(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-25
(45)【発行日】2023-06-02
(54)【発明の名称】靴下
(51)【国際特許分類】
A41B 11/00 20060101AFI20230526BHJP
A41D 13/06 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
A41B11/00 A
A41D13/06
(21)【出願番号】P 2023042118
(22)【出願日】2023-03-16
【審査請求日】2023-04-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523098359
【氏名又は名称】株式会社BUDDY
(74)【代理人】
【識別番号】100130144
【氏名又は名称】前田 健壱
(72)【発明者】
【氏名】金 成光
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-275300(JP,A)
【文献】特開2009-155763(JP,A)
【文献】登録実用新案第3239574(JP,U)
【文献】特開2019-150576(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0175378(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0322756(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 11/00-11/14
A41D 13/06
A61F 13/06-13/08
A61F 5/00-5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動動作時の足底にかかる体重バランスを向上させる靴下であって、
周辺部より伸縮率が低くなるように生成され、横幅が足底の第4中足骨から第5中足骨を介し足背の第4中足骨に亘る幅で、縦方向が立方骨の手前までの長さで形成された外側低伸縮部と、
周辺部より伸縮率が低くなるように生成され、前記外側低伸縮部の足背の第3中足骨側から少なくとも足首内側部まで延設された外側引張伸縮部と、を有し、
該外側引張伸縮部は、
前記外側低伸縮部を介し、足外側部の第4中足骨および第5中足骨を引っ張り上げることにより、足底を略フラットな状態にして地面に着地させることができる靴下。
【請求項2】
運動動作時の足底にかかる体重バランスを向上させる靴下であって、
周辺部より伸縮率が低くなるように生成され、横幅が足底の第3中足骨と第4中足骨の間から第5中足骨を介し足背の第3中足骨と第4中足骨の間の範囲の幅で、縦方向が立方骨の手前まで長さで形成された外側低伸縮部と、
周辺部より伸縮率が低くなるように生成され、前記外側低伸縮部の足背の第3中足骨側から少なくとも足首内側部まで延設された外側引張伸縮部と、を有し、
該外側引張伸縮部は、
前記外側低伸縮部を介し、足外側部の第4中足骨および第5中足骨を引っ張り上げることにより、足底を略フラットな状態にして地面に着地させることができる靴下。
【請求項3】
親指を収納する親指袋と、
人差し指と中指の2本指を収納する中間指袋と、
薬指と子指の2本指を収納する外側指袋と、が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の靴下。
【請求項4】
前記外側引張伸縮部は、前記外側低伸縮部の足背の第3中足骨側から前記足首内側部そして足首後方部を介し外側踝部上部まで延設されていることを特徴とする
請求項1または請求項2記載の靴下。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動動作時の足底にかかる体重バランスを向上させる靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、運動動作時の足底にかかる体重バランスを向上させる靴下が知られている。この種の靴下として、足背部に他の領域よりも伸縮性が低い帯状の第1低伸縮領域100が設けられ、その第1低伸縮領域100は、足首前方の足首屈曲部100dから足首屈曲部100dのコース方向幅の中心線Cが徐々に第5趾側へシフトしながら足趾の付け根部まで延設され、下端部100bは、第3趾の付け根部から第5趾の付け根部の範囲に位置している(
