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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】駐車場用収納庫
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20230529BHJP
   E04H 6/02 20060101ALI20230529BHJP
   A47B 45/00 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/02 G
A47B45/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018202073
(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公開番号】P2020066969
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】514140779
【氏名又は名称】益本 秀則
(73)【特許権者】
【識別番号】514264536
【氏名又は名称】マスモト, キミエ
【氏名又は名称原語表記】MASUMOTO, Kimie
【住所又は居所原語表記】2262 Tedesca Dr. Henderson, Nevada 89052, USA
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】益本 秀則
(72)【発明者】
【氏名】マスモト, キミエ
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-048733(JP,U)
【文献】特開2000-217645(JP,A)
【文献】登録実用新案第3035371(JP,U)
【文献】特開2006-112192(JP,A)
【文献】特開2002-213095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/42
A47B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車が当該自動車の後部から駐車されるとともに駐車された自動車の後輪が接する車輪止めを有する平面駐車場の地面における前記車輪止めよりも奥側に設置される駐車場用収納庫において、
底板と、
前記底板の奥側に配設される背板と、
前記底板の左右両側に配設される左側板及び右側板と、
前記左側板の上部から前記右側板の上部に亘って配設される上カバーとを備え、
前記底板、前記背板及び前記上カバーは、左右方向に伸縮可能に構成され、前記底板、前記背板及び前記上カバーを左右方向に伸縮させることにより、前記左側板及び前記右側板の間に自動車の後側オーバーハング部の収容が可能となるように前記左側板及び前記右側板の間隔の変更が可能となっていることを特徴とする駐車場用収納庫。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車場用収納庫において、
前記左側板、前記右側板及び前記背板は、上下方向に伸縮可能に構成されていることを特徴とする駐車場用収納庫。
【請求項3】
請求項2に記載の駐車場用収納庫において、
前記左側板及び前記右側板は、それぞれ、前記底板に固定される下側板材と、該下側板材に対して上下方向にスライド可能に連結された上側板材とを備え、
前記上側板材における手前側には、前記左側板と前記右側板との間を開閉するシャッターが設けられていることを特徴とする駐車場用収納庫。
【請求項4】
請求項3に記載の駐車場用収納庫において、
前記左側板の前記上側板材から前記右側板の前記上側板材まで延び、前記左側板の前記上側板材と前記右側板の前記上側板材とを連結する連結部材を備えていることを特徴とする駐車場用収納庫。
【請求項5】
請求項4に記載の駐車場用収納庫において、
前記連結部材は水平方向に延びており、
前記連結部材には棚板が支持されることを特徴とする駐車場用収納庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場に設置される収納庫に関し、特に大きさを変化させることができる構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駐車場に物品の収納するための設備を導入することが行われており、これにより、スペースの有効活用、駐車場使用者の利便性の向上、更には賃貸駐車場の付加価値向上等を図っている。
【0003】
例えば、特許文献1には、駐車場の車止めよりも奥の地中に埋め込まれる地中埋め込み型タイヤ収納ボックスが開示されている。このタイヤ収納ボックスは、ボックス本体と蓋体とを備えており、この蓋体を取り外すことによってボックス本体を開放状態にし、タイヤの収納や取り出し作業が行えるように構成されている。
【0004】
