(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】人工知能を介してエージェントを支援するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04L 51/02 20220101AFI20230526BHJP
G06F 40/56 20200101ALI20230526BHJP
G10L 15/00 20130101ALN20230526BHJP
【FI】
H04L51/02
G06F40/56
G10L15/00 200A
(21)【出願番号】P 2021555804
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(86)【国際出願番号】 US2020024279
(87)【国際公開番号】W WO2020205316
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-13
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520453249
【氏名又は名称】ジェネシス クラウド サービシーズ ホールディングス セカンド エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペトロヴィフ、エフゲニー
(72)【発明者】
【氏名】ホドレンコ、アレックス
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン、ヴァディム
(72)【発明者】
【氏名】コヴァレンコ、アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】ルニン、アンドレイ
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-512789(JP,A)
【文献】国際公開第2018/208694(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 51/02
G06F 40/56
G10L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対話を処理するためのシステムであって、
プロセッサと、
メモリであって、前記プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、
コンタクトセンターエージェントとユーザとの間のリアルタイム対話を監視することであって、前記ユーザによる第1の入力及び前記第1の入力に対する前記コンタクトセンターエージェントによる第1の応答を分析することを含む、監視することと、
前記リアルタイム対話を監視することに基づいて、前記ユーザの意図を識別することと、
前記意図を識別することに応答して、第1のトリガ状態について監視することと、
前記第1のトリガ状態を識別することに応答して、前記ユーザによって提供された第2の入力に対する第2の応答を出力するための自動エージェントを呼び出すことであって、前記第1のトリガ状態が、前記自動エージェントを呼び出して前記
コンタクトセンターエージェントに代わって前記ユーザとの自動会話に携わるために、前記コンタクトセンターエージェントによるコマンドの受信を含み、前記第2の応答が、前記自動エージェントによって前記ユーザに提供される、呼び出すことと、
第2のトリガ状態について監視することと、
前記第2のトリガ状態を識別することに応答して、前記自動エージェントの代わりに前記コンタクトセンターエージェントによる第3の応答を有効にするために、前記自動エージェントが前記ユーザとの前記自動会話に携わることを無効にすることと、
前記第1のトリガ状態について監視することを再開することと、を行わせる命令を格納する、メモリと、を備える、システム。
【請求項2】
前記リアルタイム対話が、テキストベースのチャット対話又は音声対話のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記命令が、更に、前記プロセッサに、前記コンタクトセンターエージェントのデバイス上に、自動エージェントを呼び出すためのユーザ選択可能なアイコンを動的に表示させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記命令が、更に、前記プロセッサに、
ダイアログスクリプトを識別させ、前記第1のトリガ状態
は、人間のエージェントの応答が前記ダイアログスクリプトにおけるダイアログから
逸脱したことを前記コンタクトセンターエージェントによ
り識別
されたことであり、前記自動エージェントが、前記コンタクトセンターエージェントに提案された応答として前記第2の応答を提供するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記命令が、更に、前記プロセッサに、
前記
識別された意図
の確率が閾値信頼度内にあるかどうかを決定させ、前記第1のトリガは、前記
識別された意図の確率が前記閾値信頼度を上回る
ことを識別
されたことである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記命令が、更に、前記プロセッサに、前記リアルタイム対話中に前記ユーザによって提供されるキーワードを識別させ、前記識別されたキーワードについての視覚フィードバックを提供させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサに前記意図を識別させる前記命令が、前記プロセッサに、
前記第1の入力における、及び前記第1の応答におけるキーワードを識別することと、
前記キーワードの各々のソースを、前記ユーザ又は前記コンタクトセンターエージェントのうちの1つであると識別することと、
前記識別されたキーワード及び前記識別されたソースに基づいて、意図分類を実行することと、を行わせる命令を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサに前記意図分類を実行させる前記命令が、前記プロセッサに
、前記識別されたキーワードと前記識別されたソースとの組み合わせに
基づいて、前記識別された意図の確率値を決定させる、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
対話を処理するための方法であって、
プロセッサによって、コンタクトセンターエージェントとユーザとの間のリアルタイム対話を監視することであって、前記ユーザによる第1の入力及び前記第1の入力に対する前記コンタクトセンターエージェントによる第1の応答を分析することを含む、監視することと、
前記プロセッサによって、前記リアルタイム対話を監視することに基づいて、前記ユーザの意図を識別することと、
前記プロセッサによって、前記意図を識別することに応答して、第1のトリガ状態について監視することと、
前記プロセッサによって、前記第1のトリガ状態を識別することに応答して、前記ユーザによって提供された第2の入力に対する第2の応答を出力するための自動エージェントを呼び出すことであって、前記第1のトリガ状態が、前記自動エージェントを呼び出して前記
コンタクトセンターエージェントに代わって前記ユーザとの自動会話に携わるために、前記コンタクトセンターエージェントによるコマンドの受信を含み、前記第2の応答が、前記自動エージェントによって前記ユーザに提供される、呼び出すことと、
前記プロセッサによって、第2のトリガ状態について監視することと、
前記プロセッサによって、前記第2のトリガ状態を識別することに応答して、前記自動エージェントの代わりに前記コンタクトセンターエージェントによる第3の応答を有効にするために、前記自動エージェントが前記ユーザとの前記自動会話に携わることを無効にすることと、
前記プロセッサによって、前記第1のトリガ状態について監視することを再開することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記リアルタイム対話が、テキストベースのチャット対話又は音声対話のうちの少なくとも1つである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コンタクトセンターエージェントのデバイス上に、自動エージェントを呼び出すためのユーザ選択可能なアイコンを動的に表示することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記プロセッサによって、ダイアログスクリプトを識別することを更に含み、前記第1のトリガ状態
は、人間のエージェントの応答が前記ダイアログスクリプトにおけるダイアログから
逸脱したことを前記コンタクトセンターエージェントによ
り識別
されたことであり、前記自動エージェントが、前記コンタクトセンターエージェントに提案された応答として前記第2の応答を提供するように構成されている、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記プロセッサによって、前記
識別された意図
の確率が閾値信頼度内にあるかどうかを決定することを更に含み、前記第1のトリガが、前記
識別された意図の確率が前記閾値信頼度を上回る
ことを識別
されたことである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記プロセッサによって、前記リアルタイム対話中に前記ユーザによって提供されるキーワードを識別することと、前記識別されたキーワードについての視覚フィードバックを提供することとを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセッサによって、前記第1の入力における、及び前記第1の応答におけるキーワードを識別することと、
前記プロセッサによって、前記キーワードの各々のソースを、前記ユーザ又は前記コンタクトセンターエージェントのうちの1つであると識別することと、
前記プロセッサによって、前記識別されたキーワード及び前記識別されたソースに基づいて、意図分類を実行することと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記意図分類を実行すること
により、前記識別されたキーワードと前記識別されたソースとの組み合わせに
