する規制位置と、前記規制位置から移動して前記フィルタ支持部材の移動を自由にする自由位置と、の間で移動自在な支柱板と、を備える核酸増幅反応用デバイスに用いられる搬送装置であって、
前記液剤容器と当接しない第1非当接位置から、前記液剤容器と当接する第1当接位置を経由し、前記液剤容器を前記第1軸方向に移動させた後の第1移動後位置へ移動可能に構成される第1可動部と、
前記支柱板と当接しない第2非当接位置から、前記支柱板と当接する第2当接位置を経由し、前記支柱板を前記規制位置から前記自由位置に移動させた後の第2移動後位置へ移動可能に構成される第2可動部と、
前記フィルタ支持部材と当接しない第3非当接位置から、前記フィルタ支持部材と当接する第3当接位置を経由し、前記フィルタ支持部材を前記滴下位置から前記反応位置に移動させた後の第3移動後位置へ移動可能に構成される第3可動部と、
前記核酸増幅反応用デバイスが載置され、前記測定装置の外部と前記測定装置の内部との間を移動可能に構成される第4可動部と、
前記第1可動部を駆動する第1駆動部と、
前記第2可動部を駆動する第2駆動部と、
前記第3可動部を駆動する第3駆動部と、
前記第4可動部を駆動する第4駆動部と、を備える、
搬送装置。
【請求項2】
前記液剤容器は、前記液剤を密封する密封部材を有し、
前記流動部材は、前記密封部材に向かって突出し、前記液剤容器が前記第1軸方向に移動する際に前記密封部材を破壊する凸部を有し、
前記第1非当接位置を検出する第1センサと、
前記第1移動後位置を検出する第2センサと、
第1センサの検出結果及び第2センサの検出結果に基づき、前記第1駆動部を制御する制御部と、をさらに備える、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第2非当接位置を検出する第3センサと、
前記第2移動後位置を検出する第4センサと、
第3センサの検出結果及び第4センサの検出結果に基づき、前記第2駆動部を制御する制御部と、をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第3非当接位置を検出する第5センサと、
前記第3移動後位置を検出する第6センサと、
第5センサの検出結果及び第6センサの検出結果に基づき、前記第3駆動部を制御する制御部と、をさらに備える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、核酸増幅反応用デバイスを搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸増幅反応を進行させるための核酸増幅反応用デバイスがある。このような核酸増幅反応用デバイスは、たとえば特許文献1などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-93750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の核酸増幅反応用デバイスでは、核酸を含む試料が測定者によって供給された後は、試料の捕獲、試料洗浄、試料と核酸増幅反応用試薬との混合、及び試料の測定を、測定者が試料に直接接触することなく当該デバイスの内部で完結可能なように構成される。この際、試料洗浄、及び試料と核酸増幅反応用試薬との混合については、デバイス外部からの機械的な操作が求められる。これらの機械的な操作に加えて、核酸増幅反応用デバイスの測定装置への搬出入を、測定者の操作によらないで行うことが可能な装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題などを解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の一の手段は、
核酸を含む試料を受ける凹部を有するケースと、
液剤を貯蔵し、第1軸方向に移動可能に構成される液剤容器と、
前記液剤容器が前記第1軸方向に移動する際に、前記液剤を前記凹部へ流動可能とする流動部材と、
前記ケースの端部から外向きに突出し、内部に空間を有するとともに、測定装置内に装着可能に形成される反応チューブと、
前記試料に含まれる前記核酸を保持するフィルタと、
前記ケース内に収納され、前記フィルタが前記試料に接する滴下位置と、前記フィルタが前記反応チューブの前記空間内に位置する反応位置と、の間で移動自在に前記フィルタを支持するフィルタ支持部材と、
下側から圧接して前記フィルタ支持部材の移動を規制する規制位置と、前記規制位置から移動して前記フィルタ支持部材の移動を自由にする自由位置と、の間で移動自在な支柱板と、を備える核酸増幅反応用デバイスに用いられる搬送装置であって、
前記液剤容器と当接しない第1非当接位置から、前記液剤容器と当接する第1当接位置を経由し、前記液剤容器を前記第1軸方向に移動させた後の第1移動後位置へ移動可能に構成される第1可動部と、
前記支柱板と当接しない第2非当接位置から、前記支柱板と当接する第2当接位置を経由し、前記支柱板を前記規制位置から前記自由位置に移動させた後の第2移動後位置へ移動可能に構成される第2可動部と、
前記フィルタ支持部材と当接しない第3非当接位置から、前記フィルタ支持部材と当接する第3当接位置を経由し、前記フィルタ支持部材を前記滴下位置から前記反応位置に移動させた後の第3移動後位置へ移動可能に構成される第3可動部と、
前記核酸増幅反応用デバイスが載置され、前記測定装置の外部と前記測定装置の内部との間を移動可能に構成される第4可動部と、
前記第1可動部を駆動する第1駆動部と、
前記第2可動部を駆動する第2駆動部と、
前記第3可動部を駆動する第3駆動部と、
前記第4可動部を駆動する第4駆動部と、を備える、
搬送装置である。
【0007】
上記構成の搬送装置によれば、第1駆動部によって駆動される第1可動部が第1非当接位置から第1移動後位置へ移動することで、液剤容器を第1軸方向へ移動させることができるので、液剤によって試料を洗浄することができる。また、第2駆動部によって駆動される第2可動部が第2非当接位置から第2移動後位置へ移動することで、支柱板を自由位置に移動させることができるので、フィルタ支持部材の移動を自由にすることができる。そして、第3駆動部によって駆動される第3可動部が第3非当接位置から第3移動後位置へ移動することで、フィルタが反応チューブの空間内に位置する反応位置にフィルタ支持部材を移動させることができる。これにより、たとえば、反応チューブの空間内に充填された反応試薬と試料とを混合させることができる。また、第4駆動部によって駆動される第4可動部が測定装置の外部と測定装置の内部との間を移動することで、核酸増幅反応用デバイスの測定装置への搬出入を行うことができる。したがって、試料洗浄、及び試料と核酸増幅反応用試薬との混合、ならびに核酸増幅反応用デバイスの測定装置への搬出入を測定者の操作によらないで行うことができる。
【0008】
上記搬送装置において、好ましくは、
前記液剤容器は、前記液剤を密封する密封部材を有し、
前記流動部材は、前記密封部材に向かって突出し、前記液剤容器が前記第1軸方向に移動する際に前記密封部材を破壊する凸部を有し、
前記第1非当接位置を検出する第1センサ(22H)と、
前記第1移動後位置を検出する第2センサ(22E)と、
第1センサの検出結果及び第2センサの検出結果に基づき、前記第1駆動部を制御する制御部と、をさらに備える。
【0009】
たとえば、位置を認識することが可能なステッピングモータを第1駆動部として用いる場合、凸部が密封部材を破壊する際の急激な負荷変動によってステッピングモータが脱調することがある。ステッピングモータが脱調した場合、第1可動部が第1移動後位置に到達したか否か判断することが困難となるので、核酸増幅反応用デバイスにおいて試料洗浄が行われなくなることがある。上記構成の搬送装置によれば、第1可動部が第1移動後位置に到達したことを第2センサの検出結果に基づき認識することができるので、第1可動部を第1移動後位置に確実に移動させ、試料洗浄を行わせることができる。
【0010】
上記搬送装置において、好ましくは、
前記第2非当接位置を検出する第3センサ(42H)と、
前記第2移動後位置を検出する第4センサ(42E)と、
第3センサの検出結果及び第4センサの検出結果に基づき、前記第2駆動部を制御する制御部と、をさらに備える。
【0011】
たとえば、位置を認識することが可能なステッピングモータを第2駆動部として用いる場合、第2可動部が、フィルタ支持部材を圧接する支柱板と当接する際の急激な負荷変動によってステッピングモータが脱調することがある。ステッピングモータが脱調した場合、第2可動部が第2移動後位置に到達したか否か判断することが困難となるので、フィルタ支持部材の移動が自由にならず、核酸増幅反応用デバイスにおいて試料と核酸増幅反応用試薬との混合が行われなくなることがある。上記構成の搬送装置によれば、第2可動部が第2移動後位置に到達したことを第4センサの検出結果に基づき認識することができるので、第2可動部を第2移動後位置に確実に移動させ、核酸増幅反応用デバイスにおいて試料と核酸増幅反応用試薬との混合を行わせることができる。
【0012】
上記搬送装置において、好ましくは、
前記第3非当接位置を検出する第5センサ(62H)と、
前記第3移動後位置を検出する第6センサ(62E)と、
第5センサの検出結果及び第6センサの検出結果に基づき、前記第3駆動部を制御する制御部と、をさらに備える。
【0013】
たとえば、反応チューブ内に充填された核酸増幅反応用の試薬の蒸発を防ぐために反応チューブ内に密封部材が配置されることがある。このような場合において、位置を認識することが可能なステッピングモータを第3駆動部として用いる場合、第3可動部によって駆動されたフィルタ支持部材が反応チューブ内の密封部材を破壊する際の急激な負荷変動によってステッピングモータが脱調することがある。ステッピングモータが脱調した場合、第3可動部が第3移動後位置に到達したか否か判断することが困難となるので、核酸増幅反応用デバイスにおいて試料と核酸増幅反応用試薬との混合が行われなくなることがある。上記構成の搬送装置によれば、第3可動部が第3移動後位置に到達したことを第6センサの検出結果に基づき認識することができるので、第3可動部を第3移動後位置に確実に移動させ、核酸増幅反応用デバイスにおいて試料と核酸増幅反応用試薬との混合を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態の搬送装置を左前側から見た外観斜視図である。
図2図2は、本実施形態の搬送装置を右前側から見た外観斜視図である。
図3図3は、本実施形態の核酸増幅反応用デバイスの分解斜視図である。
図4図4は、本実施形態の搬入状態の第4駆動ユニットの外観斜視図である。
図5図5は、本実施形態の搬出状態の第4駆動ユニット、右側支持部材及び左側支持部材を上側から見た平面図である。
図6図6は、本実施形態の搬出状態の第4駆動ユニット、右側支持部材及び左側支持部材の断面を上側から見た図である。
図7図7は、本実施形態の搬入状態の第4駆動ユニット、右側支持部材及び左側支持部材を上側から見た平面図である。
図8図8は、本実施形態の搬入状態の第4駆動ユニット、右側支持部材及び左側支持部材の断面を上側から見た図である。
図9図9は、本実施形態の搬入状態の第4駆動ユニット、右側支持部材及び左側支持部材の外観斜視図である。
図10図10は、本実施形態の洗浄待機状態の第1駆動ユニットの外観斜視図である。