図9参照)。また、下端付近の第5趾側の側部101cは、第5中足骨を巻き込むように、足裏側に延設された構成になっているというものであった(たとえば、先行文献1)。このように構成することにより、第1低伸縮領域100の下端付近の第5趾側寄りの側部を第5中足骨に引っ掛けることにより、足の第5趾側全体を引き上げる力が得られるので、内反捻挫の予防効果を向上させることができるというものであった。ここで、
図9は、従来の靴下の足背部側を示す図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の靴下では、足の第5趾側全体が引き上げられることにより、足の先端側(第5趾側)が持ち上げられるものであるので、人の走行時においては、地面にまず踵部から着地し、次に第5趾付近に移動し、そして第1趾に移動する3点の体重移動、つまり、足の第5趾側が引き上げられても、踵部が着地した後に、第5趾付近→第1趾付近の順に体重移動し、母指球と小指球と踵部の3点に均等に体重を乗せることができないというものであった。このように、母指球と小指球と踵部の3点に均等に体重を乗せることができないので、走行の運動効率が向上させることができず、より速く走ることができないという問題を有するとともに、足の「第5趾先端側のみ」が引き上げているので、足が足首から十分回外できず、内反捻挫などの足首の怪我の可能性を有するものであった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、母指球と小指球と踵部の3点にほぼ均等に体重を乗せることにより、運動動作時の足底にかかる体重バランスを向上させるともに、走行の運動効率が向上させることにより、より速く走ることができる靴下を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、運動動作時の足底にかかる体重バランスを向上させる靴下であって、周辺部より伸縮率が低くなるように生成され、横幅が足底の第4中足骨から第5中足骨を介し足背の第4中足骨に亘る幅で、縦方向が立方骨の手前までの長さで形成された外側低伸縮部と、周辺部より伸縮率が低くなるように生成され、外側低伸縮部の足背の第3中足骨側から少なくとも足首内側部まで延設された外側引張伸縮部と、を有し、外側引張伸縮部は、外側低伸縮部を介し、足外側部の第4中足骨および第5中足骨を引っ張り上げることにより、足底を略フラットな状態にして地面に着地させることができるものである。
【0007】
本発明によれば、横幅が外側引張伸縮部により足底の第4中足骨から第5中足骨を介し足背の第4中足骨に亘る幅で、縦方向が立方骨の手前までの長さで形成された外側低伸縮部が足背の第3中足骨側から足首の内側方向に引き上げられることにより、立方骨と接する第4中足骨と第5中足骨が引上げられ、足底を略フラットな状態にして地面に着地させることができる。つまり、足裏全体で地面に着地させることができる。これにより、母指球と小指球と踵部の3点にほぼ均等に体重を乗せることができ、運動動作時の足底にかかる体重バランスを向上させることにより、より速く走ることができる。
【0008】
本発明のうち第2の態様に係るものは、運動動作時の足底にかかる体重バランスを向上させる靴下であって、周辺部より伸縮率が低くなるように生成され、横幅が足底の第3中足骨と第4中足骨の間から第5中足骨を介し足背の第3中足骨と第4中足骨の間の範囲の幅で、縦方向が立方骨の手前までの長さで形成された外側低伸縮部と、周辺部より伸縮率が低くなるように生成され、外側低伸縮部の足背の第3中足骨側から少なくとも足首内側部まで延設された外側引張伸縮部と、を有し、外側引張伸縮部は、外側低伸縮部を介し、足外側部の第4中足骨および第5中足骨を引っ張り上げることにより、足底を略フラットな状態にして地面に着地させることができるものである。
【0009】
