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特許7285822ポリ(グリセロールセバケート)-インターロイキン阻害剤コポリマー及び製造方法並びに使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】ポリ(グリセロールセバケート)-インターロイキン阻害剤コポリマー及び製造方法並びに使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/78 20060101AFI20230526BHJP
   C08G 63/12 20060101ALI20230526BHJP
   C08G 63/02 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 47/59 20170101ALI20230526BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/616 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
C08G63/78
C08G63/12
C08G63/02
A61K47/59
A61P43/00 111
A61P29/00
A61K31/616
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020501524
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 US2018041645
(87)【国際公開番号】W WO2019014349
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】62/531,132
(32)【優先日】2017-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516334709
【氏名又は名称】ザ・セカント・グループ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエーレ,ピーター・ディー
(72)【発明者】
【氏名】スムート、カリッサ
(72)【発明者】
【氏名】ニコルソン,チャールズ・ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ジェレミー・ジェイ
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-516901(JP,A)
【文献】特開2016-094613(JP,A)
【文献】特表2004-517991(JP,A)
【文献】特表2011-518941(JP,A)
【文献】特表2007-501893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/78
C08G 63/12
C08G 63/02
A61K 47/59
A61P 43/00
A61P 29/00
A61K 31/616
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー材料を製造する方法であって、
容器中で、アルコール-医薬コンジュゲート、トリオールモノマー、及び水性液体を混合する工程であって、ここで、前記アルコール-医薬コンジュゲートは、エステル結合によってトリオールに結合した少なくとも1つのカルボキシル基を有する医薬化合物を含む、前記工程;
前記容器に二酸モノマーを加える工程;及び
加熱して前記容器から水を除去して前記ポリマー材料を生成させる工程;
を含み、
前記トリオールモノマー、前記アルコール-医薬コンジュゲート、及び前記二酸モノマーの量は、1:2~2:1の遊離ヒドロキシル基と遊離カルボキシル基との所定のモル比を与えるように選択され、
前記ポリマー材料は、前記二酸モノマーと前記トリオールと前記医薬化合物のポリエステルコポリマーであり
前記トリオールモノマーがグリセロールであり、前記二酸モノマーがセバシン酸であり、前記医薬化合物が、サリチル酸、アスピリン、又はそれらの組み合わせである、前記方法。
【請求項2】
トリオールモノマーを水性液体と混合する工程;
前記医薬化合物を前記トリオールモノマー及び前記水性液体に加える工程;
加熱して水を除去して、前記アルコール-医薬コンジュゲートを生成させる工程;
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱して前記容器から水を除去する工程が、前記アルコール-医薬コンジュゲート、前記トリオールモノマー、前記水性液体、及び前記二酸モノマーを還流する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱して前記容器から水を除去することが、前記容器内の圧力を5Torr~20Torrの範囲に低下させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水性液体が水である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記医薬化合物がサリチル酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱して水を除去する工程が、50~200℃に加熱する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記加熱して水を除去する工程が、大気圧において不活性雰囲気を1時間~48時間適用する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱して水を除去する工程が、前記大気圧において不活性雰囲気を1~48時間適用する工程の後に、大気圧以下の圧力を1時間~76時間適用する工程を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記加熱して水を除去する工程が、大気圧以下の圧力を1時間~76時間適用する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
コモノマー又はポリマーを前記容器に加えて、前記ポリマー材料をコポリマーとして形成する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コモノマーが、二酸、乳酸、カプロラクトン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマー材料が、前記ポリマー材料の総重量を基準として20重量%~25重量%の前記医薬化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ポリマー材料を製造する方法であって、
グリセロールモノマー、グリセロール-医薬コンジュゲート、及び水を容器内で混合する工程であって、ここで前記グリセロール-医薬コンジュゲートは、エステル結合によってグリセロールに結合した少なくとも1つのカルボキシル基を有する医薬化合物を含む、前記工程;
次に、セバシン酸モノマーを前記容器に加える工程;
次に、水を前記容器から除去する工程;
次に、前記容器内で、前記グリセロールモノマー、グリセロール-医薬コンジュゲート、及びセバシン酸モノマーを、大気圧及び50~200℃の範囲の温度において不活性ガスの存在下で1時間~48時間反応させる工程;及び
