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特許7285922線路区間のための新設路線を設置する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】線路区間のための新設路線を設置する方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/02 20060101AFI20230526BHJP
   E01C 19/48 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
E01B27/02
E01C19/48 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021518459
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2019000219
(87)【国際公開番号】W WO2020074113
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】18000798.1
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521133506
【氏名又は名称】チュルヒャー ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】チュルヒャー,ラルフ
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第3834313(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第19935598(DE,A1)
【文献】特開平11-336014(JP,A)
【文献】特開平10-207544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/02
E01C 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道が当初存在しない場合に少なくとも単線の線路区間(100、101)のための新設路線を設置する方法であって、前記新設路線が少なくとも1つのPS層(2)と砕石層(3)とを有し、かつ前記PS層(2)が路盤(1)上に、前記砕石層(3)が前記PS層(2)上に連続的なワークフローで作業方向(A)に構築される方法において、
前記PS層(2)はPS層仕上機(20)(PSS仕上機)によって構築され、かつ前記砕石層(3)は、前記作業方向(A)に関して前記PSS仕上機(20)の後方に予め定められる距離をおいて運転されるとともに、前記PS層(2)上を走行するためのクローラシャーシ又はキャタピラシャーシ(31)を装備する砕石床仕上機(30)によって構築され、
前記PS層(2)及び前記砕石層(3)の構築のために必要な材料(K、S)が、前記作業方向(A)に関して前記PSS仕上機(20)の前方に予め定められる距離をおいて運転される少なくとも1つの積載車(10a、10b)からそれぞれ1つの割り当てられたコンベヤ装置(12a、12b)によって前記PSS仕上機(20)及び前記砕石床仕上機(30)に供給されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記PS層(2)の構築のために必要な前記材料(K)は、第1積載車(10a)に貯蔵され、そこから前記割り当てられたコンベヤ装置(12a)を介して前記PSS仕上機(20)の収容装置(23)へ搬送され、
前記砕石層(3)の構築のために必要な材料(S)は、前記第1積載車(10a)の隣で運転される第2積載車(10b)に貯蔵され、そこから前記割り当てられたコンベヤ装置(12b)を介して前記砕石床仕上機(30)の収容装置(33)へ搬送されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンベヤ装置(12a、12b)の、長さ、位置、及び/又は角度ポジションが調節可能に形成され、前記コンベヤ装置(12a、b)の投下端部が前記収容装置(23、33)に対して位置決めされることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複線又は多線の線路区間(101)のための新設路線を設置するために、建設されるべき区間軌道ごとにそれぞれ1つの砕石床仕上機(30)が使用され、前記2つ以上の砕石床仕上機(30)が並べて使用され、前記それぞれの砕石層(3)の構築のために必要な材料(S)が前記少なくとも1つの積載車(10a、10b)からそれぞれ1つの割り当てられたコンベヤ装置(12b)を介して前記砕石床仕上機(30)に供給され、好ましくは各砕石床仕上機(30)用の積載車(10b)が割り当てられていることを特徴とする、請求項1~請求項3の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項5】
前記PS層(2)の構築のために必要な材料(K)が前記PSS仕上機(20)によって敷設装置(22)を用いて敷設され、
前記砕石層(3)の構築のために必要な前記材料(S)が前記砕石床仕上機(30)によって敷設装置(32)を用いて敷設され、前記それぞれの敷設装置(22、32)は、高さ、幅、形状、位置、及び傾斜を含む、前記PS層(2)及び前記砕石層(3)のために予め定められたプロファイルに従って前記PS層(2)及び前記砕石層(3)を敷設することを特徴とする、請求項1~請求項4の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項6】
前記路盤(1)の高さ及び側方位置が測量、レベリング、かつ検出され、前記PS層(2)及び前記砕石層(3)の前記それぞれのプロファイルを予め定める場合に考慮され、
前記路盤(1)の高さ及び側方位置を測量及び検出するために、好ましくは、少なくとも1つの制御装置を介して前記それぞれの敷設装置(22、32)と結合された測量及びレベリング装置(40a、40b)が使用され、それにより前記それぞれ予め定められたプロファイルによる前記PS層(2)及び前記砕石層(3)の敷設が自動化されて行われることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記PSS仕上機(20)、前記砕石床仕上機(30)、及び前記少なくとも1つの積載車(10a、10b)の走行速度と、前記PSS仕上機(20)及び前記砕石床仕上機(30)の敷設速度とが互いに同調され、かつ