また、特許文献2には、駐車場の奥に設置される昇降式収納棚が開示されている。この収納棚は、支柱と、支柱に沿って昇降する棚と、棚を昇降駆動するウインチとを備えており、駐車場に駐車される自動車の高さに応じて棚の高さを変化させることができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-302302号公報
【文献】特開2002-213095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のタイヤ収納ボックスの場合、地下に埋め込むものであることから、駐車場に駐車する自動車の大きさに制限を与えないという利点があるものの、収容量を多くしようとすると、地中を深く掘らなければならないので設置作業が大掛かりになり、その結果、設置に要するコストが増大する。また、使用者は地下にあるタイヤを持ち上げるようにして取り出さなければならず、特に取出作業時の負担が大きなものになる。
【0007】
特許文献2の昇降式収納棚の場合、駐車場に駐車する自動車の高さに応じて収納棚の高さを変更できるので、駐車場に駐車する自動車の自由度を高めることができる。しかしながら、物品を置く棚であることから、駐車場に屋根があることが前提となっており、屋根が無い駐車場では棚に置いた物品が雨ざらしになってしまうとともに、盗難やいたずらのおそれがある。
【0008】
そこで、収納庫を駐車場の地上に設置することが考えられる。こうすれば、地下から物品を持ち上げずに済むとともに、物品が雨ざらしにならないようにすることができる。特に、賃貸駐車場は、普通車でも軽自動車でも駐車可能なように、スペースが大きめに確保されているケースがあり、このような駐車場に例えば軽自動車を駐車した場合には、奥側に余剰スペースが生まれることになるので、駐車場の奥側に収納庫を設置すれば、余剰スペースを有効利用することが可能になる。
【0009】
ところが、普通車であっても車種毎に全長や全幅が異なるとともに、車体後部の形状もセダンやハッチバック、ワゴン等、様々であり、このため、駐車場に駐車する自動車によって余剰スペースの広さは変わることになる。また、大きめの自動車を駐車しても収納庫が邪魔にならないようにする必要があることから、収納庫を設置するとしても小さめの収納庫を選ばざるを得ず、小さな自動車を駐車した場合の余剰スペースの有効活用が難しかった。
【0010】
このことに対し、駐車する自動車の大きさに応じて収納庫を変更することが考えられるが、賃貸駐車場の場合、契約した自動車が変わる度に収納庫を変更することは、設置費用を考えると現実的ではない。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、駐車場用収納庫を駐車場の奥側の地上に設置する場合に、自動車の大きさの変化に対応できるようにして駐車場の余剰スペースを有効活用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、第1の発明は、自動車が当該自動車の後部から駐車されるとともに駐車された自動車の後輪が接する車輪止めを有する平面駐車場の地面における前記車輪止めよりも奥側に設置される駐車場用収納庫において、底板と、前記底板の奥側に配設される背板と、前記底板の左右両側に配設される左側板及び右側板と、前記左側板の上部から前記右側板の上部に亘って配設される上カバーとを備え、前記底板、前記背板及び前記上カバーは、左右方向に伸縮可能に構成され、前記底板、前記背板及び前記上カバーを左右方向に伸縮させることにより、前記左側板及び前記右側板の間に自動車の後側オーバーハング部の収容が可能となるように前記左側板及び前記右側板の間隔の変更が可能となっていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、例えば軽自動車のように全長が短い自動車を駐車する場合には、収納庫の内部空間全体を物品の収納空間として利用することが可能になる。一方、例えば普通車で全長が長い自動車を駐車する場合には、左側板と右側板との間隔が自動車の後部の幅よりも広くなるように、底板、背板及び上カバーを伸長させることで、自動車の後側オーバーハング部を収納庫の内部に収容することが可能になる。収納庫の内部空間における自動車の後側オーバーハング部が収容される部分以外は、物品の収納空間として利用することができる。左側板と右側板との間隔は、自動車の後部の幅は変われば、それに合わせて変えることができるので、様々な車種に対応することができる。
【0014】
第2の発明は、前記左側板、前記右側板及び前記背板は、上下方向に伸縮可能に構成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、例えばセダン型の自動車の場合、トランク部分を収納庫の内部に収容可能となるように、左側板、右側板及び背板を伸縮させて各々の上下方向の寸法を設定することが可能になる。また、例えばハッチバックやワゴン型の自動車の場合、セダン型に比べて後部の高さが高くなるので、後部を収容可能となるように左側板、右側板及び背板を伸長させればよい。従って、高さが異なる複数種の自動車を駐車することができるようになる。
【0016】
