(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】無人航空機
(51)【国際特許分類】
B64C 39/02 20060101AFI20230526BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230526BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
B64C39/02
B64C27/08
B64D27/24
(21)【出願番号】P 2020539262
(86)(22)【出願日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 NO2019050008
(87)【国際公開番号】W WO2019143255
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-12-17
(32)【優先日】2018-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】518269876
【氏名又は名称】グリフ アビエーション エーエス
【氏名又は名称原語表記】GRIFF AVIATION AS
【住所又は居所原語表記】Bakkedamsvegen 32, 6230 SYKKYLVEN, Norway
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】スヴェイン・エヴェン・ブラクスタッド
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・マルティン・ニーサテル
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/185487(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
B64C 27/08
B64D 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方エンドピース(130)および後方エンドピース(150)を備えた少なくとも1つの
バックボーンとも称される細長い主フレーム(140)を備えた主本体
(100)を有する無人航空機であって、
前記エンドピース
(130、150)は前記バックボーン
(140)よりも幅広であり、且つ個々のロータアーム(200)のための連結機器を備え、各々の前記ロータアームは、モータおよびプロペラアセンブリ
(420A、420B)を支持するように構成されており、
前記無人航空機は、一対の細長いバッテリ(500)をさらに備え、
前記エンドピース
(130、150)および前記バックボーン
(140)の少なくとも一部は、前記バックボーンの両側に個々に電気バッテリ(500)を解放可能に受容するための収納部を形成しており、
前記バッテリ、バックボーン、およびエンドピースは、細長く略長方形の本体アセンブリを形成して
おり、
各ロータアーム(200)は、エンドピースに連結するように形成された連結手段を一方の端部に、およびアーム折り畳みヒンジの第1部分を第2の端部に備えたアーム内側部分(210)と、前記モータおよびプロペラアセンブリのためのアダプタを一方の端部に、およびアーム折り畳みヒンジの第2部分を第2の端部に備えたアーム外側部分(220)と、前記アーム内側部分および前記アーム外側部分の最初の一方に配置された、変位可能なバネ付勢されたヒンジロック手段(230)と、を備えている無人航空機。
【請求項2】
折り畳まれていない位置に位置決めされた場合に、
前記アーム外側部分(220)の穴に入るように形成された、バネ付勢されたコッタピン
(232)をさらに備えている、請求項
1に記載の無人航空機。
【請求項3】
取付手段をさらに備え、該取付手段は、前記前方エンドピースおよび前記後方エンドピースの少なくとも一方に配置された、少なくとも1つの協働する取付手段と固定係合状態になるように形成されている、請求項
1または2に記載の無人航空機。
【請求項4】
前記前方エンドピース(130)および前記後方エンドピース(150)に配置されたバッテリ係止手段(190)の部品をさらに備え、当該部品は、前記バッテリ(500)の端部の短辺(514)に配置された、対応したバッテリ保持および係止手段の部品を解放可能に係止係合する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の無人航空機。
【請求項5】
前記バッテリ(500)は、上部長辺(510)、内側長辺(511)、外側長辺(512)、底部長辺(513)、および端部短辺(514)を備え、該端部短辺(514)は、直線の第1収納トラック(515)およびL字形状の第2収納トラック(516)を含んだバッテリ保持および係止手段の部品を備え、両方のトラックは、前記底部長辺(513)の端縁に端部開口部を備えている、請求項
