IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特許7285760電子レンジ対応食品の包装容器に組み込むための遮蔽構造を有するRFIDタグ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】電子レンジ対応食品の包装容器に組み込むための遮蔽構造を有するRFIDタグ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20230526BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20230526BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20230526BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20230526BHJP
   H01Q 17/00 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
G06K19/077 172
G06K19/077 144
G06K19/077 212
G06K19/077 280
B65D81/34 U
B65D25/20 P
H01Q9/16
H01Q17/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019199949
(22)【出願日】2019-11-01
(62)【分割の表示】P 2017253316の分割
【原出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2020042832
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】62/440,108
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/539,817
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518000176
【氏名又は名称】エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON RETAIL INFORMATION SERVICES LLC
【住所又は居所原語表記】8080 Norton Parkway, Mentor, Ohio 44060 Uni-ted States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】イアン フォースター
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン ハワード
(72)【発明者】
【氏名】ブラッド カンビー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ オーロウスキー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン シュトロマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】フ ドゥアン
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン ヒギンス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン フェルツ
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-227668(JP,A)
【文献】特表2016-532901(JP,A)
【文献】特開2007-089054(JP,A)
【文献】特開2007-026145(JP,A)
【文献】特開2015-162187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00-19/18
B65D 23/00-81/36
H01Q 9/16-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に組み込まれるRFIDタグであって、
RFIDチップと、前記RFIDチップに電気的に結合されたアンテナと、を備え、
前記アンテナは、異なる熱膨張係数を有するベース材料と2次材料とで形成された導体で構成され、前記アンテナが電子レンジ内でマイクロ波による加熱を受けた時に前記ベース材料が前記2次材料よりも膨張をすることによって前記アンテナの前記2次材料が複数の断片に破砕される、RFIDタグ。
【請求項2】
前記ベース材料はプラスチック材料であり、前記2次材料は金属材料又は導電性インクである、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記ベース材料は、前記2次材料よりも多くの量で提供され、前記2次材料よりも高い熱膨張係数を有する、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記導体は、少なくとも1つの脆弱点又は脆弱線を含み、該少なくとも1つの脆弱点又は脆弱線は、前記導体の別の区分よりも小さな厚みを有する、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記アンテナは、スロット-ループ混成アンテナとして構成される、請求項1に記載のRFIDタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2016年12月29日に出願された米国仮特許出願第62/440,108号及び2017年8月1日に出願された米国仮特許出願第62/539,817号に対する優先権、並びにこれらの利益を主張するものであり、これらの各文献はその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本主題は、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に関する。具体的には、本主題は、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に組み込まれた無線自動識別(「RFID」)タグに関する。