第3の発明は、前記左側板及び前記右側板は、それぞれ、前記底板に固定される下側板材と、該下側板材に対して上下方向にスライド可能に連結された上側板材とを備え、前記上側板材における手前側には、前記左側板と前記右側板との間を開閉するシャッターが設けられていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、上側板材を下側板材に対して上下方向にスライドさせることにより、左側板及び右側板の上下方向の寸法を変えることができる。この場合、上側板材にシャッターを設けているので、上側板材を上下方向へ移動させると、シャッターも同時に上下方向へ移動させることができ、左側板と右側板との間を開閉することができる。
【0018】
第4の発明は、前記左側板の前記上側板材から前記右側板の前記上側板材まで延び、前記左側板の前記上側板材と前記右側板の前記上側板材とを連結する連結部材を備えていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、連結部材を持って上下方向に力を加えることにより、左側板の上側板材と右側板の上側板材とを上下方向に同じように移動させることができ、左側板及び右側板の上下方向の寸法を容易に変えることができる。
【0020】
第5の発明は、前記連結部材は水平方向に延びており、前記連結部材には棚板が支持されることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、連結部材を利用して棚板を所定高さに支持することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、全長が短い自動車の場合には収納庫の内部空間全体を物品の収納空間として利用することが可能になるので、駐車場の余剰スペースを有効活用することができる。また、全長が長い自動車を駐車する場合には、左側板及び右側板の間隔を変えることによって自動車の後側オーバーハング部を収納庫の内部に収容することができるので、全長が長い自動車も駐車することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る駐車場用収納庫の斜視図である。
図2】底板スライダの構造を示す図である。
図3】側板スライダの構造を示す図である。
図4】高くした状態を示す図1相当図である。
図5】幅を広くした状態を示す図1相当図である。
図6】低くした状態の使用例を示す側面図である。
図7】高くした状態の使用例を示す側面図である。
図8】幅を狭くした状態の使用例を示す正面図である。
図9】幅を広くした状態の使用例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る駐車場用収納庫1を示しており、駐車場用収納庫1をその手前側から見た斜視図である。この駐車場用収納庫1は、例えば、図6図7等に示すように、自動車100を駐車するための平面駐車場Pの地面Gに設置されるものである。駐車場Pの奥側の地面Gには、車輪止めAが設置されており、この車輪止めAよりも奥側に駐車場用収納庫1が設置される。駐車場Pには、自動車100の後部が駐車場Pの奥側に位置するように駐車されるようになっている。尚、駐車場Pには、自動車100の前部が駐車場Pの奥側に位置するように駐車されてもよい。
【0026】
図1に示すように、駐車場用収納庫1の手前、奥、左、右を定義するが、これは説明の便宜を図るためであり、駐車場用収納庫1の使用状態を限定するものではない。駐車場用収納庫1の手前側は駐車場Pの手前側、即ち自動車100の入口側であり、駐車場用収納庫1の奥側は駐車場Pの奥側である。駐車場用収納庫1の左側は、駐車場用収納庫1を手前側から見た時に左となる側である。駐車場用収納庫1の右側は、駐車場用収納庫1を手前側から見た時に右となる側である。
【0027】
駐車場用収納庫1は、底部に設けられるコンクリートベースBを備えている。コンクリートベースBは、駐車場用収納庫1の基礎となる部分であり、駐車場Pの地面Gに埋め込まれている。コンクリートベースBは、例えば複数設けることができ、この場合、コンクリートベースBを左右方向に互いに間隔をあけて配置することができる。
【0028】
駐車場用収納庫1は、底板2と、背板3と、左側板4と、右側板5と、上カバー6と、シャッター7とを備えている。底板2は、駐車場用収納庫1の底を構成する部材であり、コンクリートベースBに取り付けられている。背板3は、底板2の奥側に配設される部材である。左側板4及び右側板5は、それぞれ底板2の左側及び右側に配設される部材である。上カバー6は左側板4の上部から右側板5の上部に亘って配設される部材である。シャッター7は左側板4と右側板5との間を開閉するための部材である。
【0029】
(底板2の構成)
底板2は、底部左側板材20と底部右側板材21と底板スライダ23とを備えている。底部左側板材20は、底板2の左側を構成する部材であり、略水平方向に延びている。底部右側板材21は、底板2の右側を構成する部材であり、略水平方向に延びている。底部右側板材21の左側部分は、底部左側板材20に収容されており、底部右側板材21は十分な長さを有している。
