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特許7285837スルファサラジンの塩、製造方法および使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】スルファサラジンの塩、製造方法および使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/76 20060101AFI20230526BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/5415 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/136 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/635 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/4706 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/56 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/415 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/4152 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/405 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/196 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/616 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/7008 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/341 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/42 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/7135 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
C07D213/76
A61K45/00
A61K31/5415
A61K31/136
A61K31/192
A61P1/00
A61P1/04
A61P9/00
A61P11/00
A61P19/00
A61P19/02
A61P21/00
A61P29/00
A61P11/02
A61P19/06
A61P25/06
A61P29/00 101
A61P37/06
A61P43/00 111
A61P31/12
A61P31/04
A61K31/635
A61K31/519
A61K31/4706
A61K31/573
A61K31/58
A61K31/56
A61K31/415
A61K31/4152
A61K31/405
A61K31/196
A61K31/616
A61K31/7008
A61K31/53
A61K31/341
A61K31/42
A61K31/444
A61K31/7135
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020528325
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2018082330
(87)【国際公開番号】W WO2019101903
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】17203275.7
(32)【優先日】2017-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509021650
【氏名又は名称】メダック・ゲゼルシャフト・フューア・クリニッシェ・スペツィアルプレパラーテ・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】medac, Gesellschaft fuer klinische Spezialpraeparate mbH
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】マルゲリーテ・メンソニデス-ハルセマ
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・ビアレク
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特公昭49-024650(JP,B1)
【文献】特表2013-512239(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106279008(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/
A61K 31/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸(スルファサラジン)のメグルミン塩のフォームA結晶であって、該結晶が、6.35、13.93、15.48、15.86、20.99、22.41、23.60および28.07の2θ値(±0.2)における粉末X線回折のピークを特徴とし、スルファサラジンメグルミン塩のフォームA結晶の総重量に基づいて0から5重量%未満の溶媒和物および/または水を含有する、結晶。
【請求項2】
6.35、13.93、15.48、15.86、20.99、22.41、23.60および28.07の2θ値(±0.2)における粉末X線回折のピークを特徴とする、請求項1に記載のスルファサラジンメグルミン塩のフォームA結晶。
【請求項3】
下記:
【表1】
粉末X線回折パターンを有する、請求項1または2に記載のスルファサラジンメグルミン塩のフォームA結晶。
【請求項4】
スルファサラジンメグルミン塩のフォームA結晶の総重量に基づいて0から4重量%未満の溶媒和物および/または水を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のメグルミン塩結晶。
【請求項5】
スルファサラジンメグルミン塩のフォームA結晶の総重量に基づいて0から3重量%未満の溶媒和物および/または水を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のメグルミン塩結晶。
【請求項6】
スルファサラジンメグルミン塩のフォームA結晶の総重量に基づいて0から2重量%未満の溶媒和物および/または水を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のメグルミン塩結晶。
【請求項7】
スルファサラジンメグルミン塩のフォームA結晶の総重量に基づいて0から1重量%未満の溶媒和物および/または水を含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のメグルミン塩結晶。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のスルファサラジンメグルミン塩のフォームA結晶の1つ以上の治療上有効量を含む、医薬組成物。
【請求項9】
組成物が、経口または直腸投与用に製剤化されている、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
医薬組成物が、ピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸(ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェンより選択される)、フェナメート(メフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アザプロパゾンより選択される)、ピラゾロン、サリチレート(アスピリンより選択される)、選択的COX-2阻害薬(メロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブおよびエトリコキシブ、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ阻害薬(CINOD)より選択される)より選択される局所または全身適用されるかにかかわらず非選択的シクロ-オキシゲナーゼCOX-1/COX-2阻害薬より選択される、非ステロイド性抗炎症薬;フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ブデソニド、フルチカゾンプロピオン酸エステル、シクレソニドまたはモメタゾンフランカルボン酸エステルより選択される、グルココルチコイド;メトトレキサート;レフルノミド;ヒドロキシクロロキン;d-ペニシラミン;ジアセレイン;グルコサミンより選択される、栄養補助食品;金剤;サイトカインまたはサイトカイン機能のアゴニストもしくはアンタゴニスト;Bリンパ球を標的とするモノクローナル抗体;MRA-aIL16R;T-リンパ球;CTLA4-Ig;HuMax 11-15;CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10およびCCR11(C-Cファミリー)、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4およびCXCR5(C-X-Cファミリー)およびCX3CR1(C-X3-Cファミリー)のアンタゴニストより選択される、ケモカイン受容体機能のモジュレーター;アザチオプリン、トファシチニブ、モノクローナル抗体(抗腫瘍壊死因子αモノクローナル抗体インフリキシマブ、アダリムマブおよびゴリムマブより選択される);アナキンラより選択される、インターロイキン1受容体アンタゴニスト;エタネルセプトおよびアバタセプトからなる群より選択される、1、2、3またはそれ以上の活性成分をさらに含む、請求項8または9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
ピラゾロンがフェニルブタゾンである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
金剤がオーラノフィンである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
Bリンパ球を標的とするモノクローナル抗体が、CD20を標的とするモノクローナル抗体(リツキシマブ)である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
1、2、3またはそれ以上の活性成分が、メトトレキサートおよび/またはヒドロキシクロロキンである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項15】
i)炎症細胞の調節が有益である疾患または状態、
ii)原発性または先天的股関節異形成症に続発性の骨関節症に関連するかまたは含む関節炎;頚部および腰部脊椎炎、および下背部および頚部痛;リウマチ性関節炎およびスチル病;血清反応陰性脊椎関節症(強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎および未分化脊椎関節症、敗血症性関節炎および感染症に関連する他の関節症を含む)および骨障害(ポット病およびポンセ病を含む結核より選択される);急性および慢性結晶誘発性滑膜炎(尿酸痛風、ピロリン酸カルシウム沈着症、およびカルシウムアパタイト関連腱を含む)、滑液包および滑膜炎症;ベーチェット病;原発性または続発性シェーグレン症候群;全身性硬化症および限局型強皮症;全身性エリテマトーデス、混合型結合組織疾患、および未分化結合組織疾患;炎症性ミオパシー(皮膚筋炎および多発性筋炎を含む);リウマチ性多発筋痛症;若年性関節炎(あらゆる関節位置および関連症候群の特発性炎症性関節炎、およびリウマチ熱およびその全身合併症を含む);脈管炎(巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発動脈炎、ならびにウイルス感染、過敏反応、クリオグロブリンおよびパラタンパク質に関連する脈管炎を含む);下背部痛;家族性地中海熱、マックル・ウェルズ症候群、および家族性アイルランド熱、菊池病;薬物誘発性関節痛、腱炎、およびミオパシーからなる群より選択される疾患または状態からなる群より選択される、骨または関節に関する疾患または状態;または
iii)好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、大腸炎(潰瘍性大腸炎、直腸炎を含む);セリアック病、過敏性腸症候群、および腸から離れたところに影響を及ぼし得る食品関連アレルギー(片頭痛、鼻炎または湿疹より選択される)からなる群より選択される、消化管に関する疾患または状態
の処置における使用のための、請求項8~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明の製造方法を用いることにより得ることができる新規なスルファサラジンの塩結晶形態、特にスルファサラジンのD(-)-N-メチルグルカミン(メグルミン)塩のフォームA結晶(図1参照)、スルファサラジンのピペラジン塩のフォームA結晶(図2参照)およびスルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームB結晶(図4参照)、ならびに本発明の塩結晶形態の1つ以上を含む、特に炎症細胞の調節が有益である疾患または状態、骨または関節および/または消化管に関する疾患または状態の処置のための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般名スルファサラジンで知られる((3Z)-6-オキソ-3-[[4-(ピリジン-2-イルスルファモイル)フェニル]ヒドラジニリデン]シクロヘキサ-1,4-ジエン-1-カルボン酸(IUPAC);2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸(CA索引名)としても知られる)化合物は、US 2,396,145(GB 564990)で最初に開示され、様々な自己免疫性疾患、例えばリウマチ性関節炎、若年性特発性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎およびクローン病の処置に極めて効果的である。
【0003】
スルファサラジンは、黄褐色の結晶を形成する(分子量398.39 g/mol)。融点は、240℃~245℃と特定されている(US 2,396,145)。スルファサラジンの水への溶解度は、5 mg/100 ml未満である。当該物質は、0.6、2.4、9.7および11.8の4つの理論pka/b値を有する。確立された方法を用いることによりスルファサラジンの水和物および溶媒和物を含まない塩を製造することが極めて困難であることが証明されている。
【0004】
スルファサラジン((3Z)-6-オキソ-3-[[4-(ピリジン-2-イルスルファモイル)フェニル]ヒドラジニリデン]シクロヘキサ-1,4-ジエン-1-カルボン酸(IUPAC);2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸(CA索引名))の構造を下記に示す:
【化1】
【0005】
スルファサラジンは、十分に確立された活性医薬成分であり、抗炎症治療に用いられる。スルファサラジンは、ヒトにおける活動性リウマチ性関節炎、活動性若年性特発性少関節炎(oligoarthritis)、活動性若年性特発性多発性関節炎(polyarthritis)および末梢関節炎を伴う脊椎関節症の処置において用いられる。スルファサラジンはまた、炎症性腸疾患、例えばクローン病および潰瘍性大腸炎の処置において5-アミノサリチル酸のプロドラッグとして用いられる。成人では、スルファサラジンへの忍容性およびその有効性に基づいて、一般的に、500~4000 mg/日の用量で錠剤として経口投与される。
【0006】
スルファサラジンは、最も広く用いられている疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の1つであり、また、グルココルチコイドと組み合わせておよび/または他の小分子DMARD、例えばメトトレキサートおよび/またはヒドロキシクロロキンおよび/または生物学的DMARD、例えばTNF-α関連生物製剤と組み合わせて用いられる。
【0007】
スルファサラジンおよびその代謝産物5-アミノサリチル酸およびスルファピリジンの作用機序は、部分的には未だ不明である。スルファサラジンおよび/またはその代謝産物は、種々の生物学的「経路」により、様々な(炎症性)細胞タイプ、例えばT細胞、樹状細胞、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、上皮細胞、B細胞およびマスト細胞にてインビボおよびインビトロで抗炎症性および免疫調節性を有する。例えば、スルファサラジン処理された樹状細胞は、NF-kB経路の阻害によりT細胞を刺激できないことが示されている(Matasic R, Dietz AB, Vuk-Pavlovic S.; "Maturation of human dendritic cells as sulfasalazine target."; Croat Med J 2001 Aug; 42(4): 440-5)。また、スルファサラジンは、125I-TNF-α置き換え研究において受容体へのTNF-αの結合を阻害することが示されている。さらに、スルファサラジンは、メトトレキサートと同様に、AICARトランスホルミラーゼの阻害によりアデノシンの放出を増加させ、これにより炎症を軽減することが示されている(P Gadangi, M Longaker, D Naime, R I Levin, P A Recht, M C Montesinos, M T Buckley, G Carlin and B N Cronstein; "The anti-inflammatory mechanism of sulfasalazine is related to adenosine release at inflamed sites.", J Immunol March 1, 1996, 156 (5) 1937-1941)。好中球の酸化バーストに対するその阻害効果と合わせて、スルファサラジンの十分に確立された抗酸化効果は、活性酸素および窒素種に対する除去効果ならびにその金属キレート化特性の両方により発揮されることが示されている(Couto D1, Ribeiro D, Freitas M, Gomes A, Lima JL, Fernandes E., Redox Rep. 2010;15(6):259-67. doi: 10.1179/135100010X12826446921707, "Scavenging of reactive oxygen and nitrogen species by the prodrug sulfasalazine and its metabolites 5-aminosalicylic acid and sulfapyridine.")。
【0008】