4に記載の無人航空機。
【請求項6】
前記直線の第1収納トラック(515)は、その開口部にレール(191)を受け入れて、前記バッテリ(500)が前記本体(100)上をスライドすることを制御する寸法とされ、且つ前記バッテリの端部短辺(514)上に配置され、これにより前記バッテリを前記バックボーン(140)の長辺に隣接して位置決めし、前記バッテリの電気コネクタ(580)を前記本体(100)の電気コネクタ(180)と整列させる、請求項
5に記載の無人航空機。
【請求項7】
前記L字形状の第2収納トラック(516)の開口部は、前記バッテリの端部短辺(514)に配置され、これによりロック解除および解放位置に配置されたレバー(192)のキャリアスタッド(193)を受け入れることが可能であ
り、前記L字形状の第2収納トラック(516)の角部は、前記バッテリが前記レール(191)に沿って滑った場合に、前記電気コネクタ(580)が前記電気コネクタ(180)と接触しようとする位置まで、前記キャリアスタッド(193)と接触するように配置されており、この位置において、前記キャリアスタッド(193)は、前記レバー(192)がその回転軸および軸受(195)の周りに回転されるまで、前記バッテリのさらなる移動を停止させる、請求項
6に記載の無人航空機。
【請求項8】
前記L字形状の第2収納トラック(516)の角部は、前記バッテリが所定の位置まで前記レール(191)に沿ってスライドした場合に、前記キャリアスタッド(193)と接触するように位置決めされ、この位置において、前記電気コネクタ(580)は前記電気コネクタ(180)と
接触しようとしており、この位置において、前記キャリアスタッド(193)は、前記レバーがその回転軸および軸受(195)の周りに回転されるまで、前記バッテリのさらなる移動を停止させる、請求項
7に記載の無人航空機。
【請求項9】
バッテリ係止位置へと向かう前記レバーの回転は、前記キャリアスタッド(193)を円軌跡に従わせ、且つ前記L字形状の第2収納トラック(516)の水平部分により制限されており、前記キャリアスタッド(193)は前記バッテリ(500)を移動させて、てこの作用により前記バッテリをさらに所定の位置へと移動させ、この位置において、前記バッテリの上部長辺(510)および底部長辺(513)は前記バックボーン(140)の上部長辺および底部長辺のそれぞれと略同一平面上となり、前記バッテリの電気コネクタ(580)は前記本体の電気コネクタ(180)と嵌合して接続される、請求項
8に記載の無人航空機。
【請求項10】
バッテリ(500)が、保持および係止位置において前記本体(100)にすでに搭載されている場合、係止解除および解放位置に向かう前記レバーの回転により、前記キャリアスタッド(193)は、反対の方向において前記円軌跡に従い、且つ前記L字形状の第2収納トラック(516)の水平部分により制限されており、前記キャリアスタッド(193)は前記バッテリ(500)を移動させて、てこの作用により前記バッテリをさらに所定の位置へと移動させ、この位置において、前記バッテリの上部長辺(510)および底部長辺(513)は前記バックボーン(140)の上部長辺および底部長辺のそれぞれに対して持ち上げられて、前記バッテリの電気コネクタ(580)は前記本体の電気コネクタ(180)から完全に持ち上げられて離脱される、請求項
9に記載の無人航空機。
【請求項11】
前記バックボーンは、
カメラ脚およびそれに類似した機器を取り付けるための4つの細長いキャビティ、および少なくとも1つの外側バックボーン長
辺を備えている、請求項1から
10のいずれか一項に記載の無人航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添付の特許請求の範囲の前段に特定されたような、無人航空機(UAV)に関する。
【背景技術】
【0002】
無人の、遠隔操作型または自立型の航空機は、近年において非常に人気を得ている。そのような航空機は一般的にドローンと称され、法執行機関および救助機関の専門家により、航空写真、調査、および貨物の搬送等に現在では広範囲に使用されている。したがって、比較的重い貨物を運搬することが可能であり、小型の状態で現場に搬送され得、且つ迅速に展開および飛行の準備ができるドローンが、必要とされている。
【0003】
先行技術は、貨物コンテナ、陸上車両、船舶、医療用輸送モジュール等に連結可能な航空機を備えたモジュール型手段を記載した特許文献1を含んでいる。一実施形態において、航空機は、主機体フレームの周りに配置された複数のプロペラを備え、これらのプロペラは、垂直推進力および/または水平推進力を提供することが可能である。1つ以上のプロペラは、機体フレームに対して前傾し、後傾し、および左右に傾斜するように構成され得る。