図11図11は、本実施形態の洗浄待機状態の第1駆動ユニットを上側から見た平面図である。
図12図12は、本実施形態の洗浄待機状態の第1駆動ユニット及び左側支持部材11cLを左側から見た平面図である。
図13図13は、本実施形態の第1可動部が第1当接位置に位置するときの押圧子及び核酸増幅反応用デバイスの断面を上側から見た図である。
図14図14は、本実施形態の第1可動部が洗浄完了位置に位置するときの押圧子及び核酸増幅反応用デバイスの断面を上側から見た図である。
図15図15は、本実施形態のロック解除待機状態の第2駆動ユニットの外観斜視図である。
図16図16は、本実施形態のロック解除待機状態の第2駆動ユニット及び核酸増幅反応用デバイスの第1断面を右側から見た図である。
図17図17は、本実施形態のロック解除待機状態の第2駆動ユニット及び核酸増幅反応用デバイスの第2断面を右側から見た図である。
図18図18は、本実施形態のロック解除完了状態の第2駆動ユニット及び核酸増幅反応用デバイスの第1断面を右側から見た図である。
図19図19は、本実施形態のロック解除完了状態の第2駆動ユニット及び核酸増幅反応用デバイスの第2断面を右側から見た図である。
図20図20は、本実施形態の検体移送待機状態の第3駆動ユニットの外観斜視図である。
図21図21は、本実施形態の検体移送待機状態の第3駆動ユニット及び核酸増幅反応用デバイスを右側から見た平面図である。
図22図22は、本実施形態の検体移送完了状態の第3駆動ユニット及び核酸増幅反応用デバイスを右側から見た平面図である。
図23図23は、本実施形態の搬送装置における第4可動部の排出処理を示すフローチャートである。
図24図24は、本実施形態の搬送装置における核酸増幅反応用デバイスの測定処理を示すフローチャートである。
図25図25は、本実施形態の搬送装置における測定準備処理を示すフローチャートである。
図26図26は、本実施形態の搬送装置におけるロック解除処理を示すフローチャートである。
図27図27は、本実施形態の搬送装置における検体移送処理を示すフローチャートである。
図28図28は、本実施形態の搬送装置における第4可動部の格納処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の搬送装置は、核酸増幅反応用デバイスに用いられる搬送装置であって、第1可動部、第2可動部、第3可動部及び第4可動部を備える構成としている。本発明の搬送装置は、これらの4つの可動部を備えることで、測定者によって供給された試料の捕獲、試料洗浄、試料と核酸増幅反応用試薬との混合までの、試料測定の前処理をデバイス内で自動的に完結させる構成となっている。
【0016】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態
(1)搬送装置の構成例
(2)動作例1
(3)動作例2
(4)動作例3
2.本実施形態の特徴
3.補足事項
【0017】
<1.実施形態>
<(1)搬送装置の構成例>
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の搬送装置を左前側から見た外観斜視図である。図2は、本実施形態の搬送装置を右前側から見た外観斜視図である。図3は、本実施形態の核酸増幅反応用デバイスの分解斜視図である。各図面にはx軸、y軸およびz軸を示している。第4可動部90の移動方向に平行な軸であって、載置部91bから見て突出部91cへ向いている軸を「z軸」と定義する。z軸に垂直な軸であって、左側支持部材11cLから見て右側支持部材11cRへ向いている軸を「x軸」と定義する。また、z軸およびx軸の両方に垂直な軸を「y軸」と定義する。ここでは、x軸、y軸およびz軸は、右手系の3次元の直交座標を形成する。本実施形態では、y軸は、鉛直から略30°傾いている。以下、z軸の矢印方向をz軸+側、矢印とは逆方向をz軸-側と呼ぶことがあり、その他の軸についても同様である。また、z軸+側及びz軸-側をそれぞれ「前側」及び「後側」と呼ぶことがある。x軸+側及びx軸-側をそれぞれ「右側」及び「左側」と呼ぶことがある。y軸+側及びy軸-側をそれぞれ「上側」及び「下側」と呼ぶことがある。
【0018】
<核酸増幅反応用デバイス10の概要>
図1図3に示されるように、本実施形態の測定装置は、搬送装置1を含んで構成される。測定装置は、たとえば、核酸増幅反応用デバイス10を用いて、核酸を含む試料(以下、「検体」と称することがある。)の遺伝子検査を行う。検体は、たとえば口中の粘膜である。核酸増幅反応用デバイス10は、検体が格納される専用の反応容器であり、検体の洗浄、試料と核酸増幅反応用試薬との混合、及び拡散増幅反応などが行われる。特許文献1には、核酸増幅反応用デバイス10の詳細な構成が記載されている。ここでは、核酸増幅反応用デバイス10について、簡単に説明する。
【0019】
図3に示されるように、核酸増幅反応用デバイス10は、上側ケーシング100、洗浄液ポットカバー110、洗浄液ポット120、反応チューブ200、フィルタ支持部材300、吸収材設置板400、支柱板500及び下側ケーシング600を主に含んで構成される。上側ケーシング100と下側ケーシング600とが連結されることで、ケースが形成される。ケースの内部には、フィルタ支持部材300、吸収材設置板400及び支柱板500などを収容する空間が形成される。上側ケーシング100には、検体を受ける凹状の試料滴下部101が形成される。試料滴下部101の底には、後述する孔状の吐出口101aが形成される。反応チューブ200は、内部空間を有する部材であり、ケースのz軸-側の端部からz軸-側へ突出する。反応チューブ200の内部空間には、拡散増幅反応用の試薬が充填されている。本実施形態では、たとえば、核酸増幅反応用の試薬の蒸発を防ぐために、反応チューブ200の内部空間は、アルミシールなどの突き破り可能な部材で密封されている。試料滴下部101は、本発明でいう「凹部」の一具体例である。
【0020】
フィルタ支持部材300は、フィルタ301が検体に接する滴下位置と、フィルタ301が反応チューブ200の空間内に位置する反応位置と、で移動自在にフィルタ301を支持する。支柱板500は、下側から圧接してフィルタ支持部材300の移動を規制する規制位置と、規制位置から移動してフィルタ支持部材300の移動を自由にする自由位置と、で移動自在である。本実施形態では、フィルタ支持部材300には、フィルタ301が配置される。フィルタ支持部材300は、滴下位置に位置するとき、吐出口101aの直下にフィルタ301が位置するように上側ケーシング100に圧着される。詳細には、支柱板500は、2つの支柱501を有し、2つの支柱501が吸収材設置板400における2つの載置部402を下側から支持して吸収材設置板400を上側へ押し上げる。フィルタ支持部材300は、吸収材設置板400によって上側ケーシング100に圧着される。検体は、試料滴下部101に滴下されることで、フィルタ301を通過する。この際、フィルタ301は、検体に含まれる核酸を捕獲して保持する。
【0021】
洗浄液ポット120の内部には、検体を洗浄するための洗浄液が貯蔵される。洗浄液ポット120のz軸-側の分注口121は、アルミシールなどの突き破り可能な部材で密封されている。本実施形態では、洗浄液ポット120は、洗浄液ポットカバー110と上側ケーシング100とが連結されることによって形成される空間に、z軸方向に移動可能なように配置される。初期状態ではz軸+側に寄せられている。突起122は、洗浄液ポットカバー110と上側ケーシング100とが連結されたとき、上側ケーシング100の外部に露出する。洗浄液ポット120は、洗浄液ポット120は、本発明でいう「液剤容器」の一具体例である。洗浄液は、本発明でいう「液剤」の一具体例である。アルミシールは、本発明でいう「密封部材」の一具体例である。
【0022】
洗浄液ポットカバー110のy軸-側の面には、洗浄液ポット120のアルミシールに向かって突出する凸部111が配置される。凸部111は、洗浄液ポット120が初期状態からz軸-側に移動する際に、洗浄液を試料滴下部101へ流動可能とする。凸部111の詳細については後述する。本実施形態では、搬送装置1は、核酸増幅反応用デバイス10の突起122をz軸-側へ押し込む動作(以下、「押し込み動作」と称することがある。)を行う。洗浄液ポット120は、押し込み動作によってz軸-側へ移動する。この際、凸部111は、分注口121におけるアルミシールを破壊する。これによって洗浄液ポット120から漏出した洗浄液は、凸部111に突き破られたアルミシール部分を通って試料滴下部101に排出され、吐出口101aを経由してフィルタ301に流入する。そして、洗浄液は、フィルタ301に捕捉されている検体を洗浄する。凸部111は、本発明でいう「流動部材」の一具体例である。
【0023】
検体は、洗浄後に反応チューブ200の内部空間に移送される。本実施形態では、搬送装置1は、支柱板500の押圧部503をz軸-側へ押し込む動作(以下、「ロック解除動作」と称することがある。)を行う。吸収材設置板400は、ロック解除動作によって支柱板500がz軸-側へ移動することで、支柱板500による支持を失い、重力によってy軸-側へ移動する。これにより、フィルタ支持部材300は、上側ケーシング100への圧着から解放されて重力によってy軸-側へ移動し、z軸方向に移動自在となる。この際、フィルタ支持部材300の駆動用リブ303は、下側ケーシング600の下側から外部に向かって露出する。
【0024】
搬送装置1は、フィルタ支持部材300の駆動用リブ303をz軸-側へ押し込み、フィルタ301を反応チューブ200の内部空間に移送する動作(以下、「検体移送動作」と称することがある。)を行う。これにより、フィルタ301に捕捉された検体は、反応チューブ200に充填された拡散増幅反応用の試薬と混合して反応する。
【0025】
<搬送装置1>
図4は、本実施形態の搬入状態の第4駆動ユニットの外観斜視図である。図5図8は、本実施形態の第4駆動ユニット、右側支持部材及び左側支持部材を上側から見た図であって、図5は搬出状態の平面図、図6は搬出状態の断面図、図7は搬入状態の平面図、図8は搬入状態の断面図である。図9は、本実施形態の搬入状態の第4駆動ユニット、右側支持部材及び左側支持部材の外観斜視図である。ここで、搬入状態及び搬出状態は、第4可動部90が、後述する格納位置及び排出位置にそれぞれ位置する状態である。
【0026】
図1図9に示されるように、搬送装置1は、下側ベース11b、右側支持部材11cR、左側支持部材11cL、第1駆動ユニット16、第2駆動ユニット17、第3駆動ユニット18、第4駆動ユニット19及び制御部(図示しない)を含んで構成される。第2駆動ユニット17は核酸増幅反応用デバイス10の下側に位置するよう配置されるが、図1図9に図示されない。制御部は、たとえば下側ベース11bの内部に配置される。
【0027】
下側ベース11bは、y軸と略垂直な支持面11b1を有する。上述したように、y軸が鉛直から略30°傾いているので、支持面11b1は、水平に対して略30°傾いている。支持面11b1は、右側支持部材11cR、左側支持部材11cL、第1駆動ユニット16及び第4駆動ユニット19などを下側から支持する。
【0028】
<第4駆動ユニット19>
第4駆動ユニット19は、核酸増幅反応用デバイス10を測定装置の外部と当該測定装置の内部との間で移送する移送動作を行う。第4駆動ユニット19は、下側支持板80、レール81、センサ82E及び82H、第4駆動部83ならびに第4可動部90を含んで構成される(図4参照)。以下、センサ82E及び82Hの各々を、センサ82と称することがある。
