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7285886健康増進プログラム提供システム及び健康増進プログラム提供方法
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  • -健康増進プログラム提供システム及び健康増進プログラム提供方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】健康増進プログラム提供システム及び健康増進プログラム提供方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20230526BHJP
   G16H 50/20 20180101ALI20230526BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H50/20
A61B5/00 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021115675
(22)【出願日】2021-07-13
(65)【公開番号】P2023012182
(43)【公開日】2023-01-25
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】314001531
【氏名又は名称】飯田グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】森 和彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 浩一
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-026477(JP,A)
【文献】特開2021-033662(JP,A)
【文献】国際公開第2019/116679(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅内に設置され、前記住宅の居住者の生体データを継続的に収集するセンサと、
収集された前記生体データを解析し、前記居住者の健康状態を判定する解析装置と、
前記健康状態の判定結果に基づいて、前記居住者に応じた健康増進プログラムを生成するプログラム生成装置と、を含み、
前記センサが、前記生体データとして、表情、心拍、酸素飽和度、二酸化炭素呼出量、表面体温、深部体温、皮膚タンパク質解析、体組成、自律神経、HbA1c、体内水分量、足圧分布、歩行姿勢、歩行速度、関節可動域変化、重心変動及び活動量を示すデータのうち少なくとも1種類のデータを収集し、
前記解析装置が、
人の表情、心拍、酸素飽和度、二酸化炭素呼出量、表面体温、深部体温、皮膚タンパク質解析、体組成、自律神経、HbA1c、体内水分量、足圧分布、歩行姿勢、歩行速度、関節可動域変化、重心変動及び活動量を示すデータのうち少なくとも1種類のデータを含む人の生体データ、並びに、当該人のエネルギー消費量及び運動効果を含む当該人の健康状態を教師データとして用い、入力を人の生体データとし、出力を当該人の健康状態とする予測モデルを機械学習により生成し、
前記予測モデルを用いて、収集された前記居住者の生体データから前記居住者の健康状態を出力し、
前記プログラム生成装置が、
判定された前記健康状態及び収集された前記生体データを所定の評価指標と比較することで、前記居住者の生体的特徴を抽出し、
所定の評価指標及び健康増進プログラムの効果を示す評価値を教師データとして用い、入力を生体データとし、出力を健康増進プログラムに対する評価とする評価モデルを機械学習により生成し、
前記評価モデルを用いて、収集された前記生体データから、前記居住者に対して提示する健康増進プログラムを前記居住者の生体的特徴とともに出力すること、
を特徴とする健康増進プログラム提供システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の居住者の健康状態に応じた健康増進プログラムを提供する健康増進プログラム提供システム及び健康増進プログラム提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートハウスが注目されている。スマートハウスとは、概ね、IT(情報技術)を使い、家庭内の照明器具、調理器具、冷暖房設備など電気やガスを使用する機器を制御し、エネルギー消費を最適に制御する住宅を指す。
【0003】
例えば特許文献1(特開2013-15271号公報)は、簡易なシステムで時間的及びエネルギー的なコストを肥大化させることなく在室者ごとの快適性に合わせて室内環境を制御するべく、環境情報検知部と、在室者情報検知部と、制御部と、運転部と、を備える室内環境制御システムを開示する。かかる室内環境制御システムにおいて、制御部の記憶手段は、在室者情報と在室者の快適性との関係を記録したデータベースを予め備え、制御部の演算手段は、在室者情報検知部で検知した在室者情報のもとでデータベースにおいて在室者の快適性が最適となるように、在室者情報をゆらぎ指標として運転部をゆらぎ制御するための、調整信号を生成する。