しかしながら、スルファサラジンの低い溶解度(24℃の脱イオン水において0.03 mg/mL)およびスルファサラジンの現在知られている医薬組成物のため、ヒトにおけるスルファサラジンの全身バイオアベイラビリティが低く(経口用量の約15~20%が小腸で吸収される)、薬物動態の内部および外部変動性が高い(Cmaxは4~12時間であり、ピーク濃度の中央値は6時間である)。吸収されないスルファサラジンは、アザ還元腸内細菌叢により5-アミノサリチル酸(全身バイオアベイラビリティの10~30%)およびスルファピリジン(全身バイオアベイラビリティの約60%)へ変換される。代謝産物を約10時間後血漿中で検出できる。静脈内投与されたスルファサラジンの半減期は、約7.6±3.6時間である。
【0009】
下部消化管における腸内細菌叢によるスルファサラジンの生体内変換とは別に、スルファサラジンはまた、肝臓において代謝産物5-アミノサリチル酸およびスルファピリジンへ代謝される。肝臓において、一次代謝産物スルファピリジンは、排泄前にアセチル化され、その速度は、アセチル化の表現型により決定される。したがって、スルファピリジンの半減期は、10.4から14.8時間まで変化し得る(アセチル化速行表現体またはむしろアセチル化遅行表現体に依存する)。
【0010】
スルファサラジンに関連する最も一般的な副反応は、摂食障害、頭痛、悪心、嘔吐、胃の不快であり、明らかな可逆的な精子減少症、めまい、発熱、無力症、不眠症および回転性めまいもスルファサラジンの投薬中に患者に影響を及ぼし得る。
【0011】
しかしながら、肝炎、肝不全、膵炎、血性下痢、葉酸吸収障害、ジゴキシン吸収障害、口内炎、下痢、腹痛および好中球減少性腸炎を含む消化管反応も、投薬中に生じ得る。
【0012】
また、皮膚(例えば皮膚発疹またはそう痒、蕁麻疹、日光への感受性の増加)、血液/リンパ系(再生不良性貧血、無顆粒球症、白血球減少症、巨赤芽球性(大球性)貧血、紫斑病、血小板減少症、血小板減少症、メトヘモグロビン血症、先天性好中球減少症および骨髄異形成症候群)または中枢神経系(横断性脊髄炎、痙攣、髄膜炎、脊柱後部の一過性病変、馬尾症候群、ギランバレー症候群、末梢ニューロパシー、精神的抑うつ、回転性めまい、聴力低下、不眠症、運動失調、幻覚、耳鳴りおよび眠気)が影響を受け得る。発生する肝胆道障害は、肝機能検査値の上昇(SGOT/AST、SGPT/ALT、GGT、LDH、アルカリホスファターゼ、ビルビリン)、黄疸、胆汁うっ滞性黄疸、硬変、胆汁うっ滞性肝炎、胆汁うっ滞ならびに肝壊死および肝不全を含む肝細胞損傷の可能性を含む肝毒性であり得る。これらの症例のいくつかは致死的であった。
【0013】
スルファサラジンの低吸収率は、薬物スルファサラジンへの十分な曝露を得て、これにより十分な臨床効果を得るために、患者に投与される必要がある、単一の固形経口剤形当たり500 mgのスルファサラジンと大量である1つの理由である。しかしながら、大量の原薬および/または大きいサイズの錠剤は、一部にはインビボにおけるスルファサラジンおよびその代謝産物の望ましくない比率のために、低い患者のコンプライアンスおよび有害事象の不必要に高い割合をもたらす。
【0014】
医薬組成物の製造において、活性化合物は、商業的に実施可能な製造方法を得るために、便利に取り扱われ、処理され得る形態であることが重要である。これに関して、活性化合物の化学的安定性および物理的安定性は、重要な要素である。活性化合物およびそれを含む組成物は、物理化学的特性(例えば化学組成、密度、水分含有量および溶解度)に顕著な変化を示すことなく、相当の期間にわたって有効に保存できなければならない。
【0015】
したがって、溶解性を示すスルファサラジンの溶媒和物を含まない結晶形態を提供することが有益である。先行技術から、溶解性を改善すると同時に、スルファサラジンの溶媒和物を含まない結晶を製造および/または単離することは極めて困難であることが明らかである。
【0016】
スルファサラジンがインビボで金属キレート化特性を有することが知られている。しかしながら、カウンターイオンのナトリウムおよびカリウムとのスルファサラジンのモノ塩は、Nygardら(Nygard, B.; Olofsson, J. and Sandberg, M.: "Some physicochemical properties of salicylazosulphapyridine, including its solubility, protolytic constants and general spectrochemical and Polarographic behavior.", Acta Pharmaceutica Suecica 3: 313-342 (1966))において言及されているが、単離されていない。ストロンチウム(三水和物として)、カルシウム(三水和物として)、マグネシウム(三水和物として)などの金属カウンターイオンとのスルファサラジンのヘミ塩は、スルファサラジンより溶解度が低い。アンモニウムとのスルファサラジンの他の金属錯体(セリウム、トリウムおよびウラン)は、同様に試験されている(GG Mohamed et al. Spectrochim Acta A Mol Biomol Spectrosc 62 (4-5), 1095-1101. 2005 Jun 13; "Structural and Thermal Characterization of Cerium, Thorium and Uranyl Complexes of Sulfasalazine")。しかしながら、これらのカウンターイオンは、医薬的に許容されていない。
【0017】
Mg、Sr、CaおよびZnなどの種々のカウンターイオンによるスルファサラジン塩の立体配座解析は、末端ピリジン環がある程度の配向(oriental)柔軟性を示し、これはスルファサラジン塩の立体配座多型の傾向を示すことを示す。
【0018】
特許出願GB 1,166,684は、スルファサラジンのアルコキシ-アミン付加塩を開示している。当該特許によれば、製造されたスルファサラジンのアルコキシ-アミン付加塩は、エーテルまたはアルコールと撹拌した際にのみ結晶化する粘性の油として得られる点で結晶化することが困難であり、多くの開示された塩は、極めて吸湿性であり、および/または高い水分含有量を有する。例えば、スルファサラジンのN-メチル-(1)-D-グルコサミン塩(メグルミン塩としても知られ、これを以下用いる)は、GB 1,166,684において同定されており、熱いメチルグリコール中のメチルグルカミンの溶液を、2-メトキシエタノール中のスルファサラジンの溶液に加えることにより製造され、十分に乾燥させた後9%の水分含有量を示す。このような水分含有量は、安定な医薬組成物の製造に特に不適切である。
【0019】
それらの好ましくない物理化学的特性(吸湿性および/または高い水分含有量および/または低い溶解度および/または医薬的な非容認性)のため、これまでに開示されたスルファサラジン塩は、医薬組成物における使用に適すると考えられていない。
【0020】
CN 106 279 008 Aは、スルファサラジン(5-[p-(2-ピリジルアミノスルホニル)ベンゼン]アゾ-サリチル酸)の精製方法の技術分野に関する。スルファサラジンは、中間生成物としてスルファサラジンの特定のアミン塩を用い、特定のアミン塩を含有する溶液からスルファサラジンを沈殿させることにより精製される。実施例6によれば、スルファサラジンの特定のジエチルアミン塩は、中間生成物として製造され、その後、スルファサラジンが、溶液から沈殿する。本願出願人は、CN 106 279 008 Aの実施例6で提供される記載に従ってスルファサラジンジエチルアミン塩中間体を製造した。また、スルファサラジンのジエチルアミン塩をX線粉末回折(XRPD)により評価し、得られたジエチルアミンスルファサラジンは、図3によればスルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームA結晶として存在することを証明した。
【0021】
したがって、特に有害事象の程度を減少させるおよび/または患者のコンプライアンスを改善するために、スルファサラジンのバイオアベイラビリティおよび/またはスルファサラジンの溶解度を増加させた、および/または医薬的スルファサラジン組成物のリスク・ベネフィット比を改善させた、スルファサラジンの医薬組成物を提供することが未だ必要とされている。
【発明の概要】
【0022】
本発明の課題は、独立請求項の主題により解決される。利点(好ましい実施態様)は、図面を含む以下の詳細な記載および従属請求項に示される。
【0023】
したがって、本発明の第1態様は、2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸(スルファサラジン)の有機塩結晶の製造方法であって、有機塩は、ジエチルアミン、ピペラジンおよびD-(-)-N-メチルグルカミン(メグルミン)より選択され、該製造方法は、下記工程:
A1:スルファサラジン遊離酸形態を適切な溶媒中で提供する工程、
B1:メグルミンおよびピペラジンより選択される有機アミン含有成分を適切な溶媒中で提供する工程、
C1:工程A1)のスルファサラジン溶液を工程B1)の有機アミン含有成分溶液と室温、好ましくは19℃~25℃にて混合する工程、および
D1:工程C1)の溶液中で形成したピペラジンスルファサラジンフォームAもしくはその溶媒和物の結晶またはメグルミンスルファサラジンフォームAもしくはその溶媒和物の結晶を分離する工程、
あるいは
A2:スルファサラジン遊離酸形態を適切な溶媒中で提供する工程、
B2:メグルミンおよびジエチルアミンより選択される有機アミン含有成分を適切な溶媒中で提供する工程、
C2:工程A2)のスルファサラジン溶液を工程B2)の有機アミン含有成分溶液と混合し、ここでアミン含有成分が、スルファサラジンに対して少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%モル過剰である工程、および
D2a:工程C2)で形成した混合溶液を濃縮し、メグルミンスルファサラジンフォームAもしくはその溶媒和物の結晶またはジエチルアミンスルファサラジンフォームBもしくはその溶媒和物の結晶を分離する工程、または
D2b:工程C2)で形成した混合溶液へ更なる溶媒を加え、ここで更なる溶媒が、工程A2)およびB2)で用いられる溶媒と異なり、メグルミンスルファサラジンフォームAもしくはその溶媒和物の結晶またはジエチルアミンスルファサラジンフォームBもしくはその溶媒和物の結晶を分離する工程、
を含むかまたはそれらからなる製造方法に関するが、ただし本発明の方法は、ジエチルアミンスルファサラジンのフォームA結晶を対象としない。
【0024】
本発明の第2態様は、本発明の製造方法に従ってそれぞれ得られる、本発明のメグルミンスルファサラジンフォームA結晶、ピペラジンスルファサラジンフォームA結晶またはジエチルアミンスルファサラジンフォームB結晶に関する。
【0025】
本発明の第3態様は、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態の1つ以上の治療上有効量を含む医薬組成物に関する。
【0026】
本発明の第4態様は、
i)炎症細胞の調節が有益であるヒトの疾患または状態、
ii)骨または関節に関する疾患または状態、好ましくは、原発性または、例えば、先天的股関節異形成症に続発性の骨関節症(osteoarthritis / osteoarthrosis)に関連するかまたは含む関節炎;頚部および腰部脊椎炎、および下背部および頚部痛;リウマチ性関節炎およびスチル病;血清反応陰性脊椎関節症、例えば強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎および未分化脊椎関節症(spondarthropathy)、敗血症性関節炎および感染症に関連する他の関節症(arthopathies)および骨障害、例えば結核、例えばポット病およびポンセ病;急性および慢性結晶誘発性滑膜炎、例えば尿酸痛風、ピロリン酸カルシウム沈着症、およびカルシウムアパタイト関連腱(calcium apatite related tendon)、滑液包および滑膜炎症;ベーチェット病;原発性または続発性シェーグレン症候群;全身性硬化症および限局型強皮症;全身性エリテマトーデス、混合型結合組織疾患、および未分化結合組織疾患;炎症性ミオパシー、例えば皮膚筋炎および多発性筋炎;リウマチ性多発筋痛症;若年性関節炎、例えば、あらゆる関節位置および関連症候群の特発性炎症性関節炎、およびリウマチ熱およびその全身合併症;脈管炎、例えば巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発動脈炎、ならびにウイルス感染、過敏反応、クリオグロブリンおよびパラタンパク質に関連する脈管炎;下背部痛;家族性地中海熱、マックル・ウェルズ症候群、および家族性アイルランド熱(Familial Hibernian Fever)、菊池病;薬物誘発性関節痛、腱炎、およびミオパシーからなる群より選択される疾患または状態;および
iii)消化管に関する疾患または状態、好ましくは、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、大腸炎、例えば潰瘍性大腸炎、直腸炎;セリアック病、過敏性腸症候群、および腸から離れたところに影響を及ぼし得る食品関連アレルギー、例えば片頭痛、鼻炎または湿疹からなる群より選択される疾患または状態
のための医薬の製造における/その処置における、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態または本発明の医薬組成物の使用に関する。
【0027】
本発明の第5態様は、
i)炎症細胞の調節が有益であるヒトの疾患または状態、
ii)骨または関節に関する疾患または状態、好ましくは、原発性または、例えば、先天的股関節異形成症に続発性の骨関節症(osteoarthritis / osteoarthrosis)に関連するかまたは含む関節炎;頚部および腰部脊椎炎、および下背部および頚部痛;リウマチ性関節炎およびスチル病;血清反応陰性脊椎関節症、例えば強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎および未分化脊椎関節症(spondarthropathy)、敗血症性関節炎および感染症に関連する他の関節症(arthopathies)および骨障害、例えば結核、例えばポット病およびポンセ病;急性および慢性結晶誘発性滑膜炎、例えば尿酸痛風、ピロリン酸カルシウム沈着症、およびカルシウムアパタイト関連腱、滑液包および滑膜炎症;ベーチェット病;原発性または続発性シェーグレン症候群;全身性硬化症および限局型強皮症;全身性エリテマトーデス、混合型結合組織疾患、および未分化結合組織疾患;炎症性ミオパシー、例えば皮膚筋炎および多発性筋炎;リウマチ性多発筋痛症;若年性関節炎、例えば、あらゆる関節位置および関連症候群の特発性炎症性関節炎、およびリウマチ熱およびその全身合併症;脈管炎、例えば巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発動脈炎、ならびにウイルス感染、過敏反応、クリオグロブリンおよびパラタンパク質に関連する脈管炎;下背部痛;家族性地中海熱、マックル・ウェルズ症候群、および家族性アイルランド熱(Familial Hibernian Fever)、菊池病;薬物誘発性関節痛、腱炎、およびミオパシーからなる群より選択される疾患または状態;および
iii)消化管に関する疾患または状態、好ましくは、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、大腸炎、例えば潰瘍性大腸炎、直腸炎;セリアック病、過敏性腸症候群、および腸から離れたところに影響を及ぼし得る食品関連アレルギー、例えば片頭痛、鼻炎または湿疹からなる群より選択される疾患または状態
に罹患している、またはそのリスクがある患者における、該疾患または状態の処置方法であって、治療上有効量の本発明のスルファサラジンの塩結晶形態または本発明の医薬組成物を患者に投与することを含む、処置方法に関する。
【0028】
本発明は、以下の態様および実施態様もまた含む。
[1]
2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸(スルファサラジン)の有機塩結晶の製造方法であって、有機塩は、ジエチルアミン、ピペラジンおよびD-(-)-N-メチルグルカミン(メグルミン)より選択され、該製造方法は、下記工程:
A1:スルファサラジン遊離酸形態を適切な溶媒中で提供する工程、
B1:メグルミンおよびピペラジンより選択される有機アミン含有成分を適切な溶媒中で提供する工程、
C1:工程A1)のスルファサラジン溶液を工程B1)の有機アミン含有成分溶液と室温、好ましくは19℃~25℃にて混合する工程、および
D1:工程C1)の溶液中で形成したピペラジンスルファサラジンフォームAもしくはその溶媒和物の結晶またはメグルミンスルファサラジンフォームAもしくはその溶媒和物の結晶を分離する工程、
あるいは
A2:スルファサラジン遊離酸形態を適切な溶媒中で提供する工程、
B2:メグルミンおよびジエチルアミンより選択される有機アミン含有成分を適切な溶媒中で提供する工程、
C2:工程A2)のスルファサラジン溶液を工程B2)の有機アミン含有成分溶液と混合し、ここでアミン含有成分が、スルファサラジンに対して少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%モル過剰である工程、および
D2a:工程C2)で形成した混合溶液を濃縮し、メグルミンスルファサラジンフォームAもしくはその溶媒和物の結晶またはジエチルアミンスルファサラジンフォームBもしくはその溶媒和物の結晶を分離する工程、または
D2b:工程C2)で形成した混合溶液へ更なる溶媒を加え、ここで更なる溶媒が、工程A2)およびB2)で用いられる溶媒と異なり、工程D2b)中で形成したメグルミンスルファサラジンフォームAもしくはその溶媒和物の結晶またはジエチルアミンスルファサラジンフォームBもしくはその溶媒和物の結晶を分離する工程
を含むかまたはそれらからなる、製造方法。
[2]
- 工程A1)の溶媒が、適切な有機溶媒より選択され、好ましくはアセトン、アセトニトリル、およびアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびブタノールからなる群より選択されること、および/または
- 工程B1)の溶媒が、水であるかまたは水を含むこと、および/または
- 工程C1)において、等モル量のスルファサラジンと有機アミン含有成分を用いること、および/または
- 工程C1)において、スルファサラジンと有機アミン含有成分との溶液を、少なくとも24時間室温にて、好ましくは少なくとも48時間室温にて、より好ましくは少なくとも72時間室温にて、さらにより好ましくは少なくとも96時間室温にて混合すること
を特徴とする、[1]に記載の製造方法。
[3]
- 工程A2)およびB2)の溶媒が、適切な有機溶媒より選択され、好ましくはアセトン、アセトニトリル、およびアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびブタノールからなる群より選択され、より好ましくは工程A2)およびB2)の溶媒が、アセトンであること、および/または
- 工程C2)において、スルファサラジンと有機アミン含有成分との溶液を、高温にて、好ましくは30℃~80℃、より好ましくは40℃~65℃の範囲の温度にて混合すること、および/または