【背景技術】
【0003】
電子レンジ対応食品アイテムの包装容器は、食品アイテムを調理/加熱するために食品アイテムと共に電子レンジ内に配置すべき調理補助材を含むことが知られている。例えば、冷凍パイ又は調理パンなどの皮で包まれた食品は、レンジ加熱中に食品アイテムを少なくとも部分的に取り囲む紙アイテムである「クリスピングスリーブ(crisping sleeves)」の恩恵を受けることができる。通常、「クリスピングスリーブ」は紙基材を有し、「クリスピングスリーブ」の内面に組み込まれたサセプタが食品アイテムに面し、好ましくは接触する。この金属化フィルムとすることができるサセプタは、マイクロ波エネルギーを吸収して熱に変換することによって食品アイテムの皮又は表面をパリパリに及び/又はきつね色に仕上げ、従って食品アイテムの見た目及び質感を向上させる。サセプタとして使用されるフィルムは、その吸収特性に起因して比較的低レベルのエネルギーを反射する結果、隣接するフィルム部分間に高差動電圧を生じることによって包装容器を発火させる恐れがあるアークを生じさせることがない。
【0004】
また、製品包装容器には、在庫管理及び盗難防止を含む様々な目的でRFIDタグなどのRFID技術を組み込むことも知られている。図1に、従来の設計によるRFIDタグTを示し、これは、図1Aにおける電子レンジ対応食品アイテムの包装容器9の封入体13(通常は、紙又は厚紙のスリーブ又は箱)のような封入体に固定又は別様に付随することができる。図1Aの包装容器9は、その全体がレンジ加熱されるように意図されたものではなく、食品アイテム(及び、任意に「クリスピングスリーブ」など)は、加熱/調理のために図1Aの封入体13から取り出されて電子レンジに挿入される。
【0005】
図1のRFIDタグTは、RFIDリーダ(図示せず)との間で情報を送受信するためのダイポールアンテナAに付随するRFIDチップCを含む。RFIDチップCは、アンテナAによって2つの導体パッド領域P間に定められる間隙Gを横切ってアンテナAに電気的に結合されている。
【0006】
本質的に、RFIDタグは、何らかの位置に間隙を有しなければならず、この間隙を横切ってRFIDチップが配置され、リーダ装置の場内に存在する時に所望の動作周波数において電圧を有する。RFIDチップCへの入射に必要な電力は、10マイクロワットほどの低さであるのに対し、電子レンジは、一般に800ワットを超える電力レベルで動作し、これによって間隙G及び関連するRFIDチップCに非常に高い電圧が生じることがある。アンテナAは、例えば約860MHz~930MHzの第1の周波数F1で動作し、RFIDリーダからの第1の周波数F1の入射電力を取り込み、これをRFIDチップCへの電圧に変換してRFIDチップの動作を可能にするように設計される。
【0007】
RFIDタグTを電子レンジ内に配置すると、図1においてF2で識別する、電子レンジによって付与される一般に約2,450MHzの第2の周波数がアンテナAに入射することもある。アンテナAは、第2の周波数F2における非常に高い電力レベルが入射すると高電圧を生じるので、第2の周波数F2で動作するようには設計されていない。これらの高電圧は、アンテナA上の多くの箇所に発生し得るが、アンテナ要素間の大きな間隙Lと制御された半径(図1では概略Rで識別する)とを導入することなどの方法によって、高電圧絶縁破壊、従ってアークを発生させる電圧がアンテナ要素に加わるのを避けることができる。しかしながら、RFIDチップCが横切る間隙Gは必然的に比較的狭く、従って第2の周波数F2における高電圧が生じ、この電圧が絶縁破壊を引き起こしてアークを生じることがある。同様に図1Aに示すダイポールアンテナ17は、マイクロ波エネルギーを受け取り(図1AにおいてMで識別する)、このマイクロ波エネルギーをマイクロ波源内に反射する(図1AにおいてRで識別する)ことができる。ダイポールアンテナ17の隣接する区分間には、アークが発生する可能性がある(この位置は、図1Aにおいて19で識別するダイポールアンテナ17の2つの導体素子間に存在し得る)。また、図1Aを参照すると、従来のRFIDタグ11のダイポールアンテナ17は、典型的なサセプタを定めるために使用される金属フィルムとは異なる特性を有する比較的厚い低抵抗導体で形成される。例えば、一般的なサセプタは、100オーム~230オームのシート抵抗に対応する、光学濃度が0.18~0.29の金属被覆フィルムで形成されるのに対し、RFIDタグ11のアンテナ18の形成には、一般にスクエアメーター当たり1オーム未満の材料が使用される。RFIDタグ11は、ダイポールアンテナ17の特性に起因して、食品アイテムをレンジ加熱する前に食品アイテムから切り離さないと(すなわち、図1Aの包装容器9全体を電子レンジ内に配置すると)問題を引き起こすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この種の問題を避けるために、通常、図1及び図1AのRFIDタグT及び11は、封入体をレンジ加熱しない旨の指示を含むことができる包装容器の封入体にRFIDタグを固定することなどによって、それぞれ食品アイテムから容易に除去又は別様に分離が可能なように構成される。しかしながら、適切な注意を怠ったユーザが(図1及び図1Aに示すRFIDタグT及び11をそれぞれ含む)包装容器全体を食品アイテムと共に電子レンジ内に配置してしまい、従ってRFIDタグT又は11を食品アイテムから分離し損ねる可能性もある。従って、従来のRFIDタグT又は11をレンジ加熱することに伴う問題を引き起こすことなくレンジ加熱できるRFIDタグを提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本主題には、以下で説明して特許請求する装置及びシステムにおいて別個に又は共に具体化できる複数の態様が存在する。これらの態様は、単独で採用することも、或いは本明細書で説明する他の発明態様と組み合わせて採用することもでき、これらの態様を組み合わせた説明は、これらの態様を個別に使用することや、或いはこのような態様を個別に、又は本明細書に添付する特許請求の範囲に記載するような異なる組み合わせで特許請求することを排除するものではない。