【0004】
先行技術は、使用していない場合に自身の体積を減少させることが可能なドローンを記載した特許文献2も含んでいる。ドローンの機体フレームは長方形であり、ドローンの(ロータが搭載された)アームは、機体フレームに沿って折り畳まれるように旋回可能である。機体フレームの前部の幅は、後部の幅よりも大きく、それにより前後のアームは、横に並んで、互いに重なることなく折り畳まれることが可能である。
先行技術は特許文献3も含んでおり、特許文献3は、無人航空機本体およびバッテリカバーを備えた、バッテリ自己離脱無人航空機のためのバッテリ固定および装着構造を記載している。バッテリを収容するために使用されるバッテリ室は、無人航空機本体の底部に形成されている。ヒンジ接続穴が、バッテリ室の一側に形成されている。ヒンジ接続穴と合致するヒンジ接続ピラーは、バッテリカバーの対応した一側に配置されている。ヒンジ接続ピラーは、ヒンジ接続穴内に接続され、バッテリカバーを無人航空機本体上にヒンジ接続することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2008/147484号パンフレット
【文献】大韓民国特許第10-1527544号明細書
【文献】国際公開第2017/185487号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、信頼性が高く、長期間安定したロータ翼マルチコプター型の、および複数のモータを備え高速展開可能な航空機を提供することであり、それらはドローンとして有利に操作可能であり、機体に固定されたまたはスリングでドローンに接続された重い貨物を運搬するように設計されている。貨物は約5kgから約500kgの範囲とし得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、単一の主機体を備えて、およびここに図示され且つ記載されたような、有利に揺動可能なアームマウントを備えて実施された、急速展開可能な無人マルチコプターのような、ロータ翼揚力発生手段を備えた急速展開可能な航空機、有利に急速展開可能な無人航空機(UAV)が、用途における使用に関して非常に望ましいものとされる有利な特性および能力を示すことを見出した。その用途では、有人飛行機または有人ヘリコプターのような有人航空機が、人員にもしくは装備に対して高い危険性もしくは高コストを含んでいるか、または特に、不利な運転条件下での緊急事態においてその使用を禁止するような、その運転においてその他の実質的な制限を満たしている。本発明の装置は、特に急速展開を提供すること、および実質的に経時変化しないままである安定性を有し、ほんの数分で動作の準備を完了すること、を可能にしている。
【0008】
本発明は、主請求項において説明され且つ特徴付けられており、一方で従属請求項は、本発明の他の特徴を記載している。
【0009】
したがって、前方エンドピースおよび後方エンドピースを備えた少なくとも1つのバックボーンと称される細長い主フレームを備えた主本体を有する無人航空機が提供されており、エンドピースはバックボーンよりも幅広であり、且つ個々のロータアームのための連結機器を備え、各々のロータアームは、モータおよびプロペラアセンブリを支持するように構成されており、無人航空機は、一対の細長いバッテリをさらに備え、バックボーンの両側に個々に電気バッテリを解放可能に受容するための収納部を形成しており、バッテリ、バックボーン、およびエンドピースは、細長く略長方形の本体アセンブリを形成している。
【0010】
一実施形態においては、各ロータアームは、エンドピースに連結するように形成された連結手段を一方の端部に、およびアーム折り畳みヒンジの第1部分を第2の端部に備えたアーム内側部分と、モータおよびプロペラアセンブリのためのアダプタを一方の端部に、およびアーム折り畳みヒンジの第2部分を第2の端部に備えたアーム外側部分と、アーム内側部分およびアーム外側部分の最初の一方に配置された、変位可能なバネ付勢されたヒンジロック手段と、を備えている。折り畳まれていない位置に位置決めされた場合に、アームは、アーム外側部分の穴に入るように形成された、バネ付勢されたコッタピンをさらに備えている。
【0011】
本発明は、揚力発生手段を備えた航空機のための、揺動可能なアームマウントを提供しており、航空機は有利にマルチコプターである。
【0012】
したがって、本発明は主本体を備えた無人マルチコプターを提供することが可能であることを意図されており、この主本体は、
第1端部および第2端部を備えた、軽金属の押出プロファイルの単一部品から形成された細長いバックボーン(中央本体/機体)であって、その内部の4つの細長いキャビティ、および少なくとも1つの外側「バックボーン」長辺、ならびにカメラ脚およびそれに類似した機器を取り付けるための例えば装着トラック等の他の外形特性を備えた、バックボーンと、
