(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】ニードルアセンブリ及びこれを含む薬物注入装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20230526BHJP
A61M 5/158 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
A61M5/142 522
A61M5/158
A61M5/158 500T
(21)【出願番号】P 2021507814
(86)(22)【出願日】2019-08-13
(86)【国際出願番号】 KR2019010270
(87)【国際公開番号】W WO2020036402
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-02-24
(31)【優先権主張番号】10-2018-0095161
(32)【優先日】2018-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518307802
【氏名又は名称】イオフロー カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェシ ジェ ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム スン ハ
(72)【発明者】
【氏名】パク デ ジョン
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03354303(EP,A1)
【文献】国際公開第2017/155333(WO,A1)
【文献】特表2018-505031(JP,A)
【文献】特表2009-545341(JP,A)
【文献】特開2015-142626(JP,A)
【文献】特表2014-510571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニードルと、
前記ニードルが挿入されるカニューレと、
前記ニードルを支持する第1ホルダーと、
前記第1ホルダーの一側に向かい合うように配置され、前記カニューレを支持する第2ホルダーと、
内部空間に前記第1ホルダーが挿入され、前記第1ホルダーに対して回転可能に構成されるスリーブと、
前記第1ホルダーと前記スリーブとの間に配置される弾性部材とを含み、
前記第1ホルダーは、その外側面に配置されるガイド溝を備え、前記スリーブの内側面には、前記スリーブが回転すると前記ガイド溝に沿って移動するように構成される移動突起を備え、
前記スリーブの回転による前記弾性部材の膨張に伴い、前記第1ホルダー及び前記第2ホルダーは延長位置に移動し、前記移動突起は
、前記第1ホルダーの長手方向に延長する前記ガイド溝の昇降溝に沿って移動し、
ユーザーの前記スリーブの更なる回転による前記弾性部材の収縮に伴い、前記第1ホルダーだけが元の位置に戻され、前記移動突起は
、前記第1ホルダーの傾斜を有する方向に延長する前記ガイド溝の傾斜溝に沿って移動する、ことを特徴とするニードルアセンブリ。
【請求項2】
前記第2ホルダーは外側に延長され、かつフレキシブルな係止突起を備え、
前記弾性部材が膨張すると、前記係止突起は、前記ニードルアセンブリの外側に設置された外部構造物によって支持される、請求項1に記載のニードルアセンブリ。
【請求項3】
前記係止突起の側面には、軸方向に対して傾斜する傾斜面を有する、請求項2に記載のニードルアセンブリ。
【請求項4】
前記第2ホルダーは、
前記係止突起の一面に配置され、前記係止突起と前記ニードルアセンブリの外側に設置された外部構造物との接触を感知するように構成されるセンサーを備える、請求項2に記載のニードルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置に関するものであり、より詳細には、ニードルアセンブリ及びこれを含む薬物注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、インスリン注入装置等の薬物注入装置は、患者の体の中に薬物を注入するために使用される。これらの薬物注入装置は、医師や看護師等の専門医療スタッフによって使用されるが、ほとんどの場合、患者自身又は保護者等の一般人が使用している。糖尿病患者、特に小児糖尿病患者の場合、インスリン等の薬物を所定の周期ごとに人体に注入する必要がある。したがって、一定期間の間に、人体に付着して使用するパッチ形態の薬物注入装置が開発されている。これらの薬物注入装置は、患者の腹部又は腰等の人体に、一定期間の間にパッチ形態として付着されたままで使用されることができる。
【0003】
