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特許7285876生体物質を分析するための方法及びシステム、並びにそのようなシステムの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】生体物質を分析するための方法及びシステム、並びにそのようなシステムの使用
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/20 20060101AFI20230526BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230526BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20230526BHJP
   G01N 5/04 20060101ALI20230526BHJP
   G16H 10/40 20180101ALI20230526BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20230526BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20230526BHJP
【FI】
G01N25/20 B
A61B5/00 G
G01N33/483 D
G01N5/04 A
G16H10/40
G16H20/00
G16H50/30
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021067439
(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公開番号】P2021177172
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】10 2020 112 538.0
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】301077552
【氏名又は名称】ネッチ ゲレーテバウ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ タウブマン
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0029858(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0011874(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0003995(US,A1)
【文献】国際公開第2017/066800(WO,A1)
【文献】特開2016-224030(JP,A)
【文献】特表2007-523319(JP,A)
【文献】特開2010-237098(JP,A)
【文献】特開2001-027624(JP,A)
【文献】特表2019-509452(JP,A)
【文献】国際公開第2012/109383(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/00-25/72
A61B 5/00- 5/01
A61B 5/02- 5/03
A61B 5/06- 5/22
G01N 33/48-33/98
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の生体物質を含む試料(4)を、測定装置(2)のセンサ(3)上に導入するステップ(V1)と、
前記測定装置(2)により、前記試料(4)の測定値を取得するステップ(V2)であって、前記試料(4)のパラメータは取得中に変化するステップ(V2)と、
前記測定値を、前記測定装置(2)と無線で通信する評価装置(5)に送信するステップ(V3)と、
第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンス(6a)を実行する前記評価装置(5)により、前記測定値に基づいて健康状態を特徴付けるデータ構造によって前記患者の前記健康状態を評価するステップ(V4)と、
前記健康状態を、ディスプレイ(7)上に視覚化又は視聴覚化するステップ(V5)と、を含む、生体物質をダイナミック示差走査熱量測定(DSC)により分析するための方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記健康状態を評価する前記ステップ(V4)において、前記測定値に加えて、医療情報を含むデータセットも考慮する、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記データセットが、他の患者から得た比較可能な測定値(VM)、及び/又は、前記比較可能な測定値に適用された治療措置を含み、評価装置(5)をデータ処理装置と通信結合するステップ(V3.1)により、前記データセットを前記評価装置(5)に送信する方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の方法であって、前記データセットが、患者のバイタルパラメータ(VP)を含み、前記評価装置(5)を診断装置及び/又はコンピュータハードウェアと通信結合するステップ(V3.2)により、前記バイタルパラメータ(VP)を前記評価装置(5)に送信し、前記バイタルパラメータ(VP)を、生体物質を含む前記試料(4)と実質的に同時に取得する方法。
【請求項5】
請求項1~4の少なくとも何れか一項に記載の方法であって、前記測定装置(2)が、前記生体物質が熱プロセス中に放出又は吸収した熱量を測定するために、熱分析を実施する方法。
【請求項6】