本発明によれば、外側引張伸縮部により足底の第3中足骨と第4中足骨の間から第5中足骨を介し足背の第3中足骨と第4中足骨の間の範囲の幅で、縦方向が立方骨の手前までの長さで形成された外側低伸縮部が足背の第3中足骨側から足首の内側方向に引き上げられることにより、立方骨と接する第4中足骨と第5中足骨が引上げられ、足底を略フラットな状態にして地面に着地させることができる。つまり、足裏全体で地面に着地させることができる。これにより、母指球と小指球と踵部の3点にほぼ均等に体重を乗せることができ、運動動作時の足底にかかる体重バランスを向上させることにより、より速く走ることができる。
【0010】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1の態様または第2の態様に係る靴下であって、親指を収納する親指袋と、人差し指と中指の2本指を収納する中間指袋と、薬指と子指の2本指を収納する外側指袋と、が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、薬指と子指の2本指を収納する外側指袋を設けているので、外側引張伸縮部により立方骨と接する第4中足骨と第5中足骨がさらに引上げられやすくなり、足底を略フラットな状態にして地面に着地させやすくすることができる。これにより、母指球と小指球と踵部の3点にほぼ均等に体重を乗せることができ、運動動作時の足底にかかる体重バランスを向上させることにより、より速く走ることができる。
【0014】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1または第2の態様に係る靴下であって、外側引張伸縮部は、外側低伸縮部の足背の第3中足骨側から足首内側部そして足首後方部を介し外側踝部上部まで延設されていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明によれば、外側引張伸縮部が足背の第3中足骨側から足首内側部そして足首後方部を介し外側踝部上部まで延びて構成されているので、外側低伸縮部の足首内側方向の引っ張る力を十分維持させることができる。これにより、第4中足骨と第5中足骨をしっかりと安定して継続的に引き上げることができ、運動動作時においても立方骨と接する第4中足骨と第5中足骨を十分安定して継続的に引上げられるので、運動動作時の足底にかかる体重バランスを安定して維持させることにより、より継続して速く走ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、母指球と小指球と踵部の3点にほぼ均等に体重を乗せることにより、運動動作時の足底にかかる体重バランスを向上させるともに、走行の運動効率が向上させることにより、より速く走ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態における靴下の正面図である。
【
図5】同靴下と足骨との関係を示す外側面図である。
【
図6】同靴下と足骨との関係を示す内側面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態における靴下と足骨との関係を示す内側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態の靴下について図面を参照にしながら説明する。ここで、
図1は本発明の第1実施形態における靴下の正面図であり、
図2は同靴下の背面図である。ここで、靴下1は、右靴下と左靴下とが左右対称形状であるので、右側靴下のみを用いて説明し、左側靴下を用いての説明は省略する。
【0021】
図1および
図2に示すように、靴下1は、足を挿入する履き口部2から略踝部3までを構成する環状のボディ部4と、ボディ部4と一体に編成され、略踝部3の端部から爪先部5までを構成するフット部6とから編成されている。ここで、踝部3とは踝の部分のことであり、踝の少し上部、少し下部も含む概念である。また、本実施形態の靴下1は、親指を収納する親指袋1aと、人差し指と中指の2本指を収納する中間指袋1bと、薬指と子指の2本指を収納する外側指袋1cのそれぞれの指袋が設けられている(