前記コンベヤ装置(10a、10b)の移送速度が前記PSS仕上機(20)及び前記砕石床仕上機(20)の敷設速度に同調されることを特徴とする、請求項1~請求項6の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項8】
前記構築されたPS層(2)は、前記敷設装置(22)の後方に配置された前記PSS仕上機(20)の地ならし装置及び/又は締固め装置(24)によって地ならし及び/又は締め固めされる、
ならびに/あるいは
前記構築された砕石層(3)は、前記敷設装置(32)の後方に配置された前記砕石床仕上機(30)の地ならし装置及び/又は締固め装置(34)によって地ならし及び/又は締め固めされることを特徴とする、請求項5~請求項7の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの積載車(10a、10b)に前記路盤(1)上を前記作業方向(A)に関して前方から接近する前記1つ又は複数の貨物自動車(15)によって、前記PS層(2)及び前記砕石層(3)の構築のために必要な材料(K、S)が前記少なくとも1つの積載車(10a、10b)に装入されることを特徴とする、請求項1~請求項8の少なくとも1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道が当初存在しない場合に少なくとも単線の線路区間のための新設路線を設置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、軌道路線を製作するために軌道路線の所定の横方向プロファイルに応じて、可変の幅及び厚みの異なった材料が必要とされ、かつ敷設されることが知られている。これらの層は、異なった配合の砂礫混合物、又は場合によってはアスファルトからなるいわゆる路盤保護層(以下にPSS又はPS層と略記される)である基層と、特定の粒群の岩石砕石(硬岩、例えば花崗岩)である砕石層とからなる。
【0003】
この軌道基礎の規則に準拠した敷設は、例えば砂利又は岩石などの負荷能力のある路床からなる路盤上で行われる。この場合、個々のPS層及び砕石層の厚み及び横方向プロファイルの形態は様々に異なり得る。この場合、軌道路線は、単軌道又は複数の、少なくとも実質的に並列の軌道からなり得る。
【0004】
これまで、PS層及び砕石層を含む線路路線のための材料は、その土地に応じて、軌道が存在しない場合には貨物自動車によって搬入及び搬出されてきた。新設区間の近くに軌道がすでに存在する場合には列車によってこれを行うことができる。荷下ろしされた後、材料は、設備計画の高さ設定、幅設定、及び横方向プロファイル設定に従ってひと重ねずつ(Lagenweise)敷設され、締固めされる。この場合、個々の層の敷設は別々の作業工程で行われる。まず砂礫混合物からなるPS層が敷設されなければならない。個々の事例において、例えばスイスではこのPS層はアスファルトからなることもできる。
【0005】
PS層をプロファイルに応じて敷設した後に、別の作業工程で、PS層上縁から新たに敷かれるべき軌道の枕木の予定される下縁までの領域のために砕石層の敷設が行われる。多くの場合、新PS層及び砕石層の敷設は、市場で一般的な建設機械及び器具を用いて、その土地と構造物とに依存して異なった方式で行われる。
【0006】
PS層及び砕石層の敷設作業は、貨物自動車、パワーショベル、ブルドーザ、ローラ、敷設仕上機、又はそれに類するものによって行うことができ、その際、砕石層を設ける前に、完成したPS層に凸凹があってはならず、したがって貨物自動車若しくはいかなるタイヤ付き車両でも走行されてはならないということに注意を払う必要がある。
【0007】
したがって、DE3834313A1は、砕石層が砕石仕上機によって仕上げられ、かつ予め作られたPS層が先行するPSSフィニッシャによって仕上げられる軌道路線を敷設する方法を開示する。どちらの仕上機もPS層を損傷しないためにキャタピラシャーシを有している。PSSフィニッシャは、前から見たとき、投入積載車を有し、コンベヤベルトがこの投入積載車から砕石仕上機まで延在する。貨物自動車によって砕石を投入積載車に装入することができ、その際、予め作られたPS層の走行された区間は続いてPSSフィニッシャによって平滑化され、場合によっては締固めされる。
【0008】
これに代えて、設置されるべき軌道路線の他にすでに存在する材料供給のために設けられた軌道又は道路が存在するならば、これを利用することができる。さらに、前方にPS層及び砕石層を敷設し、その上に軌道を設ける特殊な複雑な軌道路線工事車を用いることができ、この工事車は、前部に軌道敷上を走行するためのシャーシと、後部領域に新たに敷かれる軌道上を走行するためのレールシャーシとを有している。
【0009】
これに加えて、EP2295638B1は、まず路線路床(Trassenunterbau)上にレールが置かれ、作業車によって前方で路線軌道敷上に砕石が置かれ、次いで砕石上に枕木が置かれ、最後にその上に、先に置かれ作業車に挿通されたレールが設けられる。そのために作業車はキャタピラシャーシと、後端にレールシャーシとを有し、それに伴いすでに完成した軌道敷上を部分的に移動する、軌道敷を設置する方法及び作業車を記載する。方法は、さらに、砕石の下に予めPS層を設けることを企図し得る。PS層及び砕石層を設けるために、相前後する作業車がキャタピラシャーシの前にそれぞれ1つの相応の敷設装置を有し、敷設のために必要な材料が、作業方向で作業車の後方に配置された対応する材料車からコンベヤベルトを介して供給される。
【0010】
EP2708648もPS層及び砕石層の敷設のために必要な材料が材料車からコンベヤベルトを介して供給され、材料車が作業方向で軌道を設置する装置の後方に配置され、軌道を設置する装置は、そこでは先行する別個の、かつ切り離された、ホイールシャーシ又はキャタピラシャーシを有する敷設仕上機からなり、ホイールシャーシ又はキャタピラシャーシの後方にそれぞれPS層若しくは砕石層のための敷設装置が配置されている軌道を設置する装置を開示する。
【0011】