「バックボーン」の第1端部に装着するための前方エンドピースであって、「バックボーン」に装着される部分の幅がバックボーンよりも広い幅を有し、少なくとも第1前方ショルダおよび第2前方ショルダを提供し、各ショルダはロータアームのための連結機器を備え、追加的にアンダーキャリッジ(少なくとも1つの脚)のための前方装着機器も備えた、前方エンドピースと、
「バックボーン」の第2端部に装着するための後方エンドピースであって、「バックボーン」に装着される部分の幅がバックボーンよりも広い幅を有し、少なくとも第1後方ショルダおよび第2後方ショルダを提供し、各ショルダはロータアームのための連結機器を備え、追加的にアンダーキャリッジ(少なくとも1つの脚)のための後方装着機器も備えた、後方エンドピースと、
機首エンドキャップおよびステムエンドキャップと、
前方装着機器を提供するための追加の前方アダプタプレート、および前方エンドピースと機首エンドキャップとの間のアダプタと、
後方装着機器を提供するための追加の後方アダプタプレート、および後方エンドピースとステムエンドキャップとの間のアダプタと、
4つの折り畳み可能なロータアームであって、各ロータアームは、エンドピースの連結機器に連結するように形成された連結手段を一方の端部に、およびアーム折り畳みヒンジの第1部分を第2の端部に備えたアーム内側部分と、ロータアセンブリのためのアダプタを一方の端部に、およびアーム折り畳みヒンジの第2部分を第2の端部に備えたアーム外側部分と、アーム内側部分およびアーム外側部分の最初の一方に配置され、折り畳まれていない位置に位置決めされた場合に、前記アーム内側部分および前記アーム外側部分の他方の穴にはいるように形成された、バネ付勢されたコッタピンを備えた、変位可能なバネ付勢されたヒンジロック手段と、を備え、4つのロータアセンブリの各々が、ロータアセンブリのための個々の1つのアダプタに取り付けられたロータマウント上のモータの、少なくとも1つのプロペラを備えた、折り畳み可能なアームと、を備えている。
【0013】
好適に、本発明は無人マルチコプターを提供することが可能であり、このマルチコプターは、少なくとも1つの細長いエネルギ容器、好適に電気バッテリを備え、バッテリは、第1端部、第2端部、および「バックボーン」の少なくとも1つの長辺に隣接して配置されるように形成された外側バッテリ長辺を備え、第1端部および第2端部の少なくとも一方に取付手段を備え、この取付手段は、前方エンドピースおよび後方エンドピースの少なくとも一方に配置された、少なくとも1つの協働する取付手段と固定的係合状態となるように形成されている。
【0014】
本発明の前述のおよび他の特徴は、添付された概略的な図を参照するとともに、非限定的な例として提供された実施形態の優先的形式の以下の記載から明確になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】完成して飛行準備ができた状態の、本発明によるマルチコプタードローンの実施形態を上から見た第1の斜視図である。
【
図2】
図1に示された、本発明によるマルチコプタードローンの実施形態を下から見た第2の斜視図である。
【
図3】
図1および
図2に示された、本発明によるマルチコプタードローンの実施形態を上から見た第3の斜視図であり、バッテリはドローンの本体から取り外されて持ち上げられている。
【
図4】
図1、
図2、および
図3に示された、本発明によるマルチコプタードローンの実施形態を下から見た第4の斜視図であり、バッテリはドローンの本体から取り外されて持ち上げられている。
【
図5】完成して格納または輸送のために折り畳まれた状態の、本発明によるマルチコプタードローンの実施形態を上から見た第1の斜視図である。
【
図6】
図5に示された、本発明によるマルチコプタードローンの実施形態を下から見た第2の斜視図である。
【
図7】
図5および
図6に示された、本発明によるマルチコプタードローンの実施形態を上から見た第3の斜視図であり、バッテリはドローンの本体から取り外されている。
【
図8】
図5、
図6、および
図7に示された、本発明によるマルチコプタードローンの実施形態を下から見た第4の斜視図であり、バッテリはドローンの本体から取り外されている。
【
図9】
図1、
図2、
図3、および
図4に示された、本発明によるマルチコプタードローンの実施形態の主部品を上から見た第1の分解斜視図である。
【
図10】
図1、
図2、
図3、
図4、および
図9に示された、本発明によるマルチコプタードローンの実施形態の主部品を下から見た第2の分解斜視図である。
【
図11】本発明によるマルチコプタードローンのバッテリ保持および係止手段の解除状態を詳細に示した第1の斜視図である。
【
図12】
図11にも示された、本発明によるマルチコプタードローンのバッテリ保持および係止手段の係止状態を詳細に示した第2の斜視図である。
【