次に、前記大気圧において前記不活性ガスの存在下で反応させる工程の後に、50~200℃の範囲の前記容器内の温度で、大気圧以下の圧力を1時間~76時間、前記容器に適用し、それによって、前記容器内において、セバシン酸とグリセロールと前記医薬化合物のポリエステルコポリマーである前記ポリマー材料を形成する工程;
を含み、
前記グリセロールモノマー、前記グリセロール-医薬コンジュゲート、及び前記セバシン酸モノマーの量は、1:2~2:1の遊離ヒドロキシル基と遊離カルボキシル基との所定のモル比を与えるように選択され、
前記医薬化合物が、サリチル酸、アスピリン、又はそれらの組み合わせである、前記方法。
【請求項15】
前記大気圧以下の圧力が5Torr~20Torrの範囲である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記大気圧以下の圧力を24時間~36時間適用する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2017年7月11日に出願された米国仮出願第62/531,132号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に対する優先権及びその利益を主張する。
【0002】
[0002]本発明は、概してポリエステルと医薬化合物のコポリマー、並びにポリエステルと医薬化合物のコポリマーを製造及び使用する方法に関する。より具体的には、本発明は、ポリ(グリセロールセバケート)とインターロイキン阻害剤のコポリマー、並びにポリ(グリセロールセバケート)とインターロイキン阻害剤のコポリマーを製造及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ポリ(グリセロールセバケート)(PGS)は、グリセロール及びセバシン酸からコポリマーとして形成される架橋性エラストマーである。PGSは生体適合性及び生分解性であり、炎症を減少させ、治癒を改善し、そして抗菌特性を有し、これらは全て、それをバイオメディカル分野におけるバイオマテリアルとして有用にする。
【0004】
[0004]アセチルサリチル酸(アスピリン)は、鎮痛性、抗血栓性、及び抗炎症性を有する。より最近では、長期間にわたって毎日アスピリンを処方することが、幾つかの癌におけるより低い発生率と関係している。アスピリンの抗炎症及び鎮痛作用を含む活性メカニズムは、インターロイキン-6(IL-6)及びインターロイキン-8(IL-8)(インターロイキン+)ケモカイン放出の阻害である。
【0005】
[0005]Jayatilakaら("Synergistic IL-6 and IL-8 paracrine signaling pathway infers a strategy to inhibit tumor cell migration", Nature Communications, DOI: 10.1038/ncomms15584, 2017年 5月26日)は、最近、固形腫瘍からの癌転移がIL-6及びIL-8の固形腫瘍産生によって開始されること、並びにIL-6及びIL-8の作用を特異的に阻害するように設計された化学療法薬によるIL-6及びIL-8の転移阻害が転移挙動を抑制することを報告した。しかし、アスピリンはJayatilakaによって議論又は言及されていない。
【0006】
[0006]アスピリンは、現在、治療形態で利用できない。アスピリンは、人体によってサリチル酸に代謝され、サリチル酸も鎮痛性及び抗炎症性を有する。アスピリンもサリチル酸も血流中に直接導入することはできない。
【0007】
[0007]カルバクロールは、オレガノなどの特定の植物の精油中に存在するモノテルペノイドフェノールである。カルバクロールは抗炎症性を有し、インターロイキン阻害剤として作用し得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Jayatilakaら("Synergistic IL-6 and IL-8 paracrine signaling pathway infers a strategy to inhibit tumor cell migration", Nature Communications, DOI: 10.1038/ncomms15584, 2017年 5月26日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0008]医薬化合物、より具体的にはインターロイキン阻害剤の制御放出を与える生分解性の生体適合性ポリマーが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0009]一実施形態においては、ポリマー材料を製造する方法は、アルコール-医薬コンジュゲート、ポリオール、及び水性液体を容器内で混合することを含む。アルコール-医薬コンジュゲートは、エステル結合によってポリオールに結合した少なくとも1つのカルボキシル基を有する医薬化合物を含む。この方法はまた、酸モノマーを容器に加え、加熱して水を容器から除去してポリマー材料を生成させることを包含する。ポリマー材料は、酸モノマーとポリオールと医薬化合物のポリエステルコポリマーを含む。
【0011】
[0010]別の実施形態においては、ポリマー材料を製造する方法は、容器内でグリセロール、グリセロール-医薬コンジュゲート、及び水を混合することを含む。グリセロール-医薬コンジュゲートは、エステル結合によってグリセロールに結合した少なくとも1つのカルボキシル基を有する医薬化合物を含む。この方法はまた、次にセバシン酸を容器に加え、次に容器から水を除去することを含む。この方法は、次に、不活性ガスの存在下、大気圧及び50~200℃の範囲の温度において約1時間~約48時間、容器中でグリセロール、グリセロール-医薬コンジュゲート、及びセバシン酸を反応させることを更に含む。この方法は、次に、不活性ガスの存在下で大気圧において反応させる工程の後に、50~200℃の範囲の容器内の温度で、大気圧以下の圧力を約1時間~約76時間容器に適用して、それによって容器内においてポリマー材料を形成することを含む。ポリマー材料は、酸モノマーとポリオールと医薬化合物のポリエステルコポリマーを含む。
【0012】
[0011]更に別の実施形態においては、ポリマー材料は、酸モノマーとポリオールと医薬化合物のポリエステルコポリマーを含む。ポリマー材料は、アルコール-医薬コンジュゲート、ポリオール、及び水性液体を容器内で混合することを含む方法によって形成される。アルコール-医薬コンジュゲートは、エステル結合によってポリオールに結合した少なくとも1つのカルボキシル基を有する医薬化合物を含む。この方法はまた、酸モノマーを容器に加え、加熱して水を容器から除去してポリマー材料を生成させることを含む。
【0013】
[0012]本発明の種々の特徴及び利点は、本発明の原理を例として示す添付の図面と組み合わせて以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】[0013]図1は、単一の反応充填物から形成されたPGS-サリチル酸コポリマーについてのゲル透過クロマトグラフィー(GPC)クロマトグラムを示す。
図2】[0014]図2は、蒸留工程後にサリチル酸を加えて単一反応器中で形成されたPGS-サリチル酸コポリマーについてのGPCクロマトグラムを示す。
図3】[0015]図3は、最初の蒸留後の、単一の反応充填物から形成されたグリセロール-サリチル酸コンジュゲートについてのGPCクロマトグラムを示す。
図4】[0016]図4は、追加の真空加熱後の、単一の反応充填物から形成されたグリセロール-サリチル酸コンジュゲートについてのGPCクロマトグラムを示す。