【0030】
底部右側板材21の左側部分を底部左側板材20から引き出すこと及び底部右側板材21の左側部分を底部左側板材20に更に差し込むことが可能になっている。底部右側板材21の左側部分を底部左側板材20から引き出すことにより、底板2が伸長して底板2の左右方向の寸法が長くなる。一方、底部右側板材21の左側部分を底部左側板材20に更に差し込むことにより、底板2が縮んで底板2の左右方向の寸法が短くなる。つまり、底板2は左右方向に伸縮可能に構成されている。
【0031】
具体的には、図2に示す底板スライダ23によって底板2の伸縮が実現される。底板スライダ23は、上側ラック23aと、下側ラック23bと、ピニオン23cとを備えたラックアンドピニオン機構で構成されている。上側ラック23aの歯面は下に向き、下側ラック23bの歯面は上側ラック23aの歯面と対向するように上を向いている。上側ラック23a及び下側ラック23bはそれぞれ歯が左右方向に連続するように配置されている。上側ラック23a及び下側ラック23bの一方が底部左側板材20に固定され、他方が底部右側板材21に固定されている。また、ピニオン23cは奥行き方向に延びる支軸23dによって回転可能に支持され、この状態で、上側ラック23a及び下側ラック23bの両方の歯に噛み合うように配置されている。支軸23dは、コンクリートベースBに取り付けられており、左右方向には移動しないようになっている。例えば底部左側板材20を左右方向に移動させると、その移動方向に応じて上側ラック23a及び下側ラック23bの間でピニオン23cが回転する。
【0032】
図1に示すように、底部左側板材20及び底部右側板材21には、固定ピン200を差し込むための複数のピン孔20a、21aがそれぞれ形成されている。ピン孔20a、21aはそれぞれ左右方向に並んでいる。底部右側板材21の左側部分が底部左側板材20に収容されているので、底部左側板材20のピン孔20aと、底部右側板材21のピン孔21aとを一致させることが可能になる。底部左側板材20及び底部右側板材21を左右方向に移動させて底板2の左右方向の寸法が所望の長さになったとき、ピン孔20a、21aを一致させて固定ピン200をピン孔20a、21aに差し込むことで、底部左側板材20及び底部右側板材21の相対的な移動を防止することができる。
【0033】
(背板3の構成)
背板3は、主に該背板3の下側部分を構成する下側背板部30と、主に該背板3の上側部分を構成する上側背板部31とを備えている。さらに、下側背板部30は、下部左側板材32と、下部右側板材33と、背板下側スライダ34とを備え、上側背板部31は、上部左側板材35と、上部右側板材36と、背板上側スライダ37とを備えている。
【0034】
下部左側板材32は、下側背板部30の左側を構成する部材であり、上下方向に延びている。下部左側板材32の左端部には、取付板材32aが固定されている。この取付板材32aは、左側板4の左側板本体40に固定されている。下部右側板材33は、下側背板部30の右側を構成する部材であり、上下方向に延びている。下部右側板材33の右端部には、図示しないが下部左側板材32と同様な取付板材が固定されている。下部右側板材33の取付板材は、右側板5の右側板本体50に固定されている。下部右側板材33は、下部左側板材32の手間側に重なるように配置されており、図示するように左右方向に十分な長さを有している。
【0035】
背板下側スライダ34は、例えば、底板スライダ23と同様に構成することができる。この場合、背板下側スライダ34を構成する一方のラックを下部左側板材32に固定し、他方のラックを下部右側板材33に固定し、ピニオンを上下方向に支軸によって回転可能に支持し、その支軸をコンクリートベースBに取り付けておく。例えば下部左側板材32を左右方向に移動させると、その移動方向に応じて両ラックの間でピニオンが回転する。
【0036】
上部左側板材35は、上側背板部31の左側を構成する部材であり、上下方向に延びている。上部左側板材36の左端部は、左側板4の内側板材41に固定されている。上部右側板材36は、上側背板部31の右側を構成する部材であり、上下方向に延びている。上部右側板材36の右端部は、右側板5の内側板材51に固定されている。上部右側板材36は、上部左側板材35の手間側に重なるように配置されており、左右方向に十分な長さを有している。さらに、上部左側板材35及び上部右側板材36は、下部左側板材32の奥側に重なるように配置されている。上部左側板材35及び上部右側板材36の上下方向の寸法は、下部左側板材32及び下部右側板材33の上下方向の寸法よりも十分に長く設定されている。背板上側スライダ37は、背板下側スライダ34と同様に構成することができる。背板上側スライダ37及び背板下側スライダ34を設けているので、背板3の左右方向の寸法を変更することができ、よって、背板3は左右方向に伸縮可能に構成されることになる。また、上部左側板材35及び上部右側板材36が、下部左側板材32の奥側に重なるように配置されていることから、上部左側板材35及び上部右側板材36を上下方向に移動させることにより、背板3の上下方向の寸法を変更することができ、よって、背板3は上下方向に伸縮可能に構成される。