【0010】
1つの態様では、RFIDタグが、第1の周波数で動作するように構成された、間隙を定めるアンテナを含む。アンテナには、間隙を横切ってRFIDチップが電気的に結合される。アンテナには、間隙を横切って遮蔽構造が電気的に結合されてRFIDチップを覆う。遮蔽構造は、遮蔽導体と、遮蔽導体とRFIDチップとの間に少なくとも部分的に位置する遮蔽誘電体とを含む。遮蔽構造は、アンテナが第1の周波数よりも高い第2の周波数に曝露された時に、間隙に加わる電圧を制限するように構成される。
【0011】
別の態様では、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器を提供する。包装容器は、封入体と、封入体に固定されたRFIDタグとを含む。RFIDタグは、第1の周波数で動作するように構成された、間隙を定めるアンテナを含む。アンテナには、間隙を横切ってRFIDチップが電気的に結合される。アンテナには、間隙を横切って遮蔽構造が電気的に結合されてRFIDチップを覆う。遮蔽構造は、遮蔽導体と、遮蔽導体とRFIDチップとの間に少なくとも部分的に位置する遮蔽誘電体とを含む。遮蔽構造は、アンテナが第1の周波数よりも高い第2の周波数に曝露された時に、間隙に加わる電圧を制限するように構成される。
【0012】
さらなる態様では、RFIDタグが、第1の周波数で動作するように構成された、間隙を定めるアンテナを含む。アンテナには、間隙を横切ってRFIDチップが電気的に結合される。アンテナには、間隙を横切って遮蔽構造が電気的に結合されてRFIDチップを覆う。遮蔽構造は、遮蔽導体と、遮蔽導体とRFIDチップとの間に少なくとも部分的に位置する遮蔽誘電体とを含む。アンテナには、RFIDチップの下にある第2の遮蔽構造が間隙を横切って電気的に結合される。遮蔽構造は、アンテナが第1の周波数よりも高い第2の周波数に曝露された時に、間隙に加わる電圧を制限するように構成される。
【0013】
別の態様では、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器を提供する。包装容器は、封入体と、封入体に固定されたRFIDタグとを含む。RFIDタグは、第1の周波数で動作するように構成された、間隙を定めるアンテナを含む。アンテナには、間隙を横切ってRFIDチップが電気的に結合される。アンテナには、間隙を横切って遮蔽構造が電気的に結合されてRFIDチップを覆う。遮蔽構造は、遮蔽導体と、遮蔽導体とRFIDチップとの間に少なくとも部分的に位置する遮蔽誘電体とを含む。アンテナには、RFIDチップの下にある第2の遮蔽構造が間隙を横切って電気的に結合される。遮蔽構造は、アンテナが第1の周波数よりも高い第2の周波数に曝露された時に、間隙に加わる電圧を制限するように構成される。
【0014】
別の態様では、アンテナが、約100オーム~約230オームのシート抵抗を有するアンテナで構成される。別の態様では、RFIDタグが、RFIDチップと、RFIDチップに電気的に結合されたアンテナとを含む。アンテナは、加熱時にアンテナを複数の断片に破砕させるように構成された異なる熱膨張係数を有するベース材料と第2の材料とで形成された導体で構成される。
【0015】
さらに別の態様では、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器を提供する。包装容器は、封入体と、RFIDラベルと、RFIDラベルと封入体との間に存在する接合材料を含む。RFIDラベルは、基材と、基材に付随するRFIDタグとを含む。RFIDタグは、RFIDチップと、RFIDチップに電気的に結合されたアンテナとを含む。接合材料は、アンテナよりも高い抵抗を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来の設計によるRFIDタグの平面図である。
図1A】従来の設計によるRFIDを組み込んだ電子レンジ対応食品アイテムの包装容器の斜視図である。
図2A】本開示の態様による、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に組み込むことができるRFIDタグの平面図である。
図2B】電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に固定された図2AのRFIDタグの一部の側面断面図である。
図3A】本開示の態様による、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に組み込むことができるRFIDタグの別の実施形態の平面図である。
図3B】電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に固定された図3AのRFIDタグの一部の側面断面図である。
図4A】本開示の態様による、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に組み込むことができるRFIDタグの第3の実施形態の平面図である。
図4B図4AのRFIDタグの一部の側面断面図である。
図5】本開示の態様による、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に組み込むことができるRFIDタグの第4の実施形態の平面図である。
図6A】本開示の態様による、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に組み込むことができるRFIDタグの第5の実施形態の平面図である。
図6B】電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に固定された図6AのRFIDタグの一部の側面断面図である。
図7A】本開示の態様による、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に組み込むことができるRFIDタグの第6の実施形態の平面図である。
図7B図7AのRFIDタグの一部の側面断面図である。
図8】本開示の態様によるRFIDタグの一部の基本等価回路を示す図である。