【0029】
<下側支持板80>
下側支持板80は、下側ベース11bの支持面11b1の上側に配置され、略矩形の断面を有する板状の部材である。下側支持板80には、右側長孔80bR、左側長孔80bL、貫通孔80c及び開口部80dが形成される。貫通孔80cは、略矩形の断面を有し、下側支持板80の中央の前側に位置する。右側長孔80bRは、z軸方向を長軸とする矩形の断面を有する貫通孔であり、貫通孔80cの右側に位置する。左側長孔80bLは、右側長孔80bRの断面と略同じ断面を有する貫通孔であり、貫通孔80cを挟んで右側長孔80bRの反対側に位置する。開口部80dは、略矩形の断面を有し、右側長孔80bRの右前側に位置する。
【0030】
<レール81>
レール81は、z軸方向と略平行に延びる部材であり、第4可動部90と嵌合可能な断面を有する。レール81は、第4可動部90をz軸方向に移動自在に支持する。レール81は、下側支持板80に固定され、右側長孔80bRと左側長孔80bLとの間に位置する。レール81には、上側から平面視したときに、貫通孔80cと略重なる位置に、略矩形の断面を有する貫通孔81b1が形成される。
【0031】
<第4駆動部83>
第4駆動部83は、第4可動部90をz軸方向に駆動する。本実施形態では、第4駆動部83は、モータ83a、駆動ギヤ83b及び伝達ギヤ83cを含んで構成される。モータ83aは、たとえば、DCモータであり、回転軸A1を中心として回転する駆動シャフト83dを有する。モータ83aは、回転軸A1とy軸とが略平行となり、駆動シャフト83dが開口部80dを挿通するように下側支持板80の下側に固定される。駆動シャフト83dには、平歯車である駆動ギヤ83bが取り付けられる。
【0032】
伝達ギヤ83cは、y軸と略平行な回転軸A2を中心として回転自在となるように下側支持板80によって支持される。本実施形態では、伝達ギヤ83cは、駆動ギヤ83bとかみ合う平歯車であり、駆動ギヤ83bから受ける駆動力によって回転する。
【0033】
<センサ82>
センサ82は、たとえば、フォトインタラプタであり、発光素子(図示しない)及び受光素子(図示しない)を含んで構成される。センサ82は、z軸に略平行に延び、x軸-側に開いた溝82aを有する。受光素子及び発光素子は、たとえば、溝82aを挟んで対向するように配置される。発光素子は、受光素子に向かって光を照射する。受光素子は、受光強度に応じたレベルの検出信号を生成して制御部へ出力する。本実施形態では、受光素子は、後述する板状部材91aが溝82aに位置し、発光素子からの光が遮られたときに、ローレベルの検出信号を生成して制御部へ出力する。一方、受光素子は、板状部材91aが溝82aに存在せず、発光素子から発せられる光を受光するときに、ハイレベルの検出信号を生成して制御部へ出力する。
【0034】
センサ82Hは、第4可動部90のホームポジション(図4及び図7図9参照)を検出するセンサであり、レール81のx軸+側であって、下側支持板80の上側に配置される。センサ82Eは、第4可動部90のエンドポジション(図5及び図6参照)を検出するセンサであり、センサ82Hのz軸+側に配置される。以下、第4可動部90のホームポジション及びエンドポジションの各々を、格納位置及び排出位置と称することがある。
【0035】
<第4可動部90>
第4可動部90には、核酸増幅反応用デバイス10が載置され、測定装置の外部と当該測定装置の内部との間をz軸方向に移動可能に構成される。本実施形態では、第4可動部90は、板状部材91a、載置部91b、突出部91c及び91dならびにラック92を含んで構成される(図4参照)。第4可動部90は、レール81によってx軸方向及びy軸方向の移動を規制されつつ支持され、レール81の延びるz軸方向に摺動する。
【0036】
載置部91bは、z軸方向に延びる板状の部材であり、y軸+側を向いた載置面91b2を有する。載置面91b2には、核酸増幅反応用デバイス10が載置される。載置面91b2には、略矩形の断面を有する貫通孔91b1が形成される。貫通孔91b1は、第4可動部90が格納位置に位置するときに、貫通孔80cと重なる位置に位置する。
【0037】
載置部91bのz軸-側には、y軸+側に向かって突出する板状の突出部91dが配置される。突出部91dは、z軸+側を向き、核酸増幅反応用デバイス10のz軸-側の端部と当接する面(以下、当接面91d2と称することがある。)を有する。当接面91d2には、貫通孔91d1が形成される。
【0038】
載置部91bのz軸+側には、y軸+側に向かって突出する突出部91cが形成される。突出部91cは、z軸-側を向き、核酸増幅反応用デバイス10のz軸+側の端部と当接する面(以下、当接面91c2と称することがある。)を有する。
【0039】
核酸増幅反応用デバイス10は、反応チューブ200が貫通孔91d1に挿通され、z軸-側の端部及びz軸+側の端部がそれぞれ当接面91d2及び当接面91c2と当接した状態で、載置面91b2に配置される(図5図8参照)。第4可動部90が格納位置に位置するとき、反応チューブ200は、測定装置に装着される。具体的には、このとき反応チューブ200は、測定装置において試験光が照射される試験位置に位置する。
【0040】
ラック92は、載置部91bのx軸+側に配置される。ラック92は、x軸+側に向かって突出する複数の歯を有し、伝達ギヤ83cとかみ合う。ラック92は、伝達ギヤ83cから受ける回転力をz軸方向の力に変換し、第4可動部90をz軸方向に駆動する。
【0041】
ラック92のz軸-側には、載置部91bからx軸+側に向かって延びる板状部材91aが配置される。板状部材91aは、第4可動部90が格納位置に位置するときに、センサ82Hの溝82aの内部に位置する。また、板状部材91aは、第4可動部90が排出位置に位置するときに、センサ82Eの溝82aの内部に位置する。
【0042】
<左側支持部材11cL>
左側支持部材11cLは、下側支持板80の上面のx軸-側に配置される(図1及び図9参照)。左側支持部材11cLは、上側が開口する枠状部11cL1と、段部11cL2とを含んで構成される。段部11cL2は、枠状部11cL1のx軸+側に位置し、枠状部11cL1のy軸方向の高さより低く形成される。段部11cL2の上面には、カム孔23Lが形成される(図7参照)。カム孔23Lは、直線部23L1と、直線部23L1のz軸+側に位置する曲線部23L2と、を有する。直線部23L1は、z軸方向を長軸とする長孔である。曲線部23L2は、直線部23L1と連続し、直線部23L1との接続部から左前側へ向かう曲線に沿った長軸を有する長孔である。
【0043】
<右側支持部材11cR>
右側支持部材11cRは、下側支持板80の上面において、レール81を挟んで左側支持部材11cLの反対側に配置される(図1及び図9参照)。右側支持部材11cRは、枠状部11cR1、段部11cR2、センサ12及びカートリッジ検出機構13を含んで構成される。枠状部11cR1は、上側が開口し、枠状部11cL1のy軸方向の高さと略同じ高さを有する。段部11cR2は、枠状部11cR1のx軸-側に位置し、段部11cL2のy軸方向の高さと略同じ高さを有する。段部11cR2の上面には、カム孔23Rが形成される(図7参照)。カム孔23Rは、直線部23R1と、直線部23R1のz軸+側に位置する曲線部23R2と、を有する。直線部23R1及び曲線部23R2は、yz面と平行な面であって左側支持部材11cLと右側支持部材11cRとの中点を含む面について、直線部23L1及び曲線部23L2とそれぞれ面対称な形状を有する。
【0044】
<センサ12及びカートリッジ検出機構13>
センサ12は、センサ82と同様の構成のフォトインタラプタであり、発光素子(図示しない)、受光素子(図示しない)及び溝12aを有する(図9参照)。センサ12は、格納位置に位置する第4可動部90に載置された核酸増幅反応用デバイス10を検出する。センサ12は、枠状部11cR1のz軸-側に配置される。
【0045】
カートリッジ検出機構13は、板状部材13a、棒状部材13b及び三角柱状部材13cを含んで構成される(図9参照)。棒状部材13bは、x軸と略平行に延び、x軸方向に移動自在になるように枠状部11cR1によって支持される。本実施形態では、棒状部材13bは、たとえば、付勢部材(図示しない)によってx軸-側へ付勢される。棒状部材13bのx軸+側には、棒状部材13bの径より大きい外径を有するE型の止め輪13b1が配置される(図9参照)。棒状部材13bのx軸-側への移動は、E型の止め輪13b1によって規制される(図5参照)。ここで、止め輪13b1によってx軸-側への移動が規制された棒状部材13bの位置を、突出位置と定義する。
【0046】
三角柱状部材13cは、棒状部材13bのx軸-側の端部に配置され、棒状部材13bとともにx軸方向に移動する。三角柱状部材13cは、左前側に向いた面(以下、当接面13c1と称することがある。)を有する。棒状部材13bが突出位置に位置する場合において、z軸+側から平面視したとき、当接面13c1のx軸-側の一部は、核酸増幅反応用デバイス10と重なる。これにより、第4可動部90に載置された核酸増幅反応用デバイス10が後側に移動するとき、当接面13c1と核酸増幅反応用デバイス10とが当接し、三角柱状部材13cは、棒状部材13bをx軸方向に移動させる。
【0047】
第4可動部90が排出位置に位置する場合(図5参照)、棒状部材13bは、突出位置に位置する。このとき、板状部材13aは、センサ12の溝12aの外部に位置する。第4可動部90が排出位置から格納位置へ移動する際、核酸増幅反応用デバイス10は、三角柱状部材13cの当接面13c1と当接し、棒状部材13bをx軸+側へ押し込む(図7参照)。このとき、板状部材13aは、センサ12の溝12aの内部に進入する。
【0048】
<第1駆動ユニット16>
第1駆動ユニット16は、核酸増幅反応用デバイス10の突起122をz軸-側へ押し込んで押し込み動作を行う。前述のように、押し込み動作により洗浄液ポット120のアルミシールが破壊されて洗浄液がフィルタ301に流入することとなる。
【0049】
図10は、本実施形態の洗浄待機状態の第1駆動ユニット16の外観斜視図である。図11は、本実施形態の洗浄待機状態の第1駆動ユニット16を上側から見た平面図である。図12は、本実施形態の洗浄待機状態の第1駆動ユニット16及び左側支持部材11cLを左側から見た平面図である。ここで、洗浄待機状態は、第1可動部30が、後述する洗浄待機位置に位置する状態である。
【0050】
図10図12に示されるように、第1駆動ユニット16は、レール21L及び21R、センサ22H及び22E、ラック24、上側支持板20、支持部材25ならびに第1可動部30を含んで構成される。以下、センサ22H及び22Eの各々を、センサ22と称することがある。
【0051】
<上側支持板20>
上側支持板20は、枠状部11cL1の上面及び枠状部11cR1の上面にわたって配置される板状の部材である。上側支持板20には、z軸+側の端部から略中央に向かって略矩形状に切り取られた切り欠き部20aが形成される(図10参照)。切り欠き部20aの左側及び右側には、z軸方向を長軸とする長孔20bL及び20bRがそれぞれ形成される(図10参照)。
【0052】
<レール21L及び21R>