図13】本発明によるマルチコプタードローンのための、バッテリの端部のバッテリ係止手段の要素を詳細に示した第1の斜視図である。
【
図14】本発明によるマルチコプタードローンのための、ロータアームの前方アーム折り畳みヒンジ部が展開された状態を詳細に示した第1の斜視図である。
【
図15】本発明によるマルチコプタードローンのための、ロータアームの後方アーム折り畳みヒンジ部が展開された状態を詳細に示した第1の斜視図である。
【
図16】本発明によるマルチコプタードローンに関して、ロータアームの前方アーム折り畳みヒンジ部が折り畳まれた状態を詳細に示した第1の斜視図である。
【
図17】本発明によるマルチコプタードローンに関して、ロータアームの後方アーム折り畳みヒンジ部が折り畳まれた状態を詳細に示した第1の斜視図である。
【
図18】本発明によるマルチコプタードローンに関して、ロータアームの前方アーム折り畳みヒンジ部が展開された状態を上から示した第1の斜視図に見られる、第1の詳細再断面図である。
【
図19】
図17にも示された、本発明によるマルチコプタードローンに関して、ロータアームの後方アーム折り畳みヒンジ部が展開された状態上から示した第2の斜視図に見られる、第2の詳細再断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の記載は、「水平な」、「垂直な」、「横方向」、「後および前」、「上および下」、「上側」、「下側」、「内側」、「外側」、「前方」、「後方」等の用語を使用し得る。これらの用語は、全体的に図に示されたような視点および配向を参照しており、それらは本発明の通常の使用に関連している。これらの用語は、読者の利便のみのために使用され、限定されない。
【0017】
以下の記載における簡素化のために、完成したなロータアーム、ならびにモータマウント、モータ、およびプロペラを備えたロータアセンブリ、を備えたアセンブリは、高頻度で「アーム」と称される。バッテリ、アーム、およびアンダーキャリッジを除いて、(一般に「バックボーン」と称される)主フレーム、エンドピース、エンドキャップ、およびそれらに装着された部品を備えたドローン本体は、高頻度で「本体」と称される。
【0018】
最初に
図1から
図4を参照すると、展開されて本体100から広がったアーム200を備えた構成における、本発明の実施形態による完成したロータ翼マルチコプターが示されており、これは、完全に展開された状態でロックされ、飛行の準備ができている。
図1は、主アセンブリ、および自身に装着された一対のバッテリ500を備えた本体100のような部品を示しており、これらは細長く且つ略長方形の本体アセンブリを形成している。ロータアセンブリ400、および複数の脚600を含んだアンダーキャリッジを備えた複数のロータアーム200は、本体100に装着されている。
【0019】
図2は、センサ窓111を備えた前方エンドキャップ110、追加の前方アダプタプレート120、前方エンドピース130、バックボーン140、後方エンドピース150、追加の後方アダプタプレート160、ステムエンドキャップ170、およびバッテリ係止手段190等の、本体100の部品およびサブアセンブリ、アーム内側部分210、アーム外側部分220、およびアーム折り畳みヒンジ係止手段230等の、アーム200の部品およびサブアセンブリ、ならびにロータマウント410、上側モータおよびプロペラアセンブリ420A、および下側モータおよびプロペラアセンブリ420B等の、ロータアセンブリ400の部品およびサブアセンブリ、を示している。
【0020】
図3および
図4は、本体バックボーン140、ならびに前方ショルダ131および132を示しており、これらのショルダは、前方アーム200の本体100への固定的な取り付けに寄与するために配置された、前方エンドピース130に配置されたアダプタを備えている。対応して、後方エンドピース150は後方ショルダ151および152を含んでおり、これらのショルダは、後方アーム200の本体100への固定的な取り付けに寄与するために配置された、後方エンドピース150に配置されたアダプタを備えている。
【0021】
電気的接続のためのバッテリコネクタ180は、バックボーン140の少なくとも一方の側部に設けられ、バッテリの嵌合電気コネクタ580との接続に寄与するように形成されている。バッテリ保持および係止手段第1部品190は、前方エンドピース130および後方エンドピース150のそれぞれの側部に配置されており、これらの部品は本体100の長手軸に略直交し且つ互いに向き合っている。バッテリ保持および係止手段第2部品514は、バッテリ保持および係止手段第1部品190と協働して係合するように設計されており、各バッテリ500のそれぞれの端部に配置されている。
図3および