基づいて、前記識別された意図の確率値を決定する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年3月29日に米国特許商標庁に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR ASSISTING AGENTS VIA ARTIFICIAL INTELLIGENCE」と題する米国特許出願第16/369,298号の利益を主張し、その内容は本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
現代の商取引システムで競争力を維持するために、多くのビジネスは、常に進化する消費者の要求に注意を払い、顧客が望む高品質の製品及びサービスを提供するよう努めている。そのために、多くのビジネスは、取引を処理し、及び/又は彼らの顧客のニーズに対応するために、自動応答システム及びビジネスの代理を含むコンタクトセンターを採用する。
【0003】
当業者には理解されるように、対話型音声応答(interactive voice response、IVR)システム、チャットボットなどの自動応答システムを利用する利点の1つは、コンタクトセンターが人間のエージェントのような有用及び高価なリソースを最小限に抑えることである。自動応答システムはまた、顧客に提供される情報を検索し、及び取得する際に、人間のエージェントよりも速く、及びより多く装備され得る。しかしながら、自動応答システムを呼び出すことが常に望ましいとは限らない。例えば、自動応答システムは、単純な要求を適切に処理することができるが、それらは、複雑な要求を処理するのに不十分であり得る。また、一部の顧客は、自動システムとの自由なフリートーキング(unstructured conversation)にうまく携わることが難しいため、自動応答システムとの対話を望まない場合がある。したがって、要求が自動応答システムによって容易に処理される場合であっても、顧客の要求を処理するために、人間のエージェントを専用にすることが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえに、所望されるのは、特定の状況においてエンドユーザとの会話を引き継ぐために自動応答システムを呼び出すか、又は最小限で、エージェントが顧客に適切な応答を提供することを補助するために、エンドユーザとエージェントとの間の会話を監視するシステム及び方法である。
【0005】
本発明の実施形態は、例えば、コンタクトセンターの対話などの対話を処理するためのシステム及び方法を対象とする。システムのプロセッサは、コンタクトセンターエージェントとユーザとの間のリアルタイム対話を監視する。監視は、ユーザによる第1の入力を分析することと、第1の入力に対するコンタクトセンターエージェントによる第1の応答を分析することとを含み得る。プロセッサは、リアルタイム対話の監視に基づいて、ユーザの意図を識別し、意図を識別することに応答して、第1のトリガ状態を監視する。第1のトリガ状態を識別することに応答して、プロセッサは、ユーザによって提供された第2の入力に対して第2の応答を出力するための自動エージェントを呼び出す。
【0006】
一実施形態では、リアルタイム対話は、テキストベースのチャット対話又は音声対話のうちの少なくとも1つである。
【0007】
一実施形態では、第1のトリガ状態は、自動エージェントを呼び出してエージェントに代わってユーザとの自動会話に携わるために、コンタクトセンターエージェントによるコマンドの受信であり、第2の応答は、自動エージェントによってユーザに提供される。プロセッサは、コンタクトセンターエージェントのデバイス上に、自動エージェントを呼び出すためのユーザ選択可能なアイコンを動的に表示し得る。
【0008】
一実施形態では、プロセッサは、第2のトリガ状態について監視する。第2のトリガ状態を識別することに応答して、プロセッサは、自動エージェントの代わりにコンタクトセンターエージェントによる第3の応答を有効にするために、自動エージェントがユーザとの自動会話に携わることを無効にする。次いで、プロセッサは、第1のトリガ状態について監視することを再開し得る。
【0009】
一実施形態では、プロセッサは、ダイアログスクリプトを識別し、第1のトリガ状態は、ダイアログスクリプトにおけるダイアログからのコンタクトセンターエージェントによる逸脱の識別であり、自動エージェントは、コンタクトセンターエージェントに提案された応答として第2の応答を提供するように構成されている。
【0010】
一実施形態では、プロセッサは、決定された意図についての信頼水準を決定し、第1のトリガは、信頼水準が予め設定された水準を上回る識別である。
【0011】
一実施形態では、プロセッサは、リアルタイム対話中にユーザによって提供されるキーワードを識別し、識別されたキーワードについての視覚フィードバックを提供する。
【0012】
一実施形態では、意図を識別することは、第1の入力における、及び第1の応答におけるキーワードを識別することと、キーワードの各々のソースを、ユーザ又はコンタクトセンターエージェントのうちの1つであると識別することと、識別されたキーワード及び識別されたソースに基づいて、意図分類を実行することと、を含む。
【0013】
一実施形態では、意図分類は、確率値を識別された意図に割り当てることを含み、確率値が、識別されたキーワードと識別されたソースとの組み合わせに依存する。
【0014】
当業者が理解すべきであるように、本発明の様々な実施形態のシステム及び方法は、対話処理の改善を提供する。支援は、顧客との会話を引き継ぐこと、又は推奨される応答のエージェントに提案を提供することによってもよい。エージェントは、エージェントによる顧客の評価、対話などに応じて、自動エージェントが引き継ぐことを可能にする裁量を有し得る。このような裁量は、自動応答システムとの会話を自動的に開始することよりも、顧客満足度が高い結果をもたらし得る。自動エージェントが会話を引き継ぐことを許可されていない場合、エージェントが会話中に使用し得る応答を提案することによって、エージェントへの支援を更に提供し得る。このような提案を提供することによって、顧客とのより効率的な会話は、続き得る。これは、コンタクトセンターの貴重なリソースが、より効率的及び迅速に使用されることを可能にする。例えば、会話ベースごとでの電話回線、コールコントローラ、及び/又はチャットサーバの使用の長さは、減少し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態における、インテリジェントエージェントアシスタントを介してコンタクトセンターの人間のエージェントを支援するためのシステムの概略ブロック図である。
【0016】
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態における、
図1のインテリジェントエージェントアシスタントのより詳細なブロック図である。
【0017】
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態における、チャットボットによって採用され得る例示的なダイアログスクリプトの概念的なレイアウトである。
【0018】
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態における、対話中にエージェントへの補助を提供するためのプロセスのフロー図である。
【0019】
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態における、ユーザ意図を識別するためのプロセスのより詳細なフロー図である。
【0020】
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態における、顧客との例示的なチャット会話のスクリーンショットである。
【0021】
【
図7A】
図7Aは、本発明の一実施形態における、コンピューティングデバイスのブロック図である。
【0022】
【
図7B】
図7Bは、本発明の一実施形態における、コンピューティングデバイスのブロック図である。
【0023】
【
図7C】
図7Cは、本発明の一実施形態における、コンピューティングデバイスのブロック図である。
【0024】
【
図7D】
図7Dは、本発明の一実施形態における、コンピューティングデバイスのブロック図である。
【0025】
【
図7E】
図7Eは、本発明の一実施形態における、いくつかのコンピューティングデバイスを含むネットワーク環境のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
一般的な用語では、本発明の実施形態は、人工知能を介してコンタクトセンターエージェントに補助を提供することに関する。一実施形態によれば、インテリジェントエージェントアシスタントは、人間のエージェントとユーザ/顧客との間の会話を監視し、通信の話題、カテゴリ、又は意図を推測する(総じて、顧客/ユーザ意図として称される)。意図が特定の信頼水準で推測されると、インテリジェントエージェントアシスタントは、ユーザとの会話を引き継ぐために提示するコンタクトセンターエージェントにプロンプトを表示し得る。いくつかの実施形態では、インテリジェントエージェントアシスタントは、いずれのプロンプトもなしに、エージェントの代理として会話を自動的に引き継ぐ。
【0027】
自動であるか否かにかかわらず、インテリジェントエージェントアシスタントが一旦引き継ぐと、それは、ユーザとの会話において人間のエージェントの役割を引き継ぐ。この点に関して、アシスタントは、ユーザからの入力を自動的に認識して、認識された入力に対して適切な応答/ダイアログを再生/出力する。エージェントは、任意の時点で、インテリジェントエージェントアシスタントによる応答の自動出力を停止し得る。例えば、エージェントは、会話の進行の欠如、顧客による欲求不満、及び/又は同様のものに気付き得、インテリジェントエージェントアシスタントの代わりに会話を引き継ぎ得る。
【0028】