薬物注入装置は、人体に付着される場合、フィット感に優れ、使いやすく、耐久性に優れ、低消費電力で駆動される必要がある。特に、薬物注入装置は、患者の皮膚に付着して使用されるので、ユーザーが簡単かつ便利にニードルやカニューレ等を患者の皮膚に挿入しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ユーザーが簡単かつ正確に作動させることができるニードルアセンブリ及び薬物注入装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面において、ニードルと、前記ニードルが挿入されるカニューレと、前記ニードルを支持する第1ホルダーと、前記第1ホルダーの一側に向かい合うように配置され、前記カニューレを支持する第2ホルダーと、内部空間に前記第1ホルダーが挿入され、前記第1ホルダーに対して回転するスリーブと、前記第1ホルダーと前記スリーブとの間に配置される弾性部材とを含み、前記スリーブが回転すると、前記弾性部材が膨張し、前記第1ホルダー及び前記第2ホルダーを延長位置に移動させ、前記スリーブがさらに回転すると、前記弾性部材が収縮し、前記第1ホルダーだけが元の位置に戻される、ニードルアセンブリを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施例によると、ユーザーが容易かつ簡単にニードルアセンブリ及び薬物送達装置を使用することができる。ユーザーは、スリーブを回転させることで、ニードル及びカニューレを挿入し、さらに回転させることで、カニューレの位置は固定し、かつニードルだけをカニューレから容易に引き出すことができる。
【0007】
また、ニードルアセンブリにおいて、フレキシブルな係止突起は、外部構造物であるハウジングのレッジ部に固定されるので、カニューレが皮膚に挿入された後に、正確な位置を固定することができる。レッジ部が第2ホルダーを支持するので、カニューレが安定的に支持され得る。
【0008】
また、ニードルアセンブリは、導電性を有するセンサーを備え、センサーに接触するか否かによって、カニューレが正確に挿入されているか否かを確認することができる。もちろん、これらの効果により、本発明の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施例に係る薬物注入装置を示す図である。
【
図2】
図1の薬物注入装置の内部の部品を示す平面図である。
【
図3】
図2のニードルアセンブリを示す分解斜視図である。
【
図5A-5C】ニードルアセンブリの駆動動作を示す断面図である。
【
図6A-6B】
図3の第2ホルダーとカニューレとの結合関係を示す図である。
【
図7】本発明の他の実施例に係る第1ホルダーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一側面において、ニードルと、前記ニードルが挿入されるカニューレと、前記ニードルを支持する第1ホルダーと、前記第1ホルダーの一側に向かい合うように配置され、前記カニューレを支持する第2ホルダーと、内部空間に前記第1ホルダーが挿入され、前記第1ホルダーに対して回転するスリーブと、前記第1ホルダーと前記スリーブとの間に配置される弾性部材とを含み、前記スリーブが回転すると、前記弾性部材が膨張し、前記第1ホルダー及び前記第2ホルダーを延長位置に移動させ、前記スリーブがさらに回転すると、前記弾性部材が収縮し、前記第1ホルダーだけが元の位置に戻される、ニードルアセンブリを提供する。
【0011】
また、前記第2ホルダーは外側に延長され、かつフレキシブルな係止突起を備え、前記弾性部材が膨張すると、前記係止突起は、前記ニードルアセンブリの外側に設置された外部構造物によって支持されてもよい。
【0012】
また、前記係止突起の側面には、軸方向に対して傾斜する傾斜面を有してもよい。
【0013】
また、前記第2ホルダーは、前記係止突起の一面に配置され、前記係止突起との接触を感知するセンサーを備えてもよい。
【0014】
また、前記第1ホルダーは、外側面に配置されるガイド溝を備え、前記スリーブの内側面には、前記ガイド溝に沿って移動する移動突起を備えてもよい。
【0015】
また、前記スリーブは、第1方向に回転し、前記カニューレ及び前記ニードルを延長位置に移動させ、その後に前記スリーブが前記第1方向又は反対の第2方向に回転することで、前記ニードルを前記カニューレから引き出してもよい。
【0016】
本発明の他の側面において、ベースと、前記ベースの上部に配置されるハウジングと、前記ハウジングに対して第1軸を中心に回転可能なスリーブと、前記スリーブの内部空間に挿入され、ニードルを支持し、前記第1軸に沿って移動する第1ホルダーと、前記第1ホルダーの一側に配置され、カニューレを支持する第2ホルダーと、前記第1ホルダーと前記スリーブとの間に配置される弾性部材とを含み、前記スリーブが回転すると、前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとが前記第1軸に沿って一方向に移動することにより、前記第2ホルダーは前記ハウジングに固定され、前記スリーブがさらに回転すると、前記第1ホルダーだけが前記第1軸に沿って反対方向に移動する薬物注入装置を提供する。