図9】本開示の態様によるRFIDタグを組み込んだ電子レンジ対応食品アイテムの包装容器の斜視図である。
図10】本開示の態様による、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に組み込むことができるRFIDタグのアンテナの別の実施形態の平面図である。
図10A】加熱後の図10のアンテナの平面図である。
図11】本開示の態様によるRFIDタグを組み込んだ電子レンジ対応食品アイテムの包装容器の別の実施形態の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書では、本発明の詳細な実施形態を必要に応じて開示するが、開示する実施形態は本発明の例示にすぎず、本発明は様々な形で具体化することができると理解されたい。従って、本明細書に開示する具体的な詳細は、限定としてではなく、単に特許請求の範囲の基礎として、並びに本発明を事実上あらゆる適切な形で様々に使用できるように当業者に教示するための代表的な基礎として解釈すべきものである。
【0018】
図2A及び図2Bに、本開示によるRFIDタグを示すが、図2Bには、電子レンジ対応食品アイテムのための概略14で示す包装容器の封入体12(例えば、紙箱)に固定された、概略10で示すRFIDタグを示す。包装容器14は、食品アイテムと共にレンジ加熱されるように構成された「クリスピングスリーブ」などの他のアイテムを含むこともできる。RFIDタグ10は、あらゆる好適な方法で包装容器に組み込むことができるが、図2Bの実施形態では封入体12に固定されており、他の実施形態では包装容器14の別の部分(例えば、封入体12内に収容された「クリスピングスリーブ」)に付随することができる。さらに、本明細書では、RFIDタグを電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に組み込まれているものとして説明するが、本開示によるRFIDタグは、特にRFIDタグのアンテナが動作するように意図された(本明細書では「第1の周波数」と呼ぶ)周波数よりも大幅に高い(本明細書では「第2の周波数」と呼ぶ)周波数を受けることができるように検討されている場合には、複数の考えられる用途のいずれにおいても役立つことができると理解されたい。
【0019】
RFIDタグ10は、RFIDチップ18が電気的に結合されたアンテナ16を含む。アンテナ16は、RFIDチップ18が横切る2つの導体パッド領域22(図2A)間の間隙20を定める導体で形成されたダイポールアンテナとして提供される。アンテナ16及びRFIDチップ18は、一般に(例えば、図1の実施形態に関して上述したように)従来の設計に従って提供することができ、アンテナ16は、約860MHz~930MHzとすることができる第1の周波数で動作するように設計することができる。アンテナ16は、従来のRFIDタグTと同様に、第1の周波数の入射電力を取り込み、これをRFIDチップ18に加わる電圧に変換してRFIDチップの動作を可能にする。
【0020】
RFIDチップ18は、(一般に当業者が「チップ」又は「ストラップ」と呼ぶタイプの形態を含む)多くの形態のうちのいずれかを取ることができ、複数の考えられる構成要素のうちのいずれかを含むことができ、複数の考えられる機能のうちのいずれかを実行するように構成することができる。例えば、1つの実施形態では、RFIDチップ18が、RFIDタグ10のRF通信及びその他の機能を制御する集積回路を含む。
【0021】
RFIDタグ10は、概略24で示す、遮蔽導体26と遮蔽誘電体28とで構成された遮蔽構造をさらに含む。遮蔽導体26は、導電性を有する材料で形成され、さらに詳細に説明するように、本開示の範囲から逸脱することなく様々に構成することができる。遮蔽誘電体28は、誘電性を有する材料で形成され、さらに詳細に説明するように、本開示の範囲から逸脱することなく様々に構成することができる。例えば、図2A及び図2Bの実施形態では、遮蔽導体26及び遮蔽誘電体28が概ね平坦又は平面的であって実質的に同様に成形され、遮蔽導体26の外周が遮蔽誘電体28の外周と一致するように配向される。他の実施形態では、遮蔽導体26及び遮蔽誘電体28を異なるように構成し、及び/又は少なくとも部分的にずらして配向する(すなわち、遮蔽導体の一部が遮蔽誘電体の外周を超えて延び、及び/又は遮蔽誘電体の一部が遮蔽導体の外周を超えて延びる)ことができる。
【0022】
遮蔽構造24は、間隙20を横切ってアンテナ16に電気的に結合され、間隙20の両側の導体パッド領域22に容量結合される(図2A)。図2Bに示すように、遮蔽構造24は、RFIDチップ18を覆い、遮蔽誘電体28は、少なくとも部分的にRFIDチップ18と遮蔽導体26との間に位置する。遮蔽構造24は、(図2A及び図2Bのように)間隙20の全部を覆う(overlay or cover)ことも、又は一部のみを覆うこともできる。
【0023】
上述したように、RFIDタグ10は、第1又は第2の周波数で動作する信号に曝露する可能性がある。RFIDタグ10が第1の周波数に曝露されると、遮蔽構造24は、間隙20を横切る部分的短絡回路を形成する。しかしながら、アンテナ16は、部分的短絡回路の存在を補償することによって、RFIDタグ10の正しい動作を可能にするように構成される。
【0024】
上述したように、従来のRFIDタグTが第2の周波数F2に曝露されると、間隙Gの両端間に高電圧が生じてアーク発生のリスクが高まる。第2の周波数での電圧及び電力が十分に制限された場合にはRFIDチップは生き残るかもしれないが、主要目的は、RFIDタグT、又はこれを含む包装容器14を発火させる可能性のあるアークを防ぐことである。図2A及び図2Bの遮蔽構造24は、RFIDタグ10が第2の周波数に曝露された時に間隙20(従って、RFIDチップ18)に発生する高電圧を「短絡」させ、この結果、絶縁破壊及び起こり得るアークを引き起こす可能性のあるレベル未満に電圧を低下させて発火を防ぐことによってこの機能を提供する。従って、RFIDタグ10は、従来のRFIDタグTとは異なり、発火のリスクなしにマイクロ波内に配置して、これに伴う(約2,450MHzとすることができる)高周波信号に曝露させることができる。
【0025】