上記の装置によって、PS層及び砕石層を含む新線路路線(Bahntrasse)を唯一の連続的作業工程で設置できはするが、材料供給のために複数の材料車と相応の移送ロジスティックス(Foerderlogistik)を必要とするこの複雑な工事車は、PS層及び砕石層が別々の作業工程で一般的な機械及び器具を用いて順次設置される従来の工法と比較してコストが格段に高い。
【0012】
道路建設の分野では、DE19935598A1から、バインダ層とカバー層とを同時に敷設し、カバー層とバインダ層のより堅固な結合が達成されるコンパクトアスファルトを製造するための敷設車が知られている。敷設車は、瀝青バインダ層のための路面仕上機と、その直後に瀝青カバー層のための路面仕上機とを有し、これらの路面仕上機はどちらもキャタピラシャーシを装備している。バインダ層のための路面仕上機の前方で、貨物自動車によって装入され得る建設材料のための収容及び分配ユニットが運転される。収容及び分配ユニットから、それぞれ1つのコンベヤ装置がバインダ層のための路面仕上機及びカバー層のための路面仕上機まで延在し、これらの路面仕上機に建設材料が供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この従来技術を出発点として、本発明の課題は、建設中に設置されるPS層を損傷することなしに、及び並列道路又は並列軌道を利用する必要なしに新設路線のPS層及び砕石層を設置するための簡易化され、より迅速、かつ安価な連続的方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は、請求項1の特徴を有する方法により解決される。
【0015】
方法の発展形態は、それぞれの従属請求項に記載されている。
【0016】
本発明による方法は、軌道が当初存在しない場合に少なくとも単線の線路区間のための新設路線を設置することに関する。「軌道が当初存在しない」とは、方法の開始前の計画された新建設区間の状態に関し、すなわち方法は、計画された新設路線に沿って線路軌道が延びていない当初の状況において使用される。
【0017】
換言すると、これは少なくとも単線の線路区間の基礎を最初に作製する方法であり、この場合、「基礎(Unterbau)」とは、路盤上に構築されるPS層及びその上に構築される砕石層若しくは積載床と解される。方法は、既存の線路区間におけるこれらの層の整備(Sanierung)に関するものではない。
【0018】
PS層が路盤上に、砕石層がPS層上に連続的なワークフローで作業方向に構築される本発明による方法の第1実施形態は、PS層の構築が路盤保護層仕上機(PSS仕上機)によって行われ、砕石層の構築が砕石床仕上機によって行われることを包含する。砕石床仕上機は、作業方向に関して、PSS仕上機によって構築されたPS層上でPSS仕上機の後方に予め定められる距離をおいて運転される。PS層を損傷しないために、クローラシャーシ又はキャタピラシャーシを装備した砕石床仕上機が用いられる。2つの敷設仕上機が2つの層を同時に、かつ連続的に構築するために、方法は、さらに、PS層及び砕石層の構築のために必要な材料を1つ又は複数の積載車からPSS仕上機及び砕石床仕上機へ供給することを包含し、その場合、1つ(又は複数)の積載車からそれぞれPSS仕上機及び砕石床仕上機へ延在する相応に割り当てられたコンベヤ装置が利用される。その場合、1つ又は複数の積載車は、作業方向に関してPSS仕上機の前方に予め定められる距離をおいて運転され、すなわち、PSS仕上機及び砕石床仕上機と同じ速度で、連続的ワークフローで作業方向で前方へ移動されるのに対して、材料供給は、逆方向に積載車からコンベヤ装置を介して敷設仕上機へ行われる。
【0019】
したがって、本発明による方法では、PS層及び砕石層のためのそれ自体公知の敷設仕上機が積載車及びコンベヤ装置とともに、軌道が当初存在しない場合に連続的ワークフローでPS層と砕石層とを同時に構築して新設路線を設置することを従来技術と比べて格段に容易になり、その際、より迅速であるだけでなく、軌道による材料車による材料供給に頼る複雑な一連の機械を省略できることから、より安価に可能にする有利な作業位置関係(Arbeitskonstellation)で利用される。砕石床仕上機がクローラシャーシ又はキャタピラシャーシを有することで、砕石床仕上機によるPS層の損傷が回避される。殊に、路盤上を走行するPSS仕上機及び積載車もクローラシャーシ又はキャタピラシャーシを有することができ、このことが特に雨天において有利である。
【0020】
層の構築のために必要な異なった材料、例えばPS層のための砂礫混合物又は場合によってはアスファルト、及び砕石層のための特定の粒度の岩石砕石を、そのために相応の別々の部分を有し得る唯一の積載車で提供することはできるが、本発明による方法の別の有利な実施形態では、異なった材料ごとに専用の積載車が用いられること、すなわちPS層のために必要な材料を第1積載車に、かつ砕石層のために必要な材料を第2積載車に貯蔵することが企図され得る。その場合、PS層のために必要な材料は、第1積載車から割り当てられたコンベヤ装置を介してPSS仕上機の収容装置へ搬送される。相応に、砕石層のために必要な材料は、第1積載車の隣で運転される第2積載車から割り当てられたコンベヤ装置を介して砕石床仕上機の収容装置へ搬送される。
【0021】
方法の特に有利な一発展形態では、複線又は多線の線路区間のための新設路線を設置するために、建設されるべき区間軌道ごとにそれぞれ1つの砕石床仕上機が用いられることが企図されている。2つ以上の砕石床仕上機が相並べて用いられるので、新設路線の砕石床は、複線又は多線の線路区間で同時に仕上げられる。その際、新設路線の幅によっては唯一のPSS仕上機で十分であり得る。このPSS仕上機の後方で2つ以上の砕石床仕上機がPS層上に砕石床を相並べて構築する。その際、それぞれの砕石層の構築のために必要な材料が少なくとも1つの積載車から相応に割り当てられたコンベヤ装置を介して各砕石床仕上機に供給される。しかし殊に、砕石床仕上機ごとに1つの専用の積載車が設けられ、この積載車からそれぞれ1つのコンベヤ装置がPSS仕上機の傍らを通って割り当てられた砕石床仕上機まで延在する。2つ以上の砕石床仕上機に対応して用いられる2つ以上の積載車は、殊に相並べて、かつPSS仕上機に割り当てられた積載車の隣に配置される。複線の線路区間の砕石床を設置するために、例えば2つの砕石床仕上機を相並べて使用することに代えて、一方法変形形態は、2つの並列の砕石層を敷設するために相並べて配置されている2つの敷設装置を有する特殊な砕石床仕上機の利用を企図することができる。