レール21Lは、z軸方向と略平行に延びる部材であり、上側支持板20の上面において、長孔20bLの左側に配置される。レール21Rは、レール21Lと同様の構成の部材であり、上側支持板20の上面において、長孔20bRの右側に配置される。
【0053】
<支持部材25>
支持部材25は、上側支持板20の上側に配置される部材であり、センサ22H及び22Eならびにラック24を支持する。支持部材25は、略矩形の断面を有する板状部材と、当該板状部材の四隅からy軸-側へそれぞれ延びて上側支持板20と連結される4つの脚部と、を有する。
【0054】
<センサ22>
センサ22は、センサ82と同様の構成のフォトインタラプタであり、発光素子(図示しない)、受光素子(図示しない)及び溝(図示しない)を有する。センサ22Hは、第1可動部30のホームポジション(図10図12参照)を検出するセンサであり、支持部材25の左側の側面に配置される。センサ22Eは、第1可動部30のエンドポジションを検出するセンサであり、センサ22Hのz軸-側に配置される。以下、第1可動部30のホームポジション及びエンドポジションの各々を、洗浄待機位置及び洗浄完了位置と称することがある。センサ22Hは、本発明でいう「第1センサ」の一具体例である。センサ22Eは、本発明でいう「第2センサ」の一具体例である。洗浄待機位置は、本発明でいう「第1非当接位置」の一具体例である。洗浄完了位置は、本発明でいう「第1移動後位置」の一具体例である。
【0055】
<ラック24>
ラック24は、z軸方向に延びる板状の部材であり、下側に向かって突出する複数の歯を有する。ラック24は、支持部材25の右側の側面に配置される。
【0056】
<第1可動部30>
第1可動部30は、洗浄液ポット120と当接しない洗浄待機位置から、洗浄液ポット120と当接する第1当接位置を経由し、洗浄液ポット120をz軸-側に移動させた後の洗浄完了位置へ移動可能に構成される。本実施形態では、第1可動部30は、板状部材31a、U字部材31b、摺動部材31cR及び31cL、棒状部材31dR及び31dL、押圧子32R及び32Lならびに第1駆動部33を含んで構成される。
【0057】
<摺動部材31cR及び31cL>
摺動部材31cRは、レール21Rと嵌合し、レール21Rの延びる方向すなわちz軸方向に摺動する。摺動部材31cRは、略矩形の上面を有する。摺動部材31cLは、レール21Lと嵌合し、レール21Lの延びる方向すなわちz軸方向に摺動する。摺動部材31cLは、略矩形の上面を有する。
【0058】
<U字部材31b及び板状部材31a>
U字部材31bは、上側に開いたU字状の断面を有し、x軸方向に延びる部材である。U字部材31bの両端は、それぞれ摺動部材31cLの上面及び摺動部材31cRの上面に固定される。U字部材31bは、摺動部材31cR及び31cLとともにz軸方向に移動する。
【0059】
U字部材31bには、支持部材25の左側において、y軸+側に向かって突出する板状部材31aが配置される(図11及び図12参照)。板状部材31aは、第1可動部30が洗浄待機位置に位置するときに、センサ22Hの溝の内部に位置する。また、板状部材31aは、第1可動部30が洗浄完了位置に位置するときに、センサ22Eの溝の内部に位置する。
【0060】
<第1駆動部33>
第1駆動部33は第1駆動部30の一部であり、第1可動部30を駆動する。本実施形態では、第1駆動部33は、モータ33a及び駆動ギヤ33bを含んで構成される(図10参照)。モータ33aは、たとえば、DCモータであり、回転軸A3を中心として回転する駆動シャフト33dを有する。モータ33aは、回転軸A3とx軸とが略平行となるように、U字部材31bの上側に固定される。駆動シャフト33dには、ラック24の歯とかみ合う平歯車である駆動ギヤ33bが取り付けられる。モータ33aは、駆動ギヤ33bを回転駆動させるときにラック24から受ける反作用により、U字部材31bなどとともにz軸方向に移動する。つまり、第1可動部30は、モータ33aによってz軸方向に駆動される。
【0061】
<棒状部材31dL及び31dR>
棒状部材31dLは、U字部材31bの下面に固定され、下側へ向かって延びる部材である。棒状部材31dLは、U字部材31bの下面から長孔20bLを経由して上側支持板20の下側に突出する。棒状部材31dRは、棒状部材31dLと同様の構成の部材であり、U字部材31bの下面に固定さる。棒状部材31dRは、棒状部材31dLのx軸+側に位置する。棒状部材31dRは、U字部材31bの下面から長孔20bRを経由して上側支持板20の下側に突出する。
【0062】
<押圧子32L及び32R>
図13及び図14は、本実施形態の押圧子及び核酸増幅反応用デバイスの断面を上側から見た図である。図13は、第1可動部が第1当接位置に位置した状態を示し、図14は、第1可動部が洗浄完了位置に位置した状態を示す。図10図14に示されるように、押圧子32Lは、略矩形の断面を有し、zx面に略平行な板状の部材である。押圧子32Lは、凸部32c及び突出部32bを含んで構成される。凸部32cは、押圧子32Lの左前側の隅の近傍に位置し、押圧子32Lの下面から下側へ向かって延びる棒状の部材である。突出部32bは、押圧子32Lの右前側の隅から核酸増幅反応用デバイス10に近づく方向へ突出し、核酸増幅反応用デバイス10と当接する。
【0063】
押圧子32Lは、zx面内で回転自在となるように棒状部材31dLの下側に取り付けられる。詳細には、押圧子32Lには、y軸方向に延び、略円形の貫通孔32aが、右後側の隅の近傍に形成される。押圧子32Lは、棒状部材31dLの下側の端部が貫通孔32aに挿通されることで、貫通孔32aを中心としてzx面内で回転自在となる。凸部32cは、左側支持部材11cLのカム孔23Lに挿通され、押圧子32Lの向きを変化させる。
【0064】
押圧子32Rは、yz面と平行な面であって棒状部材31dLと棒状部材31dRとの中点を含む面について押圧子32Lと面対称な形状を有する部材であり、凸部32c及び突出部32bを含んで構成される。押圧子32Rは、押圧子32Lと同様に、貫通孔32aを中心としてzx面内で回転自在となるように棒状部材31dRの下側に取り付けられる。
【0065】
<押し込み動作>
第1可動部30が洗浄待機位置に位置する場合(図10参照)、押圧子32Lの凸部32c及び押圧子32Rの凸部32cは、カム孔23L及び23Rにおける曲線部23L2のz軸+側の端部及び曲線部23R2のz軸+側の端部にそれぞれ位置する(図5参照)。このとき、押圧子32Lの突出部32bと押圧子32Rの突出部32bとの間の距離は、核酸増幅反応用デバイス10のx軸方向の幅より大きい。これにより、第4駆動ユニット19による核酸増幅反応用デバイス10の移送動作を行う空間が確保される。
【0066】
第1可動部30がz軸-側への移動を開始すると、押圧子32Lの凸部32c及び押圧子32Rの凸部32cは、曲線部23L2と直線部23L1との接続部及び曲線部23R2と直線部23R1との接続部にそれぞれ近づく(図5参照)。このとき、押圧子32L及び32Rは、押圧子32Lの突出部32bと押圧子32Rの突出部32bとの間の距離を縮めながら核酸増幅反応用デバイス10に近づく。そして、押圧子32Lの凸部32c及び押圧子32Rの凸部32cが、それぞれ直線部23L1及び直線部23R1に進入すると、押圧子32Lの突出部32b及び押圧子32Rの突出部32bは、それぞれ核酸増幅反応用デバイス10の左側の突起122及び右側の突起122と当接する(図13参照)。このとき、第1可動部30は、第1当接位置に位置する。
【0067】
第1可動部30がz軸-側へさらに移動して洗浄完了位置に近づくとき(図14参照)、押圧子32Lの凸部32c及び押圧子32Rの凸部32cは、直線部23L1のz軸-側の端部及び直線部23R1のz軸-側の端部にそれぞれ近づく(図5参照)。このとき、押圧子32L及び32Rは、押圧子32Lの突出部32bと押圧子32Rの突出部32bとの間の距離を一定に保ちながら、核酸増幅反応用デバイス10の洗浄液ポット120をz軸-側へ移動させる押し込み動作を行う。洗浄液ポット120がz軸-側へ移動する際に、洗浄液ポット120の分注口121におけるアルミシールは、凸部111によって突き破られ、洗浄液ポット120における洗浄液が試料滴下部101に排出される。
【0068】
<第2駆動ユニット17>
第2駆動ユニット17は、支柱板500の押圧部503をz軸-側へ押し込んで吸収材設置板400をy軸-側に移動させ、これによりフィルタ支持部材300のロックが解除されてz軸方向に移動自在な状態にするロック解除動作を行う。
【0069】
図15は、本実施形態のロック解除待機状態の第2駆動ユニット17の外観斜視図である。図16図19は、本実施形態の第2駆動ユニット17及び核酸増幅反応用デバイス10を右側から見た断面図であり、異なる状態及び異なる位置での断面を示す。図16及び図17はロック解除待機状態、図18及び図19はロック解除完了状態を示す。図16及び図18は第1断面、図17及び図19は第2断面における断面図を示す。
【0070】
図15図19に示されるように、第2駆動ユニット17は、支持部材40、センサ42H及び42E、第2駆動部43ならびに第2可動部50を含んで構成される。以下、センサ42H及び42Eの各々を、センサ42と称することがある。
【0071】
ここで、ロック解除待機状態及びロック解除完了状態は、第2可動部50が、後述するロック解除待機位置及びロック解除完了位置にそれぞれ位置する状態である。第2断面は、yz面に平行な断面であって突出部52aを含む断面である。第1断面は、第2断面よりも右側に位置する断面である。また、x軸+側からx軸-側を見て時計回りに回転する方向を時計方向cw3と定義する。x軸+側からx軸-側を見て反時計回りに回転する方向を反時計方向ccw3と定義する。
【0072】
<支持部材40>
支持部材40は、たとえば、下側支持板80の下側に位置し、下側ベース11bに固定される。支持部材40は、センサ42H及び42E、第2駆動部43ならびに第2可動部50を主に支持する。
【0073】
<センサ42>
センサ42は、センサ82と同様の構成のフォトインタラプタであり、発光素子(図示しない)、受光素子(図示しない)及び溝(図示しない)を有する。センサ42Hは、第2可動部50のホームポジション(図16及び図17参照)を検出するセンサであり、第2可動部50のz軸+側に配置される。センサ42Eは、第2可動部50のエンドポジション(図18及び図19参照)を検出するセンサであり、第2可動部50の略下側に配置される。以下、第2可動部50のホームポジション及びエンドポジションの各々を、ロック解除待機位置及びロック解除完了位置と称することがある。センサ42Hは、本発明でいう「第3センサ」の一具体例である。センサ42Eは、本発明でいう「第4センサ」の一具体例である。ロック解除待機位置は、本発明でいう「第2非当接位置」の一具体例である。ロック解除完了位置は、本発明でいう「第2移動後位置」の一具体例である。
【0074】
<第2駆動部43>
第2駆動部43は、第2可動部50を駆動する。本実施形態では、第2駆動部43は、モータ43a及び駆動ギヤ43bを含んで構成される(図15参照)。モータ43aは、たとえば、DCモータであり、回転軸A4を中心として回転する駆動シャフト43dを有する。モータ43aは、回転軸A4とx軸とが略平行となり、駆動シャフト43dがx軸+側へ突出するように支持部材40に固定される。駆動シャフト43dには、平歯車である駆動ギヤ43bが取り付けられる。