請求項1~5の少なくとも何れか一項に記載の方法であって、前記測定装置(2)又は前記センサ(3)を、前記評価するステップ(V4)の後に廃棄する方法。
【請求項7】
請求項1~6の少なくとも何れか一項に記載の方法であって、前記評価装置(5)が、各通信インターフェースを介して装置と無線で通信する、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記装置(9)上又はサーバ(9)上に記憶されると共に、前記評価装置(5)の前記第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンス(6a)に比べて健康状態をより正確に評価可能とする第2アプリケーション・ソフトウェアインスタンス(6b)を、前記健康状態の評価ステップ(V4)中に実行し、及び/又は、前記健康状態を、前記装置のディスプレイ(7)上に視覚化若しくは視聴覚化する方法。
【請求項9】
請求項1~8の少なくとも何れか一項に記載の方法であって、前記評価した健康状態に応じて前記患者の治療措置を支援するために、建物内の通信対応設備を制御するステップ(V6)を更に含む方法。
【請求項10】
患者の生体物質を含む試料(4)を有すると共に前記試料(4)の測定値を取得するよう構成されたセンサ(3)を有する測定装置(2)と、
第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンス(6a)を有し、前記測定値を無線で受信すると共に、前記測定値に基づいて健康状態を特徴付けるデータ構造によって前記患者の前記健康状態を評価するよう構成された評価装置(5)と、
前記健康状態を視覚化又は視聴覚化するよう構成されたディスプレイ(7)と、を備
前記測定装置(2)による測定中、前記試料(4)のパラメータは変化する、
生体物質をダイナミック示差走査熱量測定(DSC)により分析するためのシステム(1)。
【請求項11】
請求項10に記載のシステム(1)であって、前記評価装置(5)が、通信インターフェース(8)を更に有し、前記通信インターフェース(8)が、前記評価装置(5)と前記システム(1)の通信装置(9)との間で無線通信接続を確立すると共に、前記健康状態を評価するために、医療情報を含むデータセットを前記システム(1)の前記通信装置(9)から前記評価装置(5)に無線で伝達するよう構成されている、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステム(1)であって、前記システム(1)の前記通信装置(9)が、データ処理装置として構成されると共に、前記通信インターフェース(8)を介して前記評価装置(5)と通信結合される、システム。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のシステム(1)であって、前記システム(1)の前記通信装置(9)が診断装置として、及び/又は、コンピュータハードウェアとして構成されると共に、前記通信インターフェース(8)を介して前記評価装置(5)と無線通信結合される、システム。
【請求項14】
請求項11~13の少なくとも何れか一項に記載のシステム(1)であって、前記システム(1)の前記通信装置(9)が、前記健康状態を視覚化又は視聴覚化するために構成されている、システム。
【請求項15】
請求項11~14の少なくとも何れか一項に記載のシステム(1)であって、前記システム(1)の前記通信装置(9)又は前記通信インターフェース(8)を介して無線で結合された前記システム(1)のサーバ(9)が、前記評価装置(5)の前記第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンス(6a)に比べて前記健康状態をより正確に評価可能とする第2アプリケーション・ソフトウェアインスタンス(6b)を有するシステム。
【請求項16】
請求項10~15の少なくとも何れか一項に記載のシステム(1)であって、前記測定装置(2)が、前記生体物質が熱プロセス中に放出又は吸収した熱量を測定するために、熱分析を実施可能とするよう更に構成されている、システム。
【請求項17】
請求項10~16の少なくとも何れか一項に記載のシステム(1)であって、前記測定装置(2)及び/又は前記センサ(3)が、使い捨て製品である、システム。
【請求項18】
請求項10~17の少なくとも何れか一項に記載のシステム(1)であって、前記測定装置(2)、前記評価装置(5)、及び前記ディスプレイ(7)がハウジングによって少なくとも部分的に包囲されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体物質、特に血液、尿、汗、皮膚組織を分析するための方法及びシステム、特にダイナミック示差走査熱量測定(DSC)により分析するための方法及びシステム、並びにそのようなシステムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイナミック示差走査熱量測定(DSC)を利用して疾患を認識するための分析は、通常、医療分野における研究で実施されている。必要な測定機器の構成は、主として、研究所で使用可能な一般的な機器を含む。従って、測定装置及び電力供給部など一部の構成要素は、例えば電力ケーブルを介して建物の電源に接続されるため、移動できないよう構成されている。また、測定機器のコストは、研究機関以外の機関や個人では負担できない水準にあり、従って購入を断念している。その結果、必要な分析に関して特に待ち時間が極めて長くなっており、単位時間当たりの分析能力が極めて小さい。
【0003】
更に、研究所における調査によれば、ダイナミック示差走査熱量測定による分析により、疾患を認識したり疾患の経過を観察したりできることが判明している。そのような分析は、代替的に実施可能な従来の血液分析と比較して、患者の健康状態について極めて詳細な情報を提供することができる。