図1参照)。このように、薬指と子指の2本指を収納する外側指袋1cが設けられているので、後述するように、外側引張伸縮部8により立方骨11と接する第4中足骨9と第5中足骨10がさらに引上げられやすくなり、足底を略フラットな状態にして地面に着地させやすくできる。具体的には、後述する。なお、本実施形態では、ショートソックスより丈が長く、ハイソックスより丈が長いクルーソックスの靴下1を用いて説明するが、これに限らず、ボディ部4とフット部6が設けられている靴下であれば、ショートソックスやハイソックスなどの他の形態の靴下であってもよく、また、「パンティーストッキング」や「ストッキング」や「タイツ」などについても適用することができる。ここで、「パンティーストッキング」とは、主に女性用の下半身を覆う衣料で、下着であるパンティーと長靴下であるストッキングが一体化された衣料のことで、爪先から腰までを一足で覆う衣料のことであり、また、「ストッキング」とは、脚部と足部を覆う形態で、肌にぴったりと密着する脚衣のことであり、「タイツ」とは、腰から足先にかけて素肌をぴったりと包み込む伸縮性のある脚衣のことである。このパンティーストッキングやストッキングやタイツなどに適用したときの説明および図面については容易に理解できるので、説明および図面は省略する。また、本実施形態では、靴下1は、親指を収納する親指袋1aと、人差し指と中指の2本指を収納する中間指袋1bと、薬指と子指の2本指を収納する外側指袋1cが設けられているが、これに限らず、5本指をそれぞれ別々に収納する指袋の靴下や、親指を収納する親指袋と他の4本指を収納する4本指袋が設けられた足袋靴下などであってもよい。
【0022】
また、靴下1は、運動動作時の足底にかかる体重バランスを向上させる靴下であって、外側低伸縮部7と、外側引張伸縮部8などが設けられている(
図1、
図2参照)。
【0023】
次に、本発明の第1実施形態の靴下と足骨との関係について図面を参照にしながら具体的に説明する。ここで、
図3は本発明の第1実施形態における靴下と足骨との関係を示す上面図であり、
図4は同靴下と足骨との関係を示す底面図であり、
図5は同靴下と足骨との関係を示す外側面図であり、
図6は同靴下と足骨との関係を示す内側面図である。
【0024】
外側低伸縮部7は、周辺部より伸縮率が低くなるように生成され、横幅が足底の第4中足骨9から第5中足骨10を介し足背の第4中足骨9までの略全域を覆う幅で、縦方向が立方骨11の手前までの長さで形成されている(
図3、
図4参照)。具体的には、靴下1着用時において、靴下1着用者の足の第4中足骨9の足底(足裏)部分から外側の第5中足骨10を巻き込むようにして足裏面から足側面に延設され、その足側面から第4中足骨9の足背(足の甲)部分まで設けられている。また、外側低伸縮部7の縦方向は、第4中足骨9から第5中足骨10の先端部(前方端部)から第4中足骨9から第5中足骨10の後端部(後方端)までの幅で形成されている。このように、外側低伸縮部7により第4中足骨9から第5中足骨10が包み混まれるように形成されている。なお、本実施形態では、外側低伸縮部7を横幅が足底の第4中足骨9から第5中足骨10を介し足背の第4中足骨9までの略全域を覆う幅で、縦方向が立方骨11の手前までの長さで形成させたが、これに限らず、外側低伸縮部7を横幅が足底の第4中足骨9から第5中足骨10を介し足背の第4中足骨9に亘る幅で形成させてもよく、また、横幅が足底の第3中足骨12と骨第4中足骨9の間から第5中足骨10を介し足背の第3中足骨12と骨第4中足骨9の間までの略全域を覆う幅で形成させてもよく、また、横幅が足底の第3中足骨12と骨第4中足骨9の間から第5中足骨10を介し足背の第3中足骨12と骨骨第4中足骨9の間に亘る幅で形成させてもよく、横幅が第4中足骨9から第5中足骨10を介し足背の第3中足骨12と骨骨第4中足骨9の間に亘る幅で形成させてもよく、さらに、横幅が足底の第3中足骨12と骨第4中足骨9の間から第5中足骨10を介し足背の第4中足骨9に亘る幅で形成させる等、横幅が足底の第3中足骨12と骨第4中足骨9の間から第5中足骨10を介し足背の第3中足骨12と骨骨第4中足骨9の間の範囲内の幅であればいずれも幅であってもよい。また、外側低伸縮部7の縦方向については、第4中足骨9と第5中足骨10の略先端部(前方端部)から第4中足骨9と第5中足骨10の略後端部(後方端)までの幅や、また、第4中足骨9と第5中足骨10の略先端部(前方端部)と第4中足骨9と第5中足骨10の略後端部(後方端)の間のいずれかの位置から形成される幅や、薬指と小指の後端部から第4中足骨9と第5中足骨10の略後端部(後方端)までの幅など、縦方向は立方骨11の手前までの長さで形成させれば、いずれも形態でもよい。このように外側低伸縮部7を形成させても、効果の違いがあるが、立方骨11と接する第4中足骨9と第5中足骨10を効率よく引上げることができる。
