(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】バネ駆動オートリセットブレーカ
(51)【国際特許分類】
H01H 71/56 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
H01H71/56
(21)【出願番号】P 2019181811
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】306037654
【氏名又は名称】中松 博孝
(72)【発明者】
【氏名】中松 博孝
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-153186(JP,A)
【文献】特開2009-252718(JP,A)
【文献】特開2006-156071(JP,A)
【文献】特開2007-115411(JP,A)
【文献】実開昭63-143845(JP,U)
【文献】中国実用新案第201138646(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 69/00 - 69/01
H01H 71/00 - 83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリップした漏電ブレーカ及び各種サーキットブレーカのハンドルを自動的に押し上げて再投入するオートリセットブレーカにおいて、
予め蓄勢されたバネの放勢により回転する回転板、前期回転板の円周上に固設された制動板、前記回転板の回転を前期制動板と協働して制動する二つのストッパー、前記回転板を動輪として上下運動しトリップした漏電ブレーカのハンドルを押し上げるスライダー、前記スライダーに並設されたトリップ検出棒、前記トリップ検出棒の一端のトリップ検出部は漏電ブレーカがトリップした時に漏電ブレーカのハンドルにより押し下げられる位置に配設し、もう一端には前記二つのストッパーが配設され、前記ストッパーの一方は漏電ブレーカのハンドルがトリップし前記トリップ検出棒を押し下げた時に、前記制動板と協働して前記バネの放勢を制動し、他方は漏電ブレーカのハンドルにより前記トリップ検出棒が押し下げられない正常運転時に、前記制動板と協働して前記バネの放勢を制動することを特徴としたオートリセットブレーカ。
【請求項2】
トリップした漏電ブレーカ及び各種サーキットブレーカのハンドルを自動的に押し上げて再投入するオートリセットブレーカにおいて、
予め蓄勢されたバネの放勢により回転する回転板、前記回転板の円周上に固設された二つの制動板、前記回転板の回転を前記制動板と協働して制動するストッパー、
前記回転板を動輪として上下運動しトリップした漏電ブレーカのハンドルを押し上げるスライダー、前記スライダーに並設されたトリップ検出棒、前記トリップ検出棒の一端のトリップ検出部は漏電ブレーカがトリップした時に漏電ブレーカのハンドルにより押し下げられる位置に配設し、もう一端には前記ストッパーが配設され、前期回転板の円周上には前記ストッパーと協働して回転板の回転を制動する二つの制動板が配設され、一方の制動板は漏電ブレーカのハンドルがトリップした時に前記ストッパーと協働して回転板の回転を制動し、他方の制動板は漏電ブレーカのハンドルにより前記トリップ検出棒が押し下げられない正常運転時に前記ストッパーと協働して回転板の回転を制動し、前記バネの放勢を制動することを特徴としたオートリセットブレーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無人の無線通信中継局やテレメータ観測局等に使用されるオートリセットブレーカに関する
【背景技術】
【0002】
従来の無人の無線通信中継局やテレメータ観測局等では商用電力引き込み口の漏電ブレーカが誘雷等の異常電流でトリップした場合、その度に漏電ブレーカを再投入するために高い山上中継局や遠距離のテレメータ観測局等まで、ブレーカ再投入のために出向かなければならなかった。そこで自動的に漏電ブレーカを再投入するオートリセットブレーカが開発された。
【0003】
従来のオートリセットブレーカは駆動力として電動モータを使い、電源装置を備え制御装置にはロジックICを使用したシーケンス回路を含むものもある(例えば特許文献1参照)。