【0004】
研究目的で一般的に使用されている装置及び方法が既知である。
【0005】
特許文献1(米国特許出願公開第2019/0003995号明細書)には、生体試料中のタンパク質及び/又は代謝産物の耐熱性変異を検出することによって疾患を認識すると共に、治療効果を観察するためのダイナミック示差走査熱量測定計装置が記載されている。
【0006】
特許文献2(国際公開第2017/066800号パンフレット)には、熱安定性プロファイルを利用して、生体試料に関連するリスクを特徴付け及び/又は予測するための方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2019/0003995号明細書
【文献】国際公開第2017/066800号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、疾病の認識を、より費用対効果高く、より容易に、より迅速に実現可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明によれば、各独立請求項に記載の対象によって解決される。
【0010】
本発明の第1態様によれば、生体物質、特に血液、尿、汗、皮膚組織を分析するための方法、特にダイナミック示差走査熱量測定(DSC)により分析するための方法が提供される。本発明の方法は、患者の生体物質を含む試料を、測定装置のセンサ上に導入するステップと、測定装置により、測定値を取得するステップとを含む。本発明の方法は、その測定値を、測定装置と通信する評価装置に送信するステップと、第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンスを実行する評価装置により、測定値に基づいて健康状態を特徴付けるデータ構造によって患者の健康状態を評価するステップと、健康状態を、ディスプレイ上に視覚化又は視聴覚化するステップとを更に含む。
【0011】
本発明の第2態様によれば、生体物質、特に血液、尿、汗、皮膚組織を分析するためのシステム、特にダイナミック示差走査熱量測定(DSC)により分析するためのシステムが提供される。本発明のシステムは、患者の生体物質を含む試料を有すると共に、測定値を評価装置に送信するよう構成されたセンサを有する測定装置を備える。本発明のシステムは、第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンスを有し、測定値を受信すると共に、測定値に基づいて健康状態を特徴付けるデータ構造によって患者の健康状態を評価するよう構成された評価装置とを更に備える。本発明のシステムは、健康状態を視覚化又は視聴覚化するよう構成されたディスプレイを更に備える。
【0012】
本発明の第3態様によれば、生体物質を分析するための本発明に係るシステムの使用が提供される。
【0013】
本発明の根底にある考えは、患者の健康状態を迅速に認識すると共に、健康状態の経過を詳細に観察することである。本発明は、医師のための付加的な補助としてのみならず、個人が日々の健康状態を観察するための独立した機器としても役立てることができる。本発明のシステムは、特に特別な訓練を受けていない人が長い待ち時間なしで、かつ許容可能なコストで自らの健康状態を評価してもらうことを目的としているため、モバイルシステムとして構成されている。更に、システム又はシステムの構成要素は、他の通信対応オブジェクトとも互換性を有することができ及び/又は接続することができるため、例えば身体上で携帯可能である。
【0014】
有利な実施形態及び構成は、独立請求項に関連する従属請求項及び各図を参照した説明から明らかである。
【0015】
本発明の方法の一実施形態によれば、健康状態の評価に際しては、測定値に加えて、医療情報を含むデータセットが考慮される。従って、主要な測定データに留まらず、他の情報源からの包括的なデータセットに基づいて、健康状態をより正確に評価することができる。この場合、関連するデータセットとしては、患者の過去の医療情報及び/又は患者が本発明の方法に加えて利用する他の測定法によるものが想定可能である。
【0016】
一実施形態によれば、データセットは、他の患者の比較可能な測定値、及び/又は、比較可能な測定値に適用された治療措置を含み、測定装置をデータ処理装置と通信結合するステップにより、データセットが評価装置に送信される。従って、他の患者の比較可能な測定値に基づいて、医師又は訓練を受けた他の人によって検証されたその健康状態は、より信頼性の高い情報を得るのに役立つ。更に、治療措置は、例えば比較可能な測定値に関して問題なく適用されているため、ピンポイントで推奨することができる。
【0017】
更なる実施形態によれば、データセットは、患者のバイタルパラメータ、特に血糖値、血圧、心拍数などを含み、評価装置を診断装置、特に血糖値/血圧測定装置など、及び/又は、コンピュータハードウェア、特にフィットネストラッカーと通信結合するステップにより、バイタルパラメータが評価装置に送信され、バイタルパラメータは、生体物質を含む試料と実質的に同時に取得される。従って、健康状態の評価に際しては、特別な訓練を受けていない人が、通常は操作が簡単な装置を独立して使用することによって取得できるデータセットが考慮可能であり、これにより患者の総合的な健康状態をより良好に評価することができる。評価装置には、連続的にデータセットを供給することができるか、又は対応する装置における各リリースによってデータセットを供給することができる。
【0018】
本発明の方法の更なる実施形態によれば、測定装置は、生体物質が熱プロセス中に放出又は吸収した熱量を測定するために、熱分析を実施する。患者の健康状態は、温度の関数としての生体物質の分析によって、より正確に測定することができる。これは、熱分析が標準的な血液分析に比べてより詳細であり、従ってより多くの情報が得られるからである。