【0025】
この外側低伸縮部7は、靴下1の編成時に、横方向のコース糸を、複数本をまとめて一緒に編み目を作る「タック編み」により編成されているとともに、伸縮性の高い素材として裏糸にFTYを使用し、さらに、ゴム糸を編み込むことにより伸縮性を小さくしている。また、外側低伸縮部7の周辺部(外周側部)は「平編み」で編成されている。ここで、「タック編み」とは、生地を編成する際に、ある編み目を作らないで、次のコースを編むときに一緒に編み目を作る編み方で、編針から編み目を脱出させないので、編針のフック又は針幹の前の編み目とともに保持し、例えば次の給糸により編み目を形成する時に同時に複数の編み目をくぐって編み糸を引き出して新しい編み目を作る編み方であり、本実施形態では、次の給糸により編み目を形成する時に同時に4つの編み目をくぐって編み糸を引き出して新しい編み目を作るように編成されている。このように、外側低伸縮部7では、伸縮性の高い素材を用いるとともに、「タック編み」によって編み目の数が減らされているので、編み目の空間が縮小されると共に、伸びることができる編み目の数が減るので伸びに対する抵抗を発揮し、外側低伸縮部7の周辺部より伸縮性が小さく編成される。そして、外側低伸縮部7の周辺部(外周側部)は「平編み」で編成されているので、「タック編み」により編成されている外側低伸縮部7の部分は、外側低伸縮部7の周辺部(外周側部)より伸縮率が小さくなる。また、「外側低伸縮部7の周辺部(外周側部)より伸縮率が低くなるように生成されている」とは、外側低伸縮部7の周辺部(外周側部)の一部に外側低伸縮部7より伸縮率が低い部分があっても、また、外側低伸縮部7の内部にその他の外側低伸縮部7より伸縮率が高い部分があっても、外側低伸縮部7が外側低伸縮部7の周辺部(外周側部)より全体として伸縮性が低い場合も含まれる。また、本実施形態では、外側低伸縮部7の周辺部(外周側部)は、後述する外側引張伸縮部8と接しているのみである。このように、外側低伸縮部7の周辺部(外周側部)は、外側引張伸縮部8と接しているのみであるので、他の伸縮性が低い編み方をしている部分の影響を受けることはなく、その外側低伸縮部7の部分は大きな締付力で締め付けられる。なお、本実施形態では、外側低伸縮部7の周辺部(外周側部)は外側引張伸縮部8と接しているのみであるとしたが、これに限らず、外側低伸縮部7の伸縮性による締め付け機能に問題がない場合は、外側低伸縮部7が外側引張伸縮部8以外の伸縮性が低い編み方の部分と接していてもよい。また、本実施形態では、外側低伸縮部7を「タック編み」で編成するとともに、FTY、ゴム糸を編み込むことにより伸縮性を小さくしたが、これに限らず、FTY、ゴム糸を編み込まなくてもよい。また、本実施形態では、外側低伸縮部7を「タック編み」により編成されたが、これに限らず、「カットボス編み」により編成させてもよい。このように、外側低伸縮部7を「カットボス編み」により編成させることによっても伸縮性が小さくなり、足の「第4中足骨9」および「第5中足骨10」の部分に大きな締付力で締め付けることができる。ここで、「カットボス編み」とは、地糸の上に別の糸を重ねて編成する場合に、地糸からなる編地の部分的な領域に別の糸を編みこんで編成することであり、本実施形態では、地糸の上にナイロン糸を重ねて編成する場合に、地糸からなる編地の部分的な領域にナイロン糸を編みこんで編成されている。このように、「カットボス編み」を用いることによっても、「カットボス編み」で編まれた部分の伸縮率を低くし締付力を向上させることができる。
【0026】
外側引張伸縮部8は、周辺部より伸縮率が低くなるように生成され、外側低伸縮部7の足背の第3中足骨12側から少なくとも足首内側部(略内側踝部3(