また制御装置にマイクロコンピュータを含むものもある(例えば非特許文献1参照)。以上に述べた従来のオートリセットブレーカでは制御装置がロジック回路及びマイクロコンピュータなどで構成されているため、誘雷等の異常電流に脆弱であり、その外形も大きくなり価格も高くなるため市町村防災無線の屋外拡声装子局のような小規模な電気設備にはほとんど利用されてこなかった。そこで、小型で安価なオートリセットブレーカを実現するためにバネ駆動によるオートリセットブレーカが考えられた(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【文献】特開2000-312432
【文献】日本アンテナ株式会社 製品カタログ2004
【文献】特開2007-40485606
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
構造的に簡単であり小型化され、価格も低減可能となったが、駆動用ばねの制御に電磁ストッパーが使用されているため僅かであるが電力が消費され、小型化にも限界がある。
【0006】
本発明はこのような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、より一層小型化され安価となり、同時に電気的部品の使用もなく環境にもやさしいオートリセットブレーカを実現させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして本発明は上記目的を達成するために、駆動用バネの係止手段としての電磁ストッパーの働きと、トリップした漏電ブレーカのハンドルを押し上げてリセットするスライダーの働きの両機能を備えた、ストッパー付及びトリップ検出部付のスライダーを配設した。
【発明の効果】
【0008】
上述したように本発明のオートリセットブレーカは配設されるバネ・歯車・制動板・ストッパー付スライダー等の部品はそれぞれが小さく構成的にも単純であるため、より一層の小型化が可能であり、電力を消費することもなく環境にやさしく、価格も低減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態の平面図及び側面図であり、漏電ブレーカがトリップした時に漏電ブレーカのハンドルが中立位置とならず、再投入する為に予めリセットする必要がない方式の漏電ブレーカの再投入方式である。
【
図2】同オートリセットブレーカの基本動作開始時の正面図及び側面図である。
【
図3】同オートリセットブレーカの基本動作時の正面図及び側面図である。
【
図4】同オートリセットブレーカの基本動作時の正面図及び側面図である。
【
図5】同オートリセットブレーカの負荷正常時における基本動作時の正面図及び側面図である。
【
図6】同オートリセットブレーカの負荷正常時における基本動作停止時の正面図及び側面図である。
【
図7】同オートリセットブレーカの負荷異常時における基本動作時の正面図及び側面図である。
【
図8】同オートリセットブレーカの負荷異常時における基本動作停止時の正面図及び側面図である。
【
図9】本発明の実施形態の正面図及び側面図であり、漏電ブレーカがトリップした時に漏電ブレーカのハンドルが中立位置となり、再投入する為に予めリセットする必要がある方式の漏電ブレーカの再投入方式である。
【
図10】同オートリセットブレーカの基本動作開始時の正面図及び側面図である。
【
図11】同オートリセットブレーカの基本動作時の正面図及び側面図である。
【
図12】同オートリセットブレーカの基本動作時の正面図及び側面図である。
【
図13】同オートリセットブレーカの基本動作時の正面図及び側面図である。
【
図14】同オートリセットブレーカの負荷正常時における基本動作停止時の正面図及び側面図である。
【
図15】同オートリセットブレーカの負荷異常時における基本動作停止時の正面図及び側面図である。
【
図16】本発明の実施形態の平面図及び側面図であり、
図1では二つのストッパーと一つの制動板により回転板の回転を制動するが、
図16ではひとつのストッパーと二つの制動板により回転板の回転を制動する漏電ブレーカの再投入方式である。
【
図17】
図16における実施形態のオートリセットブレーカの負荷異常時における基本動作停止時の正面図及び側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を
図1~
図16に基づいて説明する。
【0011】
図においては1~8は漏電ブレーカがトリップした時に漏電ブレーカのハンドルが中立位置とならず、再投入する為に予めリセットする必要がない方式の漏電ブレーカの再投入基本動作説明図である。
【0012】