【0019】
更なる実施形態によれば、測定装置又はセンサは、評価ステップの後に廃棄される。従って、必要な衛生ガイドラインを遵守することができると共に、健康状態の評価に際して、汚染されたセンサ又は測定装置によるエラーを低減することができる。なぜなら、センサ又は測定装置は、使用する度に常に新しいものであり、例えば個別に包装され、保護包装は、センサ又は測定装置が使用されるまで取り外されないからである。
【0020】
更なる実施形態によれば、評価装置は、各通信インターフェースを介して、好適にはミラー、テレビジョン、及び/又は、コンピュータハードウェア、特にPC、スマートフォン、スマートウォッチ、及び/又は、フィットネストラッカーとして構成された装置と通信する。従って、評価装置は、それ自体がサーバなどと通信結合されていなくても、データセット、特に患者に利用可能なデータメモリ、例えばクラウド、又はクリニックや病院のサーバに記憶されたデータセットを、装置から取得したり装置に送信したりすることができる。これにより、患者の個人データをより容易に保護することが可能である。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、装置上又はサーバ上に記憶されると共に、評価装置の第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンスに比べて健康状態をより正確に評価可能とする第2アプリケーション・ソフトウェアインスタンスは、健康状態の評価ステップ中に実行され、及び/又は、健康状態は、装置のディスプレイ上に視覚化若しくは視聴覚化される。第2アプリケーション・ソフトウェアインスタンスにより、アプリケーションの複雑さ及び情報出力を、第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンスに比べて高めることが可能であり、これにより医師など訓練を受けた人が測定装置で測定された測定値を表示形式で付加的に受け取り、その表示に基づいて、評価装置によって評価された健康状態を検証することができるか、又は訓練を受けていない人が殆ど解釈できない測定値に基づいて受け取る(健康状態があまり差別化されていない)表示形式に比べて、健康状態に関してより包括的な評価を表示形式で受け取ることができる。
【0022】
更なる実施形態によれば、評価した健康状態に応じて患者の治療措置を支援するために、建物内の通信対応設備、特に暖房システム、その建物内の換気システム、及び/又は、アラームを制御するステップを更に含む。従って、患者の周囲環境、特に室温、湿度、及び/又は、明るさを、推奨される治療措置に自動的に適合させることができる。更に、建物内の設備により、例えば次回の投薬時間のリマインダ又は情報を、患者に視覚的及び/又は音響的に伝達することができる。
【0023】
本発明のシステムの一実施形態によれば、評価装置は、通信インターフェースを更に有し、その通信インターフェースは、評価装置と外部通信装置との間で通信接続を確立すると共に、健康状態を評価するために、医療情報を含むデータセットを外部通信装置から評価装置に伝達するよう構成されている。従って、評価装置は、主要な測定データに留まらず、外部通信装置からの付加的なデータセットに基づいて健康状態をより正確に評価することができる。この場合、付加的なデータセットとしては、患者の過去の医療情報及び/又は患者が本発明の方法に加えて利用する他の測定法によるものが想定可能である。
【0024】
本発明のシステムの一実施形態によれば、外部通信装置は、データ処理装置として構成されると共に、通信インターフェースを介して評価装置と通信結合され、データセットは、特に、他の患者の比較可能な測定値、及び/又は、比較可能な測定値に適用された治療措置を含む。従って、医師又は訓練を受けた他の人によって検証され、かつデータ処理装置に記憶された(他の患者の比較可能な測定値に基づく健康状態)を評価装置が利用可能であり、より信頼性の高い情報を得ることができる。更に、治療措置は、例えば比較可能な測定値に関して問題なく適用されているため、ピンポイントでディスプレイに表示することができる。
【0025】
本発明のシステムの更なる実施形態によれば、外部通信装置は診断装置、特に血糖値/血圧測定装置などとして、及び/又は、コンピュータハードウェア、特にフィットネストラッカーとして構成されると共に、通信インターフェースを介して評価装置と通信結合され、データセットは、好適には患者のバイタルパラメータ、特に血糖値、血圧、心拍数などを含む。従って、健康状態の評価に際しては、特別な訓練を受けていない人が、通常は操作が簡単な装置を独立して使用することによって取得できるデータセットが考慮可能であり、これにより患者の総合的な健康状態をより良好に評価することができる。評価装置には、連続的にデータセットを供給することができるか、又は対応する装置における各リリースによってデータセットを供給することができる。
【0026】
本発明のシステムの更なる実施形態によれば、測定装置は、生体物質が熱プロセス中に放出又は吸収した熱量を測定するために、熱分析を実施可能とするよう更に構成されている。患者の健康状態は、測定装置が温度の関数としての生体物質の分析を可能にするという事実によって、より正確に測定することができる。これは、熱分析が標準的な血液分析に比べてより詳細であり、従ってより多くの情報が得られるからである。
【0027】
本発明のシステムの更なる実施形態によれば、測定装置又はセンサは、使い捨て製品である。従って、必要な衛生ガイドラインを遵守することができると共に、健康状態の評価に際して、汚染されたセンサ又は測定装置によるエラーを低減することができる。なぜなら、センサ又は測定装置は、使用する度に常に新しいものであり、例えば個別に包装され、保護包装は、センサ又は測定装置が使用されるまで取り外されないからである。