図6参照))まで延設されている。本実施形態では、外側引張伸縮部8は、外側低伸縮部7の足背の第3中足骨12側から足首内側部そして足首後方部を介し外側踝部3a上部まで延設されている。このように、外側引張伸縮部8が足背の第3中足骨側11から足首内側部そして足首後方部を介し外側踝部3a上部まで延びて構成されているので、外側低伸縮部8を足首内側方向に引っ張る力を十分維持させることができる。すなわち、第4中足骨9と第5中足骨10をしっかりと安定して継続的に引き上げることができ、運動動作時においても立方骨11と接する第4中足骨9と第5中足骨10を十分安定して継続的に引上げることができる。なお、本実施形態では、外側引張伸縮部8が外側低伸縮部7の足背の第3中足骨12側から足首内側部そして足首後方部を介し外側踝部3a上部まで延設している靴下を用いたが、これに限らず、外側低伸縮部7の足背の第3中足骨12側から足首内側部そして足首後方部(略アキレス腱部を含む)を介し略外側踝部3a上部まで延設する靴下を用いてもよく、また、外側低伸縮部7の足背の第3中足骨12側から足首内側部と外側踝部3a略上部(好ましくは、足首後方部と外側踝部3a略上部(多少効果が劣る場合もあるが、足首内側部と足首後方部))の間のいずれかの位置まで延設している靴下を用いてもよい。
【0027】
外側引張伸縮部8の外側低伸縮部7の第3中足骨12側横方向の長さは、足首に向かう程大きく形成されている。すなわち、外側引張伸縮部8の外側低伸縮部7の第3中足骨12側から横方向に伸ばした線の長さは、足趾から足首に向かう方向程、外側引張伸縮部8の前方側から斜め略直線的に広く形成されている。つまり、外側引張伸縮部8の外側低伸縮部7の第3中足骨12側横方向の長さ形状は略三角形形状で形成されている。このように、外側引張伸縮部8の外側低伸縮部7の第3中足骨12側横方向の部分が足趾から足首に向かう程広く形成されているので、足趾から足首に向かう程靴下1の伸縮率が低くなり、外側低伸縮部7を足首内側方向に強い引っ張り力で引っ張り上げることができる。これにより、立方骨11と接する第4中足骨9と第5中足骨5がより大きな力で引上げることかできる。また、「外側引張伸縮部8の周辺部(外周側部)より伸縮率が低くなるように生成されている」とは、外側引張伸縮部8の周辺部(外周側部)の一部に外側引張伸縮部8より伸縮率が低い部分があっても、また、外側引張伸縮部8の内部にその他の外側引張伸縮部8より伸縮率が高い部分があっても、外側引張伸縮部8が外側引張伸縮部8の周辺部(外周側部)より全体として伸縮性が低い場合も含まれる。また、外側引張伸縮部8の周辺部(外周側部)は、外側低伸縮部7と接しているのみである。このように、外側引張伸縮部8の周辺部(外周側部)は、外側低伸縮部7と接しているのみであるので、他の伸縮性が低い編み方をしている部分の影響を受けることはなく、その外側引張伸縮部8の部分により外側低伸縮部7を足首内側方向に大きな引っ張り力で引っ張り上げることができる。なお、本実施形態では、外側引張伸縮部8の周辺部(外周側部)は外側低伸縮部7と接しているのみであるとしたが、これに限らず、外側引張伸縮部8の伸縮性による引っ張り機能に問題がない場合は、外側引張伸縮部8が外側低伸縮部7以外の伸縮性が低い編み方の部分と接していてもよい。
【0028】
本実施形態の靴下1(クルーソックスの丈長さ)は、外側引張伸縮部8の足首後方部から外側踝部3a上部までの高さ方向の幅が4cm~5cmで形成されている(
図5、
図6参照)。ここで、クルーソックスは、一般的に丈の長さがふくらはぎ13略中位の丈長さ、すなわち踵部14下点を基点として18cm~20cm程度の丈長さの靴下をいうが、これに限らず、丈の長さが踵部14下点を基点として15cmの丈長さ以上である場合に、靴下1の外側引張伸縮部8の足首後方部から外側踝部3a上部までの高さ方向の幅を4cm~5cmとしてもよい。このように、丈の長さが踵部14下点を基点として15cmの丈長さ以上の靴下である場合でも、外側引張伸縮部8の幅を4cm~5cm確保でき、外側引張伸縮部8の足首後方部から外側踝部3a上部までの高さ方向の幅を4cm~5cmにすることにより、外側低伸縮部7の足首内側方向の引っ張り力を十分維持させることができる。これにより、第4中足骨9と第5中足骨10をしっかりと安定して継続的に引き上げることができ、運動動作時においても立方骨11と接する第4中足骨9と第5中足骨10を十分安定して継続的に引上げることができる。また、クルーソックスより丈長さが短いロークルーソックスは、外側引張伸縮部8の足首後方部から外側踝部3a上部までの高さ方向の幅は4cm未満(例えば、1cmから4cm(好ましくは、1cmから3cm(より好ましくは、1cmから2cm))で形成される。ここで、ロークルーソックスは、一端的に、踵部14下点を基点として13cm~15cm程度の丈長さの靴下のことである。