【0004】
また、特許文献2(特許第6539799号公報)は、居住者の異常を的確に判定し、異常が生じた場合に、より安全に、より確実に、かつ速やかに対応するべく、住居に設置され、居住者の少なくとも心拍数および呼吸数を非接触で検知する第1センサと、心拍数および呼吸数における平常との有意差を検知する異常判定部と、オペレータと居住者との間で安否確認の通信を行う通信部と、オペレータの出動要請による住居に対する救急隊員の到着をオペレータに対して提示する到着情報提示部と、住居の錠をオペレータの指示により緊急解錠する遠隔解錠部と、を備える安否確認システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-15271号公報
【文献】特許第6539799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の室内環境制御システムは環境制御に留まり、特許文献2の安否確認システムは安否確認に留まるなど、収集した生体データの限定的な利用にすぎない。また、生体データ取得のためにウェアラブルセンサなどを利用しているが、脱着が手間であり、操作が分からないなど、利便性に課題が残る。
【0007】
そこで、本発明は、居住者の日常生活において得られる生体データを居住者の健康の維持及び増進のために有効に活用することができる健康増進プログラム提供システム及び健康増進プログラム提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決すべく、本発明は、
住宅内に設置され、前記住宅の居住者の生体データを継続的に収集するセンサと、
収集された前記生体データを解析し、前記居住者の健康状態を判定する解析装置と、
前記健康状態の判定結果に基づいて、前記居住者に応じた健康増進プログラムを生成するプログラム生成装置と、
を含むことを特徴とする健康増進プログラム提供システム、を提供する。
ここで、生体データには、動態的なデータが含まれるものとする。また、健康増進プログラムは、運動プログラムのほか、居住者の心身の健康を維持・増進させるための各種プログラム及び各種健康情報を含むものとする。
【0009】
本発明の健康アドバイス提供装置では、前記センサが、前記生体データとして、表情、心拍、酸素飽和度、二酸化炭素呼出量、表面体温、深部体温、皮膚タンパク質解析、体組成、自律神経、HbA1c、体内水分量、足圧分布、歩行姿勢、歩行速度、関節可動域変化、重心変動及び活動量を示すデータのうち少なくとも1種類のデータを収集すること、が好ましい。
【0010】
また、本発明の健康アドバイス提供装置では、
前記解析装置が、
人の表情、心拍、酸素飽和度、二酸化炭素呼出量、表面体温、深部体温、皮膚タンパク質解析、体組成、自律神経、HbA1c、体内水分量、足圧分布、歩行姿勢、歩行速度、関節可動域変化、重心変動及び活動量を示すデータのうち少なくとも1種類のデータを含む人の生体データ、並びに、当該人のエネルギー消費量及び運動効果を含む当該人の健康状態を教師データとして用い、入力を人の生体データとし、出力を当該人の健康状態とする予測モデルを機械学習により生成するモデル生成部と、
前記予測モデルを用いて、収集された前記居住者の生体データから前記居住者の健康状態を出力する判定部と、を含むこと、
が好ましい。
【0011】
また、本発明の健康アドバイス提供装置では、
前記プログラム生成部が、
収集された前記生体データを所定の評価指標と比較することで、前記居住者の生体的特徴を抽出し、
所定の評価指標及び健康増進プログラムの効果を示す評価値を教師データとして用い、入力を生体データとし、出力を健康増進プログラムに対する評価とする評価モデルを機械学習により生成し、
前記評価モデルを用いて、収集された前記生体データから、前記居住者に対して提示する健康増進プログラムを前記居住者の生体的特徴とともに出力すること、が好ましい。
【0012】
また、本発明は、
住宅内に設置されたセンサにおいて前記住宅の居住者の生体データを継続的に収集する手順と、
収集された前記生体データを解析し、前記居住者の健康状態を判定する手順と、
前記健康状態の判定結果に基づいて、前記居住者に応じた健康増進プログラムを生成する手順と、
を含むことを特徴とする健康増進プログラム提供方法、をも提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、居住者の日常生活において得られる生体データを居住者の健康の維持及び増進のために有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の全体像を示す模式図である。