【0028】
本発明のシステムの一実施形態によれば、外部通信装置は、健康状態を視覚化又は視聴覚化するために、好適にはミラー、テレビジョン、サーバ、及び/又は、コンピュータハードウェア、特にPC、スマートフォン、スマートウォッチ、及び/又は、フィットネストラッカーとして構成されている。従って、評価装置は、それ自体がサーバなどと通信結合されていなくても、データセット、特にクリニックや病院のサーバに記憶されたデータセットを、外部通信装置から取得したり装置に送信したりすることができる。これにより、患者の個人データをより容易に保護することが可能である。
【0029】
本発明のシステムの更なる実施形態によれば、外部通信装置又は通信インターフェースを介して結合されたサーバは、第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンスに比べて健康状態をより正確に評価可能とする第2アプリケーション・ソフトウェアインスタンスを有する。従って、第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンスは、アプリケーションの複雑さ及び情報出力に関して、使用者に期待される専門知識に応じて設定することができる。第2アプリケーション・ソフトウェアインスタンスにより、アプリケーションの複雑さ及び情報出力を、第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンスに比べて高めることが可能であり、これにより医師など訓練を受けた人にも測定値が表示され、その表示に基づいて、評価された健康状態が検証できるか、又は訓練を受けていない人が殆ど解釈できない測定値に基づいて受け取る(健康状態があまり差別化されていない)評価に比べて、健康状態に関してより包括的な評価が表示される。
【0030】
本発明のシステムの更なる実施形態によれば、測定装置、評価装置、及びディスプレイがハウジング、特に共通のハウジングによって少なくとも部分的に包囲されている。従って、システム又はシステムの構成要素は、携帯可能かつポータブルに構成されている。
【0031】
上述した実施形態及び構成は、合理的である限り、互いに任意に組み合わせることができる。更に、本発明の実現可能な実施形態、構成、及びインプリメンテーションには、実施形態の例に関して上記又は下記に記載された本発明の特徴について明記されていない組み合わせも含まれる。特に、当業者であれば、本発明の基本形態に対して、改良又は補足として個々の態様を加えることができる。
【0032】
以下、本発明を、添付図面を参照しつつ実施形態の例に基づいて詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態の例において、生体物質、特に血液、尿、汗、皮膚組織を分析するための方法、特にダイナミック示差走査熱量測定(DSC)により分析するための方法のフローチャートである。
図2図1における方法の実施形態の例において、測定値を送信するステップと、健康状態を評価するステップの更なる実施形態の例に関するフローチャートの詳細図である。
図3】本発明の一実施形態の例において、生体物質、特に血液、尿、汗、皮膚組織を分析するためのシステム、特にダイナミック示差走査熱量測定(DSC)により分析するためのシステムの概略図である。
図4図3における測定装置において、更なる実施形態の例の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
各図において、同じ機能又は同じ作用を有する同一の要素、特徴、及び構成要素には、特に断りがない限り、同じ参照符号が付されている。
【0035】
本明細書においては特定の実施形態の例及び構成が記載されているが、本発明の趣旨内で、記載された特定の実施形態の例の代わりに、複数の代替的及び/又は同様の実施形態の例が想定可能であることは当業者にとって自明のことであろう。本出願は、本明細書に記載された実施形態の例に対する変更又は修正を含む。
【0036】
添付図面は、本発明の実施形態の例の理解を更に深めるためのものであり、記載内容との組み合わせにより、本発明の原理及び概念を説明するのに役立つ。他の実施形態の例及び記載された利点の多くは、図面との関連で明らかになる。図面は、略図としてのみ解釈されるべきであり、また各要素は、必ずしも互いに縮尺通りに表されているわけではない。方向を示す用語、例えば「上」、「下」、「左側」、「右側」、「上側」、「下側」、「水平方向」、「垂直方向」、「前」、「後」、並びに同様の表現は、説明のためにのみ使用され、図面に示す特定の実施形態の例の一般性を限定するものではない。
【0037】
図面上の破線は、その破線による構成要素同士の接続が必ずしも物理的に接触している必要性はなく、互いに無線で結合可能であることを示す。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態の例において、生体物質、特に動物又は人間の血液、尿、汗、皮膚組織を分析するための方法、特にダイナミック示差走査熱量測定(DSC)により分析するための方法のフローチャートを示す。本発明の方法は、試料4を導入するステップV1と、測定値を取得するステップV2と、測定値を評価装置5に送信するステップV3と、患者の健康状態を評価するステップV4と、健康状態を視覚化又は視聴覚化するステップV5とを含む。
【0039】
患者の生体物質を含む試料4を測定装置2のセンサ3に導入することは、幾つかのやり方で行うことができる。生体物質は、センサ3上に直接的に導入されるか、又は容器14、例えばるつぼに導入されることにより、センサ3上に導入することができる。この場合、容器14は、センサ3に接触するか、又はセンサ3に含まれている。