【0017】
また、前記第2ホルダーは、外側に延長されるフレキシブルな係止突起を備え、前記ハウジングは、一側に突出され、前記係止突起を支持するレッジ部を備えてもよい。
【0018】
また、前記係止突起の側面には、軸方向に対して傾斜する傾斜面を有してもよい。
【0019】
また、前記第2ホルダーは、前記係止突起の一面に配置され、前記ベースとの接触を感知するセンサーを備えてもよい。
【0020】
前述したこと以外の他の側面、特徴、及び利点は、以下の図面、特許請求の範囲、及び発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0021】
本発明は、様々な変形を加えることができる上に、様々な実施例を有することができ、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明する。本発明の効果及び特徴、さらに、それらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述されている実施例を参照することで明確になるであろう。しかしながら、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、様々な形態で実現することができる。
【0022】
以下に添付された図面を参照し、本発明の実施例を詳細に説明する。図面を参照して説明するときには、同一又は対応する構成要素は、同一の図面符号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0023】
以下の実施例において、単数の表現は、文脈上、明確に別の意味を意図しない限り、複数の表現を含む。
【0024】
以下の実施例において、「含む」又は「有する」等の用語は、明細書に記載の特徴又は構成要素が存在することを意味し、1つ以上の他の特徴又は構成要素が付加される可能性を事前に排除するものではない。
【0025】
ある実施例が他の方法で実現可能である場合、特定の工程の順序は、説明される順序とは異なる順序で実行することもできる。例えば、連続して説明する2つの工程は、実質的には同時に実行することもあり、説明される順序とは逆の順序で行うことができる。
【0026】
図面において、説明の便宜のために、構成要素の大きさは拡大又は縮小され得る。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示すものであり、以下の実施例は、図示に必ず限定されるものではない。
【0027】
図1は、本発明の一実施例に係る薬物注入装置1を示す図であり、
図2は、
図1の薬物注入装置1の内部の部品を示す平面図である。
【0028】
図1及び
図2を参照すると、薬物注入装置1は、有線又は無線で接続される遠隔装置2に接続されてもよい。ユーザーは、遠隔装置2を操作することにより、薬物注入装置1を使用してもよく、薬物注入装置1の使用状態をモニタリングしてもよい。例えば、薬物注入装置1から注入される薬物の量、薬物の注入回数、貯蔵槽10に貯蔵された薬物の量、ユーザーの生体情報等をモニタリングしてもよく、これに基づいて、ユーザーが薬物注入装置1を駆動してもよい。
【0029】
薬物注入装置1は、外側上部をカバーする外部カバー5と、ユーザーの皮膚に付着される付着部6とを備えてもよく、外部カバー5と付着部6との間の空間に複数の部品が装着される。
【0030】
薬物注入装置1の内部空間には、薬物が貯蔵される貯蔵槽10と、貯蔵槽10に薬物を注入させるか、又は貯蔵槽10から薬物を吐出させるために駆動される駆動軸20と、駆動軸20に動力を伝達する駆動部30とが配置されてもよい。また、薬物注入装置1は、付着部6の上部に配置されるベース40と、ベース40の上部に配置されるハウジング50とを備えてもよく、ニードルアセンブリ100は、ハウジング50によって支持されてもよい。
【0031】
貯蔵槽10の内部において、プランジャー(図示せず)は、駆動軸20に接続されるので、駆動軸20が軸方向に移動すると、薬物は、上記のプランジャーによって、ニードルアセンブリ100から吐出され得る。
【0032】
図3は、
図2のニードルアセンブリ100を示す分解斜視図である。
【0033】
図3を参照すると、ニードルアセンブリ100は、スリーブ110と、弾性部材120と、第1ホルダー130と、第2ホルダー140と、ニードルNと、カニューレCと、パッチPとを備えてもよい。
【0034】
スリーブ110は、ニードルアセンブリ100の外観を形成し、長手方向を中心軸として回転してもよい。スリーブ110は、ノブ111と、回転体112と、サポーターリング113とを備えてもよい。
