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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】SiCエッジリング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230526BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/205
H01L21/302 101H
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021559357
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 KR2020003341
(87)【国際公開番号】W WO2020213836
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】10-2019-0044499
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519053658
【氏名又は名称】トカイ カーボン コリア カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュン
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-049220(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0020912(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1593921(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/205
C23C 16/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ損傷部分及び非損傷部分を有するSiCを含む第1蒸着部と、
前記第1蒸着部上に形成されたSiCを含む第2蒸着部と、
を含み、
前記第1蒸着部の損傷部分と前記第2蒸着部との間の境界は非平坦面を含み、
前記第1蒸着部及び/又は前記第2蒸着部が、分離された少なくとも2つの構造体を含む、SiCエッジリング。
【請求項2】
前記非平坦面は、プラズマエッチングにより形成されたものである、請求項1に記載のSiCエッジリング。
【請求項3】
前記非平坦面のうち、プラズマに露出して損傷される前の同じ高さであった部分から形成された非平坦面の最高点と最低点の高さの差は0.5mm~3mmである、請求項1に記載のSiCエッジリング。
【請求項4】
前記非平坦面の表面の粗さは0.1μm~2.5μmである、請求項1に記載のSiCエッジリング。
【請求項5】
前記第1蒸着部と前記第2蒸着部の透過度は相異なる、請求項1に記載のSiCエッジリング。
【請求項6】
前記第1蒸着部は、グラファイト、反応焼結SiC、常圧焼結SiC、ホットプレスSiC、再結晶SiC、CVD SiC及びTaCからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載のSiCエッジリング。
【請求項7】
第1蒸着部及び第2蒸着部の透過度の差は、前記第2蒸着部内の複数の積層された層間の透過度の差よりも大きい、請求項6に記載のSiCエッジリング。
【請求項8】
前記第1蒸着部は複数の積層された層を含み、
前記第1蒸着部の複数の積層された層の層間の境界では、透過度が次第に変化する、請求項1に記載のSiCエッジリング。
【請求項9】
前記第2蒸着部上に形成された第3蒸着部をさらに含み、
前記第2蒸着部と前記第3蒸着部との間の境界面は非平坦面を含む、請求項1に記載のSiCエッジリング。
【請求項10】
前記第1蒸着部、前記第2蒸着部、及び第3蒸着部の透過度はそれぞれ相異なり、
前記第2蒸着部上に形成された第3蒸着部をさらに含み、前記再生したSiCエッジリングの断面において、前記第1蒸着部と前記第2蒸着部との間の境界線と、前記第2蒸着部と前記第3蒸着部との間の境界線は互いに平行をなしている区間を含む、請求項9記載のSiCエッジリング。
【請求項11】
前記分離された少なくとも2つの構造体は同じ透過度を有する、請求項に記載のSiCエッジリング。
【請求項12】
前記第1蒸着部は分離されていない1つの構造体を形成し、
前記第1蒸着部の断面は、前記SiCエッジリングの外側面から内側面に至るまで第1領域ないし第3領域を含み、
前記第1領域の平均厚さt1、前記第2領域の平均厚さt2、及び前記第3領域の平均厚さt3は、t1>t3>t2である、請求項1に記載のSiCエッジリング。
【請求項13】
前記第2蒸着部の平均厚さは0.5mm~3mmの厚さである、請求項1に記載のSiCエッジリング。
【請求項14】
前記非平坦面は、前記第2蒸着部が形成される前表面加工処理が行われたものである、請求項1に記載のSiCエッジリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程で用いられる半導体製造用部品の1つであるエッジリングに関し、より詳しくは、プラズマを用いた乾式エッチング装置の損傷されたエッジリングを再生し、再び半導体製造工程で利用できるように形成されたSiCエッジリングに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造工程で用いられるプラズマ処理方式は、乾式エッチング工程の1つとして、ガスを用いて対象をエッチングする方法である。これは、エッチングガスを反応容器内に注入してイオン化させてからウェハーの表面で加速させ、ウェハーの表面を物理的かつ化学的に除去する工程に基づく。この方法は、エッチングの調整が容易であり、生産性が高く、数十nmレベルの微細パターンを形成できることで幅広く用いられている。
【0003】
プラズマ処理方式の均一なエッチングのために考慮しなければならない変数の1つとして、被対象物の表面への均等な高周波を適用することにある。均等な高周波の適用は、実際なエッチング工程において、ウェハー表面の全体に対する均一なエネルギー分布を形成可能にする必須要素である。これは、高周波の出力調整だけでは達成されず、高周波電極としてのステージとアノードの形態及び実質的にウェハーを固定させる機能を果たすエッジリングなどにより大きく左右される。
【0004】