【0022】
場合によっては、軌道区間の予定された数、及び軌道区間の道幅若しくは新設路線の予定された全幅に依存して、1つより多いPSS仕上機も必要となり得る。その場合、本発明による方法の一発展形態では、2つ以上のPSS仕上機を相並べて用いることもでき、必要な材料が先行する積載車、殊にそれぞれ専用の先行する積載車から割り当てられたコンベヤ装置を介してこれらのPSS仕上機に供給される。
【0023】
PS層及び砕石層のために必要な材料の敷設は、それぞれPSS仕上機及び砕石床仕上機の敷設装置によって行われ、それぞれPS層のために予め定められたプロファイル、及び砕石層のために予め定められたプロファイルに従い、PSS仕上機の敷設装置はPS層を敷設し、砕石床仕上機の敷設装置は砕石層を敷設する。それぞれのプロファイルは、それぞれの層の例えば高さ、幅、形状、位置、及び傾斜の設定値を含み得る。
【0024】
本発明による方法の別の一実施形態は、方法のワークフローの結合及び自動化に関し、かつ路盤の高さ及び側方位置の測量、レベリング、及び検出を包含し、PS層及び砕石層のそれぞれのプロファイルを予め定める際に、路盤のこの高さ及び側方位置を考慮することをさらに包含する。殊に、路盤の高さ及び側方位置の測量、レベリング、及び検出のために、少なくとも1つの制御装置を介してそれぞれの敷設装置と結合され、それによりPS層及び砕石層の敷設がそれぞれ予め定められたプロファイルで自動化して行われる測量及びレベリング装置を用いることができる。
【0025】
測量は、大抵の場合、予め側縁部で測定された、例えばワイヤケーブルであり得るリードケーブル(Leitschnur)を介して行われる。リードケーブルは、そこで寸法を前方移動中に継続的に採取する敷設仕上機のための走査ライン(Tastleitung)として使用される。これに代わる方法変形形態は、レーザスポット制御される方向線(Richtungsleitung)を企図することができる。
【0026】
方法の進行の自動化は、砕石層の構築時だけでなくPS層の構築時にも連続的材料供給をもたらす先行する積載車の使用によって可能にされる。その際、PS層及び砕石層を別々の構築するときに従来技術において不連続な作業方式での材料供給のために使用された材料積み上げ(Materialanschuettung)は回避される。積み上げによる不連続な材料供給は、所望のプロファイルを得るために層を敷設する場合、繰り返し新たな新しい取付点を前提とするが、このことも同様に本発明による方法では回避される。したがって、有利にも本発明による方法によってPS層及び砕石層のひと重ねずつの連続性と均一性とをより簡単に達成することができる。
【0027】
方法を規則的に連続的ワークフローで実行できるようにするために、本発明による方法の別の発展形態は、PSS仕上機、砕石床仕上機、少なくとも1つの積載車の走行速度を互いに同調させ、それにより敷設仕上機及び積載車が実質的に同じ速度で前方へ移動されることを企図する。砕石床仕上機とPSS仕上機との間、及びPSS仕上機と積載車との間に予め定められる距離を適切に選択することによって、ある程度の変動を受け入れることができ、かつ各コンベヤ装置の投下端部が割り当てられた仕上機の収容装置上にある限り補償可能である。収容装置が仕上機の比較的大きい面積にわたって延在する場合、ここでも変動のための十分な許容差が与えられる。殊に、先行する積載車は、敷設仕上機とは別個に運転され、かつそれに応じて専用の駆動装置を有する。積載車及び敷設仕上機を前方へ移動させるために用いられる同じ速度に適合させるための積載車及び敷設仕上機の駆動装置を機能し得るように結合する場合、コンベヤ装置をそれぞれの敷設仕上機と割り当てられた積載車との間に場合によっては固定的に接続又は載置することができる。
【0028】
さらに、この発展形態による方法は、PSS仕上機及び砕石床仕上機の敷設速度を互いに同調させること、及びPSS仕上機、砕石床仕上機、及び少なくとも1つの積載車の走行速度をPSS仕上機及び砕石床仕上機の敷設速度に同調させることを包含する。さらに、コンベヤ装置の移送層度がPSS仕上木及び砕石床仕上機の敷設速度に同調させられる。これは殊に電子的に開ループ制御若しくは閉ループ制御され得る。
【0029】
本発明による方法の一発展形態では、敷設された層を最適化するために、それぞれ構築されるPS層及び/又は砕石層の付加的な地ならし及び/又は締固めを行うことができ、そのために作業方向に関して、それぞれPSS仕上機若しくは砕石床仕上機の敷設装置の後方に配置される相応の地ならし及び/又は締固め装置を用いることができる。基本的に、地ならし及び締固め作業はすでに敷設仕上機の敷設装置によって行われ、敷設仕上機の後方に配置されている付加的な地ならし及び締固めユニットが敷設仕上機によって敷設された材料の所望による、若しくは再度の追加の加工を可能にする。
【0030】
本発明による方法の好ましい一実施形態では、少なくとも1つの積載車へのPS層及び砕石層の構築のために必要な材料の装入が1つ又は複数の貨物自動車によって行われ、貨物自動車は、タイヤで走行することが許される路盤上を作業方向で前方から少なくとも1つの積載車に接近する。貨物自動車による材料納入は、軌道による材料車を使用するより格段に低いコストと結びついている。積載車は、殊に、作業方向で装入されるべき積載車の前に位置決めされる貨物自動車の積荷をすべり降ろすことによって簡単に行うことができるように形成されている。
【0031】
装入されるべき積載車、及びこれに対応して残りの積載車及び敷設仕上機の前方移動は、装入されるべき積載車への貨物自動車のドッキング及びすべり降ろし中に維持されることが企図され、それにより方法は、積載車の装入中も作業方向に連続的に継続される。このために、装入されるべき積載車への貨物自動車のドッキング、及び荷下ろし過程の開始後に貨物自動車がアイドリングに切り替えられ、それにより貨物自動車が完全に荷下ろしするまで作業プロセスにおいて一緒に押し動かされる。
【0032】