【0075】
<第2可動部50>
第2可動部50は、支柱板500と当接しないロック解除待機位置から、支柱板500と当接する第2当接位置を経由し、支柱板500を規制位置から自由位置に移動させた後のロック解除完了位置へ移動可能に構成される。本実施形態では、第2可動部50は、板状部材51、押圧子52及びギヤ部材53を含んで構成される。板状部材51、押圧子52及びギヤ部材53は、回転軸A5を中心として一体で回転するように支持部材40に支持される。ここで、回転軸A5は、回転軸A4のz軸-側に位置し、x軸と略平行である。
【0076】
<押圧子52>
押圧子52は、回転軸A5から離れる方向へ突出する突出部52aを含んで構成される。突出部52aは、押圧子52が時計方向cw3へ回転する際に、下側支持板80の貫通孔80c、レール81の貫通孔81b1及び第4可動部90の貫通孔91b1を経由して核酸増幅反応用デバイス10の押圧部503と当接する(図4参照)。
【0077】
<ギヤ部材53>
ギヤ部材53は、回転軸A5を中心とする円の円弧に沿って延び、当該円の径方向外側に向かって突出する複数の歯を有する。ギヤ部材53は、回転軸A5のz軸+側に位置する。ギヤ部材53は、駆動ギヤ43bとかみ合い、駆動ギヤ43bから受ける回転力によって板状部材51及び押圧子52とともに時計方向cw3または反時計方向ccw3へ回転する。
【0078】
<板状部材51>
板状部材51は、回転軸A5から離れる方向へ突出する突出部51a及び51bを含んで構成される。突出部51aは、第2可動部50がロック解除待機位置に位置するときにセンサ42Hの溝の内部に位置するように配置される(図16参照)。突出部51bは、第2可動部50がロック解除完了位置に位置するときにセンサ42Eの溝の内部に位置するように配置される(図18参照)。
【0079】
<ロック解除動作>
第2可動部50がロック解除待機位置に位置する場合、押圧子52の突出部52aの先端は、第4可動部90の載置面91b2すなわち下側ケーシング600の底より下側に位置する(図16及び図17参照)。これにより、第4駆動ユニット19による核酸増幅反応用デバイス10の移送動作を行う空間が確保される。
【0080】
第2可動部50が第2駆動部43によって時計方向cw3に回転駆動されると、押圧子52の突出部52aは、載置面91b2の上側に突出し、核酸増幅反応用デバイス10の押圧部503と当接する。このとき、第2可動部50は、第2当接位置に位置する。そして、突出部52aは、第2可動部50がロック解除完了位置に到達するまで核酸増幅反応用デバイス10の押圧部503をz軸-側へ押し込み、支柱板500による吸収材設置板400の支持を解除する(図18及び図19参照)。これにより、フィルタ支持部材300がz軸方向に移動自在となる。
【0081】
<第3駆動ユニット18>
第3駆動ユニット18は、フィルタ支持部材300の駆動用リブ303をz軸-側へ押し込み、フィルタ301を反応チューブ200の内部空間に移送する検体移送動作を行う。
【0082】
図20は、本実施形態の検体移送待機状態の第3駆動ユニットの外観斜視図である。図21は、本実施形態の検体移送待機状態の第3駆動ユニット及び核酸増幅反応用デバイスを右側から見た平面図である。図22は、本実施形態の検体移送完了状態の第3駆動ユニット及び核酸増幅反応用デバイスを右側から見た平面図である。ここで、検体移送待機状態及び検体移送完了状態は、第3可動部70が、後述する検体移送待機位置及び検体移送完了位置にそれぞれ位置する状態である。
【0083】
図20図22に示されるように、第3駆動ユニット18は、支持部材60、センサ62H及び62E、レール65、ラック66ならびに第3可動部70を含んで構成される。以下、センサ62H及び62Eの各々を、センサ62と称することがある。
【0084】
<支持部材60>
支持部材60は、たとえば、下側支持板80の下側であって第1駆動ユニット16のz軸-側に位置し、下側ベース11bに固定される部材である。支持部材60は、U字部60a、左側板状部60bL及び右側板状部60bRを含んで構成され、センサ62H及び62Eならびに第3可動部70を主に支持する。
【0085】
U字部60aは、下側に開いたU字状の断面を有し、z軸方向に延びる部材である。左側板状部60bLは、U字部60aの左側面の下端からx軸-側に延びる、zx面に平行な板状の部材である。右側板状部60bRは、U字部60aの右側面の下端からx軸+側に延びる、zx面に平行な板状の部材である。
【0086】
U字部60aには、カム孔63L及び63Rならびに案内孔64L及び64Rが形成される。案内孔64Rは、z軸方向を長軸とする貫通孔であり、U字部60aの右側面に位置する。案内孔64Lは、案内孔64Rの断面と略同じ断面を有する貫通孔であり、U字部60aをx軸+側から平面視したときに、案内孔64Rと略重なる位置に位置する。
【0087】
カム孔63Rは、第1直線部63f及び第2直線部63sを有する。第2直線部63sは、案内孔64Rの下側に位置し、z軸方向を長軸とする長孔である。第1直線部63fは、第2直線部63sのz軸+側に位置し、第2直線部63sと連続する長孔である。第1直線部63fの長軸は、第2直線部63sとの接続部からz軸+側に向かいながら右側板状部60bRに近づく方向へ延びる。カム孔63Lは、カム孔63Rと同様に第1直線部63f及び第2直線部63sを有し、カム孔63Rの形状と略同じ形状を有する長孔である。カム孔63Lは、U字部60aをx軸+側から平面視したときに、カム孔63Rと略重なる位置に位置する。
【0088】
<センサ62>
センサ62は、センサ82と同様の構成のフォトインタラプタであり、発光素子(図示しない)、受光素子(図示しない)及び溝(図示しない)を有する。センサ62は、センサ62H及びセンサ62Eを含む。センサ62Hは、第3可動部70のホームポジション(図20及び図21参照)を検出するセンサであり、右側板状部60bRの右側端部に配置される。センサ62Eは、第3可動部70のエンドポジションを検出するセンサであり、センサ62Hのz軸-側に配置される。以下、第3可動部70のホームポジション及びエンドポジションの各々を、検体移送待機位置及び検体移送完了位置と称することがある。センサ62Hは、本発明でいう「第5センサ」の一具体例である。センサ62Eは、本発明でいう「第6センサ」の一具体例である。検体移送待機位置は、本発明でいう「第3非当接位置」の一具体例である。検体移送完了位置は、本発明でいう「第3移動後位置」の一具体例である。
【0089】
<レール65>
レール65は、z軸方向と略平行に延びる部材であり、左側板状部60bLの下面に配置される。
【0090】
<ラック66>
ラック66は、z軸方向に延びる板状の部材であり、下側に向かって突出する複数の歯を有する。ラック66は、左側板状部60bLの下側に配置される。
【0091】
<第3可動部70>
第3可動部70は、フィルタ支持部材300と当接しない検体移送待機位置から、フィルタ支持部材300と当接する第3当接位置を経由し、フィルタ支持部材300を滴下位置から反応位置に移動させた後の検体移送完了位置へ移動可能に構成される。本実施形態では、第3可動部70は、板状部材71、押圧子72L及び72R、第3駆動部73、摺動部材75、可動部本体76、突出部76a、棒状部材77ならびに棒状部材78L及び78Rを含んで構成される。
【0092】
<摺動部材75>
摺動部材75は、レール65と嵌合し、レール65の延びる方向すなわちz軸方向に摺動する。
【0093】
<可動部本体76及び突出部76a>
可動部本体76は、支持部材60の下側に位置し、摺動部材75の下側に連結される。可動部本体76は、摺動部材75とともにz軸方向に移動する。突出部76aは、可動部本体76の上側からU字部60a内部に突出する。突出部76aには、棒状部材77が挿通される、x軸に平行な貫通孔76a1が形成される。
【0094】
可動部本体76の右側には、y軸+側に向かって突出し、xz面と略平行な板状部材71が配置される(図21及び図22参照)。板状部材71は、第3可動部70が検体移送待機位置に位置するときに、センサ62Hの溝の内部に位置する。また、板状部材71は、第3可動部70が検体移送完了位置に位置するときに、センサ62Eの溝の内部に位置する。
【0095】
<第3駆動部73>
第3駆動部73は、第3可動部70を駆動する。本実施形態では、第3駆動部73は、モータ73a及び駆動ギヤ73bを含んで構成される(図20参照)。モータ73aは、たとえば、DCモータであり、回転軸A6を中心として回転する駆動シャフト(図示しない)を有する。モータ73aは、回転軸A6とx軸とが略平行となるように、可動部本体76の下側に固定される。駆動シャフトには、ラック66の歯とかみ合う平歯車である駆動ギヤ73bが取り付けられる。モータ73aは、駆動ギヤ73bを回転駆動させるときにラック66から受ける反作用により、可動部本体76などとともにz軸方向に移動する。つまり、第3可動部70は、モータ73aによってz軸方向に駆動される。
【0096】
<押圧子72L及び72R>
押圧子72Rは、yz面に平行な板状の部材であり、核酸増幅反応用デバイス10と当接する突出部72aを有する。突出部72aは、第3可動部70が検体移送完了位置に位置するときに、y軸+側へ向かって突出する(図22参照)。押圧子72Rには、x軸に略平行に延びる貫通孔72cが突出部72aのy軸-側に形成される。また、押圧子72Rには、x軸に略平行に延びる貫通孔72bが形成される。貫通孔72bは、突出部72aを基準として後側の斜め下であって貫通孔72cを基準として後側の斜め上に位置する。押圧子72Lは、押圧子72Rと同様の構成の部材であり、突出部72aと、貫通孔72bと、貫通孔72cと、を有する。
【0097】
<棒状部材77>
棒状部材77は、x軸に平行な中心軸を有する円柱状の部材であり、押圧子72Rの貫通孔72b、U字部60aの案内孔64R、突出部76aの貫通孔76a1、U字部60aの案内孔64L及び押圧子72Lの貫通孔72bに挿通される。これにより、押圧子72R及び72Lは、棒状部材77を中心軸としてyz面内で回転自在となる。棒状部材77の両端には、たとえばE型の止め輪が配置される。これにより、棒状部材77の脱落が防止される。
【0098】
<棒状部材78L及び78R>
棒状部材78Rは、x軸に平行な中心軸を有する円柱状の部材であり、U字部60aのカム孔63R及び押圧子72Rの貫通孔72cに挿通される。押圧子72Rは、棒状部材78Rによって向きを変える。棒状部材78Rの両端には、たとえばE型の止め輪が配置される。これにより、棒状部材78Rの脱落が防止される。
【0099】
棒状部材78Lは、棒状部材78Rと同様の構成の部材であり、U字部60aのカム孔63L及び押圧子72Lの貫通孔72cに挿通される。押圧子72Lは、棒状部材78Lによって向きを変える。棒状部材78Lの両端には、たとえば、上述のE型の止め輪が配置される。これにより、棒状部材78Lの脱落が防止される。
【0100】
<検体移送動作>