図2】健康増進プログラム提供システム1の全体構成を示すブロック図である。
図3】健康増進プログラム提供システム1の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る健康増進プログラム提供システムの代表的な実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本発明はこれら図面に限定されるものではない。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。
【0016】
1.本実施形態の全体像
図1を参照して、本実施形態の全体像を説明する。
【0017】
本実施形態では、住宅において日常生活を過ごす居住者の生体データが、住居の各所に配置されたセンサにおいてセンシングされる。ここで、生体データには、例えば歩行姿勢、歩行速度、関節可動域変化、重心変動、活動量などの動態的なデータが含まれるものとする。また、住宅は、その人が日常的に生活する建築物を意味し、一戸建て住宅及び集合住宅だけでなく、いわゆる老人ホームを含むものとする。
【0018】
そして、得られた生体データをコンピュータ解析することで、居住者の健康状態が判定される。次いで、健康状態の判定結果に基づき、居住者ごとにカスタマイズされた健康増進プログラムが作成される。ここで、作成される健康増進プログラムとしては、運動プログラムのほか、居住者の心身の健康を維持・増進させるための各種プログラム及び各種健康情報が挙げられる。
かかる健康増進プログラムは居住者に提供され、そのプログラムを居住者が実施する。
【0019】
そして、上述したセンシング、健康状態の判定及び健康増進プログラムの作成及び居住者による実施を繰り返すことで、居住者の健康機能の増進を図るものである。
併せて、収集された生体データはデータサーバ等に集約されて、居住者の承諾の下、医師等の医療関係者によって利用されてもよい。また、生成された健康状態の判定結果は、居住者の承諾の下、医師等の医療関係者によって利用されてもよい。
【0020】
更に、収集された生体データ及び生成された健康状態の判定結果は、居住者の承諾の下、より快適で住みよいコミュニティの形成のために、また、住民の健康管理のために、また、老後に自宅で自立して住み続けることを可能にするために、行政及び地域社会において利用されてもよい。
【0021】
本実施形態に係る健康増進プログラム提供システム1は、住居内の居住者から生体データを収集するセンシング機能、収集された生体データを解析することで居住者の健康状態を判定する解析・判定機能、及び、健康状態の判定結果に基づき健康増進プログラムを生成するプログラム生成機能を実現する各機能部を備えている。
【0022】
かかる機能を実現するための物理構成として、健康増進プログラム提供システム1は、センサ10、解析装置20、プログラム生成装置30、出力装置40及び記憶装置50を含む(図2参照)。これらの各構成要素は有線又は無線の通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。
以下、これらの構成要素を詳細に説明する。
【0023】
2.センサ
センサ10は、住宅70内に設置され、居住者Hの生体データを継続的に収集する各種センサの総称である。センサ10は、収集した生体データを、収集日時とともに、記憶装置50に送信及び記憶する。記憶装置50としてはデータサーバが挙げられるが、これに限られない。なお、センサ10は、収集した生体データを住宅70内のストレージ(図示せず)に送信及び記憶してもよい。
【0024】
利用可能なセンサ10の例としては、赤外温度カメラ、ハイパースペクトルイメージングカメラ、RFIDセンサ、圧力センサ、モーションキャプチャデバイス(いずれも図示せず)などが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0025】
より具体的には、赤外温度カメラは、例えば住宅70のリビング、書斎、寝室等に設置されて、居住者Hの表情、心拍、酸素飽和度、二酸化炭素呼出量、表面体温、深部体温を計測する。ハイパースペクトルイメージングカメラは、例えば玄関及びその付近等に設置され、居住者Hの個人認証機能と合わせて居住者Hの皮膚タンパク質解析、体組成(脂肪・骨・除脂肪軟組織などの構成比、体重、体脂肪、基礎代謝、内臓脂肪、筋肉量、骨量など)計測、自律神経(自律神経の疲労度や交感神経、副交感神経のバランスなど)測定を行う。あるいは、ハイパースペクトルイメージングカメラは、食卓やキッチン付近に設置されて、HbA1c(グリコヘモグロビン)を計測する。RFIDセンサは、室内壁面などに設置されて、居住者Hの体内水分量を計測する。圧力センサは、例えば、廊下床面や室内床面などに設置されて、居住者Hの足圧分布を計測する。モーションキャプチャデバイスは、例えば、室内の廊下などに設置されて、居住者Hの歩行姿勢、歩行速度、関節可動域変化、重心変動、活動量などを計測する。