本発明による方法を実行することができる、軌道が当初存在しない場合に少なくとも単線の線路区間のための新設路線を設置する、若しくは少なくとも単線の線路区間軌道敷を最初に設置する装置は、特定の作業位置関係で、少なくとも1つのPSS仕上機と、PS層上を走行するためのクローラシャーシ又はキャタピラシャーシを装備する少なくとも1つの砕石床仕上機と、PSS仕上機及び砕石床仕上機に割り当てられた少なくとも1つの積載車とコンベヤ装置とを有する。作業位置関係において、砕石床仕上機が作業方向に関してPSS仕上機の後方に予め定められる距離をおいて運転可能であり、積載車が作業方向に関してPSS仕上機の前方に予め定められる距離をおいて運転可能であり、かつコンベヤ装置が少なくとも1つの積載車からそれぞれPSS仕上機及び砕石床仕上機へ延在する。
【0033】
装置のコンベヤ装置は、殊にコンベヤベルト若しくはベルトコンベヤであり得るが、例えばスクリューコンベヤ、パレットコンベヤ、又はバケットコンベヤなどの別のコンベヤ装置も考えられる。
【0034】
好ましい一実施形態では、装置は、相並んで運転可能な少なくとも2つの積載車を有し、第1積載車がPSS仕上機に割り当てられ、第2積載車が砕石床仕上機に割り当てられている。その際、PSS仕上機及び砕石床仕上機がそれぞれ1つの収容装置を有し、収容装置は、例えば単純にボックス状で蓋なしであるが、大きい開口面積で形成され得る。この収容装置、若しくはより厳密には収容装置の開口面積へ、それぞれ割り当てられたコンベヤ装置が割り当てに応じて第1積載車及び第2積載車から延在する。その際、各コンベヤ装置を割り当てられた敷設仕上機に固定的に接続又は載置することができることが企図され得るが、各コンベヤ装置の投下端部は、それぞれの収容装置の上方に固定的に接続又は載置することなしに位置決めされもよい。その際、特別な一発展形態では、コンベヤ装置の長さ、位置及び/又は角度ポジションを調節可能に形成することができ、それによりコンベヤ装置の投下端部を収容装置に対して可変に位置決めすることができる。これによってコンベヤ装置の投下端部を常に適切に方向合わせできることで、装置において異なった敷設仕上機を用いることができる一方で、敷設仕上機と積載車との予め定められる距離を変化させることができる。これに加えて、投下端部を線路区間の形状及びトポグラフィ、すなわち曲線又は波形の区間形状とは無関係に常に収容装置上に位置決めするためにも調節可能なコンベヤ装置を利用することができる。
【0035】
一発展形態では、装置は、建設されるべき区間軌道ごとにそれぞれ1つの砕石床仕上機を有することができ、2つ以上の砕石床仕上機が作業位置関係で相並んで運転可能である。殊に、装置は、砕石仕上機ごとにそれぞれ1つの割り当てられた積載車を有し、そのことによってコンベヤ装置が、作業方向に対して単純に平行に延び得ることができ、かつ各積載車から割り当てられた砕石床仕上機へ延在する。所望により、装置は、新設路線の幅に依存して、1つより多いPSS仕上機を有することができ、PSS仕上機も作業位置関係で相並んで運転可能であり、殊にそれぞれ専用の積載車に割り当てられている。代替的な作業位置関係は、例えば相並ぶ2つ以上の砕石床仕上機の代わりに、1つの特殊な砕石床仕上機を企図し、特殊な砕石床仕上機は、敷設されるべき軌道区間に応じて、並列の砕石層を敷設するために相並べて配置されている2つ以上の敷設装置を有している。この種の特殊な砕石床仕上機は、敷設装置ごとに1つの専用の収容装置を有することができ、材料がそれぞれ1つの割り当てられた積載車から対応するコンベヤ装置を介してこの収容装置に供給される。この特殊な砕石床仕上機が2つの敷設装置に砕石を供給するただ1つの収容装置を有する場合、材料供給を唯一の割り当てられた積載車から相応に1つのコンベヤ装置を介して唯一の収容装置へ行うことができる。
【0036】
PSS仕上機及び砕石床仕上機はそれぞれ1つの敷設装置を有し、装置の好ましい実施形態では、この敷設装置は、それぞれ、高さ、幅、形状、位置、及び傾斜を含み得るPS層及び砕石層のために予め定められたプロファイルに従ってPS層及び砕石層を構築するように形成されている。その際、自動化するために、装置は、場合によってはさらに路盤の高さ及び側方位置を測量、レベリング、及び検出するための測量装置及びレベリング装置を有することができ、それぞれの敷設されるべき層が有するべき敷設プロファイルを予め定めるために測量装置及びレベリング装置は、少なくとも1つの制御装置を介してそれぞれの敷設装置と結合されている。例示的な測量及びレベリング装置として、各敷設仕上機は、新設路線の側縁部において測定されるリードケーブルを走査するための走査装置を有することができる。測量及びレベリング装置の別の例は、レーザスポット制御される方向線が使用され得る。
【0037】
装置の別の実施形態では、特にPSS仕上機、砕石床仕上機、及び少なくとも1つの砕石車の走行速度とPSS仕上機及び砕石床仕上機の敷設速度とを互いに同調させるために、PSS仕上機、砕石床仕上機、及び少なくとも1つの積載車の少なくとも駆動装置と敷設装置ならびにコンベヤ装置が、ワークフローを自動化するために電子的に、場合によっては開ループ制御若しくは閉ループ制御装置を介して互いに結合され得る。さらに、殊に同様に開ループ制御若しくは閉ループ制御装置を介してコンベヤ装置の移送速度をPSS仕上機及び砕石床仕上機の敷設速度に同調させることができる。
【0038】
装置の別の実施形態は、PSS仕上機が、敷設されたPS層の付加的な、若しくは再度の追加の地ならし及び/又は締固めのために、作業方向でPSS仕上機の敷設装置の後方に配置されている付加的な地ならし及び/又は締固め装置を有することができることを企図する。これに代えて、又はこれに加えて、装置の砕石床仕上機は、相応に作業方向に関して砕石床仕上機の敷設装置の後方に配置されている付加的な地ならし及び/又は締固め装置を有することができる。
【0039】
さらに、一発展形態は、装置が、作業位置関係において、それぞれの材料を積載車に装入するために作業方向に関して少なくとも1つの積載車の前方で運転可能な少なくとも1つの貨物自動車を有することに関する。
【0040】
他の実施形態、ならびにこれらの、及びさらなる実施形態と結びついた利点のいくつかが、添付の図面を参照しながら説明される以下の詳しい記載により明らかになり、かつより良く理解され得る。実質的に同じ、又は類似の対象物又は対象物の部分には同じ参照符号が付され得る。図は本発明の実施形態の模式的図示にすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1a図1a)は、砕石車に装入前の単線区間のための本発明による方法を実行するための作業位置関係にある装置の模式的側面図を示す、