図4を参照すると、バッテリ保持および係止手段190は、係止解除且つバッテリを解放した位置で示されており、前方エンドピース130および後方エンドピース150の側部の下縁から突出したL字形状要素が見えており、これらの要素は互いに向き合っており、バッテリ500が本体のこれらの側部の間に装着されていない場合に、これらの要素が見えることが理解されるべきである。
【0022】
図5から
図8を参照すると、アーム200が本体100に対して折り畳まれ且つ折り畳まれた状態で係止されて、格納または搬送の準備が完了した構成において、本発明によるロータ翼マルチコプターが示されている。
図5から
図8は、アーム折り畳みヒンジ係止手段230の係止スライダ231および係止ピン232、アーム内側部分210の端部218、ならびにアーム外側部分220の端部225を特定しており、両方の端部は円錐曲線回転面のセクションに対応した形状である。アーム内側部分210の端部215およびアーム外側部分220の端部228は、中空の円錐曲線回転面のセクションであり、端部225および218に合致する形状であり、アームが折り畳まれた状態から展開された状態へと折り畳みヒンジの周りに回転された場合に、それぞれが端部225および218のそれぞれを受容する。それにより、折り畳み位置と展開位置との間を移動する場合に、アームの長手軸の周りにおよび長手軸を横切って作用するトルクおよび剪断力等の力は、内側部分210と外側部分220との間に直接伝達され、ヒンジピンに応力を加えることなく、アーム外側部分がヒンジピンの周りを回転する。
【0023】
図8は、単一バックボーン140内の装着トラック145を特定しており、このトラック内に、例えばカメラ脚等の補助装備が装着され得る。
図1および
図2と同様に
図5から
図8において、バッテリ保持および係止手段190のレバーは、本体の所定の位置にバッテリを係止および保持するための位置にあり、前方エンドピース130および後方エンドピース150の下縁から突出した、
図3および
図4に示されたL字形状レバー要素は、
図1および
図2と同様に
図5および
図6においては、バッテリ500が完全に本体に装着された場合に、前方エンドピース130および後方エンドピース150の凹部内に配置され、これらの凹部とそれぞれの隣接した側端部514との間にほぼ隠れていることが理解されるべきである。
【0024】
ここで
図9および
図10を参照すると、本発明による航空機のマルチコプターの実施形態の主要素およびサブアセンブリが図示され、且つ特定されている。
図9は、機首エンドキャップ110、追加の前方アダプタプレート120、前方エンドピース130、バッテリに接続するための電気コネクタ180を備えた本体バックボーン140、バッテリ保持および係止手段190の部品を備えた後方エンドピース150、追加の後方アダプタプレート160、ステムエンドキャップ170等の、本体100の要素およびサブアセンブリ、アーム内側部分210、アーム折り畳みヒンジ手段230、およびアーム外側部分220等の、ロータアーム200の要素およびサブアセンブリ、ならびにモータマウント410、上側ロータアセンブリ420A、および下側ロータアセンブリ420B等の、ロータ400の要素およびサブアセンブリ、を示している。
図10は、アーム内側部分210の端部218、およびアーム外側部分220の端部225を図示および特定しており、両方の端部は、円錐曲線回転面の一部のセクションに対応した形状である。アーム内側部分210の端部215およびアーム外側部分220の端部228は、中空の同様の円錐曲線回転面のセクションであり、端部225および218と相補的に合致した形状であり、これによりアームが折り畳まれた状態から展開された状態へと折り畳みヒンジの周りに回転した場合に、それぞれが端部225および218のそれぞれを受容することが可能である。
【0025】
ここで
図11および
図12を参照すると、本発明の航空機の実施形態による、マルチコプターの前方エンドピース130および後方エンドピース150の側部に配置されるバッテリ係止手段190の要素およびサブアセンブリが図示および特定されており、
図13を参照すると、細長いバッテリ500の端部の短辺514に配置されたバッテリ保持および係止手段の要素およびサブアセンブリが図示および特定されている。
【0026】
図11および
図12は、レール191、指把持開口部196、レバー回転軸および軸受195、キャリアスタッド193、およびレバーラッチカム194を備えたレバー192、ならびにレバーラッチピンおよび解除ボタン198を図示および特定している。便宜上、次の