【0037】
(左側板4及び右側板5の構成)
左側板4は、左側板本体(下側板材)40と、内側板材(上側板材)41と、左スライダ42とを備えている。左側板本体40は、底部左側板材20の左端部に固定され、この左端部から上方へ延びている。内側板材41は、左側板本体40の内側に重なるように配置されて奥行き方向に延びており、左スライダ42を介して左側板本体40に取り付けられている。従って、内側板材41は、左側板本体40に対して上下方向にスライド可能に連結されることになる。
【0038】
左スライダ42は、図3に示すように周知のスライダで構成することができ、アウターメンバー42aと、インナーメンバー42bと、ボール42cと、ボールリテーナー42dとを備えている。アウターメンバー42aとインナーメンバー42bとの間に、ボール42cが配置されてボールリテーナー42dによって転動可能に保持されている。アウターメンバー42aとインナーメンバー42bは長手方向に相対移動可能となっている。アウターメンバー42a及びインナーメンバー42bを上下方向に延びるように配置し、一方を左側板本体40に固定し、他方を内側板材41に固定することで、内側板材41が左側板本体40に対して上下方向に移動可能になる。内側板材41を上方へ移動させると、左側板4の上下方向の寸法が長くなり、下方へ移動させると、左側板4の上下方向の寸法が短くなる。つまり、左側板4は上下方向に伸縮可能に構成されている。
【0039】
図1に示すように、内側板材41には、固定ピン201を差し込むための複数のピン孔41aが上下方向に並ぶように形成されている。このピン孔41aに対応するように、左側板本体40にもピン孔(図示せず)が形成されており、内側板材41を上下方向に移動させて内側板材41のピン孔41aと、左側板本体40のピン孔とを一致させると、固定ピン201を両ピン孔41aに差し込むことができるようになっている。これにより、内側板材41を所望位置で固定しておくことができる。
【0040】
右側板5は左側板4と同様に構成されており、右側板本体50と、内側板材51と、右スライダ52とを備えている。右側板本体50の外面には取っ手53が設けられている。図示しないが、左側板本体40にも同様な取っ手を設けることができる。取っ手53を持って左右方向に力を加えることによって伸縮させることができる。
【0041】
(上カバー6の構成)
上カバー6は、駐車場用収納庫1の屋根となる部材であり、左側カバー部材60と右側カバー部材61とを備えている。左側カバー部材60は、上カバー6の左側を構成する部材であり、左側板4の上部から右側へ延びている。右側カバー部材61は、上カバー6の右側を構成する部材であり、右側板5の上部から左側へ延びている。右側カバー部材61の左側部分は、左側カバー部材60に収容されており、右側カバー部材61は十分な長さを有している。
【0042】
右側カバー部材61の左側部分を左側カバー部材60から引き出すこと及び右側カバー部材61の左側部分を左側カバー部材60に更に差し込むことが可能になっている。右側カバー部材61の左側部分を左側カバー部材60から引き出すことにより、底板2が伸長して上カバー6の左右方向の寸法が長くなる。一方、右側カバー部材61の左側部分を左側カバー部材60に更に差し込むことにより、上カバー6が縮んで底板2の左右方向の寸法が短くなる。つまり、上カバー6は左右方向に伸縮可能に構成されている。
【0043】
(シャッター7の構成)
左側板4の内側板材41の上部かつ手前側には、左側板4と右側板5との間を開閉するシャッター7が設けられている。駐車場用収納庫1は、図示しないがシャッター7を巻き取る巻き取り軸を備えている。この巻き取り軸は左右方向に延びており、左端部が左側板4の内側板材41の上部かつ手前側に取り付けられ、右端部が右側板5の内側板材51の上部かつ手前側に取り付けられている。従って、左側板4の内側板材41と、右側板5の内側板材51とは、巻き取り軸によって連結されることになる。巻き取り軸に巻き取られたシャッター7を下に引っ張ることで、左側板4と右側板5との間に展開させることができ、これにより、左側板4と右側板5との間が閉塞される。閉塞状態にあるシャッター7を上記巻き取り軸に巻き取ることで左側板4と右側板5との間を開放することができる。
【0044】
シャッター7の長さは、左側板4及び右側板5の上下方向の寸法に対応するように予め設定しておけばよい。また、シャッター7の幅は、左側板4及び右側板5の間隔に対応するように予め設定しておけばよい。
【0045】
(連結部材8の構成)
駐車場用収納庫1は、連結部材8を備えている。連結部材8は、左側板4の内側板材41から右側板5の内側板材51まで延び、左側板4の内側板材41と右側板5の内側板材51とを連結するための部材であり、水平に延びている。連結部材8は、手前側に配設されている。連結部材8には棚板9が支持されるようになっている。棚板9は省略してもよい。連結部材8を持って内側板材41、51を上方向に移動させることができる。
【0046】
(その他の構成)