第3可動部70が検体移送待機位置に位置する場合(図20及び図21参照)、棒状部材77は、案内孔64R及び64Lのz軸+側の端部に位置する。棒状部材78Rは、カム孔63Rの第1直線部63fのz軸+側の端部に位置する。棒状部材78Lは、カム孔63Lの第1直線部63fのz軸+側の端部に位置する。このとき、押圧子72Rの突出部72aの先端及び押圧子72Lの突出部72aの先端は、下側支持板80より下側に位置する(図4及び図21参照)。これにより、第4駆動ユニット19による核酸増幅反応用デバイス10の移送動作を行う空間が確保される。
【0101】
第3可動部70がz軸-側への移動を開始すると、棒状部材77は、案内孔64R及び64Lをz軸+側へ移動する。この際、押圧子72Rが棒状部材77にけん引されてz軸+側へ移動し、棒状部材78Rがカム孔63Rの第1直線部63fと第2直線部63sとの接続部に近づく。このとき、押圧子72Rの突出部72aは、下側支持板80の右側長孔80bRを経由して下側支持板80の上側に突出する。同様に、押圧子72Lが棒状部材77にけん引されてz軸+側へ移動し、棒状部材78Lがカム孔63Lの第1直線部63fと第2直線部63sとの接続部に近づく。このとき、押圧子72Lの突出部72aは、下側支持板80の左側長孔80bLを経由して下側支持板80の上側に突出する。そして、押圧子72Rの突出部72a及び押圧子72Lの突出部72aは、核酸増幅反応用デバイス10の右側の駆動用リブ303及び左側の駆動用リブ303とそれぞれ当接する。このとき、第3可動部70は、第3当接位置に位置する。
【0102】
第3可動部70がz軸-側へさらに移動するとき、押圧子72Rが棒状部材77にけん引されてz軸+側へさらに移動し、棒状部材78Rは、カム孔63Rの第1直線部63fから第2直線部63sへ進入してz軸+側へ移動する。同様に、押圧子72Lが棒状部材77にけん引されてz軸+側へさらに移動し、棒状部材78Lは、カム孔63Lの第1直線部63fから第2直線部63sへ進入してz軸+側へ移動する。このとき、押圧子72R及び72Lは、駆動用リブ303をz軸-側へ押し込む検体移送動作を行う。
【0103】
第3可動部70が検体移送完了位置に到達すると(図22参照)、駆動用リブ303を介してz軸-側へ押し込まれたフィルタ301(図3参照)は、反応チューブ200の内部空間に位置する。
【0104】
<(2)動作例1>
<排出処理>
次に、本実施形態の搬送装置における第4可動部の排出処理について、図23を参照しながら説明する。図23は、本実施形態の搬送装置における第4可動部の排出処理を示すフローチャートである。排出処理は、核酸増幅反応用デバイス10が載置される前の第4可動部90を測定装置の外部へ排出させるための処理である。
【0105】
<S100>
ユーザは、第4可動部90を測定装置の外部に排出させるための操作を搬送装置1に対して行う。具体的には、ユーザは、たとえば第1スイッチ(図示しない)を押す(S100)。
【0106】
<S102>
次に、制御部は、第1スイッチがユーザによって押されると、センサ22H、42H、62H及び82Hから受ける検出信号に基づき、各可動部がホームポジションに位置するか否かを判定する(S102)。
【0107】
具体的には、制御部は、センサ22Hから受ける検出信号がローレベルである場合、第1可動部30がホームポジションすなわち洗浄待機位置に位置すると判定する。一方、制御部は、センサ22Hから受ける検出信号がハイレベルである場合、第1可動部30が洗浄待機位置に位置しないと判定する。
【0108】
また、制御部は、センサ42Hから受ける検出信号がローレベルである場合、第2可動部50がホームポジションすなわちロック解除待機位置に位置すると判定する。一方、制御部は、センサ42Hから受ける検出信号がハイレベルである場合、第2可動部50がロック解除待機位置に位置しないと判定する。
【0109】
また、制御部は、センサ62Hから受ける検出信号がローレベルである場合、第3可動部70がホームポジションすなわち検体移送待機位置に位置すると判定する。一方、制御部は、センサ62Hから受ける検出信号がハイレベルである場合、第3可動部70が検体移送待機位置に位置しないと判定する。
【0110】
また、制御部は、センサ82Hから受ける検出信号がローレベルである場合、第4可動部90がホームポジションすなわち格納位置に位置すると判定する。一方、制御部は、センサ82Hから受ける検出信号がハイレベルである場合、第4可動部90が格納位置に位置しないと判定する。
【0111】
<S104>
次に、制御部は、第1可動部30、第2可動部50、第3可動部70及び第4可動部90が、それぞれ洗浄待機位置、ロック解除待機位置、検体移送待機位置及び格納位置に位置すると判定すると(S102でYES)、センサ12から受ける検出信号に基づき、第4可動部90に核酸増幅反応用デバイス10が載置されているか否かを判定する(S104)。
【0112】
具体的には、制御部は、センサ12から受ける検出信号がローレベルである場合、第4可動部90に核酸増幅反応用デバイス10が載置されていると判定する。一方、制御部は、センサ12から受ける検出信号がハイレベルである場合、第4可動部90に核酸増幅反応用デバイス10が載置されていないと判定する。
【0113】
<S106>
次に、制御部は、第4可動部90に核酸増幅反応用デバイス10が載置されていないと判定すると(S104でNO)、第4駆動部83を制御して第4可動部90を排出位置へ移動させる。詳細には、制御部は、第4可動部90をz軸+側へ移動させ、センサ82Eから受ける検出信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、第4可動部90の移動を停止させる(S106)。
【0114】
<S108>
次に、制御部は、第4可動部90の排出位置への移動が正常に完了したか否かを判定する(S108)。
【0115】
具体的には、制御部は、センサ82Eから受ける検出信号がタイムアウト期間T4E内にハイレベルからローレベルに切り替わると、第4可動部90の排出位置への移動が正常に完了したと判定する。一方、制御部は、センサ82Eから受ける検出信号がタイムアウト期間T4E内にハイレベルからローレベルに切り替わらない場合、第4可動部90の排出位置への移動が正常に完了しなかったと判定する。ここで、タイムアウト期間T4Eは、たとえば、第4可動部90が排出位置への移動を開始したタイミングから所定時間が経過するまでの期間である。
【0116】
<S110>
次に、制御部は、第4可動部90の排出位置への移動が正常に完了したと判定した場合(S108でYES)、第4可動部90の排出処理が正常に終了したと判断する。(S110)。
【0117】
<S112>
一方、制御部は、第4可動部90の排出位置への移動が正常に完了しなかったと判定した場合(S108でNO)、第4可動部90の排出処理が異常終了したと判断する(S112)。
【0118】
<S114>
次に、第4可動部90の排出処理が正常に終了した場合(S110)、ユーザは、測定装置の外部に露出した第4可動部90に核酸増幅反応用デバイス10を載置する操作を行う。また、第4可動部90の排出処理が異常終了した場合(S112)、制御部は、たとえば、第4可動部90の排出処理の異常終了をエラーログに記録する。また、制御部は、第1可動部30、第2可動部50、第3可動部70及び第4可動部90の少なくとも1つが、それぞれ洗浄待機位置、ロック解除待機位置、検体移送待機位置及び格納位置に位置しないと判定するか(S102でNO)、または第4可動部90に核酸増幅反応用デバイス10が載置されていると判定すると(S104でYES)、何もせずに第4可動部90の排出処理を終了する(S114)。
【0119】
<(3)動作例2>
<測定処理>
次に、本実施形態の搬送装置における核酸増幅反応用デバイスの測定処理について、図24を参照しながら説明する。図24は、本実施形態の搬送装置における核酸増幅反応用デバイスの測定処理を示すフローチャートである。測定処理は、核酸増幅反応用デバイス10の測定装置内部への搬入、検体の測定準備、検体の測定、及び測定後の核酸増幅反応用デバイス10の搬出を行うための処理である。
【0120】
<S200>
ユーザは、核酸増幅反応用デバイス10を搬送装置1に測定させるための操作を搬送装置1に対して行う。具体的には、ユーザは、たとえば第2スイッチ(図示しない)を押す(S200)。
【0121】
<S202>
次に、制御部は、第2スイッチがユーザによって押されると、第4駆動部83を制御して核酸増幅反応用デバイス10を搬送装置1の内部に搬入させる。詳細には、制御部は、第4可動部90をz軸-側へ移動させ、センサ82Hから受ける検出信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、第4可動部90の移動を停止させる(S202)。
【0122】
<S204>
次に、制御部は、核酸増幅反応用デバイス10の搬送装置1への搬入が正常に完了したか否かを判定する(S204)。
【0123】
具体的には、制御部は、センサ82Hから受ける検出信号がタイムアウト期間T4H内にハイレベルからローレベルに切り替わるとともに、センサ12から受ける検出信号がタイムアウト期間T5内にハイレベルからローレベルに切り替わる場合、第4可動部90の搬送装置1への搬入が正常に完了したと判定する。一方、制御部は、センサ82Hから受ける検出信号がタイムアウト期間T4H内にハイレベルからローレベルに切り替わらない場合、及びセンサ12から受ける検出信号がタイムアウト期間T5内にハイレベルからローレベルに切り替わらない場合の少なくともいずれかの場合、第4可動部90の搬送装置1への搬入が正常に完了しなかったと判定する。ここで、タイムアウト期間T4Hは、たとえば、第4可動部90が格納位置への移動を開始したタイミングから所定時間が経過するまでの期間である。同様に、タイムアウト期間T5は、たとえば、第4可動部90が格納位置への移動を開始したタイミングから所定時間が経過するまでの期間である。なお、タイムアウト期間T4H及びT5が同じとなる構成であってもよいし、タイムアウト期間T4H及びT5が異なる構成であってもよい。
【0124】
<S206>
次に、制御部は、搬送装置1に押し込み動作、ロック解除動作及び検体移送動作を行わせる測定準備処理を行う(S206)。測定準備処理は図25に示したフローチャートに対応するが、その詳細は後述する。
【0125】
<S208及びS210>
次に、制御部は、測定準備処理が正常に完了したと判定した場合(S208でYES)、測定装置に検体を測定させる(S210)。
【0126】
<S212>
次に、制御部は、第4駆動部83を制御して核酸増幅反応用デバイス10を測定装置の外部に搬出させる。詳細には、制御部は、第4可動部90をz軸+側へ移動させ、センサ82Eから受ける検出信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、第4可動部90の移動を停止させる(S212)。
【0127】
<S214>
次に、制御部は、核酸増幅反応用デバイス10の搬送装置1からの搬出が正常に完了したか否かを判定する(S214)。
【0128】
具体的には、制御部は、センサ82Eから受ける検出信号がタイムアウト期間T4E内にハイレベルからローレベルに切り替わると、核酸増幅反応用デバイス10の搬送装置1からの搬出が正常に完了したと判定する。一方、制御部は、センサ82Eから受ける検出信号がタイムアウト期間T4E内にハイレベルからローレベルに切り替わらない場合、核酸増幅反応用デバイス10の搬送装置1からの搬出が正常に完了しなかったと判定する。
【0129】
<S216>