- 工程C2)において、スルファサラジンと有機アミン含有成分との溶液を、最大24時間混合すること、および/または
- 工程D2b)において、更なる溶媒を含有する溶液を、少なくとも24時間室温にて、好ましくは19℃~25℃の範囲の温度にて、好ましくは少なくとも48時間室温にて、より好ましくは少なくとも60時間室温にて混合すること
を特徴とする、[1]に記載の製造方法。
[4]
製造されたピペラジンスルファサラジンフォームA結晶が、12.30、12.93、15.01、16.42、22.41および23.4の2θ値(±0.2)における粉末X線回折のピークを特徴とし、好ましくは、図2に示すものと実質的に同一の粉末X線回折パターンを有することを特徴とする、[1]または[2]に記載の製造方法。
[5]
製造されたメグルミンスルファサラジンフォームA結晶が、6.35、13.93、15.48、15.86、20.99、22.41、23.60および28.07の2θ値(±0.2)における粉末X線回折のピークを特徴とし、好ましくは、図1に示すものと実質的に同一の粉末X線回折パターンを有することを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載の製造方法。
[6]
工程D1)において、製造されたピペラジンスルファサラジンフォームAもしくはその溶媒和物の結晶またはメグルミンスルファサラジンフォームAもしくはその溶媒和物の結晶を、適切な方法で処理して無水物結晶を形成すること、あるいは、工程D2a)またはD2b)において、製造されたジエチルアミンスルファサラジンフォームBもしくはその溶媒和物の結晶またはメグルミンスルファサラジンフォームAまたはその溶媒和物の結晶を、適切な方法で処理して無水物結晶を形成することを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載の製造方法。
[7]
製造されたジエチルアミンスルファサラジンフォームB結晶が、6.85、11.38、11.70、17.62、20.58、22.75および23.98の2θ値(±0.2)における粉末X線回折のピークを特徴とし、好ましくは、図4に示すものと実質的に同一の粉末X線回折パターンを有することを特徴とする、[1]または[3]に記載の製造方法。
[8]
[1]~[3]、[5]および[6]のいずれか一項に従って得られるメグルミンスルファサラジンフォームA結晶、または[1]、[2]、[4]または[6]のいずれか一項に従って得られるピペラジンスルファサラジンフォームA結晶、または[1]、[3]、[6]および[7]のいずれか一項に従って得られるジエチルアミンスルファサラジンフォームB結晶。
[9]
[8]に記載のスルファサラジンの塩結晶形態の1つ以上の治療上有効量を含む医薬組成物。
[10]
組成物が、経口または直腸投与用であることを特徴とする、[9]に記載の医薬組成物。
[11]
医薬組成物が、好ましくは、非ステロイド性抗炎症薬;好ましくは、局所または全身適用されるかにかかわらず非選択的シクロ-オキシゲナーゼCOX-1/COX-2阻害薬、例えばピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸、例えばナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェン、フェナメート、例えばメフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アザプロパゾン、ピラゾロン、例えばフェニルブタゾン、サリチレート、例えばアスピリン、選択的COX-2阻害薬、例えばメロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブおよびエトリコキシブ、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ阻害薬(CINOD);グルココルチコイド、好ましくはフルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ブデソニド、フルチカゾンプロピオン酸エステル、シクレソニドまたはモメタゾンフランカルボン酸エステル;メトトレキサート;レフルノミド;ヒドロキシクロロキン;d-ペニシラミン;ジアセレイン;栄養補助食品、好ましくはグルコサミン;金剤、好ましくはオーラノフィン;サイトカインまたはサイトカイン機能のアゴニストもしくはアンタゴニスト;Bリンパ球を標的とするモノクローナル抗体、好ましくはCD20(リツキシマブ);MRA-aIL16R;T-リンパ球;CTLA4-Ig;HuMax 11-15;ケモカイン受容体機能のモジュレーター、好ましくは、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCRlOおよびCCR11(C-Cファミリー)、CXCRl、CXCR2、CXCR3、CXCR4およびCXCR5(C-X-Cファミリー)およびCX3CR1(C-X3-Cファミリー)のアンタゴニスト;アザチオプリン、トファシチニブ、モノクローナル抗体、例えば抗腫瘍壊死因子αモノクローナル抗体インフリキシマブ、アダリムマブおよびゴリムマブ;インターロイキン1受容体アンタゴニスト、例えばアナキンラ;エタネルセプトおよびアバタセプト;より好ましくはメトトレキサートおよびヒドロキシクロロキンからなる群より選択される、1、2、3またはそれ以上の活性成分をさらに含むことを特徴とする、[9]または[10]に記載の医薬組成物。
[12]
i)炎症細胞の調節が有益である疾患または状態、
ii)骨または関節に関する疾患または状態、好ましくは、原発性または、例えば、先天的股関節異形成症に続発性の骨関節症に関連するかまたは含む関節炎;頚部および腰部脊椎炎、および下背部および頚部痛;リウマチ性関節炎およびスチル病;血清反応陰性脊椎関節症、例えば強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎および未分化脊椎関節症、敗血症性関節炎および感染症に関連する他の関節症および骨障害、例えば結核、例えばポット病およびポンセ病;急性および慢性結晶誘発性滑膜炎、例えば尿酸痛風、ピロリン酸カルシウム沈着症、およびカルシウムアパタイト関連腱、滑液包および滑膜炎症;ベーチェット病;原発性または続発性シェーグレン症候群;全身性硬化症および限局型強皮症;全身性エリテマトーデス、混合型結合組織疾患、および未分化結合組織疾患;炎症性ミオパシー、例えば皮膚筋炎および多発性筋炎;リウマチ性多発筋痛症;若年性関節炎、例えば、あらゆる関節位置および関連症候群の特発性炎症性関節炎、およびリウマチ熱およびその全身合併症;脈管炎、例えば巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発動脈炎、ならびにウイルス感染、過敏反応、クリオグロブリンおよびパラタンパク質に関連する脈管炎;下背部痛;家族性地中海熱、マックル・ウェルズ症候群、および家族性アイルランド熱、菊池病;薬物誘発性関節痛、腱炎、およびミオパシーからなる群より選択される疾患または状態;および
iii)消化管に関する疾患または状態、好ましくは、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、大腸炎、例えば潰瘍性大腸炎、直腸炎;セリアック病、過敏性腸症候群、および腸から離れたところに影響を及ぼし得る食品関連アレルギー、例えば片頭痛、鼻炎または湿疹からなる群より選択される疾患または状態
の処置における使用のための、[9]~[11]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[13]
i)炎症細胞の調節が有益である疾患または状態、
ii)骨または関節に関する疾患または状態、好ましくは、原発性または、例えば、先天的股関節異形成症に続発性の骨関節症に関連するかまたは含む関節炎;頚部および腰部脊椎炎、および下背部および頚部痛;リウマチ性関節炎およびスチル病;血清反応陰性脊椎関節症、例えば強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎および未分化脊椎関節症、敗血症性関節炎および感染症に関連する他の関節症および骨障害、例えば結核、例えばポット病およびポンセ病;急性および慢性結晶誘発性滑膜炎、例えば尿酸痛風、ピロリン酸カルシウム沈着症、およびカルシウムアパタイト関連腱、滑液包および滑膜炎症;ベーチェット病;原発性または続発性シェーグレン症候群;全身性硬化症および限局型強皮症;全身性エリテマトーデス、混合型結合組織疾患、および未分化結合組織疾患;炎症性ミオパシー、例えば皮膚筋炎および多発性筋炎;リウマチ性多発筋痛症;若年性関節炎、例えば、あらゆる関節位置および関連症候群の特発性炎症性関節炎、およびリウマチ熱およびその全身合併症;脈管炎、例えば巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発動脈炎、ならびにウイルス感染、過敏反応、クリオグロブリンおよびパラタンパク質に関連する脈管炎;下背部痛;家族性地中海熱、マックル・ウェルズ症候群、および家族性アイルランド熱、菊池病;薬物誘発性関節痛、腱炎、およびミオパシーからなる群より選択される疾患または状態;および
iii)消化管に関する疾患または状態、好ましくは、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、大腸炎、例えば潰瘍性大腸炎、直腸炎;セリアック病、過敏性腸症候群、および腸から離れたところに影響を及ぼし得る食品関連アレルギー、例えば片頭痛、鼻炎または湿疹からなる群より選択される疾患または状態
のための医薬の製造における/その処置における、[8]に記載のスルファサラジンの塩結晶形態または[9]~[11]のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
[14]
i)炎症細胞の調節が有益である疾患または状態、
ii)骨または関節に関する疾患または状態、原発性または、例えば、先天的股関節異形成症に続発性の骨関節症に関連するかまたは含む関節炎;頚部および腰部脊椎炎、および下背部および頚部痛;リウマチ性関節炎およびスチル病;血清反応陰性脊椎関節症、例えば強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎および未分化脊椎関節症、敗血症性関節炎および感染症に関連する他の関節症および骨障害、例えば結核、例えばポット病およびポンセ病;急性および慢性結晶誘発性滑膜炎、例えば尿酸痛風、ピロリン酸カルシウム沈着症、およびカルシウムアパタイト関連腱、滑液包および滑膜炎症;ベーチェット病;原発性または続発性シェーグレン症候群;全身性硬化症および限局型強皮症;全身性エリテマトーデス、混合型結合組織疾患、および未分化結合組織疾患;炎症性ミオパシー、例えば皮膚筋炎および多発性筋炎;リウマチ性多発筋痛症;若年性関節炎、例えば、あらゆる関節位置および関連症候群の特発性炎症性関節炎、およびリウマチ熱およびその全身合併症;脈管炎、例えば巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発動脈炎、ならびにウイルス感染、過敏反応、クリオグロブリンおよびパラタンパク質に関連する脈管炎;下背部痛;家族性地中海熱、マックル・ウェルズ症候群、および家族性アイルランド熱、菊池病;薬物誘発性関節痛、腱炎、およびミオパシーからなる群より選択される疾患または状態;および
iii)消化管に関する疾患または状態、好ましくは、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、大腸炎、例えば潰瘍性大腸炎、直腸炎;セリアック病、過敏性腸症候群、および腸から離れたところに影響を及ぼし得る食品関連アレルギー、例えば片頭痛、鼻炎または湿疹からなる群より選択される疾患または状態
に罹患している、またはそのリスクがある患者における、該疾患または状態の処置方法であって、治療上有効量の[8]に記載のスルファサラジンの塩結晶形態または[9]~[11]のいずれか一項に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、処置方法。
以下に記載する本発明の態様はまた、当業者に合理的である場合、従属請求項に記載されるかまたは以下の詳細な説明および図面に開示される好ましい実施態様の任意の可能な組合せを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】スルファサラジンのメグルミン塩のフォームA結晶の粉末X線回折パターンを表す。
図2】スルファサラジンのピペラジン塩のフォームA結晶の粉末X線回折パターンを表す。
図3】スルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームA結晶の粉末X線回折パターンを表す。
図4】スルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームB結晶の粉末X線回折パターンを表す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本願発明者らは、新規かつ発明性のあるスルファサラジンの塩結晶形態、特にスルファサラジンのD(-)-N-メチルグルカミン(メグルミン)塩のフォームA結晶(図1参照)、スルファサラジンのピペラジン塩のフォームA結晶(図2参照)およびスルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームB結晶(図4参照)が、スルファサラジンの遊離酸形態と比較して好ましい薬物動態プロファイル:tmaxの減少、Cmaxの増加およびF(バイオアベイラビリティ)の増加(下記実施例7参照)を示すことを見出した。
【0031】
また、本願発明者らは、スルファサラジン遊離酸形態が、消化管吸収性が低く(Arik Dahan, Gordon L. Amidon; "Small intestinal efflux mediated by MRP2 and BCRP shifts sulfasalazine intestinal permeability from high to low, enabling its colonic targeting"; American Journal of Physiology - Gastrointestinal and Liver Physiology Published 21 July 2009 Vol. 297 no. 2, G371-G377参照)、Caco-2細胞単層を通る透過性が低い(Liang E1, Chessic K, Yazdanian M.; "Evaluation of an accelerated Caco-2 cell permeability model."; J Pharm Sci. 2000 Mar;89(3):336-45)化合物として特徴づけられるが、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態は、代わりに、スルファサラジンの遊離酸形態と比較してCaco-2細胞単層を通る透過性の改善を示すことを見出した。本発明の全態様に関する別のまたは追加の実施態様によれば、本発明のスルファサラジンの結晶形態、好ましくはスルファサラジンのメグルミン塩のフォームA結晶の頂端側から基底側への見かけの透過係数が、スルファサラジンの遊離酸形態と比較して、≧0.5、≧1.0、≧1.5、≧2.0、≧2.5、≧3.0または≧3.5倍に増える(下記実施例6参照)。
【0032】
また、スルファサラジンの遊離酸形態は、米国薬局方によればほとんど溶けない(<0.1 mg/mL)に分類され、24℃の脱イオン水における溶解度は0.031 mg/mLである。本願発明者らが実施した測定によれば、スルファサラジン遊離酸形態は、24℃の脱イオン水において0.06 mg/mLの溶解度を示し、一方、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態は、24℃の脱イオン水において、一般的に≧0.1 mg/mL、より好ましくは≧0.5 mg/mL、≧1 mg/mL、≧5 mg/mL、≧10 mg/mL、≧15 mg/mL、≧20 mg/mL、≧25 mg/mL、≧30 mg/mLまたは≧35 mg/mLの溶解度の増加を示す。別の測定によれば、本発明のスルファサラジンの結晶形態、特にスルファサラジンのメグルミン塩のフォームA結晶は、22℃、pH 6.6の脱イオン水において、≧50 mg/mL、≧60 mg/mL、≧70 mg/mL、≧80 mg/mL、≧90 mg/mL、≧100 mg/mLの溶解度を示す(下記実施例8参照)。
【0033】
したがって、バイオアベイラビリティおよび/または溶解度の増加により、スルファサラジンの用量の減少は、スルファサラジンへの総全曝露を変化させることなく、スルファサラジンへの全身曝露が必要である炎症細胞の調節が有益である疾患または状態、例えばリウマチ性関節炎、強直性脊椎炎および若年性特発性関節炎の治療的処置において用いられ得る。スルファサラジンで処置された患者において見られる有害事象(本願の背景技術のセクションに有害事象を例示する)のいくつかの一般的な原因である代謝産物であるスルファピリジンへの曝露を減少させるため、これは、リスク・ベネフィットプロファイルの改善をもたらす。特に、アセチル化の遅い患者は、スルファピリジンへの曝露の減少から恩恵を受ける。さらに、治療へのコンプライアンスは、より少ないおよび/またはより小さい固形医薬組成物(例えば錠剤、マイクロ錠剤、カプセル剤、マルチユニットペレットシステムなど)の使用による治療の負担軽減のため改善され得る。
【0034】
本発明に関連して、用語「本発明のスルファサラジンの塩結晶形態」は、本発明の製造方法により得られる2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸(スルファサラジン)の有機酸結晶を指し、特に、スルファサラジンのD(-)-N-メチルグルカミン(メグルミン)塩のフォームA結晶、スルファサラジンのピペラジン塩のフォームA結晶およびスルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームB結晶が例示される。
【0035】
本発明によれば、語句「スルファサラジンのD(-)-N-メチルグルカミン塩のフォームA結晶」は、「スルファサラジンのメグルミン塩のフォームA結晶」、「メグルミン塩フォームA」、「メグルミンスルファサラジンフォームA」または「スルファサラジンメグルミン塩」と同義的に用いられ得る。
【0036】
本発明によれば、語句「スルファサラジンのピペラジン塩のフォームA結晶」は、「スルファサラジンのピペラジン塩のフォームA結晶」、「ピペラジン塩フォームA」、「ピペラジンスルファサラジンフォームA」または「スルファサラジンピペラジン塩」と同義的に用いられ得る。
【0037】
本開示によれば、語句「スルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームA結晶」は、「スルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームA結晶」、「ジエチルアミン塩フォームA」、または「ジエチルアミンスルファサラジンフォームA」と同義的に用いられ得る。スルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームA結晶自体は、本発明によってカバーされない。