遮蔽構造は、上述したように本開示の範囲から逸脱することなく様々に構成することができる。例えば、図3A及び図3Bの概略10aで示すRFIDタグ(及び図3Bにおいて14aで示す関連する包装容器)の実施形態では、遮蔽構造24aが、異なる形で構成された遮蔽誘電体28a(図3B)を含む。図3A及び図3Bの実施形態では、遮蔽誘電体28aは、オーバーラミネート層に組み込まれており、このオーバーラミネート層は、RFIDチップ18と、間隙20の少なくとも一部と、アンテナ16の導体パッド領域22の少なくとも一部とを覆っている。遮蔽導体26aは、所望の架橋効果及び遮蔽効果をもたらすようにパターン化された導体を含むことができる。図3Bで最も良く分かるように、遮蔽導体26a及び遮蔽誘電体28aは、異なるサイズ及び形状を有することができ、遮蔽導体26aは、遮蔽誘電体28aを含むオーバーラミネート層よりも小さい。
【0026】
図4A及び図4Bに、本開示による、概略10bで示すRFIDタグの別の実施形態を示す。図4A及び図4Bの実施形態では、概略24bで示す遮蔽構造は、間隙20を横切って、(RFIDチップ18と共に)ストラップ導体30とストラップ基材32とで構成されるRFIDストラップに組み込まれており、RFIDストラップはアンテナ16に電気的に結合されている。遮蔽構造24bは、遮蔽誘電体28bとしての役割を果たすストラップ基材32に取り付けられた遮蔽導体26bを備えることができる。ストラップ基材32(及び、本明細書で説明する他の遮蔽誘電体のいずれか)は、ポリエチレンテレフタレートなどの様々な材料のうちのいずれかで形成することができる。
【0027】
図5に、別の形で構成された遮蔽構造24cを含む、概略10cで示すRFIDタグの別の実施形態を示す。図5の実施形態では、遮蔽導体26cが、遮蔽導体26cのサイズを(図5では見えない)関連する遮蔽誘電体のサイズよりも増加させることができる拡張領域34を含む。遮蔽導体26cの拡張領域34は、遮蔽構造が主に間隙20を覆うように構成されて配向される他の実施形態とは対照的に間隙20(又はアンテナ16)を覆わず、むしろアンテナ16及び間隙20の横方向に位置してアンテナ16から離れて延びるように配向される。遮蔽導体26cの拡張領域34は、本開示の範囲から逸脱することなく様々なサイズ及び構成を有することができ、1つの実施形態では、図2A及び図2Bの遮蔽導体26とほぼ同じサイズであり、別の実施形態では、図2A及び図2Bの遮蔽導体26よりも大きく、さらに別の実施形態では、図2A及び図2Bの遮蔽導体26よりも小さい。
【0028】
遮蔽導体26cの拡張領域34は、その特定のサイズ及び構成に関わらず、間隙20にわたって発生する熱の放散を支援する。この効果は、拡張領域34のサイズを増やすことによって高められ、従って拡張領域34は、放熱を向上させるために比較的大きいことが有利となり得る。拡張領域34(及び遮蔽導体26cの残部、並びに本明細書で説明する他の遮蔽導体のいずれか)は、間隙20にわたって発生し得るあらゆるアークに対する障壁をもたらして延焼を防ぐように、限定するわけではないが、アルミニウム材料、耐熱性の難燃紙(Flex Dura HR,http://www.flexlinkllc.com/heat-resistant-paper.html)、及び不燃性接着剤(Eclectic E6000 Adhesive,http://eclecticproducts.com/products/e6000.html)などの不燃性材料で形成することができる。
【0029】
図6A及び図6Bには、異なる形で構成された遮蔽構造24dを含む、概略10dで示すRFIDタグ(及び図6Bにおいて14dで示す関連する包装容器)のさらに別の実施形態を示す。図6A及び図6Bの実施形態では、遮蔽誘電体28dが、高出力マイクロ波場によって誘発されるタイプの高電圧において可逆的又は不可逆的な絶縁破壊を受ける材料で形成される。このような構成により、第2の周波数の存在下で(例えば、マイクロ波場内で)遮蔽構造24dがもたらす短絡効果を高めることができる。この実施形態(及び本明細書で説明する他の実施形態)では、遮蔽導体26dを、オーバーラミネートなどのような、遮蔽誘電体28d上に導体材料(遮蔽導体26dになり遮蔽導体26dを定める)を印刷することによって形成することができる。
【0030】
図7A及び図7Bの実施形態に示すように、単一のRFIDタグが複数の遮蔽構造を含むこともできる。図7Aでは、上述した図3A及び図3Bの実施形態の説明と概ね一致して、概略10eで示すRFIDタグが、概略24eで示す第1の遮蔽構造を含む。RFIDタグ10eのアンテナ16は、(図3Bのように)包装容器の封入体に直接自由に接続するのではなく、RFIDチップ18の下にある概略24fで示す第2の遮蔽構造(図7B)がアンテナ16の裏面に付随する(すなわち、遮蔽構造24e及び24fがアンテナ16の対向面に電気的に結合される)。第2の遮蔽構造24fの遮蔽誘電体28fは、アンテナ16の裏面に接触し、関連する遮蔽導体26fは、電子レンジ対応食品の包装容器の封入体などに自由に固定され又は別様に付随する。
【0031】
図示の実施形態では、第2の遮蔽構造24fが第1の遮蔽構造24eと実質的に同一であるが、第2の遮蔽構造24fの遮蔽導体26f及び/又は遮蔽誘電体28fを第1の遮蔽構造24eの遮蔽導体26e及び遮蔽誘電体28eと異なるように構成することも本開示の範囲内である。2つの遮蔽構造24e及び24fは、その特定の構成に関わらず、アンテナ16の両面に設けられることによってさらなる遮蔽をもたらす。この時点で間隙20を横切る2つの部分的短絡回路が存在するので、このさらなる遮蔽はさらなる「短絡」を引き起こす。しかしながら、アンテナ16は、上述した図2A及び図2Bの実施形態の説明に従って、部分的短絡回路の存在を補償することによって第1の周波数に曝露された際のRFIDタグ10eの正しい動作を可能にするように構成される。
【0032】
図8は、本開示によるRFIDタグ10の基本的構成要素を表す基本等価回路である。図8では、アンテナ16によって定められる間隙20が、RFIDチップ18(抵抗器RP及びコンデンサCPによって表される)と、遮蔽導体26及び遮蔽誘電体28(2つの同一の直列コンデンサCBによって表される)を含む遮蔽構造24とによって連絡される。遮蔽誘電体28の総容量は、図8の遮蔽誘電体28を表すために使用される個々のコンデンサCBの容量の半分である。この容量は、一連のコンデンサの総容量が全ての逆容量の和の逆数である標準式を用いて計算される。