図1b図1b)は、砕石車に装入前の単線区間のための本発明による方法を実行するための作業位置関係にある装置の模式的側面図を示す、
図2a図2a)は、積載車に装入中の図1からの装置の模式的側面図を示す、
図2b図2b)は、積載車に装入中の図1からの装置の模式的上面図を示す、
図3a図3a)は、積載車に装入前の単線区間のためのコンベヤ装置の代替的配置の本発明による方法を実行するための作業位置関係にある装置の模式的側面図を示す、
図3b図3b)は、積載車に装入前の単線区間のためのコンベヤ装置の代替的配置の本発明による方法を実行するための作業位置関係にある装置の模式的上面図を示す、
図4a図4a)は、積載車に装入中の図3からの装置の模式的側面図を示す、
図4b図4b)は、積載車に装入中の図3からの装置の模式的上面図を示す、
図5a図5a)は、積載車に装入前の複線区間のための本発明による方法を実行するための作業位置関係にある装置の模式的側面図を示す、
図5b図5b)は、積載車に装入前の複線区間のための本発明による方法を実行するための作業位置関係にある装置の模式的上面図を示す、
図6a図6a)は、積載車に装入中の図5からの装置の模式的側面図を示す、
図6b図6b)は、積載車に装入中の図5からの装置の模式的側面図を示す、
図7a図7a)は、軌道を有する設置された新設路線の模式的側面図を示す、
図7b図7b)は、軌道を有する単線の設置された新設路線の上面図を示す、
図7c図7c)は、軌道を有する複線の設置された新設路線の上面図を示す、
図8a図8a)は、積載車に装入前の複線区間のための地ならし/締固め装置を用いるPSS仕上機を有する本発明による方法を実行するための作業位置関係にある装置の模式的側面図を示す、
図8b図8b)は、積載車に装入前の複線区間のための地ならし/締固め装置を用いるPSS仕上機を有する本発明による方法を実行するための作業位置関係にある装置の模式的上面図を示す
図9a図9a)は、積載車に装入中の図8からの装置の模式的側面図を示す、
図9b図9b)は、積載車に装入中の図8からの装置の模式的上面図を示す、
図10a図10a)は、積載車に装入前の複線区間のための地ならし/締固め装置を用いるPSS仕上機及び砕石仕上機を有する本発明による方法を実行するための作業位置関係にある装置の模式的側面図を示す、
図10b図10b)は、積載車に装入前の複線区間のための地ならし/締固め装置を用いるPSS仕上機及び砕石仕上機を有する本発明による方法を実行するための作業位置関係にある装置の模式的側面図を示す、
図11a図11a)は、積載車に装入中の図10からの装置の模式的側面図を示す、
図11b図11b)は、積載車に装入中の図10からの装置の模式的上面図を示す、
図12図12は、単線の新設路線の模式的横断面図を示す、
図13図13は、側縁部に配置されたリードケーブルを有する図12からの単線の新設路線のための路盤の模式的横断面図を示す、
図14図14は、新設路線の側縁部に配置されたリードケーブルを有する単線区間のための本発明による方法を実行するための作業位置関係にある装置の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
2つの層の構築を前方で特殊な装置を用いて行う複雑な軌道による工事車が利用されない場合、軌道設備の軌道敷を新設するために、従前はPS層及び砕石層を構築するための2つの別々の作業工程を実行する必要があるが、このことは高コストと結びついている。
【0043】
図12は、路盤1上に構築された軌道敷がPS層2と砕石層3とを有する単線の線路区間100の構築を簡略化した図を示す。砕石床3には枕木4(図12の断面図にはそのうちの1つが見て取れる)が埋め込まれ、枕木上にレール5が取り付けられている。路盤1は、平坦性、傾斜、及びプロファイルに応じた位置に関して相応に加工された地表面を示す。その点で、表面の水を確実に排出できるようにするために、路盤1を屋根状に傾斜させてあることが見て取れる。図示された例では、路盤1上に構築されたPS層2が相応の屋根状の傾斜を有するプロファイルを具備するのに対して、その上に構築された砕石層3は、それとは異なる、枕木4とレール5とからなる軌道のための略平坦な表面を有するプロファイルを有する。
【0044】
PS層2及び砕石層3の図示されたプロファイルは例示と解されるべきである。設置されるべき新設路線の、層厚、層幅、及び層傾斜に関してこれとは異なるプロファイルによる改変、ならびに新設路線の異なる高さ及び側方位置は保護範囲内に含まれる。
【0045】
この場合、上記の装置を用いて安価に実行される本発明による方法は、PS仕上層及び砕石層2、3を、新PS層2上をタイヤ付き車両で走行することなしに一作業方向に連続的に並行して敷設することを可能にし、このことは図1図11における実施形態を用いて例示的に示され、一般的に使用される技術、すなわち複雑な、高価な、軌道による工事車なしには可能でない。タイヤ付き車両で走行しない本発明による連続的敷設によって、特に必要な均一性及び所定のプロファイルを有するPS層2が、その上に構築される、同様に所定のプロファイルで均一に提供される砕石層3といわば同時に作製される。
【0046】
PS層2と砕石層3の同時の敷設に関する本発明による方法では、敷設されるべき材料K、Sの装置への装入が、図に示されるように路盤1から行われる。以下の例において、敷設されるべき材料K、Sは、PSSのための砂礫混合物、砕石層のための岩石砕石であるが、それに限定されるべきでない。PSSのための代替的材料は、例えばアスファルトであり得る。
【0047】
図1a、図1bは、装入のために、作業方向Aに関して、材料K、Sが貯蔵される積載車10a、10bの前方に位置する貨物自動車15を示す。本発明による装置の作業位置関係において、図示された実施形態では、積載車10a、10bの後方にPSS仕上機20、及びその後方に砕石床仕上機30が位置し、これらはすべて作業方向Aに略一定の速度で規則正しく前方へ移動される。その際、ここではそれぞれ1つのクローラシャーシ11、21を有する積載車10a、10b、PSS仕上機20が路盤1上を走行するのに対して、PS層2は、路盤1上でPSS仕上機20により、そのためにクローラシャーシ21の後方に配置されている敷設装置22を用いて構築される。PSS仕上機20に後続する砕石床仕上機30は、新たに敷設されたPS層2上を走行し、PS層2の破壊を回避するのに適したクローラシャーシ又はキャタピラシャーシ31を有する。その際、砕石層3は、クローラシャーシ又はキャタピラシャーシ31の後方に配置されている相応の敷設装置32を有する砕石床仕上機30によってPS層2上に並行して、かつ同様に連続的に構築される。