図5】[0017]図5は、PGS-サリチル酸コポリマー及びセバシン酸から形成されたPGS-サリチル酸コポリマーについてのGPCクロマトグラムを示す。
図6】[0018]図6は、単一の反応充填物から形成されたPGS-アスピリンコポリマーについてのGPCクロマトグラムを示す。
図7】[0019]図7は、熱硬化性PGS-サリチル酸コポリマーの分解によるサリチル酸放出を示す。
図8】[0020]図8は、図7の分解実験中の各データ点における緩衝液のpHを示す。
図9】[0021]図9は、熱硬化性PGS-サリチル酸コポリマーの分解によるアスピリン放出を示す。
図10】[0022]図10は、図9の分解実験中の各データ点における緩衝液のpHを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0023]可能な限り、同じ構成要素を表すために、図面全体を通して同じ参照番号を使用する。
[0024]酸モノマーとポリオールと医薬化合物のポリエステルを含むポリマー材料の組成物並びに形成方法及び使用が提供される。
【0016】
[0025]代表的な実施形態は、分解してポリマー組成物からの医薬化合物の制御放出を与える、生分解性で、生体適合性で、移植可能な構造体として働かせることができるか又は形成することができるポリマー組成物を提供する。
【0017】
[0026]本発明の実施形態は、例えば、本明細書に開示される1以上の特徴を含まない概念と比較して、高装填量の医薬化合物を有する生分解性で、生体適合性で、移植可能なポリマー材料を提供し;熱硬化性ポリマー組成物から、ポリマー組成物の生分解性で、成体適合性で、移植可能な構造体を提供し;生分解性で、生体適合性で、移植可能な構造体からの医薬化合物の制御放出を提供し;生分解性で、生体適合性で、移植可能な構造体の表面浸食による医薬化合物の線形性の放出を提供し;ポリマー構築物又はポリマー微粒子中におけるIL-6又はIL-8阻害剤転移抑制治療を活性化するための治療制御放出送達デバイスを提供し;サリチル酸生成物を拡張又は拡大し;化学療法活性医薬成分のポリマー微小球中への取込みを可能にし;医療デバイスのため、又は予防投与におけるコーティング及び/又は接着剤におけるPGS-サリチル酸の治療的価値を提供し;又はそれらの組み合わせを提供する。
【0018】
[0027]医薬化合物のコンジュゲートによるポリマーの装填限界は一般に非常に低く、通常はコンジュゲートポリマーの総重量の1%未満であるが、これは限られた数の反応性部位、ポリマーのそれらの反応性部位に到達する医薬化合物に関する立体構造的問題、及びポリマーと医薬化合物との間の溶媒相溶性の問題があるためである。
【0019】
[0028]代表的な実施形態においては、ポリエステルコポリマー系に医薬化合物を高装填することは、最初に医薬化合物をポリエステルコポリマーの第1のモノマーと反応させて、高収率でモノマー-医薬コンジュゲートを形成することによって達成される。次に、このモノマー-医薬コンジュゲートを、追加の第1のモノマー及び第2のモノマーと化合させて、高装填量の医薬化合物を有するポリエステルコポリマー系を形成する。第1及び第2のモノマーは、ポリオール及び酸モノマーである。コポリマーの総重量基準で少なくとも25%の医薬装填量を達成することができる。医薬化合物は、コポリマーの総重量に対して、重量基準で、約25%以下、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、約1%~約25%、約2%~約25%、約5%~約25%、約10%~約25%、約15%~約25%、約20%~約25%、約1%~約5%、約2%~約5%、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の装填量で存在させることができる。
【0020】
[0029]驚くべきことに、いくつかの実施形態においては、これらのポリエステル-医薬コポリマー系は、高い装填量においても、医薬化合物を有しないポリエステルコポリマー系と同等の多くの物理的及び/又は化学的特性、例えば同等の重量平均分子量、同等の低い多分散性指数、又は同等の線形加水分解速度を有する。しかし、定性的には、PGS-サリチル酸は、PGSよりも合成で粘着性が低いことが観察された。驚くべきことに、いくつかの実施形態において、これらのポリエステルコポリマー系は、幾つかの場合においては、医薬化合物を有しないポリエステルコポリマー自体の多分散性よりも低い多分散性を有していた。これらの系の熱硬化性樹脂は、最初の急速放出後に熱硬化性樹脂の分解によって医薬化合物の持続制御放出を与えた。
【0021】
[0030]医薬化合物を形成されたポリエステルコポリマーと混合することによって形成される医薬化合物を有するポリエステルコポリマー系は、遙かにより低い装填レベルで遙かにより低い装填収率を生成した。高装填ポリエステルコポリマー系とは対照的に、これらの系の熱硬化性樹脂はまた、医薬化合物の持続制御放出を与えるのではなく、分解の比較的初期の段階で分解することも見出された。
【0022】
[0031]いくつかの実施形態において、ポリエステル-医薬コポリマーは、第1のモノマーと水性液体とを容器中で混合し、医薬化合物を容器に加え、加熱して容器から水を除去してモノマー-医薬コンジュゲートを生成させることによってモノマー-医薬コンジュゲートを形成することを含むプロセスにおいて形成される。医薬化合物は、少なくとも1つの水酸基又は少なくとも1つのカルボキシル基を含む。モノマー-医薬コンジュゲートは、エステル結合によって第1のモノマーに結合した医薬化合物を含む。
【0023】
[0032]このプロセスは更に、モノマー-医薬コンジュゲート、追加の第1モノマー、及び水性液体を容器内で混合すること、容器に第2のモノマーを加えること、及び加熱して容器から水を除去してポリマー材料を生成させることを更に含む。ポリマー材料は、第1のモノマーと第2のモノマーと医薬化合物とのポリエステルコポリマーを含む。
【0024】
[0033]本明細書中で使用される「容器」と言う用語は、流体又は流体様の材料及び液体を収容することが当該技術において一般に知られている、ビーカー、ボトル、キャニスター、フラスコ、バッグ、レセプタクル、タンク、バット、ジャー、バイアル、チューブなどを指すことができる。
【0025】
[0034]いくつかの実施形態においては、第1のモノマーはポリオールであり、第2のモノマーは酸モノマーである。他の実施形態においては、第1のモノマーは酸モノマーであり、第2のモノマーはポリオールである。
【0026】
[0035]いくつかの実施形態において、ポリオールはポリオールモノマーである。いくつかの実施形態においては、ポリオールはジオールモノマーである。いくつかの実施形態においては、ポリオールはトリオールモノマーである。いくつかの実施形態においては、ポリオールはグリセロールである。
【0027】
[0036]いくつかの実施形態においては、酸モノマーは二酸モノマーである。二酸モノマーとしては、式:[HOOC(CHCOOH](式中、n=1~30である)の化合物を挙げることができる。いくつかの実施形態においては、酸モノマーとしては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかの実施形態においては、二酸はセバシン酸である。
【0028】
[0037]いくつかの実施形態においては、水性液体は水である。