エージェントが、会話を引き継ぐためにインテリジェントエージェントアシスタントによる提示を拒否する場合、アシスタントは、それにもかかわらず、ユーザと人間のエージェントとの間の会話を監視するためにバックグラウンドで実行し得る。この点に関して、インテリジェントエージェントアシスタントは、ユーザによって提供される入力に適切である応答を出力し得る。しかしながら、ユーザとの直接的な会話におけるユーザへの応答を提供する代わりに、応答は、提案された応答として人間のエージェントに提供される。いくつかの実施形態では、提案は、インテリジェントエージェントアシスタントによって認識された全ての入力について提供され得る。いくつかの実施形態では、インテリジェントエージェントアシスタントは、人間のエージェントが予想されるダイアログフローから逸脱し始めるまで、提案された応答を推奨することを控え得る。
【0029】
インテリジェントエージェントアシスタントの複数のインスタンスは、同時に複数のユーザと並列に会話と携わり得る。人間のエージェントは、必要とされるときに、複数の会話及び介入を監視し得る。IVR又はチャットボットなどの自動応答システムがエージェントとの会話を開始し、後にエージェントに転送され得る多くの既存のシステムとは異なり、本発明の様々な実施形態による会話は、エージェントで開始され、エージェントは、次いで、会話がインテリジェントエージェントアシスタントに対して引き渡さなければならないかどうかを決定する際の裁量を有する。エージェントが、会話をインテリジェントエージェントアシスタントへ引き渡すことが適切でないと判断した場合であっても、アシスタントは、エージェントに提案された応答を提供し続け、電話回線、コールコントローラ、チャットサーバなどのコンタクトセンターリソースの不必要な拘束を最小限に抑えることを可能にする、より迅速な処理又は対話を可能にする。
【0030】
様々な実施形態は、テキストベースのチャット会話の文脈で記載されているが、当業者は、実施形態がチャットに限定されず、音声会話を含む他のタイプの通信に拡張され得ることを認識すべきである。したがって、本明細書における会話又はダイアログに対する任意の参照は、音声及び非音声会話又はダイアログの両方を指す。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態における、人工知能を使用してコンタクトセンターの人間のエージェントを支援するためのシステムの概略ブロック図である。コンタクトセンターは、企業を通じて利用可能な製品及びサービスに関連する販売及びサービスの機能を実行するにあたり、企業にサービスを提供するためのビジネス又は企業への社内施設であり得る。別の態様では、コンタクトセンターは、サードパーティサービスプロバイダによって運用され得る。いくつかの実施形態によれば、コンタクトセンターは、コンタクトセンターシステムのいくつかの構成要素が、コンタクトセンター構内でホストされ、他の構成要素がリモートで(例えば、クラウドベースの環境で)ホストされるハイブリッドシステムとして運用され得る。コンタクトセンターは、企業又はサードパーティサービスプロバイダ専用の機器上に配設され得、及び/又は、例えば、複数の企業向けの複数のコンタクトセンターをサポートするためのインフラストラクチャを備えたプライベート又はパブリッククラウド環境などのリモートコンピューティング環境に配設され得る。コンタクトセンターシステムの各種構成要素はまた、様々な地理的位置及びコンピューティング環境にわたって分散されてもよく、必ずしも単一の場所、コンピューティング環境、又は更にはコンピューティングデバイスに含まれていなくてもよい。
【0032】
例示的な一実施形態によれば、コンタクトセンターシステムは、電話又は他の通信機構を介したサービスの提供を可能にするためのリソース(例えば、作業者、コンピュータ、及び電気通信機器)を管理する。このようなサービスは、コンタクトセンターのタイプに応じて多様であってもよく、顧客サービスから、ヘルプデスク、緊急応答、テレマーケティング、受注などに及ぶ。
【0033】
コンタクトセンターからサービスを受信することを望む顧客、潜在的顧客、又は他のエンドユーザ(総じて、顧客又はエンドユーザ、例えば、エンドユーザとして称される)は、エンドユーザデバイス108a~108c(総じて、108として参照される)を介して、コンタクトセンターへのインバウンド通信(例えば、電話コール)を開始し得る。エンドユーザデバイス108の各々は、例えば、電話、無線電話、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、電子タブレットなどの、当技術分野において従来の通信デバイスであり得る。エンドユーザデバイス108を操作するユーザは、電話コール、電子メール、チャット、テキストメッセージ、ウェブブラウジングセッション、及び他のマルチメディアトランザクションを開始し、管理し、応答し得る。
【0034】
エンドユーザデバイス108からのインバウンド通信及びエンドユーザデバイス108へのアウトバウンド通信は、使用されているデバイスのタイプに応じて、電話、セルラー、及び/又はデータ通信ネットワーク110を通過(traverse)し得る。例えば、通信ネットワーク110として、プライベート若しくは公衆交換電話網(private or public switched telephone network、PSTN)、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、プライベートワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)、及び/又は例えばインターネットなどの公衆広域ネットワークが挙げられ得る。通信ネットワーク110はまた、符号分割多元接続(code division multiple access、CDMA)ネットワーク、移動通信用のグローバルシステム(global system for mobile communications、GSM)ネットワーク、又は3G、4G、5G、LTEなどを含むがこれらに限定されない、当該技術分野において従来の任意の無線ネットワーク/技術を含む、無線キャリアネットワークを含み得る。
【0035】
一実施形態によれば、コンタクトセンターシステムは、エンドユーザとコンタクトセンターとの間で電話コールを送受信するための、通信ネットワーク110に結合されたスイッチ/メディアゲートウェイ112を含む。スイッチ/メディアゲートウェイ112としては、センター内のエージェント水準ルーティングのための中央スイッチとして機能するように構成された電話スイッチ又は通信スイッチが挙げられ得る。スイッチは、ハードウェアスイッチングシステム又はソフトウェアを介して実装されるソフトスイッチであり得る。例えば、スイッチ112は、自動コールディストリビュータ、構内交換機(private branch exchange、PBX)、IPベースのソフトウェアスイッチ、及び/又は顧客からインターネットソース型対話及び/又は電話網ソース型対話を受信し、これらの対話を、例えば、エージェント電話又は通信デバイスにルーティングするように構成された専用ハードウェア及びソフトウェアを有する任意の他のスイッチを含み得る。この例では、スイッチ/メディアゲートウェイは、例えば、顧客の電話デバイスとエージェントの電話デバイスとの間の接続を確立することによって、呼び出し元の顧客とエージェントの電話デバイスとの間の音声パス/接続(図示せず)を確立する。
【0036】
本発明の例示的な一実施形態によれば、スイッチは、例えば、スイッチと、コンタクトセンターのルーティング、監視などの通信処理構成要素のうちのスイッチ以外の部分との間のアダプタ又はインターフェースとして機能し得るコールコントローラ118に結合される。
【0037】
コールコントローラ118は、PSTNコール、VoIPコールなどを処理するように構成され得る。例えば、コールコントローラ118は、スイッチ/メディアゲートウェイ及びコンタクトセンター機器とインターフェースするためのコンピュータ電話統合(CTI)ソフトウェアで構成され得る。一実施形態では、コールコントローラ118は、SIPコールを処理するためのセッション開始プロトコル(session initiation protocol、SIP)サーバを含み得る。例示的ないくつかの実施形態によれば、コールコントローラ118は、例えば、自動番号識別(automatic number identification、ANI)番号として知られることが多い、発信者の電話番号、又は顧客のインターネットプロトコル(internet protocol、IP)アドレス、若しくは電子メールアドレスなど、顧客との対話に関するデータを抽出し、その対話を処理する際に他のコンタクトセンター構成要素と通信し得る。
【0038】
本発明の例示的な一実施形態によれば、システムは、自己支援システム、仮想アシスタントなどとも称され得る双方向メディア応答(interactive media response、IMR)サーバ122を更に含む。IMRサーバ122は、IMRサーバ122が音声に制限されないものの、音声を含む多様なメディアチャネルをカバーし得ることを除いて、対話型音声応答(IVR)サーバと同様であり得る。しかしながら、音声を一例として挙げると、IMRサーバ122は、顧客にニーズを照会するためのIMRスクリプトが設定され得る。例えば、銀行のコンタクトセンターは、顧客が口座残高を入手したい場合は「1を押す」ように、IMRスクリプトを介して顧客に伝えることができる。この場合は、IMRサーバ122との継続的な対話を通じて、顧客は、エージェントとの会話を必要とせずにサービスを完了させることが可能である。IMRサーバ122はまた、例えば、「どのようなご用件でしょうか」などの自由回答式の質問をし得、顧客は、コンタクトセンターに問い合わせる理由を話すか、又は別の方法で入力し得る。顧客の応答は、次いで、適切なコンタクトセンターリソースにコール又は通信をルーティングするため、ルーティングサーバ124によって使用され得る。
【0039】