【0029】
外側引張伸縮部8についても、上述した外側低伸縮部7と同様、靴下1の編成時に、横方向のコース糸を、複数本をまとめて一緒に編み目を作る「タック編み」により編成されているとともに、伸縮性の高い素材として裏糸にFTYを使用し、さらに、ゴム糸を編み込むことにより伸縮性を小さくしている。ここで、外側引張伸縮部8の編み方およびコース糸などについては、外側低伸縮部7の説明のなお書きも含め、外側低伸縮部7と同じであるので、具体的な説明は省略する。
【0030】
以上説明したように、本実施形態における靴下1を用いることにより、横幅が足底の第4中足骨9から第5中足骨10を介し足背の第4中足骨9に亘る幅で、縦方向が立方骨11の手前までの長さで形成された外側低伸縮部7が外側引張伸縮部8により足首10の内側方向に引き上げるので、立方骨11と接する第4中足骨9と第5中足骨10を引上げることができる。すなわち、立方骨11との接続部を一つの支点として第4中足骨9と第5中足骨10を引上げられることにより、靴下1の外側部を引き上げることができる。このように、靴下1の外側部を大きく引き上げられることにより、足底を略フラットな状態にして地面に着地させることができるので、足裏の内側と外側を略同時に地面に着地させることができる。また、外側引張伸縮部8が足背の第3中足骨12側から足首内側部そして足首後方部を介し外側踝部3a上部まで延びて構成されているので、外側低伸縮部7を足首内側方向に引っ張る力を維持させることができる。これにより、第4中足骨9と第5中足骨10をしっかりと安定して継続的に引き上げることができ、運動動作時においても立方骨と接する第4中足骨9と第5中足骨10を十分安定して継続的に引上げられる。これにより、母指球15と小指球16と踵部14の3点にほぼ均等に体重を乗せることができ、運動動作時の足底にかかる体重バランスを効率よく向上させることにより、より速く走ることができる(
図4参照)。また、指と子指の2本指を収納する外側指袋1cを設けることにより、外側引張伸縮部8により立方骨11と接する第4中足骨9と第5中足骨10がさらに引上げられやすくなる。
【0031】
これに対し、外側低伸縮部7が第3中足骨12の略全域まで覆うように形成させた場合は、中間楔状骨と連接する第3中足骨12まで引き上げられることになるので、この中間楔状骨と連接する第3中足骨12の引き上げが、立方骨11と接する第4中足骨9と第5中足骨10の引き上げ力を弱めてしまい足の外側を大きく引き上げることができなくなる。これにより、母指球15と小指球16と踵部14の3点に均等に体重を乗せることができず、運動動作時の足底にかかる体重バランスが少し不均衡になり、走る速さをあまり向上させることができなくなる。また、外側低伸縮部7を立方骨11まで延設させた場合は、第4中足骨9と第5中足骨10と連接する立方骨11が引き上げられることになるので、この第4中足骨9と第5中足骨10と連接する立方骨11の引き上げにより、立方骨11との接続部を支点として第4中足骨9と第5中足骨10を引上げられることができなくなり、立方骨11と接する第4中足骨9と第5中足骨10の引き上げ力を弱めてしまい足の外側を大きく引き上げることができなくなる。これにより、母指球15と小指球16と踵部14の3点に均等に体重を乗せることができず、運動動作時の足底にかかる体重バランスが少し不均衡になり、この場合においても、走る速さをあまり向上させることができなくなる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の靴下について、
図7および
図8を用いて説明する。ここで、
図7は本発明の第2実施形態における靴下と足骨との関係を示す内側面図であり、
図8は同靴下と足骨との関係を示す底面図である。
【0033】