次に、制御部は、核酸増幅反応用デバイス10の搬送装置1からの搬出が正常に完了したと判定した場合(S214でYES)、核酸増幅反応用デバイス10の測定処理が正常に終了したと判断する。(S216)。
【0130】
<S218>
一方、制御部は、第4可動部90の搬送装置1への搬入が正常に完了しなかったと判定した場合(S204でNO)、測定準備処理が正常に完了しなかったと判定した場合(S208でNO)、または核酸増幅反応用デバイス10の測定装置からの搬出が正常に完了しなかったと判定した場合(S214でNO)、核酸増幅反応用デバイス10の測定処理が異常終了したと判断する(S218)。
【0131】
<S220>
次に、核酸増幅反応用デバイス10の測定処理が正常に終了した場合(S216)、ユーザは、測定装置の外部に搬出された核酸増幅反応用デバイス10を取りだす。一方、核酸増幅反応用デバイス10の測定処理が異常終了した場合(S218)、制御部は、たとえば、核酸増幅反応用デバイス10の測定処理の異常終了をエラーログに記録する(S220)。
【0132】
<測定準備処理>
次に、測定処理の一部である測定準備処理について、図25を参照しながら説明する。図25は、本実施形態の搬送装置における測定準備処理を示すフローチャートである。図25の測定準備処理は、図24の測定処理のステップS206における動作の詳細を示している。
【0133】
<S300>
当該処理の前のS204の処理により、核酸増幅反応用デバイス10が載置された第4可動部90は搬入が正常に完了して格納位置への移動が完了している(S300)。
【0134】
<S302>
次に、制御部は、第1駆動部33を制御して第1可動部30を洗浄完了位置へ移動させる。詳細には、制御部は、第1可動部30をz軸-側へ移動させ、センサ22Eから受ける検出信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、切り替わったタイミングから所定の設定時間だけ第1可動部30をz軸-側へさらに移動させた後、第1可動部30の移動を停止させる(S302)。
【0135】
<S304>
次に、制御部は、第1可動部30の洗浄完了位置への移動が正常に完了したか否かを判定する(S304)。
【0136】
具体的には、制御部は、センサ22Eから受ける検出信号がタイムアウト期間T1E内にハイレベルからローレベルに切り替わると、第1可動部30の洗浄完了位置への移動が正常に完了したと判定する。一方、制御部は、センサ22Eから受ける検出信号がタイムアウト期間T1E内にハイレベルからローレベルに切り替わらない場合、第1可動部30の洗浄完了位置への移動が正常に完了しなかったと判定する。ここで、タイムアウト期間T1Eは、たとえば、第1可動部30が洗浄完了位置への移動を開始したタイミングから所定時間が経過するまでの期間である。
【0137】
<S306>
次に、制御部は、第1可動部30の洗浄完了位置への移動が正常に完了したと判定した場合(S304でYES)、搬送装置1にロック解除動作を行わせるロック解除処理を行う(S306)。ロック解除処理は図26に示したフローチャートに対応するが、その詳細は後述する。
【0138】
<S308及びS310>
次に、制御部は、ロック解除処理が正常に完了したと判定した場合(S308でYES)、搬送装置1に検体移送動作を行わせる検体移送処理を行う(S310)。検体移送処理の詳細は、後述する。
【0139】
<S312及びS314>
次に、制御部は、検体移送処理が正常に完了したと判定した場合(S312でYES)、第1駆動部33を制御して第1可動部30を洗浄待機位置へ移動させる。詳細には、制御部は、第1可動部30をz軸+側へ移動させ、センサ22Hから受ける検出信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、第1可動部30の移動を停止させる(S314)。
【0140】
<S316>
次に、制御部は、第1可動部30の洗浄待機位置への移動が正常に完了したか否かを判定する(S316)。
【0141】
具体的には、制御部は、センサ22Hから受ける検出信号がタイムアウト期間T1H内にハイレベルからローレベルに切り替わると、第1可動部30の洗浄待機位置への移動が正常に完了したと判定する。一方、制御部は、センサ22Hから受ける検出信号がタイムアウト期間T1H内にハイレベルからローレベルに切り替わらない場合、第1可動部30の洗浄待機位置への移動が正常に完了しなかったと判定する。ここで、タイムアウト期間T1Hは、たとえば、第1可動部30が洗浄待機位置への移動を開始したタイミングから所定時間が経過するまでの期間である。
【0142】
<S318>
次に、制御部は、第1可動部30の洗浄待機位置への移動が正常に完了したと判定した場合(S316でYES)、測定準備処理が正常に完了したと判定する(S318)。
【0143】
<S320>
一方、制御部は、第1可動部30の洗浄完了位置への移動が正常に完了しなかったと判定した場合(S304でNO)、ロック解除処理が正常に完了しなかったと判定した場合(S308でNO)、検体移送処理が正常に完了しなかったと判定した場合(S312でNO)、または第1可動部30の洗浄待機位置への移動が正常に完了しなかったと判定した場合(S316でNO)、測定準備処理が正常に完了しなかったと判定する(S320)。
【0144】
<ロック解除処理>
次に、測定準備処理の一部であるロック解除処理について、図26を参照しながら説明する。図26は、本実施形態の搬送装置におけるロック解除処理を示すフローチャートである。図26のロック解除処理は、図25の測定準備処理のステップS306における動作の詳細を示している。
【0145】
<S400>
当該処理の前のS304の処理により、第1可動部30は洗浄完了位置への移動が正常に完了している(S400)。
【0146】
<S402>
次に、制御部は、第2駆動部43を制御して第2可動部50をロック解除完了位置へ移動させる。詳細には、制御部は、第2可動部50を時計方向cw3へ回転させ、センサ42Eから受ける検出信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、切り替わったタイミングから所定の設定時間だけ第2可動部50を時計方向cw3へさらに回転させた後、第2可動部50の回転を停止させる(S402)。
【0147】
<S404>
次に、制御部は、第2可動部50のロック解除完了位置への移動が正常に完了したか否かを判定する(S404)。
【0148】
具体的には、制御部は、センサ42Eから受ける検出信号がタイムアウト期間T2E内にハイレベルからローレベルに切り替わると、第2可動部50のロック解除完了位置への移動が正常に完了したと判定する。一方、制御部は、センサ42Eから受ける検出信号がタイムアウト期間T2E内にハイレベルからローレベルに切り替わらない場合、第2可動部50のロック解除完了位置への移動が正常に完了しなかったと判定する。ここで、タイムアウト期間T2Eは、たとえば、第2可動部50がロック解除完了位置への移動を開始したタイミングから所定時間が経過するまでの期間である。
【0149】
<S406>
次に、制御部は、第2可動部50のロック解除完了位置への移動が正常に完了したと判定した場合(S404でYES)、所定時間だけ待機する(S406)。
【0150】
<S408>
次に、制御部は、第2駆動部43を制御して第1可動部30をロック解除待機位置へ移動させる。詳細には、制御部は、第2可動部50を反時計方向ccw3へ回転させ、センサ42Hから受ける検出信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、第2可動部50の回転を停止させる(S408)。
【0151】
<S410>
次に、制御部は、第2可動部50のロック解除待機位置への移動が正常に完了したか否かを判定する(S410)。
【0152】
具体的には、制御部は、センサ42Hから受ける検出信号がタイムアウト期間T2H内にハイレベルからローレベルに切り替わると、第2可動部50のロック解除待機位置への移動が正常に完了したと判定する。一方、制御部は、センサ42Hから受ける検出信号がタイムアウト期間T2H内にハイレベルからローレベルに切り替わらない場合、第2可動部50のロック解除待機位置への移動が正常に完了しなかったと判定する。ここで、タイムアウト期間T2Hは、たとえば、第2可動部50がロック解除待機位置への移動を開始したタイミングから所定時間が経過するまでの期間である。
【0153】
<S412>
次に、制御部は、第2可動部50のロック解除待機位置への移動が正常に完了したと判定した場合(S410でYES)、ロック解除処理が正常に完了したと判定する(S412)。
【0154】
<S414>
一方、制御部は、第2可動部50のロック解除完了位置への移動が正常に完了しなかったと判定した場合(S404でNO)、または第2可動部50のロック解除待機位置への移動が正常に完了しなかったと判定した場合(S410でNO)、ロック解除処理が正常に完了しなかったと判定する(S414)。
【0155】
<検体移送処理>
次に、測定準備処理の一部である検体移送処理について、図27を参照しながら説明する。図27は、本実施形態の搬送装置における検体移送処理を示すフローチャートである。図27の検体移送処理は、図25の測定準備処理のステップS310における動作の詳細を示している。
【0156】
<S500>
当該処理の前のS308の処理により、核酸増幅反応用デバイス10のロック解除動作が正常に完了している(S500)。
【0157】
<S502>
次に、制御部は、第3駆動部73を制御して第3可動部70を検体移送完了位置へ移動させる。詳細には、制御部は、第3駆動部73をz軸-側へ移動させ、センサ62Eから受ける検出信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、切り替わったタイミングから所定の設定時間だけ第3可動部70をz軸-側へさらに移動させた後、第3可動部70の移動を停止させる(S502)。
【0158】
<S504>
次に、制御部は、第3可動部70の検体移送完了位置への移動が正常に完了したか否かを判定する(S504)。
【0159】
具体的には、制御部は、センサ62Eから受ける検出信号がタイムアウト期間T3E内にハイレベルからローレベルに切り替わると、第3可動部70の検体移送完了位置への移動が正常に完了したと判定する。一方、制御部は、センサ62Eから受ける検出信号がタイムアウト期間T3E内にハイレベルからローレベルに切り替わらない場合、第3可動部70の検体移送完了位置への移動が正常に完了しなかったと判定する。ここで、タイムアウト期間T3Eは、たとえば、第3可動部70が検体移送完了位置への移動を開始したタイミングから所定時間が経過するまでの期間である。
【0160】
<S506>
次に、制御部は、第3可動部70の検体移送完了位置への移動が正常に完了したと判定した場合(S504でYES)、所定時間だけ待機する(S506)。
【0161】
<S508>
次に、制御部は、第3駆動部73を制御して第3可動部70を検体移送待機位置へ移動させる。詳細には、制御部は、第3可動部70をz軸+側へ移動させ、センサ62Hから受ける検出信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、第3可動部70の移動を停止させる(S508)。