通信がエージェントにルーティングされ得る場合、コールコントローラ118は、ルーティングサーバ(オーケストレーションサーバとも称される)124と対話して、対話を処理するための適切なエージェントを見つける。インバウンド対話をルーティングするための適切なエージェントの選択は、例えば、ルーティングサーバ124によって採用されるルーティング戦略に基づいてもよく、例えば統計サーバ132によって提供されるエージェント可用性、スキル、及び他のルーティングパラメータに関する情報に更に基づいてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、ルーティングサーバ124は、連絡先情報、サービス水準契約(service level agreement、SLA)要件、以前の顧客連絡先の種類、及び任意の顧客の問題を解決するためにコンタクトセンターによって取られた行動などの、既存のクライアントに関する情報を記憶する顧客データベースに問い合わせ得る。データベースは、例えば、Cassandra又は任意のNoSQLデータベースであってもよく、大容量ストレージデバイス126に記憶され得る。データベースはまたSQLデータベースであり得、例えば、Oracle、IBM DB2、Microsoft SQLサーバ、Microsoft Access、PostgreSQL、MySQL、FoxPro、SQLiteなどの任意のデータベース管理システムによって管理され得る。ルーティングサーバ124は、ANI又はIMRサーバ122によって収集された任意の他の情報を介して顧客データベースに顧客情報を照会し得る。
【0041】
適切なエージェントが、通信を処理するために利用可能であると識別されると、顧客と識別されたエージェントのエージェントデバイス130a~130c(総じて、130として参照される)との間の接続がなされ得る。より良い通信サービスを行うようにエージェントを補助するために、顧客及び/又は顧客の履歴情報について収集された情報もまた、エージェントデバイスに提供され得る。この点に関して、それぞれのエージェントデバイス130として、定期的な電話コール、VoIPコールなどに適合された電話が挙げられ得る。エージェントデバイス130はまた、コンタクトセンターの1つ以上のサーバと通信し、コンタクトセンターの操作に関連付けられたデータ処理を実行するためのコンピュータ、並びに音声及び他のマルチメディア通信機構を介して顧客と対話するためのコンピュータを含み得る。
【0042】
コンタクトセンターシステムはまた、エンドユーザデバイス108及び/又はウェブサーバ120との音声対話以外のメディア対話に携わるためのマルチメディア/ソーシャルメディアサーバ154を含み得る。メディアインタラクションは、例えば、電子メール、vメール(電子メールを介したボイスメール)、チャット、ビデオ、テキストメッセージ、ウェブ、ソーシャルメディア、コブラウジングなどに関連し得る。この点に関して、マルチメディア/ソーシャルメディアサーバ154は、マルチメディアイベントを受信、処理、及び転送するための特殊なハードウェア及び/又はソフトウェアを用いた、当該技術分野における従来の任意のIPルータ/プロセッサの形態をとり得る。例えば、マルチメディア/ソーシャルメディアサーバ154は、テキストベースのチャット会話、電子メールサーバ又は処理電子メール、テキストメッセージを処理するためのSMSサーバなどを含み得る。
【0043】
ウェブサーバ120としては、例えば、Facebook、Twitterなど、例えば、エンドユーザが加入し得る様々な既知の社会交流サイトのための社会交流サイトホストが挙げられ得る。この点に関して、
図1の実施形態では、ウェブサーバ120は、コンタクトセンターシステムの一部として示されているが、ウェブサーバはまた、サードパーティによって提供され、及び/又はコンタクトセンター構内の外側で維持され得る。ウェブサーバはまた、コンタクトセンターによってサポートされている企業のウェブページを提供し得る。エンドユーザは、ウェブページをブラウズし、企業の製品及びサービスに関する情報を取得し得る。ウェブページはまた、例えば、ウェブチャット、ボイスコール、電子メール、ウェブリアルタイム通信(web real time communication、WebRTC)などを介してコンタクトセンターに問い合わせるための機構を提供し得る。
【0044】
本発明の例示的な一実施形態によれば、リアルタイムの対話に加えて、延期可能(バックオフィス又はオフラインとも称される)対話/アクティビティもまた、コンタクトセンターのエージェントにルーティングされ得る。かかる延期可能なアクティビティとしては、例えば、電子メールに応答すること、レターに応答すること、トレーニングセミナーに参加すること、又は顧客とのリアルタイム通信を必要としない任意の他のアクティビティを含み得る。この点に関して、対話(iXn)サーバ156は、アクティビティを処理するのに適切なエージェントを選択するためにルーティングサーバ124と相互作用する。エージェントに割り当てられると、アクティビティはエージェントにプッシュされ得、又はエージェントによって完了されるタスクとしてエージェントのワークビン136a~136c(総じて、136として参照される)に現れ得る。エージェントのワークビンは、例えば、リンクされたリスト、アレイなど、当該技術分野における従来の任意のデータ構造を介して実施され得る。ワークビン136は、例えば、それぞれのエージェントデバイス130のバッファメモリ内に維持され得る。
【0045】
本発明の例示的な一実施形態によれば、大容量ストレージデバイス126は、エージェントデータ(例えば、エージェントプロファイル、スケジュールなど)、顧客データ(例えば、顧客プロファイル)、対話データ(例えば、対話の理由、処理データ、待ち時間、処理時間などを含む、顧客とのそれぞれの対話の詳細)などに関連する1つ以上のデータベースを格納し得る。一実施形態によれば、データ(例えば、顧客プロファイルデータ)の一部は、大容量ストレージデバイス126又は他の場所でホストされる顧客関係管理(customer relations management、CRM)データベース内に保持され得る。大容量ストレージデバイスは、当該技術分野において従来のように、ハードディスク又はディスクアレイの形態をとり得る。
【0046】
いくつかの実施形態よれば、コンタクトセンターシステムは、CRMデータベースに格納された情報を取得し、及び情報をCRMデータベースに格納されるように方向付けるように構成されたユニバーサルコンタクトサーバ(universal contact server、UCS)127を含み得る。UCS127はまた、顧客の好みの履歴及び対話履歴を維持することを容易にし、エージェント、顧客通信履歴などからコメントに関するデータを捕捉し、格納するように構成され得る。
【0047】
コンタクトセンターシステムはまた、統計サーバ132によって集約されたデータからレポートを生成するように構成されたレポーティングサーバ134を含み得る。かかるレポートとしては、例えば、平均待ち時間、離脱率、エージェント占有率などのリソースの状態に関する、ほぼリアルタイムのレポート又は履歴レポートが挙げられ得る。レポートは、自動的に、又は要求者(例えば、エージェント/管理者、コンタクトセンターアプリケーションなど)からの特定の要求に応答して生成され得る。
【0048】
一実施形態によれば、
図1のシステムは、顧客との対話を処理する際にコンタクトセンターエージェントに補助を提供する人工知能を採用するインテリジェントエージェントアシスタント140を更に含む。この点に関して、インテリジェントエージェントアシスタントは、エンドユーザデバイス108とエージェントデバイス136との間の対話を監視するための適切なハードウェア/ソフトウェアを含む。インテリジェントエージェントアシスタント140は、監視された対話のうちの1つに携わった人間のエージェントを置き換えるための適切なハードウェア/ソフトウェアを更に含み得、人間のエージェントの代わりに会話を引き継ぎ得る。いくつかの状況では、エージェントアシスタント140が会話を引き継ぐ代わりに、エージェントアシスタントは、人のエージェントのデバイス136に対する提案された応答の推奨を提供する。人間のエージェントは、次いで、ユーザとの会話において提案された応答を使用し得る。
【0049】
図1のインテリジェントエージェントアシスタント140及び各種サーバはそれぞれ、コンピュータプログラム命令を実行し、本明細書に記載される各種機能を実行するための他のシステム構成要素と対話する1つ以上のプロセッサを含み得る。コンピュータプログラム命令は、例えば、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)などの標準メモリデバイスを使用して実装されるメモリに格納される。コンピュータプログラム命令はまた、例えば、CD-ROM、フラッシュドライブなどの他の非一時的コンピュータ可読メディアに記憶され得る。また、インテリジェントエージェントアシスタント140及び各サーバの機能は、特定のサーバによって提供されるものとして記載されているが、当業者は、それらの機能が単一のサーバに組み合わされ得るか、若しくは統合されてもよいこと、又は特定のサーバの機能が、本発明の実施形態の範囲から逸脱することなく、1つ以上の他のサーバ間に分散され得ることを理解すべきである。例えば、インテリジェントエージェントアシスタント140の機能は、マルチメディア/ソーシャルサーバ154、IMR122、対話サーバ156などによって提供され得る。
【0050】
様々な実施形態では、用語「対話」、「通信」及び「会話」は、互換的に使用され、概して、限定するものではないが、電話コール(PSTN又はVoIPコール)、電子メール、Vメール(電子メールを介した音声メール)、ビデオ、チャット、画面共有、テキストメッセージ、ソーシャルメディアメッセージ、ウェブリアルタイム通信(例えば、WebRTCコールなど)を含む、任意の通信チャネルを使用する任意のリアルタイム及び非リアルタイム対話を指す。
【0051】
図2は、本発明の一実施形態における、インテリジェントエージェントアシスタント140のより詳細なブロック図である。
図2の例示的な実施形態では、エージェントアシスタント140は、エンドユーザインターフェース200、エージェントインターフェース202、1つ以上の自動エージェントモジュール204、及び分類エンジン206を含む。エンドユーザインターフェース200は、エンドユーザデバイス108及びインテリジェントエージェントアシスタント140を操作するユーザ間の通信を容易にするか、又は協調させ得る。この点に関して、インテリジェントエージェントアシスタントは、エンドユーザデバイス108との直接通信に携わるためのメディア層及びメディア制御層を備えた階層アーキテクチャで実装され得る。いくつかの実施形態では、通信は、コンタクトセンターシステムのサーバ(例えば、マルチメディア/ソーシャルメディアサーバ154)によって橋絡又は緩和された間接通信であり得る。