[0038]医薬化合物は、少なくとも1つのヒドロキシル基、カルボキシル基、又は第1級アミン基を含み、第1のモノマーと第2のモノマーとの共重合を立体的に妨げない任意の医薬化合物であってよい。医薬化合物としては、インターロイキン阻害剤、ビタミン、抗炎症剤、タンパク質、プロテアーゼ、除草剤、水槽食糧源、抗有糸分裂剤、抗血小板剤、抗凝固剤、抗血栓剤、血栓溶解剤、酵素、化学療法剤、抗生剤、抗菌剤、免疫アジュバント、天然産生物、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、又はそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態においては、インターロイキン阻害剤はサリチル酸である。いくつかの実施形態においては、インターロイキン阻害剤はアスピリンである。いくつかの実施形態においては、インターロイキン阻害剤はカルバクロールである。
【0029】
[0039]代表的な実施形態においては、モノマー-医薬コンジュゲートは、グリセロール-サリチル酸コンジュゲート(1)であり、これはモノ-、ジ-、及びトリ-コンジュゲートグリセロールの混合物を含み得る。グリセロール-サリチル酸コンジュゲート(1)は、多くのグリセロール分子が2つのサリチル酸分子に結合されている高装填のものであり得るが、このような組成物は、通常は1つのサリチル酸のみに結合されたグリセロールのいくつかの分子、及びサリチル酸に結合されていないグリセロールのいくつかの分子も含み得る。
【0030】
【化1】
【0031】
[0040]グリセロール-サリチル酸コンジュゲート(1)の遊離水酸基のいずれかを、酸モノマーの遊離カルボキシル基と共有結合反応させることができる。代表的な実施形態においては、酸モノマーはセバシン酸であり、ポリエステル-医薬コポリマーはPGS-サリチル酸コポリマー(2)であり、数多くの可能なコポリマーサブユニットの1つは、
【0032】
【化2】
【0033】
(式中、Rはグリセロール-サリチル酸コンジュゲート(1)である)
である。
[0041]別の実施形態においては、ポリエステル-医薬コポリマーはPGS-アスピリンコポリマー(3)であり、数多くの可能なコポリマーサブユニットの1つは、
【0034】
【化3】
【0035】
である。
[0042]別の実施形態においてはモノマー-医薬コンジュゲートはセバシン酸-カルバクロールコンジュゲートであり、又はポリエステル-医薬コポリマーはPGS-カルバクロールコポリマーである。
【0036】
[0043]代表的な実施形態においては、モノマー-医薬コンジュゲートを形成するプロセスは、加熱及び水の除去を含む第1のモノマーと医薬化合物との間の水介在反応を含む。医薬化合物は、窒素下で加熱する前、又は真空下で加熱する前に、当初充填物と共に加えることができる。
【0037】
[0044]モノマー-医薬コンジュゲートを形成する代表的な実施形態においては、第1のモノマーは、第1のモノマーが溶解するまで撹拌下で水と共に反応容器に加える。医薬化合物は、1:1~3:1、又は3:2~5:2、又は1:1~2:1、又は2:1~3:1、又は約1:1、又は約2:1、又は約3:1、或いはこれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の比の第1のモノマーに対するモル比で与えられる。反応容器には還流工程中に水を還流させるための凝縮器を取り付け、凝縮器の温度は1℃~10℃、1℃~5℃、約5℃、約2.5℃、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲に設定する。次に、反応容器を、撹拌下で、50℃~200℃、又は100℃~200℃、又は125℃~175℃、又は約140℃、又は約150℃、又は約160℃、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の温度に、15~120分間、又は30~120分間、又は45~90分間、又は60~80分間、又は約60分間、又は約70分間、又は約80分間、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間加熱する。
【0038】
[0045]50℃~200℃、又は100℃~200℃、又は125℃~175℃、又は約140℃、又は約150℃、又は約160℃、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の温度の熱を反応容器に適用し、混合物を、15~120分間、又は30~100分間、又は30~70分間、又は40~60分間、又は約40分間、又は約50分間、又は約60分間、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間、還流下で撹拌する。
【0039】
[0046]次に、凝縮器を取り外し、容器に蒸留凝縮器を取り付けて、容器から水を除去する。窒素パージを容器に適用し、50℃~200℃、又は100℃~200℃、又は125℃~175℃、又は約140℃、又は約150℃、又は約160℃、或いはそれらの間の任意の値、範囲、もしくは下位範囲の温度の熱を反応容器に適用する。蒸留中、容器の内容物を、50℃~200℃、又は100℃~200℃、又は125℃~175℃、又は約140℃、又は約150℃、又は約160℃、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の温度において、1~48時間、又は6~36時間、又は12~36時間、又は20~28時間、又は22~26時間、又は約24時間、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間、撹拌する。
【0040】
[0047]次に、真空ラインを蒸留凝縮器に接続し、容器の内容物に大気圧以下の圧力を適用する。圧力は、30~120分間、又は50~120分間、又は70~100分間、又は80~90分間、又は約80分間、又は約85分間、又は約90分間、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間をかけて、30Torr以下、又は5~30Torr、又は20Torr以下、又は5~20Torr、又は10~20Torr、又は約15Torr、又は約20Torr、又は約25Torr、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の目標圧力に、ゆっくりと段階的に低下させる。
【0041】
[0048]反応容器内の圧力が目標圧力に達したら、真空ポンプを、20Torr以下、又は5~20Torr、又は10Torr以下、又は5~10Torr、又は約5Torr、又は約10Torr、又は約15Torr、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲のより低い圧力に設定する。減圧を適用した後、反応容器を、撹拌下において、より低い圧力に設定した大気圧以下の圧力で、50℃~200℃、又は100℃~200℃、又は125℃~175℃、又は約140℃、又は約150℃、又は約160℃、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の温度において、1~48時間、又は6~36時間、又は12~36時間、又は20~28時間、又は22~26時間、又は約24時間、或いはこれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間反応させる。
【0042】
[0049]代表的な実施形態においては、モノマー-医薬コンジュゲートからポリエステル-医薬コポリマーを形成するプロセスは、加熱及び水の除去を含むモノマー-医薬コンジュゲートと第2のモノマーとの間の水介在反応を含む。
【0043】