【0038】
本発明によれば、語句「スルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームB結晶」は、「スルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームB結晶」、「ジエチルアミン塩フォームB」、または「ジエチルアミンスルファサラジンフォームB」と同義的に用いられ得る。本発明の任意の別の実施態様によれば、スルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームB結晶は、本発明によってカバーされない。
【0039】
本発明の任意の別の実施態様によれば、スルファサラジンのジエチルアミン塩の何れかは、本発明によってカバーされない。
【0040】
本発明の全態様の一実施態様によれば、本発明のスルファサラジンの塩結晶は、本発明のそれぞれのスルファサラジンの塩形態の総重量に基づいて、好ましくは少なくとも50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99%または100重量%の結晶である。結晶性は、慣用のX線回折技術により推定され得る。
【0041】
本発明の全態様に関する更なる実施態様によれば、スルファサラジンのメグルミン塩のフォームA結晶は、少なくとも次の特徴的な粉末X線回折(XPRD)ピークを示す(2θ°±0.2°で表す)(X線回折に関する米国薬局方の一般的な章(USP941)と一致する。United States Pharmacopeia Convention. X-Ray Diffraction, General Test <941>. United States Pharmacopeia, 25th ed. Rockville, MD: United States Pharmacopeial Convention; 2002: 2088-2089参照):
(1) 6.35、13.93および22.41、または
(2) 9.31、15.86および20.99、または
(3) 6.35、13.93、15.48、15.86、22.41および23.60、または
(4) 6.35、10.79、12.93、13.93、15.48、15.86、18.12、19.82および22.41、または
(5) 9.31、10.79、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、17.56、19.10、23.60および28.07、または
(6) 6.35、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、19.10、19.82、20.99、21.27、22.41、23.60、23.89および28.07、または
(7) 6.35、9.31、10.79、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、17.78、18.12、19.82、20.11、20.99、21.27、22.41、23.60、23.89、28.07および28.80、または
(8) 6.35、9.31、10.79、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、17.56、17.78、18.12、18.50、19.10、19.82、20.11、20.99、21.27、22.41、23.60、23.89、24.70、25.14、25.55、25.93、26.81、28.07および28.80、または
(9) 6.35、9.31、10.79、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、17.56、17.78、18.12、18.50、19.10、19.82、20.11、20.99、21.27、22.41、23.60、23.89、24.70、25.14、25.55、25.93、26.81、28.07、28.80、29.49、32.01、32.58、33.23。
【0042】
本発明の全態様に関する好ましい実施態様によれば、メグルミン塩フォームAは、少なくとも次の特徴的なXPRDピークを示す:6.35、13.93、15.48、15.86、20.99、22.41、23.60および28.07。
【0043】
図1において、本発明のスルファサラジンのメグルミン塩のフォームA結晶の特徴的なXRPDスペクトルを示す。
【0044】
本発明の全態様に関する別のまたは追加の実施態様によれば、スルファサラジンのピペラジン塩のフォームA結晶は、少なくとも次の特徴的な粉末X線回折(XPRD)ピークを示す(2θ°±0.2°で表す)(X線回折に関する米国薬局方の一般的な章(USP941)と一致する。United States Pharmacopeia Convention. X-Ray Diffraction, General Test <941>. United States Pharmacopeia, 25th ed. Rockville, MD: United States Pharmacopeial Convention; 2002: 2088-2089参照):
(1) 11.95、12.30および16.42、または
(2) 12.30、12.93および15.01、または
(3) 11.95、12.30、12.93、16.42、17.87および20.36、または
(4) 8.11、11.95、12.30、15.01、16.42、17.87、20.36および20.74、または
(5) 11.95、12.30、12.93、15.01、16.42、17.87、20.36、20.74、22.41および23.41、または
(6) 11.95、15.01、16.42、17.87、20.36、20.74、23.41、24.01、24.67、24.99および26.09、または
(7) 8.11、11.95、12.30、12.93、15.01、16.42、17.87、20.36、20.74、22.41、23.41、24.01、24.67、24.99および26.09、または
(8) 11.95、12.30、12.93、15.01、16.42、17.87、20.36、20.74、22.41、23.41、24.01、24.67、24.99、26.09、26.81、27.73および28.80、または
(9) 8.11、11.95、12.30、12.93、15.01、16.42、17.87、20.36、20.74、22.41、23.41、24.01、24.67、24.99、26.09、26.81、27.73、28.80、29.80および30.43。
【0045】
本発明の全態様に関する好ましい実施態様によれば、ピペラジン塩フォームAは、少なくとも次の特徴的なXPRDピークを示す:12.30、12.93、15.01、16.42、22.41および23.41。
【0046】
図2において、本発明のスルファサラジンのピペラジン塩のフォームA結晶の特徴的なXRPDスペクトルを示す。
【0047】
本明細書の開示はまた、スルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームA結晶は、少なくとも次の特徴的な粉末X線回折(XPRD)ピークを示す(2θ°±0.2°で表す)(X線回折に関する米国薬局方の一般的な章(USP941)と一致する。United States Pharmacopeia Convention. X-Ray Diffraction, General Test <941>. United States Pharmacopeia, 25th ed. Rockville, MD: United States Pharmacopeial Convention; 2002: 2088-2089参照):
(1) 7.16、11.48および18.78、または
(2) 10.50、15.41および21.87、または
(3) 7.16、10.50、11.48、18.78、21.65および21.87、または
(4) 10.50、11.48、12.42、14.38、15.41、16.64、18.78および21.87、または
(5) 7.16、10.50、11.01、11.48、13.87、15.92、16.64、18.78、21.08、21.65および22.15、または
(6) 7.16、10.50、11.01、11.48、12.42、13.87、14.38、15.41、15.92、16.64、17.19、18.28、18.78、21.08、21.65、21.87および22.15、または
(7) 7.16、10.50、11.48、12.42、13.87、14.38、15.41、15.92、16.64、20.52、21.08、21.65、21.87、22.15、22.47、23.16、23.63、24.14および25.11、または
(8) 7.16、10.50、11.01、11.48、12.42、13.87、14.38、15.41、15.92、16.64、17.19、18.28、18.78、20.52、21.08、21.65、21.87、22.15、22.47、23.16、23.63、24.14および25.11、または
(9) 7.16、10.50、11.01、11.48、12.42、13.87、14.38、15.41、15.92、16.64、17.19、18.28、18.78、20.52、21.08、21.65、21.87、22.15、22.47、23.16、23.63、24.14、25.11、26.94、27.95、28.92、29.46。
【0048】
ジエチルアミン塩フォームAは、少なくとも次の特徴的なXPRDピークを示すことをさらに開示する:7.16、10.50、11.48、18.78、21.65および21.87。
【0049】
図3において、スルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームA結晶の特徴的なXRPDスペクトルを示す。
【0050】
本発明の全態様に関する更なる別のまたは追加の実施態様によれば、スルファサラジンのジエチルアミン塩の第2多形フォームB結晶は、少なくとも次の特徴的な粉末X線回折(XPRD)ピークを示す(2θ°±0.2°で表す)(X線回折に関する米国薬局方の一般的な章(USP941)と一致する。United States Pharmacopeia Convention. X-Ray Diffraction, General Test <941>. United States Pharmacopeia, 25th ed. Rockville, MD: United States Pharmacopeial Convention; 2002: 2088-2089参照):
(1) 6.85、17.82および22.75、または
(2) 11.38、20.58および23.98、または
(3) 6.85、11.38、17.62、20.58および22.75、または
(4) 6.85、11.38、11.70、17.62、20.58、22.75および23.98、または
(5) 11.38、11.70、15.29、16.71、17.62、19.92、20.58、21.30、22.75、23.63および23.98、または
(6) 6.85、11.38、11.70、14.78、15.29、15.70、16.71、17.62、19.92、20.20、20.58、21.30、22.75、23.63、23.98および28.61、または
(7) 6.85、11.38、11.70、14.78、15.29、15.70、16.71、17.62、19.92、20.20、20.58、21.30、22.75、23.63、23.98、25.05、25.71、26.81、27.95および28.61、または
(8) 6.85、11.38、11.70、14.78、15.29、15.70、16.71、17.62、19.92、20.20、20.58、21.30、22.75、23.63、23.98、25.05、25.71、26.81、27.51、27.95、28.61、29.14、31.06。
【0051】
本発明の全態様に関する好ましい実施態様によれば、ジエチルアミン塩フォームBは、少なくとも次の特徴的なXPRDピークを示す:6.85、11.38、11.70、17.62、20.58、22.75および23.98。
【0052】
図4において、本発明のスルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームB結晶の特徴的なXRPDスペクトルを示す。
【0053】
本発明のスルファサラジンの塩結晶形態、特にスルファサラジンのD(-)-N-メチルグルカミン(メグルミン)塩のフォームA結晶、スルファサラジンのピペラジン塩のフォームA結晶およびスルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームB結晶を、溶媒和物または水和物として用いることができるが、本願発明者らは、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態を、本発明の製造方法を用いることにより、溶媒和物を含まない、特に水和物を含まない形態で得ることができることを見出した。このような溶媒和物を含まない、特に水和物を含まない(無水物)形態は、溶媒和物を含まない、特に無水物形態として医薬組成物を製造する場合、有利な物理化学的特性を示し得て、特に、保存期間にわたって活性成分スルファサラジンおよび医薬組成物のそれぞれの物理的および化学的安定性を支持する。
【0054】
したがって、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態、すなわちスルファサラジンのD(-)-N-メチルグルカミン(メグルミン)塩のフォームA結晶、スルファサラジンのピペラジン塩のフォームA結晶およびスルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームB結晶は、当業者が、それぞれ活性成分としてスルファサラジンを含む安定な医薬組成物、好ましくは安定な医薬経口投与製剤、より好ましくは安定な医薬固形経口投与製剤製造することを可能にする。本発明に関連して用語「安定な」は、測定された値が、それぞれの適用される規制ガイドライン、例えば欧州薬局方に従って測定される特定の値の範囲内に入ることを意味する。
【0055】
本発明の医薬錠剤組成物の特性または物理および化学的安定性は、慣用の方法で、例えば、ICHガイドラインQ1A(R2)に従った中間および/または加速条件(すなわち25℃/60%相対湿度(RH)および/または40℃/75%RH)などの制御された保存条件で保存後の、外観、硬度(または耐圧壊性)、崩壊時間、溶出、摩損度、水分含有量、本発明のスルファサラジン塩および/またはその分解産物(類縁物質)の定量、および/または投与単位または質量の均一性の測定により試験され得る。これらの試験は、例えばICHまたはEMAガイドラインおよび/または欧州薬局方(EP)に記載の適用される医薬規制基準に従って実施される。
【0056】
本発明の医薬錠剤組成物のこれらの特質、すなわち特性または物理および化学的安定性の少なくともいくつか、好ましくはこれらの特質の大部分、最も好ましくはこれらの特質のすべては、長時間および種々の制御された保存条件にわたって安定である。好ましい実施態様によれば、本発明による本発明の医薬錠剤組成物、例えば錠剤またはフィルムコーティング錠の溶出(プロファイル)は、好ましくはAlu-Aluブリスターにおいて中間または長期保存条件、すなわち25℃/60%RHまたは40℃/75%RHで保存されるとき、少なくとも6か月にわたって安定である。より好ましくは、溶出および更なる特質、例えば、定量、類縁物質または投与単位または質量の均一性もまた、中間または長期保存条件で保存されたとき少なくとも6か月にわたって保存後安定である。
【0057】
水蒸気の取込み能力(速度および程度)に関して、European Pharmacopoeia Technical guide 2015, General Chapter 5.11.は、水の取り込み程度に従って固形医薬を4つの異なるクラス:すなわちわずかに吸湿性(RH80%および25℃にて0.2%w/w以上であるが2%w/w未満の取込み)、吸湿性(RH80%および25℃にて2%w/w以上であるが15%w/w未満の取込み)、極めて吸湿性(RH80%および25℃にて15%w/w以上の取込み)および潮解性(十分な水を吸収して液体を形成する)に分類した。
【0058】
本願発明者らは、さらに、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態、特にメグルミン塩フォームA、ピペラジン塩フォームAおよび/またはジエチルアミン塩フォームBが、わずかに吸湿性の物質にのみ分類されることを見出した。本発明の全態様の別のまたは追加の実施態様によれば、本発明のスルファサラジンの塩結晶、好ましくはメグルミン塩フォームAの吸湿性は、RH80%および25℃にて一般的に≦1%w/w、より好ましくは≦0.5%w/wの水蒸気の取込みである。したがって、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態は、安定な医薬組成物の製造に適する。
【0059】
本発明の第1態様にしたがって、本発明のスルファサラジンの有機塩結晶形態の製造方法を提供する。
【0060】
本発明の製造方法の工程A1)によれば、スルファサラジン遊離酸形態は、適切な溶媒中で提供される。本発明の別のまたは追加の実施態様によれば、工程A1)の溶媒は、一般的に、適切な有機溶媒より選択され、好ましくは、アセトン、アセトニトリルおよびアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびブタノールからなる群より選択される。
【0061】
本発明の製造方法の工程B1)によれば、メグルミンおよびピペラジンより選択される有機アミン含有成分は、適切な溶媒中で提供される。本発明の別のまたは追加の実施態様によれば、工程B1)の溶媒は、好ましくは水であるかまたは水を含む。
【0062】
本発明の製造方法の工程C1)によれば、工程A1)のスルファサラジン溶液は、工程B1)の有機アミン含有成分溶と、室温にて、好ましくは19℃~25℃にて混合される。本発明の別のまたは追加の実施態様によれば、等モル量のスルファサラジン遊離酸形態と有機アミン含有成分は、工程C1)において用いられる。本発明の更なる別のまたは追加の実施態様によれば、スルファサラジンと有機アミン含有成分との溶液は、工程C1)において、少なくとも24時間室温にて、好ましくは少なくとも48時間室温にて、より好ましくは少なくとも72時間室温にて、さらにより好ましくは少なくとも96時間室温にて混合される。
【0063】
本発明の製造方法の工程D1)によれば、工程C1)中の溶液において形成された本発明のスルファサラジンの塩結晶形態、好ましくはスルファサラジンメグルミン塩フォームA結晶、およびスルファサラジンピペラジン塩フォームA結晶またはその溶媒和物は、分離される。本発明の全態様の好ましい実施態様によれば、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態は、溶媒和物を含まず、特に無水物である。本発明に関連して、溶媒和物を含まない、および/または水和物を含まない(無水物)は、本発明のそれぞれのスルファサラジンの塩結晶形態が、本発明のそれぞれのスルファサラジンの結晶形態の総重量に基づいて≦9重量%、≦5重量%、≦4重量%、≦3重量%、≦2重量%、≦1重量%の溶媒和物および/または水を含有することを意味する。工程D1)で分離された本発明のスルファサラジンの塩結晶形態が、より多くの量の残留溶媒和物/水を含有する場合、適切な乾燥工程が実施され、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態が溶媒和物を含まないおよび/または水和物を含まないようにし得る。