【0026】
センサ10による居住者Hの生体データのセンシングは、例えば常時計測にて行われる。
センサ10は、居住者Hが直ちに発見しえないように隠されて設置されることが好ましい。居住者Hがセンサ10の存在に気付いて緊張し、センシングされた生体データが居住者Hの日常的な値から外れることを抑制するためである。つまり、日常生活における自然な状態の居住者Hを知るためである。
【0027】
センサ10とは別に、環境データを得るためのセンサが設置されてもよい。すなわち、室温を計測するための温度計、部屋の湿度を計測するための湿度計、部屋の明るさを計測するための照度計、部屋のCO濃度を計測するための二酸化炭素測定器などを設置してもよい。これらのセンサにおいて収集された環境データは、記憶装置50に送信及び記憶される。なお、センサ10は、これらのセンシング機能を含んでもよいものとする。
【0028】
収集された生体データ及び環境データは記憶装置50に送信され記憶される。記憶装置50には、後述する健康状態の判定結果、生成された健康増進プログラムが記憶されてもよい。記憶装置50に記憶された各種データは、居住者Hの許可の下で、当該居住者Hを担当する医師及び医療機関が利用する外部コンピュータ80において利用可能とされてもよい。かかる医療連携により、居住者Hの診断・治療に必要な各種健康記録が医療関係者間で適時に共有可能となる。
【0029】
3.解析装置
解析装置20は、センサ10によって収集された生体データを解析することで、居住者Hの健康状態を判定する。
【0030】
解析装置20におけるデータ解析のためにAI解析を好適に利用できる。例えば、解析装置20は、人の表情、心拍、酸素飽和度、二酸化炭素呼出量、表面体温、深部体温、皮膚タンパク質解析、体組成、自律神経、HbA1c、体内水分量、足圧分布、歩行姿勢、歩行速度、関節可動域変化、重心変動、活動量などの生体データのうち少なくとも1種類のデータを既存指標として教師変数(教師データ)とする。そして、解析装置20は、センサ10で収集したデータ群と同種類の生体データを説明変数とした機械学習、及び解析プログラムの作成をし、利用するパラメーターを年齢・性別・身長・体重などの基本情報、表情、心拍、酸素飽和度、二酸化炭素呼出量、表面体温、深部体温、皮膚タンパク質解析、体組成、自律神経、HbA1c、体内水分量、足圧分布などの生体情報、歩行時の関節角度、及びその経時的変化、下肢筋力、重心、もしくはそれに相関する観測点の3次元移動距離、歩行姿勢、歩行速度、活動量などの運動機能情報をアルゴリズム解析することで、居住者Hの健康状態として健康機能、及び運動機能などの客観的評価を得る。本実施形態において利用可能な機械学習の例として深層学習が挙げられるが、これに限られない。
【0031】
解析結果20は、居住者Hの健康状態の判定結果を記憶装置50に送信及び記憶する。かかる判定結果が、居住者Hの許諾の下、医療関係者間で有効に利用可能であることは言うまでも無い。また、居住者Hの健康状態の判定結果が後述の出力装置40に出力されることで、居住者H及びその家族は、居住者Hの病や体調不良を早期に発見することができ、居住者Hの健康管理に活かすことができる。
【0032】
4.プログラム生成装置
プログラム生成装置30は、解析装置20において得られた健康状態の判定結果に基づいて、居住者Hごとにカスタマイズされた健康増進プログラムを生成する。ここでは、健康増進プログラムは、健康機能に関するものと、運動機能に関するものとに大別される。
【0033】
例えば、健康機能に関しては、プログラム生成装置30は、表情、心拍、酸素飽和度、二酸化炭素呼出量、表面体温、深部体温、皮膚タンパク質解析、体組成、自律神経、HbA1c、体内水分量、足圧分布について、個人毎の正常域と疫学や医学ガイドラインなどの評価指標と比較をすることで、居住者Hの生体特徴を明らかにし、測定したデータと、年齢・性別・身長・体重などの基本情報と、居住者Hの住環境データ(例えばセンサ10において収集された生体データ)を、AI解析する事により、個人毎の生活習慣に関するアルゴリズムを構築し、行動変容とそれに伴う効果を提示する。
【0034】
また、運動機能に関しては、プログラム生成装置30は、各関節の位置や速度、関節角度や角速度を比較することで居住者Hの動態解析上の特徴を明らかにし、測定したデータをもとに,運動中のエネルギー消費量や運動効果の推定に加え、動作測定アルゴリズムの構築などを行い、推奨される運動及び運動中のエネルギー消費量や運動効果を提示する。ここで利用可能なAI解析の例としては深層学習が挙げられるが、これに限られない。
【0035】