[0050]ポリエステル-医薬コポリマーを形成する代表的な実施形態においては、第1のモノマー及びモノマー-医薬コンジュゲートを撹拌下で水と共に反応容器に加える。第1のモノマー及びモノマー-医薬コンジュゲートの溶解後、第2のモノマーを反応容器に加える。第1のモノマー、モノマー-医薬コンジュゲート、及び第2のモノマーの量は、1:2~2:1、又は1:1~2:1、又は5:4~7:4、又は約5:4、又は約3:2、又は約7:4、或いはそれらの間の任意の比、範囲、又は下位範囲の遊離ヒドロキシル基と遊離カルボキシル基との所定のモル比を与えるように選択される。次に、反応容器に、重合の溶融及び撹拌工程の間に水を還流させるための凝縮器を取り付け、凝縮器温度を、1℃~10℃、1℃~5℃、約5℃、約2.5℃、或いはそれらの間の任意の範囲又は下位範囲に設定する。50℃~200℃、又は100℃~180℃、又は115℃~165℃、又は約130℃、又は約140℃、又は約150℃、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の温度の熱を、15~120分間、又は30~120分間、又は45~90分間、又は60~80分間、又は約60分間、又は約70分間、又は約80分間、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間、反応容器に適用する。
【0044】
[0051]第2のモノマーが溶融した後、50℃~200℃、又は100℃~160℃、又は120℃~140℃、又は約120℃、又は約130℃、又は約140℃、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の温度の熱を反応容器に適用し、混合物を、15~120分間、又は30~90分間、又は40~60分間、又は約40分間、又は約50分間、又は約60分間、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間、還流下で撹拌する。
【0045】
[0052]次に、凝縮器を取り外し、容器に蒸留凝縮器を取り付けて、容器から水を除去する。窒素パージを容器に適用し、50℃~200℃、又は100℃~140℃、又は110℃~130℃、又は約110℃、又は約120℃、又は約130℃、或いはそれらの間の任意の値、範囲、もしくは下位範囲の温度の熱を反応容器に適用する。蒸留中、容器の内容物を、50℃~200℃、又は100℃~140℃、又は110℃~130℃、又は約110℃、又は約120℃、又は約130℃、又はそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の温度で、1~48時間、又は6~36時間、又は12~36時間、又は20~28時間、又は22~26時間、又は約24時間、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間撹拌する。
【0046】
[0053]次に、真空ラインを蒸留凝縮器に接続し、大気圧以下の圧力を容器の内容物に適用する。圧力は、15~120分間、又は30~120分間、又は60~110分間、又は75~95分間、又は約75分間、又は約85分間、又は約95分間、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間をかけて、30Torr以下、又は5~30Torr、又は20Torr以下、又は5~20Torr、又は10~20Torr、又は約15Torr、又は約20Torr、又は約25Torr、或いはこれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の目標圧力に、ゆっくりと段階的に低下させる。
【0047】
[0054]反応容器内の圧力が目標圧力に達したら、真空ポンプを、20Torr以下、又は5~20Torr、又は10Torr以下、又は5~10Torr、又は約5Torr、又は約10Torr、又は約15Torr、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲のより低い圧力に設定する。真空の適用に続いて、反応容器を、撹拌下において、より低い圧力に設定した大気圧以下の圧力で、50℃~200℃、又は100℃~160℃、又は120℃~140℃、又は約120℃、又は約130℃、又は約140℃、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の温度において、1~48時間、又は6~36時間、又は12~36時間、又は22~30時間、又は24~28時間、又は約26時間、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間反応させる。
【0048】
[0055]次に、反応容器内の生成物をガラスジャーに移し、ベンチトップ上で約15~120分間、又は30~90分間、又は35~55分間、又は約35分間、又は約45分間、又は約55分間、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間冷却し、次に、貯蔵のためにフリーザーに移し、そこで試験及び分析の前に少なくとも12時間、又は少なくとも18時間、又は少なくとも約24時間、又は又は少なくとも48時間凍結させる。
【0049】
[0056]モノマー-医薬コンジュゲートの使用を伴わない別の実施形態においては、ポリエステルコポリマー及び医薬化合物からポリエステル-医薬コポリマーを形成するプロセスは、加熱及び水の除去を含むポリエステルと医薬化合物との間の水介在反応を含む。
【0050】
[0057]そのような別の実施形態においては、ポリエステルコポリマーを、撹拌下で水と共に反応容器に加える。次に、医薬化合物を反応容器に加える。医薬化合物は、医薬化合物とポリエステルコポリマーとの合計重量を基準として、0.1~10重量%、又は0.1~5重量%、又は5~10重量%、又は1~5重量%、又は0.1~2重量%、又は約1重量%で与える。次に、反応容器に蒸留凝縮器を取り付けて、容器から水を除去する。50℃~200℃、又は100℃~160℃、又は120℃~140℃、又は約120℃、又は約130℃、又は約140℃、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の温度の熱を、撹拌下で、15~120分間、又は30~120分間、又は45~90分間、又は60~80分間、又は約60分間、又は約70分間、又は約80分間、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間、反応容器に適用する。
【0051】
[0058]次に、真空ラインを蒸留凝縮器に接続し、容器の内容物に大気圧以下の圧力を適用する。圧力は、約15~120分間、又は30~120分間、又は60~110分間、又は75~95分間、又は約75分間、又は約85分間、又は約95分間、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間をかけて、30Torr以下、又は5~30Torr、又は20Torr以下、又は5~20Torr、又は10~20Torr、又は約15Torr、又は約20Torr、又は約25Torr、又はこれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の目標圧力に、ゆっくりと段階的に低下させる。
【0052】