図においては1は前記<0011>におけるタイプのバネ駆動オートリセットブレーカの構成図である。予め蓄勢されたバネ1に係合する回転板が、前記バネ1の放勢により回転し、前記回転板に係合するストッパー付スライダーが前記回転板の回転に追随し上下運動を行い漏電ブレーカのハンドルを押し上げて再投入する。前記ストッパー及びトリップ検出部付スライダーは一端にトリップ検出部を装備し、他端にストッパーA及びストッパーBの二つの係止手段を装備し前記回転板に固設された制動板Aを制動する。通常運転状態ではストッパーAにより制動されている。
【0013】
図においては2~6は漏電ブレーカの負荷が正常時の基本動作説明図である。
図2にて漏電ブレーカのハンドルがトリップし、前記ストッパー及びトリップ検出部付スライダーの上部トリップ検出部を押し下げる、
前記回転板の制動板Aを制動していた前記ストッパーAがはずれ、同時にバネ2が蓄勢され、予め蓄勢されていた前記バネ1の放勢により回転板が回転し、前記ストッパー付スライダーにより漏電ブレーカのハンドルが押し上げられ、
図3から
図4にて漏電ブレーカが再投入され、
図5にて前記ストッパー付スライダーの上部のトリップ検出部と漏電ブレーカのハンドルが離れると、前記ばね2が放勢し前記ストッパーA及びストッパーBは元の位置に戻り、
図6にて前記ストッパーAにより前記回転板の制動板Aが制動され、
図1の通常状態にて停止する。
【0014】
図においては7~8は漏電ブレーカの負荷が異常時の基本動作説明図である。
図3及び
図4にてトリップした漏電ブレーカの再投入が行われる時に、漏電ブレーカの負荷が異常で
あった場合は再投入してもすぐにトリップし、
図7にて前記ストッパー付スライダーは漏電ブレーカのハンドルに押し下げられたままとなり、
図8にて前記ストッパーBにて前記回転板の制動板Aが制動され、動作は永久停止となる。
【0015】
図においては9~15は漏電ブレーカのトリップ時に、ブレーカハンドルが中立の位置に留まり、再度ブレーカ投入時には一旦ハンドルを下端まで押し下げて、リセットした後に再投入する方式の漏電ブレーカについての基本動作図である。
【0016】
図においては9は前記<0015>におけるタイプの漏電ブレーカのバネ駆動オートリセットブレーカの構成図である。
予め蓄勢されたバネ1に係合する回転板が、前記バネ1の放勢により回転し、前記回転板に係合するストッパー付スライダーの上側バーが前記回転板の回転に追随し下降運動を行い漏電ブレーカのハンドルを押し下げてリセットし、次に上昇運動を行い漏電ブレーカのハンドルを押し上げて再投入する。前記ストッパー付スライダーは一端に漏電ブレーカのトリップ時にブレーカハンドルに押し下げられるトリップ検出部装備し、他端にストッパーA及びストッパーBの二つの係止手段を装備し前記回転板に固設された制動板Aを制動する。通常運転状態ではストッパーAにより制動されている。
【0017】
図においては10~14は漏電ブレーカの負荷が正常時の基本動作説明図である。
図10にて漏電ブレーカのハンドルがトリップし、前記ストッパー付スライダーのトリップ検出部を押し下げ、前記回転板の制動板を制動していた前記ストッパーAがはずれ、同時にバネ2が蓄勢され、予め蓄勢されていた前記バネ1の放勢により回転板が回転する。
前記ストッパー付スライダーの上側バーにより漏電ブレーカのハンドルが押し下げられ、
図10から
図11にて漏電ブレーカをリセットし、
図12から
図13にて前記ストッパー付スライダーの下側バーによりと漏電ブレーカのハンドルを押し上げて再投入する。
漏電ブレーカのハンドルより前記トリップ検出部が離れると、前記ばね2が放勢し前記ストッパーA及びストッパーBは元の位置に戻り、
図14にて前記ストッパーAにより前記回転板の制動板Aが制動され、
図9の通常状態にて停止する。
【0018】
図においては15は漏電ブレーカの負荷が異常時の基本動作説明図である。
図11~
図13にてトリップした漏電ブレーカの再投入が行われる時に、漏電ブレーカの負荷が異常であった場合は再投入してもすぐにトリップし、
図15にて前記ストッパー付スライダーは漏電ブレーカのハンドルに押し下げられたままとなり、前記ストッパーBにて前記回転板の制動板が制動され、動作は永久停止する。
【0019】
図においては16は漏電ブレーカの負荷が正常時の基本動作説明図である。
漏電ブレーカの負荷が正常時にはストッパーAにより制動板Aが制動され、回転板の回転が停止する。
【0020】
図においては17は漏電ブレーカの負荷が異常時の基本動作説明図である。
漏電ブレーカの負荷が異常時にはストッパーAにより制動板Bが制動され、回転板の回転が永久停止する。
【0021】
1 漏電ブレーカ、2 漏電ブレーカハンドル、3 トリップ検出部、4スライダー
5 ストッパーA、6 ストッパーB、 7 バネ1、 8 バネ2
9 回転板、 10 制動板A、 11 制動板B