【0033】
遮蔽誘電体28のインピーダンスは、RFIDタグ10に給電される周波数をFとする2×π×F×総容量の積の逆数に等しい。従って、第1の周波数が約800MHzであり、第2の周波数が約2,400MHzである場合には、第1の周波数と第2の周波数との間でインピーダンスが約1/3倍に低下し、これによって第2の周波数における「短絡」、従って遮蔽効果が高まる。
【0034】
また、隣接する区分間、すなわち間隙Gと関連するRFIDチップCとの間にアークが発生する可能性もある。この理由は、1つには、隣接する区分が、その差動電圧によって実現される電場の強度よりも低い絶縁耐力を有する材料(すなわち、空気又はその他の要素)によって取り囲まれているからである。また、1つには、隣接する区分である間隙GとチップCとを取り囲んでいる材料が、これらの区分に沿って/これらの区分を通じてRF電流が流れることに起因して、周囲の材料の絶縁耐力を低下させて引火性/可燃性の揮発性物質を発生させる温度に達することによってアークが発生して増強されることもある。このアークは、これらの区分の電場に耐えることができる絶縁耐力などの特性を有するとともに耐熱性、難燃性及び不燃性を有する材料、すなわち耐熱性かつ不燃性の紙と(単複の)接着剤とでこれらの区分を取り囲むことにより、遮蔽を使用しなくても回避することができる。
【0035】
さらに、本発明の同じ範囲においてさらなる実施形態を開示する。図9に示す実施形態では、封入体23が、アンテナ29が電気的に結合されたRFIDチップ27を含むRFIDタグ25を伴う。アンテナ29は、包装容器21(RFIDタグ25を含む)の安全なマイクロ波でのレンジ加熱を可能にする、従来のRFIDタグ11のアンテナ18の抵抗よりも大きな抵抗を有する導体31で形成される。例えば、導体31は、サセプタのシート抵抗(すなわち、約100オーム~約230オーム)に匹敵するシート抵抗を有することができる。導体31は、サセプタと同様の約0.18~0.19の光学濃度も有する。このような構成により、RFIDタグ25は、マイクロ波でレンジ加熱すると、マイクロ波源に高レベルのエネルギーを反射したり、又はアークを生じたりするのではなく、マイクロ波エネルギーMを吸収して昇温し、最小エネルギーR’を反射することによって、サセプタをマイクロ波でレンジ加熱した時のように作用する。
【0036】
導体31の高いシート抵抗は、典型的なRFIDタグ11のダイポールアンテナ17と比べてアンテナ29の効率に影響を与えることができる。(所与の厚みにおけるスクエアメーター当たりオームで測定した)材料のシート抵抗は一定値であるが、導体31の面積を増加させることによって(例えば、その厚みを増やすことによって)、導体31を流れるRF電流が受ける抵抗を効果的に減少させることができる。導体31の外面を流れるというRF電流の性質によって、DC電流に対するよりも、表皮厚さは大きな因子となる(すなわち、表皮厚さに対して導体の厚みが減少するにつれ、DC抵抗が高くなるよりもRF抵抗の方が高くなる)ため、このことはRF電流にとっての抵抗を低減する上で特に効果的である。従って、アンテナ29は、RF抵抗を減少させるために比較的大きな面積又は厚みを有することが有利となり得る。
【0037】
通常、スロット-ループ混成アンテナの導体は、ダイポールアンテナと比べて大きな面積を有するので、アンテナ29は、図9のように(「スループ」アンテナと呼ばれることもある)スロット-ループ混成アンテナとして提供することが有利となり得る。このようなスロット-ループ混成アンテナ29は、図示の実施形態では概ね矩形の、内部にスロット33が定められて導体シート31の縁部又は端部35に配置された導体シートを含む導体31で形成することができる。図示のように、スロット33は、導体シート31の縁部又は端部35に関連する閉鎖端37と開放端39との間に延びることができる。アンテナ29をスロット-ループ混成アンテナとして構成することには様々な利点があるが、アンテナ29を様々に構成することも本開示の範囲内である。
【0038】
さらに観察すると、RFIDチップ27は、複数の考えられる構成要素のうちのいずれかを含んで複数の考えられる機能のうちのいずれかを実行するように構成された(一般に当業者が「チップ」又は「ストラップ」と呼ぶタイプの形態を含む)複数の形態のうちのいずれかの形態を取ることができる。例えば、1つの実施形態では、RFIDチップ27が、RFIDタグ25のRF通信及びその他の機能を制御する集積回路を含む。図示の実施形態では、RFIDチップ27の2つの端部又は地点が、スロット33の開放端に隣接してスロット33の両側で導体シート31に接続され、RFIDチップ27を導体シート31に電気的に結合する役割を果たす。
【0039】
図9のRFIDタグ25のアンテナ29に組み込むことも又は別個に実施することもできる本開示の別の態様によれば、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器に組み込むのに適したRFIDタグ41(図10及び図10A)を、電子レンジ内で加熱されると複数の断片に破砕又は別様に分離するように構成することができる。破砕することによってマイクロ波場との相互作用が減少し、これによってRFIDタグ41を電子レンジ内で加熱した際の過剰なマイクロ波エネルギーの反射及び/又はアークの発生という潜在的な問題が避けられる。このような構成は、必要に応じてRFIDタグ41のアンテナ45の導体43の抵抗を図9の実施形態より低くする(例えば、100オーム未満のシート抵抗にする)こともできる。
【0040】
図10に示すRFIDタグ41には、上述した図9のRFIDタグ25の説明に従って、スロット-ループ混成アンテナ45の導体シート43に電気的に結合されたRFIDチップ47が備わっているが、アンテナ45は、本開示の範囲から逸脱することなく別の形で構成することもできる。
【0041】