【0048】
その際、必要な材料K、Sが2つの敷設仕上機20、30に連続的に供給され、PS層2の敷設するために必要な、例えば砂礫混合物であり得る材料Kが、材料Kが貯蔵される割り当てられた積載車10aからコンベヤ装置12aを介してPSS仕上機20に供給される。積載車10a及び搬送装置12aは、側面図では覆い隠されている。そこには、コンベヤ装置12aの投下端部においてPSS仕上機20の収容ボックス23内に落下する材料Kしか見て取れない。相応に、砕石層3の敷設のために必要な材料S、通常、特定の粒度の岩石砕石が、材料Sが貯蔵される、割り当てられた積載車10bから別のコンベヤ装置12bを介して砕石床仕上機30に供給される。したがって、作業方向Aとは逆の、図示された例ではダンプ者である貨物自動車15によって路盤1の材料K、Sを装置に装入することを可能にする材料移送方向Mで材料の供給が行われる。図2a、図2bに見て取れるように、貨物自動車15の荷台窪みに入っている材料が、予定された積載車10aにすべり降ろされて材料移送装置Mに移されるように、貨物自動車15が装入されるべき積載車、ここではPSS仕上機20に割り当てられた積載車10aの前方に位置決め若しくは移動される。この場合、積載車10aに結合された後にアイドリングに切り替えられた貨物自動車15は、すべり降ろし中に積載車10aによって作業方向Aで前方へ押し動かされるため、PS層2と砕石層3の連続的敷設が中断されない。
【0049】
本発明による方法の開始にあたり、始めに路盤のみが存在している場合、従来の造成装置によって、砕石床仕上機の長さに略相当する長さの第1PSS区間部分が設備全体のための出発立ち上げ面(Start-Aufstandsflaeche)として事前に作られ得る。この第1PSS区間部分上に、作業位置関係を形成するために砕石床仕上機が収容され得、この砕石床仕上機の前方には、並行して作業するPSS仕上機と砕石床仕上機と積載車とからなる作業位置関係全体のコンポーネントにより本発明による方法を同時に開始するために、PSS仕上機と積載車がそれぞれのコンベヤ装置とともに路盤上に配置される。
【0050】
コンベヤ装置12a、12bは、それぞれの積載車10a、10bから関連する仕上機20、30まで、若しくは仕上機の収容ボックス23、33まで延在する。積載車10a、10bは送入ホッパを有することができ、送入ホッパの首部がコンベヤ装置12a、12bの収容端部に、若しくは収容端部上方で開口する。それぞれの敷設装置22、32に材料を直接、又は別のコンベヤ装置を介して供給するために、収容ボックス23、33を送入ホッパとして形成することもできる。
【0051】
図3a、図3b、及び図4a、図4bに示された例は、それぞれのPSS仕上機20及び砕石床仕上機30へのそれぞれの収容ボックス23、33の配置が異なることにもとづくコンベヤ装置12a、12bの配置の点で図1a、図1b、及び図2a、図2bに示された装置とは異なる。場合によっては、コンベヤ装置、及びコンベヤ装置によって達成される様々な投下ポジションの異なった配置によって、それぞれの収容ボックスのより均一な充填を達成することができる。
【0052】
したがって様々に設計された仕上機20、30を本発明による方法のための装置において利用できるようにするために、割り当てられたコンベヤ装置12a、12bの配置が、作業方向に対して横向きのそれらの位置に関して異なる、異なった積載車10a、10bを設けることができ、あるいはコンベヤ装置12a、12bをその位置に関して調節可能に形成することができ、それにより積載車10a、10bの配置に応じて、及び使用される仕上機20、30の構造に応じてコンベヤ装置12a、12bの投下端部をそれぞれの収容装置23、33に対して最適に位置決めすることができる。
【0053】
さらに、コンベヤ装置は、図示されてはいないが、長さ及び/又は角度ポジションに関しても可変性を提供するため、かつそれに伴い積載車と仕上機との配置及び/又は距離が逸脱してもそれぞれの仕上機の収容装置上の投下端部の配置を確保できるようにするために、入れ子式に伸縮可能及び/又は回動可能に形成され得る。
【0054】
図1a、図1b~図4a、図4bにおいて、装置は、それぞれ、PSS仕上機20に割り当てられた積載車10aと砕石床仕上機30に割り当てられた積載車10bとを有し、2つの積載車10a、10bは相並んで運転される。当然のことながら、それぞれの材料のための別々の部分若しくは別々の送入ホッパを有する唯一の積載車が使用される作業位置関係にも及ぶ保護範囲内で図示された例とは異なることが考えられ、それによりコンベヤ装置は、唯一の積載車のそれぞれの部分/送入ホッパから割り当てられた仕上機へ延在する。本発明によれば、積載車が相並ぶのではなく相前後して、又は互いにずらして運転される実施形態もあり、これらの作業位置関係において、装置は相応に適合させたコンベヤ装置を有する。
【0055】
図7a、図7bにおける例示的図示は、本発明による装置の砕石床仕上機30による砕石層3の構築に続いて、新設路線の砕石床3上に枕木4を、場合によっては枕木4間に充填砕石3’を導入して配置することによって、かつレール5を枕木4に取り付けることによって単線の線路区間100が完成される。図7cは、新設路線が2つの並列の砕石床3を有し、かつ同様に本発明による方法によって設置され得る複線の線路区間101を示す。
【0056】
この場合、図5a、図5b、及び図6a、図6bは、本発明による方法でこの種の複線の新設路線を設置するための本発明による装置の例示的実施形態を示す。図5b及び図6bの上面図から、このために使用される装置が、設置されるべき2つの砕石床3に対応して2つの砕石床仕上機30を有し、これらの2つの砕石仕上機は、PS層2上を走行するためにそれぞれクローラシャーシ又はキャタピラシャーシ31を有するとともに、ここではPS層2全体を敷設するだけのPSS仕上機20の後方に予め定められる距離をおいて運転されることが見て取れる。さらにここでは、必要な材料が、図示された例では、それぞれ1つのコンベヤ装置12bがそれぞれの砕石床仕上機30へ延在する、砕石が貯蔵された2つの積載車10b間に配置されている割り当てられた積載車10aからコンベヤ装置12aを介してPSS仕上げ機20に供給される。さらにここでは、図6a、図6bに見て取れるように、材料をすべり降ろすことによってそれぞれの積載車10a、10bへ移す貨物自動車15によって積載車10a、10bへの装入が行われる。