[0059]反応容器内の圧力が目標圧力に達したら、真空ポンプを、20Torr以下、又は5~20Torr、又は10Torr以下、又は5~10Torr、又は約5Torr、又は約10Torr、又は約15Torr、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲のより低い圧力に設定する。真空の適用後、反応容器を、撹拌下において、より低い圧力に設定した大気圧以下の圧力で、50℃~200℃、又は100℃~160℃、又は120℃~140℃、又は約120℃、又は約130℃、又は約140℃、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の温度において、1~48時間、又は6~36時間、又は12~36時間、又は20~28時間、又は22~26時間、又は約24時間、或いはそれらの間の任意の値、範囲、又は下位範囲の時間反応させる。
【0053】
[0060]ポリエステル-医薬コポリマーは、歯周治療、骨成長制御、創傷ケア、医療器具コーティング、心臓血管ステント、心臓血管移植片、心臓血管パッチ、心臓血管障害の治療、癒着バリア、手術用メッシュ、皮膚科指標、パーソナルケア製品、化粧品、バイオフィルム防止、バイオフィルム軽減、ステロイド減量関節痛注射剤、アヘン剤制御放出、神経ガイド、神経管、尿カテーテル、生分解性ポリマー微小球、用量送達、癌治療、細胞治療、バイオリアクター技術、化学療法腫瘍部位移植、経口抗菌剤、又はポリマー安定化剤など(しかしながらこれらに限定されない)の種々の用途において使用することができる。
【0054】
[0061]ポリエステル-医薬コポリマーは、米国特許出願第15/941,745号(その全体が参照により本明細書に援用される)に開示されている物品又はデバイスのような、微小球、微粒子、塞栓送達デバイス、標的送達デバイス、デバイスコーティング、移植片、又は移植片コーティングなど(しかしながらこれらに限定されない)の種々の物品又はデバイスの少なくとも一部を形成することができる。
【実施例
【0055】
[0062]本発明を以下の実施例に関連して更に記載するが、これらは限定ではなく、例示の目的で示される。
【0056】
実施例1
[0063]グリセロール、セバシン酸、及びサリチル酸から、水介在反応でPGS-サリチル酸コポリマーを形成した。反応容器の当初充填物は、グリセロール、サリチル酸、セバシン酸、及び水を含んでいた。
【0057】
[0064]グリセロール、サリチル酸、セバシン酸、及び水を撹拌しながら加えた。等モル量のグリセロール及びセバシン酸を使用し、サリチル酸を、グリセロール、セバシン酸、及びサリチル酸試薬の合計重量を基準として1重量%で与えた。次に、反応容器に凝縮器を取り付けて、重合の溶融及び撹拌工程中に水を還流させ、凝縮器温度は2.5℃(36.5°F)に設定した。撹拌下で、140℃(284°F)の温度の熱を、約70分間反応容器に加える。
【0058】
[0065]セバシン酸が溶融した後、130℃(266°F)の温度の熱を反応容器に適用し、混合物を還流下で50分間撹拌した。
[0066]次に、凝縮器を取り外し、容器に蒸留凝縮器を取り付けて、容器から水を除去した。窒素パージを容器に適用し、120℃の温度の熱を反応容器に適用した。蒸留中、容器の内容物を120℃において24時間撹拌した。
【0059】
[0067]次に、真空ラインを蒸留凝縮器に接続し、容器の内容物に大気圧以下の圧力を適用した。圧力は、約85分間かけてゆっくりと段階的に約20Torrに低下させた。
[0068]反応容器内の圧力が約20Torrに達したら、真空ポンプを10Torrに設定した。真空を適用した後、反応容器を、撹拌下において、10Torrに設定された大気圧以下の圧力で、130℃において26時間反応させた。
【0060】
[0069]次に、反応容器中のPGS材料をガラスジャーに移し、ベンチトップ上で約45分間冷却させ、次に貯蔵のためにフリーザーに移し、そこで試験及び分析の前に少なくとも約24時間凍結させた。
【0061】
[0070]約158℃(316°F)で融解し、約76℃(169°F)で昇華するサリチル酸は、合成後に蓋、凝縮器、及びシュレンクライン上で結晶化したことが分かった。
[0071]サリチル酸を検出するために303ナノメートル(nm)の波長で紫外線/可視光(UV/Vis)分析を行ったところ、総量で0.6重量%のサリチル酸の存在が示された。
【0062】
[0072]サリチル酸を検出するために303nmの波長でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析を行ったところ、コンジュゲート量で0.32重量%のサリチル酸が示された。
【0063】
[0073]図1は、得られたPGS-サリチル酸コポリマーに関するGPCクロマトグラムを示す。黒色の線は屈折率(RI)のクロマトグラム10を表し、灰色の線は303nmにおけるUV/Visクロマトグラム12を表す。UV/Visクロマトグラムは、サリチル酸の存在を検出する。40分未満におけるピークは、PGS-サリチル酸コポリマーの分子量全体にわたってサリチル酸がコポリマー中に導入されたことを示す。60分超におけるピークは、全てのサリチル酸はコポリマー中に導入されていなかったことを示す。
【0064】
実施例2
[0074]グリセロール、セバシン酸、及びサリチル酸から、水介在反応でPGS-サリチル酸コポリマーを形成し、ここではサリチル酸を蒸留工程後に加えた。
【0065】
[0075]サリチル酸を当初の充填では加えないで、その代わりに蒸留工程と真空工程の間に加えたことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。
[0076]ここでも、サリチル酸は、合成後、蓋、凝縮器、及びシュレンクライン上で結晶化したことが分かった。
【0066】
[0077]サリチル酸を検出するために303ナノメートル(nm)の波長においてUV/Vis分析を行ったところ、総量で0.55重量%のサリチル酸の存在が示された。
[0078]サリチル酸を検出するために303nmの波長においてGPC分析を行ったところ、コンジュゲート量で0.29重量%のサリチル酸が示された。図2は、得られたPGS-サリチル酸コポリマーのGPCクロマトグラムを示す。図1と同様に、黒色の線はRIクロマトグラム20を表し、灰色の線は303nmにおけるUV/Visクロマトグラム22を表す。ここでも、40分未満におけるピークは、サリチル酸がPGS-サリチル酸コポリマーの分子量全体にわたってコポリマー中に導入されたことを示し、60分超におけるピークは、全てのサリチル酸はコポリマー中に導入されておらず、実施例1よりも多いサリチル酸がコポリマー中に導入されたことを示す。
【0067】
実施例3
[0079]グリセロール及びサリチル酸から、水介在反応でグリセロール-サリチル酸コンジュゲートを形成し、ここでは、反応器容器の当初充填物は、グリセロール、サリチル酸、及び水を含んでいた。
【0068】
[0080]グリセロール、サリチル酸、及び水を撹拌下で加えた。サリチル酸は、グリセロールの量に対して2:1のモル比で与えた。次に、反応容器に凝縮器を取り付けて、還流工程の間に水を還流させ、凝縮器の温度を2.5℃に設定した。約70分撹拌しながら、150℃(302°F)の温度の熱を反応容器に適用した。
【0069】
[0081]150℃の温度の熱を反応容器に適用し、還流下で50分撹拌した。
[0082]次に、凝縮器を取り外し、容器に蒸留凝縮器を取り付けて、容器から水を除去した。窒素パージを容器に適用し、150℃の温度の熱を反応容器に適用した。蒸留中、容器の内容物を150℃において24時間撹拌した。
【0070】
[0083]この蒸留工程の後、試料を取り出して特性分析した。
[0084]得られたグリセロール-サリチル酸コンジュゲートは粘稠質であり、褐色で甘い臭いを有していた。
【0071】