第2実施形態と第1実施形態の異なるところは、第1実施形態では、外側引張伸縮部8は、外側低伸縮部7の足背の第3中足骨12側から足首内側部そして足首後方部を介し外側踝部3a上部に延設されている形状であるのに対し、第2実施形態では、外側引張伸縮部28は、第1実施形態の外側引張伸縮部8にさらに足首内側部から土踏まず部まで延設する形状にしたところが異なる(
図7参照)。なお、第2実施形態においては、第1実施形態と同一構成のものについては同一符号を用い、同一の作用効果を奏するものとし、説明は省略する。
【0034】
外側引張伸縮部28は、周辺部より伸縮率が低くなるように生成され、外側低伸縮部7の足背の第3中足骨12側から足首内側部そして足首後方部を介し外側踝部3a上部まで延設されているとともに、足首内側部から土踏まずまで延設されている(
図7、
図8参照)。すなわち、外側引張伸縮部28は、外側低伸縮部7の足背の第3中足骨12側から足首内側部まで延び、そこから2つに分かれ、その一方は足首内側部から足首後方部を介し外側踝部3a上部まで延設され、また他方は足首内側部から土踏まずまで延設された構成である。ここで、第2実施形態の外側引張伸縮部28について、第1実施形態の外側引張伸縮部8において上記説明した部分(なお書き含む)については同様に適用されるので、説明は省略する。
【0035】
このように、本実施形態における靴下21を用いることにより、横幅が足底の第4中足骨9から第5中足骨10を介し足背の第4中足骨9に亘る幅で、縦方向が立方骨11の手前までの長さで形成された外側低伸縮部7が外側引張伸縮部28により足首10の内側方向に引き上げられるので、立方骨11と接する第4中足骨9と第5中足骨10を引上げることができる。すなわち、立方骨11との接続部を一つの支点として第4中足骨9と第5中足骨10を引上げられることにより、靴下21の外側部を引き上げることができる。このように、靴下21の外側部を大きく引き上げられることにより、足底を略フラットな状態にして地面に着地させることができるので、足裏の内側と外側を略同時に地面に着地させることができる。また、外側引張伸縮部28が足背の第3中足骨12側から足首内側部そして足首後方部を介し外側踝部3a上部まで延設されているとともに、足首内側部から土踏まず部まで延設されているので、外側低伸縮部7が外側引張伸縮部28の足背の第3中足骨12側から外側引張伸縮部28の足首内側部を介して安定した引っ張り力で引き上げることができる。これにより、第4中足骨9と第5中足骨10をしっかりと安定して継続的に引き上げることができ、運動動作時においても立方骨11と接する第4中足骨9と第5中足骨10を十分安定して継続的に引上げられる。これにより、母指球15と小指球16と踵部14の3点にほぼ均等に体重を乗せることができ、運動動作時の足底にかかる体重バランスを効率よく向上させることにより、より速く走ることができる(
図8参照)。
【0036】
以上の開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
1 靴下
1a 親指袋
1b 中間指袋
1c 外側指袋
2 履き口部
3 踝部
3a 外側踝部
4 ボディ部
5 爪先部
6 フット部
7 外側低伸縮部
8 外側引張伸縮部
9 第4中足骨
10 第5中足骨
11 立方骨
12 第3中足骨
13 ふくらはぎ
14 踵部
15 母指球
16 小指球
21 靴下
28 外側引張伸縮部
【要約】
【課題】 従来の靴下では、人の走行時においては、足の第5趾側が引き上げられても、踵から着地し、足底が均等に体重移動出来ず、母指球と小指球と踵部の3点に均等に体重を乗せることはできないので、より速く走ることができないという問題を有していた。
【解決手段】
本発明は、横幅が足底の第4中足骨9から第5中足骨10を介し足背の第4中足骨に亘る幅で、縦方向が立方骨の手前までの長さで形成された外側低伸縮部7が外側引張伸縮部8により足首10の内側方向に引き上げるので、立方骨11と接する第4中足骨9と第5中足骨10を引上げることにより、母指球15と小指球16と踵部の3点にほぼ均等に体重を乗せることができ、運動動作時の足底にかかる体重バランスを効率よく向上させることにより、より速く走ることができる。
【選択図】
図1