【0064】
本発明のスルファサラジンの塩結晶形態、特に本発明のスルファサラジンメグルミン塩フォームA結晶および本発明のスルファサラジンジエチルアミン塩フォームB結晶の別の製造方法によれば、スルファサラジン遊離酸形態は、工程A2)に従って適切な溶媒中で提供され、メグルミンおよびジエチルアミンより選択される有機アミン含有成分は、工程B2)に従って適切な溶媒中で提供される。本発明の別の製造方法の別のまたは追加の実施態様によれば、工程A2)およびB2)の溶媒は、一般的に独立して適切な有機溶媒より選択され、好ましくはアセトン、アセトニトリル、およびアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびブタノールからなる群より選択され、より好ましくは工程A2)およびB2)における溶媒は、アセトンである。
【0065】
本発明のスルファサラジンの塩結晶形態の別の製造方法によれば、工程A2)のスルファサラジン溶液は、工程B2)の有機アミン含有成分溶液と混合され、ここで、工程C2)によれば、アミン含有成分は、スルファサラジンに対して少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%モル過剰である。
【0066】
本発明のスルファサラジンの塩結晶形態の別の製造方法によれば、スルファサラジンと有機アミン含有成分との溶液は、別のまたは追加の製造方法に従って、好ましくは、工程C2)において、高温にて、好ましくは30℃~80℃、より好ましくは40℃~65℃の範囲の温度にて混合される。別の製造方法の更なる別のまたは追加の実施態様によれば、スルファサラジンと有機アミン含有成分との溶液は、工程C2)において最大24時間混合される。
【0067】
本発明の塩結晶形態の別の製造方法の工程D2a)によれば、工程C2)において形成された溶液は、濃縮され、メグルミンスルファサラジンフォームAまたはその溶媒和物の結晶を分離する。
【0068】
工程D2a)の別法として、本発明の塩結晶形態の別の製造方法の工程D2b)によれば、工程C2)で形成した混合溶液へ更なる溶媒を加えてもよく、ここで、更なる溶媒は、工程A2)およびB2)で用いられる溶媒と異なり、工程D2b)で形成したメグルミンスルファサラジンフォームAもしくはその溶媒和物の結晶またはジエチルアミンスルファサラジンフォームBもしくはその溶媒和物の結晶を分離する。別のまたは追加の好ましい実施態様によれば、工程D2b)における更なる溶媒を含有する溶液は、少なくとも24時間室温にて、好ましくは19℃~25℃の範囲の温度にて、好ましくは少なくとも48時間室温にて、より好ましくは少なくとも60時間室温にて混合される。
更なる好ましい実施態様によれば、工程A2)およびB2)において用いられる溶媒は、アセトンであり、工程D2b)中に加えられる更なる溶媒は、tert-ブチルメチルエーテルである。
【0069】
工程D2a)またはD2b)で分離された本発明のスルファサラジンの塩結晶形態が、ある量の残留溶媒和物/水を含有する場合、適切な乾燥工程が実施され、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態が溶媒和物を含まないおよび/または水和物を含まないようにし得る。
【0070】
本発明の第3態様によれば、特に上記または実施例に記載される、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態の1つ以上の治療上有効量を含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態の1つ以上に加えて1、2、3またはそれ以上の医薬的に許容されるアジュバントを含み得る。
【0071】
投与様式に応じて、例えば本発明の医薬組成物は、本発明の医薬組成物の総重量に基づいて、それぞれ0.01~100重量%、1~90重量%、25~80重量%、30~70重量%、40~60重量%または50重量%の本発明のスルファサラジンの塩結晶形態を含み得る。
【0072】
本発明の医薬組成物は、例えば、錠剤、マイクロ錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤またはマルチユニットペレットシステム(MUPSとも称される)の形態での経口投与;または液剤または懸濁剤の形態での非経腸投与(例えば静脈内、皮下、関節内);または坐剤、フォーム剤の形態での直腸投与などにより全身投与され得る。好ましくは、本発明の医薬組成物は、経口投与される。
【0073】
本発明の医薬組成物が経口投与される場合、本発明の医薬組成物における本発明のスルファサラジンの塩結晶形態は、好ましくは、例えば本発明の医薬組成物上または内部に提供される腸溶コーティング層により、酸性の胃液との接触から保護される。
【0074】
本発明の医薬組成物の別の一の実施態様によれば、1つ以上の本発明のスルファサラジンの塩結晶形態は、1、2、3、4またはそれ以上の医薬錠剤添加剤と混合され、錠剤化された剤形に打錠される。1、2、3、4またはそれ以上の医薬錠剤添加剤は、好ましくは賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤などからなる群より選択され、錠剤に打錠される。
【0075】
打錠された本発明の錠剤は、錠剤の滑らかな表面を得て、さらに包装、輸送および貯蔵中の錠剤の安定性を向上させるために、所望により、例えばアルカリ性物質を含み得る1つ以上のフィルム形成剤で覆われる/コーティングされる。これとは別にまたはこれに加えて、このような錠剤コーティング層は、良好な外観の錠剤を得るために、着色剤および色素などの添加物を含み得る。これとは別にまたはこれに加えて、本発明の錠剤組成物は、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態を胃酸との接触から保護する、腸溶コーティング層を含み得る。これとは別にまたはこれに加えて、本発明の錠剤組成物は、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態の速放性または徐放性を容易にする、医薬添加剤を含み得る。特に、錠剤コーティングは、セルロース誘導体、例えばアルファー化デンプン、セルロースエーテル(例えばエチルセルロース(EC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC);特に架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)またはセルロースのエステルもしくはセミエステル(例えば酢酸フタル酸セルロース(CAP)またはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP));アクリル酸重合体もしくは共重合体、好ましくはメタクリレートアミノエステル共重合体(例えばオイドラギットRSまたはオイドラギットRL)またはメタクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体(例えばメタクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体1:1);ワックス性物質(例えばカルナバワックス);ポリエチレングリコール(例えばマクロゴール6,000、マクロゴール20,000);(架橋)ポリビニルピロリドン(例えばポビドンK30、ポビドンK25、クロスポビドン)、ポリビニルアルコールまたは誘導体、例えばポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP);色素(例えば二酸化チタン);ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムまたはモノステアリン酸グリセロール;およびタルクからなる群より選択される1、2、3、4、5またはそれ以上の成分を含み得る。
【0076】
経口投与のための本発明の医薬組成物の別の実施態様によれば、本発明の組成物は、これとは別にまたはこれに加えて、経口投与するまたは経鼻胃管で与える前に、中性またはわずかに酸性のpHを有する水性液体中での分散に適する。
【0077】
経口投与のための本発明の医薬組成物の更なる別の実施態様によれば、本発明の医薬組成物は、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態が、例えば植物油またはポリエチレングリコールと混合されていてもよい、硬または軟カプセル剤、好ましくは軟ゼラチンカプセル剤の形態で提供され得る。また、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態の液体または半固形製剤を、硬ゼラチンカプセル剤に充填して、本発明の組成物を形成し得る。
【0078】
本発明の全態様の本発明の医薬組成物の単回単位用量を経口投与する場合、一般的に、1 mg~2000 mgの範囲で1つ以上の本発明のスルファサラジンの塩結晶形態を含み得る。特に、経口投与のための 本発明の医薬組成物は、単位当たり、10 mg、20 mg、25 mg、30 mg、40 mg、50 mg、60 mg、70 mg、75 mg、80 mg、90 mg、100 mg、110 mg、120 mg、125 mg、130 mg、140 mg、150 mg、160 mg、170 mg、175 mg、180 mg、190 mg、200 mg、210 mg、220 mg、225 mg、230 mg、240 mg、250 mg、260 mg、270 mg、275 mg、280 mg、290 mg、300 mg、310 mg、320 mg、325 mg、330 mg、340 mg、350 mg、360 mg、370 mg、375 mg、380 mg、390 mg、400 mg、410 mg、420 mg、425 mg、430 mg、440 mg、450 mg、460 mg、470 mg、475 mg、480 mg、490 mg、500 mg、525 mg、550 mg、575 mg、600 mg、625 mg、650 mg、675 mg、700 mg、725 mg、750 mg、775 mg、800 mg、825 mg、850 mg、875 mg、900 mg、925 mg、950 mg、975 mg、1,000 mg、1,025 mg、1,050 mg、1,075 mg、1,100 mg、1,125 mg、1,150 mg、1,175 mg、1,200 mg、1,225 mg、1,250 mg、1,275 mg、1,300 mg、1,325 mg、1,350 mg、1,375 mg、1,400 mg、1,425 mg、1,450 mg、1,475 mg、1,500 mg、1,525 mg、1,550 mg、1,575 mg、1,600 mg、1,625 mg、1,650 mg、1,675 mg、1,700 mg、1,725 mg、1,750 mg、1,775 mg、1,800 mg、1,825 mg、1,850 mg、1,875 mg、1,900 mg、1,925 mg、1,950 mg、1,975 mg、2,000 mgの量で1つ以上の本発明のスルファサラジンの塩結晶形態を含む。好ましくは、1つまたはすべての本発明のスルファサラジンの塩結晶形態の量は、スルファサラジン遊離酸を単独で含む比較医薬組成物の単回単位用量より少ない。したがって、本発明の医薬組成物の経口投与形態(例えば錠剤、マイクロ錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、マルチユニットペレットシステム)に関して、単回単位用量は、好ましくは、<500 mg、≦450 mg、≦400 mg、≦375 mg、≦250 mgの本発明のスルファサラジンの塩結晶形態を含む。
【0079】
あるいは、本発明の医薬組成物は、シロップ剤または懸濁剤の形態で、経口投与のための液製剤の形態であり得る。このような液製剤に含まれる医薬添加剤は、糖および/またはエタノール、水、グリセロールおよびプロピレングリコールの混合物を含み得て、好ましくは適切なpHに緩衝化される。所望により、このような本発明の液製剤は、好ましくは、着色剤、香料、サッカリンおよび/または増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースまたは当業者に公知の他の添加剤からなる群より選択される、1、2、3、4またはそれ以上の更なる添加剤を含み得る。
【0080】
本発明の医薬組成物の更なる別のまたは追加の実施態様によれば、医薬組成物は、好ましくは、非ステロイド性抗炎症薬;好ましくは、局所または全身適用されるかにかかわらず非選択的シクロ-オキシゲナーゼCOX-1/COX-2阻害薬、例えばピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸、例えばナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェン、フェナメート、例えばメフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アザプロパゾン(ayapropayone)、ピラゾロン(pyrayoleone)、例えばフェニルブタゾン、サリチレート、例えばアスピリン、選択的COX-2阻害薬、例えばメロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ(lumarocoxib)、パレコキシブおよびエトリコキシブ、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ阻害薬(CINOD);グルココルチコイド、好ましくはフルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ブデソニド、フルチカゾンプロピオン酸エステル、シクレソニドまたはモメタゾンフランカルボン酸エステル;メトトレキサート;レフルノミド;ヒドロキシクロロキン;d-ペニシラミン;ジアセレイン;栄養補助食品、好ましくはグルコサミン;金剤、好ましくはオーラノフィン;サイトカインまたはサイトカイン機能のアゴニストもしくはアンタゴニスト;Bリンパ球を標的とするモノクローナル抗体、好ましくはCD20(リツキシマブ);MRA-aIL16R;T-リンパ球;CTLA4-Ig;HuMax 11-15;ケモカイン受容体機能のモジュレーター、好ましくは、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCRlOおよびCCR11(C-Cファミリー)、CXCRl、CXCR2、CXCR3、CXCR4およびCXCR5(C-X-Cファミリー)およびCX3CRl(C-X3-Cファミリー)のアンタゴニスト;アザチオプリン、トファシチニブ、モノクローナル抗体、例えば抗腫瘍壊死因子αモノクローナル抗体インフリキシマブ、アダリムマブおよびゴリムマブ;インターロイキン1受容体アンタゴニスト、例えばアナキンラ;エタネルセプトおよびアバタセプト;より好ましくはメトトレキサートおよびヒドロキシクロロキンからなる群より選択される、1、2、3またはそれ以上の更なる活性成分をさらに含み得る。これとは別にまたはこれに加えて、本発明の医薬組成物は、スルファサラジン遊離酸形態を含み得る。好ましくは、スルファサラジン遊離酸形態の量は、本発明の医薬組成物における本発明のスルファサラジンの塩結晶形態の量より少ない。
【0081】
本発明のスルファサラジンの塩結晶形態およびそのインビボ代謝産物スルファピリジンおよび5-ASAは、様々な炎症細胞タイプ、例えばT細胞、B細胞、樹状細胞、好中球、NK細胞およびマスト細胞の機能のモジュレーターとして有用である。例えば、リウマチ性関節炎の患者のヒト滑膜細胞の増殖を研究した実験において、これらの細胞の増殖並びにこれらの細胞によるIL-1BおよびIL-6の産生は、著しく阻害されることが示された。これらの実験において、c-fos mRNAの過剰発現は、本発明のスルファサラジンの結晶形態により阻害されることが示され得た。したがって、本発明のスルファサラジンの結晶形態は、特に自己免疫性、炎症性、増殖性および過増殖性の疾患および免疫介在性疾患の処置のために、ヒトを含む哺乳類に投与され得る。
【0082】
したがって、本発明の全態様の他の実施態様によれば、本発明の医薬組成物および本発明の結晶形態は、
i)炎症細胞の調節が有益である疾患または状態、
ii)骨または関節に関する疾患または状態、好ましくは、原発性または、例えば、先天的股関節異形成症に続発性の骨関節症(osteoarthritis / osteoarthrosis)に関連するかまたは含む関節炎;頚部および腰部脊椎炎、および下背部および頚部痛;リウマチ性関節炎およびスチル病;血清反応陰性脊椎関節症、例えば強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎および未分化脊椎関節症(spondarthropathy)、敗血症性関節炎および感染症に関連する他の関節症(arthopathies)および骨障害、例えば結核、例えばポット病およびポンセ病;急性および慢性結晶誘発性滑膜炎、例えば尿酸痛風、ピロリン酸カルシウム沈着症、およびカルシウムアパタイト関連腱、滑液包および滑膜炎症;ベーチェット病;原発性または続発性シェーグレン症候群;全身性硬化症および限局型強皮症;全身性エリテマトーデス、混合型結合組織疾患、および未分化結合組織疾患;炎症性ミオパシー、例えば皮膚筋炎および多発性筋炎;リウマチ性多発筋痛症;若年性関節炎、例えば、あらゆる関節位置および関連症候群の特発性炎症性関節炎、およびリウマチ熱およびその全身合併症;脈管炎、例えば巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発動脈炎、ならびにウイルス感染、過敏反応、クリオグロブリンおよびパラタンパク質に関連する脈管炎;下背部痛;家族性地中海熱、マックル・ウェルズ症候群、および家族性アイルランド熱(Familial Hibernian Fever)、菊池病;薬物誘発性関節痛、腱炎、およびミオパシーからなる群より選択される疾患または状態;および
iii)消化管に関する疾患または状態、好ましくは、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、大腸炎、例えば潰瘍性大腸炎、直腸炎;セリアック病、過敏性腸症候群、および腸から離れたところに影響を及ぼし得る食品関連アレルギー、例えば片頭痛、鼻炎または湿疹からなる群より選択される疾患または状態
の処置における使用のためのものである。
【0083】
他の態様によれば、本発明は、上記障害または状態のための医薬の製造/その処置における、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態または本発明の医薬組成物の使用に関する。
【0084】