【0040】
例えば、ランセット又は同様の穿刺装置によって抽出した患者の血液を生体物質としてチップ上、容器14内、又はセンサ3上に直接的に配置することができる。また、穿刺装置により、患者からの血液が自動的に放出されるか、又は所定の時間間隔で血液が自動的に放出され、これにより血液がセンサ3上に導入されることも想定可能である。更に、試料4は、患者の尿であると共に、ピペット、特に使い捨てピペットによってセンサ3上に導入することができる。更に、例えば、汗又は皮膚組織を、適切な取り扱い手段などを使用して生体物質として導入することができる。代替的に、生体物質は、センサ3上に受動的に導入することができる。即ち、例えば、生体物質を重力によってセンサ3上に構造的に配置する開口/チャネルを介して導入することができる。分析すべき生体物質の選択は、上述した例に限定されるものではなく、患者の健康状態に関して医学的に有用な情報を提供可能とする更なる生体物質を含むことができる。
【0041】
測定値は、測定装置2内で取得される(ステップV2)。この目的のために、測定装置2は、生体物質が熱プロセス中に放出又は吸収した熱量を測定するために、熱分析を実施できるのが好適である。この熱分析法は、特にダイナミック示差走査熱量測定として実施することができる。更に、熱重量測定又は同時熱分析を実施することもできるため、試料4の質量損失の測定及び/又は試料4の加熱に起因して発生するガスの赤外分光法を行うことが可能である。更に、医療分野において知られている他の分析法を利用することもできる。利用する分析法にかかわらず、測定値は、既知の基準物質13の測定値を含むことも可能である。この場合、基準物質13は、試料4と並行して分析されるため、比較対象として機能する。
【0042】
測定値を、測定装置2と通信する評価装置5に送信するステップV3において、通信は、Bluetooth(登録商標)又はWLANなどの無線通信のみならず、LAN又はUSBなどの有線通信の両方で行うことができる。この場合、評価装置5及び測定装置2は、対応する通信インターフェースによって直接的に通信することもできるし、データ処理装置、特にPC、スマートフォン、又は同様のデジタル通信装置を介して通信することもできる。測定装置2と想定可能なデータ処理装置との間の通信形態、並びに想定可能なデータ処理装置と評価装置5との間の通信形態は、同一でなくてもよい。更に、評価装置5は、各通信インターフェースを介して、好適にはミラー、テレビジョン、及び/又は、コンピュータハードウェア、特にPC、スマートフォン、スマートウォッチ、及び/又は、フィットネストラッカーとして構成された装置と通信することができる。
【0043】
更なるステップV4においては、第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンス6aが実行される評価装置5により、測定値に基づいて健康状態を特徴付けるデータ構造が使用されて患者の健康状態が評価される。健康状態を特徴付けるデータ構造は、例えば、ダイナミック示差走査熱量測定中に記録される特定のデータポイントであり得る。実質的に同一の容器14、例えばるつぼ内、又は実質的に同一のセンサ3上で分析される試料4及び基準物質13は、温度制御要素12によって同じ熱作用を受ける。試料4又は基準物質13の熱容量及び発熱又は吸熱プロセス、例えば融解又は蒸発に起因し、試料4と基準物質13との間に温度差、従って同じ測定変数に関して異なる温度値が生じ得る。分析法において、試料4と基準物質13との間に差が生じる時点と、これら差がどの程度大きいかとに応じて、特定の健康状態の特徴と見なされるデータ構造が生じる。
【0044】
更に、健康状態の評価(ステップV4)に際して、装置上又はサーバ上に記憶された第2アプリケーション・ソフトウェアインスタンス6bが実行可能であり、そのアプリケーション・ソフトウェアインスタンス6bは、評価装置5の第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンス6aに比べて健康状態をより正確に評価することができる。代替的又は付加的に、健康状態は、装置のディスプレイ上に視覚化又は視聴覚化することができる。
【0045】
アプリケーション・ソフトウェアインスタンス6a,6bの構成は、例えば、4つの構成レベルにわたって区別することができる。この場合、アプリケーション・ソフトウェアインスタンス6a,6bの出力可能性は、想定される使用者対象グループ、特にその使用者対象グループの医療知識に適合される。例えば、4つの使用者対象グループ、即ち、医療知識を有さない個人、薬剤師(化学者)、家庭医又は専門医(コンサルタント)、病院及び他の医療検査機関を挙げることが可能であり、それら使用者対象グループの医療知識は、言及した順序で豊富になっていく。4つの構成レベルに基づいて、各使用者対象グループには、各使用者対象グループにとって理解可能である共に、患者に関して評価された健康状態を視覚化又は視聴覚化することができる。従って、試料4を、例えば家庭で独立して測定装置2に導入し、その測定値を専門家、例えば遠方の医師に伝達し、これにより例えばその医師の診療所のサーバに記憶された第2アプリケーション・ソフトウェアインスタンス6bに関するその医師のより包括的な出力可能性と、視覚化された健康状態についてその医師の専門的な評価とを利用することができる。
【0046】
任意的に、測定装置2及び/又はセンサ3は、評価ステップV4の後に廃棄することができる。従って、測定装置2又はセンサ3を洗浄するステップは不要である。なぜなら、センサ3又は測定装置2は、使用する度に常に新しいものであり、例えば個別に包装され、保護包装は、センサ3又は測定装置2が使用されるまで取り外されないからである。