【0052】
エージェントインターフェース202は、エンドユーザデバイス108を操作しているエンドユーザとメッセージを交換する代わりに、メッセージがエージェントデバイス130を操作するエージェントと交換されることを除いて、エンドユーザインターフェース200と同様であり得る。
【0053】
インテリジェントエージェントアシスタントの一部も形成する自動エージェントモジュール204a~204c(総じて、204として参照される)は、エンドユーザインターフェース200を介してユーザとの自動チャット会話中にエンドユーザによって提供される入力への応答を提供するためのコンピュータプログラム命令で構成され得る。いくつかの実施形態では、自動エージェントモジュールは、ユーザとの対話におけるエージェントへの支援を提供するために、人間のエージェントによって提供される入力に対する応答を提供するように構成され得る。
【0054】
自動エージェントモジュール204は、本明細書ではチャットボットと称されるが、それらは、チャットロボット、チャターボート、ダイアログシステム、会話エージェント、自動チャットリソースなどとも称され得る。また、自動エージェントモジュールは、インテリジェントエージェントアシスタント140の一部として記載されているが、自動エージェントモジュールは、インテリジェントエージェントアシスタント140以外のサーバにホスティングされ得ることを認識すべきである。
【0055】
チャットボット204は、例えば、インテリジェントエージェントアシスタント140によって要求に応じて起動することができる実行可能プログラムとして操作し得る。いくつかの実施形態によれば、チャットサーバ(マルチメディアソーシャルメディアサーバ154の一部であってもよい)は、チャットボット204の実行エンジン又は環境として操作し得る。この点に関して、特定の推測された意図に対応するダイアログスクリプトは、ユーザとの自動チャット会話に携わるためにチャットサーバにロードされ得る。他の実施形態では、IMR122は、実行エンジン又は環境として操作し得、対話型音声応答(IVR)機能のために、VoiceXMLファイルをメディアサーバにロードすることと類似し得る。実行エンジンに関係なく、インテリジェントエージェントアシスタント140は、適切なダイアログスクリプトと共にチャットボット204のロード及びアンロードを制御し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、チャットボット204は、エージェントアシスタントサーバ140の設計及び機能に応じて変化し得、
図2に示される数に限定されない。異なるチャットボットは、異なるタイプの意図を処理するために、作成され得る。例えば、1つのチャットボットは、1つのダイアログスクリプトを用いて設計又は特殊化されて、通信の第1の意図/話題に携わる(例えば、ビジネスで新しいアカウントを開く)ことができ、別のチャットボットは、通信の第1の話題とは違う、通信の第2の話題(例えば、ビジネスによって提供される製品又はサービスに関する技術的サポート)に携わるように別のダイアログスクリプトを用いて設計又は特殊化され得る。いくつかの実施形態では、単一のデフォルトのチャットボットは、推測された意図に応じて、異なるダイアログスクリプトがロードされ得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、選択されるチャットボット及び/又はダイアログスクリプトは、分類エンジン206によって決定される対話の話題に基づく。この点に関して、分類エンジン206は、リアルタイム対話中にエージェント及び顧客の両方から自由発語テキストを分析し、分析に基づいて顧客の意図を決定するように構成された自然言語処理モジュールを含む。当然のことながら、対話が音声である場合、分類エンジンは、分析を行う前に音声発声をテキストに表記する音声テキスト化モジュールを含み得る。
【0058】
自然言語処理モジュールは、例えば、特定の言語の語彙、シンタクチック/セマンティック構文、及びエンドユーザデバイス108によって提供されたフレーズを内部シンタクチック及び意味的表現に切断するための文法規則と共に構成され得る。自然言語処理モジュールの構成は、場合によっては、特定のチャットボット204に関連付けられた特定のプロファイルに依存し得る。例えば、特定の用語は、1つのチャットボット用の語彙に含まれ得るが、別のチャットボットから除外され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、分類エンジン206は、顧客の意図を推測するために統計モデルを採用する。統計モデルは、キーワードの異なる組み合わせで作成及び訓練され得、異なるカテゴリ/意図に割り当てられ得る。分類エンジン206は、モデルを使用して、エージェント及び顧客の両方によって提供される入力から、可能性の高い既知の意図のうちの1つに分類する。例えば、「支払い(pay)」、「支払い(payment)」、及び「ビル(bill)」などの特定のキーワードは、「銀行支払い」のユーザ意図に関連付けられ得る。したがって、ユーザがこれらの単語の組み合わせを発声する場合、分類エンジン206は、ユーザ意図が「ビル支払い」であると推測し得る。意図が特定の信頼水準内に推測される場合、意図は、推測された意図として出力される。インテリジェントエージェントアシスタント140は、次いで、ユーザとの自動会話に携わる出力意図に適切なチャットボット204を選択し得、又はエージェントに対する推奨される応答を提供する。
【0060】
図3は、本発明の一実施形態における、チャットボットによって採用され得る例示的なダイアログスクリプトの概念的なレイアウトである。このダイアログスクリプトは、例えば、人工知能マークアップ言語(artificial intelligence markup language、AIML)、SCXMLなどの、当該技術分野において従来の様々な言語及びフレームワークのいずれかを使用して生成され得る。
【0061】
図示の実施形態では、ダイアログスクリプトは、方向付けられた有向非巡回グラフ(directed acyclic graph、DAG)として実装され、辺(edge)の各々は、方向(例えば、1つのノードから別のノードへ)を有し、グラフ内に巡回は存在しない(例えば、1回を超える同じノードを含むグラフ内に、経路は存在しない)。別個のダイアログスクリプトは、それぞれの既知の話題/意図に対して生成され得る。
図3のダイアロググラフの話題は、契約終了日上の問い合わせについてである。図示されたダイアロググラフは、この話題に関連付けられ得る様々な会話経路(コンタクトセンターと顧客との間)を表す。丸みのある矩形(エージェントノード)内のテキストは、チャットボットによって出力され得るフレーズ又はメッセージを識別し、標識された矢印(顧客辺)は、顧客応答のクラスを示す。どの出力辺を辿るかを選択するために、チャットボットは、顧客入力を分類し、顧客入力の分類に最も適合する辺を選択する。妥当性がある一致がない場合、チャットボットは、解明を求めるか、又は人間のエージェントに会話を引き継ぐように警告することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、ダイアログスクリプトはまた、エージェントからの応答が適切であるかどうかを決定するために、エージェントと顧客との間の会話を監視するために、インテリジェントエージェントアシスタント140によって使用され得る。これは、人間のエージェントが、顧客との会話を引き継ぐために、エージェントアシスタント140からの提示を拒否するときに、発生し得る。拒絶を考慮すると、エージェントアシスタントは、チャットボットを呼び出すことを控えるが、それでもなお、適切なダイアログスクリプトを識別し、バックグラウンドにおける会話を監視して、ダイアログスクリプト内に提供された応答に対するエージェントによって提供される応答の逸脱を決定する。ダイアログ内の特定の点で、エージェントの応答が、ダイアログスクリプト内に記載されているものではない場合、エージェントアシスタント140は、提供されるべき応答のプロンプト又は提案を提供し得る。エージェントアシスタントは、例えば、会話の終了まで、顧客からの他の入力に対する提案された応答を提供し続け得る。いくつかの実施形態では、この提案は、エージェントがダイアログスクリプトから逸脱していると見なされるか否かにかかわらず提供される。かかる補助をエージェントに与えることによって、エージェントは、対話をより効率的及び効果的に処理することができ得る。
【0063】
図4は、本発明の一実施形態における、対話中にエージェントへの補助を提供するためのプロセスのフロー図である。プロセスが開始し、動作400で、インテリジェントエージェントアシスタント140は、特定のエージェントにルーティングされた対話/会話を識別し、対話中にエージェントと顧客との間で交換されたコメントの物質を監視する。対話のルーティングは、
図1に関して上述した方法に従い得る。
【0064】
顧客からの入力(ユーザインターフェース200を介して捕捉される)及びエージェントからの入力(エージェントインターフェース202を介して捕捉される)は、分析のために分類エンジン206に提供される。分類エンジンは、受信した入力からキーワードを抽出し、動作402において顧客意図を予測するために統計モデルを呼び出す。予想される意図の確率が閾値を下回る場合、プロセスは、より高い確率で意図を推測するために更なる入力のための対話を監視し続ける。いくつかの実施形態では、意図が特定の数の質問及びエージェントと顧客との間の応答の範囲内で推測することができない場合、エージェントアシスタントは、顧客を尋ねる質問を提案し得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、キーワードが分類エンジン206によって、ユーザによって提供される入力から抽出されるので、1つ以上のキーワードは、エージェントデバイス130上で視覚的に区別され得る。例えば、キーワードは、着信チャット通信のインラインで拡大、下線、又は強調され得る。他の実施例では、キーワードは、エージェントデバイスの別個のユーザインターフェース領域にコピーされ、パスされてもよい。視覚的に区別されるキーワードは、画定済みリストから選択されてもよく、及び/又は意味的分析に基づいて検出されてもよい。例えば、アドレス、製品名などであると理解されるキーワードは、エージェントデバイス上で視覚的に区別されるように選択され得る。視覚的に区別するキーワードは、顧客のメッセージの本質を迅速に把握することを助け、対話をより高い精度及び速度で処理されることを可能にする。いくつかの実施形態では、特定のキーワード(例えば、住所、会社名など)は、エラーを最小限に抑えるために、自動的に検証され得る。