【0057】
この場合も、保護範囲内で図示される例とは異なることが考えられる。例えば、砕石を貯蔵するためにただ1つの積載車が使用されるが、この場合、この積載車が、材料を2つの砕石床仕上機に供給するための2つのコンベヤ装置を装備することが企図され得る。さらに別の代替案は、複線の新設路線を設置するために、2つの敷設装置を有する唯一の砕石床仕上機が使用されることを企図することができる。新設路線の幅に依存して、場合によっては、1つより多いPSS仕上機を使用することもできる。その場合、2つのPSS仕上機を同様に相並んで運転することができ、かつ相応のコンベヤ装置を介してそれぞれ1つの専用の、割り当てられた積載車、又は共通の積載車から敷設のために必要な材料を供給することができる。
【0058】
さらに、当然、多線の新設路線、すなわち2つより多い区間軌道を有する新設路線を設置するために、使用される砕石床仕上機、場合によってはPSS仕上機、及び割り当てられた積載車、及びコンベヤ装置の数を相応に適合させることができる。例えば、3線の新設路線のための作業位置関係が、3線の新設路線のためのPS層を全幅において仕上げる唯一のPSS仕上機の後方に3つの砕石床仕上機を相並べて並行して使用することを企図することができ、その場合、4つの積載車、つまりPSS材料のための1つの積載車と砕石のための3つの積載車がPSS仕上げ機の前方で運転される。その際、コンベヤ装置はPSS材料のための積載車からPSS仕上機へ延在し、砕石のための3つの積載車からそれぞれ1つの搬送装置が砕石床仕上機のそれぞれ1つへ延在する。当然のことながら、この場合も仕上機及び積載車の数、若しくは複線の新設路線との関係で上述した敷設装置の数に関して代替的作業位置関係が考えられ、保護範囲に含まれる。4線以上の多線の新設路線についても同じことが当てはまる。
【0059】
基本的に、本発明による方法では、個々の装置コンポーネントが電子的に結合され、それにより個々のワークフローが自動化及び結合されて進行することが企図されている。それに加えて、全自動化するために、敷設仕上機を電子測量及びレベリング装置と結合することができ、それにより層の高さ及び側方位置を機械的に/電子的に/GPSを介して制御することができる。これについて図13及び図14は、測量及びレベリング装置としての仕上機20、30のリードケーブル40a及び走査装置(Tastvorrichtung)40bを示す。ワイヤケーブルとして形成され得るリードケーブル40aは、投影される新設路線の側縁部に沿って予め測定された高さに張られ、プロセス中に仕上機20、30のための走査ラインとして使用される。敷設仕上機20、30は、前方移動中にそこでの寸法を継続的に採取する。その際、リードケーブル40aは、敷設されるべき層の基本線(高さ/側方位置)を予め設定する。図13において、敷設されるべき層2、3が破線で示され、図面の平面に対して垂直方向に延在するリードケーブル40aは、ここでは敷設されるべき砕石層3の表面レベルに相当する図示された高さに関して単に例示と解されるべきである。前方移動(区間長)に依存して、計画書にもとづいて仕上機の制御装置に予め電子的に記憶されたそれぞれの層プロファイルの敷設パラメータすなわち傾斜、高さ、幅、及びそれに類するものが、それぞれの仕上機の制御装置によって自主的に、すなわち自動化されて検知される。しかしこれに代えて、リードケーブルの傍らで仕上機の運転者によって傾斜、厚み、幅、及びそれに類するものを手動で制御することもできる。
【0060】
投影された新設路線に依存し、例えば層厚、層傾斜、及び層幅などのパラメータを含むそれぞれの層の予定されたプロファイルは、敷設仕上げ機によって手動及び/又は自動制御方式で調整され得る。手動の制御方式では、それぞれの敷設仕上機の敷設装置は、予定されたプロファイルに従って手動で調整される。自動の制御方式の場合、それぞれの敷設装置は、それぞれのプロファイルのパラメータが記憶された制御装置の信号によって調整される。
【0061】
別の実施形態の例が図8a、図8b~図11a、図11bに示される。図8a、図8b及び図9a、図9bにおいて、PSS仕上機20は、付加的地ならし又は締固め装置、すなわち締固め桁材24を有し、図10a、図10b及び図11a、図11bにおいて、PSS仕上機20は、締固め桁材24を示し、砕石床仕上機30は、同様に地固め又は締固め装置、すなわち締固め桁材34も有し、それぞれ敷設されたPSS2若しくは積載層3が地固め及び締固めされる。
【0062】
ここには付加的な地ならし及び/又は地固め装置24、34が模式的に示され、それぞれの敷設装置22、32の後方に配置されている。
【0063】
図10b及び図11bに見て取れるように、PSS仕上機20の締固め桁材24は、敷設されるPSS2の全幅にわたって延在し、それによりこれらが相応の所定のプロファイルで地ならし及び地固めされる。砕石床仕上機30の締固め桁材34の幅は、それぞれの砕石床若しくはそれぞれの砕石層3の幅、すなわち複線の新設路線の図示された例では全幅の半分に相当する。これとは異なり、砕石層の幅を複線の新設路線の全幅の半分より小さくすることもできる。
【符号の説明】
【0064】
1 路盤
2 PS層
3 砕石層
3’ 充填砕石
4 枕木
5 レール
10a 積載車 PSS材料
10b 積載車 砕石
11 キャタピラ/クローラシャーシ
12a コンベヤ装置 PSS材料
12b コンベヤ装置 砕石
15 貨物自動車
20 PSS仕上機
21 キャタピラ/クローラシャーシ
22 敷設装置
23 収容ボックス
24 締固め桁材
30 砕石床仕上機
31 キャタピラ/クローラシャーシ
32 敷設装置
33 収容ボックス
34 地固め/締固め装置
40a, 40b 測量及びレベリング装置
100 単線の線路区間
101 複線の線路区間
A 作業方向
M 材料方向
K PSS材料
S 砕石
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b
図11a
図11b
図12
図13
図14