底板2、背板3及び上カバー6は、幅の異なる複数種を用意しておき、駐車場Pに応じて適した幅のものを選択して組み立てるようにしてもよい。また、左側板4、右側板5及び背板3は、上下方向の寸法が異なる複数種を用意しておき、駐車場Pに応じて適した幅のものを選択して組み立てるようにしてもよい。さらに、連結部材8やシャッター7についても左右方向の寸法が異なる複数種を用意しておき、駐車場Pに応じて適した幅のものを選択して組み立てるようにしてもよい。
【0047】
底板スライダ23、背板下側スライダ34、背板上側スライダ37、左スライダ42及び右スライダ52は、上述した構成のものでなくてもよく、部材をスライドさせる際に使用されるスライドレール等であってもよい。
【0048】
(実施形態の作用効果)
駐車場用収納庫1が左スライダ42及び右スライダ52を備えているので、左側板4及び右側板5の内側板材41、51を上下方向に移動させることにより、左側板4及び右側板5の上下方向の寸法を変更することができる。このとき、上側背板部31が内側板材41、51と一体に上下方向に移動する。また、上カバー6やシャッター7、連結部材8も同様に移動する。
【0049】
従って、例えば図6に示すように、駐車場Pにセダン型の自動車100を後から駐車する場合には、後側オーバーハング部の高さに対応するように、左側板4及び右側板5の内側板材41、51を上下方向に移動させて、後側オーバーハング部を左側板4及び右側板5の間に収容可能にすることができる。駐車場用収納庫1の内部空間における自動車100の後側オーバーハング部が収容される部分以外は、物品の収納空間として利用することができる。左側板4と右側板5との上下方向の寸法は、自動車100の後部の高さが変われば、それに合わせて変えることができるので、様々な車種に対応することができる。
【0050】
一方、図7に示すように、駐車場Pにワゴン型の自動車100を後から駐車する場合には、セダン型よりも高いので、左側板4及び右側板5の内側板材41、51を上方へ移動させて上カバー6やシャッター7、連結部材8を高い所に配置する。これにより、ワゴン型の自動車100の後部(後側オーバーハング部)を左側板4及び右側板5の間に収容可能にすることができる。
【0051】
また、駐車場用収納庫1が底板スライダ23、背板下側スライダ34、背板上側スライダ37を備えているので、左側板4及び右側板5の間隔を変更することができる。従って、例えば図8に示すように、駐車場Pに幅の狭い自動車100を駐車する場合には、左側板4及び右側板5の間隔が狭くなるように、底板2、背板3及び上カバー6の左右方向の長さを設定する。一方、図9に示すように、駐車場Pに幅の広い自動車100を駐車する場合には、左側板4及び右側板5の間隔が広くなるように、底板2、背板3及び上カバー6の左右方向の長さを設定する。左側板4と右側板5との間隔は、自動車100の後部の幅が変われば、それに合わせて変えることができるので、様々な車種に対応することができる。
【0052】
また、この実施形態に係る駐車場用収納庫1によれば、全長が短い自動車100の場合には駐車場用収納庫1の内部空間全体を物品の収納空間として利用することが可能になるので、駐車場Pの余剰スペースを有効活用することができる。また、全長が長い自動車100を駐車する場合には、左側板4及び右側板5の間隔や上下方向の寸法を変えることによって自動車の後側オーバーハング部を駐車場用収納庫1の内部に収容することができるので、全長が長い自動車100も駐車することができる。
【0053】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0054】
また、駐車場用収納庫1には、例えば車載バッテリを充電する充電設備を設けることができる。車載バッテリは、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の走行用バッテリ等である。これにより、駐車場Pに駐車している間に走行用バッテリを充電することができる。
【0055】
また、駐車場用収納庫1は、駐車場の敷地の境界に設置することもできる。例えば駐車場用収納庫1の背板3を敷地の境界に合わせて設置することで、駐車場用収納庫1を壁の一部として使用することができる。
【0056】
また、駐車場用収納庫1は、奥行を80cm~1m程度にすることができる。駐車場用収納庫1には、防災用品を収容することもでき、この場合、駐車場用収納庫1は防災用品庫として使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明に係る駐車場用収納庫は、例えば、平面駐車場に設置することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 駐車場用収納庫
2 底板
3 背板
4 左側板
5 右側板
6 上カバー
7 シャッター
8 連結部材
9 棚板
40 左側板本体(下側板材)
41 内側板材(上側板材)
50 右側板本体(下側板材)
51 内側板材(上側板材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9