【0162】
<S510>
次に、制御部は、第3可動部70の検体移送待機位置への移動が正常に完了したか否かを判定する(S510)。
【0163】
具体的には、制御部は、センサ62Hから受ける検出信号がタイムアウト期間T3H内にハイレベルからローレベルに切り替わると、第3可動部70の検体移送待機位置への移動が正常に完了したと判定する。一方、制御部は、センサ62Hから受ける検出信号がタイムアウト期間T3H内にハイレベルからローレベルに切り替わらない場合、第3可動部70の検体移送待機位置への移動が正常に完了しなかったと判定する。ここで、タイムアウト期間T3Hは、たとえば、第3可動部70が検体移送待機位置への移動を開始したタイミングから所定時間が経過するまでの期間である。
【0164】
<S512>
次に、制御部は、第3可動部70の検体移送待機位置への移動が正常に完了したと判定した場合(S510でYES)、検体移送処理が正常に完了したと判定する(S512)。
【0165】
<S514>
一方、制御部は、第3可動部70の検体移送完了位置への移動が正常に完了しなかったと判定した場合(S504でNO)、または第3可動部70の検体移送待機位置への移動が正常に完了しなかったと判定した場合(S510でNO)、検体移送処理が正常に完了しなかったと判定する(S514)。
【0166】
<(4)動作例3>
<格納処理>
次に、本実施形態の搬送装置における第4可動部90の格納処理について、図28を参照しながら説明する。格納処理は、ユーザが核酸増幅反応用デバイス10を第4可動部90から取り出した後、第4可動部90を測定装置の内部に格納するための処理である。図28は、本実施形態の搬送装置における第4可動部90の格納処理を示すフローチャートである。S102及びS104は、動作例1の排出処理の場合と同様であるため説明を省略する。
【0167】
<S600>
ユーザは、第4可動部90を測定装置の内部に格納させるための操作を搬送装置1に対して行う。具体的には、ユーザは、たとえば第3スイッチ(図示しない)を押す(S600)。
【0168】
<S602>
次に、制御部は、第3スイッチがユーザによって押されると、第4駆動部83を制御して第4可動部90を格納位置へ移動させる。詳細には、制御部は、第4可動部90をz軸-側へ移動させ、センサ82Hから受ける検出信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、第4可動部90の移動を停止させる(S602)。
【0169】
<S604>
次に、制御部は、第4可動部90に核酸増幅反応用デバイス10が載置されていないと判定すると(S104でNO)、第4可動部90の格納処理が正常に終了したと判断する。(S604)。
【0170】
<S606>
一方、制御部は、第1可動部30、第2可動部50、第3可動部70及び第4可動部90の少なくとも1つが、それぞれ洗浄待機位置、ロック解除待機位置、検体移送待機位置及び格納位置に位置しないと判定するか(S102でNO)、または第4可動部90に核酸増幅反応用デバイス10が載置されていると判定すると(S104でYES)、第4可動部90の格納処理が異常終了したと判断する(S606)。
【0171】
<2.本実施形態の特徴>
上記構成の搬送装置によれば、第1駆動部33によって駆動される第1可動部30が洗浄待機位置から洗浄完了位置へ移動することで、洗浄液ポット120をz軸-側へ移動させることができるので、洗浄液によって検体を洗浄することができる。また、第2駆動部43によって駆動される第2可動部50がロック解除待機位置からロック解除完了位置へ移動することで、支柱板500を自由位置に移動させることができるので、フィルタ支持部材300の移動を自由にすることができる。そして、第3駆動部73によって駆動される第3可動部70が検体移送待機位置から検体移送完了位置へ移動することで、フィルタ301が反応チューブ200の空間内に位置する反応位置にフィルタ支持部材300を移動させることができる。これにより、たとえば、反応チューブ200の空間内に充填された反応試薬と試料とを混合させることができる。また、第4駆動部83によって駆動される第4可動部90が測定装置の外部と測定装置の内部との間を移動することで、核酸増幅反応用デバイス10の測定装置への搬出入を行うことができる。したがって、試料洗浄、及び試料と核酸増幅反応用試薬との混合、ならびに核酸増幅反応用デバイスの測定装置への搬出入を測定者の操作によらないで行うことができる。
【0172】
たとえば、位置を認識することが可能なステッピングモータを第1駆動部33として用いる場合、凸部111がアルミシールを破壊する際の急激な負荷変動によってステッピングモータが脱調することがある。ステッピングモータが脱調した場合、第1可動部30が洗浄完了位置に到達したか否か判断することが困難となるので、核酸増幅反応用デバイス10において試料洗浄が行われなくなることがある。上記構成の搬送装置では、洗浄液ポット120が、洗浄液を密封するアルミシールを有する。凸部111が、アルミシールに向かって突出し、洗浄液ポット120がz軸-側に移動する際にアルミシールを破壊する。センサ22H及び22Eが、洗浄待機位置及び洗浄完了位置をそれぞれ検出する。そして、制御部が、センサ22Hの検出結果及びセンサ22Eの検出結果に基づき、第1駆動部33を制御する。これにより、第1可動部30が洗浄完了位置に到達したことをセンサ22Eの検出結果に基づき認識することができるので、第1可動部30を洗浄完了位置に確実に移動させ、試料洗浄を行わせることができる。
【0173】
たとえば、位置を認識することが可能なステッピングモータを第2駆動部43として用いる場合、第2可動部50が、フィルタ支持部材300を圧接する支柱板500と当接する際の急激な負荷変動によってステッピングモータが脱調することがある。ステッピングモータが脱調した場合、第2可動部50がロック解除完了位置に到達したか否か判断することが困難となるので、フィルタ支持部材300の移動が自由にならず、核酸増幅反応用デバイス10において試料と核酸増幅反応用試薬との混合が行われなくなることがある。上記構成の搬送装置では、センサ42H及び42Eが、ロック解除待機位置及びロック解除完了位置をそれぞれ検出する。そして、制御部が、センサ42Hの検出結果及びセンサ42Eの検出結果に基づき、第2駆動部43を制御する。これにより、第2可動部50がロック解除完了位置に到達したことをセンサ42Eの検出結果に基づき認識することができるので、第2可動部50をロック解除完了位置に確実に移動させ、核酸増幅反応用デバイス10において試料と核酸増幅反応用試薬との混合を行わせることができる。
【0174】
たとえば、位置を認識することが可能なステッピングモータを第3駆動部73として用いる場合、第3可動部70によって駆動されたフィルタ支持部材300が反応チューブ200内のアルミシールを破壊する際の急激な負荷変動によってステッピングモータが脱調することがある。ステッピングモータが脱調した場合、第3可動部70が検体移送完了位置に到達したか否か判断することが困難となるので、核酸増幅反応用デバイス10において試料と核酸増幅反応用試薬との混合が行われなくなることがある。上記構成の搬送装置では、センサ62H及び62Eが、検体移送待機位置及び検体移送完了位置をそれぞれ検出する。そして、制御部が、センサ62Hの検出結果及びセンサ62Eの検出結果に基づき、第3駆動部73を制御する。これにより、第3可動部70が検体移送完了位置に到達したことをセンサ62Eの検出結果に基づき認識することができるので、第3可動部70を検体移送完了位置に確実に移動させ、核酸増幅反応用デバイス10において試料と核酸増幅反応用試薬との混合を行わせることができる。
【0175】
<3.補足事項>
以上、本発明の実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明では、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0176】
本実施形態の搬送装置では、洗浄液ポット120に洗浄液が充填される構成について説明したが、洗浄液ポット120には、他の種類の薬剤が充填される構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明は、外部から核酸増幅反応用デバイスに対して機械的な操作をする搬送装置として好適に利用される。
【符号の説明】
【0178】
1…搬送装置
10…核酸増幅反応用デバイス
11a…開口部
11b…下側ベース
11b1…支持面
11cR…右側支持部材
11cR1…枠状部
11cR2…段部
11cL…左側支持部材
11cL1…枠状部
11cL2…段部
12…センサ
12a…溝
13…カートリッジ検出機構
13a…板状部材
13b…棒状部材
13b1…止め輪
13c…三角柱状部材
13c1…当接面
16…第1駆動ユニット
17…第2駆動ユニット
18…第3駆動ユニット
19…第4駆動ユニット
20…上側支持板
20a…切り欠き部
20bR、20bL…長孔
21R、21L…レール
22H、22E…センサ
22a…溝
23R、23L…カム孔
23R1、23L1…直線部
23R2、23L2…曲線部
24…ラック
25…支持部材
30…第1可動部
31a…板状部材
31b…U字部材
31cR、31cL…摺動部材
31dR、31dL…棒状部材
32R、32L…押圧子
32a…貫通孔
32b…突出部
32c…凸部
33…第1駆動部
33a…モータ
33b…駆動ギヤ
33d…駆動シャフト
40…支持部材
42…センサ
42H、42E…センサ
42a…溝
43…第2駆動部
43a…モータ
43b…駆動ギヤ
43d…駆動シャフト
50…第2可動部
51…板状部材
51a51b…突出部
52…押圧子
52a…突出部
53…ギヤ部材
60…支持部材
60a…U字部
60bR…右側板状部
60bL…左側板状部
62H、62E…センサ
62a…溝
63L、63R…カム孔
63f…第1直線部
63s…第2直線部
64L、64R…案内孔
65…レール
66…ラック
70…第3可動部
71…板状部材
72R、72L…押圧子
72a…突出部
72b、72c…貫通孔
73…第3駆動部
73a…モータ
73b…駆動ギヤ
75…摺動部材
76…可動部本体
76a…突出部
76a1…貫通孔
77…棒状部材
78L、78R…棒状部材
80…下側支持板
80bR…右側長孔
80bL…左側長孔
80c…貫通孔
80d…開口部
81…レール
81b1…貫通孔
82H、82E…センサ
82a…溝
83…第4駆動部
83a…モータ
83b…駆動ギヤ
83c…伝達ギヤ
83d…駆動シャフト
90…第4可動部
91a…板状部材
91b…載置部
91b1…貫通孔
91b2…載置面
91c…突出部
91c2…当接面
91d…突出部
91d1…貫通孔
91d2…当接面
92…ラック
100…上側ケーシング
101…試料滴下部
101a…吐出口
110…洗浄液ポットカバー
111…凸部
120…洗浄液ポット
121…分注口
122…突起
200…反応チューブ
300…フィルタ支持部材
301…フィルタ
303…駆動用リブ
400…吸収材設置板
402…載置部
500…支柱板
501…支柱
503…押圧部
600…下側ケーシング
A1、A2、A3、A4、A5、A6…回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28