[0085]303nmの波長におけるUV/Visによって構造を分析した。サリチル酸を検出するために303nmの波長においてGPC分析を行ったところ、コンジュゲート量で少なくとも40重量%のサリチル酸が示された。GPC分析においては重合は検出されなかった。図3は、得られたグリセロール-サリチル酸コンジュゲートについてのGPCクロマトグラムを示す。ここでも、黒色の線はRIクロマトグラム30を表し、灰色の線は303nmにおけるUV/Visクロマトグラム32を表す。40分未満におけるピークはグリセロール-サリチル酸コンジュゲートの形成を示しているが、60分超におけるピークは、全てのサリチル酸はコンジュゲートしていなかったことを示す。
【0072】
実施例4
[0086]次に、真空ラインを蒸留凝縮器に接続し、実施例3からの反応容器の残りの内容物に大気圧以下の圧力を適用した。圧力は、約85分かけて約20Torrにゆっくりと段階的に低下させた。
【0073】
[0087]反応容器内の圧力が約20Torrに達したら、真空ポンプを10Torrに設定した。真空を適用した後、反応容器を、撹拌下において、10Torrに設定された大気圧以下の圧力で、150℃で24時間反応させた。
【0074】
[0088]得られたグリセロール-サリチル酸コンジュゲートは粘稠質であり、褐色で甘い臭いを有していた。
[0089]303nmの波長におけるUV/Visによって構造を分析した。サリチル酸を検出するために303nmの波長においてGPC分析を行ったところ、コンジュゲート量で少なくとも83重量%のサリチル酸が示された。GPC分析では重合は検出されなかった。図4は、得られたグリセロール-サリチル酸コンジュゲートについてのGPCクロマトグラムを示す。ここでも、黒い線はRIクロマトグラム40を表し、灰色の線は303nmにおけるUV/Visクロマトグラム42を表す。UV/Visクロマトグラムにおける相対的ピークサイズのシフトは、実施例3におけるよりも高いレベルのサリチル酸コンジュゲートを示す。
【0075】
実施例5
[0090]グリセロール、グリセロール-サリチル酸コンジュゲート、及びセバシン酸から、水介在反応でPGS-サリチル酸コポリマーを形成した。
【0076】
[0091]グリセロール、及び実施例4からのグリセロール-サリチル酸コンジュゲートを、撹拌しながら水と共に反応容器に加えた。グリセロール及びグリセロール-サリチル酸コンジュゲートの溶解後、セバシン酸を反応容器に加えた。グリセロール、グリセロール-サリチル酸コンジュゲート、及びセバシン酸の量は、グリセロール-サリチル酸コンジュゲートが80重量%のサリチル酸であると仮定して、遊離ヒドロキシル基と遊離カルボキシル基との3:2のモル比を与えるように選択した。次に、反応容器に凝縮器を取り付けて、重合の溶融及び撹拌工程の間に水を還流させ、凝縮器温度を2.5℃に設定した。撹拌しながら、140℃の温度の熱を反応容器に約70分間適用した。
【0077】
[0092]セバシン酸が溶融した後、130℃の温度の熱を反応容器に適用し、還流下で50分間撹拌した。
[0093]次に、凝縮器を取り外し、容器に蒸留凝縮器を取り付けて、容器から水を除去した。窒素パージを容器に適用し、120℃の温度の熱を反応容器に適用した。蒸留中、容器の内容物を120℃で24時間撹拌した。
【0078】
[0094]次に、真空ラインを蒸留凝縮器に接続し、容器の内容物に大気圧以下の圧力を適用した。圧力は、約85分かけてゆっくりと段階的に約20Torrに低下させた。
[0095]反応容器内の圧力が約20Torrに達したら、真空ポンプを10Torrに設定した。真空を適用した後、反応容器を、撹拌下において、10Torrに設定された大気圧以下の圧力で、130℃で26時間反応させた。
【0079】
[0096]この時間の後、反応容器中のPGS材料をガラスジャーに移し、ベンチトップ上で約45分間冷却させ、次に貯蔵のためにフリーザーに移し、そこで試験及び分析の前に少なくとも約24時間凍結させた。
【0080】
[0097]H-NMR及びGPCによって構造を分析した。サリチル酸を検出するために303ナノメートル(nm)の波長においてUV/Vis分析を行ったところ、2つの別々の実験において総量で24.6重量%及び25.1重量%のサリチル酸の存在が示され、これは理論量の約97%及び99%のサリチル酸の導入を示した。図5は、得られたPGS-サリチル酸コポリマーのGPCクロマトグラムを示す。ここでも、黒色の線はRIクロマトグラム50を表し、灰色の線は303nmにおけるUV/Visクロマトグラム52を表す。ここでも、40分未満におけるピークは、サリチル酸がPGS-サリチル酸コポリマーの分子量全体にわたってコポリマー中に導入されたことを示し、60分超におけるピークの欠如は、ほぼ全てのサリチル酸がコポリマー中に導入されたことを示す。
【0081】
実施例6
[0098]PGS及びアスピリンから、PGS-アスピリンコポリマーを水介在反応で形成した。
【0082】
[0099]米国特許第9,359,472号に開示されている水介在プロセスによって形成されたPGSを、撹拌下で水と共に反応容器に加えた。次に、アスピリンを反応容器に加えた。アスピリンは、アスピリンとPGSの合計重量を基準として1重量%で与えた。次に、反応容器に蒸留凝縮器を取り付けて、容器から水を除去した。撹拌しながら130℃の温度の熱を反応容器に約70分間適用した。
【0083】
[00100]次に、真空ラインを蒸留凝縮器に接続し、容器の内容物に大気圧以下の圧力を適用した。圧力は、約85分かけてゆっくりと段階的に約20Torrに低下させた。
[00101]反応容器内の圧力が約20Torrに達したら、真空ポンプを10Torrに設定した。真空を適用した後、反応容器を、撹拌下において、10Torrに設定された大気圧以下の圧力で、130℃で24時間反応させた。
【0084】
[00102]アスピリンを検出するために303ナノメートル(nm)の波長においてUV/Vis分析を行ったところ、、総量で0.89重量%のアスピリンの存在が示された。図6は、得られたPGS-アスピリンコポリマーのGPCクロマトグラムを示す。ここでも、黒い線はRIクロマトグラム60を表し、灰色の線は303nmにおけるUV/Visクロマトグラム62を表す。40分未満におけるピークは、アスピリンがPGS-アスピリンコポリマーの分子量全体にわたってコポリマー中に導入されたことを示し、60分超におけるピークの欠如は、ほぼ全てのアスピリンがコポリマー中に導入されたことを示す。
【0085】
[00103]PGS-アスピリンコポリマーは、約5,600Daの重量平均分子量(M)を有し、130℃より高い温度においてのみ良好に熱硬化した。
【0086】
実施例7
[00104]実施例5からのPGS-サリチル酸コポリマーを、10Torrの圧力で48時間130℃に加熱することによって熱硬化させた。得られた薄いフィルム(厚さ約1mmであった)から、それぞれ10mmの直径を有する3枚の薄い円筒状ディスクを打ち抜いた。
【0087】
[00105]各ディスクを、11のpH及び37℃の温度の10mLの0.09Mリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に4週間配置した。1週間隔で溶液を取り出し、303nmの波長におけるUV分析によってサリチル酸含量について、及びpHについて試験した。各試料を蒸留水で3回すすぎ、真空乾燥した後、新しいPBS中に配置した。
【0088】
[00106]図7は、3つの試料について、ディスクの出発総質量を基準として、及びサリチル酸の出発総装填量を基準として計算したサリチル酸損失の平均累積パーセントを示す。最初の急速放出後、サリチル酸放出は7日目と28日目の間で直線的であり、約8.8%のサリチル酸が28日目までに放出された。7日目後の線形放出は、表面浸食に基づく熱硬化性ディスクの分解を示す。