【0047】
更に、本発明の方法は、評価された健康状態及び特定の期間にわたる健康状態の変化を、ディスプレイ7上に視覚化又は視聴覚化するステップV5を含む。この場合、必要な情報は、評価装置からディスプレイ7に有線又は無線で伝達することができる。
【0048】
更に、測定値及び/又は評価された健康状態は、データ媒体にローカルで記憶することができるか又はサーバ上、特にクラウドに記憶することができる。更に、測定値及び/又は評価された健康状態は、医師、クリニック、薬剤師、病院、本発明に係る方法を実施する装置の製造業者及び/又は本発明に係る方法を実施する他の装置とやり取りすることができる。
【0049】
更に、本発明の方法は、評価された健康状態に応じて患者の治療措置を支援するために、建物内の通信対応設備、例えば暖房システム、建物内の換気システム、及び/又は、アラームを制御するステップV6を含むことができる。
【0050】
図2は、図1における方法の実施形態の例において、測定値を送信するステップV3と、健康状態を評価するステップV4の更なる実施形態の例に関するフローチャートの詳細を示す。
【0051】
図2に示す実施形態の例では、健康状態を評価するステップV4において、測定装置2によって提供される測定値のみならず、医療情報を含むデータセットが考慮され、これにより特徴付けデータ構造に関して可能な限り多くの参照点を得ることができる。これらデータセットは、少なくとも2つの異なる領域からの医療情報を含むことができる。一方で、データセットは、他の患者の比較可能な測定値VM及び/又は比較可能な測定値に適用された治療措置を含むことができる。この場合、データセットは、評価装置5とデータ処理装置、特にPC、スマートフォン、又は同様のデジタル通信装置とを通信結合するステップV3.1により、評価装置5に伝達することができる。付加的又は代替的に、データセットは、患者のバイタルパラメータVP、特に血糖値、血圧、心拍数などを含むことができる。この目的のために、評価装置5は診断装置、特に血糖値/血圧測定装置など、及び/又は、コンピュータハードウェア、特にフィットネストラッカーと通信結合される(ステップV3.2)。データセットは、評価装置5と診断装置との既存の結合を介して評価装置に伝達可能であり、またバイタルパラメータVPは、生体物質を含む試料4と実質的に同時に取得される。付加的又は代替的に、データセットに含まれる医療情報の少なくとも一部は、例えば、評価装置5、データ処理装置、又は診断装置に、患者が手動入力することによって提供することができる。
【0052】
代替的又は付加的に、データセットは、患者の飲酒及び摂食行動を含むことが可能であり、その情報は、患者が評価装置5に手動入力することにより、又は評価装置5とその情報を含むデータ処理装置との結合を介して入力することができる。
【0053】
このように、評価装置5は、上述した外部通信装置9の1個、即ちデータ処理装置又は診断装置とだけでなく、複数の外部通信装置9、特にデータ処理装置、診断装置、及び(明示的に言及されていない)更なる外部通信装置とも通信可能に結合することができる。
【0054】
図3は、本発明の一実施形態の例において、生体物質、特に動物又は人間の血液、尿、汗、皮膚組織を分析するためのシステム1、特にダイナミック示差走査熱量測定(DSC)により分析するためのシステム1を概略的に示す。システム1は、測定装置2と、評価装置5と、ディスプレイ7とを備える。
【0055】
測定装置2は、センサ3を有し、そのセンサ3は、患者の生体物質を含む試料4を有すると共に、測定値を評価装置5に送信するよう構成されている。
【0056】
生体物質を含む試料4をセンサ3に導入するために、センサ3は、生体物質を例えば使い捨てピペット又は他の取り扱い手段によって測定装置2に導入できるよう構成可能である。生体物質、特に血液又は汗を含む試料4を自動的に取得するために、測定装置2は、生体物質をセンサ3上に例えば重力によって構造的に配置可能とする開口/チャネルを有することができる。
【0057】
更に、測定装置2は、電力供給部(図示せず)、例えばローカルエネルギー貯蔵ユニット、エネルギー源が一緒に使用されるエネルギー運搬装置への電子接続部、又は電源接続部を有することができる。身体上で携帯される実施形態の例において、電力供給は、身体の熱を利用してエネルギーを生成する熱電発電機を使用することによって提供することができる。
【0058】
更なる実施形態の例において、測定装置2又はセンサ3は、使い捨て製品である。この場合、測定装置2又はセンサ3は、好適には、システム1の他の構成要素、特に評価装置5に関して互換性があり、交換可能に構成されている。
【0059】
評価装置5は、第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンス6aを有し、測定値を受信すると共に、測定値に基づいて健康状態を特徴付けるデータ構造によって患者の健康状態を評価するよう構成されている。第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンス6aは、例えば、ソフトウェアプログラム又はアプリケーションとして評価装置5に記憶することができる。
【0060】
評価装置5の電力供給部は、測定装置2の電力供給部に対応することができる。測定装置2が評価装置5と電子的、電気的、又はその他のエネルギー伝達形式で結合された実施形態の例においては、共通の電力供給部を測定装置2及び評価装置5に設けることができる。
【0061】
更に、評価装置5は、評価装置5と外部通信装置9との間で通信接続を確立するよう構成されたインターフェース8を有することができる。更に、通信インターフェースは、健康状態を評価するために、医療情報を含むデータセットを外部通信装置9から評価装置5に伝達することができる。外部通信装置9は、少なくとも三種の異なる装置カテゴリで構成することができる。この場合、評価装置は、複数の外部通信装置9、特に複数の異なる装置カテゴリと通信接続を確立することができる。