図13を参照すると、バッテリ500の上部長辺510、内側長辺511、外側長辺512、底部長辺513、および端部短辺514を含んだバッテリ500の特徴を図示および特定しており、このバッテリは端部短辺514において、直線の第1収納トラック515およびL字形状の第2収納トラック516を含んだバッテリ保持および係止手段を備え、両方のトラックは、底部長辺513の端縁に端部開口部を備えている。直線の第1収納トラック515はその開口部にレール191を受容して、バッテリ500を本体100上でスライドさせるように制御する寸法とされ、且つバッテリの端部短辺514上に配置されており、これによりバッテリをバックボーン140の長辺に隣接するように配置し、且つバッテリの電気コネクタ580を本体100の電気コネクタ180と位置合わせするように配置している。
【0027】
L字形状の第2収納トラック516の開口部は、バッテリの端部短辺514に配置されており、これにより
図11に示された係止解除および解放位置に位置したレバー192のキャリアスタッド193を受容することを可能にしている。L字形状の第2収納トラック516の角部は、電気コネクタ580が電気コネクタ180と接触しようとする位置まで、バッテリがレール191に沿って滑った場合に、キャリアスタッド193と接触するように配置されており、この位置において、キャリアスタッド193は、レバーがその回転軸および軸受195の周りに回転されるまで、バッテリのさらなる移動を停止させる。そのとき、バッテリ係止位置へと向かうレバーの回転は円軌跡に従い、且つL字形状の第2収納トラック516の水平部分により制限され、キャリアスタッド193はバッテリ500を移動させて、てこの作用によりバッテリをさらに所定の位置へと移動させ、この位置において、バッテリの上部長辺510および底部長辺513がバックボーン140の上部長辺および底部長辺のそれぞれと略同一平面上となり、且つバッテリの電気コネクタ580は本体の電気コネクタと完全に嵌合して接続される。
【0028】
逆に、保持および係止された位置にある、本体100にすでに搭載されたバッテリ500に関して、レバーの係止解除および解放位置に向かった回転により、キャリアスタッド193が反対方向の円軌跡に従い、且つL字形状の第2収納トラック516の水平部分により制限されて、キャリアスタッド193はバッテリ500を移動させて、てこの作用によりバッテリをさらに所定の位置へと移動させ、この位置において、バッテリの上部長辺510および底部長辺513は、バックボーン140の上部長辺および底部長辺のそれぞれに対して持ち上げられ、バッテリの電気コネクタ580は本体の電気コネクタ180から完全に持ち上げられて離脱される。バッテリ500を保持および係止するための位置に入る際に、レバーラッチカム194はレバーラッチピンおよび解除ボタンアセンブリ198のバネ付勢されたレバーラッチピンに接触し、レバーラッチピンがカムの底部にあるカムの凹部内に落下する位置へとレバーが回転するまで、レバーラッチピンを移動させ、それにより、バッテリ500を保持および係止するための位置に固定されたレバー192を本体100の所定の位置にラッチする。カムによるレバーラッチピンの移動は、解除ボタンを個々のエンドピース130、150内に後退させるために、レバーラッチピンおよび解除ボタンアセンブリ198の解除ボタンも移動させる。解除ボタンのカム効果による後退で非表示になる解除本体の側面は、有利にシグナルカラーで塗装されており、したがって、個々のエンドピース内に後退していない場合に、不正確な配置且つレバーがラッチされていないことの信号が明確に見えることに寄与している。
【0029】
ここで
図14および
図15を参照すると、前方エンドピース130および後方エンドピース150の前方ショルダ131および後方ショルダ151をより詳細に図示および特定しており、これらのショルダは、アーム200が完全に折り畳まれておらず、且つ展開されて飛行の準備ができた状態である場合に、アーム内側部分210の内側端部、ならびにアーム内側部分210、アーム外側部分220、およびアーム折り畳みヒンジ手段230の集合体を受け入れ且つ本体100に固定するように形成されている。
【0030】
ここで
図16および
図17を参照すると、前方エンドピース130および後方エンドピース150の前方ショルダ131および後方ショルダ151をより詳細に図示および特定しており、これらのショルダは、アーム200が完全に折り畳まれて、且つ格納または輸送の準備ができた状態である場合に、アーム内側部分210の内側端部、ならびにアーム内側部分210、アーム外側部分220、およびアーム折り畳みヒンジ手段230の集合体を受け入れ且つ本体100に固定するように形成されている。この集合体内にも示されたように、係止手段スライダ231は、アーム係止ピン232をアイドル位置から押し込むように動作可能である。アイドル位置において、アーム係止ピンはアーム内側部分210の外側端部から突出しており、且つアーム外側部分220のアーム係止ピン受容開口部221内には、アーム係止ピン232が突出して、アーム200を完全に折り畳まれておらず、展開されて飛行の準備ができた状態に固定する。
図16および