アンテナ45の特定の構成に関わらず、その導体シート43は、異なる熱膨張係数を有する少なくとも2つの材料(ベース材料と、ベース材料よりも少ない量で提供できる2次材料と)で形成されることが好ましい。このような構成により、これらの材料は、(例えば、電子レンジ内で)加熱されると、導体シート43が複数の断片に破砕又は別様に分離するまで異なる割合で膨張する。これらの材料の熱膨張係数の差分の大きさは、本開示の範囲から逸脱することなく様々とすることができるが、加熱時に導体シート43の破砕又は別様の分離をさらに素早く引き起こすには、比較的大きな差分が有利となり得る。
【0042】
1つの例示的な実施形態では、導体シート43を、異なる熱膨張係数を有するプラスチック材料などのベース材料と金属材料又は導電性インクなどの2次材料とで形成することができる。具体的には、ベース材料を(約60m/(mK)の熱膨張係数を有する)ポリエチレンテレフタレートとし、2次材料を(約22m/(mK)の熱膨張係数を有する)アルミニウムとすることができる。接合して加熱すると、最終的にアルミニウムが破損し、従ってRFIDタグ41が動作不能になり、又は少なくとも低レベルで動作することによって、RFIDタグ41とマイクロ波場との間の相互作用が減少するようになる。この例ではベース材料の方が2次材料よりも大きな熱膨張係数を有するが、2次材料の方が大きな熱膨張係数を有することも本開示の範囲内である。さらに、1つの実施形態では、導体シート43の1又は複数の特定の位置における破損を助長する厚みの小さな切れ目領域又は薄化領域などの(図10Aで明らかな)1又は2以上の脆弱点又は脆弱線を含めることによって、この破損を促すこともできる。
【0043】
従来の設計によるRFIDタグ11を使用することが望ましい場合には、RFIDタグ11を電子レンジ対応食品アイテムの包装容器49に組み込む方法を修正することができる。図11に、(図1Aのような)従来の設計によるRFIDタグ11を組み込んだ包装容器49を示すが、RFIDタグ11を図9又は図10のように構成することも本開示の範囲内である。
【0044】
包装容器49の封入体51は、(図11では外面として示す)その1又は2以上の表面に塗布された接合材料53を含む。接合材料53は、RFIDタグ11のアンテナ17の抵抗よりも高い抵抗(例えば、約100オーム~約230オームのシート抵抗)を有する比較的薄い材料層又は材料シートとして存在することができる。接合材料53は、概ね均一な厚みを有することが好ましいが、接合材料53が不均一な厚みを有することも本開示の範囲内である。接合材料53は、RFIDタグ15のアンテナ17の厚みよりも小さな平均厚を有することが有利となり得る(例えば、アルミニウム材料を含む接合材料53は、約10nm~約100nmの平均厚を有することができる)。
【0045】
1つの実施形態では、接合材料53が、金属フィルムを含む。別の実施形態では、接合材料53が、好適な導電率のインクを含む。他の実施形態では、適当に高い抵抗(すなわち、少なくとも付随するRFIDタグ11のアンテナ17の抵抗よりも高い抵抗、さらに好ましくは約100オーム~約230オームのシート抵抗)を有する限り、接合材料53を別の形で構成することもできる。
【0046】
図11の実施形態では、RFIDタグ11の(RFIDチップ15及びアンテナ17が取り付けられた)基材55が、RFIDタグ11と封入体51との間に接合材料53を存在又は介在させるように封入体51に関連付けられる。接合材料53自体が、RFIDタグ11を封入体15に対して固定させる接着性を有することも、或いはRFIDタグ11を接合材料53に固定する別個の手段(例えば、基材55の裏面に塗布された接着剤)を提供することもできる。従って、接合材料53を含む封入体51の製造と、RFIDタグ11の製造とを分離することによって、製造の柔軟性を高めることができる。RFIDタグ11は、接合材料53に比較的高い抵抗を与えることによってその有効シート抵抗が増し、これによってアークを生じる傾向よりもむしろRFエネルギーを吸収して昇温する傾向の方が高くなる。
【0047】
接合材料53は、本開示の範囲から逸脱することなく様々に構成することができる。例えば、接合材料53は、付随するRFIDタグ11の基材55の外周と実質的に一致する外周、付随するRFIDタグ11の基材55の外周全体を超えて広がる外周、付随するRFIDタグ11の基材55の外周に完全に含まれる外周、或いは少なくとも1つの位置では付随するRFIDタグ11の基材55の外周を超えて広がり、別の位置では基材55の外周に含まれる外周を有することができる。また、接合材料53の外周は、付随するRFIDタグ11の基材55の外周と同じ形状又は異なる形状を有することができる。
【0048】
図示していない同じ発明の別の態様では、電子レンジ対応食品アイテムの包装容器を提供する。包装容器は、封入体と、封入体に固定されたRFIDタグとを含む。RFIDタグは、第1の周波数で動作するように構成された、間隙を定めるアンテナを含む。アンテナには、間隙を横切ってRFIDチップが電気的に結合される。アンテナには、間隙を横切って遮蔽構造が電気的に結合されてRFIDチップを覆う。遮蔽構造は、遮蔽導体と、遮蔽導体とRFIDチップとの間に少なくとも部分的に位置する遮蔽誘電体とを含む。遮蔽構造は、アンテナが第1の周波数よりも高い第2の周波数に曝露された時に、間隙に加わる電圧を制限するように構成される。包装容器の封入体は、その(図11には外面として同様に示す)1又は2以上の表面に塗布される上述した接合材料53を含む。接合材料53は、RFIDタグ11のアンテナ17の抵抗よりも高い抵抗(例えば、約100オーム~約230オームのシート抵抗)を有する比較的薄い材料の層又はシートとして存在することができる。
【0049】
本発明は、限定するわけではないが、本明細書で説明した電子レンジ対応RFIDのための以下の試験方法も検討する。1つの方法において利用する機器は、12000ワットを超えるオーブンなどのインバータ技術を含む。例えば、GE(登録商標)社のモデルJE2251SJ02を利用することができる。また、定規、及び試料を保持する複数のプラスチック容器も使用する。この試験方法の1つの実施形態では、試料として冷凍牛挽肉を使用した。この冷凍牛挽肉を用いた試験方法のステップは以下の通りである。1)試料を準備する。様々な重量を利用することができる。1つの例では、5オンスの試料を使用する。2)異なる試験間で試料が常に容器の底を覆うことを確実にするために、容器の半分に試料を配置する。3)試料を約12時間にわたって冷凍する。4)試料を保持する容器の底部に少なくとも1つのRFIDラベルを取り付け、電子レンジの回転プレート上に試料を配置する。1つの実施形態では、電子レンジの回転プレートの中央に試料を配置する。5)フルパワー設定で2分間にわたって試料をマイクロ波でレンジ加熱する。この試験方法では、試料を試験するために複数の異なるパワー設計及び時間を利用できることを検討する。6)「スパーク」又は「アーク」が発生したかどうかについて判定を行う。