前記エッジリングは、プラズマが存在する苛酷な条件のプラズマ処理装置の反応チャンバ内でプラズマの拡散を防止し、エッチング処理が行われるウェハー周辺にプラズマが限定されるようにする役割を果たす。従って、エッジリングは常にプラズマに露出され、プラズマのうちカチオン性によってその表面がエッチングされる。従って、適切な周期にエッジリングの交替が行われない場合、そのエッジリングのエッチングによるエッチングの副産物量が反応チャンバ内で増加してエッチング工程の精密度が低下し、製品の品質が低下するという問題がある。そのため、エッジリングは、一定の周期ごとにエッチングされた損傷製品を交替しなければならず、交替された前記エッジリングはそのまま全量廃棄処分されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一側面によれば、上述した問題を解決するためのもので、本発明の目的は、一例として、交替されたエッジリングのような半導体製造用部品の廃棄で発生する産業廃棄物を減らすことで環境保全に寄与し、最終的な半導体製品の生産コストを減らすことができる、再生された半導体製造用部品であるエッジリングを提供することにある。
【0006】
また、本発明の一側面は、最大限の不要な工程を省略して単純化し、半導体製造用部品であるエッジリングの再生工程で消耗されるコストを最小化する方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の一側面は、エッジリングの蒸着形成過程で効果的な方式を用いて複数のSiC層を積層し、異常組織の継続的な成長を防止した層間の境界においても品質が均質して剥離などの現像が発生せず、気孔や亀裂の発生の恐れのない複数層が積層されたSiCエッジリングを提供することにある。しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されない他の課題は、下記の記載によって当技術分野の通常の知識を有する者明確に理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のSiCエッジリングは、プラズマ損傷部分及び非損傷部分を有するSiCを含む第1蒸着部と、前記第1蒸着部上に形成されたSiCを含む第2蒸着部とを含み、前記第1蒸着部の損傷部分と前記第2蒸着部との間の境界は非平坦面を含む。
【0009】
本発明の一実施形態によると、前記非平坦面は、プラズマエッチングにより形成されたものであり得る。
【0010】
本発明の一実施形態によると、前記非平坦面のうち、プラズマに露出して損傷される前の同じ高さであった部分から形成された非平坦面の最高点と最低点の高さの差は0.5mm~3mmであり得る。
【0011】
本発明の一実施形態によると、前記非平坦面の表面の粗さは0.1μm~2.5μmであり得る。
【0012】
本発明の一実施形態によると、前記第1蒸着部と前記第2蒸着部の透過度は相異なってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態によると、前記第1蒸着部は、グラファイト、反応焼結SiC、常圧焼結SiC、ホットプレスSiC、再結晶SiC、CVD SiC、TaC及びYaCからなる群より選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0014】
本発明の一実施形態によると、第1蒸着部及び第2蒸着部の透過度の差は、前記第2蒸着部内の複数の積層された層間の透過度の差よりも大きくてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態によると、前記第1蒸着部は複数の積層された層を含み、前記第1蒸着部の複数の積層された層の層間の境界では、透過度が次第に変化することができる。
【0016】
本発明の一実施形態によると、前記第2蒸着部上に形成された第3蒸着部をさらに含み、前記第2蒸着部と前記第3蒸着部との間の境界面は非平坦面を含むことができる。
【0017】
前記第1蒸着部、前記第2蒸着部、及び第3蒸着部の透過度はそれぞれ相異なり、前記第2蒸着部上に形成された第3蒸着部をさらに含み、前記再生したSiCエッジリングの断面において、前記第1蒸着部と前記第2蒸着部との間の境界線と、前記第2蒸着部と前記第3蒸着部との間の境界線は互いに平行をなしている区間を含むことができる。
【0018】
本発明の一実施形態によると、前記第1蒸着部は、分離された少なくとも2つの構造体を含むことができる。
【0019】
本発明の一実施形態によると、前記第2蒸着部は、分離された少なくとも2つの構造体を含むことができる。
【0020】
本発明の一実施形態によると、前記分離された少なくとも2つの構造体は同じ透過度を有することができる。
【0021】
本発明の一実施形態によると、前記第1蒸着部は分離されていない1つの構造体を形成し、前記第1蒸着部の断面は、前記SiCエッジリングの外側面から内側面に至るまで第1領域ないし第3領域を含み、前記第1領域の平均厚さt1、前記第2領域の平均厚さt2、及び前記第3領域の平均厚さt3は、t1>t3>t2であってもよい。
【0022】
本発明の一実施形態によると、前記第2蒸着部の平均厚さは0.5mm~3mmの厚さであってもよい。
【0023】
本発明の一実施形態によると、前記非平坦面は、前記第2蒸着部が形成される前表面加工処理が行われてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施形態に係るSiCエッジリングは、不要な過程を省略して効率的な方法で半導体製造用再生部品の1つであるエッジリングの再生を可能にする。これにより、従来におけるプラズマによりエッチングされて交替されてから廃棄された半導体製造用部品の1つであるSiCエッジリングを廃棄することなく、蒸着部を形成することで新しい部品に再生してリサイクルできる効果がある。
【0025】
本発明の他の一実施形態に係るSiCエッジリングは、交替後に廃棄される部品に新しい蒸着部を形成することで、相対的に少ないコストで新しい製品に交替するものと等しいいか、それ以上の工程生産の効率を実現することができる。
【0026】
究極的に本発明の実施形態は、最終的に半導体製品の生産コストを節減させ、産業廃棄物の量産を減らすことのできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】半導体生産工程のプラズマ処理装置で用いられるSiCエッジリングの斜視図である。
図2】半導体生産工程のプラズマ処理装置でウェハーが半導体製造用部品の1つであるSiCエッジリングに装着された構造を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るプラズマ損傷部分及び非損傷部分を有するSiCエッジリングの第1蒸着部の概略的な構造を示した断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るSiCエッジリングの第1蒸着部上に第2蒸着部が形成され、第2蒸着部上に第3蒸着部が複数層形成された概略的な構造を示した断面図である。
図5a】本発明の他の一実施形態に係るSiCエッジリングの第1蒸着部上に第2蒸着部が形成され、第2蒸着部上に第3蒸着部が複数層形成された概略的な構造を示した断面図である。