図17は、個々のエンドピース130、150内に完全に引き込まれた解除ボタンをさらに図示しており、個々のバッテリ保持および係止手段190のレバー192が正確に配置されて、バッテリ500を保持および係止していることを示している。
【0031】
ここで
図18および
図19を参照すると、完全に折り畳まれておらず展開され且つ係止された状態にあるロータアームを備えた、アーム折り畳みヒンジおよび係止手段をより詳細に図示および特定しており、この位置において飛行準備ができた状態にある。アーム200を折り畳むための回転軸は、ヒンジリング235により形成されており、このヒンジリングは、アーム外側部分220内に配置されたリングマウント235Aによりアーム内側部分210に取り付けられている。アーム内側部分210のリング形状のキャビティは、ヒンジリング235のための案内溝を形成しており、それによりアーム内側部分210およびアーム外側部分220が、完全に折り畳まれた位置から、完全に折り畳まれておらず展開された位置へのすべての位置において、互いに対して接続されたまま回転可能であることを可能にしたヒンジを提供している。アーム係止ピン232はスライダ231に接続されており、バネ233はアーム係止スライダ232を付勢しており、これによりスライダはアイドリング位置に維持され、この位置において、アーム係止ピン232は、アーム外側部分220内に配置されたアーム係止開口部221内に突出している。
【0032】
インターロックボタン231Aはアーム係止スライダ231に設けられて、インターロックボタン231Aを押すことにより係止解除されるまで、スライダ231の任意の不慮の移動を阻止している。係止カム234はスライダ231に接続されて、ヒンジリング235に設けられた複数の係止スロット236のうちの1つに滞在するために配置されている。それにより、係止カム234および係止スロット236は、完全に折り畳まれていない展開された位置において、アーム部分を適所に係止されたままに維持するためのさらなる手段を提供している。少なくとも1つの係止スロット236は、アームが完全に折り畳まれた場合に、係止カムが係止スロット内に滞在させられることを可能にするために、ヒンジリングの角度位置に設けられ、それにより、折り畳まれた位置においてもそれぞれのアーム内側部分に対するアーム外側部分の係止を提供して、例えば輸送、保守、格納、または他の状態のための取り扱いの間に、アームが不意に展開することを阻止している。
図18および
図19はアーム内側部分210の内側部211も示しており、この部分は、例えばショルダ131、ショルダ132、およびショルダ151のように、本体のエンドピース内の先細りの形状と合致して嵌合するような先細りの形状に構成されている。有利には、アーム内側部分210の端部211は、不等辺四辺形の外形断面を有し、この形状は、先端から内側の断面よりも小さい、端部211の先端の断面に対応している。
【0033】
例として、本発明を実施したUAVは、上側モータおよびプロペラアセンブリ420Aのみまたは下側モータおよびプロペラアセンブリ420Bのみが含まれる実施形態であり得る。それに類似して、モータサポートは、ここに開示された配向とは異なった配向とされてもよく、アーム部分は、1つのデザインのみが本発明について図示され且つ説明されているが、異なったデザインとされてもよい。
【符号の説明】
【0034】
100 ・・・本体
110 ・・・前方エンドキャップ
111 ・・・センサ窓
120 ・・・追加の前方アダプタプレート
130 ・・・前方エンドピース
131、132 ・・・前方ショルダ
140 ・・・バックボーン
145 ・・・装着トラック
150 ・・・後方エンドピース
151、152 ・・・後方ショルダ
160 ・・・追加の後方アダプタプレート
170 ・・・ステムエンドキャップ
180 ・・・バッテリコネクタ
190 ・・・バッテリ係止手段
191 ・・・レール
192 ・・・レバー
193 ・・・キャリアスタッド
194 ・・・ラッチカム
195 ・・・レバー回転軸および軸受
196 ・・・指把持開口部
198 ・・・レバーラッチピンおよび解除ボタンアセンブリ
200 ・・・アーム
210 ・・・アーム内側部分
220 ・・・アーム外側部分
221 ・・・アーム係止開口部
230 ・・・アーム折り畳みヒンジ係止手段
231 ・・・係止スライダ
232 ・・・係止ピン
233 ・・・バネ
234 ・・・係止カム
235 ・・・ヒンジリング
236 ・・・係止スロット
400 ・・・ロータアセンブリ
410 ・・・ロータマウント
420A ・・・上側モータおよびプロペラアセンブリ
420B ・・・下側モータおよびプロペラアセンブリ
500 ・・・バッテリ
510 ・・・上部長辺
511 ・・・内側長辺
512 ・・・外側長辺
513 ・・・底部長辺
514 ・・・端部短辺
515 ・・・第1収納トラック
516 ・・・第2収納トラック
580 ・・・嵌合電気コネクタ
600 ・・・脚