【0035】
ノブ111は、回転体112の上端に装着され、上面には溝が設けられてもよい。ユーザーは、外部に露出されたノブ111の溝を操作し、スリーブ110を回転させることができる。ノブ111の下面には、弾性部材120が配置され、弾性部材120が軸方向に膨張する時に膨張力を受けることができる。
【0036】
回転体112は、ほぼ円筒形状を有し、上端の開口は、ノブ111によってカバーされてもよい。回転体112の外側上端には、サポーターリング113が装着されてもよい。
【0037】
回転体112の内部空間には、弾性部材120と、第1ホルダー130と、第2ホルダー140とが配置されてもよい。回転体112の内側面には、移動突起115が配置されてもよい。移動突起115は、第1ホルダー130の外周面に配置されたガイド溝131に沿って移動してもよい。回転体112が回転すると、移動突起115は、ガイド溝131の側壁に沿って移動し、第1ホルダー130は、上昇又は下降することができる。
【0038】
図5Aを参照すると、移動突起115は、傾斜壁115aと垂直壁115bとを備えてもよい。傾斜壁115aは、下降する際に、ガイド溝131に沿って安定した接触を誘導し、垂直壁115bは、移動制限溝131eに接触して移動突起115の移動経路を限定することができる。
【0039】
弾性部材120は、スリーブ110と、第1ホルダー130との間に配置されてもよい。弾性部材120が膨張することにより、第1ホルダー130を下方に移動させることができる。弾性部材120は、特定の部材に限定されず、長手方向に弾性力を伝達する様々な部材で製造されてもよい。しかし、以下において、説明の便宜のために、弾性部材120は、バネ状である場合を中心に説明する。
【0040】
第1ホルダー130は、ニードルNを支持してもよい。第1ホルダー130の一側には、ニードルNが挿入され、かつ固定されるので、第1ホルダー130が軸方向に移動すると、ニードルNも共に移動する。第1ホルダー130は、スリーブ110の内部空間に配置されるが、上部には弾性部材120が配置される。
【0041】
図5Aを参照すると、第1ホルダー130は、外側面にガイド溝131を備えてもよい。ガイド溝131は、移動突起115の移動を案内してもよい。スリーブ110が回転すると、移動突起115は、ガイド溝131が形成する予め設定された経路に移動し、第1ホルダー130は、昇降又は下降することができる。
【0042】
ガイド溝131は、第1止め溝131aと、昇降溝131bと、傾斜溝131cと、第2止め溝131dと、移動制限溝131eとを備えてもよい。第1止め溝131aは、移動突起115が最初に位置する溝であり、このとき、弾性部材120は、収縮状態を維持する。昇降溝131bは、第1ホルダー130の長手方向に延長される。弾性部材120が膨張すると、第1ホルダー130は下降し、移動突起115は、昇降溝131bに沿って移動する。傾斜溝131cは、予め設定された傾斜を有するように延長される。移動突起115が傾斜溝131cに沿って移動すると、弾性部材120は再収縮し、第1ホルダー130は再上昇する。第2止め溝131dは、移動突起115が再び最初の位置に戻る溝であり、このとき、弾性部材120は、再収縮状態を維持する。
【0043】
図4は、
図3の第2ホルダー140を示す斜視図である。
【0044】
図3及び
図4を参照すると、第2ホルダー140は、第1ホルダー130の一側に対向するように配置され、カニューレCを支持してもよい。第2ホルダー140は、中央本体141と、係止突起142と、センサー143とを備えてもよい。
【0045】
第2ホルダー140は、フレキシブルな材料で形成され、外力が加わると、瞬時に形状が変形され得る。しかし、その後、元の形状に回復される。第2ホルダー140は、最初の位置では、第1ホルダー130との接触を維持するが、弾性部材120が膨張すると、第1ホルダー130から分離され、ハウジング50に固定される。
【0046】
中央本体141の中心には、カニューレCが挿入され、ニードルNと選択的に結合されてもよい。中央本体141は、第1ホルダー130の下端と接触してもよい。
【0047】
係止突起142は、中央本体141から外側に突出し、フレキシブルに形成されてもよい。複数の係止突起142が設けられてもよい。例えば、係止突起142としては、互いに対向するように配置される第1突起142aと、第2突起142bとが設けられてもよい。
【0048】
係止突起142は、第2ホルダー140の移動に応じてハウジング50に固定されてもよい。弾性部材120が膨張すると、係止突起142は、ニードルアセンブリ100の外側に配置された外部構造物、すなわち、ハウジング50に固定されてもよい。
【0049】