プログラム生成装置30は、生成した健康増進プログラムを記憶装置50に送信及び記憶する。かかるプログラムが、居住者Hの許諾の下で医療関係者間で共有可能であることは言うまでも無い。また、プログラムが出力装置40に出力されることで、居住者H及びその家族は、居住者Hの健康機能及び運動機能の維持、回復及び改善のために何をすべきかを明確に把握することができ、居住者Hの健康管理に活かすことができる。
【0036】
なお、解析装置20及びプログラム生成装置30は、CPU、RAM及びROMを含む1台又は複数台のコンピュータとして構成することができる。上述した解析装置20及びプログラム生成装置30の機能は、ROMに記憶された実行プログラムをRAMに読み出し、CPUにて実行することで実現される。解析装置20及びプログラム生成装置30は、継続的に常時収集された生体データを用いて、定期的に又は個人毎に必要と考えられるタイミングで健康状態の判定及び健康増進プログラムの生成を行う。
【0037】
出力装置40は、健康状態の判定結果及び健康増進プログラムを出力する装置である。出力装置40は、居住者Hの端末(スマートフォン、パーソナルコンピュータなど)、ディスプレイ、プリンタ、プロジェクタ、スピーカなどを含む。なお、出力装置40は、エネルギーや住居に関する情報や地域情報など、生活に関わる他の情報を表示してもよい。
【0038】
5.健康増進プログラム提供システムの動作
図3を参照して、健康増進プログラム提供システム1における処理手順を説明する。
【0039】
まず、ステップS1において、センサ10は、居住者Hの生体データをセンシングし、センシング時刻と関連付けて記憶装置50に記憶する。センシングは、所定の時間間隔で継続的に実行される。
【0040】
そして、ステップS2において、解析装置20は、収集された生体データを解析し、居住者Hの健康状態を判定し、判定結果を記憶装置50に記憶する。例えば、解析装置20は、予め機械学習により学習済みモデルを生成しておき、学習済みモデルに居住者Hの生体データを適用することで居住者Hの健康状態を得る。ステップS2は、定期的に又は個人毎に必要と考えられるタイミングで実行される。
【0041】
解析装置20において健康状態の判定結果が生成されると、ステップS3において、プログラム生成装置30は、健康状態の判定結果に基づき居住者Hごとに健康増進プログラムを生成して、そのプログラムを記憶装置50に記憶する。
【0042】
健康状態の判定結果及び健康増進プログラムは出力装置40に表示される。これにより、居住者Hは、自己の健康状態(例えば健康機能及び運動機能)を把握し、自己の健康機能及び運動機能の維持、回復及び改善のために何をすべきかを明確に把握することができる。居住者Hは、提示された健康増進プログラムを実践し、自身の健康管理に活かすことができる。
【0043】
そして、センシングに戻って上記手順を繰り返す。これにより、居住者Hは、日常生活において得られる生体データを有効に活用して、居住者Hの健康機能の増進を図ることができる。また、居住者Hは、健康増進プログラムの実践の効果を、次回以降の健康状態の判定結果を介して把握することができる。
【0044】
このようにして蓄積されたセンシングデータ、健康状態の判定結果及び健康増進プログラムは、記憶装置50に記憶され、居住者Hの許諾の下で、居住者Hに関わる医療関係者の間で共有される。これにより、医師による診断及び処置がより適切かつ迅速に行われることが期待される。このような効果は、対面診療時のみならず、遠隔診療の場面でも期待でき、より充実した医療連携が実現される。
【0045】
また、上述した居住者Hの健康情報が介護関係者の間で共有されることで、より適切かつ迅速な介護支援の提供が期待される。
【0046】
もちろん、センシングデータ及び健康状態の判定結果を居住者Hの見守りシステムや異常検知システムとして利用することも可能である。
また、収集された生体データ及び健康状態の判定結果が、居住者の承諾の下で、行政及び地域社会において利用されることで、より快適で住みよいコミュニティの形成のための政策に反映させることができる
【0047】
センサ10は住宅70に設置されているから、ウェアラブルセンサのように着脱の煩わしさがない。更に、センサ10が居住者Hの眼から隠されていることで、居住者Hがセンサ10の存在を意識することがない。したがって、居住者Hの日常的な生体データを取得することができ、信頼性の高い健康状態の把握が可能となる。
【0048】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それらも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 健康増進プログラム提供システム
10 センサ
20 解析装置
30 プログラム生成装置
40 出力装置
50 記憶装置
H 居住者
図1
図2
図3