別の態様によれば、本発明は、上記障害または状態の1つ以上に罹患しているまたはそのリスクがある患者における該疾患または状態の処置方法であって、治療上有効量の本発明のスルファサラジンの塩結晶形態または本発明の医薬組成物を患者に投与することを含む処置方法に関する。
【0085】
全態様によれば、本発明はまた、1つ以上の本発明のスルファサラジンの塩結晶形態または本発明の医薬組成物が、疾患および状態、好ましくは上記疾患および状態の1つ以上の処置のための1つ以上の活性成分(治療剤)と、並行(concurrently)(同時(simultaneously))もしくは連続投与される、または組み合わされた医薬製剤もしくは組み合わされた投与計画として投与される組合せ治療に関する。
【0086】
本明細書の文中で、用語「治療」は、反対するものと具体的に断らない限り、「予防」も含む。用語「治療上の」および「治療上」は、これに応じて解釈されるべきである。
【0087】
予防は、問題の疾患または状態を患っているか、またはそのリスクが高いとその他に考えられる患者の処置に特に関連すると予想される。特定の疾患または状態を発症するリスクがある人は、一般的に、疾患または状態の家族歴を有する人、または疾患または状態を発症しやすいことが遺伝子検査またはスクリーニングにより特定されている人を含む。
【0088】
上記の炎症性疾患の本発明の処置によれば、1、2、3、4またはそれ以上の本発明のスルファサラジンの塩結晶形態または本発明の医薬組成物は、1、2、3またはそれ以上の活性成分(治療薬)と同一または別個の医薬組成物中において用いられ得て、該治療薬は、好ましくは、下記治療薬からなる群より選択される:
- 非ステロイド性抗炎症薬(以下、NSAID)、例えば、局所または全身適用されるかにかかわらず非選択的シクロ-オキシゲナーゼCOX-1/COX-2阻害薬(例えばピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸、例えばナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェン、フェナメート、例えばメフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アザプロパゾン、ピラゾロン、例えばフェニルブタゾン、サリチレート、例えばアスピリン);選択的COX-2阻害薬(例えばメロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブおよびエトリコキシブ);一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ阻害薬(CINOD);グルココルチコイド(局所、経口、筋肉内、静脈内または関節内経路で投与されるかにかかわらない);メトトレキサート、レフルノミド、ヒドロキシクロロキン、d-ペニシラミン;オーラノフィンおよび他の非経腸または経口金製剤;鎮痛剤;ジアセレイン;関節内治療、例えばヒアルロン酸誘導体;および栄養補助食品、例えばグルコサミン。
- サイトカインまたはサイトカイン機能のアゴニストもしくはアンタゴニスト(サイトカイン伝達経路に作用する薬物、例えばSOCS系のモジュレーターを含む)、例えば、α-、β-およびγ-インターフェロン;インスリン様増殖因子タイプI(IGF-I);インターロイキン(IL)、例えばIL-1から23、およびインターロイキンアンタゴニストまたは阻害薬、例えばアナキンラ;腫瘍壊死因子α(TNF-α)阻害薬、例えば抗TNFモノクローナル抗体(例えばインフリキシマブ、アダリムマブおよびゴリムマブ)およびTNF受容体アンタゴニスト、例えば免疫グロブリン分子(例えばエタネルセプト)および低分子量薬、例えばペントキシフィリン。
- Bリンパ球を標的とするモノクローナル抗体(例えばCD20(リツキシマブ)。MRA-aIL16RおよびT-リンパ球、CTLA4-Ig;HuMax 11-15)。
- ケモカイン受容体機能のモジュレーター、例えば、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCRlOおよびCCR11(C-Cファミリー);CXCRl、CXCR2、CXCR3、CXCR4およびCXCR5(C-X-Cファミリー)およびCX3CRl C-X3-Cファミリーのアンタゴニスト。
- マトリックスメタロプロテアーゼ(Tv-IMP)、すなわちストロメリシン、コラゲナーゼおよびゼラチナーゼ、ならびにアグリカナーゼ;特にコラゲナーゼ-1(MMP-1)、コラゲナーゼ-2(MMP-8)、コラゲナーゼ-3(MMP-13)、ストロメライシン-1(MMP-3)、ストロメライシン-2(MMP-10)、およびストロメライシン-3(MMP-11)およびMMP-9およびMMP-12の阻害薬、例えばドキシサイクリン。
- ロイコトリエン生合成阻害薬、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害薬または5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、例えば;ジロートン;ABT-761;フェンレウトン;テポキサリン;Abbott-79175;Abbott-85761;N-(5-置換)-チオフェン-2-アルキルスルホンアミド;2,6-ジ-tert-ブチルフェノールヒドラゾン;メトキシテトラヒドロピラン、例えばZeneca ZD-213S;化合物SB-210661;ピリジニル置換2-シアノナフタレン化合物、例えばL-739,010;2-シアノキノリン化合物、例えばL-746,530;またはインドールまたはキノリン化合物、例えばMK-591、MK-886、およびBAYx1005。
- ロイコトリエン(LT)B4、LTC4、LTD4およびLTE4の受容体アンタゴニスト。フェノチアジン-3-ls、例えばL-651,392;アミジノ化合物、例えばCGS-25019c;ベンゾキサラミン(benzoxalamine)、例えばオンタゾラスト;および化合物、例えばザフィルカスト、アブルカスト(ablukast)、モンテルカスト、プランルカスト、ベルルカスト(verlukast)(MK-679)、RG-12525、Ro-245913、イラルカスト(CGP 45715A)、およびBAYx7195からなる群より選択される。
- ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬、例えばメチルキサンタニン、例えばテオフィリンおよびアミノフィリン;選択的PDEアイソザイム阻害薬、例えばPDE4阻害薬、アイソフォームPDE4Dの阻害薬、例えばアプレミラストまたはPDE5の阻害薬。
- エンドセリンアンタゴニスト、例えばテゾセンタン、ボセンタン、マシテンタン、エンラセンタンおよびシキスタセンタン(Sixtasentan)。
- アンジオテンシンIIアンタゴニスト、例えばアジルサルタン、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタンおよびテルミサルタン。
- アンジオテンシンIIおよびエンドセリンA受容体両方に対するデュアルアンタゴニスト(DARA)、例えばWO2000001389およびWO2001044239に開示されている。
- アデノシンA2aアゴニスト、例えばCGS-21680および/またはアデノシンA3アゴニスト、例えばIB-MECAおよび/またはアデノシンA2bアンタゴニスト。本発明はさらに、経口、局所または非経腸適用される、本発明の化合物と、ヒスタミンタイプ1受容体アンタゴニスト、例えばセチリジン、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、アクリバスチン、テルフェナジン、アステミゾール、アゼラスチン、レボカバスチン、クロルフェニラミン、プロメタジン、シクリジンまたはミゾラスチンの組合せに関する。
- プロトンポンプ阻害薬(例えばオメプラゾール)または胃保護性ヒスタミンタイプ2受容体アンタゴニスト。
- ヒスタミンタイプ4受容体のアンタゴニスト。
- αl/α2アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮交感神経刺激剤、例えばプロピルヘキセドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、シュードエフェドリン、ナファゾリン塩酸塩、オキシメタゾリン塩酸塩、テトラヒドロゾリン塩酸塩、キシロメタゾリン塩酸塩、トラマゾリン塩酸塩またはエチルノルエピネフリン塩酸塩。
- 抗コリン薬、例えば、ムスカリン受容体(M1、M2、およびM3)アンタゴニスト、例えばアトロピン、ヒヨスチン、グリコピロレート、イプラトロピウム臭化物、チオトロピウム臭化物、オキシトロピウム臭化物、ピレンゼピンまたはテレンゼピン。
- βアドレナリン受容体アゴニスト(β受容体サブタイプ1-4を含む)、例えばイソプレナリン、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、ビトルテロールメシル酸塩またはピルブテロール、またはそれらのキラルエナンチオマー。
- クロモン、例えばクロモグリク酸ナトリウムまたはネドクロミルナトリウム。本発明はまたさらに、本発明の化合物と、グルココルチコイド、例えばフルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ブデソニド、フルチカゾンプロピオン酸エステル、シクレソニドまたはモメタゾンフランカルボン酸エステルの組合せに関する。
- 核内ホルモン受容体を調節する薬物、例えばPPAR。
- 免疫グロブリン(Ig)またはIg製剤またはアンタゴニストまたはIg機能を調節する抗体、例えば抗IgE(例えばオマリズマブ)。
- 別の全身または局所適用抗炎症薬、例えばサリドマイドまたはその誘導体、レチノイド、ジトラノールまたはカルシポトリオール。
- アミノサリチレートおよびスルファピリジン、例えばスルファサラジン、メサラジン、バルサラジドおよびオルサラジン;および免疫調節薬、例えばチオプリン、およびコルチコステロイド、例えばブデソニド。好ましくは、更なるアミノサリチレートおよびスルファピリジンの量は、単位投与形態当たり本発明のスルファサラジン結晶形態の量未満である。
- 抗菌薬、例えばペニシリン誘導体、テトラサイクリン、マクロライド、βラクタム、フルオロキノロン、メトロニダゾール、吸入アミノグリコシド;抗ウイルス薬、例えばアシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、アマンタジン、リマンタジン、リバビリン、ザナミビル(zanamavir)およびオセルタミビル(oseltamavir);プロテアーゼ阻害薬、例えばインジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、およびサキナビル;ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬、例えばジダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビンまたはジドブジン;または非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬、例えばネビラピンまたはエファビレンツ。
- 心血管薬、例えばカルシウムチャネルブロッカー、βアドレナリン受容体ブロッカー、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン2受容体アンタゴニスト;脂質低下薬、例えばスタチンまたはフィブラート;血球形態のモジュレーター、例えばペントキシフィリン;血栓溶解薬または抗凝固薬、例えば血小板凝集阻害薬。
- 抗うつ剤(例えばセルトラリン)、抗パーキンソン病薬(例えばデプレニル、L-ドーパ、ロピニロール、プラミペキソール、MAOB阻害薬、例えばセレギリン(selegine)およびラサギリン、comP阻害薬、例えばタスマール、A-2阻害薬、ドーパミン再取り込み阻害薬、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニストまたはニューロン一酸化窒素シンターゼの阻害薬)、または抗アルツハイマー病薬、例えばドネペジル、リバスチグミン、タクリン、COX-2阻害薬、プロペントフィリンまたはメトリホナート。
- 急性または慢性疼痛の処置のための薬物、例えば中枢または末梢に作用する鎮痛薬(例えばオピオイドまたはその誘導体)、カルバマゼピン、フェニトイン、バロプロ酸ナトリウム、アミトリプチリン(amitryptiline)または他の抗うつ薬、パラセタモール、または非ステロイド性抗炎症薬。
- 非経腸または局所適用される(吸入を含む)局所麻酔薬、例えばリグノカインまたはその誘導体。
- 抗骨粗鬆症薬、例えばホルモン剤、例えばラロキシフェン、またはビホスホネート、例えばアレンドン酸。
- 下記群より選択される1つ以上の薬物:(i)トリプターゼ阻害薬;(ii)血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;(iii)インターロイキン変換酵素(ICE)阻害薬;(iv)IMPDH阻害薬;(v)接着分子阻害薬、例えばVLA-4アンタゴニスト;(vi)カテプシン;(vii)キナーゼ阻害薬、例えばチロシンキナーゼの阻害薬(例えばBtk、Itk、Jak3またはMAP、例えばトファシチニブ、ゲフィチニブまたはイマチニブメシル酸塩)、セリン/スレオニンキナーゼ(例えば、MAPキナーゼ、例えばp38、INK、プロテインキナーゼA、BまたはCの阻害薬、またはκBキナーゼ、例えばIKK1、IKK2またはIKK3の阻害薬)、または細胞周期制御に関連するキナーゼ(例えばサイクリン依存性キナーゼ);(viii)グルコース-6リン酸デヒドロゲナーゼ阻害薬;(ix)キリン-B1または-B2-受容体アンタゴニスト;(x)抗痛風薬、例えばコルヒチン;(xi)キサンチンオキシダーゼ阻害薬、例えばアロプリノール;(xii)尿酸排泄促進薬、例えばプロベネシド、スルフィンピラゾンまたはベンズブロマロン;(xiii)成長ホルモン分泌促進物質;(xiv)トランスフォーミング増殖因子(TGFβ);(xv)血小板由来増殖因子(PDGF);(xvi)線維芽細胞増殖因子、例えば塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF);(xvii)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF);(xviii)カプサイシンクリーム;(xix)タキキニンNK1またはNK3受容体アンタゴニスト、例えばNKP-608C、SB-233412(タルネタント)またはD-441S;(xx)エラスターゼ阻害薬、例えばLT-77またはZD-0892;(xxi)TNF-α変換酵素阻害薬(TACE);(xxii)誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害薬;(xxiii)TH2細胞に発現する化学誘引物質受容体相同分子(例えばCRTH2アンタゴニスト);(xxiv)P38の阻害薬;(xxv)トール様受容体(TLR)の機能を調節する薬物、(xxvi)P2X7などのプリン受容体の活性を調節する薬物;または(xxvii)NFkB、APIまたはSTATSなどの転写因子活性化の阻害薬、(xxvii)グアニル酸シクラーゼを調節する薬物、例えばリオシグアト(メチル-N-[4,6-ジアミノ-2-[1-[(2-フルオルフェニル)メチル]-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル]-5-ピリミジニル]-N-メチル-カルバミナト(IUPAC))。
- 癌の処置のための1つ以上の治療薬、好ましくは、(i)臨床腫瘍学で用いられる抗増殖薬/抗新生物薬またはその組合せ、例えばアルキル化薬(例えばシスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンまたはニトロソウレア);代謝拮抗薬(例えば抗葉酸薬、例えばフルオロピリミジン様5-フルオロウラシル、またはテガフール、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシウレア、ゲムシタビンまたはパクリタキセル);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン、例えばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン-C、ダクチノマイシンまたはミトラマイシン);有糸分裂阻害薬(例えばビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンまたはビノレルビン、またはタキソイド、例えばタキソールまたはタキソテール):またはトポイソメラーゼ阻害薬(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシド、テニポシド、アムサクリン、トポテカンまたはカンプトテシン);(ii)細胞増殖抑制薬、例えば抗エストロゲン薬(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンまたはヨードキシフェン)、エストロゲン受容体下方制御薬(例えばフルベストラント)、抗アンドロゲン(例えばビカルタミド、フィタミド、ニルタミドまたは酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、ロイプロレリンまたはブセレリン(biiserelin))、プロゲストーゲン(例えば酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害薬(例えばアナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールまたはエキセメスタン)または5α-レダクターゼの阻害薬、例えばフィナステリド;(iii)癌細胞の侵襲を阻害する約b通(例えばメタロプロテイナーゼ阻害薬様マリマスタット、またはウロキナーゼプラスミノーゲンアクティベーター受容体機能の阻害薬);(iv)増殖因子機能の阻害薬、例えば:増殖因子抗体(例えば抗erbb2抗体トラスツマブまたは抗erbb1抗体セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬、チロシンキナーゼ阻害薬またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害薬、上皮細胞増殖因子ファミリーの阻害薬(例えばEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害薬、例えばN-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-アミン(ゲフィチニブ、AZDl 839)、N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)キナゾリン-4-アミン(エルロチニブ、OSI-774)または6-アクリルアミド-N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-アミン(CI 1033))、血小板由来増殖因子ファミリーの阻害薬、または肝細胞増殖因子ファミリーの阻害薬;(v)抗血管新生薬、例えば血管内皮細胞増殖因子の作用を阻害するもの(例えば抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ、WO 97/22596、WO 97/30035、WO 97/32856またはWO 98/13354に開示されている化合物)、または別のメカニズムにより作用する化合物(例えばリノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害薬またはアンジオスタチン);(vi)血管障害薬、例えばコンブレタスタチンA4、またはWO 99/02166、WO 00/40529、WO 00/41669、WO 01/92224、WO 02/04434またはWO 02/08213に開示されている化合物;(vii)アンチセンス療法で用いられる薬物、例えば上記標的の1つに対するもの、例えばISIS 2503、抗rasアンチセンス;(viii)遺伝子療法アプローチ、例えば異常な遺伝子、例えば異常なp53または異常なBRCAlまたはBRCA2を置き換えるアプローチ、GDEPT(遺伝子指向酵素プロドラッグ療法)アプローチ、例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌ニトロレダクターゼ酵素を用いるもの、および化学療法または放射線療法に対する患者の耐性を増加させるアプローチ、例えば多剤耐性遺伝子療法で用いられる薬物;または(ix)免疫療法アプローチ、例えば患者腫瘍細胞の免疫原性を増加させるエクスビボおよびインビボのアプローチ、例えばサイトカイン、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子のトランスフェクション、T細胞アネルギーを減少させるアプローチ、トランスフェクトした免疫細胞、例えばサイトカインをトランスフェクトした樹状細胞を用いるアプローチ、サイトカインをトランスフェクトした腫瘍細胞株を用いるアプローチおよび抗イディオタイプ抗体を用いるアプローチで用いられる薬物からなる群より選択される治療薬。