係止突起142は、側面に、軸方向に対して傾斜する傾斜面を有してもよい。第1突起142aは、第1傾斜面142’aを有し、第2突起142bは、第2傾斜面142’bを有する。傾斜面により、係止突起142が台形状を有するので、係止突起142が下方に移動する際に、ハウジング50のレッジ部51を容易に越え、レット支部51に固定され得る。これに対する詳細な説明は、後述する。
【0050】
センサー143は、係止突起142の一側に配置されてもよい。しかし、これに限定されず、中央本体141の外側面に配置されてもよい。センサー143は、カニューレCが正確にユーザーの皮膚に挿入されているかを感知することができる。センサー143は、第2ホルダー140とベース40との接触を感知することができる。詳細には、第2ホルダー140が下方に移動する際に、レッジ部51を越えて移動し、ベース40の上部に配置された接触部45と接触するかを感知することができる。センサー143は、導電性物質で形成され、接触部45に接触すると、電気信号が生成され、制御部(図示せず)は、第2ホルダー140のベース40との接触の有無を確認することができる。
【0051】
ニードルNは、第1ホルダー130に固定されるので、第1ホルダー130の軸方向への移動によって、カニューレCに挿入又は挿入解除されてもよい。ニードルNの一端は、貯蔵槽10に接続され、薬物を伝達してもよく、他端は、カニューレCに挿入され、カニューレCに沿って移動してもよい。
【0052】
カニューレCは、第2ホルダー140に固定されるので、第2ホルダー140の軸方向への移動によって、ユーザーの皮膚に挿入されてもよい。カニューレCは、ニードルNを収容することができる導管形状を有するので、ニードルNから吐出された薬物がユーザーに注入されることができる。
【0053】
パッチPは、ベース40に支持され、カニューレCの位置を固定してもよい。カニューレCの端部は、パッチPによって支持されるので、保管中や移動中にカニューレCが分離されることを防止することができる。
【0054】
図5A-
図5Cは、ニードルアセンブリ100の駆動動作を示す断面図であり、
図6A及び
図6Bは、
図3の第2ホルダー140とカニューレCとの結合関係を示す図である。
【0055】
図5A~
図6Aを参照すると、ニードルアセンブリ100の駆動は、以下のように実行される。ニードルアセンブリ100は、スリーブ110が回転すると、弾性部材120は膨張し、第1ホルダー130及び第2ホルダー140を延長位置に移動させ、スリーブ110が同方向にさらに回転すると、弾性部材120は収縮し、第1ホルダーだけが元の位置に戻される。よって、ニードルN及びカニューレCは、共にユーザーの皮膚に挿入され、その後にニードルNは、カニューレCから引き出される。動作の理解の便宜のために、
図5A-
図5Cは、回転体112を除去して示している。
【0056】
まず、
図5A及び
図6Aは、ニードルアセンブリ100が元の位置、すなわち、ユーザーがニードルアセンブリ100を使用する前の位置に配置された状態である。スリーブ110の移動突起115は、第1止め溝131aに支持され、弾性部材120は、ノブ111と第1ホルダー130との間で圧縮された状態を維持する。したがって、第1ホルダー130及び第2ホルダー140は、ニードルアセンブリ100の上部に配置され、ニードルN及びカニューレCは、薬物注入装置1の内部に保持される。
【0057】
ユーザーがノブ111を一方向(i方向)に回転させ、スリーブ110が第1ホルダー130に対して一方向に回転すると、移動突起115は、第1止め溝131aを超えて移動する。したがって、弾性部材120は軸方向に膨張し、これによって、
図5Bのように、移動突起115の垂直壁115bは昇降溝131bに沿って移動し(j方向)、同時に第1ホルダー130及び第2ホルダー140は、ハウジング50のガイド開口52に沿って下方に移動する。一方、移動制限溝131eは、移動突起115が半径方向に過度に移動することを制限し、垂直方向への移動を誘導してもよい。
【0058】
第1ホルダー130及び第2ホルダー140が下方に移動すると、ニードルN及びカニューレCは、ユーザーの皮膚に挿入される。第1ホルダー130が第2ホルダー140に力を加えることで、第2ホルダー140は、ハウジング50のレッジ部51を通過することができる。第2ホルダー140は、フレキシブルな材料で形成されるので、第1ホルダー130が第2ホルダー140に力を加えると、係止突起142が一瞬のうちに変形されてレッジ部51を通過する。特に、第1突起142aの第1傾斜面142’a及び第2突起142bの第2傾斜面142’bは、レッジ部51の傾斜面に沿ってスライド移動することができるので、係止突起142は、スムーズにレッジ部51を通過することができる。以後、レッジ部51の平坦な下面は、係止突起142の平坦な上面との接触を維持する。
【0059】