図5b】本発明の他の一実施形態に係るSiCエッジリングの第1蒸着部上に第2蒸着部が形成され、第2蒸着部上に第3蒸着部が複数層形成された概略的な構造を示した断面図である。
図6】本発明の一実施形態により、SiCエッジリングの第1蒸着部上に第2蒸着部が形成される過程を概略的に示した断面工程図である。
図7】本発明の一実施形態により、マスキングするステップを含んでSiCエッジリングの第1蒸着部上に第2蒸着部が形成される過程を概略的に示した断面工程図である。
図8】本発明の他の一実施形態により、SiCエッジリングの第1蒸着部上に第2蒸着部が形成される過程を概略的に示した断面工程図である。
図9】本発明の他の一実施形態により、マスキングするステップを含んでSiCエッジリングの第1蒸着部上に第2蒸着部が形成される過程を概略的に示した断面工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して実施形態を詳細に説明する。下記で説明する実施形態には多様な変更が加えられることができ、特許出願の権利範囲がこの実施形態により制限されたり限定されたりすることはない。実施形態に対するすべての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれるものとして理解されなければならない。
【0029】
実施形態において用いる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられるものであって、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0030】
異なるように定義がされない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0031】
また、図面を参照して説明する際に、図面符号に拘わらず同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。実施形態の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0032】
図1は、半導体生産工程のプラズマ処理装置で用いられるSiCエッジリングの斜視図である。
【0033】
図1には、半導体生産工程のプラズマ処理装置で用いられる半導体製造用部品の1つであるSiCエッジリングの工程装置製品による様々な構造の一形態100が図示されている。前記エッジリングの断面は、上段面と安着面の段差のある構造を有し、その段差間を結ぶ段差面を含んでいる構造を有する。前記エッジリングの他の一例として、段差間を結ぶ面は垂直構造で形成されてもよい。前記安着面は被処理物の安着面を意味し、被処理物は一例としてウェハーであってもよい。
【0034】
図2は、半導体生産工程のプラズマ処理装置でウェハー10が半導体製造用部品の1つであるSiCエッジリング100に装着された構造を示す断面図である。
【0035】
ここで、前記ウェハーは、工程装置の構造により前記エッジリングの安着面104全体又は一部にかけて装着されてもよい。その後、装着されたウェハーとエッジリングは、プラズマ処理装置のチャンバ内でプラズマに露出してエッチングされる。ここで、外部のプラズマに露出される部分はエッチングが行われるが、特に、エッジリングの場合、上段面102、段差面106と安着面104のうちウェハーによって覆われていない部分に集中的にエッチングが行われる。従って、前記エッジリングのようなプラズマ処理装置内のプラズマに露出されている半導体製造用部品は損傷し、周期的な交替を要することになる。本発明は、このように周期的に交替されてから廃棄の対象となった半導体製造用部品のうち、エッジリングに新しい蒸着部を形成し、少ないコストで新しい製品を購入するものと同じ効果を発揮することを一目的とする。
【0036】
図3は、本発明の一実施形態に係るプラズマ損傷部分及び非損傷部分を有するSiCエッジリングの第1蒸着部110の概略的な構造を示した断面図である。図3を参照すると、SiCエッジリングの上段面、段差面、安着面のうちウェハーにより覆われていない部分に損傷部分112が形成されていることが確認される。図3に示すように、場合に応じて、SiCエッジリングの外側面116及び内側面118は非損傷部分を含む。
【0037】
本発明において、図3に示すように、SiCエッジリングの前記第1蒸着部を便宜により損傷部分の形成された上段面を含む第1領域(I区間)と、安着面のうち損傷部分を含む第2領域(II区間)、及び安着面のうち非損傷部分を含む第3領域(III区間)に分離して称する。
【0038】
本発明のSiCエッジリングは、プラズマ損傷部分及び非損傷部分を有するSiCを含む第1蒸着部と、前記第1蒸着部上に形成されたSiCを含む第2蒸着部とを含み、前記第1蒸着部の損傷部分と前記第2蒸着部との間の境界は非平坦面を含む。
【0039】
本発明の一側面に係る第1蒸着部は、化学的気相蒸着法に基づいてエッジリングで最初製造された構造体の一部であってもよい。本発明の一側面に係る第1蒸着部は、プラズマによりエッチングされた損傷部分とプラズマによりエッチングされずに最初の形態と加工面を保持する非損傷部分を共に含んでもよい。
【0040】
一方、本発明の一側面に係る第1蒸着部は、最初製造されたエッジリング上に再生を目的とする蒸着層が積層され、底面から加工して規格化される過程において、最初製造されたエッジリング構造体は全て加工されて消え、再生を目的に積層された蒸着層が第1蒸着部に含まれてもよい。即ち、本発明の第1蒸着部は、最初プラズマによりエッチングされたエッジリング上に蒸着された層の一部を含むものである。
【0041】
前記第1蒸着部上に第2蒸着部が形成されてもよい。本発明の一側面に係る第2蒸着部は、第1蒸着部がプラズマ処理装置でプラズマによりエッチングされた損傷部分と非損傷部分上にそのまま積層形成されることができる。
【0042】
ここで、第1蒸着部の損傷部分と前記第2蒸着部との間の境界は非平坦面を含んでもよい。本発明で意味する非平坦面とは、プラズマによりエッジリングが損傷して表面が不規則にエッチングされた面を意味する。前記非平坦面は、デコボコした凹凸の形成された表面であってもよく、最初規格化された構造体で一部の破片が剥がれて形成された表面であってもよい。本発明の非平坦面は、最初に製造されたエッジリング製品に比べて、プラズマ処理装置で用いられ、プラズマによりエッチングされて不均一になった全ての側面を全部含むエッジリング表面を称える用語として使われた。
【0043】
一方、本発明の一側面において、前記第1蒸着部、前記第2蒸着部又はこの両方はSiCを含んでもよく、追加的に、TaC、炭化水素を含む他の成分をさらに含んでもよい。前記炭化水素は、CxHyの化学式を有するもので、xが1以上、yが2以上の整数であるものを用いてもよい。また、前記エッジリングは、炭化シリコン基板にシリコン層がコーティングされた構造であってもよい。
【0044】