- 気道疾患、呼吸器疾患および/または炎症性疾患、例えば慢性閉塞性肺疾患および喘息の処置のための1つ以上の治療薬。本発明のスルファサラジンの塩結晶形態は、吸入または経口経路により投与され得て、気道疾患、呼吸器疾患および/または炎症性疾患、例えば慢性閉塞性肺疾患および喘息の処置のための薬物(他の薬物)は、吸入または経口経路により投与されるように独立して選択され得る。本発明のスルファサラジンの塩結晶形態および他の薬物は、1つの医薬製剤または別個の医薬製剤中において投与され得る。別個の医薬製剤の場合、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態および他の薬物は、同時にまたは連続してまたは別々に投与され得る。
【0089】
治療用途に応じて、本発明のスルファサラジンの塩結晶形態の用量は、当然ながら投与様式、所望の処置および所期の障害により変化するが、典型的には1 mg/kg~50 mg/kgの範囲であり得る。
【実施例
【0090】
単に例として機能し、本保護権の範囲を制限するものではない、例示的実施態様に基づいて以下に本発明を記載する。例示される特徴は、前記本発明の全態様の一般的開示と、別々にまたは任意の(下位の)組合せで組み合わされてもよい。
【0091】
一般的方法
【0092】
1H-NMRおよび13C-NMR
産生された例示物について、プロトンおよび炭素核磁気共鳴(1H-NMRおよび13C-NMR)を用いて特性(identity)および塩化学量を、粉末X線回折(XRPD)で結晶性変化、示差走査熱量測定(DSC)で熱特性を、蒸気吸着重量測定(GVS)で水相互作用を、塩化学量論(HPLC)、カウンターイオン同一性(CE)および最後に水における溶解性(HPLC)で特徴付けた。
【0093】
1H NMRおよび13C NMRスペクトルを、Varian Unity Inova 400 MHz(ソフトウェア:VKMR 6.1CおよびVNMRJ 1.1D;プローブ:Xalorac 5mm DG400-5AT)またはVarian Mercury - VX 300 MHz(ソフトウェア:VNMR 6.1C;プローブ:Varian 5mm AutoSW PFG)装置で298Kにて記録した。アセトン-d6またはジメチルスルホキシド(DMSO)-d6の中央ピークを内部標準として用いた。
【0094】
XRPD
粉末X線回折(XRPD)分析を、標準的な方法に従って調製した試料において行い得る(例えば、Giacovazzo et al., eds. , Fundamentals of Crystallography, Oxford University Press (1992); Jenkins & Snyder, eds., Introduction to X-Ray Powder Diffractometry, John Wiley & Sons, New York (1996); Bunn, ed., Chemical Crystallography, Clarendon Press, London (1948); and Klug and Alexander, eds., X-Ray Diffraction Procedures, John Wiley & Sons, New York (1974)参照)。沈殿させた試料を、ゼロバックグラウンド試料ホルダーに塗り付け、回転試料ホルダーおよび2°/分のスキャン速度および0.02°のステップサイズを有する連続スキャンを用いて、ペルチェ冷却固体状態検出器、Cu管(λ=1.5418Å)、45kV/44mAを備えたThermo ARL X'tra回折計を用いて、2-35°(2-シータ)から測定した。標準偏差は、±0.2°2-シータ(2θ)である。
【0095】
DSC
示差走査熱量測定(DSC)は、標準的な方法、例えばHoehne, G.W.H. et al (1996), Differential Scanning Calorimetry, Springer, Berlinに記載の方法が用いられ、温度上昇に対する試験試料の熱量的(calometric)応答を、PerkinElmer Pyris DSCを用いて調べた。温度感覚は、通常60~285℃であったが、結果および再測定の必要性に応じて若干変動させた。スキャン速度は、10℃/分であった。約2 mgの試料を用いた。オープンなアルミニウムパン、および酸化的分解を回避するため乾燥窒素雰囲気を用いて測定を行った。DSCの開始およびピーク温度は、試料の純度および装置パラメーター、特に温度スキャン速度により変化し得ることが周知である。当業者は、本明細書に示すデータに匹敵するデータを集められるように、DSCの装置パラメーターを設定するために日常的な最適化/較正を用い得る。
【0096】
GVS
蒸気吸着重量測定(GVS)を用いて、試料の吸湿性を決定した:SMS LtdのDVS 1装置を用いて、実験を25℃にて実施し、種々の方法を用いて、吸脱着等温線を記録し、主な機能は次のとおりであった:1回の吸着/脱着サイクルは、0%RHから80%RHまで、10%RHステップ、0.002%のdm/dtトリガー値であった(dm/dt=時間による質量の変化、天秤の安定性がこの値の範囲にあるとき、次のステップが自動的に開始されるが、これらの条件を達成しない場合、デフォルトの最大時間は各ステップ6時間である)。用いた試料の量は1~3 mgであった。
【0097】
HPLC
溶解させたスルファサラジンの量を、Waters XTerra 3.5μm C18カラム(50×4.6 mm)および95%エタノール/25 mMリン酸、45/55からなる移動相を用いて、Agilent 1100装置で、HPLCにより決定した。流速は1.0 mL/分、注入量は5μL、検出波長は、358 nm(アッセイ用)および260 nm(クロマトグラフィー純度用)であった。外部標準法を用いて、定量を行った。選択性、再現性および直線性に関して定量法をバリデーションした。
【0098】
CE
キャピラリー電気泳動(CE)において、選択したカウンターイオンの正の同一性を、試料と標準溶液のピーク間の対応する移動時間により示した。用いた装置は、Hewlett-Packard 3D-CEであった。キャピラリーは、内径50μm、有効長56 cmの溶融石英であった。電解液はCE用のAgilent Cation Buffer(P.N. 5064-8203)、電位は+30 kV、注入は50 mbar×10秒(試料溶液)、25 mbar×3秒(標準溶液)であった。リファレンス波長215 nmで、310 nmにてUV検出器を用いて、検出を行った。
【0099】
TGA
熱重量分析(TGA)装置:PerkinElmer TGA7 Method:約3 mgの試料をオープンなPt-panに入れ、計量し、不活性雰囲気を確保するために乾燥窒素ガス流中で、22℃から120℃まで、10℃/分のスキャン速度を用い、その後120℃にて30分間保持して、分析した。
【0100】
実施例1
2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸D(-)-N-メチルグルカミン塩のフォームA結晶の製造
スルファサラジン(2.00 g、5.0 mmol)およびD(-)-N-メチルグルカミン(1.00 g、5.1 mmol)を、マグネチックスターラーを備えた250 ml丸底フラスコへ秤取した。アセトン(200 ml)を加え、混合物を60℃にて撹拌した。固体物質は徐々に溶解し、数時間後に新しい沈殿が形成し始めた。混合物が完全に溶解することは無かった。60℃で24時間後、tert-ブチルメチルエーテル(40 ml)を滴下漏斗から加え(5分)、結晶種(実施例5に記載のように得られた1 mgのメグルミンスルファサラジンフォームA塩)を加えた。30分後、加熱を止め、混合物を周囲温度にてさらに60時間撹拌した。その後、ろ過し(Robu-Glasホウケイ酸ガラスフィルター多孔度3)、固体をアセトン中のtert-ブチルメチルエーテルの20%混合物(50 ml)で洗浄した。物質を真空中で17時間乾燥し、フィルター上で秤量して、2.92 g(97.4%)の黄色の結晶性粉末を得た。この物質を1H-NMRにより分析し、0.53%w/wのアセトンおよび微量のtert-ブチルメチルエーテル(<0.02%w/w)を含有することが分かった。
【0101】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.27 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.03 - 7.95 (m, 3H), 7.91 - 7.83 (m, 2H), 7.80 (dd, J = 8.9, 2.7 Hz, 1H), 7.75 (ddd, J = 8.9, 7.1, 1.9 Hz, 1H), 7.21 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.86 (t, J = 6.6 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 5.38 (s, 1H), 4.57 (s, 1H), 4.43 (s, 1H), 3.89 - 3.80 (m, 1H), 3.66 (dd, J = 5.3, 1.6 Hz, 1H), 3.60 (dd, J = 10.8, 3.2 Hz, 1H), 3.49 (dt, J = 8.9, 4.2 Hz, 1H), 3.45 - 3.37 (m, 2H), 3.05 (dd, J = 12.6, 3.3 Hz, 1H), 2.94 (dd, J = 12.6, 9.5 Hz, 1H), 2.55 (s, 3H);13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 170.96, 170.29, 154.12, 141.99, 127.70, 126.94, 126.78, 122.02, 119.07, 118.24, 71.28, 70.39, 70.10, 68.34, 63.27, 50.80;乾燥減量(TGA;%w/w)は0.2;融点(DSC)は163.5℃±2.5℃(開始);水蒸気取込み(GVS;%w/w)は30%RHにて<0.4、80%RHにて<0.9;24℃、pH6.6の脱イオン水における溶解度は>54 mg/mL;NMRにより塩基対酸が1:1の化学量論を確認した。
【0102】
図1に示すスルファサラジンのメグルミン塩のフォームA結晶の粉末X線回折パターンは、特に次のXRPDピーク(2θ°±0.2°で表す)を含む:
(10) 6.35、13.93および22.41、または
(11) 9.31、15.86および20.99、または
(12) 6.35、13.93、15.48、15.86、22.41および23.60、または
(13) 6.35、10.79、12.93、13.93、15.48、15.86、18.12、19.82および22.41、または
(14) 9.31、10.79、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、17.56、19.10、23.60および28.07、または
(15) 6.35、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、19.10、19.82、20.99、21.27、22.41、23.60、23.89および28.07、または
(16) 6.35、9.31、10.79、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、17.78、18.12、19.82、20.11、20.99、21.27、22.41、23.60、23.89、28.07および28.80、または
(17) 6.35、9.31、10.79、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、17.56、17.78、18.12、18.50、19.10、19.82、20.11、20.99、21.27、22.41、23.60、23.89、24.70、25.14、25.55、25.93、26.81、28.07および28.80、または
(18) 6.35、9.31、10.79、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、17.56、17.78、18.12、18.50、19.10、19.82、20.11、20.99、21.27、22.41、23.60、23.89、24.70、25.14、25.55、25.93、26.81、28.07、28.80、29.49、32.01、32.58、33.23。
【0103】
実施例2
本発明の2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸D(-)-N-メチルグルカミン塩のフォームA結晶の製造
スルファサラジン30 mgのアセトン中の懸濁液に、等モル量のD(-)-N-メチルグルカミン(1 Mの水中ストック溶液)を加えた。懸濁液を23℃に加熱し、得られた溶液を4日間撹拌し、その後溶媒をゆっくり蒸発させた。塩生成物を洗浄し、ろ過して、乾燥させ、フォームAと名付けた2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸D(-)-N-メチルグルカミン塩の多形を得た。
【0104】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ8.27 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.05-7.95 (m, 3H), 7.91-7.83 (m, 2H), 7.80 (dd, J = 8.8, 2.7 Hz, 1H), 7.75 (ddd, J = 8.9, 7.2, 1.9 Hz, 1H), 7.21 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.86 (t, J = 6.6 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.37 (s, 1H), 4.57 (s, 1H), 4.44 (s, 1H), 3.88-3.80 (m, 1H), 3.66 (dd, J = 5.2, 1.6 Hz, 1H), 3.60 (d, J = 10.7 Hz, 1H), 3.53-3.37 (m, 3H), 3.05 (dd, J = 12.6, 3.4 Hz, 1H), 2.94 (dd, J = 12.6, 9.5 Hz, 1H), 2.56 (s, 3H);13C-NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 171.01, 170.25, 154.13, 141.97, 127.70, 126.93, 126.78, 122.01, 119.06, 118.25, 71.28, 70.38, 70.09, 68.31, 63.26, 50.78, 40.12, 33.04;融点(DSC):160℃±2℃(開始);水蒸気取込み(GVS;%w/w)は30%RHにて0.4;80%RHにて1.1;NMRおよびHPLCにより塩基対酸が1:1の化学量論を確認した。
【0105】
図1に示すスルファサラジンのメグルミン塩のフォームA結晶の粉末X線回折パターンは、特に次のXRPDピーク(2θ°±0.2°で表す)を含む:
(1) 6.35、13.93および22.41、または
(2) 9.31、15.86および20.99、または
(3) 6.35、13.93、15.48、15.86、22.41および23.60、または
(4) 6.35、10.79、12.93、13.93、15.48、15.86、18.12、19.82および22.41、または
(5) 9.31、10.79、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、17.56、19.10、23.60および28.07、または
(6) 6.35、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、19.10、19.82、20.99、21.27、22.41、23.60、23.89および28.07、または
(7) 6.35、9.31、10.79、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、17.78、18.12、19.82、20.11、20.99、21.27、22.41、23.60、23.89、28.07および28.80、または
(8) 6.35、9.31、10.79、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、17.56、17.78、18.12、18.50、19.10、19.82、20.11、20.99、21.27、22.41、23.60、23.89、24.70、25.14、25.55、25.93、26.81、28.07および28.80、または
(9) 6.35、9.31、10.79、12.93、13.93、14.47、15.48、15.86、17.56、17.78、18.12、18.50、19.10、19.82、20.11、20.99、21.27、22.41、23.60、23.89、24.70、25.14、25.55、25.93、26.81、28.07、28.80、29.49、32.01、32.58、33.23。
【0106】
実施例3
本発明の2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸ピペラジン塩のフォームA結晶の製造