係止突起142がレッジ部51を通過すると、センサー143は、接触部45と接触することになる。センサー143は、導電性を有する材料で形成されるので、接触部45と接触すると、電気的な信号が発生する。センサー143が接触部45に接触すると、制御部(図示せず)は、電気的な信号を受け、カニューレCが正常的にユーザーの皮膚に挿入されたこととして認識してもよい。
【0060】
その後、
図5C及び
図6Bのように、ユーザーがノブ111を一方向にさらに回転させ、スリーブ110が第1ホルダー130に対して一方向に回転すると、移動突起115は、ガイド溝131に沿って移動する(k方向)。移動突起115の傾斜壁115aが傾斜溝131cの傾斜面に沿って移動すると、第1ホルダー130は、再上昇し、弾性部材120は、再圧縮される。
【0061】
係止突起142の平坦な上面は、レッジ部51の平坦な下面と接触し、レッジ部51は、第2ホルダー140の上昇を制限する。第2ホルダー140は、第1ホルダー130から分離されて昇降しないが、第1ホルダー130は、移動突起115により再上昇し、ニードルNは、カニューレCから引き出される。
【0062】
以後、薬物は、貯蔵槽10からニードルNへ吐出され、カニューレCを通して、薬物がユーザーに注入されてもよい。
【0063】
本発明に係るニードルアセンブリ100と、これを備える薬物注入装置1は、ユーザーが容易かつ簡単に使用することができる。ユーザーは、スリーブを一方向に回転させることで、ニードル及びカニューレを挿入し、一方向にさらに回転させることで、カニューレの位置は固定し、かつニードルだけをカニューレから容易に引き出すことができる。
【0064】
また、ニードルアセンブリ100において、フレキシブルな係止突起142は、外部構造物であるハウジング50のレッジ部51に固定されるので、カニューレCが皮膚に挿入された後に、正確な位置で固定されることができる。レッジ部51が第2ホルダー40を支持するので、カニューレCが安定的に支持されることができる。
【0065】
また、ニードルアセンブリ100は、導電性を有するセンサー143を備え、センサー143に接触するか否かによって、カニューレCが正確に挿入されているか否かを確認することができる。
【0066】
図7は、本発明の他の実施形態に係る第1ホルダー230を示す図である。
【0067】
図7を参照すると、第1ホルダー230は、ガイド溝の形状が、前述した一実施例のガイド溝131とは異なる。
【0068】
ガイド溝231は、第1止め溝231aと、昇降溝231bと、傾斜溝231cと、第2止め溝231dとを備えてもよい。第1止め溝231aは、移動突起115が最初に位置する溝であり、このとき、弾性部材120は、収縮状態を維持する。昇降溝231bは、第1ホルダー230の長手方向に延長される。弾性部材120が膨張すると、第1ホルダー230は下降し、移動突起115は、昇降溝231bに沿って移動する。傾斜溝231cは、予め設定された傾斜を有するように延長される。移動突起115が傾斜溝231cに沿って移動すると、弾性部材120は、再収縮しながら、第1ホルダー230は、再上昇する。第2止め溝231dは、移動突起115が再び最初の位置に戻る溝であり、このとき、弾性部材120は、再収縮状態を維持する。
【0069】
スリーブが一方向に回転すると、移動突起115は、第1止め溝231aを越えて昇降溝231bに接触する。昇降溝231bは、移動突起115の回転距離を制限し、移動突起115は、昇降溝231bに沿って垂直方向に移動してもよい。第1ホルダー230と第2ホルダーとは、下方に共に移動するので、ニードル及びカニューレは、ユーザーの皮膚に挿入される。
【0070】
以後、スリーブが別の方向に移動すると、移動突起115は、傾斜溝231cに沿って移動する。このとき、弾性部材は、再圧縮され、第1ホルダー230だけがスリーブに移動するので、ニードルは、カニューレから引き出されることができる。以後、移動突起115は、第2止め溝231dに挿入されて位置が固定される。
【0071】
第1ホルダー230は、回転方向を異なるようにし、ニードル及びカニューレの挿入と、ニードルの分離動作とを分離してもよい。また、第1ホルダー230において、昇降溝231bは、移動突起115の回転距離を制限することができ、ユーザーが過度にスリーブを回転させ、カニューレが不完全に挿入されることを防止することができる。
【0072】
したがって、本発明の思想は、上記に説明した実施例に限定されてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と同等な、又はこれから等価的に変更されたすべての範囲は、本発明の思想のカテゴリに属すると言える。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の一実施例によると、ニードルアセンブリ及びこれを含む薬物注入装置は、様々な産業上の利用可能な装置に適用され得る。様々な薬物送達装置に適用することができる。