また、前記第1蒸着部及び前記第2蒸着部は、生産されるウェハーと同じ成分を含んでもよい。前記再生部が製造するウェハーと全く異なる成分を有する場合、プラズマにより前記半導体製造装置の部品が損傷するとき、その成分が外部に流出されてウェハーを汚すためである。SiCエッジリングの第1蒸着部と第2蒸着部の構成元素及び成分分布は同一であってもよく、異なってもよい。即ち、前記非生成部、前記再生部又は両方はSiCだけではなく、TaC、炭化水素などの追加的な成分を含むことで、屈曲強度が極めて高くなり、プラズマに対するより高い耐食性を確保することができる。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、前記非平坦面は、プラズマエッチングにより形成されたものであってもよい。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、前記非平坦面のうち、プラズマに露出して損傷される前に、同じ高さであった部分から形成された非平坦面の最高点と最低点の高さの差(図3のh)は、0.01mm~3mm(実質的に、3mm以下)であってもよい。一例として、前記高さの差は、0.5mm~3mmであってもよい。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、前記非平坦面の表面の粗さは、0.1μm~2.5μmであってもよい。
【0048】
一例として、前記非平坦面は、プラズマにより表面がエッチングされた直後の表面の粗さが0.05μm~0.3μmであってもよい。また、他の一例として、前記非平坦面は、プラズマにより表面がエッチングされてから損傷された表面の一部を加工することで、表面の粗さが0.1μm~2.5μmであるレベルに形成したものであってもよい。
【0049】
一例によれば、別途の加工ステップを含まなくても前記第1蒸着部の表面の粗さ値が0.1μm~2.5μmレベルで形成されるとき、第2蒸着部は、第1蒸着部の表層上に均質の蒸着層を形成することができる。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、前記第1蒸着部と前記第2蒸着部の透過度は相異なってもよい。
【0051】
本発明で意味する透過度は、物質層を光が通過する程度であって、物質層を通過した光の強度を物質層に対する入射光の強度に割った値である。透過度は様々な方法で測定されるが、3mmの厚さで試験片を製造し、光度150Lux以上の光源を用いて試験片と光源との距離が7cm以内で測定したものである。厚さや光源、試験片と光源との距離に応じて透過度は変わるため、透過度は同じ厚さである場合の相対値として考慮される。従って、透過度は、物質の固有な特徴に該当し、同じ成分及び組成を有する素材であっても、その結晶構造や像に応じて互いに異なる透過度を有することがある。
【0052】
本発明の一側面で提供するSiCエッジリングの第1蒸着部と第2蒸着部は、含んでいる成分が互いに同一であっても、それぞれの透過度が異なってもよい。
【0053】
図4は、本発明の一実施形態に係るSiCエッジリングの第1蒸着部110上に第2蒸着部210が形成され、第2蒸着部上に複数層の第3蒸着部220,230が形成された概略的な構造を示した断面図である。
【0054】
図4に示すように、第3蒸着部は複数層形成されてもよい。即ち、本発明の一側面によれば、第2蒸着部上に第1の第3蒸着部220が形成され、第1の第3蒸着部上に第2の第3蒸着部230が形成されてもよい。ここで、第1の第3蒸着部が形成されてエッジリングで規格化された後、規格化されたエッジリングがプラズマ処理装置で使用されることができる。ここで、第1の第3蒸着部の一部の表面はエッチングされ、損傷部分が形成された第1の第3蒸着部上に第2の第3蒸着部が形成され、本発明の一側面で提供する複数層の第3蒸着部を含むSiCエッジリングが確保される。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、前記第1蒸着部は、グラファイト、反応焼結SiC、常圧焼結SiC、ホットプレスSiC、再結晶SiC、CVD SiC、TaC及びYaCからなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0056】
本発明の一側面によれば、前記第1蒸着部(非生成部)の素材は、半導体製造用装備などで用いられる部品に適用可能な素材であれば、その種類は特に限定されない。一例として、母材として利用可能な素材であるグラファイトを含む炭素素材、耐プラズマ特性の優れた様々なSiC素材、様々なTaC又はYaC素材の1つ以上を含むように形成されてもよい。
【0057】
本発明の一側面によれば、前記第2蒸着部(再生部)は、耐プラズマ特性が優れるようにSiC、TaC又は両方を含んでもよい。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、第1蒸着部及び第2蒸着部の透過度の差は、前記第2蒸着部内の複数の積層された層間の透過度の差よりも大きくてもよい。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、前記第1蒸着部は複数の積層された層を含み、前記第1蒸着部の複数の積層された層の層間の境界において、透過度が次第に変わる。
【0060】
本発明の一実施形態によると、第1蒸着部を複数の層に形成する場合、積層された第1蒸着部の層間の境界では、透過度が次第に変化する特徴が実現される。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、前記第2蒸着部上に形成された第3蒸着部をさらに含み、前記第2蒸着部と前記第3蒸着部との間の境界面は非平坦面を含んでもよい。
【0062】
本発明の一側面において、第2蒸着部上に第3蒸着部がさらに形成されてもよい。ここで、第2蒸着部と第3蒸着部との間の境界面は非平坦面を含むが、これは前述したように、第2蒸着部が形成された後、第2蒸着部の一部表面がプラズマによりエッチングされたためである。即ち、本発明の一側面に係るSiCエッジリングは、第1蒸着部上に第2蒸着部が形成されてから規格化されてエッジリングに製造され、プラズマ処理装置で使用されながら第2蒸着部表面の少なくとも一部がエッチングされた後、エッチングされた一部の損傷部分を含む第2蒸着部上に第3蒸着部が形成される。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、前記第1蒸着部、前記第2蒸着部、及び第3蒸着部の透過度はそれぞれ異なってもよい。
【0064】
第1蒸着部と第2蒸着部との間の透過度が互いに異なるように、第1蒸着部、第2蒸着部、及び第3蒸着部の透過度もそれぞれ異なってもよい。第3蒸着部も、第1蒸着部及び第2蒸着部と構成要素が同じであってもよいが、透過度はそれぞれ異なってもよい。
【0065】