【0062】
例えば、外部通信装置9は、クリニック又は病院などのデータ処理装置、特にサーバ又はデータメモリとして構成可能であると共に、通信インターフェース8を介して評価装置5と通信可能に結合可能である。この場合にデータセットは、特に、他の患者の比較可能な測定値及び/又は比較可能な測定値に適用された治療措置を含むことができる。
【0063】
代替的又は付加的に、外部通信装置9は診断装置、特に血糖値/血圧測定装置などとして、及び/又は、コンピュータハードウェア、特にフィットネストラッカーとして構成することができる。外部通信装置9は更に、通信インターフェース8を介して評価装置5と通信可能に結合可能である。この場合にデータセットは、好適には、患者のバイタルパラメータ、特に血糖値、血圧、心拍数などを含む。
【0064】
更に、外部通信装置9は、健康状態を視覚化又は視聴覚化するために、好適にはミラー、テレビジョン、サーバ、及び/又は、コンピュータハードウェア、特にPC、スマートフォン、スマートウォッチ、及び/又は、フィットネストラッカーとして構成することができる。
【0065】
各通信インターフェース8を介したデータ転送のための評価装置5と外部通信装置9との結合は、USB、LANなどの有線で実現することができ、又はWLAN又はBluetoothなどの無線で実現することができる。この場合、評価装置5と各外部通信装置9との結合形式は、個別的かつ独立的であってもよく、評価装置5と各外部装置9との間の結合形式は一種に限定されない。
【0066】
評価装置5の第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンス6aの代替又は付加として、外部通信装置9又は通信インターフェース8を介して結合されたサーバは、評価装置5の第1アプリケーション・ソフトウェアインスタンス6aに比べて健康状態をより正確に評価可能とする第2アプリケーション・ソフトウェアインスタンス6bを有することができる。アプリケーション・ソフトウェアインスタンス6a,6bは、図1に示す実施形態の例に関して説明したように、使用者対象グループに期待される医療知識に応じて、患者の健康状態を評価及び視覚化するための4つの異なるアプリケーションレベルを実現可能とするよう設定することができる。
【0067】
更に、測定装置2、評価装置5、及びディスプレイ7は、ハウジング、特に共通のハウジングによって少なくとも部分的に包囲することができる。更に、システム1の構成要素、特に測定装置2及び評価装置5は、システム1若しくはシステム1の構成要素が携帯可能、特に人体上で携帯可能であるよう、及び/又は、人体上の装置と結合可能であるよう構成することができる。
【0068】
図4は、図3における測定装置において、更なる実施形態の例の概略側面図を示す。図示の測定装置2は、図3に示す実施形態の例において説明した測定装置2と実質的に対応している。
【0069】
更に、測定装置2は、熱分析法、特にダイナミック示差走査熱量測定(DSC)を実施可能とするよう構成することができ、これにより生体物質が熱プロセス中に放出又は吸収した熱量を測定することができる。この場合に測定装置2は、例えば、温度制御要素12を有することが可能であり、これら温度制御要素12により、試料4及び基準物質13を、例えば、-50℃から約250℃まで、好適には室温から約100℃まで加熱及び/又は冷却することができる。
【0070】
図4に示す測定装置は更に、制御部10及び通信インターフェース11を有することができる。この場合、制御部10は、測定装置2の構成要素の少なくとも1個と電子的に接続されている。制御部10により、例えば、適用される熱分析法に応じて温度制御要素12が制御可能であり及び/又は通信インターフェース11を介した評価装置5との通信が制御可能である。
【0071】
上述した詳細な説明においては、より厳密に表現するために、様々な特徴が1つ又は複数の例に要約されている。ただし、上述した説明は単なる例示に過ぎず、決して限定的なものでないことは自明であろう。上述した説明は、様々な特徴及び実施形態の例に関する全ての代替、修正、並びに等価物を包含するのに役立つ。他の多くの例は、当業者であれば、上述した説明を考慮し、専門知識によって即座かつ直接的に明らかになるであろう。
【0072】
上述した実施形態の例は、本発明の原理と、実際の適用可能性とを最適に説明するために選択及び記載されたものである。従って、当業者であれば、本発明及びその様々な実施形態の例を、意図される用途に合わせて最適に修正及び適用することができる。特許請求の範囲及び明細書本文において、用語「containing」及び「comprising」は、対応する用語「including」に関して言語的に中立な用語として使用されている。更に、用語「a/an」は、そのように記載された複数の特徴及び構成要素を排除することを意図しない。
【符号の説明】
【0073】
1 システム
2 測定装置
3 センサ
4 試料
5 評価装置
6a,6b 第1及び第2アプリケーション・ソフトウェアインスタンス
7 ディスプレイ
8 通信インターフェース
9 外部通信装置
10 制御部
11 測定装置の通信インターフェース
12 温度制御要素
13 基準物質
14 容器

V1 試料の導入
V2 測定値の取得
V3 測定値の送信
V3.1 評価装置とデータ処理装置との結合
V3.2 評価装置と診断装置との結合
V4 健康状態の評価
V5 視覚化又は視聴覚化
V6 建物内の通信対応設備の制御
VM 他の患者の比較可能な測定値
VP バイタルパラメータ
図1
図2
図3
図4