スルファサラジン30 mgのメタノール中の懸濁液に、等モル量のピペラジン(1 Mの水中ストック溶液)を加えた。懸濁液を23℃に加熱し、4日間撹拌した。その後、塩生成物をろ過し、洗浄し、再度ろ過して、乾燥させ、ピペラジンスルファサラジンフォームAと名付けた多形を得た。
【0107】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.28 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.00 (dt, J = 6.9, 2.1 Hz, 3H), 7.88 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.84 (dd, J = 8.8, 2.7 Hz, 1H), 7.75 (ddd, J = 8.9, 7.2, 1.9 Hz, 1 H), 7.21 (d, J = 8.7 Hz, 1 H), 6.86 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 6.79 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.18 (s, 8 H);13C-NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 170.55, 169.77, 154.01, 142.36, 127.71, 127.22, 126.65, 122.10, 118.49, 118.22, 41.14;融点(DSC):270℃±2℃(加熱速度100 K/分);水蒸気取込み(GVS;%w/w)は30%RHにて0.4;80%RHにて0.9;24時間後の24℃の脱イオン水における溶解度:0.12 mg/mL;NMRおよびHPLCにより塩基対酸が1:2の化学量論を確認した。
【0108】
図2に示すスルファサラジンのピペラジン塩のフォームA結晶の粉末X線回折パターンは、特に次のXRPDピーク(2θ°±0.2°で表す)を含む:
(1) 11.95、12.30および16.42、または
(2) 12.30、12.93および15.00、または
(3) 11.95、12.30、12.93、16.42、17.87および20.36、または
(4) 8.11、11.95、12.30、15.01、16.42、17.87、20.36および20.74、または
(5) 11.95、12.30、12.93、15.01、16.42、17.87、20.36、20.74、22.41および23.41、または
(6) 11.95、15.01、16.42、17.87、20.36、20.74、23.41、24.01、24.67、24.99および26.09、または
(7) 8.11、11.95、12.30、12.93、15.01、16.42、17.87、20.36、20.74、22.41、23.41、24.01、24.67、24.99および26.09、または
(8) 11.95、12.30、12.93、15.01、16.42、17.87、20.36、20.74、22.41、23.41、24.01、24.67、24.99、26.09、26.81、27.73および28.80、または
(9) 8.11、11.95、12.30、12.93、15.01、16.42、17.87、20.36、20.74、22.41、23.41、24.01、24.67、24.99、26.09、26.81、27.73、28.80、29.80および30.43。
【0109】
実施例4
本発明によりカバーされない2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸ジエチルアミン塩のフォームA結晶の製造
スルファサラジン30 mgのアセトニトリル中の懸濁液に、等モル量のジエチルアミン(1 Mの水中ストック溶液)を加えた。懸濁液を23℃に加熱し、4日間撹拌した。その後、塩生成物をろ過し、洗浄し、再度ろ過して、乾燥させ、ジエチルアミンスルファサラジンフォームAと名付けた多形を得た。
【0110】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.26 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.02-7.95 (m, 3H), 7.87 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.79 (dd, J = 8.9, 2.7 Hz, 1H), 7.75 (t, J = 8.7, 7.6 Hz, 1 H), 7.21 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 6.86 (s, 1H), 6.72 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 2.93 (q, J = 7.3 Hz, 4 H), 1.16 (t, J = 7.3 Hz, 6 H);13C-NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 170.21, 141.91, 126.91, 126.79, 121.99, 119.06, 118.27, 41.35, 11.05;融点(DSC):200℃±2℃(加熱速度 10 K/分);水蒸気取込み(GVS;%w/w)は30%RHにて0.3;80%RHにて0.5;24時間後の24℃の脱イオン水における溶解度:>0.31 mg/mL;NMRおよびHPLCにより塩基対酸が1:1の化学量論を確認した。
【0111】
図3に示すスルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームA結晶の粉末X線回折パターンは、特に次のXRPDピーク(2θ°±0.2°で表す)を含む:
(1) 7.16、11.48および18.78、または
(2) 10.50、15.41および21.87、または
(3) 7.16、10.50、11.48、18.78、21.65および21.87、または
(4) 10.50、11.48、12.42、14.38、15.41、16.64、18.78および21.87、または
(5) 7.16、10.50、11.01、11.48、13.87、15.92、16.64、18.78、21.08、21.65および22.15、または
(6) 7.16、10.50、11.01、11.48、12.42、13.87、14.38、15.41、15.92、16.64、17.19、18.28、18.78、21.08、21.65、21.87および22.15、または
(7) 7.16、10.50、11.48、12.42、13.87、14.38、15.41、15.92、16.64、20.52、21.08、21.65、21.87、22.15、22.47、23.16、23.63、24.14および25.11、または
(8) 7.16、10.50、11.01、11.48、12.42、13.87、14.38、15.41、15.92、16.64、17.19、18.28、18.78、20.52、21.08、21.65、21.87、22.15、22.47、23.16、23.63、24.14および25.11、または
(9) 7.16、10.50、11.01、11.48、12.42、13.87、14.38、15.41、15.92、16.64、17.19、18.28、18.78、20.52、21.08、21.65、21.87、22.15、22.47、23.16、23.63、24.14、25.11、26.94、27.95、28.92、29.46。
【0112】
実施例5
本発明のジエチルアミン 2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸ジエチルアミン塩のフォームB結晶の製造
スルファサラジン25 mgをアセトン5 mlに加え、アセトン中に10%過剰のカウンターイオンジエチルアミンを含有する溶液を加えた。混合物を45℃に加熱し、溶媒をゆっくり蒸発させて、ジエチルアミンスルファサラジン塩フォームBと名付けた多形を得た。
【0113】
図4に示すスルファサラジンのジエチルアミン塩のフォームB結晶の粉末X線回折パターンは、特に次のXRPDピーク(2θ°±0.2°で表す)を含む:
(1) 6.85、17.82および22.75、または
(2) 11.38、20.58および23.98、または
(3) 6.85、11.38、17.82、20.58および22.75、または
(4) 6.85、11.38、11.70、17.62、20.58、22.75および23.98、または
(5) 11.38、11.70、15.29、16.71、17.62、19.92、20.58、21.30、22.75、23.63および23.98、または
(6) 6.85、11.38、11.70、14.78、15.29、15.70、16.71、17.62、19.92、20.20、20.58、21.30、22.75、23.63、23.98および28.61、または
(7) 6.85、11.38、11.70、14.78、15.29、15.70、16.71、17.62、19.92、20.20、20.58、21.30、22.75、23.63、23.98、25.05、25.71、26.81、27.95および28.61、または
(8) 6.85、11.38、11.70、14.78、15.29、15.70、16.71、17.62、19.92、20.20、20.58、21.30、22.75、23.63、23.98、25.05、25.71、26.81、27.95、28.61、29.14、31.06。
【0114】
実施例6
Caco-2細胞単層を通るスルファサラジン遊離酸形態およびスルファサラジンのメグルミン塩のフォームA結晶の輸送速度の比較
輸送実験のために、Caco-2細胞を、1cm2当たり67800細胞の密度でTranswellTMフィルターインサート上に播種し、これを12ウェルの平底クラスタープレートに配置した。インサート(頂端コンパートメント)に0.5mL、ウェル外側(基底コンパートメント)に1.5 mLのDMEM培養培地を入れた。細胞を37℃、10%CO2および90%相対湿度にて、DMEM培養培地中で、コンフルエントな単層を形成するまで14~30日間培養した。STX-2電極を備えたEVOMTM電圧計を用いて経上皮電気抵抗を測定することより、細胞単層の密集度および密着性を確認した。プレインキュベート後(30分)または輸送試験の完了後にTEERが200 Ω×cm2未満であった場合、単層を不合格とした。試験項目は、Biopharmaceutics Classification System(BCS)ガイドラインに従って作成した。実験は3回繰り返して行った。輸送実験の直前に、細胞をKrebs-Ringerで2回洗浄し、その後、緩衝液を輸送溶液に置き換えた。30分間のプレインキュベート後、ドナーおよびアクセプター両方のコンパートメントから試料を引き抜いた。6つの試料を、t=0、30、60、90、120および180分にて採取した。排出比をPapp(ba)/Papp(ab)として計算し、式中、Papp(ba)は、基底側から頂端側へ(分泌方向)の試験化合物の輸送について見かけの透過係数のであり、Papp(ab)は、頂端側から基底側へ(吸収方向)の試験化合物の輸送についての見かけの透過係数である。見かけの透過係数Papp(cm/s)を定常状態における透過率として計算した(μg/s)×(1/ドナーコンパートメント中の試験化合物の最初の量(μg)×1/曝露細胞単層の面積(cm2)×ドナーコンパートメントの緩衝液量(cm3)。
【0115】
【表1】

表1は、より多量のスルファサラジンのメグルミン塩のフォームA結晶が、Caco-2細胞単層を通って累積的に輸送されたことを示す。スルファサラジンおよびメグルミン塩フォームAの見かけの透過率は、1.5(50μg/mL)~3.6(200μg/mL)の範囲である。
【0116】
実施例7
遊離酸形態またはメグルミン塩のフォームA結晶として静脈内または経口投与後のスルファサラジンの薬物動態の比較
【0117】
略語のリスト
AUCinf.:無限までの曲線下面積;AUClast.:最後のデータ点までの曲線下面積;Cmax:最大濃度;CMC:環状メチルセルロース;F:バイオアベイラビリティ;I.V.:静脈内;LC:液体クロマトグラフィー;MS:質量分析;NCA:ノンコンパートメント分析;PK:薬物動態学的;P.O:経口;SSZ:スルファサラジン;TI:試験品目;Tmax:最大濃度の時間;T1/2:半減期
【0118】
インビボ試験手順
げっ歯類における前臨床インビボ試験およびその後の評価についてのスウェーデンの法律および現地倫理委員会(M388-12)による実験手順の承認に従って、到着後最低7日間の飼育環境への馴化後、雄性Wistar(Hannover)ラット(Taconic、Denmark)、平均体重180~200 g;平均週齢8~10週を、試験品目で処置した(表2参照);投与12~16時間前に、半日消費量と等しい量を除いてすべての食餌を取り去った。試験品目を、柔栄養チューブを用いて投与するか(p.o.)、または試験品目を尾静脈に注入した。投与された量は、10 mL/kg(p.o.)または1 mL/kg(i.v.)であった。i.v.投与前に、イソフルランを用いてラットを麻酔した。試料採取の間、ラットは意識があり、血液を舌下静脈から採取した。24時間までの期間にわたって血液試料を各ラットから採取した。各時点にて、2アリコートの50μLを各々、150μLの滅菌水を含有するバイアルへ加えた。試料を直ぐに混合し、バイオアナリシスの準備を始めるまで-18℃で保存した。すべての製剤を、投与が行われたのと同じ日に調製した。ラットの体重を投与前に記録した。シリンジの重量を投与前後に記録し、送達された試験試料の正確な量を計算した。正確な用量は、データの評価中に用いた。
【表2】
【0119】
バイオアナリシス
スルファサラジンの血漿レベルを、mrm(多重反応モニタリング)モードでLCMS/MSを用いて決定した。
【0120】
島津のSCL-10Aコントローラーにより制御される2つのLC-10 ADポンプの高圧グラジェントシステムからなる島津のLCシステムのCTC analyticsから、HTC PALにより試料および標準をを注入した。流速0.8 mL/分にてグラジェント溶出液で逆相クロマトグラフィーを用いて試料を分離した。移動相は、Aが94.9/5/0.1の水/アセトニトリル/ギ酸、Bが5/94.9/0.1の水/アセトニトリル/ギ酸であった。グラジェントは、0%Bから開始し、4分間で100%Bまで直線的に増加させ、100%Bを0.5分間維持し、その後システムを0.1分で0%Bに戻した。合計実行時間が6分になるまで、システムを1.4分間平衡化した。エレクトロスプレーイオン源を備えたMicromassのQuattro Ultimaにより溶出液を分析した。データを収集し、キャリブレーションをMassLynx 4.0ソフトウェアにより計算した。スルファサラジンをWaters Symmetry C18 50×2.1カラムで分離した。溶出液を負イオンエレクトロスプレーによりイオン化し、397~197 m/zのmrm遷移をモニターした。
【0121】
希釈した血液試料(血液50μL、水150μL)を解凍し、混合した。タンパク質を沈殿させるために、アセトニトリル400μLを加え、再度混合した。試料を5,000gにて5分間遠心分離した。上清100μLを300μLガラスバイアルへ移し、水100μLを加え、アセトニトリル濃度を低下させた。
【0122】
ポジティブおよびネガティブモードMS/MSをスルファサラジンについて用いた。標準曲線の濃度は、5 nM~15625 nMの範囲であった。定量の上限を超える検体濃度を有する試料は、アッセイ範囲内に達するようにマトリックスで希釈した。ノンコンパートメント分析(NCA)を、Phoenix WinNonLin分析ツールを用いて行った。
【0123】
結果
静脈内投与
1および5 mg/kgのスルファサラジンのメグルミン塩フォームAをi.v.投与した後のスルファサラジンの薬物動態プロファイルを表3に要約する。2つの用量の曝露間に十分な直線性があり、推定半減期は、それぞれ1.2および1.3時間であり、これは公開されているデータ(Zamek-Gliszczynski MJ et al. Characterization of SAGE Mdr1a (P-gp), Bcrp, and Mrp2 knockout rats using loperamide, paclitaxel, sulfasalazine, and carboxydichloroflurorescein pharmacokinetics. Drug Metab Dispos 2012, 40, 1825)とよく一致している。
【表3】
【0124】
経口投与
60 mg/kgの経口投与後のスルファサラジンの薬物動態プロファイルを表4に要約する。スルファサラジンの最高濃度は、スルファサラジンと比較して、2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸D(-)-N-メチルグルカミン塩のフォームAの7倍増加し、スルファサラジンと比較して、2-ヒドロキシ-5-[2-[4-[(2-ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]ジアゼニル]-安息香酸D(-)-N-メチルグルカミン塩のフォームAの6倍速く到達した。スルファサラジンの合計血漿レベルは、スルファサラジンの遊離酸と比較して、>50%(AUCinf)増加し、メグルミン塩の経口投与後最初の90分間では>90%増加した。ラットにおけるスルファサラジンのメグルミン塩フォームAのバイオアベイラビリティは、遊離酸形態のスルファサラジンのバイオアベイラビリティに対して約50%増加した。
【表4】
【0125】
実施例8
スルファサラジン遊離酸形態およびスルファサラジンのメグルミン塩のフォームA結晶の溶解速度の比較
【0126】
HPLC
Waters X-Bridge 3.5μm C18カラム(150×4.6 mm)およびグラジェント法を用いて、HP 1100装置でHPLCにより溶解したスルファサラジンの量をそれぞれ決定した。移動相は下記からなる。移動相(A):リン酸二水素ナトリウム1.13 gおよび酢酸ナトリウム2.5 gを精製水1000 mLに溶解させた。その後、pHを酢酸(100%)で4.8に調整した。移動相(B):1部の移動相Aを4部のクロマトグラフィー用メタノールと混合する。流速は1.0 mL/分、注入量は5μL、検出波長は320 nm(HP DAD series 1100)であった。実行時間は10分である。外部標準法を用いて定量を行った。選択性、再現性および直線性に関して定量法をバリデーションした。試料を希釈アンモニアR3 PhEurで調製する。
【0127】
50 mgのスルファサラジンおよびスルファサラジンのメグルミン塩フォームAをそれぞれ、2 mLの水またはFaSSIF-V2培地を含む4 mLガラスバイアルへ秤量し、室温にて(20~25℃)24時間撹拌し、その後20 mgのスルファサラジンおよびメグルミン塩フォームAをそれぞれ、飽和溶液が得られるまで、さらに加えた。遠心フィルター(Nylon、0,45μM)を用いて、飽和溶液をろ過し、澄明な上清を、直接、または希釈アンモニアR3 PhEur希釈後、それぞれ注入した。
【表5】
図1
図2
図3
図4