また、本発明の一実施形態によれば、前記第2蒸着部上に形成された第3蒸着部をさらに含み、前記再生したSiCエッジリングの断面において、前記第1蒸着部と前記第2蒸着部との間の境界線と、前記第2蒸着部と前記第3蒸着部との間の境界線は互いに平行をなす区間を含む。
【0066】
前記互いに平行をなす区間は、各蒸着部がプラズマにより損傷されていない領域に形成されてもよい。第1蒸着部のうちプラズマにより損傷されていない部分の上には、その境界と平行な上面を形成するように第2蒸着部が形成される。また、第2蒸着部が形成された後プラズマに露出されるとしても、プラズマにより損傷されていない部分の上には、その境界と平行な上面を形成するように第3蒸着部が形成されることができる。
【0067】
図4に示すように、プラズマからウェハーの表面により覆われるなどの理由で、非損傷部を含むSiCエッジリングの一部表面は平坦面を形成することになる。この部分に積層された第1蒸着部、第2蒸着部、第3蒸着部との間のSiCエッジリングの断面の境界線は互いに平行をなす。従って、本発明の一側面で提供するSiCエッジリングは、前記第1蒸着部と前記第2蒸着部との間の境界線と、前記第2蒸着部と前記第3蒸着部との間の境界線が互いに平行をなす区間を含んでいる。前記第3蒸着部が複数層形成される場合、前記第3蒸着部の複数層間の境界面は互いに平行をなす区間を含んでもよい。
【0068】
本発明の一側面によれば、前記第1蒸着部と第2蒸着部との間の境界面と、前記第2蒸着部と第3蒸着部との間の境界面、第3蒸着部が複数層形成されている場合、各層間の境界面はそれぞれが平行をなすように形成された部分を含んでもよい。
【0069】
本発明の一側面によれば、前記SiCエッジリングに蒸着部を形成した後、プラズマ処理装置で使用するために規格化作業が実行されることができる。本発明で実行される前記規格化作業は、一例として、蒸着部が形成されたSiCエッジリングの底面を加工することである。即ち、本発明の一側面によれば、蒸着部がエッジリング上部で積層されて厚さが厚くなった分、下方から底面を加工することにより、プラズマ処理装置に適用できる製品の大きさに適するように規格化することができる。
【0070】
この過程で、プラズマにエッチングされたエッジリングは、一例として図3に示されたような損傷したエッジリング(第1蒸着部)110の構造を形成することになる。本発明の一側面によれば、このようなエッジリング上に図4に示すように、複数の蒸着部が層を形成して乗せられるのであろう。その次に、底面から一定の厚さだけ加工されて規格化される場合、規格化されたエッジリングには、図5a及び図5bに示すような断面構造を形成することができる。
【0071】
図5a及び図5bは、本発明の他の一実施形態に係るSiCエッジリングの第1蒸着部上に第2蒸着部が形成され、第2蒸着部上に第3蒸着部が複数層形成されている概略的な構造を示した断面図である。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、前記第1蒸着部は、分離された少なくとも2つの構造体を含んでもよい。
【0073】
図5aには、SiCエッジリングが底面から一定の厚さだけ加工されることで、第1蒸着部110が分離された2つの構造体110´に分かれているSiCエッジリングの断面図を示している。
【0074】
一方、図5aには、第3蒸着部が2層220,230から形成されているが、ここで、第3蒸着部の各層は蒸着の厚さが同一である必要はない。本発明の一側面において、底面から加工される程度を考慮し、必要に応じて他の第3蒸着部層220より特にさらに厚い第3蒸着部層230を形成してもよい。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、前記第2蒸着部210は、分離された少なくとも2つの構造体210´を含んでもよい。
【0076】
図5bには、SiCエッジリングが底面から一定の厚さだけ加工されることで、第1蒸着部110だけではなく、第2蒸着部210までも分離されて2つの構造体に分かれているSiCエッジリングの断面図を示している。
【0077】
一方、図5bには、第3蒸着部が3層220,230,240から形成されているが、ここで、各層の蒸着の厚さは、底面から加工される程度を考慮し、必要に応じて形成してもよい。
【0078】
本発明の一実施形態によれば、前記分離された少なくとも2つの構造体は同じ透過度を有してもよい。
【0079】
同じチャンバの同じ蒸着条件で蒸着された構造体は、同じ透過度を形成し得る。即ち、同じ原料ガス炉から同時間形成された蒸着構造体は、光の透過度が同じ特徴を保持する。
【0080】
図5aに示す分離された第1蒸着層、図5bに示す分離された第1蒸着層、及び第2蒸着層はそれぞれが互いに接続されている1つの構造体で蒸着された後、底面から一定の厚さが加工されて互いに分離された構造体である。従って、前記図5aに示す分離された第1蒸着層、図5bに示す分離された第1蒸着層、及び第2蒸着層は、それぞれ同じ透過度を形成することができる。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、前記第1蒸着部は分離されていない1つの構造体を形成し、前記第1蒸着部の断面は、前記SiCエッジリングの外側面から内側面に至るまで第1領域ないし第3領域を含み、前記第1領域の平均厚さt1、前記第2領域の平均厚さt2、及び前記第3領域の平均厚さt3は、t1>t3>t2である。
【0082】
図3には、本発明の一実施形態に係るSiCエッジリングの第1領域ないし第3領域が区分されている。SiCエッジリングの前記第1蒸着部の断面を、便宜により損傷部分が形成された上段面を含む第1領域(I区間)と、安着面のうち損傷部分を含む第2領域(II区間)、及び安着面のうち非損傷部分を含む第3領域(III区間)に分類して称する。場合に応じて、前記第1領域には上段面と安着面を接続する段差面が含まれてもよい。ここで、本発明の一側面によれば、各領域の平均厚さをt1~t3とするとき、t1~t3の関係はt1>t3>t2であってもよい。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、前記第2蒸着部の平均厚さは0.5mm~3mmの厚さであってもよい。
【0084】
一例として、前記第2蒸着部の平均厚さは、0.7mm~2.5mmであってもよい。
【0085】
本発明の一側面によれば、前記第2蒸着部を形成する過程において、第2蒸着部を適切な厚さで形成することが重要である。前記再生部が過度に薄く形成する場合、プラズマにより再生部が全てエッチングされ、下層の非生成部の損傷部分が露出されることがある。これは、プラズマ処理方式過程で生産される半導体製品の品質を低下させる直接的な原因となる。また、前記再生部が過度に厚く形成される場合、蒸着されて再生部を形成する原料の無駄遣いにつながり、加工に消費されるコスト及び努力が増加することで、最終的に半導体製品の単価上昇及び生産効率の低下という問題がある。従って、本発明の一側面において、再生部の厚さを適切に制御することが重要な要素となっている。