【0050】
上述した実施形態は、本主題の原理の応用の一部を説明したものであると理解されるであろう。当業者であれば、特許請求する主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で個別に開示した又は特許請求する特徴の組み合わせを含む数多くの修正を行うことができる。従って、本主題の範囲は上記の説明に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に記載する通りのものであり、特許請求の範囲は、本明細書で個別に開示した又は特許請求する特徴の組み合わせを含む本主題の特徴を対象とすることができると理解されたい。
本発明のその他の実施態様を以下に記載する。
[実施態様1]
RFIDタグであって、
第1の周波数で動作するように構成されると共に間隙を定めるアンテナと、
前記間隙を横切って前記アンテナに電気的に結合されたRFIDチップと、
前記間隙を横切って前記アンテナに電気的に結合されて前記RFIDチップを覆う遮蔽構造と、を備え、
前記遮蔽構造は、遮蔽導体と、前記遮蔽導体と前記RFIDチップとの間に少なくとも部分的に位置する遮蔽誘電体と、を含み、前記アンテナが前記第1の周波数よりも高い第2の周波数に曝露された時に前記間隙に加わる電圧を制限するように構成されている、RFIDタグ。
[実施態様2]
前記遮蔽誘電体は、オーバーラミネート層に組み込まれている、実施態様1に記載のRFIDタグ。
[実施態様3]
前記遮蔽構造は、RFIDストラップに組み込まれている、実施態様1に記載のRFIDタグ。
[実施態様4]
前記遮蔽導体は、前記間隙にわたって発生する熱を放散するように構成されて前記アンテナ及び前記間隙上に重ならないように配向された拡張領域を含む、実施態様1に記載のRFIDタグ。
[実施態様5]
前記遮蔽導体は、不燃性材料で形成されている、実施態様1に記載のRFIDタグ。
[実施態様6]
前記遮蔽誘電体は、前記アンテナが前記第2の周波数に曝露された時に可逆的又は不可逆的な絶縁破壊を受けるように構成された材料で形成されている、実施態様1に記載のRFIDタグ。
[実施態様7]
前記遮蔽導体は、前記遮蔽誘電体上に印刷された導体材料を含む、実施態様1に記載のRFIDタグ。
[実施態様8]
前記間隙を横切って前記アンテナに電気的に結合され、前記RFIDチップの下にある第2の遮蔽構造をさらに備え、
該第2の遮蔽構造は、第2の遮蔽導体と、前記第2の遮蔽導体と前記アンテナとの間に少なくとも部分的に位置する第2の遮蔽誘電体と、を含む、実施態様1に記載のRFIDタグ。
[実施態様9]
電子レンジ対応食品アイテムの包装容器であって、
封入体と、前記封入体に固定されたRFIDタグと、を備え、
前記RFIDタグは、
第1の周波数で動作するように構成されると共に間隙を定めるアンテナと、
前記間隙を横切って前記アンテナに電気的に結合されたRFIDチップと、
前記間隙を横切って前記アンテナに電気的に結合されて前記RFIDチップを覆う遮蔽構造と、を含み、
前記遮蔽構造は、遮蔽導体と、前記遮蔽導体と前記RFIDチップとの間に少なくとも部分的に位置する遮蔽誘電体と、を含み、前記アンテナが前記第1の周波数よりも高い第2の周波数に曝露された時に前記間隙に加わる電圧を制限するように構成されている、包装容器。
[実施態様10]
前記遮蔽誘電体は、オーバーラミネート層に組み込まれている、実施態様9に記載の包装容器。
[実施態様11]
前記遮蔽構造は、RFIDストラップに組み込まれている、実施態様9に記載の包装容器。
[実施態様12]
前記遮蔽導体は、前記間隙にわたって発生する熱を放散するように構成されて前記アンテナ及び前記間隙上に重ならないように配向された拡張領域を含む、実施態様9に記載の包装容器。
[実施態様13]
前記遮蔽誘電体は、前記アンテナが前記第2の周波数に曝露された時に可逆的又は不可逆的な絶縁破壊を受けるように構成された材料で形成されている、実施態様9に記載の包装容器。
[実施態様14]
前記間隙を横切って前記アンテナに電気的に結合され、前記アンテナと前記封入体との間に位置する第2の遮蔽構造をさらに備え、
該第2の遮蔽構造は、第2の遮蔽導体と、前記第2の遮蔽導体と前記アンテナとの間に少なくとも部分的に位置する第2の遮蔽誘電体と、を含む、実施態様9に記載の包装容器。
[実施態様15]
RFIDタグであって、
RFIDチップと、前記RFIDチップに電気的に結合されたアンテナと、を備え、
前記アンテナは、加熱を受けた時に前記アンテナを複数の断片に破砕させるように構成された異なる熱膨張係数を有するベース材料と2次材料とで形成された導体で構成されている、RFIDタグ。
[実施態様16]
前記ベース材料はプラスチック材料であり、前記2次材料は金属材料又は導電性インクである、実施態様15に記載のRFIDタグ。
[実施態様17]
前記ベース材料は、前記2次材料よりも多くの量で提供され、前記2次材料よりも低い熱膨張係数を有する、実施態様15に記載のRFIDタグ。
[実施態様18]
前記ベース材料は、前記2次材料よりも多くの量で提供され、前記2次材料よりも高い熱膨張係数を有する、実施態様15に記載のRFIDタグ。
[実施態様19]
前記導体は、少なくとも1つの脆弱点又は脆弱線を含み、該少なくとも1つの脆弱点又は脆弱線は、前記導体の別の区分よりも小さな厚みを有する、実施態様15に記載のRFIDタグ。
[実施態様20]
前記アンテナは、スロット-ループ混成アンテナとして構成される、実施態様15に記載のRFIDタグ。
図1
図1A
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図10A
図11