【0089】
[00107]図8は、それぞれ7日後の3つの試料についての緩衝液の平均pHを示す。急速放出によって、7日後に緩衝液のpHが約10に低下した。しかしながら、線形放出の間は、緩衝液のpHはかなり安定であり、10.8~10.9の間であると測定された。
【0090】
実施例8
[00108]実施例6からのPGS-アスピリンコポリマーを、10Torrの圧力で72時間130℃に加熱することによって熱硬化させた。得られた薄いフィルム(厚さ約1mmであった)から、それぞれ10mmの直径を有する3枚の薄い円筒状ディスクを打ち抜いた。
【0091】
[00109]各ディスクを、11のpH及び37℃の温度の10mLの0.09Mリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に4週間配置した。1週間隔で溶液を取り出し、303nmの波長におけるUV分析によってサリチル酸含量について、及びpHについて試験した。各試料を蒸留水で3回すすぎ、真空乾燥した後、新しいPBS中に配置した。
【0092】
[00110]図9は、3つの試料について、ディスクの出発総質量を基準として、及びアスピリンの出発総装填量を基準として計算したアスピリン損失の平均累積パーセントを示す。最初の急速放出後、アスピリン放出は7日目と21日目の間でほぼ直線的であり、アスピリンの約9.2%が21日目までに放出された。しかしながら、21日目と28日目との間において、ディスクは崩壊し始め、その4週目の間に観察された増加した量の損失をもたらした。バースト-線形-バースト放出は、有意に少ない架橋のコポリマーを示す。
【0093】
[00111]図10は、それぞれ7日後の3つの試料についての緩衝液の平均pHを示す。急速放出によって、7日後に緩衝液のpHが約10に低下した。しかしながら、線形放出の間は、緩衝液のpHはかなり安定であり、10.7~10.8であると測定された。しかしながら、4週目の間において、急速放出にによってpHが10.0~10.1に低下した。
【0094】
[00112]上記の全ての参照文献は、本明細書中に参照として援用される。
[00113]本発明を1つ以上の実施形態を参照して説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができ、均等物をその構成要素の代わりに使用することができることが当業者に理解される。更に、その本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は本発明を実施するために企図されるベストモードとして開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲内のすべての実施形態を含むことが意図される。更に、詳細な説明において特定される全ての数値は、正確な値及び近似値が両方とも明確に特定されるように解釈されるべきである。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[態様1]
ポリマー材料を製造する方法であって、
容器中で、アルコール-医薬コンジュゲート、ポリオール、及び水性液体を混合する工程であって、ここで、前記アルコール-医薬コンジュゲートは、エステル結合によって前記ポリオールに結合した少なくとも1つのカルボキシル基を有する医薬化合物を含む、前記工程;
前記容器に酸モノマーを加える工程;及び
加熱して前記容器から水を除去して前記ポリマー材料を生成させる工程;
を含み、
前記ポリマー材料は、前記酸モノマーと前記ポリオールと前記医薬化合物のポリエステルコポリマーを含む、前記方法。
[態様2]
ポリオールを水性液体と混合する工程;
前記医薬化合物を前記ポリオール及び前記水性液体に加える工程;
加熱して水を除去して、前記アルコール-医薬コンジュゲートを生成させる工程;
を更に含む、態様1に記載の方法。
[態様3]
前記加熱して前記容器から水を除去する工程が、前記アルコール-医薬コンジュゲート、前記ポリオール、前記水性液体、及び前記酸モノマーを還流する工程を含む、態様1に記載の方法。
[態様4]
前記加熱して前記容器から水を除去することが、前記容器内の圧力を5Torr~20Torrの範囲に低下させる工程を更に含む、態様1に記載の方法。
[態様5]
前記ポリオールがグリセロールを含む、態様1に記載の方法。
[態様6]
前記水性液体が水である、態様1に記載の方法。
[態様7]
前記酸モノマーが二酸を含む、態様1に記載の方法。
[態様8]
前記二酸が式:[HOOC(CH COOH](式中、n=1~30である)の化合物を含む、態様7に記載の方法。
[態様9]
前記二酸が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、又はそれらの組み合わせを含む、態様8に記載の方法。
[態様10]
前記二酸がセバシン酸である、態様8に記載の方法。
[態様11]
前記医薬化合物がサリチル酸である、態様1に記載の方法。
[態様12]
前記加熱して水を除去する工程が、約50~200℃に加熱する工程を含む、態様1に記載の方法。
[態様13]
前記加熱して水を除去する工程が、大気圧において不活性雰囲気を約1時間~約48時間適用する工程を含む、態様1に記載の方法。
[態様14]
前記加熱して水を除去する工程が、前記大気圧において不活性雰囲気を約1~約48時間適用する工程の後に、大気圧以下の圧力を約1時間~約76時間適用する工程を更に含む、態様13に記載の方法。
[態様15]
前記加熱して水を除去する工程が、大気圧以下の圧力を約1時間~約76時間適用する工程を含む、態様1に記載の方法。
[態様16]
コモノマー又はポリマーを前記容器に加えて、前記ポリマー材料をコポリマーとして形成する工程を更に含む、態様1に記載の方法。
[態様17]
前記コモノマーが、二酸、乳酸、カプロラクトン、又はそれらの組み合わせを含む、態様16に記載の方法。
[態様18]
前記ポリマー材料が、前記ポリマー材料の総重量を基準として20重量%~25重量%の前記医薬化合物を含む、態様1に記載の方法。
[態様19]
態様1に記載の方法によって製造されるポリマー材料。
[態様20]
ポリマー材料を製造する方法であって、
グリセロール、グリセロール-医薬コンジュゲート、及び水を容器内で混合する工程であって、ここで前記グリセロール-医薬コンジュゲートは、エステル結合によって前記グリセロールに結合した少なくとも1つのカルボキシル基を有する医薬化合物を含む、前記工程;
次に、セバシン酸を前記容器に加える工程;
次に、水を前記容器から除去する工程;
次に、前記容器内で、前記グリセロール、グリセロール-医薬コンジュゲート、及びセバシン酸を、大気圧及び50~200℃の範囲の温度において不活性ガスの存在下で約1時間~約48時間反応させる工程;及び
次に、前記大気圧において前記不活性ガスの存在下で反応させる工程の後に、50~200℃の範囲の前記容器内の温度で、大気圧以下の圧力を約1時間~約76時間、前記容器に適用し、それによって、前記容器内において、酸モノマーとポリオールと前記医薬化合物のポリエステルコポリマーを含む前記ポリマー材料を形成する工程;
を含む、前記方法。
[態様21]
前記大気圧以下の圧力が5Torr~20Torrの範囲である、態様20に記載の方法。
[態様22]
前記大気圧以下の圧力を約24時間~約36時間適用する、態様20に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10