【0086】
通常のプラズマ処理装置で交替を要するエッジリングの場合、0.5mm前後でエッチングが発生するという側面まで考慮したとき、本発明の一側面で様々な試験を通じて確認した前記第2蒸着部の平均厚さは、0.5mm~3mmの厚さであることが好ましい。
【0087】
本発明の一実施形態によれば、前記非平坦面は、前記第2蒸着部が形成される前に表面加工処理が行われてもよい。
【0088】
以下では、本発明の一実施形態で提供するSiCエッジリングの製造方法について説明する。
【0089】
本発明のSiCエッジリングは、プラズマ損傷部分及び非損傷部分を含むエッジリングを準備するステップと、前記準備されたSiCエッジリングの一部をマスキングするステップと、前記一部がマスキングされたSiCエッジリングに化学的気相蒸着法で再生部を形成するステップと、前記マスキングを除去し、前記再生部が形成されたSiCエッジリングを規格化加工するステップとを含む。ここで説明する再生部は、本発明の第2蒸着部又は第3蒸着部であってもよく、場合に応じて、第1蒸着部もここで説明する再生部に含まれてもよい。
【0090】
以下で説明するSiCエッジリングの製造方法は、半導体製品を製造するためのプラズマ処理装置でプラズマに露出しエッチングされた後、周期的な交替を要する部品の全てに適用することができる。
【0091】
図6は、本発明の一実施形態により、SiCエッジリングの第1蒸着部上に第2蒸着部が形成される過程を概略的に示した断面工程図である。
【0092】
図6に示すように、本発明の一実施形態によれば、マスキングするステップを含むことなく、SiCエッジリングの第1蒸着部上に直ちに第2蒸着部を形成してもよい。
【0093】
図7は、本発明の一実施形態により、マスキングするステップを含んでSiCエッジリングの第1蒸着部上に第2蒸着部が形成される過程を概略的に示した断面工程図である。
【0094】
図6及び図7において、本発明の一実施形態により第3蒸着部を形成する前に第2蒸着部が形成される過程を示している。
【0095】
以下では、図7に示されたSiCエッジリングの断面の構造を介して本発明の一実施形態で提供する第1蒸着部上に第2蒸着部が形成される各ステップについて説明する。
【0096】
図7(a)には、プラズマ損傷部分及び非損傷部分を含むSiCエッジリングを準備するステップが図示されている。
【0097】
図7(a)はSiCエッジリングの一例として、乾式エッチング装置内でプラズマによりエッチングされる損傷部分112と、プラズマに露出することなくエッチングされない非損傷部分114を含む、損傷したエッジリング(第1蒸着部)110の断面が図示されている。図7(a)において、プラズマによりエッチングされて損傷部分112は、図2に示す損傷前のエッジリングと比較してみると、上段面、段差面、及びウェハーによって覆われていない安着面の一部に形成されてもよい。安着面の残りの一部114は、ウェハーによって覆われてプラズマから保護されて非損傷部分を形成する。図7(b)には、前記準備されたSiCエッジリングの一部をマスキング410するステップが図示されている。
【0098】
前記マスキングするステップは、化学的気相蒸着法による蒸着過程において、非損傷部分を含む領域にマスキングを形成してもよい。これは、再生部(第2蒸着部)を形成するステップで蒸着が不要な部分への原料ガスの蒸着を最小化し、蒸着後の加工を最小化するためである。即ち、このようなマスキングするステップは、本発明のSiCエッジリングを製造する工程の効率を向上させるために行われる。
【0099】
ここで、前記再生部の成分として、加工の難しいSiC、TaCなどのような物質を含み得るため、その後の規格化加工を行う過程で直接的な再生部の加工面積を最小化することが、製品の生産性を確保するために極めて重要である。本発明の一側面において、その後の規格化加工するステップにおける便宜性の確保のために非損傷面を含んでいる部分にマスキングする構成を含んでもよい。
【0100】
本発明の一実施形態によれば、前記マスキングするステップは、SiCエッジリングの底面、外側面、及び内側面からなる群で選択される1つ以上の非損傷面をマスキングすることを含んでもよい。本発明の半導体製造用部品の一例であるエッジリングを例に挙げて説明すれば、図7(b)に示すように、非損傷面の部分に該当する底面、外側面、及び内側面の1つ以上にマスキングが形成されてもよい。
【0101】
前記マスキングの素材として、グラファイト素材の材料をはじめとする、再生部に含まれている蒸着物質よりも加工が容易な材料を用いる。これにより、その後の加工するステップにおいて、蒸着物質が直ちに形成された部分よりも、マスキング一部分がさらに容易に加工されることのできる効果がある。即ち、マスキングするステップを本発明のSiCエッジリングの製造方法に含むことで、再生されたSiCエッジリングの規格化された面を容易に確保できるという長所がある。
【0102】
図7(c)には、前記一部がマスキングされたSiCエッジリングに化学的気相蒸着法で再生部300(第2蒸着部)を形成するステップが図示されている。
【0103】
本ステップにおいて、化学的気相蒸着法によりチャンバ内に一部がマスキングされたSiCエッジリングが装着された状態で、原料ガスの装着されたSiCエッジリングに蒸着されて第1蒸着部上に再生部(第2蒸着部)が形成される。
【0104】
図7(c)に示すように、プラズマによりエッチングされたSiCエッジリングの損傷部分は平坦していない面を含んでもよい。ここで、本発明は、プラズマによりエッチングされたSiCエッジリングの損傷部分を別途に平坦に先加工せず、再生部を形成することを特徴とする。これによって、本発明の一側面によれば、追加され得る別途の表面加工ステップは省略され、全体工程の速度が上昇して再生工程でコストの節減された効果を取得することができる。
【0105】
前記再生部を形成するステップの具体的な方法として、蒸着温度1000℃~1500℃で、成膜速度を20μm/hour~400μm/hourに原料ガスの滞留時間を7秒~110秒にしてもよい。図7(c)に示すように、前記再生部が形成されたSiCエッジリングは、現場で要求される製品の規格に合わないように加工されない形態であってもよい。
【0106】
再生部が形成されたSiCエッジリングは、以後にマスキングを除去する工程と規格化加工する工程を行う。ここで、マスキングを除去する工程と規格化加工する工程は同時に実行されてもよく、2つの工程のいずれか1つの工程が先に実行されてから、残りの工程が実行されてもよい。ここで、非生成部の一部に形成されたマスキングを除去する工程は、非生成部上に形成されている再生部を加工して規格化する工程に比べて容易に実行することができる。
【0107】