【0066】
顧客の意図が特定の信頼水準で一旦予測されると、顧客とのコミュニケーションにおけるエージェントの支援を開始するために開始トリガ状態が検出されたかどうかについての決定が、動作404において行われる。開始トリガ状態は、例えば、顧客との自動会話に携わるための提示のエージェントによる承諾であってもよい。いくつかの実施形態では、開始トリガ状態は、エージェントが予測された意図のためのダイアログスクリプトから逸脱していることを検出することであり得る。これは、例えば、エージェントが、顧客との会話を引き継ぐために、インテリジェントエージェントアシスタント140による提示が拒否された場合に発生してもよい。このような提示が拒否された場合であっても、エージェントアシスタント140は、いくつかの実施形態では、バックグラウンドで実行され、エージェント応答を、チャットボットがダイアログスクリプトに続いて提供される応答と比較するように構成される。いくつかの実施形態では、トリガイベントは、単に、意図が推測された後に、顧客からの第1の入力の受信であってもよい。このシナリオでは、チャットボットは、顧客との会話を引き継ぐために自動的に呼び出され、チャットボットを呼び出すために、エージェントからのコマンドを発現する必要はない。
【0067】
開始トリガ状態が検出されず、対話が他の方法で終了していない場合(動作406で決定されるように)、プロセスは、動作404において開始トリガ状態を監視し続ける。
【0068】
開始トリガ状態が検出されると、推測された意図に対応するチャットボットは、動作408で呼び出され、チャットボットは、ユーザ入力に基づいて出力応答に進む。チャットボットが呼び出された状態は、チャットボット応答の出力を誰が、及びどのような状況下で受信するのかを決定してもよい。すなわち、エージェントが自動会話を開始するためにエージェントアシスタントによってプロンプトを受け付けた場合、チャットボットによる出力は、ユーザとの直接会話でユーザに提供される。エージェントが会話を引き継ぐチャットボットに同意していない場合、チャットボットは、エージェントに対する推奨される応答の提案を提供し得、いくつかの実施形態では、エージェントがダイアログスクリプトの応答から逸脱している場合にのみ、推奨される応答の提案を提供し得る。いくつかのシナリオでは、エージェントがスクリプトから逸脱していない場合であっても、適切な応答は、エージェントに提案される。
【0069】
チャットボットが会話の奥深くで会話を引き継ぐために呼び出された場合、チャットボットは、会話が進行したダイアログスクリプトの一部を識別し、その時点から会話を引き継ぐ。
【0070】
動作410では、終了トリガ状態が検出されたかどうかについての決定が、行われる。例えば、終了トリガ状態は、顧客とチャットボットとの間の自動会話を終了するオプションを作動させる人間のエージェントに応答して検出され得る。顧客との対話の終了はまた、終了トリガ状態を構成し得る。
【0071】
終了トリガ状態が動作410で検出された場合、チャットボットの実行は、動作412で終了する。
【0072】
動作414では、フィードバックは、次の対話における顧客意図をより良好に識別するために、統計モデルに提供される。例えば、対話が成功したことに応じて、モデルの一部ではないユーザ意図を表現するために対話の開始時に使用されるキーワードは、モデルの中に含め得る。
【0073】
図5は、本発明の一実施形態における、ユーザ意図を識別するためのプロセスのより詳細なフロー図である。動作500では、入力は、顧客又はエージェントのいずれかから受信される。動作502では、分類エンジン206は、意味的分析に基づいて、受信された入力から1つ以上のキーワードを抽出し、コンテクスト情報と共に、抽出されたキーワードを統計モデルに供給する。コンテクスト情報は、例えば、キーワードのソース(例えば、エージェント又は顧客)を含み得る。いくつかの実施形態では、統計モデルは、エージェント(又は顧客)によって発声されたキーワードよりも、意図を推測する際の重みが高い、顧客(又はエージェント)によって発声されたキーワードを与え得る。例えば、エージェントは、以下の陳述で会話を開始し得る。「こんにちは、私たちは、クレジットカードの促進を行っています。それを申請したいですか?」別の例では、顧客は、「新しいクレジットカードを申請したいのですが。」と述べることによって会話を開始してもよい。両方の陳述は、キーワード「したい(like)」、「申請する」、及び「クレジットカード」を含むが、顧客によって発声されたキーワードの重みは、エージェントによって発声されたキーワードよりも意図を推測する際により高い重みを与えられ得る。
【0074】
動作506では、分類エンジン206は、統計モデルに基づいて、様々な意図の確率を計算する。計算は、抽出されたキーワードの組み合わせが、既知の顧客意図に割り当てられた統計モデルのキーワードにどの程度一致しているかに基づいている。一致が良好であるほど、割り当てられた意図が顧客の意図である確率が高くなる。
【0075】
動作508では、任意の意図の確率が閾値信頼度/確率水準内にあるかどうかについての決定が行われる。閾値信頼度は、例えば、95%などの任意の値であるように事前設定され得る。答えが「はい」の場合、識別された意図は、動作510において予測された意図として出力される。答えが「いいえ」の場合、プロセスは、ユーザの意図をより良く推測するために、更なるキーワードを抽出するための会話を監視し続ける。
【0076】
例えば、分類エンジン206に知られている異なるタイプの意図が、1)クレジットカードを申請する、2)住宅ローンを申請する、及び3)ピザを注文する、であると想定する。顧客は、「こんにちは、カードを申請するのを手伝ってほしい。」と言って、対話を開始する。顧客入力から抽出されたキーワードは、「手伝い」、「申請」、及び「カード」であってよい。抽出されたキーワードを統計モデルに供給することに基づいて、より高い確率は、「住宅ローンの申請」及び「ピザの注文」意図を除外することなく、「クレジットカード申請」意図に与えられ得る。例えば、以下の例示的な確率は、既知の意図、1)クレジットカードを申請する-70%、2)住宅ローンを申請する-25%、3)ピザを注文する-5%、に割り当てられてもよい。事前設定された閾値信頼度が95%であると仮定すると、分類エンジン206は、現在の入力から意図を推測することが不可能である。したがって、エージェントアシスタント140は、会話を監視し続ける。
【0077】
次に、エージェントは、「もちろん、クレジットカード申請を支援させていただきます。」と言ってもよい。顧客からの次の入力が「ありがとう」又はいくつかの他の肯定的な陳述であると仮定すると、「クレジットカード申請」の意図の信頼度は、100%に増加し、推測された意図として出力される。
【0078】
図6は、本発明の一実施形態における、顧客との例示的なチャット会話のスクリーンショットである。この実施例では、顧客「Goldfinger」は、チャットセッションで人間のエージェントに接続される。顧客は、最初の質問600「このあたりで最高のケーブルプロバイダは誰ですか?」で会話を開始する。キーワード「最高のケーブルプロバイダ」は、人間のエージェントがユーザ入力の重要な用語に素早く焦点を合わせることを可能にするために、エージェントのデバイス上で視覚的に強調される。
【0079】
インテリジェントエージェントアシスタント140は、ユーザからの入力600を分析し、意図が「インターネットプロバイダ」であることを推測する。推測された意
図602は、エージェントのデバイス上の別個の領域604内に表示される。推測された意図に応じてエージェントが提供し得る様々な応答606はまた、別個の領域604内に表示される。応答は、例えば、推測された意図のために取得されたダイアロググラフのノードに対応し得る。
【0080】
インテリジェントエージェントアシスタント140は、「開始」選択可能オプション610と共に、推測された意図をリスト表示するプロンプト608を表示する。プロンプトは、人間のエージェントが顧客との自動会話に携わって、推定された意図に基づいて顧客にサービスを提供し、ヒューマンエージェントが他のタスクを処理できるようにするための提示として機能する。
【0081】
オプション610の作動に応じて、インテリジェントエージェントアシスタントは、推測された意図に対応するチャットボット204を呼び出す。チャットボットは、意図のために検索されたダイアロググラフに従い、自動応答612を出力する。チャットボットは、エージェント名「Kate」を介して顧客に曝され得る。いくつかの実施形態では、エージェントがチャットボットであるという事実はまた、識別子614を介して顧客に曝される。他の実施形態では、識別子は、隠され、顧客は、チャットボットと対話していることを認識していない。
【0082】
いくつかの実施形態では、人間のエージェントは、自身の別個のコメント(図示せず)を提供することによって、チャットボットと顧客との間のチャット通信に寄与する。このようなコメントは、人間のエージェントから来るものとしてリスト表示され得、チャットボットではない。
【0083】
人間のエージェントは、チャットボットと顧客との間の自動会話を監視し、任意の時点で、自動会話を継続することからチャットポイントを無効化し得る。これは、例えば、「停止」選択可能オプション616を作動させるエージェントに応答して、発生し得る。次いで、人間のエージェントは、チャットボットの代わりに顧客との会話を引き継ぎ得る。
【0084】
一実施形態では、記載される図の多様なサーバ、コントローラ、スイッチ、ゲートウェイ、エンジン、及び/又はモジュール(総じて、サーバとして称される)のそれぞれは、当業者に理解されるように、ハードウェア又はファームウェア(例えば、ASIC)を介して実装される。
【0085】