本発明の一実施形態によれば、前記再生部が形成されたSiCエッジリングを規格化加工するステップは、前記SiCエッジリングの底面を加工して前記SiCエッジリングの厚さを規格化することを含んでもよい。蒸着による再生部の形成によりSiCエッジリングの厚さが現場で要求されるエッジリングの規格よりも大きくてもよいが、本発明は、底面加工を介して規格化することが特徴の1つと言える。
【0108】
図7(c)には、I-I´の切断線が表示されているが、本発明の一側面において、規格化加工するステップで、I-I´切断線のようにSiCエッジリングの底面を加工して半導体製造装置に適用されるSiCエッジリングを規格化することができる。
【0109】
本発明の一側面において、マスキングを除去する工程、再生部をなしている蒸着層を加工する工程、及びSiCエッジリングの底面を加工する工程が別途に実行されてもよく、全て共に実行されてもよい。本発明の一側面では、前記工程が全て実行されれば、それぞれの工程を行う順序は変わっても構わない。
【0110】
本発明の更なる1つのSiCエッジリングの製造方法は、プラズマ損傷部分及び非損傷部分を含むSiCエッジリングを準備するステップと、前記準備されたSiCエッジリングの底面を加工するステップと、前記加工されたSiCエッジリングの一部をマスキングするステップと、前記一部がマスキングされたSiCエッジリングに化学的気相蒸着法で再生部を形成するステップと、及び前記マスキングを除去し、前記再生部が形成されたSiCエッジリングを規格化加工するステップとを含む。
【0111】
図7(d)には、規格化加工が完了した再生部が形成されたSiCエッジリングが図示されている。
【0112】
図8は、本発明の他の一実施形態により、SiCエッジリングの第1蒸着部上に第2蒸着部が形成される過程を概略的に示した断面工程図である。
【0113】
図8に示すように、本発明の他の一実施形態によれば、マスキングするステップを含むことなく、SiCエッジリングの第1蒸着部上に直ちに第2蒸着部を形成してもよい。
【0114】
図9は、本発明の他の一実施形態により、マスキングするステップを含んでSiCエッジリングの第1蒸着部上に第2蒸着部が形成される過程を概略的に示した断面工程図である。
【0115】
以下では、図9に示されたSiCエッジリングの断面構造を介して本発明の他の一実施形態で提供する第1蒸着部上に第2蒸着部が形成される各ステップを説明する。
【0116】
図9(a)には、プラズマ損傷部分及び非損傷部分を含むSiCエッジリングを準備するステップが図示されている。
【0117】
図9(b)には、前記準備されたSiCエッジリングの底面をII-II´線に沿って加工するステップが図示されている。本発明の本実施形態では、再生部が形成されてSiCエッジリングの厚さが厚くなる場合、規格化が必要な側面を考慮して準備されたSiCエッジリングの底面を優先的に加工することを特徴とする。
【0118】
図9(c)には、前記準備されたSiCエッジリングの一部をマスキング420するステップが図示されている。本発明の他の一実施形態によれば、ジグは、図7(b)に示されたジグのように内側面、外側面を支持するジグと、底面を支持するジグとが分離して形成されてもよく、図9(c)に示すよう、一体に形成されてもよい。
【0119】
図9(d)には、前記一部がマスキングされたSiCエッジリングに化学的気相蒸着法で再生部300を形成するステップが図示されている。
【0120】
図9(e)には、前記マスキングを除去し、前記再生部が形成されたSiCエッジリングを規格化加工するステップが図示されている。ここで、本発明の一側面によれば、準備されたSiCエッジリングの底面をII-II´線に沿って加工するステップを前に行ったため、その再生部が形成されたSiCエッジリングの厚さはすでにある程度規格化されており、本ステップの規格化加工には大きい試みが不要である特徴がある。
【0121】
第2蒸着部の蒸着過程において、継続的に蒸着を行う場合にはこのように異常組織が継続的に成長し、結局不良な品質のSiCエッジリングが形成されることがある。この場合、第2蒸着部を含むSiCエッジリングは、最初にプラズマにより損傷される前のSiCエッジリングよりも劣っている品質に形成されるのであろう。
【0122】
本発明の一実施形態によれば、前記積層された層の各層の境界において、1つ以上の異常組織の成長の断絶を含んでもよい。積層された各層内部では、不純物又は同種の反応を通じて形成された核により異常組織構造が発生する恐れがある。このような異常組織構造の成長を制御することは、化学的気相蒸着方式によりSiCを含む製品を製造する過程で重要な問題となる。発明の一側面において、従来の連続的な蒸着過程を断絶して段階的に各層を形成することで、正常ではない結晶構造の継続的な成長を制御することができる。
【0123】
本発明の一実施形態によると、第2蒸着部を複数の層に形成する場合、各層間の境界で異常組織の継続的な成長は断絶し、均質した品質の第2蒸着部を形成することができる。
【0124】
本発明の一実施形態によれば、前記積層された第1蒸着部が複数の層を備えるように形成された場合、各層の境界では色が次第に変わる。積層された各層は、透過度の他に、色が互いに異なってもよい。ここで、第1蒸着層の積層された各層の境界で色の変化は、相違な色が断絶的かつ区分的に境界が明らかに区分されるように変化せず次第に変化する。このように透過度を次第に変化させるために、本発明では複数の原料ガスの放出導入口を利用し、放出導入口を別にして各層を積層形成する方式を使用することができる。
【0125】
本発明の一実施形態によれば、第1蒸着部とは異なって、第2蒸着部は複数の層を形成するように備えられても、各層間の境界が明確に区分され、第2蒸着部が複数の層に形成される場合、第2蒸着部の各層間の境界は透過度が断絶的に変わり得る。
【0126】
本発明の一実施形態によれば、前記再生部を形成するステップの前に、前記準備されたSiCエッジリングの損傷部分を洗浄するステップをさらに含んでもよい。
【0127】
前記洗浄するステップにおいて、準備されたSiCエッジリングの表面不純物を除去してもよい。本発明では、前記洗浄するステップの方法又はそれに用いられる装置を特に限定することはない。
【0128】
本発明の一側面で提供する前記洗浄するステップは、切削又は平坦化を一般に行う加工工程とは明らかに異なる方法で実行されてもよい。プラズマによりエッチングされたSiCエッジリングの損傷部分は不規則な非平坦面を保持する。本洗浄するステップは、少なくとも化学的気相蒸着が効率よく行われ、非平坦面を密着して形成するように表面不純物を除去する。これは、切削又は平坦化を行う加工工程に比べてその工程が簡単で、短い時間を要する。
【0129】
本発明の一実施形態によれば、前記洗浄するステップは、乾式熱処理洗浄、ブラスト洗浄、ブラッシング洗浄、洗浄液放出洗浄、化学的洗浄及び超音波洗浄からなる群で選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0130】