一実施形態では、前述の図の様々なサーバ、コントローラ、エンジン、及び/又はモジュール(総じて、サーバとして称される)の各々は、1つ以上のプロセッサ上で実行されるプロセス又はスレッドであり得、1つ以上のコンピューティングデバイス1500(例えば、
図7A、
図7B)では、コンピュータプログラム命令を実行し、本明細書に記載される様々な機能を実行するための他のシステム構成要素と対話する。コンピュータプログラム命令は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの標準メモリデバイスを使用してコンピューティングデバイスに実装され得るメモリに格納される。コンピュータプログラム命令はまた、例えば、CD-ROM、フラッシュドライブなどの他の非一時的コンピュータ可読メディアに記憶されてもよい。当業者はまた、コンピューティングデバイスが、ファームウェア(例えば、識別用途向け集積回路)、ハードウェア、又はソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェアの組み合わせを介して実装され得ることを認識すべきである。当業者はまた、各種コンピューティングデバイスの機能が組み合わされるか若しくは単一のコンピューティングデバイスに統合されてもよいこと、又は特定のコンピューティングデバイスの機能が、本発明の例示的な実施形態の範囲から逸脱することなく、1つ以上の他のコンピューティングデバイス間に分散されてもよいことを認識すべきである。サーバは、単にモジュールとも称され得るソフトウェアモジュールであり得る。コンタクトセンター内のモジュールのセットは、サーバ及び他のモジュールを含み得る。
【0086】
多様なサーバは、コンタクトセンターのエージェントと同じ物理的場所にあるオンサイトのコンピューティングデバイス上に位置し得、又は地理的に異なる場所、例えば、インターネットなどのネットワークを介してコンタクトセンターに接続されたリモートデータセンターにおいてオフサイトに位置し得る。更に、サーバのいくつかは、コンタクトセンターにあるオンサイトのコンピューティングデバイス内に位置し得、一方、他のサーバは、オフサイトのコンピューティングデバイス内に位置し得、又は冗長な機能を提供するサーバは、より優れたフォールトトレランスを提供するためにオンサイト及びオフサイトのコンピューティングデバイスの両方を介して提供され得る。本発明のいくつかの実施形態では、オフサイトのコンピューティングデバイスに位置するサーバによって提供される機能は、かかるサーバがオンサイトにあるかのように仮想プライベートネットワーク(virtual private network、VPN)を介してアクセス及び提供され得、又は機能は、例えば、拡張可能なマークアップ言語(extensible markup language、XML)又はJavaScript Object表記(JavaScript Object notation、JSON)での符号化を使用してデータを交換することなどによって、様々なプロトコルを使用してインターネットを介して機能を提供するためのサービスとしてのソフトウェア(software as a service、SaaS)を使用して提供され得る。
【0087】
図7A及び
図7Bは、本発明の例示的な実施形態で採用され得るコンピューティングデバイス1500のブロック図を示す。各コンピューティングデバイス1500は、中央処理ユニット1521及びメインメモリユニット1522を含む。
図7Aに示すように、コンピューティングデバイス1500はまた、ストレージデバイス1528、リムーバブルメディアインターフェース1516、ネットワークインターフェース1518、入出力(input/output、I/O)コントローラ1523、1つ以上の表示デバイス1530c、キーボード1530a、及びマウスなどのポインティングデバイス1530bを含み得る。ストレージデバイス1528は、限定するものではないが、オペレーティングシステム及びソフトウェアのためのストレージを含み得る。
図7Bに示すように、各コンピューティングデバイス1500はまた、メモリポート1503、ブリッジ1570、1つ以上の追加の入出力デバイス1530d、1530e、及び中央処理ユニット1521と通信するキャッシュメモリ1540などの追加の任意選択的要素を含み得る。入出力デバイス1530a、1530b、1530d、及び1530eは、総じて、本明細書では、参照番号1530を使用して称され得る。
【0088】
中央処理ユニット1521は、メインメモリユニット1522からフェッチされた命令に応答し、それを処理する任意の論理回路である。これは、例えば、集積回路に、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、若しくはグラフィックス処理ユニット(GPU)の形態で、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)若しくは特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)に実装され得る。メインメモリユニット1522は、データを格納し、任意のストレージ位置が中央処理ユニット1521によって直接アクセスされることを可能にする1つ以上のメモリチップであり得る。
図7Aに示すように、中央処理ユニット1521は、システムバス1550を介してメインメモリ1522と通信する。
図7Bに示すように、中央処理ユニット1521はまた、メモリポート1503を介してメインメモリ1522と直接通信し得る。
【0089】
図7Bは、中央処理ユニット1521が、バックサイドバスと称されることもある二次バスを介してキャッシュメモリ1540と直接通信する実施形態を示す。他の実施形態では、中央処理ユニット1521は、システムバス1550を使用してキャッシュメモリ1540と通信する。キャッシュメモリ1540は典型的には、メインメモリ1522よりも速い応答時間を有する。
図7Aに示すように、中央処理ユニット1521は、ローカルシステムバス1550を介して様々なI/Oデバイス1530と通信する。様々なバスは、Video Electronics Standards Association(VESA)ローカルバス(Local bus、VLB)、業界標準アーキテクチャ(Industry Standard Architecture:ISA)バス、拡張業界標準アーキテクチャ(Extended Industry Standard Architecture:EISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MicroChannel Architecture:MCA)バス、周辺機器相互接続(Peripheral Component Interconnect:PCI)バス、PCI拡張(PCI Extended:PCI-X)バス、PCI-Expressバス、又はNuBusを含む、ローカルシステムバス1550として使用され得る。I/Oデバイスが表示デバイス1530cである実施形態の場合、中央処理ユニット1521は、Advanced Graphics Port(AGP)を介して表示デバイス1530cと通信し得る。
図7Bは、中央処理ユニット1521がI/Oデバイス1530eと直接通信するコンピュータ1500の実施形態を示す。
図7Bはまた、ローカルバスと直接通信が混合され、中央処理ユニット1521が、I/Oデバイス1530eと直接通信しながら、ローカルシステムバス1550を使用してI/Oデバイス1530dと通信する、実施形態を示す。
【0090】
多種多様なI/Oデバイス1530は、コンピューティングデバイス1500内に存在し得る。入力デバイスは、1つ以上のキーボード1530a、マウス、トラックパッド、トラックボール、マイクロフォン、及び描画タブレットを含む。出力デバイスは、ビデオ表示デバイス1530c、スピーカ、及びプリンタを含む。
図7Aに示すように、I/Oコントローラ1523は、I/Oデバイスを制御し得る。I/Oコントローラは、キーボード1530a及びポインティングデバイス1530b、例えば、マウス又は光学ペンなどの1つ以上のI/Oデバイスを制御し得る。
【0091】
再び
図7Aを参照すると、コンピューティングデバイス1500は、フロッピーディスクドライブ、CD-ROMドライブ、DVD-ROMドライブ、各種フォーマットのテープドライブ、USBポート、セキュアデジタル若しくはCOMPACT FLASH(商標)メモリカードポート、又は読み出し専用メディアからデータを読み取るため、若しくは読み書きメディアからデータを読み取るため、若しくは読み書きメディアにデータを書き込むために好適な任意の他のデバイスなど、1つ以上のリムーバブルメディアインターフェース1516をサポートし得る。I/Oデバイス1530は、システムバス1550とリムーバブルメディアインターフェース1516との間のブリッジであり得る。
【0092】
リムーバブルメディアインターフェース1516は、例えば、ソフトウェア及びプログラムをインストールするために使用され得る。コンピューティングデバイス1500は、オペレーティングシステム及び他の関連するソフトウェアを格納するための、及びアプリケーションソフトウェアプログラムを格納するための、1つ以上のハードディスクドライブ又はハードディスクドライブアレイなどのストレージデバイス1528を更に備え得る。任意選択的に、リムーバブルメディアインターフェース1516はまた、ストレージデバイスとして使用され得る。例えば、オペレーティングシステム及びソフトウェアは、ブータブルメディア、例えばブータブルCDから実行され得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス1500は、各々が同じ又は異なるタイプ及び/又は形態であり得る複数の表示デバイス1530cを備え得、又はそれらに接続され得る。したがって、I/Oデバイス1530及び/又はI/Oコントローラ1523のいずれかは、コンピューティングデバイス1500による複数の表示デバイス1530cへの接続及びその使用をサポートするか、有効にするか、又は提供するために、任意のタイプ及び/又は形態の好適なハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせを備え得る。例えば、コンピューティングデバイス1500は、表示デバイス1530cをインターフェース、通信、接続、又は別の方法で使用するための、任意のタイプ及び/又は形態のビデオアダプタ、ビデオカード、ドライバ、及び/又はライブラリを含み得る。一実施形態では、ビデオアダプタは、複数の表示デバイス1530cにインターフェースするための複数のコネクタを備え得る。別の実施形態では、コンピューティングデバイス1500は、複数のビデオアダプタを含み得、各々のビデオアダプタが、表示デバイス1530cのうちの1つ以上に接続される。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス1500のオペレーティングシステムの任意の部分は、複数の表示デバイス1530cを使用するように構成され得る。他の実施形態では、表示デバイス1530cのうちの1つ以上は、例えば、ネットワークを介してコンピューティングデバイス1500に接続された1つ以上の他のコンピューティングデバイスによって提供され得る。これらの実施形態は、コンピューティングデバイス1500のための第2の表示デバイス1530cとして別のコンピューティングデバイスの表示デバイスを使用するように設計及び構築された任意のタイプのソフトウェアを含み得る。当業者であれば、コンピューティングデバイス1500が複数の表示デバイス1530cを有するように構成され得る様々な方法及び実施形態を認識及び理解するであろう。