本発明の一側面によれば、前記洗浄液は、酸性、塩基性溶液を用いてもよい。
【0131】
本発明の一実施形態によれば、前記再生部を形成するステップは、前記準備されたSiCエッジリングの損傷部分を含む領域に前記蒸着が行われてもよい。
【0132】
本発明の重な特徴の1つは、前記再生部を形成するステップで準備されたSiCエッジリングの損傷部分上に直ちに蒸着物質を覆って再生部が形成されることにある。即ち、損傷部分がそのままの状態で再生部が蒸着されるのである。その結果、損傷部分とその上に形成された再生部との間の境界面は損傷された形態、即ち、非平坦面であってもよく、垂直断面では不規則な線として確認される。
【0133】
本発明の一実施形態によれば、前記再生部を形成するステップは、前記準備されたSiCエッジリングの加工工程フリー状態で実行されてもよい。
【0134】
即ち、本発明は再生部を形成するステップ以前に加工する工程ステップを含まなくてもよい。本発明の一側面において、特に損傷された部分を加工する工程を含まなくても、プラズマ処理装置で使用されるSiCエッジリングを効率よく形成することができる。そのため、本発明の再生部は、プラズマによる損傷部分にそのまま形成されることができる。
【0135】
本発明の一実施形態によれば、前記再生部(第2蒸着部)を形成するステップは、前記損傷部分の非平坦面上に前記再生部を形成することを含んでもよい。
【0136】
本発明の一実施形態によれば、前記マスキングするステップは、ジグによってマスキングすることを含んでもよい。
【0137】
前記マスキングするステップは、前記SiCエッジリングの少なくとも一部分を支持できるジグによりマスキングされてもよい。前記ジグは、前記損傷したSiCエッジリングの損傷していない面のうち、底面を支持する基準ジグを含んでもよく、前記損傷したSiCエッジリングの損傷された他の面を支持する他面ジグをさらに含んでもよい。
【0138】
本発明の一実施形態によれば、前記マスキングするステップにおいて、前記SiCエッジリングの底面、外側面、及び内側面からなる群で選択される1つ以上の面の非損傷部分を含むようにマスキングする。
【0139】
即ち、前記ジグはSiCエッジリングの非損傷部分が存在する底面、外側面、及び内側面を支持し、ここで、前記ジグは、底面を支持する基準ジグと他面ジグ(内側面ジグ及び外側面ジグ)を含んでもよい。前記基準ジグと前記他面ジグは分離された構造(図7(b)参照)であってもよく、一体化された構造(図9(c)参照)であってもよい。
【0140】
本発明の一実施形態によれば、前記マスキングを除去して、前記再生部が形成されたSiCエッジリングを規格化加工するステップと、後に前記SiCエッジリングを仕上げ洗浄するステップをさらに含んでもよい。
【0141】
前記仕上げ洗浄するステップは、マスキングを除去して再生部が形成されたSiCエッジリングを規格化加工した後、最終的に洗浄するステップである。
【0142】
本発明の一実施形態によれば、前記仕上げ洗浄するステップは、第1物理的又は化学的洗浄ステップ、熱処理洗浄ステップ、及び第2物理的又は化学的洗浄ステップを含んでもよい。前記第1及び第2物理的又は化学的洗浄ステップは、本発明では特に限定していないが、酸、塩基、蒸留水を含む純粋な溶液又は超音波を用いて洗浄してもよい。これは、前記SiCエッジリングの表面に残っている不純物を除去するためである。前記熱処理洗浄ステップは、前記第1物理的又は化学的洗浄ステップにおいて、まだ洗浄されていない残留不純物を、温度を高めることで第2物理的又は化学的洗浄ステップを介して洗浄可能にするための過程である。
【0143】
本発明の一実施形態によれば、前記熱処理洗浄ステップの熱処理温度は、800℃~1400℃であってもよい。蒸着物質を考慮するとき、前記熱処理温度を形成することで、第1物理的又は化学的洗浄ステップを介して洗浄されていない残留不純物を追加的に洗浄できる状態にする。前記熱処理温度が800℃未満である場合、前記残留不純物を十分に洗浄できないという問題があり、1400℃超過の場合、過度な高温を形成するための工程設計上、生産単価の増加という問題がある。
【0144】
本発明の一実施形態によれば、前記再生部を形成するステップは、前記プラズマ損傷部分のエッチングされた厚さを確認するステップと、前記エッチングされた厚さの最大値の120%~400%の厚さで再生部を形成するステップを含んでもよい。
【0145】
本発明の一側面によれば、前記再生部を形成するステップにおいて、再生部を適切な厚さに形成することが、工程効率の決定に重要な要因となる。前記再生部が過度に薄く形成される場合、プラズマにより再生部が全てエッチングされ、下層の非生成部の損傷部分が露出するという問題がある。これは、プラズマ処理方式過程で生産される半導体製品の品質を低下させる直接的な原因となる。また、前記再生部が過度に厚く形成される場合、再生部を形成する原料ガスの浪費が激しくなり、加工に消費されるコストと努力が増加し、最終的に半導体製品の単価を上昇させて生産効率を低下させる問題を生じさせる。従って、本発明の一側面では、再生部の厚さを適切に制御することが重要である。
【0146】
本発明の一側面において、再生部を形成するステップで、本来のSiCエッジリングの厚さ対比プラズマ損傷部分を含むSiCエッジリングのエッチングされた厚さを先に確認し、前記損傷部分のエッチングされた厚さの最大値の120%~400%の厚さで再生部を形成することができる。
【0147】
前述したように、形成される再生部が、前記エッチングされた厚さの最大値の120%未満である場合、損傷部分の非平坦面がプラズマにより再び露出されるという問題がある。また、SiCエッジリングの再生が、使用中に母材又は蒸着層間の境界がプラズマエッチングにより露出される前に、再生工程を行うという点を考慮すれば、形成される再生部が前記エッチングされた厚さの最大値の400%を超過する場合には厚過ぎる再生層が形成され、規格化のために加工しなければならない厚さが大きくなり、再生効率が劣るという問題がある。
【0148】
上述したように実施形態をたとえ限定された図面によって説明したが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、上記の説明に基づいて様々な技術的な修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順で実行されるし、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合又は組み合わせられてもよいし、他の構成要素又は均等物によって置き換え又は置換されたとしても適切な結果を達成することができる。
【0149】
したがって、他の具現、他の実施形態及び請求範囲と均等なものなども後述する請求範囲の範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9