【0094】
図7A及び
図7Bに示される種類のコンピューティングデバイス1500は、タスクのスケジューリング及びシステムリソースへのアクセスを制御する、オペレーティングシステムの制御下で操作され得る。コンピューティングデバイス1500は、任意のオペレーティングシステム、任意の組み込みオペレーティングシステム、任意のリアルタイムオペレーティングシステム、任意のオープンソースオペレーティングシステム、任意のプロプライエタリオペレーティングシステム、モバイルコンピューティングデバイスのための任意のオペレーティングシステム、又はコンピューティングデバイス上で実行可能であり、本明細書に記載される操作を実行する任意の他のオペレーティングシステムを実行し得る。
【0095】
コンピューティングデバイス1500は、任意のワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップ若しくはノートブックコンピュータ、サーバマシン、ハンドヘルドコンピュータ、携帯電話若しくは他のポータブル電気通信デバイス、メディア再生デバイス、ゲームシステム、モバイルコンピューティングデバイス、又は通信可能であり、本明細書に記載される操作を実行するために十分なプロセッサ電力及びメモリ容量を有する、任意の他のタイプ及び/又は形態のコンピューティング、電気通信若しくはメディアデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス1500は、デバイスと一致する異なるプロセッサ、オペレーティングシステム、及び入力デバイスを有し得る。
【0096】
他の実施形態では、コンピューティングデバイス1500は、Java対応セルラー電話又は携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、デジタルオーディオプレーヤ、又はポータブルメディアプレーヤなどのモバイルデバイスである。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス1500は、デジタルオーディオプレーヤ又はポータブルメディアプレーヤと組み合わされた携帯電話など、デバイスの組み合わせを備える。
【0097】
図7Cに示されるように、中央処理ユニット1521は、複数のプロセッサP1、P2、P3、P4を備え得、命令の同時実行、又は1つ以上のデータ上での1つの命令の同時実行のための機能を提供し得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス1500は、1つ以上のコアを有する並列プロセッサを備え得る。これらの実施形態の1つでは、コンピューティングデバイス1500は、単一のグローバルアドレス空間として全ての利用可能なメモリにアクセスする、複数のプロセッサ及び/又は複数のプロセッサコアを有する共有メモリ並列デバイスである。これらの実施形態の別の実施形態では、コンピューティングデバイス1500は、各々がローカルメモリのみにアクセスする複数のプロセッサを有する分散メモリ並列デバイスである。これらの実施形態の更に別の実施形態では、コンピューティングデバイス1500は、共有されているいくつかのメモリと、特定のプロセッサ又はプロセッサのサブセットによってのみアクセスされ得るいくつかのメモリとの両方を有する。これらの実施形態の更に別の実施形態では、中央処理ユニット1521は、2つ以上の独立したプロセッサを単一のパッケージ、例えば単一の集積回路(integrated circuit、IC)に組み合わせる、マルチコアマイクロプロセッサを備える。
図7Dに示される例示的な一実施形態では、コンピューティングデバイス1500は、少なくとも1つの中央処理ユニット1521及び少なくとも1つのグラフィック処理ユニット1521’を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、中央処理ユニット1521は、単一命令多重データ処理(SIMD)機能、例えば、複数のデータ上での単一の命令の同時実行のための機能を提供する。他の実施形態では、中央処理ユニット1521内のいくつかのプロセッサは、複数のデータ(MIMD)上での複数の命令の同時実行のための機能を提供し得る。更に他の実施形態では、中央処理ユニット1521は、単一のデバイスにおけるSIMD及びMIMDコアの任意の組み合わせを使用し得る。
【0099】
コンピューティングデバイスは、ネットワークによって接続された複数のマシンのうちの1つであり得、又はそのように接続された複数のマシンを含み得る。
図7Eは、例示的なネットワーク環境を示す。ネットワーク環境は、1つ以上のネットワーク1504を介して、1つ以上のリモートマシン1506a、1506b、1506c(概して、サーバマシン1506又はリモートマシン1506とも称される)と通信する、1つ以上のローカルマシン1502a、1502b(概して、ローカルマシン1502、クライアント1502、クライアントノード1502、クライアントマシン1502、クライアントコンピュータ1502、クライアントデバイス1502、エンドポイント1502、又はエンドポイントノード1502とも称される)を備える。いくつかの実施形態では、ローカルマシン1502は、サーバマシンによって提供されるリソースへのアクセスを求めるクライアントノード、及び他のクライアント1502a、1502bのためのホストされたリソースへのアクセスを提供するサーバマシンの両方として機能する能力を有する。2つのクライアント1502及び3つのサーバマシン1506のみが
図7Eに例示されているが、それらは、一般に、各々任意の数であり得る。ネットワーク1504は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、例えば、企業イントラネット、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)などのプライベートネットワーク、若しくは、インターネット若しくは別の公衆ネットワークなどの広域ネットワーク(WAN)、又は、これらの組み合わせであり得る。
【0100】
コンピューティングデバイス1500は、標準的な電話回線、ローカルエリアネットワーク(LAN)、又はワイドエリアネットワーク(WAN)リンク、ブロードバンド接続、無線接続、又は上記のいずれか若しくは全ての組み合わせを含むが、これらに限定されない、様々な接続を介してネットワーク1504にインターフェースするためのネットワークインターフェース1518を含み得る。接続は、様々な通信プロトコルを使用して確立され得る。一実施形態では、コンピューティングデバイス1500は、セキュアソケットレイヤ(Secure Socket Layer、SSL)又はトランスポート層セキュリティ(Transport Layer Security、TLS)など、任意のタイプ及び/又は形態のゲートウェイ又はトンネリングプロトコルを介して、他のコンピューティングデバイス1500と通信する。ネットワークインターフェース1518は、コンピューティングデバイス1500を通信可能な任意のタイプのネットワークにインターフェースし、本明細書に記載される操作を実行するのに好適な、ネットワークインターフェースカードなどの内蔵ネットワークアダプタを含み得る。I/Oデバイス1530は、システムバス1550と外部通信バスとの間のブリッジであり得る。
【0101】
一実施形態によれば、
図7Eのネットワーク環境は、ネットワークの様々な構成要素が仮想化される仮想ネットワーク環境であり得る。例えば、様々なマシン1502は、物理マシン上で実行されるソフトウェアベースのコンピュータとして実装された仮想マシンであり得る。仮想マシンは、同じオペレーティングシステムを共有し得る。他の実施形態では、異なるオペレーティングシステムは、各仮想マシンインスタンス上で実行され得る。一実施形態によれば、「ハイパーバイザ」タイプの仮想化は、複数の仮想マシンが同じホスト物理マシン上で実行され、各々がそれ自体の専用ボックスを有するかのように機能するように実装される。もちろん、仮想マシンはまた、異なるホスト物理マシン上で実行され得る。
【0102】
例えば、ネットワーク(例えば、ソフトウェア・デファインド・ネットワーキング(Software Defined Networking:SDN)を介して)など、他のタイプの仮想化も、想到される。セッション境界コントローラの機能及び他のタイプの機能などの機能もまた、例えば、ネットワーク機能仮想化(Network Functions Virtualization:NFV)などを介して仮想化され得る。
【0103】
本発明は、特定の特別の実施形態に記載されてきたが、当業者は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、記載される実施形態に対する変形を逸脱することは困難ではない。更に、本明細書の本発明自体は、様々な分野の当業者に、他のタスクに対する解決策及び他の用途への適応を示唆するであろう。したがって、本発明の本実施形態は、全ての点で例示的であり、限定的ではないとして考慮されるべきである。